説明

水稲作における雑草防除方法

【課題】水稲栽培における雑草の防除方法。
【解決手段】1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア等の除草化合物を含む水希釈液を水田に散布する工程、及び前記除草化合物で処理した後に水田を湛水する工程を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水稲栽培における雑草の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
雑草を防除するため、除草化合物の有効成分として多くの化合物が知られているが、その使用方法によっては、必ずしも除草化合物の性能を十分に引き出せていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Crop Protection Handbook, vol. 95 (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水稲作において優れた雑草防除効果を発揮する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、水稲作において、作物に対して有害な影響を与える植物、すなわち雑草に対して優れた防除効果を発揮する方法を提供するために検討の結果、ある種の除草化合物を処理した水田において、特定の水管理を実施することにより、水田に発生する雑草に対して優れた防除効果を発揮することを見出し、本発明に至った。
本発明は以下のものである。
【0006】
[1] 水稲栽培における雑草の防除方法であって、
1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア、(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリド、1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア及び2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドから成る群より選ばれる1以上の除草化合物を含む水希釈液を、水稲の播種後又は移植後に、雑草又は雑草が生育する若しくは雑草が発生することが予想される水田に散布する工程、及び、
前記除草化合物での処理後1週間以内に水田を湛水する工程、を含む雑草を防除する方法。
【0007】
[2] 水稲栽培における雑草の防除方法であって、
1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア、(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリド、1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレアおよび2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドから成る群より選ばれる1以上の除草化合物を含む水希釈液を、水稲の播種後又は移植後に、雑草又は雑草が生育する若しくは雑草が発生することが予想される水田に散布する工程、及び、
前記除草化合物での処理3日後までに水田を湛水する工程、を含む雑草を防除する方法。
【0008】
[3] 水稲栽培における雑草の防除方法であって、
1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア、(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリド、1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレアおよび2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドから成る群より選ばれる1以上の除草化合物を含む水希釈液を、水稲の播種後又は移植後に、雑草又は雑草が生育する若しくは雑草が発生することが予想される水田に散布する工程、及び、
前記除草化合物での処理後翌日までに水田を湛水する工程、を含む雑草を防除する方法。
【0009】
[4] 除草化合物が1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレアである[1]乃至[3]に記載のいずれかの方法。
【0010】
[5] 除草化合物が(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリドである[1]乃至[3]に記載のいずれかの方法。
【0011】
[6] 除草化合物が1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレアである[1]乃至[3]に記載のいずれかの方法。
【0012】
[7] 除草化合物が2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドである[1]乃至[3]に記載のいずれかの方法。
【0013】
[8] 除草化合物を含む水希釈液を水田に散布する工程において、水田の湛水の深さが1cm未満である[1]乃至[7]に記載のいずれかの方法。
【0014】
[9] 水田を湛水する工程において、湛水の深さが4cm以上である[1]乃至[8]に記載のいずれかの方法。
【0015】
[10] 水稲栽培における雑草がヒエ属雑草である[1]乃至[9]に記載のいずれかの方法。
【0016】
[11] 水稲栽培における雑草がアゼガヤである[1]乃至[9]に記載のいずれかの方法。
【0017】
[12] [1]乃至[3]および[8]乃至[11]に記載のいずれかの方法に用いるための、1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア、(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリド、1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア及び2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドから成る群より選ばれる1以上の除草化合物を含む製剤。
【0018】
[13] 除草化合物が1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレアである[12]に記載の製剤。
【0019】
[14] 除草化合物が(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリドである[12]に記載の製剤。
【0020】
[15] 除草化合物が1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレアである[12]に記載の製剤。
【0021】
[16] 除草化合物が2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドである[12]に記載の製剤。
【発明の効果】
【0022】
本発明の雑草防除方法により、水稲作における水田の雑草を効果的に防除できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の有害生物の防除方法は、
(1)1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア、(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリド、1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア及び2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドから成る群より選ばれる1以上の除草化合物を含む水希釈液を、水稲の播種後又は移植後に、雑草又は雑草が生育する若しくは雑草が発生することが予想される、好ましくは水深が1cm未満の水田に散布する工程、及び
(2)前記除草化合物を処理した水田に、前記除草化合物処理後1週間以内に水田を4cm以上に湛水する工程、
を含む(以下、本発明方法と記載することがある)。
【0024】
(1)1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア、(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリド、1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア及び2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドから成る群より選ばれる1以上の除草化合物を含む水希釈液を、水稲の播種後又は移植後に、雑草又は雑草が生育する若しくは雑草が発生することが予想される水田に散布する工程
本発明方法に用いられる、1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア(以下、「化合物1」と称することがある)は、特開2004−123690に記載の製造方法により製造することができる。
(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリド(以下、「化合物2」と称することがある)は、特開2004−44546に記載の製造方法により製造することができる。
1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア(以下、「化合物3」と称することがある)は、特開2005−336175に記載の製造方法により製造することができる。
2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリド(以下、「化合物4」と称することがある)はWO2007/031208に記載の製造方法により製造することができる。
【0025】
本発明方法で用いられる除草化合物は、一般の農薬のとりうる形態、即ち、上記有効成分を適当な液体担体に溶解するか分散させるか、又は適当な固体担体と混合するか吸着させ、例えば、乳剤、水和剤、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、粒剤等の製剤に製剤化することができる。これらの製剤は必要に応じ、更に乳化剤、分散剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、粘漿剤、安定剤等を含有させてよく、自体公知の方法で調製することができる。
【0026】
本発明で用いられる除草化合物を製剤化する際に使用し得る液体担体(溶剤)としては、例えば、水、アルコール類(例、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エテレングリコール等)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(例、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、脂肪族炭化水素類(例、ケロシン、燃料油、機械油等)、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルナフタレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等)、酸アミド類(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、エステル類(例、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルエステル、脂肪酸グリセリンエステル等)、ニトリル類(例、アセトニトリル、プロピオニトリル等)等の溶媒が挙げられ、これらは1種又は2種以上を適当な割合で混合して使用してもよい。固体担体(希釈・増量剤)としては、植物性粉末(例、大豆粉、タバコ粉、小麦粉、木粉等)、鉱物性粉末(例、カオリン、ベントナイト、酸性白土、クレイ等のクレイ類、滑石粉、ロウ石粉等のタルク類、珪藻土、雲母粉等のシリカ類等)、アルミナ、硫黄粉末、活性炭等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を適当な割合で混合して使用してもよい。当該液体担体又は固体担体は、製剤全体に対して通常約1〜99重量%程度、好ましくは約1〜80重量%程度用いることができる。
【0027】
本発明方法で用いられる除草化合物を製剤化する際に乳化剤、展着剤、浸透剤、分散剤等として使用し得る界面活性剤としては、例えば石鹸類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類(例、ノイゲン、イー・エー142;第一工業製薬(株)製)、ポリオキシエチレンアリールエステル類(例、ノナール;東邦化学(株)製)、アルキル硫酸塩類(例、ユマール10、ユマール40;花王(株)製)、アルキルベンゼンスルホン酸塩類(例、ネオゲン、ネオゲンT;第一工業製薬(株)製、ネオペレックス;花王(株)製)、ポリエチレングリコールエーテル類(例、ノニポール85、ノニポール100、ノニポール160;三洋化成(株)製)、多価アルコールエステル類(例、ツイーン20、ツイーン80;花王(株)製)等の非イオン系及びアニオン系界面活性剤が用いられる。当該界面活性剤は、製剤全体に対して、通常0.1〜約50重量%程度、好ましくは約0.1〜25重量%程度用いることができる。
【0028】
本発明方法で用いられる除草化合物の製剤中の含有量は、通常0.01〜90重量%程度である。本発明で用いられる除草化合物の製剤は、その使用に際して、水等で適宜希釈増量(例えば、100〜100,000倍)され、噴霧器を用いて散布される。
【0029】
本発明方法で用いられる除草化合物を使用する際は、通常、水稲の湛水直播後、乾田直播後又は水稲移植後に施用する。除草化合物を施用する時期は、水稲の播種又は移植直後〜水稲の播種又は移植21日後であり、好ましくは水稲の播種又は移植3日後〜水稲の播種又は移植21日後であり、更に好ましくは水稲の播種又は移植5日後〜水稲の播種又は移植21日後である。
本発明で用いられる除草化合物を使用する際は、水田の土壌表面が乾いている状態であってもよいし、土壌表面が湿っているものの湛水がない状態(水深0cm)であってもよいし、噴霧器を用いた除草剤散布の作業に支障がない水深で湛水されていてもよい。噴霧器を用いた除草剤散布の作業に支障がない水深は、散布に携わる作業者の主観や経験により異なるが、5cm以下、好ましくは2cm以下、更に好ましくは1cm未満であればよい。
【0030】
本発明方法で用いられる除草化合物の使用量は、適用場面、適用時期、施用方法、対象雑草により異なるが一般に有効成分量は、通常1ヘクタール当たり5gから400g程度、好ましくは10gから200g程度、更に好ましくは20gから100g程度である。
【0031】
本発明方法で用いられる除草化合物は、必要に応じて他の除草剤と混合して用いることもできる。また、殺虫剤、殺菌剤、植物成長調節剤、肥料、薬害軽減剤、土壌改良剤等と併用することもできる。
【0032】
(2)1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア、(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリド、1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア及び2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドから成る群より選ばれる1以上の除草化合物で処理した水田に、前記除草化合物処理後1週間以内に水田を湛水する工程
本発明方法において、除草化合物が水田に散布された後、水田を湛水する時期は、除草化合物の散布より1週間以内であり、好ましくは3日以内、更に好ましくは翌日までである。
【0033】
本発明方法において、除草化合物が水田に散布された後、水田を湛水する際の湛水の深さは特に制限はないが、例えば4cm以上であり、好ましくは4cm〜20cmであり、更に好ましくは4cm〜10cmである。
【0034】
本発明方法が用いられる水田で栽培される水稲、すなわちイネは、イネ属(Oryza)の一年生植物のうち、栽培種であるOryza sativaとOryza glaberrimaを指す。本発明方法が用いられる水稲は、一般的に作物として栽培される品種であれば限定されない。
かかる品種の植物には、イソキサフルトール等の4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(以後HPPDと略する)阻害剤、イマゼタピル、チフェンスルフロンメチル等のアセト乳酸合成酵素(以後ALSと略する)阻害剤、グリホサート等の5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ阻害剤、グルホシネート等のグルタミン合成酵素阻害剤、2,4−D、ダイカンバ等のオーキシン型除草化合物、ブロモキシニル等の除草化合物に対する耐性が、古典的な育種法、又は遺伝子組換え技術により付与された植物も含まれる。
【0035】
古典的な育種法により耐性が付与された作物の例として、イマゼタピル等のイミダゾリノン系ALS阻害型除草化合物に耐性のイネがあり、Clearfield(登録商標)の商品名で既に販売されている。
【0036】
遺伝子組換え技術により耐性が付与された作物の例として、グルホシネートに耐性のイネがあり、Liberty Link(登録商標)RiceまたはLL Riceの商品名で開発されている。
【0037】
アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の変異アセチルCoAカルボキシラーゼがWeed Science (2005) Vol. 53 728-746頁等に報告されており、こうした変異アセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子を遺伝子組換え技術により植物に導入するか若しくは抵抗性付与に関わる変異を植物アセチルCoAカルボキシラーゼに導入する事により、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の植物を作出することができる。さらに、キメラプラスティ技術(Gura T. 1999 Repairing The Genome's Spelling Mistakes. Science 285: 316-318)に代表される塩基置換変異導入核酸を植物細胞内に導入して植物のアセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子やALS遺伝子等に部位特異的アミノ酸置換変異を導入することにより、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤やALS阻害剤等に耐性の植物を作出することができる。
シュードモナス・マルトフィリア(Pseudomonas maltophilia)より単離されたジカンバモノオキシゲナーゼ(dicamba monooxygenase)等のジカンバの分解酵素を植物に導入し、ジカンバに耐性のダイズ等の作物を作出することができる(Behrens et al. 2007 Dicamba Resistance: Enlarging and Preserving Biotechnology-Based Weed Management Strategies. Science 316: 1185-1188)。
アリルオキシアルカノエートジオキゲナーゼ(aryloxyalkanoate dioxygenase)をコードする遺伝子を導入し、2,4−D、MCPA、ジクロプロップ、メコプロップ等のフェノキシ酸系除草化合物と、キザロホップ、ハロキシホップ、フルアジホップ、ジクロホップ、フェノキサプロップ、メタミホップ、シハロホップ、クロジナホップ等のアリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草化合物とに耐性となる作物を作出することができる(WO2005/107437、WO2007/053482、WO2008/141154)。
HPPD阻害剤に対して抵抗性を示すHPPD酵素をコードする遺伝子を導入し、HPPD阻害剤に耐性の植物を作出することができる(US2004/0058427)。
作物を除草化合物に対して耐性にする方法として、他にWO98/20144、WO2002/46387、US2005/0246800に記載される遺伝子を導入する方法が挙げられる。
【0038】
上記の作物は、遺伝子組換え技術を用いて、例えば、バチルス属で知られている選択的毒素等を合成する事が可能となった作物も含む。
この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)やバチルス・ポピリエ(Bacillus popilliae)由来の殺虫性タンパク;バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)由来のCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1又はCry9Cなどのδ−エンドトキシン、VIP1、VIP2、VIP3又はVIP3Aなどの殺虫タンパク;線虫由来の殺虫タンパク;さそり毒素、クモ毒素、ハチ毒素又は昆虫特異的神経毒素等動物によって産生される毒素;糸状菌類毒素;植物レクチン;アグルチニン;トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン、パパイン阻害剤等のプロテアーゼ阻害剤;リシン、トウモロコシ−RIP、アブリン、ルフィン、サポリン、ブリオジン等のリボゾーム不活性化タンパク(RIP);3−ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド−UDP−グルコシルトランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ等のステロイド代謝酵素;エクダイソン阻害剤;HMG−CoAリダクターゼ;ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル阻害剤等のイオンチャネル阻害剤;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ等が挙げられる。
また、この様な遺伝子組換え作物で発現される毒素として、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1、Cry9C、Cry34Ab又はCry35Abなどのδ−エンドトキシンタンパク、VIP1、VIP2、VIP3又はVIP3Aなどの殺虫タンパクのハイブリッド毒素、一部を欠損した毒素、修飾された毒素も含まれる。ハイブリッド毒素は、組換え技術を用いて、これらタンパクの異なるドメインの新しい組合せによって作り出される。一部を欠損した毒素としては、アミノ酸配列の一部を欠損したCry1Abが知られている。修飾された毒素は、天然型の毒素のアミノ酸の1つ又は複数が置換されている。これら毒素の例及びこれら毒素を合成する事ができる組換え植物は、EP−A−0 374 753、WO 93/07278、WO 95/34656、EP−A−0 427 529、EP−A−451 878、WO 03/052073等に記載されている。これらの組換え植物に含まれる毒素は、特に、甲虫目害虫、双翅目害虫、鱗翅目害虫への耐性を植物へ付与する。
また、1つ若しくは複数の殺虫性の害虫抵抗性遺伝子を含み、1つ又は複数の毒素を発現する遺伝子組換え植物は既に知られており、いくつかのものは市販されている。
【0039】
上記の作物は、遺伝子組換え技術を用いて、選択的な作用を有する抗病原性物質を産生する能力を付与されたものも含む。抗病原性物質の例として、PRタンパク等が知られている(PRPs、EP−A−0 392 225)。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP−A−0 392 225、WO 95/33818、EP−A−0 353 191等に記載されている。こうした遺伝子組換え植物で発現される抗病原性物質の例として、例えば、ナトリウムチャネル阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤(ウイルスが産生するKP1、KP4、KP6毒素等が知られている。)等のイオンチャネル阻害剤;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ;PRタンパク;ペプチド抗生物質、ヘテロ環を有する抗生物質、植物病害抵抗性に関与するタンパク因子(植物病害抵抗性遺伝子と呼ばれ、WO 03/000906に記載されている。)等の微生物が産生する抗病原性物質等が挙げられる。
【0040】
上記の作物は、遺伝子組換え技術を用いて、ビタミン含量増強形質などの有用形質を付与した植物やアレルゲン遺伝子の発現を抑制したものをも含む。例として、可食部位のベータカロテン含量を増強したイネであるGolden riceが挙げられる(Science 287(5451): 303-305)。
さらに、上記の古典的な除草化合物形質又は除草化合物耐性遺伝子、殺虫性害虫抵抗性遺伝子、抗病原性物質産生遺伝子、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質などの有用形質について、これらを複数組み合わせたスタック品種も含まれる。
【0041】
本発明方法により防除可能な雑草としては、例えば以下のものを挙げることができる。
ヒエ属(Echinochloa)雑草:例えば、イヌビエ(Echinochloa crus-galli)、タイヌビエ(Echinochloa oryzicola)、ヒメタイヌビエ(Echinochloa crus-galli var formosensis)、コヒメビエ(Echinochloa colona)、タイワンイヌビエ(Echinochloa glabrescens)、ノゲイタイヌビエ(Echinochloa oryzoides);
アゼガヤ(Leptochloa chinenisis)、
オオクサキビ(Panicum dichotomiflorum)、タマガヤツリ(Cyperus difformis)、コゴメガヤツリ(Cyperus iria)、ヒナガヤツリ(Cyperus flaccidus)、カヤツリグサ(Cyperus microiria)、ミズガヤツリ(Cyperus serotinus)、ハマスゲ(Cyperus rotundus)、キハマスゲ(Cyperus esculentus)、イヌホタルイ(Schoenoplectus juncoides)、タイワンヤマイ(Schoenoplectus wallichii)、ヒメカンガレイ(Schoenoplectus mucronatus)、シズイ(Schoenoplectus nipponicus)、コウキヤガラ(Bolboschoenus koshevnikovii)、ヒメクグ(Kyllinga gracillima)、クログワイ(Eleocharis kuroguwai)、マツバイ(Eleocharis acicularis)、ヒデリコ(Fimbristylis miliacea)、テンツキ(Fimbristylis dichotoma)、コナギ(Monochoria vaginalis)、ミズアオイ(Monochoria korsakowii)、アメリカコナギ(Heteranthera limosa)、アゼナ(Lindernia pocumbens)、アメリカアゼナ(Lindernia dubia subsp. major)、タケトアゼナ(Lindernia dubia subsp. dubia)、ウキアゼナ(Bacopa rotundifolia)アブノメ(Dopatrium junceum)、オオアブノメ(Gratiola japonica)、キカシグサ(Rotala indica)、ヒメミソハギ(Ammannia multiflora)、ホソバヒメミソハギ(Ammannia coccinea)、ナンゴクヒメミソハギ(Ammannia auriculata)、ミゾハコベ(Elatine triandra)、ウリカワ(Sagittaria pygmaea)、オモダカ(Sagittaria trifolia)、タイリンオモダカ(Sagittaria montevidensis)、キバナオモダカ(Limnocharis flava)、ヘラオモダカ(Alisma canaliculatum)、サジオモダカ(Alisma plantago-aquatica)、ヒルムシロ(Potamogeton distinctus)、セリ(Oenanthe javanica)、クサネム(Aeschynomene indica)、アメリカツノクサネム(Sesbania exaltata)、チョウジタデ(Ludwigia prostrata)、キダチキンバイ(Ludwigia octovalvis)、タウコギ(Bidens tripartita)、アメリカセンダングサ(Bidens frondosa)、タカサブロウ(Eclipta thermalis)、アメリカタカサブロウ(Eclipta alba)、ナガボノウルシ(Sphenochlea zeylanica)、デンジソウ(Marsilea quadrifolia)、マメアサガオ(Ipomoea lacunosa)、ホシアサガオ(Ipomoea triloba)、アメリカアサガオ(Ipomoea hederacea)、マルバアサガオ(Ipomoea purpurea)、フウリンアサガオ(Ipomoea wrightii)。
【0042】
本発明の方法は特にヒエ属雑草及びアゼガヤを防除するのに有効である。ここでいうヒエ属雑草とは、ヒエ属(Echinochloa)の一年生及び多年生植物のうち、農耕地、非農耕地において雑草として問題となる植物であり、特に水田で問題となるイヌビエ、タイヌビエ、ヒメタイヌビエ、コヒメビエ、タイワンイヌビエ、ノゲイタイヌビエを指す。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の製剤例及び方法の実施例を示すが、本発明の製剤及び方法はこれらの製剤例及び実施例に限定されるものではない。以下の方法の実施例の記載においてhaとはヘクタール即ち10000mを意味する。
【0044】
製剤例1
下記の各要素を混合し、この混合物を湿式粉砕してフロアブル剤を得る。
化合物1 10重量部
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート 3重量部
カルボキシメチルセルロース 3重量部
水 84重量部
【0045】
製剤例2
下記の各要素を混合し、この混合物を乾式粉砕して水和剤を得る。
化合物1 10重量部
リグニンスルホン酸カルシウム 3重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 2重量部
合成含水酸化珪素 85重量部
【0046】
製剤例3
下記の各要素を混合し、この混合物を乾式粉砕して水和剤を得る。
化合物2 10重量部
リグニンスルホン酸カルシウム 3重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 2重量部
合成含水酸化珪素 85重量部
【0047】
製剤例4
下記の各要素を混合し、この混合物を乾式粉砕して水和剤を得る。
化合物3 10重量部
リグニンスルホン酸カルシウム 3重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 2重量部
合成含水酸化珪素 85重量部
【0048】
製剤例5
下記の各要素を混合し、この混合物を乾式粉砕して水和剤を得る。
化合物4 10重量部
リグニンスルホン酸カルシウム 3重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 2重量部
合成含水酸化珪素 85重量部
【0049】
以下の方法の実施例で示す除草効力の評価基準を示す。
調査時の供試雑草の出芽又は生育の状態が無処理のそれと比較して全く又はほとんど違いがないものを「0」とし、供試植物が完全枯死又は出芽若しくは生育が完全に抑制されているものを「100」として、その程度に合わせて0〜100に区分して評価する。
【0050】
実施例1
1/5000アール ワグネルポットに水田土壌を詰め、これに水を入れて代かきし、水を抜いた後、催芽したタイヌビエを播種し、温室で栽培した。タイヌビエが4葉となった播種14日後に、化合物1の10%フロアブル剤の水希釈液134ppmを表1に示す薬量となるよう、噴霧器によりポット上面より散布した。処理時は湛水がない状態であった。薬剤散布を実施した日、薬剤散布を実施した翌日又は薬剤散布を実施した3日後に、湛水深が5cmとなるようポットに入水した。その後、植物を温室で栽培した。
薬剤処理4週間後にタイヌビエに対する除草効力を評価した。結果を表1に示す。
【表1】

【0051】
実施例2
1/10000アール ポットに水田土壌を詰め、これに水を入れて代かきし、水を抜いた後、催芽したタイヌビエを播種し、温室で栽培した。タイヌビエが4葉となった播種16日後に、化合物1の10%フロアブル剤の水希釈液112ppmを表2に示す薬量となるよう、噴霧器によりポット上面より散布した。処理時は湛水がない状態であった。薬剤散布を実施した日、薬剤散布を実施した翌日又は薬剤散布を実施した3日後に、湛水深が5cmとなるようポットに入水した。その後、植物を温室で栽培した。
薬剤処理4週間後にタイヌビエに対する除草効力を評価した。結果を表2に示す。
【表2】

【0052】
実施例3
1/10000アール ポットに水田土壌を詰め、これに水を入れて代かきし、水を抜いた後、催芽したタイヌビエを播種し、温室で栽培した。タイヌビエが4葉となった播種16日後に、化合物2又は化合物3の水希釈液112ppmを表3に示す薬量となるよう、噴霧器によりポット上面より散布した。化合物2及び化合物3の水希釈液は、ツイーン20を2%(w/v)含有するアセトンに化合物2又は化合物3の所定量を溶解し、この溶液をアセトン濃度が10容量%となるように水で希釈して調製した。処理時は湛水がない状態であった。薬剤散布を実施した日、薬剤散布を実施した翌日、薬剤散布を実施した3日後又は薬剤散布を実施した7日後に、湛水深が5cmとなるようポットに入水した。その後、植物を温室で栽培した。
薬剤処理2週間後にタイヌビエに対する除草効力を評価した。結果を表3に示す。
【表3】

【0053】
実施例4
1/5000アール ワグネルポットに水田土壌を詰め、これに水を入れて代かきし、水を抜いた後、催芽したタイヌビエを播種し、温室で栽培する。タイヌビエが4〜5葉となった時点で、化合物2、化合物3又は化合物4を、噴霧器によりポット上面より散布する。薬剤散布を実施した日、薬剤散布を実施した翌日又は薬剤散布を実施した3日後に、湛水深が4cmとなるようポットに入水する。その結果、タイヌビエに対する優れた除草効力が認められる。
【0054】
実施例5
1/10000アール ワグネルポットに水田土壌を詰め、これに水を入れて代かきし、水を抜いた後、催芽したアゼガヤを播種し、温室で栽培した。アゼガヤが2〜3葉となった播種16日後に、化合物1、化合物2又は化合物3の水希釈液50ppmを表4に示す薬量となるよう、噴霧器によりポット上面より散布した。処理時は湛水深が0.5cmの状態であった。薬剤散布を実施した翌日又は薬剤散布を実施した5日後に、湛水深が4cm又は2cmとなるようポットに入水した。その後、植物を温室で栽培した。
薬剤処理2週間後にアゼガヤに対する除草効力を評価した。結果を表4に示す。
【表4】

【0055】
実施例6
1/5000アール ワグネルポットに水田土壌を詰め、これに水を入れて代かきし、水を抜いた後、催芽したアゼガヤを播種し、温室で栽培する。アゼガヤが1〜2葉となった時点で化合物4を、噴霧器によりポット上面より散布する。薬剤散布を実施した日、薬剤散布を実施した翌日又は薬剤散布を実施した3日後に、湛水深が4cmとなるようポットに入水する。その結果、アゼガヤに対する優れた除草効力が認められる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明方法により、水稲の栽培において雑草を効果的に防除するための方法が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水稲栽培における雑草の防除方法であって、
1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア、(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリド、1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア及び2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドから成る群より選ばれる1以上の除草化合物を含む水希釈液を、水稲の播種後又は移植後に、雑草又は雑草が生育する若しくは雑草が発生することが予想される水田に散布する工程、及び、
前記除草化合物での処理後1週間以内に水田を湛水する工程、を含む雑草を防除する方法。
【請求項2】
水稲栽培における雑草の防除方法であって、
1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア、(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリド、1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア及び2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドから成る群より選ばれる1以上の除草化合物を含む水希釈液を、水稲の播種後又は移植後に、雑草又は雑草が生育する若しくは雑草が発生することが予想される水田に散布する工程、及び、
前記除草化合物での処理3日後までに水田を湛水する工程、を含む雑草を防除する方法。
【請求項3】
水稲栽培における雑草の防除方法であって、
1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア、(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリド、1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア及び2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドから成る群より選ばれる1以上の除草化合物を含む水希釈液を、水稲の播種後又は移植後に、雑草又は雑草が生育する若しくは雑草が発生することが予想される水田に散布する工程、及び、
前記除草化合物での処理後翌日までに水田を湛水する工程、を含む雑草を防除する方法。
【請求項4】
除草化合物が1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレアである請求項1乃至3に記載のいずれかの方法。
【請求項5】
除草化合物が(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリドである請求項1乃至3に記載のいずれかの方法。
【請求項6】
除草化合物が1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレアである請求項1乃至3に記載のいずれかの方法。
【請求項7】
除草化合物が2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドである請求項1乃至3に記載のいずれかの方法。
【請求項8】
除草化合物を含む水希釈液を水田に散布する工程において、水田の湛水の深さが1cm未満である請求項1乃至7に記載のいずれかの方法。
【請求項9】
水田を湛水する工程において、湛水の深さが4cm以上である請求項1乃至8に記載のいずれかの方法。
【請求項10】
水稲栽培における雑草がヒエ属雑草である請求項1乃至9に記載のいずれかの方法。
【請求項11】
水稲栽培における雑草がアゼガヤである請求項1乃至9に記載のいずれかの方法。
【請求項12】
請求項1乃至3および請求項8乃至11に記載のいずれかの方法に用いるための、1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア、(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリド、1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア及び2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドから成る群より選ばれる1以上の除草化合物を含む製剤。
【請求項13】
除草化合物が1−(2−クロロ−6−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレアである請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
除草化合物が(RS)−2’−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)(ヒドロキシ)メチル]−1,1−ジフルオロ−6’−(メトキシメチル)メタンスルホンアニリドである請求項12に記載の製剤。
【請求項15】
除草化合物が1−{3−クロロ−1−メチル−4−[(5RS)−5,6−ジヒドロ−5−メチル−1,4,2−ジオキサジン−3−イル]ピラゾール−5−イルスルホニル}−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレアである請求項12に記載の製剤。
【請求項16】
除草化合物が2’−[(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)カルボニル]−1,1,6’−トリフルオロ−N−メチルメタンスルホンアニリドである請求項12に記載の製剤。

【公開番号】特開2012−197271(P2012−197271A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−48676(P2012−48676)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】