説明

水系ラテックスコーティング用途におけるカチオン性湿潤強度樹脂改質顔料

紙または板紙のシートの1つまたは複数の表面特性を改善する方法であって、該方法は、(a) 紙または板紙のシートの少なくとも片面を、(1)1種または複数のアニオン性顔料を含有する混合物を(2)1種または複数のポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂と合わせることにより形成された、陽性ゼータ電位を有する分散系で、約0.1g/m2から約20g/m2のコーティング量でコーティングする工程; (b)該コーティングされた紙または板紙のシートを乾燥させる工程;(c) 以下:液体の水、水蒸気、気体透過性、油およびグリース、滑り、ならびに静電気の1つまたは複数に耐性を示す機能性バリアトップコーティング、または改善された不透明度、白色度、もしくは印刷適性を与えるアニオン性ラテックス系顔料コーティングを塗布する工程を含む。本発明は、該分散系ならびに該分散系でコーティングされた紙または板紙も包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
板紙は、包装用途において世界中で広く使用されている。板紙は、印刷され、折り畳まれて、安価で、内容物を保護し、再生可能で、リサイクル可能な原料に基づく魅力的で機能的な容器になる。板紙の弱いバリア特性は、食品包装、特に、液体の水、水蒸気、気体透過性、油およびグリース、滑り、ならびに静電気に対する高いバリア耐性を必要とする用途でその有用性を制限している。この制限を克服するために、他の人達は、板紙に追加の機能層を加え、そのようにして板紙のバリア特性を向上させてきた。例えば、積層体フィルム、押出ポリマーコーティング、およびワックスコーティングは、液体の水および水蒸気の両方に対する板紙の耐性を改善することが知られている。これらのコーティングは、さらなる処理を必要とし、未処理板紙のコストと比べて高価であり、板紙をリサイクルさせることをより難しくしている。
【背景技術】
【0002】
しかし、最近、板紙のリサイクル可能性を維持する一方、板紙のバリア特性を改善するリサイクル可能な水系ラテックスバリアコーティングが利用可能になってきた。これらのリサイクル可能なバリア材料は、紙または板紙を覆う連続フィルムを形成し、それに要求の厳しい包装用途に必要な特性を与える。水系バリアコーティングは一般に、アニオン性ラテックスおよび任意の顔料から構成される。最も広く使用される水系ラテックスは、スチレンブタジエンラテックスおよびスチレンアクリレートラテックスである。最も広く使用される顔料は、カオリン粘土、重質炭酸カルシウム、タルク、およびマイカである。水系ラテックスバリアコーティングの例は、Michelman Inc.、Cincinnati、OHおよびSpectra-Kote、Gettysburg、PAから容易に入手できる。これらのリサイクル可能な機能性ポリマーコーティングは、さらなる処理を依然として必要とし、未処理板紙のコストと比べて高価である。
【0003】
多くの要求の厳しい食品包装および他の要求の厳しい用途にとって、少なくとも二層の機能性バリアトップコーティングが適用されなければならず、最終製品のコストをさらに増加させる。板紙のピンホールをなくし、全体の強度および性能を高めるために、その後のコーティングが必要である。安価で、あまり機能性でないベースコートが、板紙の全体の多孔性および必要とされる機能性トップコートの量の両方を低減させるために適用され得ることは、業界で周知である。最も一般的に使用されるベースコートには、変性スチレンブタジエン、スチレン-アクリレート、およびポリウレタンラテックスなどのラテックス結合剤で改質されたカオリン粘土、タルク、または焼成粘土が含まれるが、これらに限定されない。例えば、カオリン粘土およびスチレン-ブタジエンラテックスのベースコートは、Popilの機能性トップコートのコブサイジング(Cobb sizing)を改善するために9から27g/m2のコーティング量を必要とする。
【0004】
カチオン性顔料も業界で周知であり、アニオン性形態の同じ顔料を超える改善された特性を与えることが知られている。業界では、大部分のカチオン性湿潤強度樹脂処理顔料は、顔料の乾燥重量に基づいて、10%未満の樹脂添加レベルで処理されてきた。一般に、これらのコーティングは、トップコートとして使用されてきた。しかし、高度に耐性のバリア特性を必要とする処理を板紙製品に与える費用効率が高い方法が業界では依然として求められている。
【0005】
水系顔料コーティングも、紙または板紙の外観を改善し、または印刷品質を改善するために、紙または板紙の片面または両面にしばしば加えられる。例として、No.5の砕木パルプ含有の、軽量コートオフセットシートは、白色度70%、光沢50%、およびパーカープリントサーフスムースネス(Parker Print Surf smoothness)1.20を与える、カオリン/GCC/ラテックスのブレンドでコーティングされる。水系顔料コーティングは一般に、顔料またはアニオン性顔料の混合物、およびアニオン性ラテックス結合剤から構成されている。最も広く使用される顔料は、カオリン粘土、重質炭酸カルシウム、および二酸化チタンである。最も広く使用される合成結合剤は、スチレンブタジエン(SB)ラテックスおよびスチレンアクリレート(SA)ラテックスである。一部の一般に使用されるSBラテックスの例には、Dow RAP316、Dow 620、BASF Styronal 4681およびSAラテックス、BASF Acronal S504が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,081,512号
【特許文献2】米国特許第6,554,961号
【特許文献3】米国特許第5,668,246号
【特許文献4】米国特許第6,429,253号
【特許文献5】米国特許第6,359,040号
【特許文献6】米国特許第6,030,443号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Dobson, RL、「Burnout, a Coat Weight Determination Test Re-invented.」TAPPI Coating Conference、123〜131頁、Chicago、1975年4月21〜23日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
要求の厳しい用途では、所望の外観および印刷品質を得るために、2から3層の顔料コーティングが必要とされる。所望の外観および印刷品質を得るために必要とされるコーティング工程の数および顔料コーティングの量を低減させる必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、概して、カチオン性湿潤強度ポリマー樹脂のアニオン性顔料への有意に増加させた添加が、紙または板紙のベースコーティングとして使用される場合、優れたバリア特性を有するコーティング処理における使用のための分散系をもたらし得るという驚くべき発見に関する。この発見は、耐久性ならびに液体の水、水蒸気、気体透過性、油およびグリース、滑り、および静電気に対する高いバリア耐性を必要とする用途のための、高度に耐性を有する板紙の費用効率が高い製造を可能にする。この発見はまた、改善された外観および印刷品質を有する顔料でコーティングした紙または板紙の製造を可能にする。本発明はまた、機能性バリアコーティングまたは顔料コーティングトップ層の下にベースコートとしてカチオン性顔料分散系を用いることによって、紙および板紙の性能を改善し、コストを低減させる新規な方法に関する。
【0010】
本発明の一実施形態は、紙または板紙のシートの1つまたは複数のバリア特性を高める方法であって、紙または板紙のシートの少なくとも片面を、(1)1種または複数のアニオン性顔料を含有する混合物を(2)1種または複数のポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂とともに含む陽性ゼータ電位を有する分散系で、約0.1g/m2から約20g/m2のコーティング量でコーティングする工程;紙または板紙のコーティングしたシートを乾燥させる工程; および紙または板紙の乾燥させたシートを、以下(1)液体の水、(2)水蒸気、(3)食用油、(4)グリース、(5)気体透過性、(6)滑り、または(7)静電気の1つまたは複数に耐性を与えるように配合されたラテックス系機能性バリアトップコーティングでコーティングする工程を含む方法を包含する。
【0011】
本発明の第2の実施形態は、紙または板紙のシートの外観または印刷適性を改善する方法であって、紙または板紙のシートの少なくとも片面を、(1)1種または複数のアニオン性顔料を含有する混合物を(2)1種または複数のポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂とともに含む陽性ゼータ電位を有する分散系で、約0.1g/m2から約20g/m2のコーティング量でコーティングする工程;紙または板紙のコーティングしたシートを乾燥させる工程;および紙または板紙の乾燥させたシートを水系顔料コーティングでコーティングする工程を含む方法を包含する。
【0012】
本発明の別の実施形態は、(a)アニオン性顔料含有混合物の少なくとも約20%の乾燥重量の量の1種または複数のアニオン性顔料、および(b)1種または複数のポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂を含む、機能性バリアトップコーティングのためのプライマーとしての紙または板紙のシート上のベースコーティングとして用いるための陽性ゼータ電位を有する分散系、ならびにこの分散系でコーティングされた紙または板紙である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で用いられる場合、文脈が反対の意味を明らかに示さない限り、「一つ(a)」および「その(the)」という単数形の用語は同じ意味であり、「1種または複数の」または「少なくとも一つの」と同義的に用いられる。したがって、例えば、本明細書でまたは添付の特許請求の範囲で「一つの化合物」への言及は、単一の化合物または二つ以上の化合物を指し得る。さらに、特に断らない限り、すべての数値は、「約」という語によって修飾されると理解される。特に断らない限り、「乾燥重量%」および「%乾燥重量」という用語は、アニオン性荷電顔料のみおよび任意の水溶性ポリマー結合剤を含有する混合物の乾燥重量パーセントを意味し、ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂の重量は除外する。特に断らない限り、すべての比は、カチオン性樹脂とアニオン性顔料との間の重量比であり、任意の場合による水溶性結合剤の重量は除外する。
【0014】
本発明の様々な実施形態による組成物および方法は、そのバリア耐性特性を高めまたはその外観もしくは印刷品質を改善するように紙または板紙のシートをコーティングする使用に適している。本発明は、アニオン性顔料、ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂、および任意の中性またはカチオン性の天然または合成ポリマー結合剤の新規な分散組成物を包含する。本発明はまた、その性能を改善し、液体の水、水蒸気、気体透過性、油およびグリース、滑り、および静電気に対して高いバリア耐性を有する紙および板紙を製造するコストを低減させる方法を包含する。該方法はまた、改善された外観または印刷品質を有する顔料でコーティングした紙または板紙の製造コストを低減するために使用され得る。
【0015】
該方法は、以下の3工程を含む:(1)紙またはボール紙を、(i)1種または複数のアニオン性荷電顔料および、任意の1種または複数の水溶性ポリマー結合剤を含有する混合物を、(ii)ポリアミンエピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂と合わせることにより形成された分散系のベースコートでコーティングする工程;(2)該コーティングした紙または板紙を乾燥させる工程;および(3)以下:液体の水、水蒸気、気体透過性、油およびグリース、滑り、ならびに静電気の1つまたは複数に耐性を示す機能性バリアトップコーティング、または改良された不透明度、白色度、もしくは印刷適性を与えるアニオン性ラテックス系顔料コーティングを塗布する工程を含む。
【0016】
分散系中の顔料は、紙または板紙の自然の細孔に沈着するので、ベースコートは、紙または板紙の多孔性を低減させると考えられる。これは、所望のバリア耐性特性を得るために必要とされる機能性バリアトップコーティングの量を低減させる。ベースコートの付加は、紙または板紙の均一で、一定の被覆率を得るために必要とされる顔料コーティングの量を低減させると考えられる。均一なコーティング被覆率は、コーティングされた板紙の表面を平滑にし、その外観を改善し、印刷斑点を低減させる。これは、高いバリア耐性のまたは顔料でコーティングした紙もしくは板紙を製造する全体のコストを低減させる。
【0017】
ベースコートは、ベースシートの片面または両面に付加され得る。機能性バリアトップコーティングまたは顔料コーティングの性能は、ベースコートのコーティング量が増加するにつれて改善する。好ましくは、紙または板紙は、分散系によって面当たり約0.1から約20g/m2のコーティング量でコーティングされる。より好ましくは、紙または板紙は、分散系によって面当たり約1から約10g/m2のコーティング量でコーティングされる。最も好ましくは、紙または板紙は、分散系によって面当たり約1.5から約5.0g/m2のコーティング量でコーティングされる。上記に関して、コーティング量は、乾燥コーティングの重量に基づく。
【0018】
分散系のための顔料は、製紙、紙コーティング、または塗料用途で使用される任意の合成または天然顔料であり得る。好ましくは、顔料は、タルク、カオリン粘土、ベントナイト粘土、またはラポナイトである。より好ましくは、顔料は、ベントナイト粘土またはタルクである。最も好ましくは、顔料はタルクである。
【0019】
バリア耐性の所望の改善を得るために必要とされるアニオン性顔料および水溶性ポリマー結合剤の混合物中の顔料のパーセントは、顔料の粒径およびアスペクト比に依存する。一般に、小さい粒径、高いアスペクト比の顔料-例えば、ラポナイトまたはベントナイト粘土-が、本発明で使用される場合、混合物は、所望の利益を得るために混合物の少なくとも約20%乾燥重量の顔料添加レベルを含有する(混合物の残りの大部分は、水溶性ポリマー結合剤である)。好ましくは、混合物は、約25%から約100%乾燥重量のラポナイトまたはベントナイト粘土を含有する。より好ましくは、ラポナイトが顔料として使用される場合、混合物は約25%から約50%乾燥重量のラポナイトを含有する。より好ましくは、ベントナイト粘土が顔料として使用される場合、混合物は、約25%から約75%乾燥重量のベントナイト粘土および75%から25%の水溶性ポリマー結合剤を含有する。
【0020】
大きい粒径、より低いアスペクト比の顔料-例えば、カオリン粘土またはタルク-が、本発明で使用される場合、混合物は、所望の利益を得るために混合物の少なくとも約25%乾燥重量の顔料添加レベルを含有する。より好ましくは、カオリン粘土またはタルクが顔料として使用される場合、混合物は、約50%から約100%乾燥重量のカオリン粘土またはタルクを含有する。最も好ましくは、カオリン粘土またはタルクが顔料として使用される場合、混合物は約75%乾燥重量のカオリン粘土またはタルクを含有する。
【0021】
ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂は、紙、液体包装用板紙、または板紙に一時的または永久的な湿潤強度を与えるために広く使用される任意の樹脂であることができる。これらの樹脂の例は、それらの開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,081,512号; 同第6,554,961号; および同第5,668,246号に開示されたとおりに、業界で公知である。本発明のポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂には、ポリアミノポリアミド-エピハロヒドリン樹脂、例えば、ポリアミノアミド-エピハロヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミン-エピハロヒドリン樹脂、ポリアミンポリアミド-エピハロヒドリン樹脂、アミノポリアミド-エピハロヒドリン樹脂、ポリアミド-エピハロヒドリン樹脂; ポリアルキレンポリアミン-エピハロヒドリン; およびポリアミノウリレン-エピハロヒドリン樹脂、コポリアミド-ポリウリレン-エピクロロヒドリン樹脂; ポリアミド-ポリウリレン-エピクロロヒドリン樹脂が含まれるが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施形態では、エピハロヒドリンはエピクロロヒドリンである。好ましくは、ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂は、ポリアミノウリレン-エピハロヒドリン樹脂、ポリアミノポリアミド-エピハロヒドリン樹脂、ポリアミン-エピハロヒドリン樹脂、またはポリアルキルジアリルアミン-エピハロヒドリン樹脂であり、すべて、Hercules Incorporated、Wilmington、DEから入手できる。より好ましくは、カチオン性湿潤強度樹脂は、ポリアミノポリアミド-エピハロヒドリン樹脂である。
【0022】
ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂の添加レベルは、顔料のアニオン性電荷を逆転させ、顔料に陽性(正の)ゼータ電位を与えるのに十分であり、および水分散性コーティングを与えるのに十分であるべきである。顔料のアニオン性電荷を逆転されるために必要とされるポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂の量は、カチオン性樹脂およびアニオン性顔料の電荷密度に依存する。
【0023】
分散系が高い電荷密度で、高い表面積の顔料-ラポナイトまたはベントナイト粘土のような-を含む場合、ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂:アニオン性顔料の比は約0.5:1から約2:1が好ましい。好ましくは、分散系がラポナイトを含有する場合、ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂:アニオン性顔料の比は、約1.5:1である。好ましくは、分散系がベントナイト粘土を含有する場合、ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂:アニオン性顔料の比は約0.6:1から約0.8:1が好ましい。
【0024】
分散系が低い電荷密度で、低い表面積の顔料-カオリン粘土またはタルクなど-を含有する場合、ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂:アニオン性顔料の比は約0.01:1から約0.2:1が好ましい。より好ましくは、分散系がカオリン粘土またはタルクを含有する場合、カチオン性湿潤強度樹脂:アニオン性顔料の比は、約0.03:1から約0.1:1である。
【0025】
分散系は、1種または複数の中性またはカチオン性の天然または合成水溶性ポリマー結合剤を場合によって含有する。これらの結合剤は、製紙業界で一般的であり、通常はウェットエンド乾燥強度、サイズプレス乾燥強度、および紙コーティング補助結合剤の用途で使用される。これらのポリマー結合剤の例は、それらの開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,429,253号; 同第6,359,040号; および同第6,030,443号に開示されている。結合剤は、コーティングされた紙または板紙製品の強度および物理的一体性を増大させる。ここで、結合剤は、ベースコートの板紙に対する接着性を改善し、ベースコートそれ自体の強度および物理的一体性を増大させ得る。
【0026】
天然水溶性結合剤の例には、デンプン; エチル化デンプン; カチオン性デンプン; 酸化デンプン; 酵素転化デンプン; アルギン酸塩; タンパク質、例えばカゼイン; セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルグアーセルロース; およびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。合成水溶性結合剤の例には、ポリビニルアルコール; エチレン/ビニルアルコールコポリマー; ポリビニルアミン; ポリアクリルアミド; 中性およびカチオン性に荷電したポリアクリルアミドのコポリマー; グリオキシル化ポリアクリルアミド; ポリジアリルアミン; ポリジメチルジアリルアミン; およびポリジアリルアミンまたはポリジメチルジアリルアミンのコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
好ましくは、ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂改質ラポナイトまたはベントナイト粘土を含有する分散系は、約0%から約75%乾燥重量の水溶性ポリマー結合剤および約25%から約100%乾燥重量のラポナイトまたはベントナイト顔料を含有する、アニオン性顔料含有混合物から製造される。より好ましくは、ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂改質ラポナイトを含有する分散系は、約50%から約75%乾燥重量の水溶性ポリマー結合剤および約25%から約50%乾燥重量のラポナイト顔料を含有する、アニオン性顔料含有混合物から製造される。またより好ましくは、ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂改質ベントナイト粘土を含有する分散系は、約25%から約75%乾燥重量の水溶性ポリマー結合剤および約25%から約75%乾燥重量のベントナイト粘土顔料を含有する、アニオン性顔料含有混合物から製造される。上記に関して、乾燥重量パーセントは、アニオン性顔料含有混合物の乾燥重量を指し、カチオン性湿潤強度樹脂を含まない。
【0028】
好ましくは、ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂改質タルクまたはカオリン粘土を含有する分散系は、約0%から約75%乾燥重量の水溶性ポリマー結合剤および約25%から約100%乾燥重量のタルクまたはカオリン粘土顔料を含有する、アニオン性顔料含有混合物から製造される。より好ましくは、ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂改質タルクまたはカオリン粘土を含有する分散系は、約25%から約50%乾燥重量の水溶性ポリマー結合剤および約50%から約75%乾燥重量のタルクまたはカオリン粘土顔料を含有する、アニオン性顔料含有混合物から製造される。上記に関して、乾燥重量パーセントは、アニオン性顔料含有混合物の乾燥重量を指し、カチオン性湿潤強度樹脂を含まない。
【0029】
ベースコートは、紙または板紙に対する表面処理の適用のための業界で一般的な装置を用いて塗布および乾燥される。これらには、抄紙機サイズプレス; スプレーバー; ウォーターボックス(water box); オンマシンコータ;およびオフマシンコータが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
機能性バリアトップコーティングは、製紙業界で一般に用いられる任意のコーティング、例えば、Vaporcoat 1500およびVaporcoat 2200(Michelman Inc.、Cincinnati、OHから入手できる)、またはSpectra-Guard 763(Spectra-Kote、Gettysburg、PAから入手できる)であることができる。機能性バリアトップコーティングは、少なくとも1種の水系ポリマーラテックスを含有する。場合によって、機能性バリアトップコーティングは、1種または複数の天然または合成水溶性ポリマー、例えば、デンプン; エチル化デンプン; 無水コハク酸変性デンプン; ポリビニルアルコール; エチレン/ビニルアルコールコポリマー; またはポリ乳酸を含有し得る。さらに、機能性バリアトップコーティングは、1種または複数の顔料、ワックス、架橋剤、耐水性サイジング剤、ならびに油およびグリース耐性サイジング剤も含有し得る。
【0031】
顔料コーティングは、製紙業界で一般に用いられる任意のコーティングであることができる。水系顔料コーティングは、顔料、または顔料の混合物、およびアニオン性ポリマーラテックス結合剤から主として構成される。通常の顔料には、カオリン粘土; 焼成カオリン粘土; 二酸化チタン; タルク; 沈降炭酸カルシウム; および重質炭酸カルシウムが含まれる。最も広く使用されるラテックス結合剤は、スチレン/ブタジエン、スチレンアクリレート、およびポリビニルアセテートラテックスである。デンプン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)などの水溶性ポリマー増粘剤および結合剤も、顔料コーティングにしばしば含められる。他の添加剤、例えば、分散剤、消泡剤、保存剤、潤滑剤、および架橋剤も、コーティング配合にしばしば含められる。
【0032】
当業者が理解するように、本発明は、以下: 液体の水; 水蒸気; 油およびグリース; 気体; 滑り; ならびに静電気の1つまたは複数に耐性である高度に機能性のバリアトップコーティングを必要とする用途に有用である。本発明はまた、要求の厳しいコーティングした紙または板紙の用途に有用である。
【0033】
(実施例)
以下の実施例のそれぞれについて、分散系が、水溶性結合剤、顔料およびカチオン性湿潤強度樹脂からなる場合、以下の命名法が用いられる: XX:YY結合剤:顔料:樹脂、ここで、XXは、アニオン性顔料含有混合物中の、結合剤の乾燥重量%であり、YYは、顔料の乾燥重量%であり、カチオン性湿潤強度樹脂は含まない。前に開示したように、乾燥重量%は、結合剤/顔料混合物の重量であり、カチオン性湿潤強度樹脂は含まない。
【0034】
(実施例1〜4)
カチオン性ポリマー改質顔料の調製
カチオン性ポリマー改質顔料の試料を、様々な量のカチオン性湿潤強度樹脂をアニオン性顔料に加えることによって調製した。それぞれの試料について、Kymene 557(ポリアミノポリアミド-エピハロヒドリン)(1%固形分)(Hercules Incorporated、Wilmington、DEから入手できる)を用いた。実施例1では、用いた顔料は、剥離Hydrogloss 90カオリン粘土(0.5ミクロン中央粒径; 2ミクロン未満96%)(J.M. Huber、Macon、GAから入手できる)であった。実施例2では、用いた顔料は、タルク(1〜2ミクロン)(Rio Tinto-Talc de Luzenac、Toulouse Cedex、Franceから入手できる)であった。実施例3では、用いた顔料は、ベントナイト(200〜300ナノメートル)(Southern Clay Products Inc.、Gonzalez、TXから入手できる)であった。実施例4では、用いた顔料は、ラポナイトRD(25ナノメートル)(Southern Clay Products Inc.、Gonzalez、TXから入手できる合成顔料)であった。顔料のそれぞれは、1%固形分分散系であった。
【0035】
それぞれの実施例について、顔料の乾燥重量のパーセントに対応する様々な量のKymene 557を加えた。それぞれの添加後、それぞれの試料のゼータ電位を測定した。アニオン性顔料上の電荷が逆転したら、さらなるKymene 557を加えて、アニオン性顔料分散系と同様の平均粒径分布を有する十分に分散した顔料分散系を得るために、最適Kymene 557レベルを決定した。それぞれの実施例の結果を表1に記載する。特に断らない限り、アステリスク(*)を有する分散系は、その後の実施例で参照される分散系である。
【0036】
様々な実施例は、4種のアニオン性顔料のそれぞれが、そのゼータ電位が0に近づくと、フロック化し始めることを示す。しかし、顔料が電荷を逆転させると、再分散が始まる。分散系は、分散系が、当初のアニオン性顔料分散系とほぼ等価の平均粒径を有したら「十分に分散した」と考えられる。この分散系を得るのに必要なポリアミン-エピハロヒドリン樹脂の量は、顔料の乾燥重量の約1%から顔料の乾燥重量の約200%の範囲である。一般に、より低い電荷密度を有する顔料は、電荷を逆転させ、十分に分散したカチオン性顔料を形成するために、より少ないポリアミン-エピハロヒドリン樹脂を必要とする。
【0037】
【表1】

【0038】
(実施例5)
Kymene 557改質タルク/デンプン分散系の調製
サイズプレス用途において用いるための20%固形分Kymene 557改質タルク分散系の試料を、様々な量のデンプンで調製した。例えば、25:75のデンプン:タルク:Kymene 557分散系を調製するために、9gの量のVantalc 6H II(0.8〜1.3ミクロン)( R.T.Vanderbilt、Norwalk、CTから入手できる)を、36gの蒸留水中にオーバーヘッド撹拌機を用いて分散させた。Penfordgum 280エチル化デンプン(Penford、Cedar Rapids、IAから入手できる)の30%固形分溶液を、Penfordgumを95から100℃の間で約45分間加熱することにより調製した。Kymene 557H(6.25%固形分)(Hercules Incorporated、Wilmington、DEから入手できる)の7.2gアリコートを、10gの加熱処理デンプンに加え、混合した。Kymene 557およびデンプンを十分に混合させたら、45gの量のタルク分散系を加え、分散系を5分間撹拌して、分散系を作製した。Branson Sonifier 450(50%出力、設定4)を用いて、分散系を6分間超音波処理した。最後に、分散系のpHを、NaOHを用いて8.0に調整した。
【0039】
表2に記載したデンプン:顔料:Kymene 557分散系の範囲を作製するために、同様の方法を使用した。
【0040】
(実施例6)
サイズプレスベースコート付加法
実施例5で調製した試料を、実験室パドルサイズプレスを用いて、ライナーボードに塗布した。種々のKymene 557改質ラポナイト、ベントナイト粘土、カオリン粘土、およびタルク分散系のブルックフィールド粘度は、サイズプレス塗布のためのそれらの最大固形分パーセントを制限した。最適なコーティングを得るために、100rpmおよび55℃で測定した場合、分散系のブルックフィールド粘度は、サイズプレス中で200cps未満であるべきである。選択した試料について、約100cpsのブルックフィールド粘度は、分散系がカオリン粘土またはタルクを含有する場合、約20%固形分に相当し; 分散系がベントナイト粘土を含有する場合、約5%固形分に相当し; 分散系がラポナイトを含有する場合、約3%固形分に相当する。
【0041】
試料を、実験室パドルサイズプレスを用いて、200g/m2(秤量)11cm×28cmの市販の再生ライナーボード(Green Bay Packaging Inc.、Green Bay、WIから入手できる)の個々のシートに塗布した。それぞれの実験の前に、熱水をロール上に5分間流れさすことによって、サイズプレスロールを50℃に加熱した。それぞれの試料の100mLのアリコートを、サイズプレスニップ中に注ぎ入れ、次いで、再生ライナーボードシートを、ニップを通過させた。シートを、220°Fに設定したドラム乾燥機を用いて5%水分に直ちに乾燥させた。コーティングしたライナーボードのコーティング量は、コーティングした(湿潤重量)およびコーティングしていないシートの重量の差を用いて計算した。サイズプレスベースコート処理シートを、機能性バリアトップコーティングの付加前に85℃で30分間硬化させた。
【0042】
(実施例7)
機能性バリアトップコーティングの板紙への塗布
5.1cm×12.7cmのポリエステルのシートを、実験室ベンチにダクトテープで貼り付けた標準的なオフィスクリップボードにクリップで留めた。次いで、シートの裏面を、両面マスキングテープを用いて固定した。予め秤量した10.2cm×16.5cmのライナーボードのシートを、両面マスキングテープの露出端を用いてポリエステルのシートの隣に固定した。機能性バリアトップコーティングのビーズをライナーボード基材の隣のポリエステルシートに塗布した。機能性バリアトップコーティングを、コーティングのビーズを通しておよびライナーボードシートの上に引いた巻線型ドローダウンロッドを用いて塗布した。コーティングしたシートを1時間空気乾燥させ、次いで、オーブン中85℃で2時間硬化させた。塗布された機能性バリアトップコーティングのコーティング量は、コーティングしていないおよびコーティングした試料の乾燥重量を比較することによって決定した。コート重量は、ロッド数を変更すること、および機能性バリアトップコーティングの固形分%を変化させることによって変化させた。
【0043】
(実施例8)
様々なデンプン:顔料:Kymene 557混合物の評価
Kymene 557改質顔料を含有する分散系とデンプンの組合せを評価した。用いた顔料は、Vantalc 6HIIタルク(R.T. Vanderbiltから入手できる)、Hydraglass 90カオリン粘土(J.M. Huberから入手できる)、ベントナイト粘土、およびラポナイトであった。それぞれの顔料の粒径は、前に開示したものと同じであった。分散系を作製し、ベースコートとして前の実施例(表1、表2参照)に規定したとおりに再生ライナーボードに塗布した。
【0044】
実施例6で記載した方法を用いて、分散系を再生ライナーボードの両面に塗布した。乾燥後、ベースコート付加レベルは面当たり1から3g/m2で変化した。付加し得るKymene 557改質ベントナイトおよびラポナイトのベースコートの量は、分散系の固形分%および粘度によって限定された。
【0045】
実施例7で記載した方法を用いて、Vaporcoat 2200(Michelman Inc.、Cincinnati、OHから入手できる)からなる機能性バリアトップコーティングを、ベースコート処理ボードのフェルト面に塗布した。Vaporcoat 2200は、合成ポリマーラテックスを用いて製造した水系のリサイクル可能な機能性バリアトップコーティングである。一連のVaporcoat 2200でコーティングした対照試料も、未処理ライナーボードベースシートおよびサイズプレスデンプン処理ベースシートをコーティングすることによって作製した。
【0046】
ベースコートおよびVaporcoat 2200トップコートのそれぞれの組合せを、30分コブサイジング(30-minute Cobb sizing)(TAPPI法T-441)および水蒸気透過速度(MVTR、TAPPI法T-448)について試験した。水蒸気透過速度は、室温(20〜23℃)および85%湿度で測定した。飽和KBr水溶液を用いて、試験室内の相対湿度を85%に制御した。コブサイジングおよびMVTRの試験結果は、3つの測定値の平均に基づいた。
【0047】
様々なVaporcoat 2200トップコート重量の比較により、Kymene 557改質顔料ベースコートの付加は、未処理またはサイズプレスデンプン処理の対照と比較した場合、コブサイジング塗布における機能性バリアトップコーティングの効率を改善したことが示された。これらの結果を表2に示す。概して、ベースコート/機能性トップコートの組合せの性能は、ベースコート中のKymene 557改質タルクまたはカオリンのパーセントが、アニオン性顔料含有混合物の約25%から約100%乾燥重量に増加するにつれて改善した。最良の結果は、ベースコート中アニオン性顔料含有混合物の約75%から約100%乾燥重量のKymene 557改質タルクレベルで得られた。例えば、ベースコートなしでは、40g/m2の30分コブサイジング値を得るために、少なくとも10g/m2のVaporcoat 2200コート重量が必要であった。25:75のデンプン:タルク:Kymene 557ベースコートをベースシートに付加した場合、わずかに4.2g/m2のVaporcoat 2200コート重量が必要であった。非常に大きい表面積のKymene 557改質ベントナイトおよびラポナイト顔料は、アニオン性顔料含有混合物の25%から50%乾燥重量程度に低い顔料負荷で、Vaporcoat 2200トップコート性能を大きく向上させた。これらの結果により、カチオン性湿潤強度樹脂改質顔料から主として構成される安価なベースコートの付加は、高いレベルの耐水性を得るために必要とされる高価な機能性バリアトップコーティングの量を大きく低減し得ることが確認される。
【0048】
様々なVaporcoat 2200機能性トップコート重量の比較により、Kymene 557改質顔料ベースコートの付加が、MVTR適用における機能性バリアトップコーティングの効率を改善することが示された。これらの結果を表2に示す。概して、ベースコート/機能性トップコートの組合せの性能は、ベースコート中のKymene 557改質タルク、ベントナイト、またはカオリンのパーセントが、アニオン性顔料含有混合物の25%から75%乾燥重量に増加するにつれて改善した。例えば、ベースコートなしでは、50g/m2/日のMTVRを得るために、9.8g/m2のVaporcoat 2200コート重量が必要であった。25:75のデンプン:タルク:Kymene 557分散系をベースシートに付加した場合、わずかに5.5g/m2のVaporcoat 2200コート重量が必要であった。最良の結果は、Kymene 557改質タルクが、ベースコート配合のアニオン性顔料含有混合物の75%から100%乾燥重量を含む場合に得られた。25:75のデンプン:ベントナイト:Kymene 557分散系をベースシートに付加した場合、50g/m2/日のMVTRを得るために、5.3g/m2のVaporcoat 2200コート重量が必要であった。Kymene 557改質カオリン粘土およびラポナイトのベースコートも、機能性バリアトップコーティングのMVTR効率の有意な改善を与えた。
【0049】
【表2A】

【0050】
【表2B】

【0051】
(実施例9)
Kymene 557改質有無による様々な顔料の評価
未改質のタルク、ベントナイト、およびラポナイト顔料で作製したデンプン:顔料ベースコートを、再生ライナーボードベースシート上で試験した。Penfordgum 280エチル化デンプンを評価のために用いた。ベースコート配合に用いた未改質顔料のパーセントは、実施例8で記載した結果に基づいて選択した。結果を表3に開示する。50:50および25:75のデンプン:タルク:Kymene 557分散系を作製し、比較のために評価した。
【0052】
実施例5および実施例6で記載した方法を用いて、分散系を作製し、塗布した。分散系を、ライナーボードの両面に塗布した。ベースコート付加レベルは面当たり1〜3g/m2で変化した。実施例7で記載した方法を用いて、Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングを、ベースコート処理ボードのフェルト面に塗布した。一連のVaporcoat 2200でコーティングした対照試料も、未処理ベースシートをコーティングすることによって作製した。
【0053】
ベースコートおよびVaporcoat 2200トップコートのそれぞれの組合せを、30分コブサイジング(TAPPI法T-441)および水蒸気透過速度(TAPPI法T-448)について試験した。水蒸気透過速度は、室温(20〜23℃)および85%湿度で測定した。飽和KBr水溶液を用いて、試験室内の相対湿度を85%に制御した。コブサイジングおよびMVTRの試験結果は、3つの測定値の平均に基づいた。
【0054】
等しいVaporcoat 2200トップコート重量での比較により、未改質のタルクまたはベントナイトで作製したベースコートの付加は、未処理ライナーボード対照と比較した場合、Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングの30分コブまたはMVTR効率に少ししかまたは全く有益な効果を示さないことが示された。結果を表3に開示する。未改質ラポナイトベースコートの一つが示した機能性バリアトップコーティングの効率の改善は小さかった(65:35のデンプン:ラポナイト)。改善は、Kymene 557改質ラポナイトを用いて作製したベースコートで得たものより小さかった。Kymene 557改質タルクで作製したベースコートは両方とも、Vaporcoat 2200トップコートの30分コブおよびMVTRの効率の有意な増加を示した。
【0055】
【表3】

【0056】
(実施例10)
バリア耐性に対するベースコートコーティング量の効果
25:75のPenfordgum 280エチル化デンプン:タルク:Kymene 557の分散系から作製したベースコートを、3つのサイズプレスコーティング量で評価した。Prequel 500カチオン性デンプン(Hercules Incorporated、Wilmington、DEから入手できる)、およびKymene 557改質タルクの25:75混合物から作製したベースコートを、2つのコーティング量で試験した。
【0057】
実施例5および実施例6で記載した方法を用いて、分散系を作製し、再生ライナーボードに塗布した。この分散系を、ライナーボードの両面に塗布した。コーティング量は、表4で記載したとおりに面当たり1.5〜4.5g/m2で変化した。Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティング(Michelman Inc.から入手できる)を、分散系処理ボードの両面に塗布した。一連のVaporcoat 2200でコーティングした対照試料も、未処理ベースシートをコーティングすることによって作製した。
【0058】
ベースコートおよびVaporcoat 2200トップコートのそれぞれの組合せを、30分コブサイジング(TAPPI法T-441)、Kit油およびグリース耐性(Kit oil and grease resistance)(TAPPI法T-559)、ならびに水蒸気透過速度(TAPPI法T-448)について試験した。水蒸気透過速度は、室温(20〜23℃)および85%湿度で測定した。飽和KBr水溶液を用いて、試験室内の相対湿度を85%に制御した。コブサイジング、Kit油およびグリース耐性、ならびにMVTRの試験結果は、3つの測定値の平均に基づいた。この試験の結果を表4に示す。
【0059】
10g/m2を超えるVaporcoat 2200機能性トップコート重量が、未処理ライナーボード対照を上回る20g/m2未満の30分コブサイジング値を得るために必要であった。7.1g/m2のVaporcoat 2200機能性トップコート重量が、Kymene 557改質タルクベースコートのいずれかを上回るコブサイジングの同じレベルを得るために必要であった。両方の場合で、面当たり1.5〜2.5g/m2のサイズプレスベースコート付加レベルにより、トップコートコブサイジング効率の明らかな改善が示された。これらの結果により、エチル化またはカチオン性デンプンのいずれかで作製されたKymene 557改質タルクベースコートは、高いレベルの耐水性を必要とする用途に必要とされる高価な機能性バリアトップコーティングの量を大きく低減させることが示される。
【0060】
さらに、10g/m2を超えるVaporcoat 2200トップコート重量が、未処理ベースシート対照を上回る34g/m2/日のMVTRを得るために必要であった。Kymene 557改質タルクベースコートは両方とも、Vaporcoat 2200機能性トップコートのMVTR効率を有意に改善した。両方の場合で、7〜8g/m2のVaporcoat 2200コート重量が、同じレベルの水蒸気耐性を得るために必要であった。面当たり1.5〜2.5g/m2のサイズプレスベースコートの付加レベルが、改善したMVTR効率を得るために必要であった。
【0061】
最後に、Vaporcoat 2200機能性トップコートの重量12.5g/m2が、未処理ライナーボード対照を上回るKit油およびグリース耐性値6を得るために必要であった。Kymene 557改質タルクベースコートは両方とも、Vaporcoat 2200トップコートの油およびグリース耐性効率を有意に改善した。Kymene 557改質タルクベースコート処理ボードを上回る同じレベルの油およびグリース耐性を得るために、7〜8g/m2のVaporcoat 2200トップコート重量が必要であった。ベースコートは両方とも、面当たり1.5〜3.5g/m2の付加レベルで、トップコート効率の明らかな改善を示した。
【0062】
【表4】

【0063】
(実施例11)
タルク性能に対するKymene 557付加レベルの効果
25:75のPenfordgum 280エチル化デンプン:タルク:Kymene 557の分散系から作製したベースコートを、Kymene 557:タルクを0:1、0.5:1、および0.1:1のKymene 557比で評価した。評価の結果を表5に開示する。分散系は、実施例5で記載した方法を用いて作製した。Kymene 557(タルクなし)のライナーボードの表面への付加の効果も試験した。実施例6で記載した方法を用いて、ベースコートおよびKymene 557サイズプレス処理を再生ライナーボードに適用した。ベースコートおよびKymene 557処理を、ライナーボードの両面に適用した。
【0064】
Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティング(Michelman Inc.から入手できる)を、実施例7で記載した方法を用いて、処理ライナーボードのフェルト面に塗布した。一連のVaporcoat 2200でコーティングした対照試料も、未処理ベースシートをコーティングすることによって作製した。ベースコートおよびVaporcoat 2200機能性トップコートのそれぞれの組合せを、30分コブサイジングについて試験した。
【0065】
様々なコート重量の比較により、Kymene 557の付加なしの、25:75のPenford 280エチル化デンプン:タルクの混合物から作製したベースコートの付加は、Vaporcoat 2200トップコートのコブサイジング効率の最も小さい改善を示すことが示された。0.05:1および0.1:1のKymene 557:タルク比で作製したベースコートは、機能性バリアトップコーティングの効率のより大きな改善を示した。0.05:1および0.1:1のKymene 557:タルク比で作製したベースコートは、トップコート効率の同様の改善を示した。
【0066】
Kymene 557をライナーボードの表面に直接付加することは、Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングのコブサイジング効率の小さい改善を示した。両方の付加レベル-0.14%および0.27%-は、トップコート効率の同様の改善を示した。これらの結果を表5に開示する。これらの結果により、Kymene 557カチオン性湿潤強度樹脂およびアニオン性顔料の組合せが、Kymene 557またはアニオン性顔料のいずれかを別個に用いるよりも、機能性バリアトップコーティング性能の非常により大きい改善をもたらすことが示される。
【0067】
【表5】

【0068】
(実施例12)
Kymene 450、Kymene 736、およびKymene 2064改質タルクベースコートの評価
カチオン性湿潤強度樹脂が、Kymene 450、Kymene 736、およびKymene 2064(すべて、Hercules Incorporated、Wilmington、DEから入手できる)である、25:75のPenfordgum 280エチル化デンプン:タルク:カチオン性湿潤強度樹脂の分散系から作製したベースコートを評価した。カチオン性湿潤強度樹脂は、それぞれの分散系について樹脂:タルクの重量比0.05:1で加えた。分散系は、実施例5で開示した方法を用いて作製した。
【0069】
それぞれのベースコートを、Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングの性能に対するその効果について評価した。それぞれのベースコートは、実施例6で記載した方法を用いて、再生ライナーボードのシートの両面に塗布し、Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングを、実施例7で記載した方法を用いて、処理ライナーボードのフェルト面に塗布した。Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングのみでコーティングした一連のライナーボード試料を対照として用いた。ベースコートおよびVaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングのそれぞれの組合せを、30分コブサイジングについて試験した。結果を表6に開示する。
【0070】
様々なコート重量の比較により、3種の湿潤強度樹脂改質タルクのすべてが、Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングのコブサイジング効率を改善させた(未処理ベースシート対照へのトップコート付加に対して)ことが示された。
【0071】
【表6】

【0072】
(実施例13)
結合剤としてポリビニルアルコールを用いたKymene 557改質タルクの評価
ベースコートは、25:75の結合剤:タルク:Kymene 557の分散系を用いて作製した。水溶性結合剤は、Penford 280エチル化デンプン:Elvanol 90-50ポリビニルアルコールの50:50混合物であった。Elvanol 90-50ポリビニルアルコールは、DuPont、Wilmington、DEから入手できる。ベースコートは、実施例5で開示した方法を用いて作製した。
【0073】
それぞれのベースコートを、Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングの性能に対するその効果について評価した。それぞれのベースコートを、実施例6で記載した方法を用いて、再生ライナーボードのシートの両面に塗布し、Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングを、実施例7で記載した方法を用いて、処理ライナーボードのフェルト面に塗布した。Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングのみでコーティングした一連のライナーボード試料を対照として用いた。ベースコートおよびVaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングのそれぞれの組合せを、30分コブサイジングについて試験した。結果を表7に開示する。
【0074】
様々なコート重量の比較により、Kymene 557改質タルクベースコートの付加は、デンプン:ポリビニルアルコールのブレンドを、ベースコートの水溶性結合剤として用いる場合、Vaporcoat 2200機能性バリアトップコーティングのコブサイジング効率を改善することが示された。
【0075】
【表7】

【0076】
(実施例14)
湿潤強度樹脂改質タルクおよび顔料コーティングの漂白板紙への塗布
20%固形分のカチオン性湿潤強度樹脂改質タルク分散系を以下の方法を用いて作製した。最初に、337.5gのVantalc 6H II(R.T.Vanderbilt、Norwalk、CT)を、787.5gの蒸留水中にCowles混合機(1000rpm)を用いて分散させた。Penfordgum 280エチル化デンプンの30%固形分溶液(262.5gの蒸留水中112.5gのデンプン、Penford、Cedar Rapids、LA)を、95〜100℃で45分間加熱処理することによって作製した。次いで、Kymene 557H(2.0%固形分、Hercules、Wilmington、DE)の834gアリコートを375gの加熱処理デンプンに加えた。この混合物を、Cowlesブレード(1000rpm)を用いて5分間撹拌した。Kymene 557およびデンプンを十分に混合したら、1125gのタルク分散系を加え、撹拌を2時間続けた。分散系のpHを、NaOHを用いて8.0に調整した。
【0077】
Kymene 557改質タルク分散系を、Dowベンチコーターを用いて市販の漂白板紙(300g/m2)の試料に塗布した。対照試料も、市販のボードを酸化デンプンおよびスチレン/アクリレートラテックス表面サイジング剤の94:6混合物でコーティングすることによって作製した。両方の場合に、巻線型ロッドを用いて、サイズプレスピックアップを2.2g/m2に制御した。
【0078】
標準顔料コーティングを、円筒形実験室コーター(CLC、460メートル/分)を用いてベースコートおよびデンプン/ラテックスサイズプレス処理ボードに塗布した。用いたコーティング配合は、表1に記載する(67.5%総固形分)。計量ブレードを用いて、ボードに塗布したコーティングの量を制御した。得られたコート重量を表8に記載する。未処理ボード(サイズプレス処理なし)の試料もコーティングして、試験した。
【0079】
表8:コーティング配合
100%重質炭酸カルシウム(GCC)(1.4ミクロン平均粒径)
100重量部当たり2.6重量部(pph)デンプン
9.9pphスチレンブタジエンラテックス
0.33pphポリアクリル酸分散剤
0.48pph低粘度CMC
【0080】
コーティング被覆率を、コーティングしたボードの外観および印刷適性の尺度として用いた。コーティング被覆率は、Dobsonによって開発されたバーンアウト法(burn-out method)を用いて測定した(Dobson, RL、「Burnout, a Coat Weight Determination Test Re-Invented.」TAPPI Coating Conference、123〜131頁、Chicago、1975年4月21〜23日)。未処理ブランクに対してコート重量を増加させると、コーティング被覆率は徐々に改善した-10.2g/m2で67%被覆率に対して13.8g/m2コート重量で70%被覆率。等しい顔料コート重量で比較した場合、デンプン/ラテックスサイズプレス処理の付加は、コーティング被覆率を改善しなかった-11.5g/m2で65%被覆率。湿潤強度樹脂改質タルクサイズプレスベースコートの付加は、ブランクに対してコーティング被覆率を大きく改善した。74%の顔料コーティング被覆率値が、わずかに10.8g/m2のコート重量で得られた。
【0081】
【表8】

【0082】
(実施例15)
湿潤強度樹脂改質タルクおよび顔料コーティングの軽量コート原紙への塗布
20%固形分のカチオン性湿潤強度樹脂改質タルク分散系を、実施例14で記載した方法を用いて作製した。分散系を水で7.4%固形分に希釈し、次いで、33g/m2の市販の軽量コート(LWC)原紙の試料にDowコーターを用いて塗布した。タルク分散系コート重量は、巻線型ロッドを用いて1.0g/m2で制御した。原紙は、60%砕木パルプおよび40%クラフトパルプからなった。Penford PG-280加熱処理デンプンで予備コーティングした原紙の試料、およびPG-280加熱処理デンプンおよび剥離粘土の1/3ブレンドも作製した。デンプンおよびデンプン/粘土のコート重量は、巻線型ロッドを用いて1.0g/m2に管理した。
【0083】
粘土のコーティングは、60%剥離粘土(Imerys Astraplate)および40%No.2粘土(Huber Hydrasperse)のブレンド、12部のラテックス(BASF Styronal 4606)、ならびに0.3部の増粘剤(BASF Sterocoll FS)で配合した。コーティング固形分およびpHは、それぞれ、56.7%および8.3に調整した。コーティングカラー粘度は、100rpmおよびNo.4スピンドルを用いてブルックフィールド粘度計で測定して700cPsであった。Dowブレードコーターを用いて、粘土のコーティングを予備コーティングした原紙および未処理原紙の試料上に塗布し、コート重量を6.5g/m2で制御した。
【0084】
コーティング被覆率、不透明度、および白色度を、コーティングした板紙の外観および印刷適性の尺度として用いた。コーティングした試料のコーティング被覆率を、Dobsonにより開発されたバーンアウト手順を用いて評価した。試料のバーンアウト画像を、画像アナライザーを用いて相対コーティング被覆率について評価した。相対コーティング被覆率の結果を、表10に示す。湿潤強度樹脂改質タルクで予備コーティングした原紙は、等しいコート重量で最も高いコーティング被覆率%を示した。コーティングした試料の不透明度および白色度を表10に示す。コーティングした紙の不透明度および白色度は、コーティング被覆率とよく相関した。湿潤強度樹脂改質タルクで予備コーティングした原紙は、等しいコート重量で最も高い不透明度および白色度を示した。
【0085】
【表9】

【0086】
その広い発明概念から逸脱することなく、上記実施形態に変更がなされ得ることが当業者によって認められる。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されないが、添付の特許請求の範囲で定義されるとおりの本発明の精神および範囲内の改変に及ぶことが意図されることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 紙または板紙のシートの少なくとも片面を、(1)1種または複数のアニオン性顔料を含有する混合物を(2)1種または複数のポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂とともに含む陽性ゼータ電位を有する分散系で、約0.1g/m2から約20g/m2のコーティング量でコーティングする工程;および
(b) コーティングした紙または板紙のシートを乾燥させる工程
を含む、紙または板紙のシートをコーティングする方法。
【請求項2】
乾燥させた紙または板紙の前記シートを、以下:(1)液体の水、(2)水蒸気、(3)油、(4)グリース、(5)気体透過性、(6)滑り、または(7)静電気の1つまたは複数に耐性を与えるように配合された機能性バリアトップコーティングでコーティングする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
乾燥させた紙または板紙の前期シートを、水系顔料コーティングでコーティングする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記顔料が、アニオン性顔料含有混合物の少なくとも約20%乾燥重量であり、タルク; カオリン粘土; ベントナイト粘土; およびラポナイトからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
水溶性結合剤が前記アニオン性顔料含有混合物の最大約80%乾燥重量を構成し、前記結合剤が、中性天然水溶性ポリマー結合剤; カチオン性天然水溶性ポリマー結合剤; 中性合成水溶性ポリマー結合剤; およびカチオン性合成ポリマー結合剤からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アニオン性顔料含有混合物が、混合物の約25%から約100%乾燥重量のベントナイト粘土またはラポナイトのいずれかを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アニオン性顔料含有混合物が、混合物の少なくとも約25%乾燥重量のカオリン粘土またはタルクのいずれかを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アニオン性顔料含有混合物が、混合物の約50%から約100%乾燥重量のカオリン粘土またはタルクのいずれかを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂:前記アニオン性顔料の重量比が、約0.01:1から約2:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂が、ポリアミノポリアミド-エピハロヒドリン樹脂、例えば、ポリアミノアミド-エピハロヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミン-エピハロヒドリン樹脂、ポリアミンポリアミド-エピハロヒドリン樹脂、アミノポリアミド-エピハロヒドリン樹脂、およびポリアミド-エピハロヒドリン樹脂; ポリアルキレンポリアミン-エピハロヒドリン樹脂; ポリアミノウリレン-エピハロヒドリン樹脂; コポリアミド-ポリウリレン-エピクロロヒドリン樹脂; ならびにポリアミド-ポリウリレン-エピクロロヒドリン樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂:前記アニオン性顔料の重量比が、最大約1.5:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂:前記アニオン性顔料の重量比が、約0.6:1から約0.8:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂:前記アニオン性顔料の重量比が、約0.01:1から約0.2:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記水溶性ポリマー結合剤が、デンプン; エチル化デンプン; カチオン性デンプン; 酸化デンプン; 酵素転化デンプン; アルギン酸塩; カゼイン; セルロース誘導体; ポリビニルアルコール; エチレン/ビニルアルコールコポリマー; ポリビニルアミン; ポリアクリルアミド; ポリアクリルアミドコポリマー; グリオキシル化ポリアクリルアミド; ポリジアリルアミン; ポリジアリルアミンコポリマー; ポリジメチルジアリルアミン; およびポリジメチルジアリルアミンコポリマーからなる群の1種または複数である、請求項5に記載の方法。
【請求項15】
前記セルロース誘導体が、ヒドロキシエチルセルロース; メチルヒドロキシエチルセルロース; メチルセルロース; ヒドロキシプロピルセルロース; およびヒドロキシプロピルグアーからなる群の1種または複数である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記機能性バリアトップコーティングが、水系ポリマーラテックスを含有し、場合によって、以下:(1)天然または合成水溶性ポリマー、(2)顔料、(3)ワックス、(4)架橋剤、および(5)サイジング剤の1種または複数を含有してもよい、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記天然または合成水溶性ポリマーの1種または複数が、デンプン; エチル化デンプン; 酸化デンプン; 酵素転化デンプン; 無水コハク酸変性デンプン; ポリビニルアルコール; エチレン/ビニルアルコールコポリマー; またはポリ乳酸からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記機能性バリアトップコーティングが、約25g/m2以下のコーティング量で塗布される、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記水系顔料コーティングが、アニオン性ポリマーラテックス結合剤および少なくとも1種の顔料を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項20】
(a) 1種または複数のアニオン性顔料を、混合物の少なくとも約20%乾燥重量の量で含むアニオン性顔料含有混合物、および
(b) 1種または複数のポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂
を含む、機能性バリアトップコーティング用のプライマーとしての紙または板紙のシート上のベースコーティングとして用いるための、陽性ゼータ電位を有する分散系分散系。
【請求項21】
前記アニオン性顔料が、タルクまたはカオリン粘土であり、顔料:カチオン性湿潤強度樹脂の重量比が、約0.03:1から約0.2:1である、請求項20に記載の分散系。
【請求項22】
前記アニオン性顔料が、ベントナイト粘土であり、顔料:カチオン性湿潤強度樹脂の重量比が、約0.6:1から約0.8:1である、請求項20に記載の分散系。
【請求項23】
前記ポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂が、ポリアミノポリアミド-エピハロヒドリン樹脂、例えば、ポリアミノアミド-エピハロヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミン-エピハロヒドリン樹脂、ポリアミンポリアミド-エピハロヒドリン樹脂、アミノポリアミド-エピハロヒドリン樹脂、およびポリアミド-エピハロヒドリン樹脂; ポリアルキレンポリアミン-エピハロヒドリン樹脂; ポリアミノウリレン-エピハロヒドリン樹脂; コポリアミド-ポリウリレン-エピクロロヒドリン樹脂; ならびにポリアミド-ポリウリレン-エピクロロヒドリン樹脂からなる群から選択される、請求項20に記載の分散系。
【請求項24】
(a) 1種または複数のアニオン性顔料を混合物の少なくとも約20%乾燥重量の量で含む、陽性ゼータ電位を有する分散系、および
(b) 1種または複数のポリアミン-エピハロヒドリンカチオン性湿潤強度樹脂
の第2の層でコーティングされた、第1の紙層を含む積層体。
【請求項25】
前記第2の層が、以下:(1)液体の水、(2)水蒸気、(3)油、(4)グリース、(5)気体透過性、(6)滑り、(7)静電気の1つまたは複数に耐性を与えるように配合されたラテックス機能性バリアコーティングを含む第3の層でコーティングされている、請求項24に記載の積層体。
【請求項26】
前記第2の層の上に第3の層をさらに含み、前記第3の層が、アニオン性ラテックス顔料コーティングを含む、請求項24に記載の積層体。

【公表番号】特表2012−528956(P2012−528956A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514081(P2012−514081)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/037064
【国際公開番号】WO2010/141581
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】