説明

水素含有液体飲料の製造方法

【課題】 簡便で安全な方法にて水素含有還元性飲料を提供する。
【解決手段】 液体飲料を容器に充填後、容器の空隙に0.1%以上の水素体積濃度がある混合ガスを噴き付け、残留空気を置換する。混合ガス中の水素ガスが水素分圧0の液体飲料に溶け込み還元性がある液体飲料となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に充填した液体飲料を水素含有液体飲料にする簡便なる方法である。本発明をより詳細にいうと水素含有液体飲料を製造する際に、より経済的に、より安全に飲料用液体に水素を含有する方法である。
【背景技術】
【0002】
従来、容器に導入された液体の品質の変化、容器の形状変化、液漏れ等の異常を防止する手段として、特開平6−286726号、特開平10−218288号の公開技術のように、液体を収容した容器内に液体窒素を滴下して気化させることで容器内の空隙を窒素ガスで置換し、開口部を密封する方法があった。
【特許文献1】 特開平6−286726号広報
【特許文献2】 特開平10−218288号広報
【0003】
背景技術に示した技術では、容器内の空気を窒素と置換し、酸素による液体飲料の品質変化防止を目的としている。具体的には、液体窒素を滴下し容器内の空気を窒素置換しながら熱滅菌処理後の冷却時に液体の体積縮小による陰圧で容器が凹むことを防止している。またその直後に容器の空隙に窒素ガスを吹き付けた後に容器を密封する方法を採用している。これはさらに空気中の酸素を追い出したいとの考え方によるものである。
【0004】
これはいずれも容器内の残存酸素量を極力減らし、飲料物における酸化の促進を抑えようとの考え方によるものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、従来の飲料用液体充填容器内の残存酸素量を極力減らし、容器内の飲料用液体の酸化促進を極力抑えようとの考え方に比べ、水素ガスの還元力を利用し、還元物を提供するという、さらに進んだ考え方により、飲料用液体そのものを還元性の液体に変える方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題に着目し、容器の空隙に窒素ガスを吹き付けることにより酸化防止を行うとの考え方をさらに一歩進め、水素ガスを含んだ混合ガスを吹き付けることにより、還元性を持った液体を提供するという考え方にまで進化させ、上記課題を克服する方法を発明した。
【0007】
具体的には、本願発明は、従来から、容器内の空気を窒素ガスにて置換する方法があるが、体積濃度において0.1%以上の水素ガスを含む混合ガスを用いて置換する方法により飲料用液体を還元性の飲料用液体にすることができる。
【0008】
さらに詳細なる説明をすると、飲料用液体を容器に充填した後、体積濃度において0.1%以上の水素ガスを含む混合ガスで容器内の空隙を置換することにより、水素を含んでいない飲料用液体が、上記空隙に空気と置換されている体積濃度0.1%以上の水素混合ガスから水素ガスが水素分圧0の飲料用液体に溶け込み、水素分圧の平衡を保とうとし、還元性がある飲料用液体へと変化する。
【0009】
飲料用液体充填後に容器内の空隙を置換する水素ガスを含んだ混合ガスの水素体積濃度を0.1%以上としたのは、それ以下では殆ど水素ガスが飲料用液体に溶け込むことが出来ず、また20%以下としたのは大気中においての水素ガスの発火可能体積濃度が4%以上である為、20%以上とすると、開栓をしたときに発火の可能性が高くなる為である。
【0010】
容器内の空隙を置換する水素混合ガスの水素体積濃度は好ましくは、1%以上10%以下であり、非常に好ましくは2%以上4%以下である。水素体積濃度を高くすることにより、液体飲料に水素が含有される水素濃度は高くなるが、高くすればするほど開栓時の発火の可能性が高くなる為、水素体積濃度を4%以下にした方がより安全である。
【実施例1】
【0011】
本願発明の実施例を示す。
【0012】
容積327ccのアルミ缶容器に、水素含有濃度0ppmの水を300ml充填した後、空隙に水素体積濃度4%、窒素体積濃度96%の混合ガスを噴き付け、空気と混合ガスを置換し、閉栓をした。この時の水の酸化還元電位は+270mvである。48時間後に水の酸化還元電位と水素濃度を計測し、表に表す。


計測器は東亜DKKの酸化還元電位計、溶存水素濃度計を用いる。
【0013】
上記表より水素が全く含有されていない水が、48時間後には0.045ppmの水素が含まれる水へと変化をし、還元性を持った水となっていることがわかる。
【実施例2】
【0014】
容積327ccのアルミ缶容器に、水素含有濃度0ppmのコーヒーを300ml充填した後、空隙に水素体積濃度4%、窒素体積濃度96%の混合ガスを噴き付け、空気と混合ガスを置換し、閉栓をした。この時のコーヒーの酸化還元電位は+70mvである。48時間後にコーヒーの酸化還元電位と水素濃度を計測し、表に表す。

計測器は東亜DKK製の酸化還元電位計、溶存水素濃度計を用いる。
【0015】
上記表より水素が全く含有されていないコーヒーが、48時間後には0.050ppmの水素が含まれるコーヒーへと変化をし、還元性を持ったコーヒーとなっていることがわかる。
【発明の効果】
【0016】
上記実施例から確認が出来ることは、水素が全く含まれていない液体飲料が水素を含んだ混合ガスで、液体飲料充填後に容器内の空隙の空気を置換することにより、水素ガスを含んだ還元性の液体飲料に変化をするということである。これにより、安全で経済性に富んだ還元性液体飲料の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本願発明において用いられる容器については、金属缶、紙パック、ペットボトル等、容器から容易に気体が漏れ出さないものであれば良いが、アルミ缶が最良と考えられる。
容器内の空隙を置換する混合ガスの水素含有体積濃度は4%以下で4%に近く、4%以上にならない比率が良い。
混合ガスの水素ガス以外のガスについては、当然安全性の見地から不活性ガスから選択されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器に飲料を充填した際、体積濃度で0.1%〜20%の水素ガスを含む混合ガスで容器の空隙を置換することにより水素含有液体飲料を製造する製造方法。
【請求項2】
前記混合ガスは、水素ガスと窒素ガスまたは/及び不活性ガスとを主成分とする請求項1記載の水素含有液体飲料の製造方法。
【請求項3】
前記混合ガスの水素ガス濃度が体積濃度で1%〜4%であることを特徴とする請求項1ないし2記載の水素含有液体飲料の製造方法。

【公開番号】特開2008−259480(P2008−259480A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123934(P2007−123934)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(507149992)Murota And Sons株式会社 (2)
【Fターム(参考)】