説明

水素水供給装置

【課題】水道水に多量の水素を含有させた水素水を供給することができる水素水供給装置を提供すること。
【解決手段】本発明では、水道水に水素を含有させた水素水を供給するための水素水供給装置(1)において、水道水を供給する水道水供給管(3)を分岐して、一方を電気分解器(10)に接続するとともに、他方を貯留タンク(8)に接続し、貯留タンク(8)に循環流路(12)を接続し、循環流路(12)の途中に電気分解器(10)で生成した水素を貯留タンク(8)に貯留した水道水に混入させる水素混入部(14)を設けることにした。また、電気分解器(10)の上流側に水道水に含有されたイオンを除去するためのイオン交換器(11)を設けることにした。また、循環流路(12)の水素混入部(14)よりも下流側に水道水を加圧するための加圧器(17)を設けることにした。さらに、循環流路(12)の水素混入部(14)と加圧器(17)との間に混入させた水素の気泡を細かくするための細泡器(16)を設けることにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水に水素を含有させた水素水を供給するための水素水供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、水素を含有させた水素水は、活性酸素を還元させることなどによって人体に好影響を及ぼす作用を有することが確認されている。
【0003】
この水素水を水道水から生成して供給するようにした装置として、水素水供給装置が利用されている。
【0004】
従来の水素水供給装置では、水道水を供給する水道水供給管に電気分解器を接続し、電気分解器の陰極側の水道水を水素水として貯留タンクに貯留し、貯留タンクから水素水を供給するように構成している(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−43610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の水素水供給装置では、電気分解器の陰極側の水道水を水素水として貯留タンクに貯留しているために、水道水に混入される水素の量が非常に少なく、水素水としての機能を良好に発揮することができないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、水道水に水素を含有させた水素水を供給するための水素水供給装置において、水道水を供給する水道水供給管を分岐して、一方を電気分解器に接続するとともに、他方を貯留タンクに接続し、貯留タンクに循環流路を接続し、循環流路の途中に電気分解器で生成した水素を貯留タンクに貯留した水道水に混入させる水素混入部を設けることにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記電気分解器の上流側に、水道水に含有されたイオンを除去するためのイオン交換器を設けることにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記循環流路の水素混入部よりも下流側に、水道水を加圧するための加圧器を設けることにした。
【0010】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項3に係る本発明において、前記循環流路の水素混入部と加圧器との間に、混入させた水素の気泡を細かくするための細泡器を設けることにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、水道水に水素を含有させた水素水を供給するための水素水供給装置において、水道水を供給する水道水供給管を分岐して、一方を電気分解器に接続するとともに、他方を貯留タンクに接続し、貯留タンクに循環流路を接続し、循環流路の途中に電気分解器で生成した水素を貯留タンクに貯留した水道水に混入させる水素混入部を設けているために、水道水に多量の水素を混入させることができ、水素水としての機能を良好に発揮する水素水を供給することができる。
【0013】
特に、電気分解器の上流側に水道水に含有されたイオンを除去するためのイオン交換器を設けることにした場合には、電気分解器の電極に不純物が付着して水素の発生量が低減してしまうのを防止することができ、長期間にわたって水道水に多量の水素を混入させることができる。
【0014】
また、循環流路の水素混入部よりも下流側に水道水を加圧するための加圧器を設けることにした場合には、水道水を加圧することによって水道水に混入させることができる水素の量を増大させることができ、より一層多量の水素を水道水に混入させることができる。
【0015】
さらに、循環流路の水素混入部と加圧器との間に混入させた水素の気泡を細かくするための細泡器を設けることにした場合には、水道水に水素を良好に溶解させることができ、これによっても、より一層多量の水素を水道水に混入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る水素水供給装置を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る水素水供給装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すように、水素水供給装置1は、水道水を供給するための水道水供給源2に水道水供給管3をフィルター4を介して接続し、水道水供給管3の端部にフローメーター5を接続するとともに2つに分岐して第1及び第2の分岐管6,7を接続し、第1の分岐管6に貯留タンク8をフロートバルブ9を介して接続する一方、第2の分岐管7に電気分解器10をイオン交換器11を介して接続している。ここで、イオン交換器11は、内蔵したイオン交換膜の作用で水道水に含有されるイオンを吸着除去するものである。
【0019】
また、水素水供給装置1は、貯留タンク8の底部に循環流路12を接続し、循環流路12の中途部に電気分解器10をチェックバルブ13を介して接続した水素混入部14を形成するとともに、循環流路12の水素混入部14よりも下流側に循環ポンプ15と細泡器16と加圧器17とを順に介設している。ここで、細泡器16は、内蔵したメッシュ状の多孔質板の作用で水道水に含有される水素の気泡をさらに細かいサイズの気泡に砕くものであり、加圧器17は、内蔵したベンチュリ管の作用で水道水の内圧を増加させるものである。
【0020】
また、水素水供給装置1は、貯留タンク8の底部に水素水供給管18を水栓19を介して接続している。
【0021】
さらに、水素水供給装置1は、フローメーター5と電気分解器10と循環ポンプ15にコントローラー20を接続している。
【0022】
水素水供給装置1は、以上に説明したように構成しており、上記水素水供給装置1では、水道水供給源2から供給される水道水の一部が、第1の分岐管6から貯留タンク8に流れて、貯留タンク8に貯留され、一方、残りの水道水が、第2の分岐管7から電気分解器10に流れて、電気分解器10で電気分解される。
【0023】
また、上記水素水供給装置1では、貯留タンク8に貯留された水道水が、循環ポンプ15によって循環流路12を循環され、その途中において、電気分解器10で水道水を電気分解することで生成した水素だけを水素混入部14から循環流路12を循環する水道水に混入され、水素水となって貯留タンク8に貯留される。
【0024】
そして、上記水素水供給装置1では、貯留タンク8に貯留した水素水が水素水供給管18から供給される。なお、水素水は、加熱や冷却して供給するようにしてもよい。
【0025】
また、上記水素水供給装置1では、水素水供給管18から水素水が供給されると、それに伴ってフロートバルブ9が開弁状態となり、水道水供給管3から新たに水道水が貯留タンク8に補充されるとともに、電気分解器10にも水道水が供給される。
【0026】
水素水供給装置1は、水道水が貯留タンク8や電気分解器10に供給されたことをフローメーター5で検出し、電気分解器10及び循環ポンプ15を所定時間駆動する。これにより、電気分解器10で水道水が電気分解され、生成した水素だけが水素混入部14から循環流路12を循環する水道水(水素水)に再び混入される。なお、電気分解器10で生成した酸素は排気している。
【0027】
以上に説明したように、上記水素水供給装置1は水道水に水素を含有させた水素水を供給するものであり、水道水を供給する水道水供給管3を分岐して、一方を電気分解器10に接続するとともに、他方を貯留タンク8に接続し、貯留タンク8に循環流路12を接続し、循環流路12の途中に電気分解器10で生成した水素を貯留タンク8に貯留した水道水に混入させる水素混入部14を設けた構成となっている。
【0028】
そのため、上記構成の水素水供給装置1では、貯留タンク8に供給される水道水とは別個に電気分解器10に水道水が供給されることになるとともに、供給された水道水を電気分解器10で電気分解することによって生成された水素が水道水に混入されることになり、水道水に多量の水素を効率良く混入させることができ、水素水としての機能を良好に発揮する水素水を供給することができる。
【0029】
また、上記水素水供給装置1では、電気分解器10の上流側に水道水に含有されたイオンを除去するためのイオン交換器11を設けた構成となっている。
【0030】
そのため、上記構成の水素水供給装置1では、水道水に含有されるカルシウムイオンなどの不純物イオンを除去して電気分解器10に供給することになり、電気分解器10の電極に不純物が付着して水素の発生量が低減してしまうのを防止することができ、長期間にわたって水道水に多量の水素を混入させることができる。
【0031】
また、上記水素水供給装置1では、循環流路12の水素混入部14よりも下流側に水道水を加圧するための加圧器17を設けた構成となっている。
【0032】
そのため、上記構成の水素水供給装置1では、水道水を加圧することによって水道水に混入させることができる水素の量(溶解度)を増大させることができ、より一層多量の水素を水道水に混入させることができる。
【0033】
さらに、上記水素水供給装置1では、循環流路12の水素混入部14と加圧器17との間に混入させた水素の気泡を細かくするための細泡器16を設けた構成となっている。
【0034】
そのため、上記構成の水素水供給装置1では、水素を細泡化させることで水道水に水素を良好に溶解させることができ、これによっても、より一層多量の水素を水道水に混入させることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 水素水供給装置 2 水道水供給源
3 水道水供給管 4 フィルター
5 フローメーター 6,7 分岐管
8 貯留タンク 9 フロートバルブ
10 電気分解器 11 イオン交換器
12 循環流路 13 チェックバルブ
14 水素混入部 15 循環ポンプ
16 細泡器 17 加圧器
18 水素水供給管 19 水栓
20 コントローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水に水素を含有させた水素水を供給するための水素水供給装置において、
水道水を供給する水道水供給管を分岐して、一方を電気分解器に接続するとともに、他方を貯留タンクに接続し、貯留タンクに循環流路を接続し、循環流路の途中に電気分解器で生成した水素を貯留タンクに貯留した水道水に混入させる水素混入部を設けたことを特徴とする水素水供給装置。
【請求項2】
前記電気分解器の上流側に、水道水に含有されたイオンを除去するためのイオン交換器を設けたことを特徴とする請求項1に記載の水素水供給装置。
【請求項3】
前記循環流路の水素混入部よりも下流側に、水道水を加圧するための加圧器を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素水供給装置。
【請求項4】
前記循環流路の水素混入部と加圧器との間に、混入させた水素の気泡を細かくするための細泡器を設けたことを特徴とする請求項3に記載の水素水供給装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−236133(P2012−236133A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105862(P2011−105862)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(511083503)株式会社スイソサム (1)
【Fターム(参考)】