説明

水素発生方法、水素発生装置及び触媒

【課題】100℃以下の温度で、水の電気分解でなく、コンパクトな設備で水から水素を取出す。
【解決手段】金属酸化物(例えばCr)と金属水酸化物(例えばKOH)を金属水酸化物の融点以上、沸点以下の温度に加熱して固化せしめた触媒を触媒収納室21内に設置し、この収納室21に蒸発室20内で蒸発した750℃前後の水蒸気を供給して中間活性物質を伴う3つの反応を行い水から水素を採集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水から水素を取出すための水素発生方法、この方法を実施するための装置及びそのために使用される触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
水から水素を作る方法としては、純水を触媒を介して水素と酸素に熱分解することが知られており(特開平10−212101号)、この熱分解においては、シリカ酸化物を触媒として回転可能な炉容器に投入して、炉容器内を真空状態に真空引きし、真空引き後に、純水を投入すると共に、最終目標温度を350〜700℃に設定して、段階的に加熱しながら水素と酸素を回収している。
【0003】
また、他の方法としては、細かく粉砕した白金又はパラジウム等の金属触媒を約60〜150℃の温度に維持されたキレート化剤含有水と接触させて水素を発生させる方法が知られている(特公昭62−52102号)。
【特許文献1】特開平10−212101号
【特許文献2】特公昭62−52102号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1における方法においては、純水が必要であるばかりでなく段階的に加熱するので水素を取出すのに時間を要するという欠点がある。
【0005】
また、特許文献2の方法においては、キレート剤が必要なばかりでなく、水素発生量が少ないという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の水素発生方法は金属酸化物と金属水酸化物を金属水酸化物の融点以上で沸点以下の温度に加熱して生成した触媒を高温雰囲気内に設置し、この触媒に水蒸気を接触せしめて前記金属酸化物内の水酸基の水素を取出すようにした。
【0007】
また、本発明の水素発生方法は、前記触媒を所定温度以上に加熱せしめて第1中間活性物質と水蒸気と水素を発生せしめる第1反応と、前記第1中間活性物質と外部から供給される水と前記第1反応の水蒸気とを反応せしめて、前記金属酸化物と第2中間活性物質と前記金属酸化物を発生せしめる第2反応と、前記第2中間活性物質と前記金属水酸化物とを反応せしめて前記第1中間活性物質と水と蒸気と酸素を発生せしめる第3反応とからなり、これら第1、2、3反応が繰返されることにより水から水素を取出すようにした。
【0008】
更にまた、前記金属酸化物は酸化クロム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化モリブデンのいずれか1つであり、前記金属水酸化物は、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウムのいずれか1つであり、前記第1、第2中間活性物質は、金属水酸物内の金属と前記金属酸化物との結合からなり、第1、第2中間活性物質内の金属酸化物の金属の原子価が互いに異なる。
【0009】
本発明の水素発生装置は、水を供給して水蒸気を発生せしめる蒸発装置と、金属酸化物と金属酸化物からなる触媒を収納し、前記水蒸気を触媒に接触せしめる触媒収納装置とからなり、前記蒸発装置内で発生する水蒸気は前記触媒収納装置内の触媒の反応温度よりも高い温度を有している。
【0010】
上記水素発生方法及び装置に使用される触媒は、金属酸化物と金属水酸化物とを1:1.5〜3の重量比で混合して金属水酸化物の融点以上の温度で加熱溶融し、この溶融物を型内に注入し、次いで型内の溶融物を金属水酸化物の融点以上の温度で加熱し、次いで、800℃以下の温度を維持しつつ、0.1〜0.4Mpaの圧力を加えた後に固化せしめるようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水の分子を直接取出すのではなく、金属水酸化物の水酸基の水素を取出すようにしたので、700℃前後の水蒸気で反応をさせることができ、水の電気分解に比較して少ないエネルギーで水素を取出すことができる。
【0012】
また、3つの反応が組み合わされて触媒自体は減少することなく、見掛け上は水を水素と酸素に分解するようにしているので、触媒自体の減少はない。
【0013】
また、更に本発明の実施に必要な触媒の材料は、金属酸化物として酸化クロム、酸化チタン等、金属水酸化物として水酸化カリウム、水酸化カルシウム等、化学材料としては手に入れ易く、しかも安価である。
【0014】
また、更に、金属酸化物と金属水酸化物との混合物を金属水酸化物の融点以上に加熱せしめ、しかも金属水酸化物の重量を金属酸化物の重量より1.5倍〜3倍多くしているので、金属酸化物の粒子の周囲を圧力をかけつつ均一に金属水酸化物で被うことができ、反応が著しく促進される触媒となる。
【0015】
また、更に本発明の水素発生装置においては、触媒収納装置内に送る水蒸気の温度を触媒の反応温度よりも高くなっているので、装置内で起こる反応が吸熱反応故に生じる触媒収納装置内の温度低下を補償できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0017】
先ず、本発明における水から水素を取出すために使用する触媒について説明する。
【0018】
本発明の触媒は、金属酸化物と金属水酸化物との混合物からなっている。金属酸化物としては、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化マンガン(MnO)、酸化鉄(FeO、Fe)、酸化銅(CnO)、酸化モリブデン(MoO)が好ましく、水酸化物としては水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化アルミニウム(Al(OH))、水酸化銅(Cu(OH))、水酸化リチウム(LiOH)が好ましい。これら金属酸化物の少なくとも1種類と金属水酸化物の少なくとも1種類の混合物で触媒が構成される。
【0019】
これら、混合物は、金属酸化物と金属水酸化物との重量比1:1.5〜3.5の割合で混合される。一般に金属酸化物の融点は金属水酸化物の融点より著しく高く、金属酸化物を粉末とし、この粉末と金属水酸化物の結晶とを一緒にして金属水酸化物の融点以上沸点以下の温度で十分な時間加熱し(2時間以上)、金属酸化物の微粉末を液状金属水酸化物内に均一に分散せしめる。
【0020】
その後、型内に混合物を注入し混合物の熟成のための加熱を行なう。この際の加熱温度は金属水酸化物の融点以上でその沸点以下であり、熟成加熱は段階的に行なわれ、一般的に450℃で4時間以上、500℃で4時間以上、700℃で2時間以上のように行なわれ、混合物が加熱により固化する直前に型内を0.15〜0.4Mpaに加圧して安定化させる。
【0021】
次に、この触媒を使用した水素発生方法について説明する。
【0022】
このようにして製作した触媒を気密な触媒収納室内にセットし、この触媒収納室内に高温水蒸気(触媒の反応温度以上)を送ってその水蒸気を触媒表面に接触せしめる。このときに、3つの反応が起こり、水素と酸素と水蒸気が発生し、この水素は酸素と水蒸気から分離され採集される。
【0023】
3つの反応とは、第1に金属酸化物と金属水酸化物とが反応して、金属酸化物と金属水酸化物の金属との結合体と、水蒸気と、水素が発生する。
【0024】
すなわち、M+N(OH)→NMO+HO+H↑ …(1)
ここで、M、Nは金属元素でa、b、c、d、eは整数を示し、各成分のモル比は考慮していない。この第1反応によりNMOからなる第1の中間活性物質が発生するとともに金属水酸化物の水酸基内の水素が取出される。
【0025】
ここで、外部から水蒸気を加えると、前記中間活性物質と水が反応して第2反応が起こり、第1反応における金属酸化物と、NMOからなる第2の中間活性物質と第1反応式の金属水酸化物が発生する。
【0026】
MO+HO→M+NMO+N(OH)…(2)
ここで、生成した金属酸化物Mは第1反応で使用され、金属水酸化物(N(OH))の一部は第1反応に使用される。ここでのNMO(eとfの数が異なる)は第2の中間活性物質として機能し、この中間活性物質が金属水酸化物と以下のように反応して第1反応式と同一の第1の中間活性物質と水蒸気と酸素が発生する。
【0027】
MO+N(OH)+NMO+HO+O↑ …(3)
ここでの酸素は金属水酸化物の水酸基から取出される。
【0028】
更に、ここで発生した第1の中間活性物質NMOは第2反応式の一部として使用され、第1反応式と第3反応式の第1中間活性物質のモル数の和は、第2反応式の第1中間活性物質のモル数に等しく、第2反応式の第2の中間活性物質のモル数は第3反応式のモル数と等しく、第1反応式の金属酸化物のモル数と第2反応式の金属酸化物のモル数は等しく、第1反応式の金属水酸化物のモル数と第3反応式の金属酸化物のモル数の和は、第2反応式の金属水酸化物のモル数に等しい。また、第2反応式の水のモル数は、第1、第3反応式の水のモル数の和より大きくなっている。また、第1、第2の中間活性物質の金属Na、Nの原子価が異なっている。したがって、第1〜第3の反応式を供給すると、
O→H+O
となり、供給した水蒸気が水素と酸素を発生することとなり、前述の触媒は第1、第2の中間活性物質を介してこの反応に寄与することとなる。
【0029】
次に、本発明の水素発生装置は、水を供給して水蒸気を発生せしめる蒸発装置を有し、この蒸発装置により触媒の反応温度以上に加熱された過熱蒸気が生成され、触媒を構成する成分によって異なるが、500℃以上の過熱蒸気が必要であり、1000℃以上の温度では触媒が機能しなくなる。この蒸発装置は、既存の蒸気ボイラーであってもよく、製鉄所の余熱を利用したボイラーであってもよく、内燃機関の場合には、排気を利用して高温蒸気を作るものであってもよく、温度不足の場合には、補助的にヒータを設けてもよい。蒸発装置内で作られた触媒の反応温度以上の高温蒸気は、触媒収納装置内に送られる。この触媒収納装置内には、触媒がセットされ、高温蒸気が触媒の表面に接触して上述の3つの反応が行なわれる。前記触媒は、固体であり、この固体により水蒸気の通路が構成される。水蒸気通路は、金属板で区画した通路内に長尺の触媒をセットしてもよく、上述のように製造した触媒を粉体として、この粉体を金属板に溶射してこの溶射金属板で水蒸気通路を構成してもよい。また、塊状の触媒を筒体内に収納し、筒体内に水蒸気を供給してもよい。更に、また、細粒の触媒を収納室内に浮遊せしめ、その中を水蒸気を通過せしめるようにしてもよい。また、小型の水素発生装置の場合において、蒸発装置と触媒収納装置とが接触しているときは水が気化するときに気化熱が必要となり、触媒収納装置内の温度を下げてしまうので、蒸発装置の温度を触媒収納装置よりも高く加熱しておく必要がある。触媒収納装置内で作られた水素と酸素は回収され、必要に応じて既存の分離フィルターを通して水素のみを回収することができる。
【実施例】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
【0031】
先ず、触媒の製造方法及び装置について説明する。
【0032】
図1において、加熱槽1内には、酸化クロム(Cr)と水酸化カリウム(KOH)が酸化クロム1:水酸化カリウム2〜3の重量比で混入され加熱される。前記加熱槽1の周囲には、ヒータ2が設けられるとともに加熱槽1内には、攪拌羽根3が設けられ、前記ヒータ2はコントローラ4によってコントロールされる。前記酸化クロムは緑色の粉末であり前記水酸化カリウムは白色の結晶粒である。これらを加熱槽1内で十分な時間(1時間〜2時間)攪拌しながら水酸化カリウムの融点以上の温度(400〜500℃)で加熱する。両材質が十分混合して粘性が出てきた段階で攪拌を停止し、加熱槽1の底部に設けた流出管5の弁6を開いて密閉室7内に設置した型8内に流し込む。なお、密閉室7を開放するために弁10が設けられている。前記密閉室7の底部にはヒータ9が設けられ密閉室内の温度がコントロールされる。前記弁10を開放した状態で、400〜500℃の温度で数時間以上熟成加熱され、更に温度を上げて550℃で数時間熟成加熱され、その後、温度を630℃〜680℃迄上げて弁10を閉じるとともに密閉室7に接続されたコンプレッサ11および窒素ボンベ12を利用して0.15Mpa〜0.4Mpaの圧力をかけて触媒を凝固させる。
【0033】
前記密閉室7内の型8は、図2に示すような型板であり、この型板には、仕切板8aが多数設けられて仕切板8a間に流出管5の先端に取付けられたノズル13から高温混合物が流し込まれ触媒の上面を開放した状態とする。この型板が触媒付着板を形成している。このような型板8の上面に接するように高温水蒸気の流路が設定される。
【0034】
前述のように作った触媒は、これを砕いて微粉末とし、図3に示すように、この粉体を加熱して圧搾窒素で溶射ノズル14によって基板15上に吹き付け、この溶射基板15によって水蒸気通路を形成してもよい。また、前記触媒を塊状に形成して、図4に示すように筒体16内に塊状触媒17を収納し、これに水蒸気を通すようにしてもよい。
【0035】
図5は、小型の水素発生装置Mを示し、この装置Mは蒸発室20上に触媒収納室21が積層され、蒸発室20にはヒータ22上に設置されている。前記蒸発室20には水供給管23が接続され、この水供給管23からは所定量の水が蒸発室20内に供給される。前記触媒収納室21内には、触媒Cが収納され、この触媒Cは図1に示すように密閉室7内に触媒収納室21をセットして形成される。前記蒸発室20内には、仕切板24、24が設けられ、この仕切板24によって水蒸気の蛇行流路が形成され、前記蒸発室21の上面隅部には、排出管25が垂直上方に伸びている。前記蒸発室20の側面と触媒収納室21の天板21a間には、水蒸気を天板21aと触媒Cの上面間に形成される水蒸気流路26に送るための接続管27が設けられている。
【0036】
前記蒸発室20内の温度は700〜750℃、触媒収納室21内の温度は670〜720℃に調整され、水が蒸発室20内で気化すると気化熱を奪うので、このように、蒸発室20と触媒収納室21が接触しているときは蒸発室20内の温度は触媒収納室21内の温度より高くする必要がある。触媒の反応温度は650〜820℃であるので、触媒収納室21内の温度はこの範囲内に調整する必要がある。
【0037】
前記高温の蒸発室20内に僅かな量1cc以下の水を供給すると、水は図6に示すように表面張力により平たい塊30となり、直ちに全てが蒸発するわけではなく、数秒間で蒸発するようになっている。蒸発した水蒸気は、接続管27を通って触媒収納室21内の水蒸気通路26を経て触媒Cの上面に接しつつ水素と酸素に分離されこの水素と酸素は排出管25を通って採集される。
【0038】
以下、このときの反応について説明する。
【0039】
酸化クロムと水酸化カリウムからなる触媒は650〜820℃の温度域で
Cr+6KOH→2KCrO+HO+2H↑ …(1A)
の反応をし、この(1A)の反応は吸熱反応で温度は下降し、ここで、水酸化カリウムの水酸基の水素が分離され水素ガスとして排出管25から回収される。ここで、生成された第1の中間活性物質であるクロム酸カリウム(KCrO:Crの原子価5)は、蒸発室20から送られた過熱蒸気(HO)と反応し、
6KCrO+5HO→Cr+4KCrO+10KOH …(2A)
の反応をして酸化クロムと、クロム酸カリウム(Crの原子価6)と水酸化カリウムが発生する。ここの酸化クロムと水酸化カリウムの一部は反応式(1A)の反応に使用される。この反応式(2A)の反応も吸熱反応である。更に、ここのクロム酸カリウム(Crの原子価6)は第2の中間活性物質として機能し、このクロム酸カリウムと水酸化カリウムの一部が反応して
4K2CrO+4KOH→4KCrO+2HO+O↑ …(3A)
の反応をし、第1の中間活性物質であるクロム酸カリウム(KCrO)と水蒸気と酸素とを発生する。ここでの酸素も水酸化カリウムの水酸基(OH)から分離される。ここで、発生した第1の中間活性物質であるクロム酸カリウム(KCrO)は反応式(2A)の反応の一部として使用され、酸素は排出管25から水素とともに取出され、水蒸気(HO)は反応式(2A)の反応の一部として使用される。これら3つの反応式(1A)、(2A)、(3A)を総合すると、
2HO→2H+O …(4)
のように、反応式(4)の結果となり、2モルの水から2モルの水素と1モルの酸素が生成されることになり、これらの3つの反応式の反応が繰り返されて水素と酸素が回収される。
【0040】
なお、図5の小型水素発生装置において、蒸発室20と触媒収納室21内を減圧すれば、それらの処理温度を下げることができ、触媒を作る際に、超臨界流体(CO)を使って、酸化クロムと水酸化カリウムとの混合を行なえば、触媒を作る際の熱処理時間、温度を短縮、低下させることができる。
【0041】
次に、現実の使用状態について説明する。
【0042】
図7において、現実に使用されるプラントは、蒸発装置70と、触媒収納装置71とからなり、前記蒸発装置70は水を蒸発させる蒸発部72と、700℃程度の過熱蒸気を作るための補助加熱部73を有し、この補助加熱部73はヒータ74によって過熱蒸気の温度を調整する。
【0043】
前記蒸発装置70は製鉄所の炉80に隣接されてもよく、既存のボイラ81を利用しその付帯設備として設置してもよい。また、プラントではないが、自動車等の内燃機関82の高温排気を利用して蒸発装置70を形成してもよい。
【0044】
前記触媒収納装置71はヒータ91を備えた密閉容器90内に図2、図3のような、触媒を保持した触媒付着板92、92…92を所定間隔を配して設置し、それらの間に水蒸気流路が形成される。なお、触媒収納室90には、真空ポンプ93が接続され、その前後には開閉弁94、95が設けられ、密閉容器90内を減圧できるようになっている。前記密閉容器90には、酸素と水素を分離するための分離フィルタ96が設けられ、この分離フィルタ96で分離された水素は水素タンク97へ、酸素は酸素タンク98へ貯められ、一部水蒸気が混入している場合には、排出管99から排出される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、水素を使用する燃料電池、水素自動車、ボイラー、火力発電所、製鉄所等の分野に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る触媒の製造装置の概略図である。
【図2】触媒付着板の斜視図である。
【図3】触媒付着板の他の実施例を示す斜視図である。
【図4】塊状の触媒を利用した触媒収納装置の概略図である。
【図5】小型水素発生装置の斜視図である。
【図6】小型水素発生装置の蒸発室に供給された水の状態説明図である。
【図7】水素発生プラントの概略構成図である。
【符号の説明】
【0047】
1…加熱槽
2…ヒータ
3…拡販羽根
7…密閉室
8…型
20…蒸発室
21…触媒収納室
26…水蒸気流路
70…蒸発装置
71…触媒収納装置
72…蒸発部
73…補助加熱部
96…分離フィルタ
97…水素タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物と金属水酸化物を金属水酸化物の融点以上で沸点以下の温度に加熱して生成した触媒を高温雰囲気内に設置し、この触媒に水蒸気を接触せしめて前記金属酸化物内の水酸基の水素を取出すようにした水から水素を取出すようにした水素発生方法。
【請求項2】
前記触媒を所定温度以上に加熱せしめて第1中間活性物質と水蒸気と水素を発生せしめる第1反応と、前記第1中間活性物質と外部から供給される水と前記第1反応の水蒸気とを反応せしめて、前記金属酸化物と第2中間活性物質と前記金属水酸化物を発生せしめる第2反応と、前記第2中間活性物質と前記金属水酸化物とを反応せしめて前記第1中間活性物質と水蒸気と酸素を発生せしめる第3反応とからなり、これら第1、2、3反応が繰返されることにより水から水素を取出すようにした請求項1記載の水素発生方法。
【請求項3】
前記金属酸化物は酸化クロム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化モリブデンのいずれか1つであり、前記金属水酸化物は、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウムのいずれか1つであり、前記第1、第2中間活性物質は、金属水酸物内の金属と前記金属酸化物との結合からなり、第1、第2中間活性物質内の金属酸化物の金属の原子価が互いに異なる請求項1又は2記載の水素発生方法。
【請求項4】
金属酸化物と金属水酸化物とを1:1.5〜3の重量比で混合して金属水酸化物の融点以上の温度で加熱溶融し、この溶融物を型内に注入し、次いで型内の溶融物を金属水酸化物の融点以上の温度で加熱し、次いで、800℃以下の温度を維持しつつ、0.1〜0.4Mpaの圧力を加えた後に固化せしめるようにした水を分解するための触媒。
【請求項5】
水を供給して水蒸気を発生せしめる蒸発装置と、金属酸化物と金属酸化物からなる触媒を収納し、前記水蒸気を触媒に接触せしめる触媒収納装置とからなり、前記蒸発装置内で発生する水蒸気は前記触媒収納装置内の触媒の反応温度よりも高い温度を有している水から水素を取出すための水素発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−155195(P2009−155195A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4661(P2008−4661)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(507400088)
【出願人】(504323205)
【Fターム(参考)】