説明

水素結合ヒドロゲル

【課題】ポリマーゲル化剤、水及び必要に応じ他の溶媒を含む新規ゲル化剤、並びに新規ヒドロゲルを調製する方法を提供する。
【解決手段】水素結合単位が共有結合している親水性ポリマーを含む水ゲル化剤を用いた新規ヒドロゲル材料であって、前記ヒドロゲルは、付加的な原材料又は添加物を含有していてもよい。これら新規可逆性ヒドロゲルは、その機械的性能及び機能性を容易に微調整することが可能であることから、化粧品への応用及び生物医学的応用に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性ポリマーを含み、かかる親水性ポリマーに水素結合単位が共有結合しているがゆえに、物理的又は非共有結合的な架橋が、水素結合により可逆的超分子的に形成されている水ゲル化剤からなる新規ヒドロゲル材料に関する。導入された水ゲル化剤が物理的又は非共有結合的に架橋されているため、ヒドロゲル材料の加工は、より容易なものになる。また、そうしたヒドロゲルの材料特性(例えば、機械的強度又は弾性、分解挙動)の微調整も、より容易に制御できる。
【背景技術】
【0002】
ヒドロゲルの特徴は、可逆的な変形が可能なポリマー鎖の三次元網状構造にあるといえる。そうした網状組織は、水などの極性溶媒を吸収するものであり、その応用先としては、例えば、骨移植及び組織接着剤、薬剤送達系、化粧品、医薬品をはじめとする医学的応用、並びに水管理がある。
【0003】
ヒドロゲルは、架橋された形態、又は架橋されていない形態で生じる可能性がある。分子量が外見上又は実際に増大するため、通常は、架橋によって粘度が高まり、結果的にゲルが形成される場合が多い。
【0004】
共有結合の形成によって化学的に、又は、例えば、水素結合若しくはイオン相互作用の形成によって物理的に、架橋を形成することができる。化学的かつ物理的に架橋を形成することも可能であることは明らかである。
【0005】
親水性ポリマーの化学架橋は、ヒドロゲルを得るために一般的に及び頻繁に応用される手段である。こうしたゲルを投与又は加工できるようにするためには、プレポリマーを水に溶解させた後、重合させて、(インサイチュで)ヒドロゲルを形成させる。ヒドロゲル化(hydrogellation)の手順は、アクリルマクロモノマー又はメタクリルマクロモノマーの使用に基づく場合が多く、これらのマクロモノマーは、その固有の毒性のため、及び通常は、危険性のある開始補助剤を重合用に必要とするため、(生物医学的)応用には好適ではない。また、架橋されたヒドロゲルは可逆性を欠失しており、ポリ(アクリレート)及びポリ(メタクリレート)が生分解性ではないため、その分解挙動が制限される。例えば、米国特許第5410016号明細書は、インサイチュで架橋された側鎖アクリレートの機能を含有する、ポリ(エチレングリコール)とポリ(DL−ラクチド)とのコポリマーを主成分とするヒドロゲルを開示している。国際公開第01/44307号パンフレットは、インサイチュで化学的に架橋された側鎖アクリレート基及び側鎖メタクリレート基で修飾されたポリビニルアルコールを主成分とするヒドロゲルを開示している。したがって、どちらの特許においても、反応性基を含有する水処理可能なプレポリマーを出発点とすることによって、不可逆的に架橋されたヒドロゲルが得られる。
【0006】
天然ポリマー、特にコラーゲンを主成分とするヒドロゲルは、生体適合性であり、多くの場合、熱可逆性である(Mooney et al. Chem. Rev. 101, page 1869, 2001)。しかし、これらのヒドロゲルの機械的特性は限られており、例え可能な場合があったとしても、ほとんど調整不可能である。これらの材料においては特に機械的強度が非常に低く、強度をもたせるには付加的な化学修飾が必要となる。しかし、こうした化学修飾の結果、生体適合性及び生分解性が低下してしまう。
【0007】
米国特許第4942035号明細書及び米国特許第5548035号明細書は、親水性ブロックが疎水性ブロックと交互になっているブロックコポリマーを主成分とするヒドロゲルを開示している。例えば、米国特許第4942035号明細書は、2つのポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)ポリエステルブロック(ポリエステルのPEGに対する重量比は、少なくとも1)に囲まれたポリエチレングリコール中央ブロックからなるトリブロックコポリマーが調製されて、水中でゲル化挙動を示したことを開示している。ヒドロゲルの形成は、硬質疎水性ポリエステルブロックの相分離によるものである。よって、ポリエチレングリコールブロックの親水性を相殺してゲル化挙動を保障するためには、疎水性ポリマーの相対量が高くなくてはならない。したがって、これらのゲルの機械的特性の範囲が――例えば弾性に関して――限定されることになる。というのは、こうした特性は主に硬質ブロックによって支配されるからである。
【0008】
国際公開第99/07343号パンフレットは、親水性ポリエチレングリコールブロック及び疎水性PLLA(ポリ−L−乳酸)ブロックを主成分とする、薬剤送達における応用を意図した熱可逆性ヒドロゲルを開示している。ゲル化は、PLLAにより形成される結晶性硬質ブロックの存在により支配される。結晶性PLLAブロックの存在により、これらの材料の機械的特性及び生分解は、かなり限定される。
【0009】
米国特許第6818018号明細書は、物理的架橋形成が可能な第1ポリマーと、化学的架橋形成が可能な第2ポリマーとを含む系を提供することによって、哺乳動物中でインサイチュでの形成が可能なヒドロゲルを開示している。第1ポリマーについては、アイオノマーをはじめとする広範囲にわたる材料から選択してもよく、第2ポリマーについては、共有結合を形成できる化学基を有する事実上すべての材料から選択してもよい。
【0010】
米国特許第5883211号明細書は、水素結合性N−置換基を備えた異なるモノマーを最高で6個まで含有するポリ(アクリルアミド)を主成分とする架橋されていないコポリマーを含む、熱可逆性ヒドロゲルを開示している。熱可逆性ゲル化挙動を示すには、架橋されていないコポリマーにおける、水素結合性N−置換基を備えたこれらのモノマーの相対含有量が、50%を超えている必要がある。
【0011】
一般に、「超分子化学」とは、物理的又は非共有結合性相互作用、配向相互作用、多重(少なくとも2つ)相互作用、協調的相互作用の化学であると理解されている。例えば、「超分子ポリマー」は、異なる分子間の特異的で強力な二次相互作用のため、――例えば、そのレオロジー挙動に関して――ポリマー特性を備えた有機化合物である。これらの物理的又は非共有結合性超分子相互作用は、結果として得られる材料の特性に大きく貢献している。
【0012】
水素結合単位を有する(高)分子を含む超分子ポリマーは、分子間の水素架橋のため、バルク中及び溶液中でポリマー特性を有することができる。Sijbesma et al.(米国特許第6320018号明細書及びScience 278, 1601を参照のこと)は、自己相補的な四重水素結合単位(4H単位)を用いる場合、分子間の物理的相互作用が非常に強くなるため、材料特性がはるかに改善されたポリマーの調製が可能であることを示している。
【0013】
Folmer, B.J.B. et al., Adv. Mater. 2000, Vol. 12, 874、Hirschberg et al., Macromolecules 1999, Vol. 32, 2696、及び国際公開第02/46260号パンフレットにて開示されているように、これまでに数種類のテレケリック(telechelic)ポリマーが4H単位で修飾されている。しかし、開示されたポリマーの水溶液中での挙動及び特性については研究されておらず、その無極性の骨格のため、水に溶解しない、又は水に対する親和性がほとんどないという可能性が高い(例えば、ポリ(エチレンブチレン)、ポリシロキサン及び酸化ポリブチレンが調製されている)。また、これらのポリマーは、ポリマー鎖の(2つの)末端にのみ4H単位を含んでいる。これにより、結果として得られる材料の機械的特性が制限されている。
【0014】
3個のアルコール末端基を有する酸化ポリ(エチレン−プロピレン)コポリマー(PEO−PPO−ポリマー)を、4H単位で修飾した(Lange et al. J. Polym. Sci. A, 1999, 3657及び国際公開第02/098377号パンフレットと比較のこと)。修飾されたポリマーは、クロロホルムやTHFなどの有機溶媒に可溶性であり、ポリマーの粘度は、溶媒の極性にかなり影響されるように見受けられた。例えば、ポリマー溶液に水を添加すると、ポリマー分子間の水素結合が壊れてポリマー分子と水分子との間の水素結合が形成されるため、粘度がかなり低下した。しかし、参考として1個の4H単位を備えた低分子量の化合物を含む溶液の粘度と比較すると、それでもかなり高い粘度であった。いずれにしても、PEO−PPO−ポリマーのPPO含有量が比較的高いため(63%)、この材料は、例え水に溶解する場合があったとしてもほとんど溶解しないと思われ、ポリマーの水中でのテストも行われていない。
【0015】
米国特許プラクティスのために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6803447号明細書は、グラフトされた四重H結合単位を有するポリマーを獲得するための化学作用について開示している。例えば、グラフトされた4H単位を有するポリアクリレート及びポリメタクリレートが、異なる種類の重合法を利用して製造されている。しかし、こうしたポリマーは生分解性成分を含有しておらず、水中でのテストは行われていない。
【0016】
国際公開第03/032929号パンフレットは、中でも、4H単位で骨格が官能基化された非生分解性ポリシロキサンについて開示している。国際公開第03/032929号パンフレットは、2個の4H単位を含む酸化ポリエチレンポリマー及び約5個〜約25個の4H単位を含むポリビニルアルコールについても開示している。後者のこれら2つのポリマーは、例えば、0.4重量%の高分子量ゲル化剤(カルボポル980)、3.8重量%の前記ポリマー、及び、明らかにこれらのポリマーの加工を可能にするために、付加的に10重量%のエタノールを共溶媒として添加した、84.6重量%の水(実施例5と比較のこと)を含むスタイリングジェルに処方される。
【0017】
欧州特許出願公開第1392222号明細書は、中でも、4H単位で修飾された3個のアルコール末端基を有し、前記修飾の結果として非水系で加工可能なポリマーとなった、テレケリック酸化ポリ(エチレン−プロピレン)コポリマー(PEO−PPO−ポリマー)について開示している。しかし、この特許の実施例Cでは、架橋された高分子量ポリアクリレートを主成分とする1.0重量%のゲル化剤、及び共溶媒として17重量%のエタノールをさらに含む水性組成物中に、4H単位を含有しているPEO−PPO−ポリマーを、わずか0.2重量%しか含んでいないヘアスタイリングジェルについて記載している。PEO−PPO−ポリマーを加工可能にするためには、エタノールが多く含まれている必要があることは、明らかである。
【0018】
米国特許出願公開第2003/0079644号明細書は、例えば、米国、ミシガン州、ミッドランドに所在のDow Chemical Co.社より、VORANOL(登録商標)という商品名で市販されているPEO−PPO−ポリマー、及び2(6−イソシアネートヘキシルアミノカルボニルアミノ)−6−メチル−4(1H)−ピリミドンから調製される、2〜4個の4H単位を含むインク用添加物を開示している。米国特許出願公開第2003/0079644号明細書の実施例XIII〜XVIによると、インク組成物は、5重量%までの前記ポリマーと約18〜約35重量%の範囲内の水とを含んでいてもよく、こうした組成物の約25℃での粘度は、わずか10cPであろう(米国特許出願公開第2003/0079644号明細書の段落[0174]及び[0179]と比較のこと)。これは、こうしたポリマーが水ゲル化剤ではないことを暗示するものである。
【0019】
最先端のヒドロゲルの短所のため、可逆的に水をゲル化できる合成ポリマーが求められている。可逆的に水をゲル化できるとは、ヒドロゲルがゲル状態と液体状態との間を移行できることを暗示する。このことによって、こうしたヒドロゲルの容易な加工及び投与が促進されるであろう。加えて、特定の応用の要件を満たせるように、ヒドロゲルの機械的特性を調整できることが望ましい。また、生分解性で可逆性のヒドロゲルを作製することができると有利であろう。
【特許文献1】米国特許第5410016号明細書
【特許文献2】国際公開第01/44307号パンフレット
【特許文献3】米国特許第4942035号明細書
【特許文献4】米国特許第5548035号明細書
【特許文献5】国際公開第99/07343号パンフレット
【特許文献6】米国特許第6818018号明細書
【特許文献7】米国特許第5883211号明細書
【特許文献8】米国特許第6320018号明細書
【特許文献9】国際公開第02/46260号パンフレット
【特許文献10】国際公開第02/098377号パンフレット
【特許文献11】米国特許第6803447号明細書
【特許文献12】国際公開第03/032929号パンフレット
【特許文献13】欧州特許出願公開第1392222号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2003/0079644号明細書
【非特許文献1】Mooney et al. Chem. Rev. 101, page 1869, 2001
【非特許文献2】Science 278, 1601
【非特許文献3】Folmer, B.J.B. et al., Adv. Mater. 2000, Vol. 12, 874
【非特許文献4】Hirschberg et al., Macromolecules 1999, Vol. 32, 2696
【非特許文献5】Lange et al. J. Polym. Sci. A, 1999, 3657
【発明の開示】
【0020】
本発明の課題は、ポリマーゲル化剤、水及び必要に応じ他の溶媒を含む新規ヒドロゲル、並びにそのような新規ヒドロゲルを調製する方法を提供することにある。本発明により、化学架橋の手順を必要とすること、又はゲル化剤の構造中に大きな疎水性ブロック若しくは結晶性ドメインを必要とすることなく、ヒドロゲルを容易に調製できるようになる。本発明のヒドロゲルは、加工又は投与の容易さと、優秀で調整可能な機械的特性とを結合させたものである一方、ヒドロゲルを生分解性にすることについては、任意である。
【0021】
したがって、本発明は、以下のものに関する:
以下を含むヒドロゲル:
(a)少なくとも2個の4H単位が共有結合している親水性ポリマーからなる、前記ヒドロゲルの総重量に対して0.3〜50.0重量%の水ゲル化剤であって、前記4H単位が、一般式(1)又は(2)を有している水ゲル化剤
【0022】
【化1】

【0023】
(式中、C−X及びC−Y結合は、それぞれ一重又は二重結合を表し、nは4又はそれ以上であり、Xは、それらに結合した対応する一般的形態(2)を含有するH架橋形成モノマー単位と水素架橋を形成するドナー又はアクセプタを表し、Xがドナーを表す場合はYはアクセプタを表し、逆にXがアクセプタを表す場合はYはドナーを表す。);及び
(b)50.0〜99.7重量%の水。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本件の明細書及びその特許請求の範囲において、「含む(comprise)」という動詞及びその活用形は、非制限的な意味で用いられており、その語の後に続く事物が含まれていることを意味するが、具体的に記載されていない事物が除外されているわけではない。また、不定冠詞「a」又は「an」を用いてある要素に言及している場合、文脈上明らかに、そうした要素のうちの1つだけが存在すると解釈すべき場合を除いては、その要素が2以上存在する可能性を除外するものではない。このように、不定冠詞「a」又は「an」は、通常は「少なくとも1つの(at lease one)」という意味をもつ。
【0025】
四重水素結合単位(4H単位)を含む超分子親水性ポリマーを調べてみたところ、驚くべきことに、これらの材料が可逆的に水をゲル化できることがわかった。予想していたこととは対照的に、極性水分子の存在によって水素結合相互作用の強度が損なわれることはなかった。結果として、ポリマー骨格の性質及びポリマー中の4H単位の量によって、多様な機械的特性を備えた多種多様なヒドロゲルを作製することができた。超分子水素結合相互作用の可逆性により、温度、ポリマーゲル化剤の濃度、又は溶媒の極性若しくはイオン強度を変えることで、ゲル状態と液体状態との間を可逆的に移行することが可能となる。したがって、所望の応用に向けて、ヒドロゲルを容易に加工又は投与することができるようになる。また、可逆的超分子相互作用は、ヒドロゲル材料の生分解にも有利に働くことができる。
【0026】
4H単位
4H単位が、X...X及びY...Yという4個のドナー又はアクセプタを含むように、式(1)及び(2)においては、n=4であることが好ましい。4H単位は、自己相補的(すなわち、2個の水素結合単位X...X及びY...Yが、ドナー及びアクセプタについて同等の配列を有する)であってもよく、非自己相補的(すなわち、2個の水素結合単位X...X及びY...Yが、ドナー及びアクセプタについて2つの異なる配列を有する)であってもよい。4H単位は、2個の連続したドナーの後に2個の連続したアクセプタを含んでいることが好ましい。すなわち、X及びXがドナーで、X及びXがアクセプタであることが好ましい。かかるドナー及びアクセプタは、O、S、及びN原子であることが好ましい。4H単位は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6320018号明細書にて、詳しく開示されている。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によると、4H単位は、一般式(3)又は式(4)、及びその互変異性体を有し
【0028】
【化2】

【0029】
[式中、Xは、置換基R15を備えた窒素原子又は炭素原子、好ましくは、Xは窒素であり、R、R、R15及びRは、以下の(a)〜(i)からなる群から選択される:
(a)水素;
(b)C〜C20アルキル;
(c)C〜C12アリール;
(d)C〜C12アルカリル;
(e)C〜C12アルキルアリール;
(f)式(5)を有するポリエステル基
【0030】
【化3】

(5)
【0031】
(式中、R及びYは、水素及びC〜C直鎖又は分岐アルキルからなる群から独立して選択され、nは、1〜6であり、mは、10〜100である。);
(g)式(6)に記載の1〜4個のウレイド基で置換されたC〜C10アルキル基

−NH−C(O)−NH−
(6)

(式中、Rは、水素及びC〜C直鎖又は分岐アルキルからなる群から選択される。);
(h)式(7)を有するポリエーテル基
【0032】
【化4】

(7)
【0033】
(式中、Y、R及びRは、水素及びC〜C直鎖又は分岐アルキルからなる群から独立して選択され、oは、10〜100である。)]、及び
前記4H単位は、R、R及び/又はRを介して(R、R又はRが直接結合を表すように)、(a)〜(h)に記載の側鎖を独立して表している他のR基と共にポリマー骨格に結合している。
【0034】
第一の好ましい実施形態においては、4H単位が、Rを介して(Rが直接結合を構成するように)ポリマー骨格に結合している一方で、R及びRは独立して、先に定義した(a)〜(h)の基のいずれかであり、好ましくは(b)の基であり、より好ましくは2−エチルペンチル又はメチルであり、最も好ましくはメチルである。最も好ましくは、4H単位が、Rを介してポリマー骨格に結合している一方で、Rは先に定義した(a)〜(h)の基のいずれかであり、より好ましくは(b)の基であり、さらに好ましくは2−エチルペンチル又はメチルであり、最も好ましくはメチルであり、Rは水素である。
【0035】
第二の好ましい実施形態においては、4H単位が、R及びRを介して(R及びRが直接結合を構成するように)ポリマー骨格に結合している一方で、Rは先に定義した(a)〜(h)の基のいずれかであり、好ましくは(a)又は(b)の基であり、より好ましくは(a)の基であり、あるいは、4H単位が、R及びRを介して(R及びRが直接結合を構成するように)ポリマー骨格に結合している一方で、Rは先に定義した(a)〜(h)の基のいずれかであり、好ましくは(b)の基であり、より好ましくは2−エチルペンチル又はメチルであり、最も好ましくはメチルである。4H単位が、R及びRを介してポリマー骨格に結合している一方で、Rは先に定義した(a)〜(h)の基のいずれかであり、好ましくは(b)の基であり、より好ましくは2−エチルペンチル又はメチルであり、最も好ましくはメチルであることが、この実施形態にとって最も好ましい。
【0036】
当業者にとっては明らかなことだが、先に定義した(b)〜(h)の基は、必要に応じて直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。
【0037】
親水性ポリマー
本発明の水ゲル化剤は、親水性ポリマーのポリマー骨格に共有結合している4H単位を、2〜50個含んでいることが好ましく、3〜50個含んでいることがより好ましく、4〜30個含んでいることがさらに好ましく、6〜20個含んでいることが最も好ましい。
【0038】
本発明によると、親水性ポリマーは、水に対して少なくとも1g/lの可溶性を備えたポリマーであると定義されている。また、国際公開第2005/042641号パンフレットに開示されているように、親水性ポリマーと水ゲル化剤のいずれにもイオン基が含まれていないことが、好ましい。
【0039】
水ゲル化剤を調製するために使用する親水性ポリマーは、異なる化学的性質及び/又は異なる分子量を有する親水性ポリマーから構成される可能性がある。4H単位の親水性ポリマーへの結合は、例えば、親水性ポリマーへのグラフトによるもの、親水性ポリマーの複数の末端基への結合によるものなど、どのような方式でも可能である。あるいは、4H単位は水ゲル化剤を構成するポリマーの骨格の不可欠な部分である可能もある。当業者には明らかなように、これらの結合形態の組合せによって、4H単位を結合させてもよい。
【0040】
本発明の第一の好ましい実施形態によると、親水性ポリマーは、4H単位を共有結合的にグラフトできる(部分的又は全体的修飾)多数の末端基を有する多官能性ポリマーである。本発明のこの実施形態に記載の水ゲル化剤の数平均分子量は、1200〜1,000,000ダルトンであり、より好ましくは2000〜50000ダルトンであり、最も好ましくは7500〜21000ダルトンである。
【0041】
本発明の第二の好ましい実施形態によると、4H単位が共有結合できる多数の官能性末端基を有するテレケリックポリマー、官能性星形ポリマー、官能性(超)分岐ポリマー及び官能性樹状ポリマーからなる群から独立して選択される親水性ホモポリマーまたは親水性コポリマーに対して、4H単位を(部分的)末端官能基化することができる。本発明のこの第二の実施形態に記載の水ゲル化剤の数平均分子量は、1200〜100.000ダルトンであり、より好ましくは2000〜50000ダルトンであり、最も好ましくは7500〜21000ダルトンであることが、より好ましい。
【0042】
本発明の第三の好ましい実施形態によると、水ゲル化剤はブロックコポリマーであって、親水性ポリマーと4H単位とが交互になっているが、その交互状態は、整然としているか、ランダムであるか、又はその間のいずれかの状態にあるか、のいずれかである。すなわち、4H単位は、水ゲル化剤を構成するポリマー鎖の不可欠な部分を形成している。ブロックコポリマーはジブロックコポリマーであってもよく、3又は4個の異なるブロックを含有していてもよく、そのため、ブロックコポリマー中で、4H単位を含む多数のブロックと4H単位を全く含んでいない多数のブロックとが、いかなる状態であれ交互になっていることは、本発明の開示の範囲内である。本発明のこの第三の実施形態に記載の水ゲル化剤の数平均分子量は、1200〜100.000ダルトンであり、より好ましくは2000〜50000ダルトンであり、最も好ましくは7500〜21000ダルトンであることが、より好ましい。
【0043】
本発明の第一の好ましい実施形態に記載の親水性ポリマーは、天然物に由来するものであっても合成物に由来するものであってもよい。しかし、本発明によると、本発明のこの第一の好ましい実施形態に記載の親水性ポリマーは、合成物に由来するものであることが好ましい。
【0044】
第一の好ましい実施形態に記載の親水性ポリマーが天然物に由来するものである場合、かかる親水性ポリマーは、タンパク質、例えば、コラーゲン、ゼラチン、又は線維素からなる群から選択されるタンパク質、及び多糖類、例えば、ヒアルロン酸、アガー、アガロース、キサンタンゴム、天然ゴム、アルギン酸、キトサン若しくはイヌリンからなる群から選択される多糖類、又はそれらに由来する、好ましくはコラーゲン又はキトサンに由来する合成誘導体からなる群から選択されることが好ましい。本発明のこの好ましい実施形態に記載の水ゲル化剤の数平均分子量は、好ましくは1200〜1,000,000ダルトンであり、より好ましくは2000〜500000ダルトンであり、最も好ましくは7500〜50000ダルトンである。
【0045】
第一の好ましい実施形態に記載の親水性ポリマーが合成物に由来するものである場合、かかるポリマーは、ビニルモノマーの(共)重合によって得ることができることが好ましい。こうしたモノマーは、以下の(a)〜(i)からなる群から選択されることが好ましい:
(a)式(8)に記載のモノマー
【0046】
【化5】

(8)
【0047】
[式中、Rは、以下の(i)〜(v)からなる群から独立して選択され、Rは、水素又はメチルである:
(i)OH;
(ii)1〜6個のヒドロキシ基で置換されていてもよいC〜C12直鎖又は分岐アルコキシ;
(iii)式−N(R10に記載のアミドであって、式中、R10は、水素、又は1〜6個のヒドロキシ基で置換されていてもよいC〜C直鎖又は分岐アルキルであってもよい;
(iv)式−[N(R10に記載のアンモニウム塩であって、式中、R10は、(iii)で定義した通りであり、Xは、ハロゲン原子である;及び、
(v)式(9)に記載の基
【0048】
【化6】

(9)
【0049】
(式中、R10は、(iii)で定義した通りであり、pは、1〜50であり、q=2又は3であり、(CHは直鎖状又は分岐状であってもよい。)];
(b)C〜C12直鎖又は分岐アルキルビニルエーテル;
(c)ビニルアルコール;
(d)アルカリ土類金属カチオン又はアルカリ金属カチオンを有するC〜C12α−アルケニレンω−スルホン酸;
(e)式(10)に記載のC〜C12ビニルアリールスルホン酸
【0050】
【化7】

(10)
【0051】
[式中、R10は、(iii)で定義した通りであり、Mは、アルカリ土類金属又はアルカリ金属カチオンである。];
(f)CH=CH−R11であって、式中、R11は、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリジル、インドリル、インドリジニル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、フタリジニル、ナフチピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、ピロリドニル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、モルホリニル、イソオキサゾリル、フラザニル、及びイソチアゾリルからなる群から選択される;
(g)CH=CH−O−C(O)R12であって、式中、R12は、C〜C直鎖又は分岐アルキルからなる群から選択される;
(h)CH=CH−CHOR13であって、式中、R13は、水素及びC〜C直鎖又は分岐アルキルからなる群から選択される;及び、
(i)式(11)に記載のN−ビニルラクタム。
【0052】
【化8】

(11)
【0053】
[式中、R13は、(h)で定義した通りであり、rは、2〜6である。]
【0054】
こうしたモノマーは、必要に応じ(b)、(d)〜(i)の基と共重合された、(a)及び(c)の基から選択されることがより好ましく、このモノマーは、(a)であることが最も好ましい。本発明のこの好ましい実施形態に記載の水ゲル化剤の数平均分子量は、1200〜100.000ダルトンであり、より好ましくは2000〜50000ダルトンであり、最も好ましくは7500〜21000ダルトンである。
【0055】
本発明の第二の好ましい実施形態に記載の親水性ポリマーは、多官能性開始剤をコア分子として使用する、酸化エチレン、酸化プロピレン又はそれらの混合物の重合により得ることができることが好ましい。本発明の第二の好ましい実施形態に記載の親水性ポリマーの好ましい例としては、OH及び/又はNH末端基を有するテレケリックポリ(エチレングリコール)ポリマー、OH及び/又はNH末端基を有するポリ(エチレングリコール)星形ポリマー、例えば、オランダ国、DSM社製のHybrane(登録商標)及びスウェーデン国、Perstorp社製のBoltorn(登録商標)などのOH末端基を有する超分岐ポリマー、分岐ポリグリセロール、並びにOH末端基を有する分岐ポリエステルなどが挙げられる。
【0056】
OH末端基を有するポリ(エチレングリコール)星形ポリマーについては、例えば、ジビニルベンゼンをコア分子として使用し、その後、そのコアから、酸化ポリエチレンのアームが外側へと成長するアニオン性リビング重合によって調製することができる。他の方法としては、酸化ポリエチレンのアームがそこから外側方向へと成長することが可能な多数の反応基を有する樹状コア分子の使用が挙げられる。例えば、グリセロール及びその誘導体、又はサッカロースなど、より単純な開始剤を、コア分子として使用することもできる。例えば、グリシドールのルイス酸触媒重合によって、OH末端基を有する分岐ポリグリセロールを得ることができる。例えば、分岐ポリエステルについては、ジカルボン酸及び/又はジカルボン酸無水物、ポリエチレングリコールなどのジオール、及び、例えばトリメチルプロパン又はグリセロールなどの、少なくとも3個のOH基を有する多官能性アルコールを重合することによって、調製できる。この第二の好ましい実施形態においてより好ましいのは、親水性ポリマーが、式(12)に記載のOH末端基を有する(酸化)ポリ(エチレン)ポリマーであることである:
Z−[(CHCHO)−H]
(12)
式中、Zはコア分子を表し、rは4〜50の範囲内であり、sは2〜30の範囲内であり、より好ましくは、sは2〜15の範囲内であり、最も好ましくは、sは3〜12の範囲内である。
【0057】
本発明の第三の好ましい実施形態に記載の親水性ポリマーは、以下の(a)〜(g)からなる群から選択されることが好ましい:
(a)ポリオキシアルキレン構造及びOH末端基を有するポリエーテルジオール;
(b)OH末端基を有するポリエステル及びコポリエステル;
(c)OH末端基を有するポリカーボネート及びコポリカーボネート;
(d)OH末端基を有するポリオルソエステル;
(e)(水素化)ポリオレフィンジオール;及び
(f)ポリウレタン;及び
(g)これらの好ましいポリマー(a)〜(e)の組合せを主成分とするポリマー及びコポリマー。
【0058】
当業者には自明のことだが、上に列挙したポリマー(a)〜(g)のなかには、それ自体では本来は親水性ではないものもあるかもしれないが、それらを適量の水溶性ポリマー及び4H単位と共重合すると、水ゲル化剤を得ることができる。
【0059】
ポリマー(a)の例としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)グリコール(ランダム又はブロック)、ポリテトラメチレングリコールなどの、ポリオキシアルキレン構造及びOH末端基を有するポリエーテルジオール類が挙げられる。ポリマー(b)の例としては、例えばアジピン酸などのジカルボン酸類、及び1,6−ヘキサンジオールなどのジオール類の重縮合によって、又は、例えば乳酸などのヒドロキシ酸類の重縮合によって作られるポリエステル及びコポリエステルがあり;例えばε−カプロラクトン、グリコリド、ラクチド、δ−バレロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、オキセパン−2,7−ジオンなどの開環重合によって作られるポリエステル及びコポリエステルなどがある。ポリマー(c)の例としては、例えば1,6−ヘキサンジオール、又はグリコールポリカーボネートを主成分とするポリカーボネート及びコポリカーボネート、例えば、トリメチレンカーボネート、1,3−ジオキセパン−2−オン、1,3−ジオキサノン−2−オン、1,3,8,10−テトラオキサシクロテトラデカン−2,9−ジオンなどの開環重合によって作られるポリカーボネート及びコポリカーボネートがある。ポリマー(d)の一例としては、例えば3,9−ジエチレン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを主成分とするポリオルソエステルがある。ポリマー(e)の例としては、OH官能基化ポリブタジエン及びOH官能基化(水素化)ポリ(エチレン−ブチレン)がある。ポリマー(f)の一例としては、ポリカプロラクトンジオールとヘキサンジイソシアネートとの反応によって作られるポリウレタンがある。ポリマー(g)の一例としては、ポリカプロラクトンとポリエチレングリコールとのOH官能基化ブロックコポリマーがある。
【0060】
この第三の好ましい実施形態に記載の親水性ポリマーは、OH末端基を有するポリエチレングリコール又は式(13)に記載のOH末端基を有するポリ(エチレン−コ−プロピレン)ランダムグリコール又はブロックグリコール
【0061】
【化9】

(13)
【0062】
[式中、R14は、水素又はメチルであり、tは、20〜100である。]、重縮合又は開環重合によって調製される二官能性ポリエステル、及び開環重合によって作られるポリカーボネートからなる群から選択されることが好ましい。この第三の好ましい実施形態に記載の親水性ポリマーは、OH末端基を有するポリエチレングリコール又は式(13)に記載のOH末端基を有するポリ(エチレン−コ−プロピレン)ランダムグリコール又はブロックグリコールからなる群から選択されることが最も好ましい。
【0063】
好ましさの点では劣るものの、式(13)に記載のポリマーの代替物として、Huntsman社が販売しているJeffamines(登録商標)などの、末端アミノ基を有するポリオキシアルキレンアミンを用いてもよい。
【0064】
ヒドロゲル
本発明のある実施形態において、水ゲル化剤は生分解性部分を含んでおり、そうした生分解性部分は、一重結合(例えば、エステル結合)又は結合(linkages)であるかもしれず、又は複数の生分解性結合(biodegradable bonds)を有する領域(例えば、ポリエステル又はオリゴエステル)であるかもしれない。前記生分解性部分は、親水性ポリマーの4H単位を含まない部分の内部、4H単位そのものの中、及び/又は親水性ポリマーと4H単位との間の結合部分(attachments)中に生じる場合がある。生分解性結合又は結合の例としては、共有エステル結合、チオエステル結合、オルソエステル結合、チオオルソエステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、又はアミド結合などがあるが、エステル結合が好ましい。
【0065】
ヒドロゲル中の水ゲル化剤の量は、ヒドロゲルの総重量に対して、0.3重量%〜50.0重量%の範囲内、好ましくは1重量%〜40重量%、より好ましくは4重量%〜30重量%、最も好ましくは5重量%〜20重量%である。ヒドロゲルの特定の用途に役立つ付加的な機能性原材料が、ヒドロゲルに含まれていてもよい。
【0066】
ヒドロゲルは、ヒドロゲルの総重量に対して50.0〜99.7重量%、好ましくは60〜99重量%、最も好ましくは80〜98重量%の水を含んでいる。
【0067】
他の極性溶媒、好ましくは20℃での誘電率εが少なくとも約20である極性溶媒がヒドロゲルに含まれていてもよいのは、自明のことである。上限は、純水の20℃での誘電率εによって定められており、約80である(Handbook of Chemistry & Physics, 59th Ed., page E-61, 1978 - 1979)。適切な例としては、DMSO、アルコールが挙げられ、好ましくはエタノール及びグリコールが挙げられるが、より好ましくはエタノール及びアセトンなどのケトン類が挙げられる。他の溶媒の量としては、ヒドロゲルの総重量に対しての計算で、15重量%未満であることが好ましく、8重量%未満であることがより好ましく、2重量%未満であることが最も好ましい。
【0068】
本発明のヒドロゲルは、親水性ポリマーの性質及び親水性ポリマーに結合している4H単位の数によって、弾性から頑強性まで、幅広い範囲の機械的特性を有している。ヒドロゲルにおける可逆的架橋のため、熱を加えること、溶媒の性質又は水ゲル化剤の濃度を変えることで、ゲル状態から液体状態への移行が可能になる。したがって、ヒドロゲルの加工又は投与は、吹き付けやポンピング(pumping)のような、液体用として知られているプロセスを用いて行うことができる。ポンピングや吹き付けなど、水ゲル化剤の溶解処理を容易に行えるように、ヒドロゲル中に存在するポリマーは、数平均分子量が比較的低いことが好ましく、1200〜100000の範囲内であることが好ましく、2000〜50000であることがより好ましく、7500〜21000であることが最も好ましい。
【0069】
スキンクリーム、抗しわ組成物など化粧品への応用や、薬剤送達制御、組織工学、創傷包帯及び創傷ケア、人工関節軟骨材料、ソフトコンタクトレンズ、組織接着、医療機器用の平滑コーティング、水性溶媒用の超吸収材、増粘剤など医薬的応用又は生物医学的応用に、ヒドロゲルを用いることができる。
【0070】
本発明は、ポリマー材料に関するいかなる理論にもとらわれるものではないが、ヒドロゲルの機械的強度及びその他の材料特性は、ポリマー骨格の性質、ポリマー鎖1つ当たりの4H単位の量、及び4H単位と親水性ポリマーがお互いに連結されている方式と関連していると考えられている。例えば、重合度の高い親水性ポリマーを使用すると、一般に、より弾性のある材料が得られるのに対し、重合度の低い親水性ポリマーの場合は、一般に、より頑強性のある材料が得られることがわかっている。ポリマー鎖1つ当たりの4H単位の量を増加させると、ポリマー中の化学架橋又は結晶性ドメインを必要としない、より強度が高く、粘着性の少ない材料が得られる。したがって、これらの新規ヒドロゲル材料については、当該技術で周知の従来のヒドロゲルと比べて、相対的に低い温度での加工が可能である。
【0071】
本発明のヒドロゲルは、3つの異なる方法で調製可能である:(i)40℃〜95℃、好ましくは60℃〜90℃の高温で、ヒドロゲルを水性溶媒に溶解させることができる。続いて、0℃〜40℃、好ましくは20℃〜40℃に冷却する;(ii)0℃〜60℃、好ましくは20℃〜40℃の温度で、ヒドロゲルを水性溶媒中で膨潤させることができる;及び(iii)例えば、THF、アセトン、MEK、エタノールなどのアルコール類、DMSO、NMPなどの有機水混和性溶媒、又は溶媒混合物にヒドロゲルを溶解又は分散させることができる。続いて水を添加した後に、真空蒸発により有機溶媒を必要に応じ除去する、又は、水での洗浄により有機溶媒を除去する。
【0072】
型の中で水性溶媒を水ゲル化剤でゲル化した後、ヒドロゲルをゲルの形態で塗布し、続いて、最後にゲルを切断する、又は、水ゲル化剤を液体状態で塗布し、続いて、有効量のポリマーを所望の部位に投与した後、ポリマーをゲル化してヒドロゲルとする。
【0073】
ヒドロゲルの付加的原材料は、抗酸化剤、防腐剤、充填剤、塩類、pH緩衝剤、染色剤、骨抽出物、美容活性種(cosmetic active species)、又は生物活性種であってもよい。
【0074】
本発明の好ましい実施形態においては、しわ取りクリーム、フェイスマスク、マスカラベース、乾燥肌用保護薬など、化粧品への応用にヒドロゲルが使用され、一般に用いられているゼラチン性調製物との置き換え、又はかかる調製物への添加が行われている。
【0075】
本発明の別の好ましい実施形態において、薬剤の放出制御、組織工学用骨格、又は組織用接着剤若しくはシーラント剤など、生物医学的応用にヒドロゲルが用いられている。こうした使用においては、生物活性及び薬学的活性を有する化合物もヒドロゲルに含まれていることが好ましい。ヒドロゲルには、例えば生細胞、酵素、又は微生物などの生物活性種も含まれていてもよい。本実施形態における生細胞は、個々の動物及び植物細胞、細胞クラスター、組織、器官、及び細菌、真菌又はかびなどの生物を含む生物を意味し、それらを包含するものである。本明細書で使用されている生物活性及び薬学的活性を有する化合物としては、治療上、診断上、美容上、又は予防上の効果をもたらす化合物、組織増殖、細胞増殖、細胞分化に作用する又は関与する化合物、免疫応答などの生物学的作用を引き起こせる可能性、又は1以上の生物学的プロセスにおいて他の何らかの役割を果たせる可能性のある化合物などが挙げられる。そうした化合物、ペプチド又は非ペプチド、タンパク質又は非タンパク質としては、抗菌剤(抗細菌剤、血液療法剤及び抗真菌剤を含む)、抗ウィルス剤、抗腫瘍剤、ホルモン、ホルモン拮抗薬、ミネラルコルチコステロイド又はグルココルチコステロイドなどのコルチコステロイド、アンドロゲン、エストロゲン、プロゲスチン、免疫原性薬剤、抗炎症剤、抗痛風薬、中枢性鎮痛剤、局所麻酔剤、中枢性筋肉弛緩剤、成長因子、(蛍光)染色剤、造影剤、核酸、脂質、リポ多糖類、(多)糖類、ビタミン、並びに一般的なペプチド、ポリペプチド及びタンパク質などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
前記のリスト以外に、活性酸素捕捉剤、及びアパタイトのような骨抽出物などの無機化合物をヒドロゲルに負荷することも可能である。
【0077】
本発明の範囲内において、ポリマー性質を有する薬剤を組み込むことは可能であるが、1500未満、又は500未満という比較的少ない分子量の薬剤又はビタミンを組み込むことも可能である。
【0078】
また、ヒドロゲルには、2以上の異なる生物活性化合物が存在していてもよい。このことは、生物活性が多価相互作用及び/又は相乗的相互作用に基づいている場合、特に有益である。そのような相互作用の例としては、RGDペプチドとPHSRNペプチドの組合せにより細胞接着が有利に媒介されることが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0079】
実施例
以下の実施例により、本発明の好ましい実施形態についてさらに説明する。特に記載のない場合、化学品はAldrich社より入手している。
【実施例1】
【0080】
実施例1:UPy1の調製
1,6−ヘキシルジイソシアネート(650g)及びメチルイソシトシン(又は2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチル−ピリミジン、65.1g)を、容量2リットルのフラスコ内で懸濁した。混合液を、アルゴン雰囲気下、100℃にて一晩攪拌した。室温まで冷却した後、攪拌を続けながら、1リットルのペンタンを懸濁液に添加した。生成物を濾過し、ペンタンで数回洗浄して、真空乾燥を行った。白色粉末を得た。H−NMR(400MHz、CDCl):δ13.1(1H)、11.8(1H)、10.1(1H)、5.8(1H)、3.3(4H)、2.1(3H)、1.6(4H)、1.4(4H)。FT−IR(ニート):ν(cm−1)。2935、2281、1698、1668、1582、1524、1256。
【実施例2】
【0081】
実施例2:UPy2の調製
2−アミノ−4−ヒドロキシ−5−(2−ヒドロキシエチル)−6−メチル−ピリミジン(12グラム)を、IPDI(150mL)中に懸濁し、アルゴン雰囲気下、90℃にて一晩攪拌した。透明な溶液となった。かかる溶液を冷却し、ヘキサン中で沈殿させた。固形物を濾過し、別のヘキサン中で攪拌した後、濾過、ヘキサンでの洗浄、及び残渣の乾燥により、生成物を単離した。収率:98%。H−NMR(400MHz、CDCl):δ13.1(1H)、11.9(1H)、10.2(1H)、4.8〜4.5(1H)、4.2(2H)、4.0〜3.2(3H)、3.1〜2.9(3H)、2.7(2H)、2.3(3H)、1.9〜1.6(4H)、1.4〜0.8(26H)。FT−IR(ニート):ν(cm−1)。2954、2254、1690、1664、1637、1590、1532、1461、1364、1307、1257、1034、791。MALDI−TOF−MS、[M]=614、[M+Na]=636。
【実施例3】
【0082】
実施例3:UPy3の調製
メチルイソシトシン(5.2g)をイソホロンジイソシアネート(IPDI、50mL)に添加した後、アルゴン雰囲気下、90℃にて3日間攪拌した。結果として得られた透明な溶液を、ヘプタン中で沈殿させた。白色の粘性物質を回収し、150mLのヘプタン中で加熱して、氷上で冷却し、濾過した。白色の残渣について同じ手順をもう1回繰り返し、白色粉末を得た。H−NMR(400MHz、CDCl):δ13.1(1H)、12.0(1H)、10.1(1H)、5.9(1H)、4.1〜3.1(3H)、2.1(3H)、2.0〜0.9(15H)。FT−IR(ニート):ν(cm−1)2954、2255、1696、1662、1582、1524、1247。
【実施例4】
【0083】
実施例4:4H単位を備えたポリHEMA系ヒドロゲル
UPy1(実施例1、79g)をクロロホルム(1.5L)に懸濁し、その後、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA、64mL)及び15滴のジブチル錫ジラウレートを添加した。混合液を、オイルバス温度90℃にて4時間攪拌し、その後、冷却して濾過した。濾過物を濃縮して過剰のジエチルエーテル中に滴下した。白色沈殿物を濾過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄した。真空乾燥を行ったところ、4H単位を含有するメタクリレートからなる白色固形生成物(90g)を得た。H−NMR(400MHz、CDCl):δ13.1(1H)、11.8(1H)、10.1(1H)、6.1(1H)、5.8(1H)、5.6(1H)、5.0(1H)、4.3(4H)、3.3〜3.2(4H)、2.1(3H)、1.9(3H)、1.7〜1.2(8H)。FT−IR(ニート):n3301、2932、1720、1699、1685、1665、1582、1525、1258。
【0084】
この、4H単位を含有するメタクリレート(200mg)を、DMF(15mL)中でHEMA(5mL)、AIBN(12mg)、及び移動剤であるメルカプトエタノール(75マイクロリットル)と混合し、重合の前に、アルゴンでこの混合液を1時間脱気した。80℃にて約3〜4時間の重合を行った後、混合液を室温に冷却し、THF/ヘキサン(3/1、v/v)中に沈殿させてポリマーを回収した。
【0085】
このポリマー(250mg)を、THF(1mL)とエタノール(0.1mL)中に溶解させ、この溶液に水(500mg)を添加し、続いて真空中で有機溶媒を蒸発させて、ヒドロゲルを得た。
【実施例5】
【0086】
実施例5:4H単位を備えたイヌリン系ヒドロゲル
チコリから得たイヌリン(1.8g、DP:10〜14)に対し、70℃で12時間の真空乾燥を行った。乾燥させたイヌリンを無水NMP(10mL)に溶解させ、70℃に加熱した結果、黄色味を帯びたやや濁りのある溶液を得た。この溶液にUPy1(0.98g)を添加し、反応混合液を70℃で12時間攪拌し、続いて水(60mL)を添加したところ、ヒドロゲルが形成された。結果として得られたヒドロゲルを、その後、水(10mL)で6回すすいだ。
【実施例6】
【0087】
実施例6:4H単位を備えたキトサン系ヒドロゲル
5重量%の乳酸を含む水に高分子量のキトサンを溶解させ、全濃度5重量%のキトサンを含む溶液を得た。全キトサン濃度が1重量%に達するまで、この溶液をDMSOで希釈した。この溶液にUPy1(キトサン中の反復単位数と比較して、0.3等量)を添加した後、混合液をボルテックスしてテフロン(登録商標)製の型に流し入れ、続いて75℃で1時間硬化させたところ、透明なゲル化された系(gelled system)を得た。DMSOを除去するため、及び透明で剛性のキトサンヒドロゲルを得るため、これらのゲルをエタノールで5回抽出した。
【実施例7】
【0088】
実施例7:4H単位を備えたPEG−星形ヒドロゲル
6merのグリセロールを主成分とする8つのヒドロキシ開始側(initiator sides)を備えた開始剤を用いた酸化エチレンのイオン重合により、総分子量が10kDaの8星型ポリ(エチレングリコール)を得た。このPEG−星形(1.0g)を80℃で12時間真空乾燥させた後、クロロホルム(50mL)に溶解させ、続いてUPy3(278mg)及び2滴のジブチル錫ジラウレートを添加した。反応混合液を80℃に加熱し、8時間攪拌した後、水を4滴添加した。反応混合液を冷却し、濾過してジエチルエーテル中で沈殿させ、白色沈殿物を得た。H−NMR(400MHz、CDCl):δ13.1、11.8、10.1、5.8、5.0〜4.6、4.2、3.8〜2.8、2.2、1.9〜1.5、1.4〜0.8。
【0089】
結果として得られた、8個の4H単位を含有するPEG−星形(200mg)をTHF(1mL)に溶解させ、続いて水(1.8mL)を添加したところ、透明な溶液を得た。真空中でTHFを除去し、ヒドロゲルを得た。
【実施例8】
【0090】
実施例8:4H単位を備えたPEG−ブロックコポリマーヒドロゲル
実施例8D用に例示する一般的な手順:テレケリックヒドロキシ末端PEG−6000(10.20g)を、三つ口フラスコ内において真空中で120分間、120℃に加熱し(実施例8c及び実施例8Gでは、この乾燥ステップの前に2回目のテレケリックポリマーを添加する)、その後、80℃に冷却した。UPy2(1.25g)及び2滴のジブチル錫ジラウレートを溶解させたトルエン(40mL)をポリマー融液に添加し、アルゴン下、80℃にて、溶液を一晩攪拌した。反応混合液を40mLのTHFで希釈し、ジエチルエーテル中に沈殿させた。物質は白色(半結晶状)で、弾性及び頑強性がある。H−NMR(300MHz、CDCl/CDOD):δ4.1、3.6、2.8、2.2、1.8〜1.4、1.2〜0.8。
【0091】
結果として得られたPEG−UPy2ブロックコポリマーをTHF(1g/4mL)中に溶解させ、このTHFに、適正な固形物負荷量が得られるように適量の水を添加した。その後、これらの透明な溶液を真空中に入れてTHFを除去し、表1に記載の通りの異なるヒドロゲルを得た。
【0092】
表1に示すように、異なる分子量、異なるUPy2比、及び異なる水ゲル化剤負荷量を有する異なるポリエチレングリコールに対して、この手順を繰り返した:
【0093】
【表1】

a:PEGnnnnは、Mがnnnnのテレケリックヒドロキシ末端酸化ポリエチレンを意味する;例えば、PEG2000は、2kg/モルのMを有する。
b:PCl2000は、Mが=2.1kg/モルのヒドロキシ末端ポリカプロラクトンジオールである。
c:モル等量は、実施例8C及び8Dの両方のポリマーの合計に基づいて計算している。
d:固形物負荷量は、水ゲル化剤の重量をヒドロゲルの総重量で割ったものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むヒドロゲル:
(a)少なくとも2個の4H単位が共有結合している親水性ポリマーからなる、前記ヒドロゲルの総重量に対して0.3〜50.0重量%の水ゲル化剤であって、前記4H単位が、一般式(3)又は式(4)、及びその互変異性体を有し
【化1】

[式中、Xは、置換基R15を備えた窒素原子又は炭素原子であり、R、R、R15、及びRは、以下の(i)〜(viii)からなる群から独立して選択される:
(i)水素;
(ii)C〜C20アルキル;
(iii)C〜C12アリール;
(iv)C〜C12アルカリル;
(v)C〜C12アルキルアリール;
(vi)式(5)を有するポリエステル基
【化2】

(5)
(式中、R及びYは、水素及びC〜C直鎖又は分岐アルキルからなる群から独立して選択され、nは、1〜6であり、mは、10〜100である。);
(vii)式(6)に記載の1〜4個のウレイド基で置換されたC〜C10アルキル基
−NH−C(O)−NH−
(6)
(式中、Rは、水素及びC〜C直鎖又は分岐アルキルからなる群から選択される。);
(viii)式(7)を有するポリエーテル基
【化3】

(7)
(式中、R、R及びYは、水素及びC〜C直鎖又は分岐アルキルからなる群から独立して選択され、oは、10〜100である。)]、ここで、
前記4H単位が、及びRを介してポリマー骨格に結合し、Rは、(i)〜(viii)からなる群から選択され、あるいは、R及びRを介してポリマー骨格に結合し、Rは、(i)〜(viii)からなる群から選択され
(b)前記ヒドロゲルの総重量に対して50.0〜99.7重量%の水;及び
(c)前記ヒドロゲルの総重量に対して計算して、8重量%未満の他の極性溶媒。
【請求項2】
2〜50個の4H単位が、親水性ポリマーに共有結合していることを特徴とする請求項1記載のヒドロゲル。
【請求項3】
水ゲル化剤の数平均分子量が、1200〜1,000,000であることを特徴とする請求項記載のヒドロゲル。
【請求項4】
水ゲル化剤が、ブロックコポリマーであり、親水性ポリマーと4H単位が交互になっている、請求項1記載のヒドロゲル。
【請求項5】
水ゲル化剤の数平均分子量が、1200〜100000であることを特徴とする請求項記載のヒドロゲル。
【請求項6】
親水性ポリマーが、ビニルモノマーの(共)重合により得ることができるポリマーから調製され、前記ビニルモノマーが、以下の(a)〜(i)からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜のいずれか記載のヒドロゲル:
(a)式(8)に記載のモノマー
【化4】

(8)
[式中、Rは、以下の(i)〜(v)からなる群から独立して選択され、Rは、水素又はメチルである:
(i)OH;
(ii)1〜6個のヒドロキシ基で置換されていてもよいC〜C12直鎖又は分岐アルコキシ;
(iii)式−N(R10のアミドであって、式中、R10は、水素、又は1〜6個のヒドロキシ基で置換されていてもよいC〜C直鎖又は分岐アルキルであってもよい;
(iv)式−[N(R10に記載のアンモニウム塩であって、式中、R10は、(iii)で定義した通りであり、Xは、ハロゲン原子である;及び、
(v)式(9)に記載の基
【化5】

(9)
(式中、R10は、(iii)で定義した通りであり、pは、1〜50であり、q=2又は3である。)];
(b)C〜C12直鎖又は分岐アルキルビニルエーテル;
(c)ビニルアルコール;
(d)アルカリ土類金属カチオン又はアルカリ金属カチオンを有するC〜C12α−アルケニレンω−スルホン酸;
(e)式(10)に記載のC〜C12ビニルアリールスルホン酸
【化6】

(10)
[式中、R10は、(iii)で定義した通りであり、Mは、アルカリ土類金属又はアルカリ金属カチオンである。];
(f)CH=CH−R11であって、式中、R11は、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリジル、インドリル、インドリジニル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、フタリジニル、ナフチピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、ピロリドニル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、モルホリニル、イソオキサゾリル、フラザニル、及びイソチアゾリルからなる群から選択される;
(g)CH=CH−O−C(O)R12であって、式中、R12は、C〜C直鎖又は分岐アルキルからなる群から選択される;
(h)CH=CH−CHOR13であって、式中、R13は、水素及びC〜C直鎖又は分岐アルキルからなる群から選択される;及び、
(i)式(11)に記載のN−ビニルラクタム。
【化7】

(11)
[式中、R13は、(h)で定義した通りであり、rは、2〜6である。]
【請求項7】
親水性ポリマーが、式(12)に記載のOH末端基を有する(酸化)ポリ(エチレン)ポリマーから調製されることを特徴とする請求項1〜のいずれか記載のヒドロゲル。
Z−[(CHCHO)−H]
(12)
[式中、Zは、コア分子を表し、rは、4〜50の範囲内であり、sは、2〜30の範囲内である。]
【請求項8】
親水性ポリマーが、OH末端基を有するポリエチレングリコール及び式(13)に記載のOH末端基を有するポリ(エチレン−コ−プロピレン)ランダムグリコール又はブロックグリコールからなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜又はのいずれか記載のヒドロゲル。
【化8】

(13)
[式中、R14は、水素又はメチルであり、tは、20〜100である。]
【請求項9】
親水性ポリマーが、OH末端基を有するポリエチレングリコール及び式(13)に記載のOH末端基を有するポリ(エチレン−コ−プロピレン)ランダムグリコール又はブロックグリコールからなる群から選択されること、並びに、親水性ポリマーが、OH末端基を有するポリエステル及びコポリエステル、又はOH末端基を有するポリカーボネート及びコポリカーボネート、又はOH末端基を有するポリオルソエステルからなる群からさらに選択されることを特徴とする請求項1〜のいずれか記載のヒドロゲル。
【化9】

(13)
[式中、R14は、水素又はメチルであり、tは、20〜100である。]
【請求項10】
ヒドロゲルが、生物活性若しくは薬学的活性を有する化合物又は生物活性種を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか記載のヒドロゲル。
【請求項11】
化粧品用、医薬品用、又は生物医学用組成物における請求項1〜10のいずれか記載のヒドロゲルの使用。

【公開番号】特開2013−47346(P2013−47346A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230447(P2012−230447)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2008−509957(P2008−509957)の分割
【原出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【出願人】(505218096)スープラポリックス ビー.ブイ. (5)
【Fターム(参考)】