説明

水素貯蔵容器およびその製造方法

【課題】熱交換効率の向上および高圧容器としての耐久寿命の信頼性向上に好適な水素貯蔵容器およびその製造方法を提供する。
【解決手段】軸本体10および軸本体10と熱的に接続され且つ容器内部で展開されて内部ガスとの間で熱交換を行う熱交換手段11とからなる熱伝導手段3を、軸本体10に沿って折畳み状態で軸本体10と共に口金部2Aから容器本体2内に挿入し、容器本体2内で軸本体10を容器本体2の口金部2Bと熱的に接続すると共に、熱交換手段11を軸本体10に沿った折畳み状態から軸本体10より起立させた展開状態として備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素貯蔵容器およびその製造方法並びにその熱交換部品に関し、特に、金属製若しくは樹脂製のライニング材の双方に好適な水素貯蔵容器およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から高圧ガス貯蔵容器にガスを充填する際およびガスを放出する際に、容器内の温度変化を少なくする水素貯蔵容器が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
これは、気密性を有するFRP製の水素タンクと、水素タンクに水素を充填・放出させる流入口を備えたトップボスを備え、さらに、水素タンクの内部と外部との伝熱を行うためのエンドボスと、水素タンクの外部においてエンドボスと熱的に接続され、水素タンクが置かれる外部環境との熱交換を促進する放熱フィンを備えた水素タンクとしている。また、さらに、水素タンクの内部に充填された水素との熱の授受を行う内部熱交換フィン組立体を備え、内部熱交換フィン組立体とエンドボスを熱的に結合した構成を備える。
【特許文献1】特開2002−181295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では、貯蔵ガス充填時に水素タンク内部に発生する熱の授受を行う内部熱交換フィン組立体が、熱伝導性の高いアルミニウム合金で形成されているものの、その表面と充填ガスとの接触のみにより熱交換するものであるため、熱交換効率の向上に限界があった。
【0005】
また、上記従来例では、容器内に内蔵させる内部熱交換フィン組立体を取囲んで容器の端部および胴部にライナを配置し、このライナ外周に樹脂含浸したカーボン繊維をヘリカル巻き・フープ巻きし、加熱硬化させた製造方法により製作されたCFRP製であり、前記内部熱交換フィン組立体は高圧水素容器製造の途中段階のライナ内に装着するため、容器完成後にその組付け精度を確認できず、高圧容器としての耐久寿命の信頼性に疑問があった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、熱交換効率の向上および高圧容器としての耐久寿命の信頼性向上に好適な水素貯蔵容器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、気密性を有するライナの外面を覆って繊維強化樹脂層を備える容器本体の内部に、内部ガスとの間で熱交換可能である熱伝導手段が収容されている水素貯蔵容器において、前記熱伝導手段は、容器内部で展開されて内部ガスとの間で熱交換を行う熱交換手段と、前記熱交換手段と熱的に接続され且つ容器本体の口金部と熱的に接続する軸本体と、を備え、前記熱交換手段は軸本体に沿って折畳み状態で軸本体と共に口金部から容器本体内に挿入され、容器本体内で熱交換手段を軸本体に沿った折畳み状態から軸本体より起立させた展開状態で備えるようにした。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明では、軸本体および軸本体と熱的に接続され且つ容器内部で展開されて内部ガスとの間で熱交換を行う熱交換手段とからなる熱伝導手段を、軸本体に沿って折畳み状態で軸本体と共に口金部から容器本体内に挿入し、熱交換手段を軸本体に沿った折畳み状態から軸本体より起立させた展開状態として備えることにより、容器本体の製造過程の途中で熱伝導手段を組付けることによる熱伝導手段の組付け精度の悪化要因を排除できて熱伝導手段の組付精度を向上でき、水素貯蔵量の低下、充填時間の長時間化、システム温度上昇等の不具合を抑制できる一方、容器本体はそれ自体単独で製造できるため、製造工程が簡素化できると共に得られた高圧容器の耐久寿命の信頼性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の水素貯蔵容器およびその製造方法並びにその熱交換部品を各実施形態に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1〜図31は、本発明を適用した水素貯蔵容器およびその製造方法の第1実施形態を示し、図1〜図8は第1実施例、図9〜図11は第2実施例、図12〜図15は第3〜5実施例、図16、17は第6実施例、図18、19は第7実施例、図20〜図22は第8実施例であり、図23〜図26は夫々連結部の構造を、図27、28は第9実施例、図29〜図31は熱交換フィンの夫々の配置態様を夫々示している。
【0011】
図1において、水素貯蔵容器1は高圧ガス貯蔵容器であり、両端に熱伝導率の高い金属であるアルミニウム合金よりなる口金部2A、2Bを備えて充填ガスを内部に貯蔵する容器本体2と、口金部2Aから容器本体2内に挿入配置された熱伝導手段3と、熱伝導手段3の一端に一体に形成され、一方の口金部2Aに取付けられるインタンクバルブ4と、を備える。また、放熱の必要性に応じて、他方の口金部2Bに固定され且つ前記熱伝導手段3に連結されて容器本体2の外側に配置された容器外放熱部材5が装備される。
【0012】
前記容器本体2は、両端部に配置した各口金部2A、2Bを保持して容器端部を形成する丸みを帯びた端部ライナ6B、6Cおよび端部ライナ6B、6C同士を連結する筒状の円筒ライナ6Aからなる気密性を確保でき、水素透過性が低く且つ熱伝導性の高い金属、例えば、アルミニウム合金等からなるライナ6と、当該ライナ6の外面にエポキシ樹脂を含浸させた炭素繊維を多層にヘリカル巻きおよびフープ巻きして硬化させたCFRPの複合樹脂で補強した耐圧性および機械的強度を確保する補強層7とを備える。
【0013】
前記インタンクバルブ4は、水素の充填および放出を制御する電磁作動のON/OFF弁および逆止弁を含むバルブであり、容器1内への水素の充填口および放出口を兼ねた図示しない出入通路に設置される。放熱の必要性に応じて装備される前記容器外放熱部材5は、例えば、熱伝導性の高い金属、例えば、アルミニウム合金により形成され、外気との熱交換効率を向上させるために、例えば、波形に形成して、その表面積が可能な限り広くなるようにしている。なお、外気との熱交換によらず、例えば、冷却水(容器内を加熱する必要がある場合には、温水等が利用される)等と熱交換するようにしてもよい。
【0014】
前記口金部2Aから容器本体2に挿入配置される熱伝導手段3は、容器本体2の両端の口金部2A、2Bに支持される軸本体10と、軸本体10より半径方向外周側に放射状であり且つ軸本体10の軸方向に所定間隔毎に配置され、軸本体10から起立されてその先端が容器本体2内面のライナ6に接触可能な多数の熱交換手段としての熱交換フィン11とより構成されている。前記軸本体10は、熱伝導性の高いアルミニウム合金等により形成された筒状の容器であり、内部に水素吸蔵合金(MH合金)若しくは軸本体との熱交換が可能であり且つ外部に配置した図示しない冷却(加熱)ユニットとの間で熱伝達できる熱交換ユニットを収容可能に構成している。
【0015】
前記熱交換フィン11は、前記軸本体10の外周に基部が固定され、例えば、容器1内のガス若しくは雰囲気温度に応じて、前記軸本体10に沿って折り畳まれた折り畳み状態から起立した起立状態となるよう構成している。
【0016】
前記熱交換フィン11は、図2若しくは図3に示すように、前記軸本体10に一端が固定されたアクチュエータとして機能する形状記憶部材、例えば、Cu−Al−Ni、Cu−Zn−Al等よりなる形状記憶部材20と、形状記憶部材20の他端に固定された熱伝導性の高い熱伝達部材30、例えば、アルミニウム合金等からなる熱伝達部材(フィン)30とにより構成している。そして、前記アクチュエータとして機能する形状記憶部材20の製造時の記憶形状を、図4に示す略L字形とすることにより、マルテンサイト変態温度以下では、図2若しくは図3に示す折り畳み状態とし、マルテンサイト変態温度を越えた際には、図4に示す起立状態となるよう構成している。
【0017】
図5は形状記憶合金(例えば、NT合金(Ti−Ni合金))の歪み−応力、温度特性を示す特性図である。図中のマルテンサイト変態温度以下の領域においては、変形を加えていくに連れて通常の金属材料と同様の応力歪み特性を示し、荷重を除荷しても通常の金属材料と同様に変形状態から復帰し、変形歪みが残る状態となるが、この状態からマルテンサイト変態温度を超える温度まで加熱等により熱を加えると初期の記憶形状に復帰する特性を備える。また、マルテンサイト変態温度を超えた領域においては、変形を加えていくに連れて通常の金属材料と同様の応力歪み特性を示し、荷重を除荷すると応力が高い段階では通常の金属材料と同様に変形復帰するが、応力が所定値以下に低下された段階では、熱を加えなくとも初期の記憶形状に復帰する超弾性の特性を備える。
【0018】
従って、マルテンサイト変態温度として、貯蔵ガスとしての水素ガスの充填時に上昇する容器内温度を目安に設定することにより、低温時および常温の組立時には熱伝達部材(フィン)30を折り畳み状態とし、水素ガスの充填による温度上昇時には記憶形状に復帰して熱伝達部材30を起立状態とする。前記熱交換フィン11は、その基部の形状記憶部材20を経由させて、熱伝達部材30と形状記憶部材20、形状記憶部材20と軸本体10との熱伝導が可能であり、容器1内の温度が前記変態温度より高い場合には起立状態となり、図1に示すように、その先端部が容器本体2のライナ6に接触して、熱伝達部材30とライナ6との熱伝導が可能な状態となる。
【0019】
また、前記マルテンサイト変態温度として、常温以下の温度、例えば、貯蔵ガスの充填・放出時の容器1内に生じる最も低い温度若しくはそれ以下の温度に設定した場合には、形状記憶部材20は常に予め設定した記憶形状へ復帰するよう作用し、先端に連結した熱伝達部材30を起立させて、その先端部が容器本体2のライナ6に接触させて、熱伝達部材30とライナ6との熱伝導が可能な状態となる。
【0020】
このような構成の水素貯蔵容器1は、軸本体10から放射状であり且つ軸方向所定間隔毎に配置した熱交換フィン11が多数配置されているため、容器内ガスとの接触が広い表面積で行われることとなり、容器内ガスとの熱交換を促進させることができる。このため、容器本体2内へのガス充填に伴い発生した熱エネルギを熱交換フィンに速やかに伝達させて容器内ガス温度の上昇を抑制できる。
【0021】
因みに、容器内ガス温度変化のメカニズムは、圧縮による温度上昇と容器1のライナ6からの放熱による温度低下のバランスにより変化する。つまり、容器内ガス温度には、温度分布が発生していることになる。容器1の軸中心付近では、圧縮によるガス温度上昇が起こり、容器1の外殻部付近ではライナ6側へ放熱している。軸本体10から放射状であり且つ軸方向所定間隔毎に配置した多数の熱交換フィン11は、容器本体2内の空間の中心部と外殻付近との温度分布を一様にすることができる。しかも、高圧ガスの熱伝導率に比べて、金属(例えば、アルミニウム合金など)の熱伝導率は約100倍高いため、容器軸中心に熱伝導率の高いアルミニウム合金よりなる軸本体10を配置することで、容器中心付近で発生する熱を速やかに口金部2Bへ伝達することができる。
【0022】
また、軸本体10から放射状であり且つ軸方向所定間隔毎に配置した形状記憶合金を含む熱交換フィン11が多数配置されているため、容器本体2内へのガス充填に伴い発生した熱エネルギを熱交換フィンを構成する形状記憶部材20の相変態により蓄熱させてエネルギを蓄えさせることができ、また、容器ガスの放出時における吸熱作用時に蓄熱した熱エネルギを放出させて容器内ガスの温度低下を抑制させることにも再利用することができる(形状記憶部材による蓄熱作用)。
【0023】
また、容器本体2の内壁を構成するライナ6に対して、軸本体10から放射状であり且つ軸方向所定間隔毎に配置した熱交換フィン11が多数箇所で当接するため、容器本体2内へのガス充填に伴い発生した熱エネルギを熱交換フィン11を介してライナ6へ確実に伝達させることができる。ライナ6は熱容量が大きいアルミニウム合金製であるため、容器外放熱部材5が装備されていない場合であっても、熱交換フィン11から伝達された熱エネルギを自ら蓄熱して容器内ガスの温度上昇を抑制する。この蓄熱した熱エネルギは容器ガスの放出時における吸熱作用時に蓄熱した熱エネルギを放出させて容器内ガスの温度低下を抑制させることにも再利用することができる(アルミニウム合金製ライナによる蓄熱作用)。
【0024】
また、ライナ6自体による蓄熱作用でライナ6自体が温度上昇した場合には、外気温度との温度差が大きくなるため、外層に配置されている補強層7を介して積極的に容器外に放熱させることができる(アルミニウム合金製ライナよりの放熱効果)。なお、ライナ6がアルミニウム合金等の金属製で形成されていない場合においても、容器内部と外気温度との温度差が所定以上ある場合には、補強層を介在させて外部へ放熱させることが可能である。
【0025】
また、ライナ6は熱伝導性の高いアルミニウム合金製であるため、熱交換フィン11から伝達された熱エネルギを速やかに容器本体2の口金2A、2Bに伝達する。また、熱交換フィン11の基部側の形状記憶部材20は熱伝導性の高い金属で形成した軸本体10に連結しているため、前記発生熱エネルギの一部を軸本体10を介して速やかに容器本体2の口金2A、2Bに伝達する。口金部2Aは配管に接続されているため、これらの配管を経由して外部に放熱される。
【0026】
また、口金部2Bに容器外熱交換部材5が連結されている場合には、これらの熱エネルギは速やかに容器1外へ放熱することができ、速やかに貯蔵ガスの熱を吸収することができる。従って、貯蔵ガスの充填に伴う燃料温度上昇をより効果的に防ぎ、充填効率を改善することが可能になる。
【0027】
さらに、形状記憶部材20による記憶形状への反発性(弾力性)により熱交換フィン11がライナ6に弾接するため、容器本体2が温度変化により膨張したり収縮した場合でも、変形の度合に関係なく熱交換フィン11がライナ6内面に追従して常時接触することができるため、熱伝導性及び放熱性を確実に維持することができる。
【0028】
このような構成の水素貯蔵容器1は、図6〜図8に示すように、容器本体2と、容器本体2の口金部2Aから容器本体2内に挿入配置される熱伝導手段3および熱伝導手段3の一端に一体に形成され、一方の口金部2Aに取付けられるインタンクバルブ4と、より形成されている。そして、前記熱伝導手段3は、前述したように、容器本体2の両端の口金部2A、2Bに支持される軸本体10より半径方向外周側に放射状であり且つ軸本体10の軸方向に所定間隔毎に配置した多数の熱交換フィン11を備え、これらの熱交換フィン11が、軸本体10に一端が固定された形状記憶部材20とそれに固定された熱伝達部材30により構成され、雰囲気温度に応じて、図7に示すように、外力により軸本体10に沿って折り畳まれた折り畳み状態から、図6に示すように、軸本体10から起立した起立状態へと復帰するようにしている。
【0029】
このため、容器本体2と、容器本体2の口金部2Aから容器本体2内に挿入配置される熱伝導手段3および熱伝導手段3の一端に一体に形成したインタンクバルブ4と、を夫々独立して製造し、完成した容器本体2の口金部2Aから、インタンクバルブ4に一体となった熱伝導手段3を挿入して、熱伝導手段3の軸本体10の先端を前方の口金2Bに係合させつつ、熱伝導手段3と一体のインタンクバルブ4を手元の口金2Aに係合させることにより、両者は一体化できる。
【0030】
上記一体化にあたって、熱伝導手段3の熱交換フィン11は、手元側の口金2Aを通過させるために当然折り畳み状態とする必要がある。このために、熱交換フィン11を構成する形状記憶部材20に外力を加えて熱交換フィン11を折り畳み状態とすることができる。そして、一旦折り畳み状態とした段階で、その状態が維持されるように、熱交換フィン11を外側からテープ等を巻回して、その状態を固定することが望ましい。
【0031】
前記折り畳み状態の熱交換フィン11を備えた熱伝導手段3を、上記要領で、容器本体2の口金部2Aから挿入して、折り畳み状態に固定しているテープを巻き放しつつ容器本体2内に挿入し、熱伝導手段3の軸本体10の先端を前方の口金2Bに係合させ、熱伝導手段3と一体のインタンクバルブ4を手元の口金2Aに係合させることにより、両者を一体化させることができる。テープが巻き放たれて容器本体2内に入った熱交換フィン11は、マルテンサイト変態温度が常温より低く設定されている場合には、直に起立状態に復帰し、マルテンサイト変態温度が常温より高く設定されている場合には、容器内温度が前記マルテンサイト変態温度を超える段階で起立状態に復帰する。
【0032】
また、容器本体2の内蔵物である熱伝導手段3を交換・修理するために熱伝導手段3を取出す場合には、前記熱交換フィン11が軸本体10からインタンクバルブ4側に傾いている図示の例では、軸本体10の先端側が係合している口金2Bが大きく開放可能であれば、熱交換フィン11を先端側口金2Bの縁を擦りつつ通過させて容器1外に取出すことができる。また逆に、熱交換フィン11がインタンクバルブ4側から軸本体10の先端側に倒れて配置されている場合には、インタンクバルブ4が係合している口金2Aの縁を擦りつつ通過させて容器外に取出すことができる。そして、新規に制作した熱伝導手段3をインタンクバルブ4に固定し、前記要領により容器本体2内に挿入することにより、内部の熱伝導手段3を更新することができる。
【0033】
そして、容器本体2内に挿入して固定した熱伝導手段3は、熱交換フィン11の形状記憶部材20の温度がマルテンサイト変態温度を超えた段階で、形状記憶部材20の作用により放射状に展開して、容器内の温度制御に供することができる。また、熱交換フィン11の構成部材に形状記憶部材20を適用しているため、小径の口金2Aを貫通後に、熱交換フィン11を容器内で一杯に自由に形状再現でき、且つ小径の口金2Aをもつ水素貯蔵容器1の採用が可能となる。
【0034】
このように、容器本体2と、熱伝導手段3とを別体として製作することで、個々の部品の形状精度を向上させることができ、容器2内に熱伝導手段3を挿入して一体化させることにより、容器完成後の熱伝導手段3の組付け精度も向上させることができ、加えて、高圧容器としての耐久寿命も犠牲にすることがない。
【0035】
図9〜図11に示す熱交換フィンの第2実施例においては、軸本体10に設置した長短2本のリンク31A、31Bにより熱伝達部材30を折り畳み状態・起立状態の間で揺動可能に支持している。即ち、熱伝達部材30の根元側に短いリンク31Aを連結し、長いリンク31Bを熱伝達部材30の中途部に連結している。そして、形状記憶部材21A、21Bを長いリンク31Bと熱伝達部材30とに跨って一個配置し、短いリンク31Aと熱伝達部材30とに跨って更に一個配置している。これらの形状記憶部材21A、21Bは、図11に示す形状(角度)を記憶形状として製造されている。このように構成した熱交換フィン11を軸本体10に放射状に且つ軸本体10の軸方向所定間隔に配置することにより熱伝導手段3を構成することができる。
【0036】
そして、熱交換フィン11の熱伝達部材30を図9に示す状態に折り畳むことにより、これら形状記憶部材21A、21Bに外部から応力・荷重を加えて折り畳み状態として、第1実施例と同様に、テープを熱伝導手段3回りに巻回して固定することにより、容器本体2に挿入可能な状態とできる。
【0037】
そして、前記テープを巻き放しつつ容器本体2に熱伝導手段3を挿入して、同様に、熱伝導手段3の軸本体10の先端を前方の口金2Bに係合させ、熱伝導手段3と一体のインタンクバルブ4を手元の口金2Aに係合させることにより、両者を一体化させることができる。テープが巻き放たれた容器本体2内に入った熱交換フィン11は、マルテンサイト変態温度が常温より低く設定されている場合には、図10の途中段階を経て図11に示す直に起立状態に戻り、マルテンサイト変態温度が常温より高く設定されている場合には、容器内温度が前記マルテンサイト変態温度を超える段階で、図10の途中段階を経て図11に示す起立状態に戻る。
【0038】
この実施例においても、前記第1実施例と同様に、容器本体2内の貯蔵ガス(水素ガス)との熱交換表面積を増加させることができ、容器本体2内の貯蔵ガスとの熱交換が促進され、熱伝導手段3で得られる機能を向上させることができる。
【0039】
図12および図13に示す熱交換フィンの第3、4実施例においては、軸本体10の数箇所(図では、3箇所)において放射状に、前記図9〜図11に示す熱交換フィン11を設置し、これらの熱交換フィン11の熱伝達部材30の形状を薄肉化する等により柔軟性のある構造とし、これらの熱伝達部材30同士に柔軟性があり且つ熱伝導性のある金属により形成したメッシュ32を固定して傘状としたものである。図12に示す熱伝導手段3においては、傘状に形成したメッシュ32の開いている側にインタンクバルブ4が固定されており、図13に示す熱伝導手段3においては、傘状に形成したメッシュ32の開いている側とは反対側にインタンクバルブ4が固定されている。
【0040】
このように、放射状に形成した熱交換フィン11同士に柔軟性があり且つ熱伝導性のある金属により形成したメッシュ32を固定して傘状とすることにより、容器本体2内の貯蔵ガス(水素ガス)との熱交換表面積を格段に増加させることができ、容器本体2内のガスとの熱交換が一層促進され、前記した第1実施例の熱伝導手段3で得られる機能をより一層向上させることができる。
【0041】
図14に示す熱交換フィン11の第5実施例においては、前記図9〜図11に示す折り畳み可能な構造において、その熱伝達部材30を伸縮可能に構成し、この伸縮可能な熱伝達部材30を軸本体10の周囲に放射状に配置し、これら放射状に配置した熱伝達部材30を形状記憶部材で形成したメッシュ(ネット)33により互いに連結したものである。前記伸縮可能な熱伝達部材30は、例えば、図15に示すように、互いに中央をピンで連結したX状アーム30Aの端部同士を連結ピン30Bで連結し、連結ピン30Bで連結したアーム30A同士を形状記憶部材22により結合し、形状記憶部材22の変態温度を越えた温度に達した段階で、その互いの角度を拡大させるよう構成することにより、実現することができる。
【0042】
この実施例においても、前記第3、4実施例と同様に、容器本体2内の貯蔵ガス(水素ガス)との熱交換表面積を格段に増加させることができ、容器本体2内のガスとの熱交換が一層促進され、前記した第1実施例の熱伝導手段3で得られる機能をより一層向上させることができる。
【0043】
また、形状記憶部材で形成したメッシュ(ネット)33を用いてるため、形状記憶部材による蓄熱作用により、その相変態により蓄熱させてエネルギを蓄えさせることができ、また、容器ガスの放出時における吸熱作用時に蓄熱した熱エネルギを放出させて容器内ガスの温度低下を抑制させることにも再利用することができる。
【0044】
図16に示す熱交換フィン11の第6実施例においては、アクチュエータとしての形状記憶部材23により熱伝達部材も兼ねるように、熱交換フィン11を形状記憶部材23でのみ構成したものである。このように形状記憶部材23でのみ熱交換フィン11を構成する場合には、変態温度を超えた際における形状回復量を大きくできる特徴を備える。また、外力を加えて軸本体10外周に折り畳む際には、小さくコンパクトにできる一方、マルテンサイト変態温度を超えた際には、その大きい形状回復量により、先端部を容器本体2のライナ6に確実に接触させることができる。
【0045】
この場合、容器本体2のライナ6に接触する熱交換フィン11としての形状記憶部材23の先端を折曲げて、曲面により凸状部分23Aに形成することにより、熱交換フィン11が容器本体2のライナ6に当接する際の傷付きを防止することができる。そして、貯蔵ガスの温度変化による容器本体2の膨張・収縮変形に対し、接触応力一定の状態で追従でき、容器本体2の耐久・寿命を向上させることができる。前記曲面による凸状部分23Aは、製造時の記憶形状として形成し、容器本体2への組付前に荷重を加えて軸本体10の外周に倣うよう偏平状態として容器本体2への組付を容易とし、容器本体2への組付後に記憶形状に復帰させるようにすると、当該熱交換フィン11の容器本体2内への装着時に、容器2の口金部2Aとの干渉をより避けることができ、容器口金部2Aの傷付きを防止することができる。
【0046】
また、前記凸状部分23Aは曲面形状のみに限定されるものでなく、例えば、図17に示すように、曲率の大きい球面状に突出する形状23Bとすると、ライナ6内面に対して面状の接触部が形成されて、ライナ6内面の傷付きがより一層防止できる。この場合においても、球面状部分23Bは製造時の記憶形状として形成し、容器本体2への組付前に荷重を加えて軸本体10の外周に倣うよう偏平状態として容器本体2への組付を容易とし、容器本体2への組付後に記憶形状に復帰させるようにすると、当該熱交換フィン11の容器本体2内への装着時に、容器2の口金部2Aとの干渉をより避けることができ、容器口金部2Aの傷付きを防止することができる。
【0047】
また、前記のように、アクチュエータとしての形状記憶部材23により熱伝達部材も兼ねるように、熱交換フィン11を形状記憶部材23でのみ構成する場合には、形状記憶部材23の表面にメッキ等により熱伝導率の高い金属のコーティングを施すことにより、高い熱伝導機能を熱交換フィン11に持たせることができる。例えば、形状記憶部材23として、Ag−Cd合金やTi−Ni合金等の熱伝導率の高くない材質を用いる場合に、熱伝導率の高い金属、例えば、アルミニウム合金をその表面にコーティングすることで、駆動機能は形状記憶合金、熱伝達はコーティング材とした複合機能を持たせることができる。従って、熱交換フィン11を経由させて、MH合金(水素貯蔵合金)等で発生した水素化熱等を軸本体10からライナ6へ熱伝達が向上できるようになる。
【0048】
また、熱交換フィン11を構成する形状記憶部材23のマルテンサイト変態温度を、容器本体2に貯蔵する貯蔵ガスの最低温度と等しいか、それより若干上回る温度に設定処理した形状記憶部材23により構成することにより、熱交換フィン11の先端を常時記憶形状に維持させることができ、常時容器本体2のライナ6表面に同一面圧で接触させることができる。
【0049】
この実施例においても、軸本体10から放射状であり且つ軸方向所定間隔毎に配置した形状記憶合金で形成した形状記憶部材23により形成した熱交換フィン11が多数配置されているため、容器本体2内へのガス充填に伴い発生した熱エネルギを熱交換フィンを構成する形状記憶部材23の相変態により蓄熱させてエネルギを蓄えさせることができ、また、容器ガスの放出時における吸熱作用時に蓄熱した熱エネルギを放出させて容器内ガスの温度低下を抑制させることにも再利用することができる。
【0050】
図18〜図20に示す熱交換フィン11の第7、8実施例においては、複数の形状記憶部材24〜26および熱伝導率の高い複数の熱伝達部材34、35を組合わせて熱交換フィン11を構成するようにしている。図18、19に示す第7実施例の熱交換フィン11においては、ライナ6に接触する先端熱伝達部材35および中途部に配置する中間熱伝達部材34と、前記中間熱伝達部材34を軸本体10に連結する基部形状記憶部材24と前記2つの熱伝達部材34、35を連結する中間形状記憶部材25とにより構成している。そして、前記各熱伝達部材34、35と基部および中間の形状記憶部材34、35との連結継手は、形状記憶部材34、35の端部に長手方向と直交する横方向に延びる爪部24A、25Aを設け、この爪部24A、25Aを折り曲げて熱伝達部材34、35に巻付けるかしめ構造としている。
【0051】
また、図20に示す第8実施例の熱交換フィン11においては、ライナ6に接する先端側形状記憶部材26および軸本体10に固定される基部形状記憶部材24と、これら形状記憶部材24、26を連結して中間熱伝達部材34とにより構成している。そして、前記中間熱伝達部材34と各形状記憶部材24、26との連結継手は、形状記憶部材24、26の端部に長手方向と直交する横方向に延びる爪部24A、26Aを設け、この爪部24A、26Aを折り曲げて熱伝達部材34に巻付けるかしめ構造としている。
【0052】
これら熱交換フィン11において、第7実施例では、基部および中間の形状記憶部材24、25の長手方向の長さを短縮する一方、先端および中間の熱伝達部材34、35の長手方向の長さを長く形成することで、また、第8実施例では、先端および基部の形状記憶部材24、26の長手方向の長さを短縮する一方、中間の熱伝達部材34の長手方向の長さを長く形成することで、貯蔵ガスとの熱交換機能を高めることができる一方、熱交換した熱のライナ6部への熱伝達機能を向上させることができる。しかも、形状記憶部材24〜26の使用量を削減することができ、特に、図20に示す熱交換フィン11においては、熱伝達部材34の付け根部分と先端部分とに形状記憶部材24、26を用いるものであるため、形状記憶部材24、26の使用量を削減することができる。
【0053】
また、形状記憶部材26を利用して熱交換フィン11の先端をライナ6に接触させるようにしているため、貯蔵ガスの温度変化による容器本体2の膨張・収縮変形に対し、接触応力一定の状態で追従でき、容器本体2の耐久・寿命を向上させることができる。また、複数の形状記憶部材24〜26を備えることにより、熱交換フィン11としての形状回復量を大きくできる一方、夫々の形状記憶部材24〜26に記憶させる記憶形状を分散させることができ、形状記憶部材24〜26の形状記憶処理が容易となる。また、熱交換フィン11を構成する形状記憶部材24〜26のマルテンサイト変態温度を、容器本体2に貯蔵する貯蔵ガスの最低温度と等しいか、それより若干上回る温度に設定処理した形状記憶部材24〜26により構成することにより、熱交換フィン11の先端を常時記憶形状に維持させることができ、常時容器本体2のライナ6表面に同一面圧で接触させることができる。
【0054】
また、アクチュエータとしての形状記憶部材24〜26により熱伝達部材も兼ねるように形状記憶部材24〜26の表面にメッキ等により熱伝導率の高い金属のコーティングを施すことにより、高い熱伝導機能を形状記憶部材24〜26に持たせることができる。例えば、形状記憶部材24〜26として、Ag−Cd合金やTi−Ni合金等の熱伝導率の高くない材質を用いる場合に、熱伝導率の高い金属、例えば、アルミニウム合金をその表面にコーティングすることで、駆動機能は形状記憶合金、熱伝達はコーティング材とした複合機能を持たせることができる。従って、熱交換フィン11を経由させて、MH合金(水素貯蔵合金)等で発生した水素化熱等を軸本体10からライナ6へ効率よく熱伝達できるようになる。
【0055】
また、前記各熱伝達部材34、35と形状記憶部材24〜26との連結継手をかしめ構造とすることにより、連結部の熱伝達部材34、35と形状記憶部材24〜26との接触面積(熱伝達表面積)を大きくすることができ、連結部における熱伝達効率を悪化させることなく、熱をライナ6へ移動させることができる。
【0056】
さらに、前記形状記憶部材24〜26のかしめ構造を構成する爪部24A〜26Aの製造時の記憶形状を、かしめ構造が完成された状態の形状若しくは更にかしめにより巻付く熱伝達部材34、35の外形に対してより小さくなるようにすることにより、形状記憶部材24〜26の形状回復機能により、締結力が一定で、充分強い保持力を発揮する継手構造とすることができ、継手の信頼性を向上させることができる。
【0057】
また、第8実施例においても、先端の形状記憶部材26のライナ6への接触部を、図16および図17に示す曲面による凸状部分23A若しくは曲率の大きい球面状に突出する形状23Bとすることもでき、また、これらの凸状部分23Aおよび球面状の突出部分23Bを製造時の記憶形状として、容器本体2への組付性を改善しつつ、ライナ6の傷付きを防止するようにしてもよい。
【0058】
また、前記各形状記憶部材24〜26は、図21および図22に示すように、長手方向の断面積を部分的に他の部分の断面積より小さい小断面部分26Bを備えるようにすることができる。こうすることにより、形状記憶部材24〜26は熱(温度)を駆動源として作動するアクチュエータであるため、駆動部の断面積を他部位に比べて小さくし、その熱容量を小さくすることで形状回復動作の応答性、即ち、貯蔵ガスの温度上昇に対する熱感度を向上できる。従って、貯蔵ガスの温度上昇に敏感に反応して熱交換フィン11を速やかに形状回復させてライナ6部へ接触させて、放熱を促進させ、貯蔵ガスの充填時間の短縮、規定時間内の水素貯蔵量増加に効果を発揮する。この小断面部分26Aは、図21に示す実施例では、先端側形状記憶部材26にのみ形成するものについて図示しているが、基部側の形状記憶部材24に適用するものであっても、また、図18、19に示す中間形状記憶部材25や基部側形状記憶部材24に適用するものであっても、また、図16に示す形状記憶部材23に適用するものであっても、同様の機能を発揮させることができる。
【0059】
この実施例においても、軸本体10から放射状であり且つ軸方向所定間隔毎に配置した形状記憶合金で形成した形状記憶部材24〜26を含む熱交換フィン11が多数配置されているため、容器本体2内へのガス充填に伴い発生した熱エネルギを熱交換フィンを構成する形状記憶部材24〜26の相変態により蓄熱させてエネルギを蓄えさせることができ、また、容器ガスの放出時における吸熱作用時に蓄熱した熱エネルギを放出させて容器内ガスの温度低下を抑制させることにも再利用することができる。
【0060】
図23〜図26は熱伝達部材と形状記憶部材との連結における継手構造の他の実施例を示したものであり、図23および図24は形状記憶部材で形成したリベットによるかしめ構造を示し、図25および図26は熱伝達部材の端部の周囲を取巻く環状をなした形状記憶部材を用いる継手構造を示している。
【0061】
図23および図24に示す形状記憶部材で形成したリベット27によるかしめ構造は、製造時の記憶形状を図24(A)に示すように、リベット先端27Aが開いた状態の形状とし、使用時には、図24(B)に示すように、リベット先端27Aを曲げて直線上に伸ばし、図23および図24(C)に示すように、締結すべき熱伝達部材30(34、35)と形状記憶部材24(25、26)の貫通穴に挿入し、図24(D)に示すように、加熱することで記憶形状に回復させて締結部材同士を締付けるようにしたものである。
【0062】
また、図25および図26に示す形状回復継手構造においては、両端の継手25B、25Cに締結しようとする熱伝達部材30(34、35)の端部の周長より穴の周長が小さくした形状記憶部材を製造時の記憶形状とし、使用時には継手25B、25Cの穴を拡大させて相手側部材である熱伝達部材30(34、35)の端部を挿入し、加熱することで継手25B、25Cを記憶形状に回復させて熱伝達部材30(34、35)を継手により締付けるようにしたものである。
【0063】
これらのかしめ構造においても、連結部の熱伝達部材30(34、35)と形状記憶部材24〜26との接触面積(熱伝達表面積)を大きくすることができ、連結部における熱伝達効率を悪化させることなく、熱をライナ6へ移動させることができる。また、形状記憶部材24〜26の形状回復機能により、締結力が一定で、充分強い保持力を発揮する継手構造とすることができ、継手の信頼性を向上させることができる。
【0064】
図27に示す熱交換フィンの第9実施例は、形状記憶部材に2方向形状記憶機能を持たせて、低温時には半径方向内方へ収縮した状態とし、温度の上昇に伴って半径方向外方へ膨張するよう構成したものである。
【0065】
図27(A)に示す熱交換フィン11においては、温度上昇に伴い半径方向外側に形状回復する主形状記憶部材28Aと、前記主形状記憶部材28Aの先端に係合し、温度上昇に連れて半径方向外側に形状回復して主形状記憶部材28Aの半径方向外側への形状回復を許容し、温度低下に伴い半径方向内側に屈曲して主形状記憶部材28Aの半径方向内側への形状変形を助長させる副形状記憶部材28Bとにより構成した構造を備える。これら形状記憶部材28A、28Bの温度に対する変形特性は、図28に示すように、主形状記憶部材28Aのマルテンサイト変態温度および形状回復力が、副形状記憶部材28Bのマルテンサイト変態温度および形状回復力を大きくなるように設定している。
【0066】
この構成においては、容器内の貯蔵ガスの温度が高温となった場合は、主形状記憶部材28Aが形状回復してライナ6に接触し、熱交換フィン11からライナ6へ熱伝達させて容器内を冷却する一方、低温になった場合には、副形状記憶部材28Bの形状変形により、主形状記憶部材28Aのライナ6への接触状態から離れるように曲げ変形させる。従って、容器内の温度上昇時にはその熱エネルギを形状記憶部材28A、28Bに蓄熱し、容器内の温度が低下される際には形状記憶部材28A、28B内部に蓄積された潜熱を取出し、水素放出熱に再利用できるエネルギ貯蔵機能を持たせることができるようにして、熱エネルギを有効利用することができる。
【0067】
同様の機能は、図27(B)に示すように、副形状記憶部材に代えて、バイアスバネ28Cにより主形状記憶部材28Aがライナ6から離れるように曲げ変形するものであっても、また、図27(C)に示すように、上記図27(A)の複数の特性の相違する形状記憶部材28A、28Bを熱交換フィン11の表側と裏側とに貼り合せた2方向形状記憶部材においても、発揮させることができる。
【0068】
図29および図30は、容器本体2に組込んだ熱伝導手段3の各状態を示している。図29に示す熱伝導手段3においては、組付け後に、容器ライナ6内表面に熱交換フィン11が常時接触する構造としており、熱交換フィン11がライナ6表面に接触することで、容器内で発生した熱エネルギをライナ6に伝達させるための経路を形成する。このため、熱交換フィン11を経由し、軸本体10に装備したMH合金等で発生した水素化熱等をライナ6(ライナ温度が、例えば、80℃未満の範囲)に移動(熱伝達)させることが可能となり、熱伝達効率を向上させることができる。図29に示す水素貯蔵容器においては図1に示す第1実施例と同様な効果を発揮させることができる。
【0069】
図30に示す熱伝導手段3においては、相変態後も、容器ライナ6内表面に熱交換フィン11が常時接触しない構造としており、高圧容器内部で熱交換フィン11が形状回復した後も、ライナ6内表面に接触しない形状に形状記憶処理を行った形状記憶部材を用いて形成することができる。このため、形状記憶部材の相変態時(温度上昇時)に吸収した熱エネルギを形状記憶部材内に蓄積し、容器内の温度が低下される際には形状記憶部材内部に蓄積された潜熱を取出し、水素放出熱に再利用できるエネルギ貯蔵機能を持たせることができ、熱エネルギを有効利用することができる。
【0070】
図31(A)に示す水素貯蔵タンクは、アルミニウム合金製のライナ6と、ライナ6の外面を覆う繊維強化樹脂層7とを備え、内部に熱伝導手段3としての熱交換機能を有する熱交換器12を複数収容する構成となっている。熱交換器12は、図示しないが、各熱交換器12の熱媒管の両端が熱交換器12の一端側に設けられ、全ての熱交換器12の熱媒管が連結パイプによって直列に接続されている構成としている。そして、複数の熱交換器12を高圧容器内に収容する場合のライナ6と接する熱交換フィン11の設置位置を、図31(B)に示すように、容器本体2のライナ6と対面する部位にのみ設定するようにしている。このように、熱伝達経路として、熱交換器12同士の接触部を有効活用することで、形状記憶部材の使用料を削減することが可能となる。
【0071】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0072】
(ア)気密性を有するライナ6の外面を覆って繊維強化樹脂層7を備える容器本体2の内部に、内部ガスとの間で熱交換可能である熱伝導手段3が収容されている水素貯蔵容器1において、前記熱伝導手段3は、容器内部で展開されて内部ガスとの間で熱交換を行う熱交換手段11と、前記熱交換手段11と熱的に接続され且つ容器本体2の口金部2Bと熱的に接続する軸本体10と、を備え、前記熱交換手段11は軸本体10に沿って折畳み状態で軸本体10と共に口金部2Aから容器本体2内に挿入され、容器本体2内で熱交換手段11を軸本体10に沿った折畳み状態から軸本体10より起立させた展開状態で備えるようにした。
【0073】
即ち、軸本体10および軸本体10と熱的に接続され且つ容器内部で展開されて内部ガスとの間で熱交換を行う熱交換手段11とからなる熱伝導手段3を、軸本体10に沿って折畳み状態で軸本体10と共に口金部2Aから容器本体2内に挿入し、容器本体2内で軸本体10を容器本体2の口金部2Bと熱的に接続すると共に、熱交換手段11を軸本体10に沿った折畳み状態から軸本体10より起立させた展開状態として備えることにより、容器本体2の製造過程の途中で熱伝導手段3を組付けることによる熱伝導手段3の組付け精度の悪化要因を排除できて熱伝導手段3の組付精度を向上でき、水素貯蔵量の低下、充填時間の長時間化、システム温度上昇等の不具合を抑制できる一方、容器本体2はそれ自体単独で製造できるため、製造工程が簡素化できると共に得られた高圧容器の耐久寿命の信頼性を向上できる。
【0074】
(イ)熱交換手段11として、Cu−Al−Ni、Cu−Zn−Al等の形状記憶部材20を折畳み可能且つ展開可能な構成部材として備えることにより、小径の口金2Aを貫通させて容器本体2に挿入でき、挿入後に容器内一杯に自由に形状再現でき、小径口金2Aの水素貯蔵容器の採用が可能となり、それだけ容器本体2の耐圧強度を向上できる一方、形状再現させた熱交換手段11により容器内の水素ガス温度上昇を抑制できる。しかも、軸本体10から放射状であり且つ軸方向所定間隔毎に配置した形状記憶合金による熱交換フィン11が多数配置されているため、容器本体2内へのガス充填に伴い発生した熱エネルギを熱交換フィンを構成する形状記憶部材20の相変態により蓄熱させてエネルギを蓄えさせることができ、また、容器ガスの放出時における吸熱作用時に蓄熱した熱エネルギを放出させて容器内ガスの温度低下を抑制させることにも再利用することができる。
【0075】
(ウ)図16に示すように、熱交換手段11として、軸本体10に基部を固定し、軸本体10から起立させた形状に形状記憶させた形状記憶部材23により構成することにより、形状回復量を大きくでき、上記(ア)および(イ)の効果を容易に実現できる。
【0076】
(エ)図2〜4、図9〜15、図18〜20に示すように、熱交換手段11は、熱伝導率の高い金属部材30〜35と、前記金属部材30〜35に連結され、この金属部材30〜35を軸本体10から起立させた状態とするように形状に形状記憶させた形状記憶部材20〜25とにより構成することにより、熱交換手段11の形状回復量を大きくできると共に、形状記憶部材20〜25の形状記憶処理が容易となる。また、熱伝導率の高い金属部材30〜35が組合されることで、熱交換手段11の熱伝達効率が向上する。
【0077】
(オ)図18〜図20、図23、24に示すように、熱伝導率の高い金属部材34、35と形状記憶部材24〜26とは、形状記憶部材24〜26の形状回復力により前記金属部材34、35に自らを接触させるかしめ構造により連結されていることにより、熱伝導率の高い金属部材34、35との熱伝達表面積を多くとれ、締結部における熱伝達効率を悪化させることなく、熱を移動させることができ、水素の充填時間を短縮できる。
【0078】
(カ)図25、26に示すように、熱伝導率の高い金属部材34、35と形状記憶部材25とは、前記金属部材34、35の端部を取囲み、形状記憶部材25の形状回復力により前記金属部材34、35を締付けて連結する継手構造25B、25Cとすることにより、締結力が一定で、充分強い保持力を発揮することが可能となり、締結部の信頼性を向上できる。
【0079】
(キ)図18〜図20に示すように、熱交換手段11の形状記憶部材24〜26の長さを、熱伝導率の高い金属部材34、35より短く形成することにより、熱交換手段11の熱交換効率および熱伝達効率を向上できる。
【0080】
(ク)図21、22に示すように、熱交換手段11の形状記憶部材24〜26は、その断面積を熱伝導率の高い金属部材34、35より小さく形成することにより、熱容量を小さくして、その形状回復動作、即ち、熱交換手段11の形状回復作動時の応答性を向上でき、水素の充填時間の短縮や規定時間内の水素貯蔵量の増加を図ることができる。
【0081】
(ケ)図29に示すように、容器本体2のライナ6は金属材料により構成され且つ容器本体2の口金部2Bに熱的に接続され、前記熱交換手段11は、組付け後に前記ライナ6の内表面に常時接触するよう構成されることにより、容器内で発生した熱をライナ6に伝達させるための経路を形成でき、熱交換手段11で容器内ガスと熱交換した交換熱や軸本体10に内蔵させた水素吸蔵(MH)合金等で発生した水素化熱をライナ6に移動(熱伝達)させて外部に放熱でき、熱伝達率の高い水素貯蔵容器1とすることができる。また、ライナ6は熱容量が大きいアルミニウム合金製であるため、容器外放熱部材5が装備されていない場合であっても、熱交換フィン11から伝達された熱エネルギを自ら蓄熱して容器内ガスの温度上昇を抑制する。この蓄熱した熱エネルギは容器ガスの放出時における吸熱作用時に蓄熱した熱エネルギを放出させて容器内ガスの温度低下を抑制させることにも再利用することができる。また、ライナ6自体による蓄熱作用でライナ6自体が温度上昇した場合には、外気温度との温度差が大きくなるため、外層に配置されている補強層7を介して積極的に容器外に放熱させることができる。
【0082】
(コ)図16、20に示すように、熱交換手段11のライナ6への接触端部は、その端部を折曲げて形成した曲面部23Aに形成され、熱交換手段11は曲面部23Aを介してライナ6との接触することにより、ライナ6内表面の傷付き防止を図りながら、容器膨張、収縮変形に対し、接触応力一定のまま追従でき、容器の耐久寿命を向上できる。
【0083】
(サ)また、熱交換手段11のライナ6への接触端部は、前記曲面部23Aを形状記憶させた形状記憶部材23、26により形成し、温度上昇時の形状記憶部材23、26の形状回復効果により曲面部23Aが形成されることにより、容器内へ熱交換手段11を設置する作業中は曲面部23Aがなく、容器の口金2A等との干渉による傷付けを回避でき、容器の耐久寿命を向上できる。
【0084】
(シ)図17に示すように、熱交換手段11のライナ6への接触端部は、曲率の大きい球面状に突出する形状23Bに形成され、熱交換手段11は曲面部23Bを介してライナ6との接触することにより、ライナ6内表面の傷付き防止を図りながら、容器膨張、収縮変形に対し、接触応力一定のまま追従でき、容器の耐久寿命を向上できる。
【0085】
(ス)図16、図18〜20に示すように、熱交換手段11は、少なくともその一部を構成する形状記憶部材23〜26により、貯蔵ガスの温度変化に応じて膨張・収縮する容器本体2の変形に追従して変形することにより、容器のライナ6への接触圧を大幅に変化させることなく接触させることができ、ライナ6の傷付きを防止して、容器の耐久寿命を向上できる。
【0086】
(セ)また、図16、図18〜20に示すように、熱交換手段11の少なくとも一部を構成する形状記憶部材23〜26は、その表面に熱伝導性の高い金属でコーティングされていることにより、Ag−Cd、Ti−Ni等の熱伝導率の高くない材質の形状記憶合金を用いる場合においても、良好な熱伝達特性を持たせることができ、駆動機能は形状記憶合金、熱伝達はコーティング材とした複合機能を持たせることができる。従って、熱交換手段11を経由させて、軸本体10に内蔵させたMH合金(水素貯蔵合金)等で発生した水素化熱等を軸本体10からライナ6へ効率的に熱伝達できるようになる。
【0087】
(ソ)更に、図16、図18〜20に示すように、熱交換手段11の少なくとも一部を構成する形状記憶部材23〜26のマルテンサイト変態温度は、容器内部に生じうる最低温度近傍の温度に設定することにより、熱交換手段11を常時記憶させた形状に維持させることができ、常時ライナ6表面に同一面圧で接触させることが可能となる。
【0088】
(タ)図30に示すように、熱交換手段11は、少なくとも一部を構成する形状記憶部材がマルテンサイト変態温度を超えて形状回復された相変態後も、容器のライナ6内表面に常時接触しないことにより、相変態時(温度上昇時)に吸収した熱エネルギを形状記憶部材内に蓄積し、容器内の温度が低下される際には形状記憶部材内部に蓄積された潜熱を取出し、水素放出熱に再利用できるエネルギ貯蔵機能を持たせることができ、熱エネルギを有効利用することができる。
【0089】
(チ)図31に示すように、容器本体2内には、複数の熱交換器12が収容され、各熱交換器12は、夫々ライナ6と対面する部位にのみ熱交換手段11を立設して備えることにより、熱伝達経路として、熱交換器12同士の接触部を有効活用することで、形状記憶部材の使用料を削減することが可能となる。
【0090】
(ツ)図27に示すように、熱交換手段11は、温度上昇に伴い半径方向外側に形状回復する主形状記憶部材28Aと、前記主形状記憶部材28Aに係合し、温度上昇に連れて半径方向外側に形状回復して主形状記憶部材28Aの半径方向外側への形状回復を許容し、温度低下に伴い半径方向内側に屈曲して主形状記憶部材28Aの半径方向内側への形状変形を助長させる副形状記憶部材28B、若しくは、前記主形状記憶部材28Aに係合して主形状記憶部材28Aを半径方向内側へ付勢するバイアスバネ28Cとにより構成したことにより、容器内の貯蔵ガスの温度が高温となった場合は、主形状記憶部材28Aが形状回復してライナ6に接触し、熱交換フィン11からライナ6へ熱伝達させて容器内を冷却する一方、低温になった場合には、副形状記憶部材28Bの形状変形により、主形状記憶部材28Aのライナ6への接触状態から離れるように曲げ変形させる。従って、容器内の温度上昇時にはその熱エネルギを形状記憶部材28A、28Bに蓄熱し、容器内の温度が低下される際には形状記憶部材28A、28B内部に蓄積された潜熱を取出し、水素放出熱に再利用できるエネルギ貯蔵機能を持たせることができるようにして、熱エネルギを有効利用することができる。
【0091】
(第2実施形態)
図32は、本発明を適用した水素貯蔵容器およびその製造方法の第2実施形態を示し、図32(A)は容器本体の断面図、図32(B)および図32(C)は容器本体から取出した状態のインタンクバルブユニットおよび熱伝導手段を示す説明図、図32(D)は熱伝導手段の回復形状を示す断面図である。本実施形態においては、インタンクバルブユニットと熱伝導手段とを離脱可能として夫々の口金から取出し可能としたものである。なお、第1実施形態と同一装置・部材には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0092】
図32に示す水素貯蔵容器の実施形態においては、インタンクバルブ4、熱伝導手段3、容器本体2の基本的な構成は、第1実施形態と同様に構成されるが、インタンクバルブ4と熱伝導手段3とを離脱可能としている。
【0093】
即ち、インタンクバルブ4の軸部4Aに嵌合させて、筒状に形成した熱伝導手段3の軸本体10が形成されている。軸本体10に内蔵されていた水素吸蔵合金(MH合金)若しくは軸本体10との熱交換が可能であり且つ外部に配置した冷却(加熱)ユニットとの間で熱伝達できる図示しない熱交換ユニットは、インタンクバルブ4の軸部4Aに収容するよう構成し、インタンクバルブ4の軸部4Aとこの軸部4Aに嵌合する熱伝導手段3の軸本体10とは、その嵌合する面同士の間で熱伝達可能な構造となっている。また、容器本体2は、その両端の口金2A、2Bを開放可能に構成している。
【0094】
本実施形態の水素貯蔵容器1の組立時においては、先ず熱伝導手段3の軸本体10の外周に、第1実施形態と同様にして、熱交換手段としての熱交換フィン11を折り畳み状態で沿わせてテープ等により折り畳み状態を固定する。この折り畳み状態は、熱交換フィン11の先端が、拡径したインタンクバルブ4がある側に倒して折り畳まれる。
【0095】
次いで、この状態の熱伝導手段3の軸本体10にインタンクバルブ4の軸部4Aを嵌合させて両者を一体化させる。容器本体2の一方の口金2Aは開放状態とし、他方の口金2Bは閉じた状態とする。そして、第1実施形態と同様に、折り畳み状態の熱交換フィン11を備えた(インタンクバルブ4と一体の)熱伝導手段3を、上記要領で、容器本体2の開放した一方の口金部2Aから挿入して、折り畳み状態に固定しているテープを巻き放しつつ容器本体2内に挿入し、熱伝導手段3の軸本体10の先端を前方にある他方の口金2Bに係合させ、熱伝導手段3と一体のインタンクバルブ4を一方の口金2Aに係合させることにより、両者を一体化させることができる。テープが巻き放たれて容器本体2内に入った熱交換フィン11は、マルテンサイト変態温度が常温より低く設定されている場合には、直に起立状態に復帰し、マルテンサイト変態温度が常温より高く設定されている場合には、容器内温度が前記マルテンサイト変態温度を超える段階で起立状態に復帰する。
【0096】
また、容器本体2の内蔵物である熱伝導手段3を交換・修理するために、容器本体2内から熱伝導手段3を取出す場合には、インタンクバルブ4の一方の口金2Aとの係合を外して(図32(A)参照)、その軸部4Bを熱伝導手段3の軸本体10から抜出しつつ、インタンクバルブ4を手前側に取出す(図32(B)参照)。また、熱伝導手段3は、その熱交換フィン11が軸本体10からインタンクバルブ4側に傾いているため、軸本体10の先端側が係合している他方の口金2Bを開放して、一方の口金2Aから他方の口金2Bに向かって熱伝導手段3を押出し、熱交換フィン11を先端側口金2Bの縁を擦りつつ通過させて容器外に取出すことができる(図32(C)参照)。そして、新規に制作した熱伝導手段3をインタンクバルブ4に固定し、前記要領により容器本体2内に挿入することにより、内部の熱伝導手段3を更新することができる。
【0097】
以上のように、本実施形態の水素貯蔵容器1は、インタンクバルブ4の軸部4Aと伸縮・折畳み可能な熱交換フィン11を備える熱伝導手段3の軸本体10とを嵌合させ且つ離脱可能とすることにより、インタンクバルブ4は容器口元(トップ)側から、熱伝導手段3(熱交換フィン)は容器ボトム部側から、夫々取出すことができ、容器本体2を破壊および分解せずに内臓物を取出し可能となり、内臓物の交換完了後に高圧容器を再利用でき、整備性を向上できる。
【0098】
本実施形態においては、第1実施形態における効果(ア)〜(タ)に加えて以下に記載した効果を奏することができる。
【0099】
(テ)気密性を有するライナ6の外面を覆って繊維強化樹脂層7を備え且つ一方の口金2Aに係合させて貯蔵ガスの給排を制御するインタンクバルブ4を備える容器本体2の内部に、内部ガスとの間で熱交換可能である熱伝導手段3が収容されている水素貯蔵容器1において、前記熱伝導手段3は、容器内部で展開されて内部ガスとの間で熱交換を行う熱交換手段11と、前記熱交換手段11と熱的に接続され且つ容器本体2の口金部2Bと熱的に接続され、前記インタンクバルブ4の軸部4Aに嵌合された筒状の軸本体10と、から構成され、前記熱交換手段11は軸本体10に沿って折畳み状態でインタンクバルブ4の軸部4Aと嵌合させた軸本体10と共に口金部2Aから容器本体2内に挿入して、容器本体2内で熱交換手段11を軸本体10に沿った折畳み状態から軸本体10より起立させた展開状態とし、前記インタンクバルブ4の軸部4Aとの嵌合状態を離脱させて、容器本体2の他方の口金2Bより、熱交換手段11を軸本体10に沿って折畳み状態としつつ軸本体10と共に取出し可能としたことにより、容器本体2を破壊および分解せずに内臓物を取出し可能となり、内臓物の交換完了後に高圧容器を再利用でき、整備性を向上できる。
【0100】
(第3実施形態)
図33は、本発明を適用した水素貯蔵容器およびその製造方法の第3実施形態を示す組立要領図である。本実施形態においては、熱伝導手段として容器本体に固定される軸本体と軸本体とは別体に形成した熱交換手段とにより構成したものである。なお、第1、2実施形態と同一装置・部材には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
【0101】
本実施形態の水素貯蔵容器1の熱伝導手段3は、図33(A)に示すように、インタンクバルブ4と一体に形成された軸本体10と、熱交換手段としての収縮および膨張可能な多数の熱交換ボール11Aとにより構成されている。
【0102】
前記熱交換ボール11Aは、形状記憶合金よりなる線材を網状とし且つ球形状となるように編込んでその球形体状態で形状記憶されて構成されている。そして、その使用に当たっては、前記球形体状態の熱交換ボール11Aを外方の多方向から圧縮荷重を加えて容器本体2の口金2Aの内径よりも小径の球体に変形させたものを利用する。なお、この変形状態の熱交換ボール11Aは、その形状が必ずしも球体とする必要はなく、容器本体2の口金2Aを無理なく通過できる形状、例えば、楕円球体、棒状体としてもよい。その他の熱伝導手段3の軸本体10(内部に水素吸蔵合金(MH合金)若しくは軸本体10との熱交換が可能であり且つ外部に配置した図示しない冷却(加熱)ユニットとの間で熱伝達できる熱交換ユニットが内蔵されている)、インタンクバルブ4、容器本体2、口金2A等は第1実施形態と同様に構成している。
【0103】
そして、図33(B)に示す容器本体2の口金2Aより容器本体2の中に、小径となった球体の熱交換ボール11Aを多数充填する。この充填は、熱交換ボール11Aが口金2Aの内径より小さくなるよう変形されているため、口金2Aと干渉して口金2A内部を傷付けることなく、円滑に行うことができる。また、その充填量としては、熱交換ボール11Aの全てが形状記憶された形状に回復された際の全容積と、容器本体2の内容積から軸本体10の容積を差引いた空間容積とが同等の大きさとなる数量が投入される。この状態では、容器本体2内には、熱交換ボール11Aが形状回復していないことと、熱伝導手段3の軸本体10が挿入されていないこととにより、充分な空きスペースが存在する。
【0104】
次いで、図33(C)に示すように、容器本体2にインタンクバルブ4と一体となった熱伝導手段3の軸本体10を挿入し、熱伝導手段3の軸本体10の先端を前方にある他方の口金2Bに係合させ、熱伝導手段3の軸本体10と一体のインタンクバルブ4を一方の口金2Aに係合させることにより、両者を一体化させることができる。容器本体2内は、熱交換ボール11Aが形状回復していないことにより、充分な空きスペースが存在する。
【0105】
この状態で、水素の充填を行うことにより、容器内の温度が、熱交換ボール11Aを構成している形状記憶部材に設定しているマルテンサイト変態温度を超える段階で、図33(D)に示すように、熱交換ボール11Aは記憶形状に形状回復し、容器本体2内に均等に分散されて、最外周に存在する熱交換ボール11Aは容器本体2のライナ6に夫々接触し、最内周に存在する熱交換ボール11Aは軸本体10に夫々接触され、中間に存在する熱交換ボール11Aは隣接する熱交換ボール11Aと互いに接触して偏りなく配置された状態となる。
【0106】
この状態の水素貯蔵容器1においては、熱交換ボール11Aが網状であり且つ球形状となるように編込んで形成されているため、貯蔵される水素ガスと飛躍的に増加された接触面積により夫々熱交換可能となっている。また、ライナ6および軸本体10に対する接触状態、および、熱交換ボール11A相互の接触状態のいずれにおいても、均一に等応力で接触している。このため、熱交換ボール11Aに伝達された熱エネルギは、隣接する熱交換ボール11Aを次々と経由して軸本体10およびライナ6に伝達させることができる。従って、アルミニウム合金製ライナによる蓄熱作用を充分に発揮させることができると共に、アルミニウム合金製ライナよりの放熱効果も発揮させることができる。
【0107】
また、容器内の貯蔵ガスの温度変化により容器本体2が膨張変形や収縮変形された場合には、熱交換ボール11A自体が形状記憶部材による線材をメッシュ状に編込んで形成されているため、容器本体2内へのガス充填に伴い発生した熱エネルギを熱交換ボール11Aを構成する形状記憶部材の相変態により蓄熱させてエネルギを蓄えさせることができ、また、容器ガスの放出時における吸熱作用時に蓄熱した熱エネルギを放出させて容器内ガスの温度低下を抑制させることにも再利用することができる。
【0108】
また、容器内の貯蔵ガスの温度変化により容器本体2が膨張変形や収縮変形された場合には、熱交換ボール11A自体が形状記憶部材による線材をメッシュ状に編込んで形成されているため、それぞれが接触応力一定のまま追従して膨張変形および収縮変形し、容器本体2の耐久寿命を低下させることが防止される。
【0109】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0110】
(ト)気密性を有するライナ6の外面を覆って繊維強化樹脂層7を備える容器本体2の内部に、内部ガスとの間で熱交換可能である熱伝導手段3が収容されている水素貯蔵容器1において、前記熱伝導手段3は、容器内部で展開され且つ分散されて内部ガスとの間で熱交換を行うメッシュ状金属により球状若しくはブロック状に形成された多数の熱交換部材11Aと、前記熱交換部材11Aとの接触により熱的に接続され且つ容器本体2の口金部2Bと熱的に接続する軸本体10と、を備え、前記多数の熱交換部材11Aは口金部から容器本体2内の軸本体10周りに縮小変形された状態で挿入され、軸本体10周りで本来の形状に形状回復されて容器ライナ6と軸本体10との間の空間に充填される。
【0111】
このことにより、貯蔵される水素ガスと飛躍的に増加された接触面積により夫々熱交換可能となる。また、ライナ6および軸本体10に対する接触状態、および、熱交換部材11A相互の接触状態のいずれにおいても、均一に等応力で接触し、熱交換部材11Aに伝達された熱エネルギは、隣接する熱交換部材11Aを次々と経由して軸本体10およびライナ6に伝達して、ライナ6に蓄熱させ且つ外部に放熱させることができ、また、放熱口金2Bを経由して容器の外部へ伝達させることもできる。また、熱交換部材11Aは軸本体10と別体であるため、挿入作業時の容器本体2の傷付きを防止でき、作業が簡素化される。
【0112】
(ナ)熱交換部材11Aは、メッシュで構成され且つ球体状をなす形状記憶部材で構成することにより、容器内で形状回復されると、球体の形状であるために、隙間空間を有効に活用しながら、それぞれの熱交換部材11A同士が等間隔且つ等応力になるように配置され、熱伝達効率を向上でき、容器の耐久寿命を向上させることができる。しかも、容器内の貯蔵ガスの温度変化により容器本体2が膨張変形や収縮変形された場合には、熱交換部材11A自体が形状記憶部材による線材をメッシュ状に編込んで形成されているため、それぞれが接触応力一定のまま追従して膨張変形および収縮変形し、容器本体2の耐久寿命を低下させることが防止される。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の水素貯蔵容器は、主に水素を貯蔵する容器として説明しているが、他の圧縮性ガスを高圧で貯蔵する高圧容器に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の一実施形態を示す水素貯蔵容器の断面図。
【図2】同じく熱交換フィンの第1実施例を示す要部説明図。
【図3】同じく熱交換フィンの第1実施例の変形例を示す要部説明図。
【図4】熱交換フィンの作動状態を説明する説明図。
【図5】形状記憶合金の歪み−応力,温度特性図。
【図6】展開状態の熱伝導手段の概略断面図。
【図7】折畳み状態の熱伝導手段の概略断面図。
【図8】容器本体の断面図。
【図9】熱交換フィンの第2実施例の折畳み状態の要部説明図。
【図10】熱交換フィンの第2実施例の展開途中の要部説明図。
【図11】熱交換フィンの第2実施例の展開状態の要部説明図。
【図12】熱交換フィンの第3実施例の展開状態の要部説明図。
【図13】熱交換フィンの第4実施例の展開状態の要部説明図。
【図14】熱交換フィンの第5実施例の展開状態の要部説明図。
【図15】第5実施例の伸縮支柱を示す概略図。
【図16】熱交換フィンの第6実施例を示す要部説明図。
【図17】第6実施例のライナとの接触部を示す斜視図。
【図18】熱交換フィンの第7実施例を示す要部側面図。
【図19】同じく第7実施例の熱交換フィンの斜視図。
【図20】熱交換フィンの第8実施例を示す斜視図。
【図21】形状記憶部材の形状を示す斜視図。
【図22】形状記憶部材の形状を示す平面図。
【図23】かしめ構造の一例を示す斜視図。
【図24】図23に用いる形状記憶リベットの形状変化を順を追って(A)〜(D)に示す説明図。
【図25】形状回復継手構造を示す斜視図。
【図26】形状回復継手構造の変形例を示す斜視図。
【図27】熱交換フィンの第9実施例を夫々(A)〜(C)に分けて示す説明図。
【図28】図27(A)に示す熱交換フィンの応力−温度特性図。
【図29】容器ライナ内表面に熱交換フィンが常時接触する構造の水素貯蔵容器の断面図。
【図30】容器ライナ内表面に熱交換フィンが常時接触しない構造の水素貯蔵容器の断面図。
【図31】熱交換器を複数収容する構成の水素貯蔵容器の断面図(A)および各熱交換器を示す説明図(B)。
【図32】本発明の第2実施形態を示す水素貯蔵容器の夫々の部分を(A)〜(D)に分けて示す説明図。
【図33】本発明の第3実施形態を示す水素貯蔵容器を、その組立手順(A)〜(D)に分けて示す説明図。
【符号の説明】
【0115】
1 水素貯蔵容器
2 容器本体
3 熱伝導手段
4 インタンクバルブ
5 外部放熱手段、外部放熱部材
6 ライナ
7 補強層
10 軸本体
11 熱交換手段としての熱交換フィン
12 熱交換器
20〜28 形状記憶部材
30〜35 熱伝達部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密性を有するライナの外面を覆って繊維強化樹脂層を備える容器本体の内部に、内部ガスとの間で熱交換可能である熱伝導手段が収容されている水素貯蔵容器において、
前記熱伝導手段は、容器内部で展開されて内部ガスとの間で熱交換を行う熱交換手段と、
前記熱交換手段と熱的に接続され且つ容器本体の口金部と熱的に接続する軸本体と、を備え、
前記熱交換手段は軸本体に沿って折畳み状態で軸本体と共に口金部から容器本体内に挿入され、容器本体内で熱交換手段を軸本体に沿った折畳み状態から軸本体より起立させた展開状態で備えることを特徴とする水素貯蔵容器。
【請求項2】
前記熱交換手段は、形状記憶部材を折畳み可能且つ展開可能な構成部材として備えることを特徴とする請求項1に記載の水素貯蔵容器。
【請求項3】
前記熱交換手段は、軸本体に基部を固定し、軸本体から起立させた形状に形状記憶させた形状記憶部材により構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素貯蔵容器。
【請求項4】
前記熱交換手段は、熱伝導率の高い金属部材と、前記金属部材に連結され、この金属部材を軸本体から起立させた状態とするように形状に形状記憶させた形状記憶部材とにより構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素貯蔵容器。
【請求項5】
前記熱伝導率の高い金属部材と形状記憶部材とは、形状記憶部材の形状回復力により前記金属部材に自らを接触させるかしめ構造により連結されていることを特徴とする請求項4に記載の水素貯蔵容器。
【請求項6】
前記熱伝導率の高い金属部材と形状記憶部材とは、前記金属部材の端部を取囲み、形状記憶部材の形状回復力により前記金属部材を締付けて連結されていることを特徴とする請求項4に記載の水素貯蔵容器。
【請求項7】
前記熱交換手段の形状記憶部材の長さは、熱伝導率の高い金属部材より短く形成されていることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一つに記載の水素貯蔵容器。
【請求項8】
前記熱交換手段の形状記憶部材は、その断面積を熱伝導率の高い金属部材より小さく形成されていることを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか一つに記載の水素貯蔵容器。
【請求項9】
前記容器本体のライナは金属材料により構成され且つ容器本体の口金部に熱的に接続され、
前記熱交換手段は、組付け後に前記ライナの内表面に常時接触するよう構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素貯蔵容器。
【請求項10】
前記熱交換手段のライナへの接触端部は、その端部を折曲げて形成した曲面部に形成され、熱交換手段は曲面部を介してライナとの接触することを特徴とする請求項9に記載の水素貯蔵容器。
【請求項11】
前記熱交換手段のライナへの接触端部は、前記曲面部を形状記憶させた形状記憶部材により形成し、温度上昇時の形状記憶部材の形状回復効果により曲面部が形成されることを特徴とする請求項10に記載の水素貯蔵容器。
【請求項12】
前記熱交換手段のライナへの接触端部は、曲率の大きい球面状に突出する形状に形成され、熱交換手段は曲面部を介してライナとの接触することを特徴とする請求項9に記載の水素貯蔵容器。
【請求項13】
前記熱交換手段は、少なくともその一部を構成する形状記憶部材により、貯蔵ガスの温度変化に応じて膨張・収縮する容器本体の変形に追従して変形することを特徴とする請求項9に記載の水素貯蔵容器。
【請求項14】
前記熱交換手段の少なくとも一部を構成する形状記憶部材は、その表面に熱伝導性の高い金属でコーティングされていることを特徴とする請求項2から請求項8、請求項11、請求項12のいずれか一つに記載の水素貯蔵容器。
【請求項15】
前記熱交換手段の少なくとも一部を構成する形状記憶部材のマルテンサイト変態温度は、容器内部に生じうる最低温度近傍の温度に設定されていることを特徴とする請求項2から請求項8、請求項11、請求項12のいずれか一つに記載の水素貯蔵容器。
【請求項16】
前記熱交換手段は、少なくとも一部を構成する形状記憶部材がマルテンサイト変態温度を超えて形状回復された相変態後も、容器のライナ内表面に常時接触しないことを特徴とする請求項2から請求項8のいずれか一つに記載の水素貯蔵容器。
【請求項17】
前記容器本体内には、複数の熱交換器が収容され、
前記各熱交換器は、夫々ライナと対面する部位にのみ熱交換手段を立設して備えることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか一つに記載の水素貯蔵容器。
【請求項18】
前記熱交換手段は、温度上昇に伴い半径方向外側に形状回復する主形状記憶部材と、前記主形状記憶部材に係合し、温度上昇に連れて半径方向外側に形状回復して主形状記憶部材の半径方向外側への形状回復を許容し、温度低下に伴い半径方向内側に屈曲して主形状記憶部材の半径方向内側への形状変形を助長させる副形状記憶部材、若しくは、前記主形状記憶部材に係合して主形状記憶部材を半径方向内側へ付勢するバイアスバネとにより構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素貯蔵容器。
【請求項19】
気密性を有するライナの外面を覆って繊維強化樹脂層を備え且つ一方の口金に係合させて貯蔵ガスの給排を制御するインタンクバルブを備える容器本体の内部に、内部ガスとの間で熱交換可能である熱伝導手段が収容されている水素貯蔵容器において、
前記熱伝導手段は、容器内部で展開されて内部ガスとの間で熱交換を行う熱交換手段と、前記熱交換手段と熱的に接続され且つ容器本体の口金部と熱的に接続され、前記インタンクバルブの軸部に嵌合された筒状の軸本体と、から構成され、
前記熱交換手段は軸本体に沿って折畳み状態でインタンクバルブの軸部と嵌合させた軸本体と共に口金部から容器本体内に挿入して、容器本体内で熱交換手段を軸本体に沿った折畳み状態から軸本体より起立させた展開状態とし、
前記インタンクバルブの軸部との嵌合状態を離脱させて、容器本体の他方の口金より、熱交換手段を軸本体に沿って折畳み状態としつつ軸本体と共に取出し可能としたことを特徴とする水素貯蔵容器。
【請求項20】
気密性を有するライナの外面を覆って繊維強化樹脂層を備える容器本体の内部に、内部ガスとの間で熱交換可能である熱伝導手段が収容されている水素貯蔵容器において、
前記熱伝導手段は、容器内部で展開され且つ分散されて内部ガスとの間で熱交換を行うメッシュ状金属により球状若しくはブロック状に形成された多数の熱交換部材と、前記熱交換部材との接触により熱的に接続され且つ容器本体の口金部と熱的に接続する軸本体と、を備え、
前記多数の熱交換部材は口金部から容器本体内の軸本体周りに縮小変形された状態で挿入され、軸本体周りで本来の形状に形状回復されて容器ライナと軸本体との間の空間に充填されることを特徴とする水素貯蔵容器。
【請求項21】
前記熱交換部材は、メッシュで構成され且つ球体状をなす形状記憶部材で構成したことを特徴とする請求項20に記載の水素貯蔵容器。
【請求項22】
気密性を有するライナの外面を覆って繊維強化樹脂層を備える容器本体の内部に、内部ガスとの間で熱交換可能である熱伝導手段が収容されている水素貯蔵容器の製造方法において、
前記熱伝導手段を、容器内部で展開されて内部ガスとの間で熱交換を行う熱交換手段と、前記熱交換手段と熱的に接続され且つ容器本体の口金部と熱的に接続する軸本体と、で構成し、
前記熱交換手段を軸本体に沿って折畳み状態で軸本体と共に口金部から容器本体内に挿入し、
容器本体内で熱交換手段を軸本体に沿った折畳み状態から軸本体より起立させた展開状態とすることを特徴とする水素貯蔵容器の製造方法。
【請求項23】
気密性を有するライナの外面を覆って繊維強化樹脂層を備え且つ一方の口金に係合させて貯蔵ガスの給排を制御するインタンクバルブを備える容器本体の内部に、内部ガスとの間で熱交換可能である熱伝導手段が収容されている水素貯蔵容器の製造方法において、
前記熱伝導手段は、容器内部で展開されて内部ガスとの間で熱交換を行う熱交換手段と、前記熱交換手段と熱的に接続され且つ容器本体の口金部と熱的に接続され、前記インタンクバルブの軸部に嵌合された筒状の軸本体と、で構成し、
前記熱交換手段を軸本体に沿って折畳み状態でインタンクバルブの軸部と嵌合させた軸本体と共に口金部から容器本体内に挿入して、容器本体内で熱交換手段を軸本体に沿った折畳み状態から軸本体より起立させた展開状態として水素貯蔵容器を組立形成し、
前記インタンクバルブの軸部との嵌合状態を離脱させて、容器本体の他方の口金より、熱交換手段を軸本体に沿って折畳み状態としつつ軸本体と共に取出し可能として分解可能としたことを特徴とする水素貯蔵容器の製造方法。
【請求項24】
気密性を有するライナの外面を覆って繊維強化樹脂層を備える容器本体の内部に、内部ガスとの間で熱交換可能である熱伝導手段が収容されている水素貯蔵容器の製造方法において、
前記熱伝導手段を、容器内部で展開され且つ分散されて内部ガスとの間で熱交換を行うメッシュ状金属により球状若しくはブロック状に形成された多数の熱交換部材と、前記熱交換部材との接触により熱的に接続され且つ容器本体の口金部と熱的に接続する軸本体と、で構成し、
前記多数の熱交換部材を口金部から容器本体内の軸本体周りに縮小変形された状態で挿入し、軸本体周りで本来の形状に形状回復させて容器ライナと軸本体との間の空間に充填することを特徴とする水素貯蔵容器の製造方法。
【請求項25】
前記熱交換手段または熱交換部材は、形状記憶部材を折畳み可能且つ展開可能な構成部材として備えることを特徴とする請求項22から請求項24のいずれか一つに記載の水素貯蔵容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2007−239833(P2007−239833A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61414(P2006−61414)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】