説明

水薬供給装置

【課題】水薬ボトル内の水薬が処方箋どおりになっているかどうかを判断し易くできる水薬供給装置の提供。
【解決手段】複数の供給ノズル22から水薬ボトル4に対して水薬を選択的に供給する水薬供給装置であって、供給ノズル22は、水薬ボトル4の内壁面から離れた状態で、供給する水薬が水薬ボトル4の内壁面に斜めに当たるように保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給ボトルから水薬ボトルに水薬を供給するようにする水薬供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院や薬局等の医療機関では、水薬を供給ボトルから水薬ボトルに供給するようにした水薬供給装置が使用されている(例えば、下記特許文献1参照)。この水薬供給装置では、底板側に回転駆動部を設け、この回転駆動部に上方が下方に比べて大径となっているベースを設け、このベースの上端部に供給ボトルを複数載置する載置板を設け、載置板に供給ボトルを載置して、供給ボトルと水薬ボトルとを供給管で接続し、供給管を供給ポンプに接続して、供給ポンプの駆動により必要な水薬を選択された供給ボトルから、供給管の先端部を下方に向けて水薬ボトルに必要な水薬を供給するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−325639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の水薬供給装置では、先端部を下方に向けた供給管から水薬ボトルに水薬を供給すると、水衝作用(水勢)によって水薬ボトル内で水薬が泡だってしまい易く、水薬が適量だけ供給ボトルから供給されたかどうか(払い出されたかどうか)が外観的に判断しにくくなってしまう。すなわち、処方箋どおりの水薬量となっているかどうかが判断しにくくなってしまうという課題がある。
【0005】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、水薬ボトル内の水薬が処方箋どおりになっているかどうかを判断し易く、さらには処方箋どおりの量の水薬を確実に水薬ボトルに供給できる水薬供給装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水薬供給装置は、複数の供給ノズルから水薬ボトルに対して水薬を選択的に供給する水薬供給装置であって、供給ノズルは、水薬ボトルの内壁面から離れた状態で、供給する水薬が水薬ボトルの内壁面に斜めに当たるように保持されることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の水薬供給装置は、複数の供給ノズルから水薬ボトルに対して水薬を選択的に供給する水薬供給装置であって、各供給ノズルをそれぞれ保持する複数の保持部を備え、保持部は、供給ノズルを、水薬ボトルの内壁面から離れた状態で、供給する水薬が水薬ボトルの内壁面に斜めに当たるように保持することを特徴としている。
【0008】
また、本発明の水薬供給装置は、複数の供給ノズルから水薬ボトルに対して水薬を選択的に供給する水薬供給装置であって、各供給ノズルにそれぞれ接続される複数の供給ボトルが載置され、上下方向軸線周りに回転自在な載置体と、各供給ノズルをそれぞれ保持し、載置体とともに前記上下方向軸線周りに回転自在な複数の保持部と、載置体および各保持部を前記上下方向軸線周りに回転させる回転駆動部とを備え、保持部は、供給ノズルを、水薬ボトルの内壁面から離れた状態で、供給する水薬が水薬ボトルの内壁面に斜めに当たるように保持することを特徴としている。
【0009】
上記各構成によると、水薬は水薬ボトルに上下方向軸線に対して傾斜して供給されることで、水薬ボトルの内面に直角に衝突しなくなるから、水衝現象に伴う水薬の乱れが小さくなり、水薬の泡立ちを抑制して、水薬ボトル内の水薬の量を正確に確認することが可能となる。
【0010】
また、載置体は、水薬供給装置の本体に吊持されるものとすることもできる。
【0011】
上記構成において、載置体が吊持されることにより、載置体の下方に水薬が供給ボトルや供給管から零れ落ちたとしても、零れ落ちた水薬の清掃が楽に、しかも容易になる。
【0012】
また、保持部は、供給ノズルの向きを変更可能とする構成を有するものとできる。
【0013】
上記構成によれば、水薬ボトルの形状に応じて供給ノズルの向きを変更することで、水衝現象に伴う水薬の乱れが小さくなり、水薬ボトル内の水薬の泡立ちを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水薬供給装置によれば、水薬を水薬ボトルに上下方向軸線に対して傾斜して供給することで、水薬ボトルの内面に直角に衝突しなくなるから、水衝現象に伴う水薬の乱れを小さくすることができ、したがって水薬の泡立ちを抑制することができるから、水薬ボトル内の水薬の量を正確に確認することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態を示す水薬供給装置の下部を処理した正面図
【図2】同じく昇降装置および載置台を中心として描いた一部省略斜視図
【図3】同じく下部を省略した断面図
【図4】同じく一部を省略した図1のD−D線矢視図
【図5】同じくノズル取付け板およびポンプ駆動部を中心に描いた平面図
【図6】同じく下部を省略した斜視図
【図7】同じく上部を省略した概略正面図
【図8】同じく昇降装置および供給ノズルを中心に描いた側面図
【図9】同じく保持部および水薬センサを中心に描いた斜視図
【図10】同じく保持部および水薬センサを中心に描いた正面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る水薬供給装置の実施形態を、図1ないし図10に基づいて説明する。図1の一部省略正面図に示すように、水薬供給装置1は、患者に対して処方される水薬2を、処方箋に応じるべく予め準備している必要な水薬2を収容した供給ボトル3から水薬2を導出して、患者に必要な水薬2を収容した水薬ボトル4とするためのもので、供給ボトル3を載置する載置体5が本体6の天板7側に吊持された構成を有し、本体6の底板8と載置体5との間に、隙間10が設けられた構成を有する。以下にその構成を詳述する。
【0017】
水薬供給装置1の本体6は、天板7と底板8と左右の両側板11,11と背板12と前板13とを有する。前板13は使用者に対して、上下方向の支軸(図示せず)周りに開閉自在に設けられている。特に側板11,11と背板12には、その板面中央部に開口11A,12Aが形成されている。
【0018】
水薬供給装置1は、この本体6内に配置される環状の前記載置体5と、載置体5を吊持する吊持手段15と、吊持手段15を含めて載置体5を上下方向軸線16周りに間欠的に回転駆動させるための回転駆動部17と、載置体5に周方向に所定間隔置きに配置される供給ボトル3毎に設けられる供給ポンプ18(この種の水薬供給装置に用いられるポンプである)と、選択された供給ボトル3に対応する供給ポンプ18を駆動するためのポンプ駆動部20と、各供給ポンプ18に一端側が挿入される水薬供給管21の他端側に取付けられた中継ノズル19と、一端側が中継ノズル19に取付けられた水薬管29の他端側に取付けられる供給ノズル22と、供給ノズル22を保持する保持部23と、水薬ボトル4を載置する載置台24と、この載置台24を昇降させるための昇降装置25と、供給ノズル22の水薬吐出口部26から吐出されている水薬2の有無を検出するための水薬センサ27とを備える。
【0019】
図7ないし図10に示すように、水薬ボトル4の形状は、下部に同一断面に形成されているボトル胴体4aと、ボトル胴体4aの上部から、上方に向かうほど縮径された首部4bと、首部4bから上方に向けて延長された同一断面の口部4cとを有する。
【0020】
底板8は本体6の上下方向途中に配置された平板状に形成されている。天板7は中心が円形に中抜きされた平板状に形成されている。図3の断面図に示すように、回転駆動部17は天板7に設けられている。回転駆動部17は天板7の上面に載置された回転駆動モータ28と、天板7の下面に上下方向軸線16周りに回転自在に支持されて内周面の上下方向中心に水平に形成された環状の突条30を有する回転環体31と、回転環体31の下面に固着された環状薄板状の歯車板32と、前記回転駆動モータ28の駆動軸に取付けられて歯車板32の外周辺に形成された歯33に噛合する駆動歯車33aと、天板7の下面に上下方向軸線16周りにその場回転自在に取付けられて外周面に前記突条30に嵌合する凹条34を有する複数の支持ローラ35とを有する。各供給ポンプ18は、回転駆動部17(回転駆動モータ28)の間欠駆動に連動して供給ポンプ18毎に駆動するよう構成されている。
【0021】
歯車板32の下面に、供給ポンプ18を取付けるための取付け枠体36が歯車板32の周方向に隣接するように設けられている。各取付け枠体36は、径方向外周面に供給ポンプ18の本体部37が組付けられる矩形の平板部38と、この平板部38の各辺に径方向内方に向けて突出する矩形のフレーム部40とを有する。フレーム部40の上部は前記歯車板32の下面に、例えばネジ止めされることで固定されている。平板部38はまた、その下方寄りに供給ポンプ18を駆動させる従動歯車(従動係止回転爪)41を径方向内方に突出させるための挿通孔43が形成されている。供給ポンプ18の本体部37は、平板部38の径方向外側面にネジ止め等により固定されている。供給ポンプ18の従動歯車41は、挿通孔43から平板部38の径方向内方に突出しておりその外周部は取付けプレート44によって、平板部38の径方向内方面からネジ止め等されている。この構成によって、各供給ポンプ18は、それぞれ取付け枠体36に確実に固定されるとともに、従動歯車41は、水平軸線45周りにそれぞれその場回転自在な構成となっている。
【0022】
図5に示すように、ポンプ駆動部20は、取付け枠体36で囲まれる領域の径方向内方に配置されている。このポンプ駆動部20は、水平に保持されたサーボモータ46と、サーボモータ46の駆動軸の先端に設けられた駆動歯車47(駆動係止回転爪)と、サーボモータ46の側部に設けられてサーボモータ46を選択された供給ポンプ18の従動歯車41に向けて横方向(水平方向)に前進させるためのソレノイド48と、サーボモータ46を後退させる方向に付勢するバネ50と、サーボモータ46の位置を検出するする位置検出センサ51と、サーボモータ46の変位位置を調整可能なストッパ52とを有する。なお、図示しないが、ポンプ駆動部20は、支持板部材に載置され、且つ横方向に移動可能に支持されている。
【0023】
取付け枠体36のフレーム部40の下部に環状のノズル取付け板53がネジ止め等により固定されている。ノズル取付け板53の外周部には周方向に供給ポンプ18毎の間隔に応じて、供給ポンプ18によって送られる水薬2を下方に設けられる水薬ボトル4へ向けて中継する前記中継ノズル19を装着するための装着片55が、径方向外方に突出するよう形成されている。この装着片55の板面にノズル挿通孔55a、あるいはノズル装着用切欠がそれぞれ形成されている。中継ノズル19は適宜の手段によりノズル挿通孔55aに着脱自在に装着されている。例えば図1および図3では、ノズル取付け板5上に上下方向軸線16a周りに回動自在に取付けたフック部19aを有する保持具19Aによって、保持される構成である。
【0024】
図1および図3に示すように、ノズル取付け板53の下面に、上下方向に実質的に同一高さを有する板状の仕切り体56が、供給ボトル3に応じた数だけネジ止め等により取付けられている。仕切り体56の下端部には、供給ボトル3を載置するための環状且つ板状の載置体5が、仕切り体56にネジ止め等により固定されている。すなわち、載置体5を天板7に吊持する吊持手段15として、回転環体31、歯車板32、各取付け枠体36、ノズル取付け板53、および仕切り体56の連続構造を有している。
【0025】
載置体5上で仕切り体56間に、供給ボトル3を載置するための載置皿57が設けられている。載置皿57は載置体5の上面に固定されて供給ボトル3の底面が載置される受け板58と、この受け板58に磁力により着脱自在に装着される受け筒60とを有する。供給ボトル3の下部は受け筒60に挿入されて受け板上に配置される。載置体5には、供給ボトル3毎に水薬管29の途中を挿通保持するための径方向内方へ向けて切欠いた保持凹部5Aが形成されている。この保持凹部5Aは、径方向外方側が水薬管29の径にくらべてわずかに幅狭の装着切欠5aとされており、径方向内方が拡径された挿通部5bとされている。
【0026】
次に、載置体5の供給ポンプ18毎の間隔に応じて設けられる供給ノズル22と、これを保持するための前記保持部23について説明する。この保持部23は、供給ノズル22の向きを上下方向軸線16bに対して傾斜角度を変更可能とする変更機構によって構成されている。この変更機構の構成は、供給ノズル22の傾斜角度を水薬ボトル4の形状に合わせて、制御装置によって自動的に制御する構成であってもよいし、機構的に手動で行う構成であってもよい。この場合、手動で行う構成を採用している。何れの傾斜角度であっても、供給ノズル22の水薬吐出口部26はその角度に応じた高さ位置に保持されることになる。
【0027】
変更機構は、載置体5の外周部上面にネジ止め等によって固定される取付けフランジ61を有する。この取付けフランジ61は、載置体5の外周部上面に取付けられる止め板62とこの止め板62の径方向外方から上方に向けて折曲された案内面部63とを有する。案内面部63の板面には周方向に沿う第一長孔64が形成されている。変更機構は、さらに供給ノズル22を取付ける取付け部65を有する。取付け部65は案内面部63の径方向外方に重ねられる重ね板66と、この重ね板66の下端部から径方向外方に向けて折曲される板状の保持片67とを有する。重ね板66には、第一長孔64の径方向外方に重ねられる第二長孔73が形成されている。第二長孔73は、重ね板66の高さ方向に沿う長孔とされている。
【0028】
保持片67の一方寄りには供給ノズル22を挿通するための挿通孔が形成されている。さらに、保持片67の上面には、挿通孔に挿通した供給ノズル22の円筒部68をサイドから嵌合して固定する保持ブロック70がネジ孔71を介して保持片67の上面に取付けられている。保持ブロック70の挿通孔49側には供給ノズル22の円筒部68に嵌合する半円筒状の嵌合凹部72が形成されている。上記構成の変更機構では、第一長孔64と第二長孔73とを重ねて両長孔64,73にビス等の止め具を挿通することで、取付けフランジ61に取付け部65が固定されることになる。さらに、第一長孔64に対する第二長孔73の傾斜角度θを変更することで、取付けフランジ61に対する取付け部65の傾斜角度θ1が変更されることになる。なお、供給ノズル22は、円筒部68と先端が先細りの円錐台形状に形成された水薬吐出口部26から一体に形成されている。変更機構において、第一長孔64と第二長孔73との重なり角度や重なり高さ等を変更することで、取付け部65は取付けフランジ61に対して、第一長孔64と第二長孔73の長さ等に応じて位置変更も可能であることは勿論である。
【0029】
次に、図7および図8に基づいて、水薬ボトル4を載置する前記載置台24および、この載置台24を供給ノズル22に対して昇降させるための昇降装置25について説明する。載置台24は本体6の前面下部に配置されており、前面下部を上方から下方に向けて切欠いた正面視して矩形の切欠74の両側壁部75,76に案内されて昇降自在とされた案内板部材77と、この案内板部材77の前面下部に前方に突出するよう固定された固定台78と、この固定台78の上面に水薬ボトル4を直接載置して、水薬ボトル4の底部が挿入される凹部80を有する受け皿81とを一体、または別体に有する。
【0030】
昇降装置25は、昇降用モータ82と、本体6の前面下部に配置されて昇降用モータ82の駆動によって駆動するベルト機構83とを有する。昇降用モータ82は本体6の前面下部の裏面に、その駆動軸84が前方に突出するよう取付けられ、駆動軸84には、駆動プーリ85が本体6の前面下部から水平方向前方に突出するように取付けられている。ベルト機構83は、案内板部材77の側方部に固定されたベルト固定具86と、駆動プーリ85の斜め下方に配置されたテンションプーリ87と、上下方向に離間して配置された巻回プーリ90,91と、各プーリ85,87,90,91に巻回されるベルト92とを有する。なお、ベルト92をタイミングベルトとし、これら各プーリ85,87,90,91は、その周囲にタイミングベルトに噛合う凹凸部を有するものであってもよい。さらに、テンションプーリ87は、不図示の揺動軸周りに揺動して、ベルト92に適切なテンションを付与できる構成とすることが好ましい。昇降装置25の駆動については、不図示の駆動スイッチを操作することで行うよう構成している。
【0031】
次に、供給ノズル22の水薬吐出口部26から吐出されている水薬2の有無を検出するための光学センサとしての水薬センサ27について説明する。水薬センサ27は本体6の前面下部に前方に突出するよう左右に離間した取付けプレート93,94の左右対向面93a,94aの下面それぞれに発光部95と受光部96として、両者が基準面から同一高さとなるよう水薬センサ27の本体がネジ止め等により、取付けられている。
【0032】
取付けプレート93,94は、正面視して載置体5よりもわずかに下方に位置している。前記底板8は載置体5のさらに下方に、少なくとも手指や製造具が入る上下方向高さを有する隙間(空間)を介して本体6に装着されている。
【0033】
この構成により、水薬センサ27は、供給ノズル22(水薬吐出口部26)の側方近傍に配置されている。なお、左右対向面93a,94aの何れに発光部95、受光部96を取付けてもよい。水薬センサ27では、発光部95側からの発光量に対する受光部96の受光量を予め関係付けておいて、供給ノズル22から水薬2が吐出している場合はその分だけ発光量と受光量の関係が崩れることから、直接的に水薬2の吐出の有無を検出することになる。
【0034】
水薬センサ27は、発光部95、受光部96間の水薬ボトル4の上端口部97の有無、すなわち水薬ボトル4に水薬2を供給可能か否かを検出する機能を兼用している。水薬センサ27が水薬ボトル4の存在を検出すると、その信号が制御装置を介して昇降用モータ82の駆動部に出力されて、水薬ボトル4の上端口部97が水薬センサ27からわずかに下方に位置するまで載置台24を下降させるよう制御装置によって制御される。このように水薬ボトル4の上端口部97を水薬センサ27からわずかに下方に位置させることで、水薬センサ27間に検出空間を確保でき、その後、水薬センサ27は水薬2の有無のみを検出することになるから、水薬2の検出を正確に行うことができる。なお、水薬センサ27は、昇降用モータ82の駆動部、回転駆動モータ28の駆動部、各供給ポンプ18の駆動部に電気的に接続されている。
【0035】
上記構成の水薬供給装置1において、載置体5の各載置皿57に、水薬2が充填された供給ボトル3を載置し、各水薬供給管21の一端側を供給ボトル3内に挿入し、その途中を供給ポンプ18に挿通し、さらに他端側を中継ノズル19に接続し、さらに水薬管29の一端側を中継ノズル19に接続するとともに他端側を供給ノズル22に接続する。また、固定台78に、水薬ボトル4を受け皿81に載置する。
【0036】
そして駆動スイッチを操作(オン操作)することで、水薬センサ27が水薬ボトル4の上端口部97を検出していない場合は、昇降装置25すなわち昇降用モータ82が駆動し、これによりベルト92が回転し、ベルト92と案内板部材77とはベルト固定具86を介して固定されているから案内板部材77が上昇し、水薬センサ27が水薬ボトル4の上端口部97を検出した時点で昇降装置25(昇降用モータ82)が駆動を停止させ、上記したように水薬ボトル4の上端口部97が水薬センサ27からわずかに下方に位置するまで載置台24が下降する。供給ノズル22の傾斜角度θについては、第一長孔64に対する第二長孔73の周方向位置や高さ方向位置を調整することで、取付けフランジ61の案内面部63に対して重ね板66の傾斜角度を調整し、水薬ボトル22の形状にあわせて、予め水薬ボトル22(上端口部97)に対して斜め方向から吐出されるように設定しておくことが好ましい。
【0037】
このように予め準備をしておき、水薬2の供給を開始するものであるが、初期状態においては、供給ボトル3すなわち供給ノズル22が周方向で、水薬ボトル22に水薬2を供給可能な位置にある場合はよいが、そうでない場合も考えられる。このような場合のため、本体駆動のスイッチ(図示せず)を操作(オン操作)した時点で、回転駆動モータ28を駆動させて、水薬ボトル4に最も近い供給ボトル3すなわち供給ノズル22が周方向に水薬ボトル22に水薬2を供給可能な位置に至るまで載置体5を回転させることとする。この場合、特別に上記位置を検出するセンサを設けておいて、そのセンサからの検出信号によって、制御装置が水薬ボトル4に最も近い供給ボトル3が水薬ボトル22に水薬2を供給可能な位置に至るまで載置体5を回転させることが好ましい。このとき、回転駆動モータ28を駆動すると駆動歯車が回転駆動し、この駆動歯車33aは歯車板32の歯33に噛合しているから、歯車板32に一体に設けられている回転環体31が、その突条30が支持ローラ35の凹条34と嵌合しつつ上下方向軸線16周りに回転駆動することになる。また、歯車板32の下方に一体設けられている取付け枠体36、供給ポンプ18、ノズル取付け板53、仕切り体56、および載置体5が上下方向軸線16周りに回転することになる。
【0038】
ポンプ駆動部20においてソレノイド48が駆動してバネ50の弾性に抗してサーボモータ46が供給ポンプ18の従動歯車41に向けて横方向に前進し、駆動歯車47が従動歯車41に係合(噛合)したことを位置検出センサ51が検出すると、サーボモータ46が駆動して駆動歯車47とともに従動歯車41が回転し、供給ポンプ18が駆動することになる。そして、供給ポンプ18が駆動すると、供給ボトル3内の水薬2が吸い上げられ、水薬供給管21から中継ノズル19を通り、水薬管29に至り、さらに供給ノズル22の水薬吐出口部26から水薬2が吐出する。このとき、供給ノズル22は上下方向軸線16に対して傾斜しているから、水薬ボトル4の底面に直角に当ることがなく、例えば水薬ボトル4の内壁面に対して斜めに吐出して当ることになる。つまり、水薬ボトル4の内壁面に対して斜めに当る分だけ水衝現象に伴う水薬2の泡立ちが小さくなることになり、水薬2が水薬ボトル4内で泡立つのを効果的に防止でき、したがって、水薬ボトル4内の水薬2の量を容易に確認することができる。
【0039】
供給ノズル22の傾斜角度によっては、水薬2が水薬ボトル4の口部4cや首部4bに当ることが考えられるが、何れにしても、水薬ボトル4の内面に直角に当ることを防止すれば、従来底面に直角な方向に当っていた場合に比べて水薬2の泡立ちを抑制することができるから、水薬ボトル4内の水薬2の量を確認し易い。
【0040】
水薬2を水薬ボトル4に供給する際は、供給の開始時には水薬2の量を多くし(水薬吐出部26の口径は同一であるから水薬2の吐出速度を速くすることなる)、供給の終了に近くなるほど少なく供給する(水薬2の吐出速度を遅くすることになる)ようにする。そうすると、水薬2の水薬ボトル4外への飛び散りが抑制できて、水薬ボトル4周りの汚れを抑制でき、したがってその分だけ水薬ボトル4内に供給される水薬2の実質量を正確にすることができる。このため、本発明の実施形態では、上記のように水薬2の供給量を変更するよう制御装置によって制御している。
【0041】
なお、初期状態での水衝現象による水薬2の泡立ちをいっそう確実に抑制するために、供給初期状態では水薬2の量を少なくすることも考えられる。この場合、水薬2の供給終了に近付くまでは水薬2を多く供給し、供給終了に近くなった時点では、再び水薬2の供給量が少なくなるよう制御することで、水薬2の供給時間を短縮することが可能になるとともに、水薬2の水薬ボトル4外への飛び散りを抑制することができる。
【0042】
ところで、従来では、供給ポンプ18が駆動しているにも拘わらず、例えば供給ボトル3内の水薬2が不足したり、中継ノズル19部分から水薬2が漏れたりしていて、供給ノズル22から水薬2が吐出されていない場合であっても、制御装置が供給ポンプ18の駆動を検出することで水薬2が供給ノズル22から吐出しているものとして判断していたが、この実施形態では、実際に供給ノズル22から水薬2が吐出されているかどうか、すなわち水薬センサ27からの受光量信号によって水薬2の有無を検出することになるから、上記のような不都合が解消でき、水薬2が供給ノズル22から吐出されているかどうかを確実に知ることができる。さらに水薬センサ27は、水薬ボトル4の位置が水薬2を供給可能であるかどうかを検出するセンサを兼用しているから、特別に水薬ボトル4の位置を検出するセンサを設ける必要がなくなり、構造が簡単になるとともに、コストの低減が可能になる。
【0043】
ところで、例えば、供給ボトル3内の水薬2が無くなった場合や、別の水薬2をひとつの水薬ボトル4内に収容する場合、予め水薬2が充填されている別の供給ボトル3を使用することになる。この場合、一旦ポンプ駆動部20の駆動を停止し、サーボモータ46の駆動を停止させることで従動歯車41の回転を停止させ、ソレノイド48の駆動を停止させる。そうすると、バネ50の弾性によってサーボモータ46が基準位置に復帰することになる。続いて、次に使用する供給ポンプ18(同一の水薬2、あるいは異なる水薬2が収容されている場合もある)を用いるべく、回転駆動部17(回転駆動モータ28)を間欠駆動させて、その使用する供給ポンプ18すなわち供給ノズル22が水薬ボトル4に対応する位置に至るよう、載置体5を上下軸線16周りに回動させる。そして上記したように、ポンプ駆動部20を駆動させて供給ノズル22から水薬2を吐出させる。
【0044】
ひとつの水薬ボトル4に対して処方箋どおりの水薬2が供給されたら、次の水薬ボトル4を受け皿81に載せ、上記と同様に水薬ボトル4の高さ位置を調整して、供給ノズル22から水薬2を水薬ボトル4に供給することになる。このとき、上記したように水薬2の飛び散りを防止していることで受け皿81等、新たな水薬ボトル4の周囲の汚れは防止されているから、特に清掃の手間を省くことができる。
【0045】
以上のような動作を繰返して、水薬ボトル4に水薬2を供給することになるが、供給ボトル3を交換する際等に、水薬供給管21、中継ノズル19、水薬管29などから水薬2が底板7等に零れ落ちることがあるが、この実施形態では、供給ボトル3を載置する載置体5が本体6の天板7側に吊持された構成を有し、本体6の底板8と載置体5との間に、隙間10が設けられた構成を有するから、手指や清掃具を底板8上で動かし易く、また底板8と載置体5との間には従来のような複雑な構造部分を有するものが何もないから、零れ落ちた水薬2を容易に且つ楽に清掃することができる。したがって、水薬供給装置1を常に清潔な状態に維持することが可能となる。
【0046】
なお、本発明につき上記実施形態では、供給ボトル3を載置する載置体5が本体6の天板7側に吊持された構成を有し、本体6の底板8と載置体5との間に、隙間10が設けられた構成を有する水薬供給装置1において説明したが、これに限定されるものではなく、上記従来技術に示したように、底板側に回転駆動部を設け、この回転駆動部にベースを設け、ベースの上端部に供給ボトルを複数載置する載置板を設け、載置板に供給ボトルを載置して、供給ボトルと水薬ボトルとを供給管で接続し、供給管を供給ポンプに接続して、供給ポンプの駆動により必要な水薬を選択された供給ボトルから、供給管の先端部を下方に向けて水薬ボトルに必要な水薬を供給するようにしている水薬供給装置にも適応可能であることは、勿論である。この構成の場合でも、供給ボトル3を載置する載置体5が本体6の天板7側に吊持された構成を有して、本体6の底板8と載置体5との間に、隙間10が設けられた構成の水薬供給装置1による作用効果以外には同様の作用効果を奏し得る。
【0047】
また、水薬が水薬吐出部から吐出される量を、水薬供給開始には多くし、水薬供給終了には少なくするよう変更することもできる。
【0048】
このように、ある量だけ水薬ボトルに水薬が供給された後に水薬の供給量をそれまでに比べて減少させることにより、水薬ボトルからの液跳ねが抑制されて水薬ボトルから水薬が飛び出るのを効果的に防止し、水薬ボトル周囲の汚れが抑制されるとともに、したがってその分だけ水薬が水薬ボトル内に供給される実質量が正確になる(処方箋どおりの供給量となる)。なお、供給される水薬の量を減少させるということは、供給ノズルの水薬吐出部の口径が同一であるならば、水薬の供給速度を遅くするということになる。
【0049】
また、水薬吐出部から吐出させる水薬の速度を速くすることで水薬供給開始には水薬を多く供給し、水薬吐出部から吐出させる水薬の速度を遅くすることで水薬供給終了時には水薬を供給開始に比べて少なくするよう構成することもできる。
【0050】
このように、ある量だけ水薬ボトルに水薬が供給されるまでは水薬吐出部から水薬の吐出速度を速くして、その後に水薬吐出部からの水薬の吐出速度を遅くして水薬の供給量をそれまでに比べて減少させることにより、水薬ボトルからの液跳ねが抑制されて水薬ボトルから水薬が飛び出るのを効果的に防止し、水薬ボトル周囲の汚れが抑制されるとともに、したがってその分だけ水薬が水薬ボトル内に供給される実質量が正確になる(処方箋どおりの供給量となる)。
【符号の説明】
【0051】
1…水薬供給装置、2…水薬、3…供給ボトル、4…水薬ボトル、5…載置体、6…本体、7…天板、8…底板、10…隙間、16…上下方向軸線、18…供給ポンプ、19…中継ノズル、20…ポンプ駆動部、21…水薬供給管、22…供給ノズル、25…昇降装置、26…水薬吐出口部、27…水薬センサ、29…水薬管、30…突条、31…回転環体、32…歯車板、33a…駆動歯車、34…凹条、35…支持ローラ、36…取付け枠体、41…従動歯車、46…サーボモータ、47…駆動歯車、48…ソレノイド、50…バネ、51…位置検出センサ、53…ノズル取付け板、56…仕切り体、61…取付けフランジ、63…案内面部、64…第一長孔、66…重ね板、73…第二長孔、77…案内板部材、78…固定台、82…昇降用モータ、86…ベルト固定具、92…ベルト、97…上端口部、θ…傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の供給ノズルから水薬ボトルに対して水薬を選択的に供給する水薬供給装置であって、
供給ノズルは、水薬ボトルの内壁面から離れた状態で、供給する水薬が水薬ボトルの内壁面に斜めに当たるように保持されることを特徴とする水薬供給装置。
【請求項2】
複数の供給ノズルから水薬ボトルに対して水薬を選択的に供給する水薬供給装置であって、
各供給ノズルをそれぞれ保持する複数の保持部を備え、
保持部は、供給ノズルを、水薬ボトルの内壁面から離れた状態で、供給する水薬が水薬ボトルの内壁面に斜めに当たるように保持することを特徴とする水薬供給装置。
【請求項3】
複数の供給ノズルから水薬ボトルに対して水薬を選択的に供給する水薬供給装置であって、
各供給ノズルにそれぞれ接続される複数の供給ボトルが載置され、上下方向軸線周りに回転自在な載置体と、
各供給ノズルをそれぞれ保持し、載置体とともに前記上下方向軸線周りに回転自在な複数の保持部と、
載置体および各保持部を前記上下方向軸線周りに回転させる回転駆動部とを備え、
保持部は、供給ノズルを、水薬ボトルの内壁面から離れた状態で、供給する水薬が水薬ボトルの内壁面に斜めに当たるように保持することを特徴とする水薬供給装置。
【請求項4】
載置体は、水薬供給装置の本体に吊持されることを特徴とする請求項3記載の水薬供給装置。
【請求項5】
保持部は、供給ノズルの向きを変更可能とする構成を有することを特徴とする請求項2ないし請求項4記載の何れかに記載の水薬供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−106032(P2012−106032A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−39001(P2012−39001)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【分割の表示】特願2006−152401(P2006−152401)の分割
【原出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】