説明

水質改善タンクおよび当該水質改善タンクを用いた水質改善装置

【課題】隆起サンゴ化石を砂利状または小砂利状に破砕して利用するときに、水質改善タンクをより小型化する。
【解決手段】水質改善タンク10は、略円筒形で、下部に水の取入口14、上部に水の排出口15を備える。タンク内部には、円形の画成板20を備え、水を通過させる複数の小孔25を備える。小孔25は、すべての画成板において同一パターンで成形し、小孔を上下段で直線的に整列させないよう、各画成板を周方向に角度調整しつつ配する。小孔25を直線的に整列させないように各画成板20を配するので、下部の取入口14から取り入れた水は、直線的な流れとなってスムーズに上方に移動することが妨げられ、滞留時間を稼ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕した隆起サンゴ化石を用いる水質改善タンクおよび当該水質改善タンクを用いた水質改善装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サンゴを用いて水、とくに水道水の水質を改善する技術は従来から提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1記載の発明は、サンゴをクエン酸あるいは酢酸水溶液に浸漬して柔らかさを付与し、その後水洗と乾燥処理を施して浄水剤とするものである。サンゴをクエン酸あるいは酢酸水溶液に浸漬すると水溶液は酸性を呈するが、5〜6時間も放置すればアルカリ質のサンゴによって水溶液は中和され、かつ柔らかくなり、サンゴの破砕処理が容易となる旨が記述されている。
【0004】
また、下記特許文献2記載の発明は、サンゴのカルシウム源を有機酸によって溶解する技術に関し、カルシウム水溶液を製造する際の大量の炭酸ガスの発生を防止するため、セルロース、ケイソウ土、パーフライト、活性炭、粉末木炭などの濾過剤を添加するものである。
【0005】
ところで、これら従来の水質改善技術は、いわゆるサンゴ砂(コーラルサンド)を用いたものである。天然のサンゴ砂は、珊瑚礁が破壊されて形成された石灰質の砂として、例えば沖縄県等において取得できる。天然サンゴは、条例や条約(ワシントン条約等)によって入手が厳しくなっているが、現時点では外国産の天然サンゴ(死滅したもの)は入手可能であり、前記特許文献1の技術などは、死滅したサンゴを砂サンゴに加工するためのものである。
【0006】
一方、水質改善に利用できるサンゴとしては、従来一般に用いられている砂サンゴではなく、地球太古に形成された隆起サンゴ化石(風化造礁サンゴ化石)がある。隆起サンゴ化石は、およそ約15万〜7万2000年前のリス=ウルム間氷期(第3間氷期)の造礁サンゴが地殻変動によって隆起した岩石状の化石であり、例えば、沖縄県八重山諸島の最西端に位置する与那国島にみられる。地面に隆起した岩石状の化石であるから、条例や条約の制約を受けることなく取得できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06−142643号
【特許文献2】特開平09−077873号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
問題は、古代の隆起サンゴ化石(風化造礁サンゴ化石)を用いて水質浄化を行う場合、水質改善タンクの構造を如何にすべきかにある。
【0009】
隆起サンゴ化石は、古代のサンゴ礁が隆起して岩石状になったものであるため、従来一般に使用される砂サンゴのように細かい粒に造粒する必要はないし、むしろ、大まかな破砕処理を行って砂利状または小砂利状のまま利用することが好ましい。工程を単純化して経済的な水質改善が行えるし、化石サンゴが保有している各種のミネラルを長期にわたって水に供給(放出)できるからである。
【0010】
従来、サンゴ利用の水質改善タンクは、タンク容器内にサンゴ砂を充填し、サンゴ砂と水とを接触させていた。しかし、隆起サンゴ化石を砂利状または小砂利状に破砕して利用する場合は、小さな粒であるサンゴ砂と異なり、水とサンゴ化石との接触機会(接触面積の総量)が少なくなるため、水質改善タンクを大型化させて対処する必要がある。タンクを大型化して破砕した隆起サンゴ化石の充填総量を増やすためである。
【0011】
しかしながら、水質改善タンクを大型化させると処理工場の床面積が増大するだけでなく、工場家屋も上下方向に大型化するため、設備コストが嵩み製品価格を押し上げる難点が生まれる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、隆起サンゴ化石を砂利状または小砂利状に破砕して利用するときに、水質改善タンクをより小型化できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明に係る水質改善タンクは、略円筒形に成形し、下部に水の取入口、上部に水の排出口を備え、タンク内部には、上下に離隔させて水平に配した二以上の円形の画成板を備え、該画成板は、水を通過させるための複数の小孔を備え、該小孔は、すべての画成板において同一パターンで成形し、中心孔以外の前記小孔を上下段で直線的に整列させないよう、前記中心孔を回転中心として、前記各画成板を周方向に角度調整しつつ配する(請求項1)。
【0014】
このタンクでは、下部の取水口から取り入れた水が上部の排出口に向かって流れるが、タンク内に配した画成板が、スムーズな水の流れを邪魔して、水の滞留時間を稼ぐようになっている。画成板に設けた小孔を直線的に整列させないように各画成板を配するので、下部の取水口から取り入れた水は、直線的な流れとなって上方に移動することが妨げられるからである。
【0015】
すなわち、下部の取水口から取り入れた水は、最下段の画成板の小孔を通過して当該画成板の上にあるサンゴ化石(砂利状または小砂利状に破砕した隆起サンゴ化石)と接触した後、その上方に位置する別の画成板に向かうが、上下の画成板の小孔は直列に整列していないので、上方に向かった水は、上段の画成板の壁面(小孔以外の一般面)に当たって下方に反射する。この結果、水は画成板の間で滞流し、サンゴ化石との接触機会を確実に増大させる。中心孔は上下段の画成板のすべてにおいて直線的に整列する。中心孔を通って上昇する水は、最上段の画成板を通過したあと天井面に当たり反射する。タンクの最上段(天井面のある室)では各小孔を通過して上昇する流速の遅い水と、中心孔を通過した流速の速い反射水とが接触することで対流が生じ、サンゴ化石と水との接触機会を増大させる。
【0016】
このように、上下段の画成板の間で水が滞流しつつ、サンゴ化石と複数回の接触機会を得ながら水が上方に流れるので、直線的な水流として単純に水を通過させる場合に較べてタンク容積を小型化してもサンゴ化石との接触機会(接触時間)を増大させることが可能となる。
【0017】
請求項2は、この水質改善タンクを用いた水質改善装置に係るものであり、請求項1記載の水質改善タンクの上流側に逆浸透膜を用いたろ過装置を配することを特徴とする。
【0018】
逆浸透膜を用いたろ過装置を配することにより、水質改善の対象となる水、例えば水道水、地下水、鉱泉水に含まれている可能性がある藻類や菌類(安全性に影響がないとされているものを含む)を完全に除去するためである。
【0019】
請求項3は、タンク内部に装填する隆起サンゴ化石は、各画成板の上に10cm以上の積層をなすよう配設する水質改善装置である。隆起サンゴ化石は、砂利状または小砂利状に破砕して用いるが、その使用量が少ないと、水との接触機会を増加させても十分な成分を水に添加できない。そこで、砂利状または小砂利状に破砕して用いる隆起サンゴ化石は、少なくとも10cm以上の層をなすよう各画成板の上に積層させておく。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る水質改善タンクによれば、隆起サンゴ化石を砂利状または小砂利状に破砕して利用するときに、水の滞流を起こしてサンゴ化石との接触機会を増大させるので、水質改善タンクをより小型化することが可能となる。
【0021】
水質改善タンクの小型化により、隆起サンゴ化石を用いた処理水の製造価格、販売価格を確実に抑えることが出来る。この結果、請求項2のように、水道水、地下水、鉱泉水等をより安全性の高い水質次元に改善する高額の逆浸透膜処理を施しても、価格の点で市場競争力をもった処理水を生産できる水質改善装置を構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係る水質改善タンクを例示する断面図である。
【図2】実施形態に係る画成板を例示する平面図である。
【図3】実施形態に係る上下の画成板の位置関係を例示する図である。
【図4】実施形態に係る水質改善タンク内の水の流れを例示する図である。
【図5】実施形態に係る画成板とそれを支持する支柱材とを例示する図である。
【図6】実施形態に係る水質改善装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1、図2は、本発明に係る水質改善タンクを例示するものである。この水質改善タンク10は、全体形状略円筒形をなし、水平断面が円形をなすタンク内部に複数の円形の画成板20(20−1、20−2、20−3)を配して、この画成板20の上に砂利状に破砕した隆起サンゴ化石11を配してある。
【0024】
また、水質改善タンク10の下部に水の取入口14、上部に水の排出口15を備える。水の取入口14および水の排出口15は、タンクの壁部に開口を設けて形成する。なお、当該開口にはパイプP1、P2を挿入設置するので、図面上は、パイプP1、P2の先端開口をもって取入口の符号14および排出口の符号15を示してある。水の取入口14は、最下段の画成板20−1の下に配し、水の排出口15は、最上段の画成板20−3の上に配する。パイプP1には、水道水の蛇口、またはポンプ装置(図示せず)を介して適当量の水を連続的に送り込む。
【0025】
画成板20は、図2に示すように、平面略円形に成形し、水を通過させるための複数の小孔25を備える。この小孔25は、例えば、画成板20の中心部に設けた中心孔25−1と、この中心孔25−1を囲むように円形パターンで設けた外周孔25−2、25−3、25−4によって構成する。
【0026】
中心孔25−1と、この中心孔25−1を囲むように配した外周孔25−2、25−3、25−4からなる小孔25の配設パターンおよび個数は、すべての画成板20(20−1、20−2、20−3)において同一としておく。
【0027】
そして、画成板20を配する際には、最下段の画成板20−1の上に配する画成板20−2を、中心孔25−1を回転中心として周方向に若干位置ずれさせて(角度調整して)配しておく。また、画成板20−2の上に配する画成板20−3も、画成板20−2に対して周方向に若干位置ずれさせて(角度調整して)配する。このようにして、上下に位置する画成板20の小孔が、直列に整列しないようにする。
【0028】
図3は、上下段の画成板20の小孔25の位置関係を例示するもので、例えば、実線で示す外周孔25−2a、25−3a、25−4aを最下段の画成板20−1の外周孔25とした場合、破線で示す外周孔25−2b、25−3b、25−4bが、直上の画成板(本実施形態では中段の画成板)20−2の外周孔25である。中心孔25−1を除き、直上の外周孔25−2b、25−3b、25−4bは、最下段の画成板20−1の外周孔25−2a、25−3a、25−4aと上下方向に位置ずれし、上下方向に直列的に整列しないようにさせてある。この関係は、中段の画成板20−2の小孔25と最上段の画成板20−3の小孔25も同じである。なお、図3では、画成板20の外径寸法に比して小孔25の径を大きく示してある。
【0029】
こうすると、下の画成板20の小孔25を通過した水が、そのまま直進上昇したときに、直上の画成板20の小孔25をスムーズに通過しにくくなる。直進上昇した水が、直上の画成板20の壁面(小孔以外の一般面)に当たって下方に反射するためである。
【0030】
この結果、図4に示すように、水の取入口14からタンク内に流入した水(矢印Wで示す)は、まず最下段20−1の小孔25を通過して直上の画成板20−2に向かって上昇し、次いで、画成板20−2の壁面に当たって下方に反射するので、画成板20−1、20−2の間で水(W)の滞流(流動しつつ滞留する状態)が起こり、画成板20−1の上に配した砂利状の隆起サンゴ化石11と水(W)との接触機会が増大する。
【0031】
砂利状の隆起サンゴ化石11は、画成板20−1、20−2の間に隙間なく充填する必要はない。画成板20の上に適宜量、例えば10〜20cm程度の層厚で配設しておくだけで良いからである。このため、破砕した隆起サンゴ化石11は水(W)の流動によって浮動し、下方から圧送される水(W)を直進させる可能性があるが、上下の画成板20の小孔25を周方向に互いに位置ずれさせ、上の画成板20−2における水(W)のスムースな通過を阻むことにより、画成板20−1〜20−3が形成する各段の画成室Cにおいて、水(W)の滞流に伴う隆起サンゴ化石11と水の接触機会を確実に増大させることが可能となる。
【0032】
かかる構成によれば、パイプP1を介して取入口14からタンク内に送り込んだ水(W)は、最下段の画成板20−1の小孔25を通過して、画成板20−1の上に配置した隆起サンゴ化石11に接触し、上昇して画成板20−2の壁面に衝突して下方反転して滞流し、再び当該隆起サンゴ化石11と接触する。次いで一部の水(W)は、取入口14から送り込まれる水量に応じて画成板20−2の小孔25を通過し、画成板20−2の上に配置した隆起サンゴ化石11に接触し、上昇して画成板20−3の壁面に衝突して下方反転して滞流し、再び当該隆起サンゴ化石11と接触する。最上段の画成板20−3の小孔25を通過した水(W)は、画成板20−3の上に配置した隆起サンゴ化石11に接触して上昇し、タンクの天井面17に衝突して下方反転して滞流し、再び当該隆起サンゴ化石11と接触する。
【0033】
このように、画成板20によって仕切られた各段の画成室Cにおいて水(W)が滞流して隆起サンゴ化石11との接触を繰り返すので、水(W)を単純に上昇させる場合に較べて隆起サンゴ化石11との接触機会を増大させ、小型化させたタンクであっても、水(W)に隆起サンゴ化石11の成分をより多く付与することが可能となる。中心孔25−1を通って上昇する水は、最上段の画成板20−3を通過したあと速い速度で天井面17に当たり反射して、他の小孔25を通過して上昇する流速の遅い水と融合し対流を生じさせ、サンゴ化石と水との接触機会を増大させる。
【0034】
なお、水質改善タンク10は、例えば、ステンレス等の難錆金属、防錆処理を施した金属、または樹脂を用いて成形できる。画成板20も同様である。各画成板20に設ける小孔25は、その合計面積によって通過させる単位時間あたりの水量を設定できる。各小孔25の径は10mm以下で良い。例えば2〜8mm程度に設定できる。当該小孔25から隆起サンゴ化石11が落下しない限り、径は自由に設定できる。隆起サンゴ化石11は、砂利状(例えば直径2〜5cm程度)または小砂利状(例えば直径0.5〜2cm程度)に成形して使用する。砂状のように微細粒に粉砕処理を行うよりも粉砕処理が容易であり、過度の粉砕処理に伴う熱によって成分を変性させない利点がある。水質改善タンク10は、水圧に耐えるよう全体形状を筒状に成形し、上面および下面を凸成形しておくことが望ましい。
【0035】
水質改善タンク10は、複数、例えば二段〜三段に分割し、分割したパーツを組み立てて成形しても良い。内部の点検や清掃のため、上部は開閉可能または取り外し可能な蓋状構造としておくことが望ましい。
【0036】
画成板20は、適宜手段によって固定する。例えば、溶接あるいは係止具(ブラケット等、図示せず)を介してネジ固定する。あるいは、図5に示すように、複数本、例えば三本の支柱材18に画成板20を固定し、これを水質改善タンク10の内部に配置しても良い。支柱材18に画成板20を固定してユニット化しておけば、メンテナンスが容易である。
【0037】
図6は、かかる水質改善タンク10を用いた場合における、最も望ましいタイプの水質改善装置例を示すものである。この水質改善装置は、前記水質改善タンク10の前段(上流側)に逆浸透膜を用いたろ過装置30を配するものである。
【0038】
ろ過装置30への水の供給は、水道水の蛇口(図示せず)から行って良いし、ポンプ装置を介して鉱泉水を送り込んでも良い。ろ過装置30への水の供給は、適宜手段、例えばパイプP3を介して行うことが出来る。また、水の排出口15(パイプP2)の後段には、貯水槽(図示せず)を設けて処理水を蓄えることが出来る。この場合、水の排出口15と貯水槽との間には図示しないポンプ装置を設けておくことが望ましい。水質改善タンク10の部分は、前記実施形態と同一であるから、同一符号を附して重複する説明を省略する。
【0039】
砂利状の隆起サンゴ化石11は、画成板20の上に適宜量、例えば10〜20cm程度の層厚で配設しておく。すでに説明したように、隆起サンゴ化石11は、砂利状(例えば直径2〜5cm程度)または小砂利状(例えば直径0.5〜2cm程度)に成形して使用する。
【0040】
逆浸透膜を用いたろ過装置30を水質改善タンク10の上流側に設けるのが望ましいとするのは、次の理由による。
【0041】
水道水、鉱泉水は、飲料として十分に安全であるとされている。しかしながら、水道水は臭いや味の点で改善の余地を残している。とくに、水道水には、藻類(アオコ等)、一般細菌、塩素酸、かび臭物質(ジェオスミン、2−メチルイソボルネオール等)、クリプトスポリジウム(寄生性原生動物)、トリハロメタンが含まれる場合がある。このため、これらの物質に敏感な消費者は、水道水や鉱泉水をそのまま用いた加工水は、たとえそれがミネラル豊富な水であっても飲用できないとして購買を避けるケースが少なくない。
【0042】
そこで、このような消費者が心配する水中の雑成分を完全に除去するため、逆浸透膜を用いたろ過装置30を設け、その下流に水質改善タンク10を配することにより、藻類、一般細菌、塩素酸、かび臭物質、クリプトスポリジウム、トリハロメタンを含まず、かつ化石サンゴの成分をもった改善水を得るようにしたわけである。
【0043】
逆浸透膜を用いたろ過装置30は、イオンや塩類など水以外の不純物は透過しない。孔の大きさは概ね2ナノメートル以下で限外ろ過膜よりも小さいため、藻類、菌類等も透過できない。ウイルスで現在最も小さいとされるピコルナウイルスやパルボウイルスでも大きさは約20ナノメートルであり、逆浸透膜の孔より確実に一桁は大きいため、逆浸透膜は破損がない限り水からすべての病原菌やウイルスを除去できると考え得る。
【0044】
このように、逆浸透膜を用いたろ過装置30を水質改善タンク10の上流側に設けることによって、水道水、天然鉱泉水に含まれる藻類、一般細菌、塩素酸、かび臭物質、クリプトスポリジウム、トリハロメタンを除去した上でミネラルに富む改善水を得ることが出来る。この結果、水に含まれる臭い等の雑物に敏感な消費者の需要を確実に惹起することが出来る。
【0045】
逆浸透膜を用いたろ過装置30を通した水は、不純物を含まない点では純水に近い特性をもつ。しかしながら、蒸留還元した純水と異なり、熱を加えないので、水の中に含まれる酸素を失なっていない。この点も、水の性質や特性を厳しくチェックして購買する消費者にも評価され得る利点である。
【0046】
本発明に係る水質改善タンク10は、改善水を量産するための工業用のものに限らず、家庭用のものにも適用できる。改善水を工業的に量産する場合、効率的には、タンクの大きさを過剰に大きくすることは望ましくない。この場合、タンクの大きさは、例えば、上下寸法および横幅を70〜120cm程度とすることが望ましい。水道水を直接送り込むにしろ、ポンプを介して鉱泉水等を送り込むにしろ、水を流動させつつ隆起サンゴ化石との接触を図るには、ある程度の水圧が必要となるからである。工業的に改善水を量産するタンクの場合、画成板の外径は、例えば、60〜110cm程度に設定することが出来る。画成板の上下の離隔寸法は、例えば30〜40cm程度とすることが出来る。工業的に改善水を量産する場合、隆起サンゴ化石は各画成板の上に例えば10〜20cm程度の層をなす程度の量(重量としては例えば8〜20Kg程度)を配設すれば良い。
【符号の説明】
【0047】
10 水質改善タンク
11 隆起サンゴ化石
14 (水の)取入口
15 (水の)排出口
17 天井面
18 支柱材
20 画成板
20−1 最下段の画成板
20−2 中段の画成板
20−3 最上段の画成板
25 小孔
25−1 中心孔
25−2、25−3、25−4 外周孔
25−2a、25−3a、25−4a (最下段の画成板の)外周孔
25−2b、25−3b、25−4b (中段の画成板の)外周孔
30 ろ過装置
C 画成室
P1、P2、P3 パイプ
W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂利状に破砕した隆起サンゴ化石を内部に装填して水を通過させる水質改善タンクであって、
この水質改善タンクは、
略円筒形に成形し、
下部に水の取入口、上部に水の排出口を備え、
タンク内部には、上下に離隔させて水平に配した二以上の円形の画成板を備え、
該画成板は、水を通過させるための複数の小孔を備え、
該小孔は、すべての画成板において同一パターンで成形し、
中心孔以外の前記小孔を上下段で直線的に整列させないよう、前記中心孔を回転中心として、前記各画成板を周方向に角度調整しつつ配することを特徴とする水質改善タンク。
【請求項2】
請求項1記載の水質改善タンクの上流側に逆浸透膜を用いたろ過装置を配することを特徴とする水質改善装置。
【請求項3】
水質改善タンクの内部に装填する隆起サンゴ化石は、各画成板の上に10cm以上の積層をなすよう配設することを特徴とする請求項2記載の水質改善装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−687(P2013−687A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135745(P2011−135745)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(505138037)
【Fターム(参考)】