説明

水路

【課題】水路内の作業者が、清掃作業等を行なう場合の転倒を防止する。
【解決手段】パネル材3、4で内底面と内側面を内張りした水路1において、水路1の内底面をなすパネル材3の上面に滑り止め用の凹凸5a、5bを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農業用水路、排水路、暗渠などの水路に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用水路や排水路などの水路として、既設の水路の内面にFRP板を取り付けて補修した水路など、FRP板で内底面と内側面を内張りして水を流れやすくしたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
しかし、一般的にFRP板は、表面が滑らかなので藻や汚泥が付着すると滑りやすい。そのため、FRP板で内張りした水路の底は滑りやすく、水路の清掃作業など水路内で行なう作業が危険であった。
【0004】
【特許文献1】特開平3−247809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、水路内の作業者の転倒を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、水路の内底面をなすパネル材の上面に滑り止め用の凹凸を形成した。このパネル材は、FRP板とすると好ましい。また、滑り止め用の凹凸は、連続する平坦部とその平坦部上に散在する多数の隆起部とで構成すると好ましい。
【発明の効果】
【0007】
水路内に立つとパネル材の上面の凸部が足裏に食い込む。しかも、藻や汚泥は凸部よりも凹部に溜まりやすいので、凸部と足裏の間に藻や汚泥が挟まりにくい。この2つの作用により、水路内での足の滑りが効果的に防止される。そのため、水路内の作業者は転倒しにくく、安全に作業をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に、この発明の水路の実施形態を示す。この水路1は、既設水路2をパネル材で補修してなり、内底面がパネル材3で、内側面がパネル材4でそれぞれ内張りされている。
【0009】
内底面のパネル材3は、図2に示すように上面に滑り止め用の凹凸が形成されている。この凹凸は凸部5aと凹部5bとからなり、上に立つと凸部5aが足裏に食い込む。
【0010】
一方、内側面のパネル材4は、露出面が平らに形成されており、水路1を流れる水の抵抗を最小限に抑えている。
【0011】
この水路1は、たとえば次のように形成することができる。まず、図1に示すように、既設水路2の内底面にモルタル6を打ち込む。つぎに、固化する前のモルタル6の上に凹凸を上面としてパネル材3を敷き、その上面を加圧してパネル材3のレベル出しを行なう。つづいて、既設水路2の内側面にスペーサ7をアンカー止めし、そのスペーサ7にパネル材4をねじ止めする。その後、ねじ止めしたパネル材4と既設水路2の内側面の間にセメントミルク8を打ち込む。
【0012】
この水路1を用いれば、内底面のパネル材3の上面の凸部5aが水路内の作業者の足裏に食い込む。しかも、藻や汚泥は凸部5aよりも凹部5bに溜まりやすいので、凸部5aと足裏の間に藻や汚泥が挟まりにくい。この2つの作用により、水路1内での足の滑りが効果的に防止される。そのため、水路1内の作業者が清掃作業等を行なう場合には転倒しにくく、安全に作業をすることができる。また、水路の水の流れは、底に近いほど遅いので、パネル材3の凹凸から受ける影響が小さい。
【0013】
パネル材3の上面の凹凸は、たとえばパネル材3の上面に等間隔に溝を形成してその溝で凹部5bを構成し、溝と溝の間の部分で凸部5aを構成してもよい。しかし、図2に示すように、凸部5aを、散在する多数の隆起部で構成するとともに、凹部5bを、連続する平坦部で構成するとより好ましい。このように凹凸を形成すると、平坦な凹部5bに沿って水が流れるので、水の流れに対する凹凸の影響をより小さく抑えることができる。しかも、散在する凸部5aが足裏に対して確実に食い込むので、足の滑りをより確実に防止することができる。凸部5aは、たとえば図2に示すように平面視X状に隆起させて形成してもよく、また図3に示すように、平面視楕円状に隆起させて形成してもよい。
【0014】
パネル材3は、FRP板で構成すると好ましい。FRP板で構成すると、水路の内面が滑らかとなって、水がより流れやすくなるとともに、藻や汚泥が溜まりにくくなる。このときFRP板は、たとえば図2に示すように樹脂モルタル層3aをFRP層3bで挟み込んだ構造としてもよく、また図3に示すようにFRPの単層3cで構成してもよく、表面層がFRPであればよい。FRPとしては、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)やカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)、ケプラ繊維強化プラスチック(KFRP)などが挙げられる。パネル材としては、FRTP板など他の樹脂系パネル材を用いることもできる。
【0015】
上記実施形態では、水路1として上部を開放した開渠を挙げて説明したが、水路は上部が閉じた暗渠でもよく、清掃作業や点検作業などで人が立ち入る水路であればよい。
【0016】
上記実施形態では、パネル材3は、モルタル6を介して既設水路2に取り付けたが、既設水路2の内底面に直接アンカー止めしてもよい。また、水路1は新設でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施形態の水路を示す断面図
【図2】同上の水路の内底面をなすパネル材の一部拡大斜視図
【図3】同上の水路の内底面をなすパネル材の変形例を示す図
【符号の説明】
【0018】
1 水路
2 既設水路
3、4 パネル材
5a 凸部
5b 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル材で内底面と内側面を内張りした水路において、前記水路の内底面をなすパネル材の上面に滑り止め用の凹凸を形成したことを特徴とする水路。
【請求項2】
前記パネル材が、FRP板であることを特徴とする請求項1に記載の水路。
【請求項3】
前記滑り止め用の凹凸が、連続する平坦部とその平坦部上に散在する多数の隆起部とからなる請求項1または2に記載の水路。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−274582(P2006−274582A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92177(P2005−92177)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000164885)栗本化成工業株式会社 (32)
【Fターム(参考)】