水転写シート
【課題】一品一様の高精細な画像が形成された水転写シートを得る。
【解決手段】基材フィルム上に少なくとも水を含むことにより粘着性を発揮する剥離層とその上に受像層を設けた中間転写シート、および紙に水溶解層を設けたシート上にホットメルト接着層を有する剥離シートを用い、中間転写シートに溶融熱転写プリンターにて画像を印刷したのち、中間転写シートから剥離シート上へ画像を熱ローラー等により再転写して形成されたことを特徴とする水転写シート。
【解決手段】基材フィルム上に少なくとも水を含むことにより粘着性を発揮する剥離層とその上に受像層を設けた中間転写シート、および紙に水溶解層を設けたシート上にホットメルト接着層を有する剥離シートを用い、中間転写シートに溶融熱転写プリンターにて画像を印刷したのち、中間転写シートから剥離シート上へ画像を熱ローラー等により再転写して形成されたことを特徴とする水転写シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、各種被着体に画像を水転写する為の水転写シートに関し、特に肌に対し好適な水転写シートに関する。
【背景技術】
【０００２】
各種の転写シートは、有機溶剤転写タイプ、熱転写タイプ、粘着転写タイプ、水転写タイプ等のものがある。画像の転写に水を用いる水転写シートは、有機溶剤の使用を避けたい場合や、熱を加えることができないような場合に、好んで用いられる。
近年、大量生産による画一的な画像ではなく個性豊かな画像を好む傾向にある。ところが、従来の水転写シートは、印刷層の上にスクリーン印刷等で同一画像を多数枚印刷し、シートを作成する為、画一的な画像になってしまいがちであった。また、スクリーン印刷には、スクリーン印刷版（孔版）が必要でありかつ、画像に必要な色数の版が必要とされ、例えば、３色刷りの場合、３つの版が、５色刷りでは、５つの版が必要となる。このため一つの画像の作成に時間とコストが多大にかかり、画像を少量作成するには不向きであった。また、これまでも上記問題点を解決すべく、水転写シートの印刷層に各種プリンターにより画像を形成する方法が提案されているが、水転写シートの表面が粗く高精細な画像が得られにくかった。
【特許文献１】特開２００１−１８５９５本明細書では、剥離シートに画像を形成したものを水転写シートと呼ぶ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、画一的な画像ではなく、個性的な画像を１枚でも容易かつ高精細に印刷して転写できる水転写シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
本発明によって、基材フィルム上に少なくとも最下層に水を含むことにより粘着性を発揮する剥離層と最上層に受像層を持つ中間転写シート、および紙に水溶解層を設けたシート上にホットメルト接着層を有する剥離シートを用い、中間転写シートに溶融熱転写プリンターにて画像を印刷したのち、中間シートから剥離シート上へ画像を熱ローラー等により再転写して形成されることを特徴とする水転写シートが提供される。
【０００５】
以下に本発明を詳細に説明する。まず本発明に用いる基材フィルム上に少なくとも最下層に水を含むことにより粘着性を発揮する剥離層と最上層に受像層を持つ中間転写シート図１、と溶融熱転写リボンを用意する。
次に中間転写シートと溶融熱転写リボンを用いて溶融熱転写プリンターにて中間転写シート上に画像パターンを形成する。図２
次に紙に水溶解層を設けたシート上にホットメルト接着層を有する剥離シートを用意する。図３
この剥離シートと上記作成の画像パターン形成済みの中間転写シートを重ね合わせ熱ローラー等により中間転写シートから剥離層、受像層、画像パターンを剥離シートに転写させ画像パターンの形成された水転写シートを完成させる。図４
次にこの水転写シートを用いて肌へ水転写する方法は、まず水転写シートを水に浸け、紙に水を十分にしみ込ませる。図５
次に紙と反対側の水を含むことによりタック性が発生する剥離層面を肌に貼りつける。図６
次に表面の紙を剥がし図６、表面の水溶解層成分を水洗する。図７
以上により、肌に高精細な画像パターンが形成できる。
【発明の効果】
【０００６】
中間転写シートと剥離シートを用いて、溶融熱転写プリンタ−で画像を形成した剥離シートは、一品一様の水転写シートとなることができ、高精細な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
さらに本発明に用いる転写シートについて更に詳しく説明する。本発明に用いる中間転写シートは、基材フィルム上に、少なくとも最下層に水を含むことにより粘着性を発揮する剥離層、と最上層に受像層を持つ溶融熱転写画像記録用の中間転写シートである。
【０００８】
本発明に用いられる基材フィルムは、従来の溶融転写用基材フィルムとして公知の種々のフィルムが使用されるが、耐久性、熱伝達性、コストの点から９〜１００μｍのＰＥＴフィルムが好ましく使用できる。本発明に用いられる剥離層は、再転写時基材から剥離する性能の他、水を含むと粘着性を発揮することが特徴である。このような性能を持たす為、主材としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル、ポリ(メタ)アクリル酸含有ポリマー、デキストリンが好ましく使用できる。また、基材フィルムからの剥離性および強度をコントロールする意味でポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂等を加えても良い。また、保水効果を高める意味でＰＥＧ等を添加しても良い。剥離層の厚みとしては、熱感度と接着性の観点から、１〜２０μｍが好ましい。
【０００９】
次に本発明に用いられる受像層は、スチレン系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いる事が好ましい。また、必要に応じて接着性を高める意味で柔軟で接着性の高いウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂等を加えることができる。この他、ブロッキング、タック防止の意味で各種フィラを添加することが可能であり、たとえば、フッ素系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコン系粒子、タルク、カオリン、炭酸マグネシュウム、炭酸カリウム、酸化チタン、シリカ、デンプン等があげられる。受像層の厚みとしては、受像性と熱感度の観点から、０．１〜５．０μｍが好ましい。
【００１０】
また、各層には、製膜助剤、塗液安定剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を添加することもできる。
【００１１】
本発明に用いられる剥離シートは、紙に水溶解層を設けたシート上にホットメルト接着層を有する剥離シートである。紙は、浸水性の良い上質紙、コート紙等が好ましく用いられ、通常その一方に、浸水性澱粉を主成分とするアンダーコート層を設ける。アンダーコート層は、親水性の澱粉からなるものであって、その機能は、十分に吸水性能を有し、吸水によって自体は溶解することなく、その形状を維持しながら、水溶解層を溶解させる、水転写時の剥離性を発揮するものである。水溶解層は、水溶解性のデキストリン等を主成分とするものである。水溶解層の厚みは、１〜１０μｍが好ましい。
【００１２】
次に、ホットメルト接着層は、再転写時、中間転写シートとの接着性を発揮させるもので公知のホットメルト接着剤を用いることができる。たとえば、エチレン酢ビ共重合体、エチレンエチルアクリレート、ポリアミド樹脂、塩ビ酢ビ共重合体、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂等が上げられる。水転写後の肌へのなじみの面から、柔軟性の高いエチレン酢ビ共重合体、エチレンエチルアクリレート、ウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂が特に好ましく用いられる。また、ブロッキング、タック防止の意味で各種フィラを添加することが可能であり、たとえば、フッ素系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコン系粒子、タルク、カオリン、炭酸マグネシュウム、炭酸カリウム、酸化チタン、シリカ、デンプン等があげられる。ホットメルト接着層の厚みは、０．１〜１０μｍが好ましい。
【００１３】
本発明で用いる溶融熱転写リボンは、従来使用されている基材フィルムの上に、少なくとも１層の熱溶融性インク層を設けたものである。基材としては、厚み２〜９μｍのＰＥＴフィルムを用いる。熱溶融性インク層は、熱可塑性樹脂、ワックス等のバインダーに顔料、染料等の着色剤を配合したものである。基材の反対面には、耐熱処理層を設ける。
【００１４】
以下に、図面を参照にしつつ、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【００１５】
（実施例１）
（１）中間転写シートの作成
厚さ１６μｍのＰＥＴフィルム上に剥離層として以下のインクを乾燥後厚み５μｍにて塗布した。
【００１６】
剥離層インク
ポリビニルアルコール ７
デキストリン ２
ＰＥＧ １
蒸留水 ４０
メタノール ５０
計 １００重量部
【００１７】
上記、剥離層塗工シート上に以下の受像層インクを乾燥後厚み２μｍにて塗布し、中間転写シートを形成した。
受像層インク
エポキシ樹脂 ９
ポリエステル樹脂 １
メチルエチルケトン ９０
計 １００重量部
【００１８】
（２）溶融熱転写リボンの作成
裏面に耐熱処理層を施した厚さ４．５μｍのＰＥＴフィルム上に以下のインクを乾燥後厚み０．６μｍにて塗布し、イエロー、マゼンタ、シアンからなる３色のインクリボンを作成した。
リボン用インク
エポキシ樹脂 ４
ポリエステル樹脂 １
顔料 ４
分散剤 １
メチルエチルケトン ４０
計 ５０重量部
顔料は、イエロー、マゼンタ、シアンのそれぞれの顔料を使用。
【００１９】
（３）剥離シートの作成
片面コートされた片面アート紙を用い、そのコート面にアンダーコート層としてエーテル化澱粉６％水溶液を乾燥塗布厚み２μｍとなるように塗布した。さらに、このアンダーコート層上に水溶解層としてデキストリン３０％水溶液を乾燥後、厚み５μｍとなるように塗布した。塗布された水溶解層上にホットメルト接着層としてエチレン酢酸ビニル共重合体（ＭＦＲ１５０、ＶＡ％２８％）の２０％トルエン溶液を乾燥後、厚み５μｍとなるように塗布し、剥離シートを作成した。
【００２０】
（４）中間転写シートへの溶融熱転写による画像パターンの形成
上記作成の中間転写シートと溶融熱転写リボンと下記溶融熱転写プリンターを用いてフルカラー画像を中間転写シート上に形成した。
熱転写プリンター：テストプリンター、３００ｄｐｉエッジヘッド、剥離距離１０ｍｍ
画像パターン：ポートレート（ISO/DIS12640登録画像データ）
印刷速度：１インチ/秒
【００２１】
（５）水転写シートの作成
（４）項で作成した画像形成済み中間転写シートと（３）項で作成した剥離シートを貼りあわせ加熱ローラーの付いたラミネーターにより、中間転写シートから画像を再転写し、水転写シートを作成した。
ラミネーター温度 １１０℃
ラミネーター速度 １インチ／分
【００２２】
（６）肌への水転写
上記作成の水転写シートを水に浸み込ませて、剥離層側を肌に密着させた後、アート紙を剥離して肌へ画像を転写した。その後表面の水溶解層成分の残留分を水洗する。その結果、肌に追従した良好な高精細画像が形成できた。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】中間転写シート
【図２】中間転写シートへの溶融熱転写による画像パターンの形成
【図３】剥離シート
【図４】熱ローラーによる中間転写シートから剥離シートへの画像の再転写
【図５】水転写シートの浸水
【図６】水転写シートの肌への転写
【図７】転写後の仕上げ
【符号の説明】
【００２４】
１基材フィルム
２水を含むことにより粘着性を発揮する剥離層
３受像層
４溶融熱転写リボン
５サーマルヘッド
６中間転写シート
７プラテンロール
８プリントされた画像パターン
９ホットメルト接着層
１０水溶解層
１１紙
１２剥離シート
１３熱ローラー
１４水
１５肌
【技術分野】
【０００１】
本発明は、各種被着体に画像を水転写する為の水転写シートに関し、特に肌に対し好適な水転写シートに関する。
【背景技術】
【０００２】
各種の転写シートは、有機溶剤転写タイプ、熱転写タイプ、粘着転写タイプ、水転写タイプ等のものがある。画像の転写に水を用いる水転写シートは、有機溶剤の使用を避けたい場合や、熱を加えることができないような場合に、好んで用いられる。
近年、大量生産による画一的な画像ではなく個性豊かな画像を好む傾向にある。ところが、従来の水転写シートは、印刷層の上にスクリーン印刷等で同一画像を多数枚印刷し、シートを作成する為、画一的な画像になってしまいがちであった。また、スクリーン印刷には、スクリーン印刷版（孔版）が必要でありかつ、画像に必要な色数の版が必要とされ、例えば、３色刷りの場合、３つの版が、５色刷りでは、５つの版が必要となる。このため一つの画像の作成に時間とコストが多大にかかり、画像を少量作成するには不向きであった。また、これまでも上記問題点を解決すべく、水転写シートの印刷層に各種プリンターにより画像を形成する方法が提案されているが、水転写シートの表面が粗く高精細な画像が得られにくかった。
【特許文献１】特開２００１−１８５９５本明細書では、剥離シートに画像を形成したものを水転写シートと呼ぶ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、画一的な画像ではなく、個性的な画像を１枚でも容易かつ高精細に印刷して転写できる水転写シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
本発明によって、基材フィルム上に少なくとも最下層に水を含むことにより粘着性を発揮する剥離層と最上層に受像層を持つ中間転写シート、および紙に水溶解層を設けたシート上にホットメルト接着層を有する剥離シートを用い、中間転写シートに溶融熱転写プリンターにて画像を印刷したのち、中間シートから剥離シート上へ画像を熱ローラー等により再転写して形成されることを特徴とする水転写シートが提供される。
【０００５】
以下に本発明を詳細に説明する。まず本発明に用いる基材フィルム上に少なくとも最下層に水を含むことにより粘着性を発揮する剥離層と最上層に受像層を持つ中間転写シート図１、と溶融熱転写リボンを用意する。
次に中間転写シートと溶融熱転写リボンを用いて溶融熱転写プリンターにて中間転写シート上に画像パターンを形成する。図２
次に紙に水溶解層を設けたシート上にホットメルト接着層を有する剥離シートを用意する。図３
この剥離シートと上記作成の画像パターン形成済みの中間転写シートを重ね合わせ熱ローラー等により中間転写シートから剥離層、受像層、画像パターンを剥離シートに転写させ画像パターンの形成された水転写シートを完成させる。図４
次にこの水転写シートを用いて肌へ水転写する方法は、まず水転写シートを水に浸け、紙に水を十分にしみ込ませる。図５
次に紙と反対側の水を含むことによりタック性が発生する剥離層面を肌に貼りつける。図６
次に表面の紙を剥がし図６、表面の水溶解層成分を水洗する。図７
以上により、肌に高精細な画像パターンが形成できる。
【発明の効果】
【０００６】
中間転写シートと剥離シートを用いて、溶融熱転写プリンタ−で画像を形成した剥離シートは、一品一様の水転写シートとなることができ、高精細な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
さらに本発明に用いる転写シートについて更に詳しく説明する。本発明に用いる中間転写シートは、基材フィルム上に、少なくとも最下層に水を含むことにより粘着性を発揮する剥離層、と最上層に受像層を持つ溶融熱転写画像記録用の中間転写シートである。
【０００８】
本発明に用いられる基材フィルムは、従来の溶融転写用基材フィルムとして公知の種々のフィルムが使用されるが、耐久性、熱伝達性、コストの点から９〜１００μｍのＰＥＴフィルムが好ましく使用できる。本発明に用いられる剥離層は、再転写時基材から剥離する性能の他、水を含むと粘着性を発揮することが特徴である。このような性能を持たす為、主材としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル、ポリ(メタ)アクリル酸含有ポリマー、デキストリンが好ましく使用できる。また、基材フィルムからの剥離性および強度をコントロールする意味でポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂等を加えても良い。また、保水効果を高める意味でＰＥＧ等を添加しても良い。剥離層の厚みとしては、熱感度と接着性の観点から、１〜２０μｍが好ましい。
【０００９】
次に本発明に用いられる受像層は、スチレン系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いる事が好ましい。また、必要に応じて接着性を高める意味で柔軟で接着性の高いウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂等を加えることができる。この他、ブロッキング、タック防止の意味で各種フィラを添加することが可能であり、たとえば、フッ素系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコン系粒子、タルク、カオリン、炭酸マグネシュウム、炭酸カリウム、酸化チタン、シリカ、デンプン等があげられる。受像層の厚みとしては、受像性と熱感度の観点から、０．１〜５．０μｍが好ましい。
【００１０】
また、各層には、製膜助剤、塗液安定剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を添加することもできる。
【００１１】
本発明に用いられる剥離シートは、紙に水溶解層を設けたシート上にホットメルト接着層を有する剥離シートである。紙は、浸水性の良い上質紙、コート紙等が好ましく用いられ、通常その一方に、浸水性澱粉を主成分とするアンダーコート層を設ける。アンダーコート層は、親水性の澱粉からなるものであって、その機能は、十分に吸水性能を有し、吸水によって自体は溶解することなく、その形状を維持しながら、水溶解層を溶解させる、水転写時の剥離性を発揮するものである。水溶解層は、水溶解性のデキストリン等を主成分とするものである。水溶解層の厚みは、１〜１０μｍが好ましい。
【００１２】
次に、ホットメルト接着層は、再転写時、中間転写シートとの接着性を発揮させるもので公知のホットメルト接着剤を用いることができる。たとえば、エチレン酢ビ共重合体、エチレンエチルアクリレート、ポリアミド樹脂、塩ビ酢ビ共重合体、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂等が上げられる。水転写後の肌へのなじみの面から、柔軟性の高いエチレン酢ビ共重合体、エチレンエチルアクリレート、ウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂が特に好ましく用いられる。また、ブロッキング、タック防止の意味で各種フィラを添加することが可能であり、たとえば、フッ素系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコン系粒子、タルク、カオリン、炭酸マグネシュウム、炭酸カリウム、酸化チタン、シリカ、デンプン等があげられる。ホットメルト接着層の厚みは、０．１〜１０μｍが好ましい。
【００１３】
本発明で用いる溶融熱転写リボンは、従来使用されている基材フィルムの上に、少なくとも１層の熱溶融性インク層を設けたものである。基材としては、厚み２〜９μｍのＰＥＴフィルムを用いる。熱溶融性インク層は、熱可塑性樹脂、ワックス等のバインダーに顔料、染料等の着色剤を配合したものである。基材の反対面には、耐熱処理層を設ける。
【００１４】
以下に、図面を参照にしつつ、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【００１５】
（実施例１）
（１）中間転写シートの作成
厚さ１６μｍのＰＥＴフィルム上に剥離層として以下のインクを乾燥後厚み５μｍにて塗布した。
【００１６】
剥離層インク
ポリビニルアルコール ７
デキストリン ２
ＰＥＧ １
蒸留水 ４０
メタノール ５０
計 １００重量部
【００１７】
上記、剥離層塗工シート上に以下の受像層インクを乾燥後厚み２μｍにて塗布し、中間転写シートを形成した。
受像層インク
エポキシ樹脂 ９
ポリエステル樹脂 １
メチルエチルケトン ９０
計 １００重量部
【００１８】
（２）溶融熱転写リボンの作成
裏面に耐熱処理層を施した厚さ４．５μｍのＰＥＴフィルム上に以下のインクを乾燥後厚み０．６μｍにて塗布し、イエロー、マゼンタ、シアンからなる３色のインクリボンを作成した。
リボン用インク
エポキシ樹脂 ４
ポリエステル樹脂 １
顔料 ４
分散剤 １
メチルエチルケトン ４０
計 ５０重量部
顔料は、イエロー、マゼンタ、シアンのそれぞれの顔料を使用。
【００１９】
（３）剥離シートの作成
片面コートされた片面アート紙を用い、そのコート面にアンダーコート層としてエーテル化澱粉６％水溶液を乾燥塗布厚み２μｍとなるように塗布した。さらに、このアンダーコート層上に水溶解層としてデキストリン３０％水溶液を乾燥後、厚み５μｍとなるように塗布した。塗布された水溶解層上にホットメルト接着層としてエチレン酢酸ビニル共重合体（ＭＦＲ１５０、ＶＡ％２８％）の２０％トルエン溶液を乾燥後、厚み５μｍとなるように塗布し、剥離シートを作成した。
【００２０】
（４）中間転写シートへの溶融熱転写による画像パターンの形成
上記作成の中間転写シートと溶融熱転写リボンと下記溶融熱転写プリンターを用いてフルカラー画像を中間転写シート上に形成した。
熱転写プリンター：テストプリンター、３００ｄｐｉエッジヘッド、剥離距離１０ｍｍ
画像パターン：ポートレート（ISO/DIS12640登録画像データ）
印刷速度：１インチ/秒
【００２１】
（５）水転写シートの作成
（４）項で作成した画像形成済み中間転写シートと（３）項で作成した剥離シートを貼りあわせ加熱ローラーの付いたラミネーターにより、中間転写シートから画像を再転写し、水転写シートを作成した。
ラミネーター温度 １１０℃
ラミネーター速度 １インチ／分
【００２２】
（６）肌への水転写
上記作成の水転写シートを水に浸み込ませて、剥離層側を肌に密着させた後、アート紙を剥離して肌へ画像を転写した。その後表面の水溶解層成分の残留分を水洗する。その結果、肌に追従した良好な高精細画像が形成できた。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】中間転写シート
【図２】中間転写シートへの溶融熱転写による画像パターンの形成
【図３】剥離シート
【図４】熱ローラーによる中間転写シートから剥離シートへの画像の再転写
【図５】水転写シートの浸水
【図６】水転写シートの肌への転写
【図７】転写後の仕上げ
【符号の説明】
【００２４】
１基材フィルム
２水を含むことにより粘着性を発揮する剥離層
３受像層
４溶融熱転写リボン
５サーマルヘッド
６中間転写シート
７プラテンロール
８プリントされた画像パターン
９ホットメルト接着層
１０水溶解層
１１紙
１２剥離シート
１３熱ローラー
１４水
１５肌
【特許請求の範囲】
【請求項１】
基材フィルム上に少なくとも最下層に水を含むことにより粘着性を発揮する剥離層と最上層に受像層を持つ中間転写シート、および紙に水溶解層を設けたシート上にホットメルト接着層を有する剥離シートを用い、中間転写シートに溶融熱転写プリンターにて画像を印刷したのち、中間シートから剥離シート上へ画像を熱ローラー等により再転写して形成されたことを特徴とする水転写シート。
【請求項１】
基材フィルム上に少なくとも最下層に水を含むことにより粘着性を発揮する剥離層と最上層に受像層を持つ中間転写シート、および紙に水溶解層を設けたシート上にホットメルト接着層を有する剥離シートを用い、中間転写シートに溶融熱転写プリンターにて画像を印刷したのち、中間シートから剥離シート上へ画像を熱ローラー等により再転写して形成されたことを特徴とする水転写シート。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００９−１５４５０４（Ｐ２００９−１５４５０４Ａ）
【公開日】平成２１年７月１６日（２００９．７．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−３３８６５６（Ｐ２００７−３３８６５６）
【出願日】平成１９年１２月２８日（２００７．１２．２８）
【出願人】（０００２３７２３７）フジコピアン株式会社 (130)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年７月１６日（２００９．７．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１２月２８日（２００７．１２．２８）
【出願人】（０００２３７２３７）フジコピアン株式会社 (130)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]