説明

水道事業の埋設管路用の短管とその短管を用いた埋設管路と埋設管路の介在機器の交換方法。

【課題】 水道事業の埋設管路用の短管とその短管を用いた埋設管路と埋設管路の介在機器の交換方法の提供
【解決手段】
本発明の短管は、水道事業用の埋設管路に用いられる鋳鉄管であって、前記埋設管路に介在する介在機器に接続される比較的長さが短い短管において、当該短管は、一方端に前記介在機器に接続される接続フランジ部を有し、他方端に別の埋設管の差込端部が差し込まれるラッパ状に形成された受口部を有する筒体であって、当該短管の筒体の口径が、前記受口部に差し込まれる前記埋設管の差込端部及び当該差込端部に続く前記埋設管の筒体の少なくとも一部を嵌入自在に飲み込む内径とされたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道配管事業で、地中に埋設される導水・送水・配水等の埋設管路を構成する管(埋設管)として使用される鋳鉄管(一般的に用いられるのはダクタイル鋳鉄管)の埋設管路構成に関するもので、詳しくは、当該管路に介在する仕切弁や減圧弁等の弁や量水器等の計測機器(以下、弁及び計測機器を介在機器という)の交換作業の便宜のために用いられる短管(管が短い)の新規な構造と、当該新規な短管を用いた埋設管路構成、及び介在機器の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、図3及び図4に基づいて従来技術を説明する。図3は従来型短管及び埋設管がダクタイル鋳鉄管で、バルブが介在機器として介在する水道事業用の埋設管路の断面図、図2は図1におけるバルブと従来型短管と埋設管との接続部分を示す拡大断面図である。
【0003】
図3、図4において、従来の短管1は、短管1の本体である筒体11の一方端側にバルブ2(介在機器の一例)の一方の接続フランジ21とボルト締結されるフランジ部12とを有すると共に、他方端側に管路の大半に用いられる所定長さの直管3A(以下、直管3A・3B・・・を直管3ともいう)の差込端部31を飲み込むように受け入れる受口部13と、当該受口部13の外周縁に直管3Aの外周に介装された抜止押輪4とボルト締結されるナット部14とを有し、受口部13における差込端部31の受け入れ長さS(以下、受入長Sともいう)は、管路の大半に用いられる直管3(3A,3B・・・)の受口部32の受け入れ長さS(受入長S)と同一の極めて短い長さであった。
【0004】
水道配管事業における埋設管路は、地下、その大半は道路面下に、長くは数十年を超えて埋設されるため、地上からの振動だけでなく地殻変動や地震による大きな外圧を受け易く、重要なライフラインの一つである水道管路保持のため十分な可撓性が当該管路に要請される。
このため、この種の埋設管の順次接続による埋設管路の構成(3A、3B・・・)は、埋設管のフランジ同士をボルト締結する所謂フランジ接続では全く可撓性が得られないため採用することができない。
【0005】
水道管路としてこの埋設管路に可撓性を与えるため採用されているのが、順次接続される前後の埋設管を抜止押輪4を用いて接続する水道事業界独特の手法(以下、押輪接続ともいう)である。
この押輪接続、即ち図示の例では「短管1+直管3A+直管3B・・・」の各接続部に各々抜止押輪4を介在させることによって、隣り合う埋設管間において、一方の受口部(短管1では受口部13、直管3では受口部32)に差し込まれた他方の差込端部31側の埋設管3は、前記受口部(13,32)側の埋設管の軸線に対して例えば約4度程度の傾き変動(以下、傾動ともいう)が許容されている。
【0006】
このような変動(傾動)を許容させるためには、先ず、図示されている通り各受口部13,32の内側形状が、差し込まれる差込端部31の外径よりも大きな内径を有し、且つ、当該受口部13,32の奥即ち筒体11,33から当該受口部13,32の開口側に向かって次第に内径が拡大するラッパ状(以下、これを拡大径部ともいう)に形成しておく必要がある。
【0007】
又、差込端部31は、受口部13,32の拡大径部を通過して当該受口部13,32の奥の筒体11、33の口径内には嵌入させてはならない。即ち、差込端部31を筒体11、33にまで嵌入させて二重筒状になるように嵌合させてしまうと、相前後する埋設管の軸線が自ずと軸船方向に一致固定されてしまうため、接続部位における傾動が不能となってしまうからであり、相前後する一方の埋設管に軸線から外れる方向へ変動させる外力が作用すると埋設管が接続部位において破壊したり破損してしまうからである。
【0008】
従って、従来の短管1の筒体11や直管3の筒体33は、当該受口部13、32に差し込まれる差込端部31の侵入を不可能化させるために、当該差込端部31の口径と同一口径に形成している。例えば、図示でも分るとおり、受口部13に差し込まれた差込端部31の差込先端面が筒体11や筒体33の端面と面で衝突して突き合うように形成されていた。
【0009】
尚、押輪接続においては、断面楔状のゴム輪5が差込端部31側の筒体11、33の外周に蜜嵌合されており、このゴム輪5が筒体11、33の外周面と受口部13の介装し、抜止押輪4(以下、単に押輪ともいう)によって押し込まれて圧縮された当該ゴム輪5は、その反発力で、ゴム輪5の内周面が筒体11,33の外周面に圧接し、ゴム輪5の外周面が受口部13の内周面に圧接することによって、受口部13からの差込端部31の抜けを阻止すると共に、受口部13側の埋設管(短管1や直管3)が差込口端部31側の埋設管(直管3)と傾動可能に接続され、同時に、接続部位の受口部13の内周面と差込端部31の外周面との間の間隙が塞がれて水密に接続されるのである。
【0010】
さて、上記のような水道管路としての埋設管路に介在機器として、例えばバルブ2を介在させる際には、バルブ2の少なくとも一方の接続フランジ21に上記の短管1の接続フランジ12を接続させてから、直管3(3A,3B・・・)を順次接続させて埋設管路が構成される。
【0011】
そして、バルブ2を交換する際には、バルブ2の両端側の接続フランジ21,21の締結ボルトを外すと共に、短管1と当該短管1に接続された埋設管即ち直管3Aの抜止押輪4の締結ボルトを外してから、バルブ3を当該管路から外し取る作業を行うのであるが、図3から分るとおり、当該バルブ3の両側に連なる管路の軸方向には、バルブ3の取り外し作業に必要な余裕間隙(以下、作業間隙ともいう)は殆ど無いし、無理に作業間隙を作ろうとしても数センチ程度も取れず、作業するには十分でない。
【0012】
又、仮に、数センチ程度の作業間隙が取れそうな場合でも、多くの場合、バルブ2の左右の各接続フランジ21,21に介在させられていたパッキンの経年変形による膨張によってその間隙は失われてしまうことが少なくなかった。
更に、多大な手間隙を掛けてバルブ2を取り外せても、新たなバルブ(2)を介装させるにも、同様に、作業間隙が十分には得られない。
【0013】
このように、従来のバルブ2の交換作業においては、十分な作業間隙が得られなかったため、短管1に接続された埋設管(直管3A)の筒体33の適所を切断して取り外しの作業間隙を得ていたのであり、新たなバルブ(2)を介装させて、既設管路に接続させる取付作業の際には、筒体33が切断された長さ分に相当する分だけ長い別の短管を新たに用意して、交換作業を行っていたのである。
尚、埋設管(直管3A)の筒体33を切断する適所とは、予定している新たな短管(図示せず)の長さに適応するよう予め見定められた部位である。
【0014】
確かに、埋設管(直管3A)の筒体33の切断作業によって、取外作業における作業間隙が得れるため取外作業は容易になるものの、新たなバルブ(2)の取付作業においては、左右に延在する既設管路が存在するため、この左右に延在する既設管路間に、新たなバルブ(2)と新たな短管(1)、或いは場合によっては元の短管1を用いて(元の短管1を用いる場合には切断された埋設管(直管3A)に替える新たな埋設管(直管3A)を用意しなければならず、この新たな埋設管(直管3A)もまた、(既設管路間に収まるようその長さを調節しておくために当該筒体の切断が必要となる)既設管路間に収まるように取り付ける場合には、矢張り作業間隙が殆ど無い状態で行わねばならず多大の労力と手間隙とを要してしまう。
【0015】
又、そもそも鋳鉄管、しかもその多くはダクダイル鋳鉄管である埋設管の筒体の切断は、樹脂製管とは甚だしく異なり、その切断は容易な作業ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、水道配管事業で用いられる鋳鉄管の埋設管路において、上記課題を解決すべく、当該埋設管路に介在する介在機器の交換作業を簡便に行える新規な構造の短管の提供と、当該短管を用いた新規な埋設管路構成、及び介在機器の新規な交換方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1の短管の発明は、水道事業用の埋設管路に用いられる鋳鉄管であって、前記埋設管路に介在する介在機器に接続される比較的長さが短い短管において、
当該短管は、一方端に前記介在機器に接続される接続フランジ部を有し、他方端に別の埋設管の差込端部が差し込まれるラッパ状に形成された受口部を有する筒体であって、当該短管の筒体の口径が、前記受口部に差し込まれる前記埋設管の差込端部及び当該差込端部に続く前記埋設管の筒体の少なくとも一部を嵌入自在に飲み込む内径とされたことを特徴とする。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1の短管において、筒体の口径は、前記埋設管の差込端部及び当該差込端部に続く筒体の少なくとも一部と蜜嵌合する口径とされたことを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の短管において、当該短管の筒体の口径は、前記受口部に差し込まれる前記埋設管の差込端部及び当該差込端部に続く前記埋設管の筒体を嵌入自在に飲み込む内径に当該筒体の全長にわたって形成されたことを特徴とする。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の短管において、別の埋設管は、短管より長い直管、又は曲管、或いはその他の異形管であることを特徴とする。
【0021】
請求項5の水道事業用の埋設管路の発明は、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4の何れかに記載の短管を含むことを特徴とする。
【0022】
請求項6の水道事業用の埋設管路における介在機器の交換方法の発明は、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4の何れかに記載の短管を含む水道事業用の埋設管路における介在機器の交換作業において、
少なくとも、前記介在機器と前記短管との接続部位での締結、及び前記短管と前記短管に差し込まれた埋設管との接続部位での締結を各々解き、前記短管が前記埋設管を飲み込んで二重筒状態となるように前記短管を前記埋設管側に押し込んで、押し込こまれた長さ分の作業間隙を前記介在機器と前記短管との間に設けられる作業間隙設定工程を含むことを特徴とする。
【0023】
請求項7の水道事業用の埋設管路における介在機器の交換方法の発明は、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4の何れかに記載の短管を含む水道事業用の埋設管路における介在機器の交換作業において、
少なくとも、前記介在機器と前記短管との接続部位での締結、及び前記短管と前記短管に差し込まれた埋設管との接続部位での締結を各々解き、前記短管が前記埋設管を飲み込んで二重筒状態となるように前記短管を前記埋設管側に押し込んで、押し込こまれた長さ分の作業間隙を前記介在危機と前記短管との間に設ける作業間隙設定工程と、
前記介在機器を、当該埋設管路から取り外せるように前記短管との接続部位での締結を除く他の全ての所要接続部位での締結を解く介在機器分離工程と、
交換された新たな介在機器を、前記短管との接続部位での締結を除く他の全ての所要接続部位での接続を締結する工程と、
前記の新たな介在機器に前記短管を接続すべく、前記埋設管に押し込まれた前記短管を引きだす短管引出工程と、
引き出された前記短管と前記の新たな介在機器との所要接続部位、及び前記短管と前記埋設管との所要接続部位での各々の接続を締結する工程とを含むことを特徴とする。
【0024】
請求項8の水道事業用の埋設管路における介在機器の交換方法の発明は、介在機器に従来型短管が接続された水道事業用の埋設管路における介在機器の交換作業において、
前記介在機器と前記従来型短管との接続部位での締結、及び前記従来型短管と前記従来型短管に接続された埋設管との接続部位での締結を各々解いて、前記介在機器と前記従来型短管とを当該埋設管路から取り外す従来型短管取外作業工程と、
前記従来型短管を請求項1、請求項2、又は請求項3の何れかに記載の短管に替えて、替えられた前記新短管が前記埋設管を飲み込んで二重筒状態となるように前記埋設管側に押し込んで、押し込み長さ分の作業間隙を前記介在機器の設置空間と前記短管との間に設ける作業間隙設定工程と、
交換された新たな介在機器を、前記短管との接続部位での締結を除く他の全ての所要接続部位での接続を締結する工程と、
前記の新たな介在機器に前記短管を接続すべく、前記埋設管に押し込まれた前記短管を引きだす短管引出工程と、
引き出された前記短管と前記の新たな介在機器との所要接続部位、及び前記短管と前記埋設管との所要接続部位での各々の接続を締結する業工程とを含むことを特徴とする。
【0025】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の短管において、短管及び埋設管はダクタイル鋳鉄管であることを特徴とする。
【0026】
請求項10の発明は、請求項5に記載の水道事業用の埋設管路において、短管及び埋設管はダクタイル鋳鉄管であることを特徴とする。
【0027】
請求項11の発明は、請求項6乃至請求項8の何れかに記載の水道事業用の埋設管路における介在機器の交換方法において、短管及び埋設管はダクタイル鋳鉄管であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1乃至請求項4、及び請求項9の各発明によれば、何れの発明も、当該短管を水道事業用の埋設管路に用いることによって、当該埋設管路の介在機器の交換作業において、少なくとも、介在機器と短管との接続部位での締結、及び前記短管と前記短管に差し込まれた埋設管との接続部位での締結を各々解いて、前記短管が前記埋設管を飲み込んで二重筒状態となるように前記短管を前記埋設管側に押し込むことによって、押し込こまれた長さ分の作業間隙を前記介在機器と前記短管との間に容易に設けることができると共に、交換された新たな介在機器に前記短管を接続する際には、前記埋設管に押し込まれた前記短管を新たな介在機器側に引きだすだけの作業で容易に済ませることができる。
【0029】
請求項5乃至請求項7、請求項10及び請求項11の発明によれば、何れの発明においても、当該埋設管路の介在機器の交換作業において、少なくとも、介在機器と短管との接続部位での締結、及び前記短管と前記短管に差し込まれた埋設管との接続部位での締結を各々解いて、前記短管が前記埋設管を飲み込んで二重筒状態となるように前記短管を前記埋設管側に押し込むことによって、押し込こまれた長さ分の作業間隙を前記介在機器と前記短管との間に容易に設けることができる。
【0030】
請求項7の発明によれば、少なくとも、介在機器と短管との接続部位での締結、及び前記短管と前記短管に差し込まれた埋設管との接続部位での締結を各々解いて、前記短管が前記埋設管を飲み込んで二重筒状態となるように前記短管を前記埋設管側に押し込むことによって、押し込こまれた長さ分の作業間隙を前記介在機器と前記短管との間に容易に設けることができると共に、交換された新たな介在機器に前記短管を接続する際には、前記埋設管に押し込まれた前記短管を新たな介在機器側に引きだすだけの作業で容易に済ませることができる。
【0031】
請求項8の発明によれば、介在機器と従来型短管とを当該埋設管路から取り外す従来型短管取外作業工程は従来の方法で行わざるを得ないが、替えられた新短管を用いることによって、当該新短管を二重筒状態となるように埋設管側に押し込んで、押し込み長さ分の作業間隙を前記介在機器の設置空間との間に容易に設けることができると共に交換された新たな介在機器に新短管に接続する際には、前記埋設管に押し込まれた前記新短管を引きだすだけの作業で容易に済ませることができる上、
爾後の前記介在機器の交換に際しては、前記請求項7の発明の効果と同様に、少なくとも、介在機器と短管との接続部位での締結、及び前記短管と前記短管に差し込まれた埋設管との接続部位での締結を各々解いて、前記短管が前記埋設管を飲み込んで二重筒状態となるように前記短管を前記埋設管側に押し込むことによって、押し込こまれた長さ分の作業間隙を前記介在機器と前記短管との間に容易に設けることができると共に、交換された新たな介在機器に前記短管を接続する際には、前記埋設管に押し込まれた前記短管を新たな介在機器側に引きだすだけの作業で容易に済ませることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1、図2に示す実施例に基づいて説明する。図1は短管及び埋設管がダクタイル鋳鉄管で、バルブが介在機器として介在する水道事業用の埋設管路の断面図、図2は図1におけるバルブと短管と埋設管との接続部分を示す拡大断面図である。
【実施例】
【0033】
(短管)
図1、図2において、符号10は本発明に係る短管である。
この短管10は、筒体110の一方端に介在機器としてのバルブ2の一方の接続フランジ部21に接続される接続フランジ部120を有し、当該筒体110の他方端に接続される別の埋設管3Aの差込端部31が差し込まれるラッパ状に形成された受口部130を有する。
【0034】
尚、ここで短管10とは、その筒体110の管軸方向の長さが、水道事業用の埋設管路として通常多用される比較的長さが長い直管即ちこの例では前記埋設管3Aの筒体33の長さに比べて短い点で短管と呼ばれるもので、接続口が接続フランジ部21で構成されている介在機器2と接続用フランジ部を備えていない埋設管3Aとを接続させるために介在させる継管の一種である。
【0035】
本発明の短管10が前述した従来の短管即ち従来型短管1と異なる点は、当該短管10の受口部130を除く筒体110の口径が、当該短管10の受口部130に差し込まれる埋設管3Aの差込端部31及び当該差込端部31に続く当該埋設管の筒体33を嵌入自在に飲み込み可能な内径に形成された構成にある。
【0036】
この短管10の筒体110の飲み込み可能な内径は、図示の例では当該筒体110の全長に渡って形成されているが、必ずしも全長にわたって形成する必要は無く、当該筒体110の一部に(図示せず)、後述するバルブ2の交換作業において必要な所要の作業間隙を確保できる長さ分だけ形成しておけばよい。
これを図において説明すると、当該短管10の受口部130側から筒体110の奥方向、即ち、当該短管10の他方端側にある接続フランジ120方向に適当長さ分を形成(図示せず)するのである。
【0037】
埋設管3Aの差込端部31及び筒体33を飲み込む短管10の筒体110の内径は
飲み込まれる埋設管3Aの外径外形に相応させることになるが、当該筒体10の口径は、飲み込まされたり或いは相対的に引き抜かれたりする埋設管3Aの差込端部31及び当該差込端部31に続く筒体33の外周面と筒体11の内周面とが蜜嵌合して水密となる口径とするのが好ましく最良である。
【0038】
尚、図示の例では、短管11と押輪4を介して押輪接続される埋設管3Aは、短管より長い直管であるが、必ずしも直管である必要は無く、管路構成によっては、曲管或いはその他の異形管であってもよい。
【0039】
(新型短管介在埋設管路における介在機器の交換方法)
上記のように構成した短管(新型短管ともいう)10を、水道事業用の埋設管路を新設する際に当初から当該埋設管路に介在する介在機器(バルブ)2に図示のようにフランジ接続にて付設した管路を設けておくと(この管路を新型短管介在埋設管路ともいう)、
当該介在機器(2)の交換作業においては、少なくとも、当該介在機器(2)と短管10との接続部位での締結ボルトを用いて締結される接続フランジ部21の締結と、当該短管10と当該短管10に差し込まれた埋設管3Aとの押輪4による押輪接続の接続部位での締結とを各々解いた後に、当該短管10を埋設管3A側に押し込むと、当該短管10が前記の埋設管3Aを飲み込んで二重筒状態となるように嵌合して行き、当該短管10を埋設管3A側に押し込んだ長さ分だけ、即ち埋設管3A側からいうと押し込こまれた長さ分だけ、当該短管10の接続フランジ部120と介在機器(2)の接続フランジ部21との間が管軸方向に長く空いて、そこに空いた分の作業空間即ち介在機器(2)の交換作業に必要な作業間隙を設けることができる。
【0040】
(作業間隙設定工程)
上記のように、少なくとも、介在機器(2)と短管10との接続部位での締結、及び短管10と当該短管10に差し込まれた埋設管3Aとの接続部位での締結を各々解いた後、短管10が埋設管3Aを飲み込んで二重筒状態となるように当該短管10を埋設管3A側に押し込む(この押し込み工程を短管押込み工程という))ことによって、介在危機(2)と押し込まれた短管10との間に作業間隙を設ける。この工程を作業間隙設定工程という。
【0041】
(介在機器分離工程)
前記した作業間隙設定工程で作業間隙を設けると、介在機器(2)の交換作業を迅速かつ容易に行うことができる。
即ち、埋設管路から介在機器(2)を分離して自在に取り外せるように、先ずは、介在機器(2)の他方(図において左側)の接続フランジ部21との接続部位で相互の接続フランジ部の締結ボルトを外して締結を解く外、他所との所要接続部位での接続の締結を解いて、介在機器2を当該管路から取り外し可能に分離する。この工程を介在機器分離工程という。
【0042】
(新介在機器予備接続工程)
前記した介在機器分離工程によって、交換目的の介在機器2を新たな介在危機2と交換し、先ずは、交換された新たな介在機器2(新介在機器2或いは単に介在機器2ともいう)を、当該介在機器2の接続フランジ部21と前記短管10の接続フランジ部120との締結を除いて、他の全ての所要接続部位での接続を締結する。この工程を新介在機器予備接続工程という。
【0043】
(新介在機器最終接続工程)
前記した新介在機器予備接続工程を終えた後、この新介在機器2の接続フランジ部21に短管10の接続フランジ部120とを接続するために、埋設管3Aに押し込まれていた短管10を引き出し(この引き出し工程を短管引出工程という)、引き出された短管10と新介在機器2との所要接続部位即ち短管10の接続フランジ部120ととの接続部位での新介在機器2の接続フランジ部21との接続部位、及び短管10と埋設管3Aとの所要接続部位即ち短管10の受口部130と埋設管3Aに介装されている押輪4との締結部位での締結をする。この工程を新介在機器最終接続工程という。
【0044】
以上のように、新型短管介在埋設管路における介在機器の交換作業は、第1工程としての作業間隙設定工程→第2工程としての介在機器分離工程→第3例工程としての新介在機器予備接続工程→第4工程としての新介在機器最終接続工程の4工程にて容易かつ迅速に交換作業を終えることができる。
【0045】
(従来型短管介在埋設管路における介在機器の交換方法)
図1及び図3に基づいて、介在機器2に従来型短管が接続された水道事業用の埋設管路における介在機器の交換作業について説明する。
【0046】
(従来型短管取外作業工程)
従来型短管1が接続された水道事業用の埋設管路における介在機器2の交換作業においては、先ず、従来型短管1を当該埋設管路から分離して取り外す若しくは取り外し可能な状態とする工程(これを従来型短管取外作業工程という)が前提として必要となる。
この従来型短管取外作業工程の作業内容は、介在機器2と従来型短管1と埋設管3Aとの各々を接続する締結方法即ち接続方法が具体的には多々あろうが、説明の都合上、ここでは図3のように接続された既設埋設管路を例にして説明する。
従って、本明細書及び特許請求の範囲で言う従来型短管取外作業工程とは、従来型短管1を当該埋設管路から分離して取り外す或いは取り外し可能な状態にすると言う概括的内容で定義するにとどまり、以下で説明する従来型短管取外作業工程の作業内容に限定されるものではない。
【0047】
図3及び図4に示す接続例においける介在機器2の交換作業においては、先ず、少なくとも、当該介在機器2と従来型短管1との接続部位での締結ボルトを用いて締結される接続フランジ部21の締結と、当該短管1と当該短管1に差し込まれた埋設管3Aとの押輪4による押輪接続の接続部位での締結とを各々解く必要がある。
勿論、前記接続部位だけでなく、介在機器2を当該管路から分離して可能とするためには、当該介在機器2のその他の接続部位も適当な作業段階で締結を説く必要がある。
【0048】
しかし、図から分かるとおり、短管1の受口部13に差し込まれている埋設管3Aの差込先端側は、短管1の筒体11と埋設管3Aの筒体33とが同一口径であり、筒体11と筒体33の筒端同士が受口部13内において、両筒体の端面が突き合わされた状態(図4)で接続されているから、前述のように各接続部位での締結を全て解いても、上記背景技術の項で説明したように締結を全て解いただけでは、介在機器2を取り外すことはできない。
【0049】
そこで、従来工法では、短管1に差し込まれている埋設管3Aの筒体33の差込側の切断していたのである。この切断工程を埋設管切断工程という。
この埋設管切断工程では、比較的口径が大きくしかも肉厚が相当厚い鋳鉄製埋設管、特にダクタイル鋳鉄製埋設管を切断しなければならず、その切断作業は、しかも埋設されている状態で切断する作業は手間隙を要する作業となり、容易なことではない。
【0050】
例えば、埋設管3Aを切断するには、切断部位まで土を掘り返さねばならず、しかも切断作業に必要な周囲の空間も比較的大きく掘り返さねばならないし、掘り返された穴は、何れ、埋め戻し作業が必要となる。
又、切断された埋設管3Aは、その筒体33の長さが短縮されてしまうので、新たな埋設管(新埋設管)3Aを用いねばならなくなる場合が少なくなく、その場合には、規定長さの新埋設管3Aを所要長さに切断する作業が必要となってしまうし、既設の埋設管3Aを新埋設管3Aと交換するには、既設の埋設管3Aを始め、当該埋設管3Aと押輪接続されている埋設管3Bの押輪4を取り外し可能な部位まで、土を掘り返さねばならないし、埋設管3Bの押輪4及びゴム輪5の取外し取り付け作業をも必要となってしまう。
【0051】
こうして、前記埋設管切断工程にて、埋設管3Aが切断され、切り離された切離し筒体部分と短管1とを同時的に当該管路から取り外すことによって、介在機器2の取外し作業空間が、介在機器2の接続フランジ21と埋設管3Aの切断部との間の空間として作業間隙と同様の間隙(作業空間)が得られる。
【0052】
前記したように、少なくとも、介在機器2と従来型短管1との接続部位での締結、及び従来型短管1と当該従来型短管1に接続された埋設管3Aとの接続部位での締結を各々解いて、介在機器2と従来型短管1とを当該埋設管路から分離して取り外す或いは取外し可能な状態とする(従来型短管取外作業工程)。
【0053】
前記した従来型短管取外作業工程を終えてから、従来型短管1を本発明の新型短管(新短管)10と交換し、替えられた新短管10を前記埋設管3Aの切断部側から当該筒部33(若しくは、新たな埋設管3Aを埋設管Bに押輪接続してから当該新埋設管3Aの筒部33)に飲み込ませて二重筒状態となるように埋設管3A側に押し込んで、押し込み長さ分の作業間隙を前記介在機器の設置空間即ち介在機器の接続フランジ部21と押込まれた新短管10の接続フランジ部120との間に作業空間即ち作業間隙を設ける。この工程は、前記の作業間隙設定工程と実質的に同様であるから、同じく作業間隙設定工程ともいう。
【0054】
前記した作業間隙設定工程以降の工程は、前記の新介在機器予備接続工程→新介在機器最終接続工程と同様である。
【0055】
以上のように、従来型短管介在埋設管路における介在機器の交換作業は、第0工程としての従来型短管取外作業工程、第1工程としての作業間隙設定工程→第2工程としての介在機器分離工程→第3工程としての新介在機器予備接続工程→第5工程としての新介在機器最終接続工程の5工程にて容易かつ迅速に交換作業を終えることができる。
【0056】
従来型短管介在埋設管路における介在機器の交換作業では、新型短管介在埋設管路における介在機器の交換作業の第1〜第4工程に比べると、第0工程としての従来型短管取外作業工程が前提工程として1工程増すことになるが、一旦この第0工程を行っておくと、爾後の交換作業の際には新型短管介在埋設管路における介在機器の交換作業の第1〜第4工程を行う作業だけで済むという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、水道配管事業で、地中に埋設される導水・送水・配水等の埋設管路において、弁及び計測機器等の介在機器を介在させた管路において広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】介在機器が介在する水道事業用の埋設管路の断面図である(実施例)。
【図2】図1の短管部分の拡大断面図である(実施例)。
【図3】介在機器が介在する水道事業用の従来の埋設管路の断面図である(従来例)。
【図4】図3の短管部分の拡大断面図である(従来例)
【符号の説明】
【0059】
1 短管(従来型)
11 筒体(従来型短管)
12 接続フランジ部(従来型短管)
13 受口部(従来型短管)
10 短管(新型)
110 筒体(新型短管)
120 接続フランジ部(新型短管)
130 受口部(新型短管)
2 バルブ(介在機器)
21 接続フランジ部(介在機器)
3A 埋設管(直管)
3B 埋設管(直管)
4 押輪(抜止押輪)
5 ゴム輪




【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道事業用の埋設管路に用いられる鋳鉄管であって、前記埋設管路に介在する介在機器に接続される比較的長さが短い短管において、
当該短管は、一方端に前記介在機器に接続される接続フランジ部を有し、他方端に別の埋設管の差込端部が差し込まれるラッパ状に形成された受口部を有する筒体であって、当該短管の筒体の口径が、前記受口部に差し込まれる前記埋設管の差込端部及び当該差込端部に続く前記埋設管の筒体の少なくとも一部を嵌入自在に飲み込む内径とされたことを特徴とする短管。
【請求項2】
筒体の口径は、前記埋設管の差込端部及び当該差込端部に続く筒体の少なくとも一部と蜜嵌合する口径とされたことを特徴とする請求項1の短管。
【請求項3】
短管の筒体の口径は、前記受口部に差し込まれる前記埋設管の差込端部及び当該差込端部に続く前記埋設管の筒体を嵌入自在に飲み込む内径に当該筒体の全長にわたって形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2の短管。
【請求項4】
別の埋設管は、短管より長い直管、又は曲管、或いはその他の異形管であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の短管。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4の何れかに記載の短管を含むことを特徴とする水道事業用の埋設管路。
【請求項6】
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4の何れかに記載の短管を含む水道事業用の埋設管路における介在機器の交換作業において、
少なくとも、前記介在機器と前記短管との接続部位での締結、及び前記短管と前記短管に差し込まれた埋設管との接続部位での締結を各々解き、前記短管が前記埋設管を飲み込んで二重筒状態となるように前記短管を前記埋設管側に押し込んで、押し込こまれた長さ分の作業間隙を前記介在機器と前記短管との間に設けられる作業間隙設定工程を含む
ことを特徴とする水道事業用の埋設管路における介在機器の交換方法。
【請求項7】
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4の何れかに記載の短管を含む水道事業用の埋設管路における介在機器の交換作業において、
少なくとも、前記介在機器と前記短管との接続部位での締結、及び前記短管と前記短管に差し込まれた埋設管との接続部位での締結を各々解き、前記短管が前記埋設管を飲み込んで二重筒状態となるように前記短管を前記埋設管側に押し込んで、押し込こまれた長さ分の作業間隙を前記介在危機と前記短管との間に設ける作業間隙設定工程と、
前記介在機器を、当該埋設管路から取り外せるように前記短管との接続部位での締結を除く他の全ての所要接続部位での締結を解く介在機器分離工程と、
交換された新たな介在機器を、前記短管との接続部位での締結を除く他の全ての所要接続部位での接続を締結する工程と、
前記の新たな介在機器に前記短管を接続すべく、前記埋設管に押し込まれた前記短管を引きだす短管引出工程と、
引き出された前記短管と前記の新たな介在機器との所要接続部位、及び前記短管と前記埋設管との所要接続部位での接続を締結する工程とを含む
ことを特徴とする水道事業用の埋設管路における介在機器の交換方法。
【請求項8】
介在機器に従来型短管が接続された水道事業用の埋設管路における介在機器の交換作業において、
前記介在機器と前記従来型短管との接続部位での締結、及び前記従来型短管と前記従来型短管に接続された埋設管との接続部位での締結を各々解いて、前記介在機器と前記従来型短管とを当該埋設管路から取り外す従来型短管取外作業工程と、
前記従来型短管を請求項1、請求項2、又は請求項3の何れかに記載の短管に替えて、替えられた前記新短管が前記埋設管を飲み込んで二重筒状態となるように前記埋設管側に押し込んで、押し込み長さ分の作業間隙を前記介在機器の設置空間と前記短管との間に設ける作業間隙設定工程と、
交換された新たな介在機器を、前記短管との接続部位での締結を除く他の全ての所要接続部位での接続を締結する工程と、
前記の新たな介在機器に前記短管を接続すべく、前記埋設管に押し込まれた前記短管を引きだす短管引出工程と、
引き出された前記短管と前記の新たな介在機器との所要接続部位、及び前記短管と前記埋設管との所要接続部位での各々の接続を締結する工程とを含む
ことを特徴とする水道事業用の埋設管路における介在機器の交換方法。
【請求項9】
短管及び埋設管はダクタイル鋳鉄管であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の短管。
【請求項10】
短管及び埋設管はダクタイル鋳鉄管であることを特徴とする請求項5に記載の水道事業用の埋設管路。
【請求項11】
短管及び埋設管はダクタイル鋳鉄管であることを特徴とする請求項6乃至請求項8の何れかに記載の水道事業用の埋設管路における介在機器の交換方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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