説明

水面散布用水性懸濁状除草剤組成物

【課題】水面上での拡散性などにおいて優れた性能を有する水性懸濁状除草剤組成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも1種の常温で固体の除草活性化合物、比重調節剤、界面活性成分、増粘性成分、消泡剤及び水を含有する水面散布用水性懸濁状除草剤組成物であって、界面活性成分として、イオン性界面活性成分及びHLB値が15より大きい非イオン性界面活性成分を含有することを特徴とする水性懸濁状除草剤組成物は、水面上での拡散性などにおいて優れた性能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水面散布用の水性懸濁状除草剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、湛水下水田等の水面への除草剤散布としては、一般に粒剤による散布が中心に行われていた。しかしながら、粒剤による散布は、例えば10アールあたりの3キログラム程度の多量の散布量を必要とし、且つ、広い水田に均等に散布する必要があるなどの労力面での負担が大きいこともあり、より簡便に除草活性化合物を施用できる製剤化技術の提供が求められていた。
かかる課題の解決手段の一つとして、常温で固体の除草活性化合物を含有し、且つ、有機若しくは無機中空担体やイソパラフィン系炭化水素を比重調節剤として含有することにより比重が軽減されてなる水性懸濁状除草剤組成物を、湛水下水田等の水面に散布し速やかに水面上で拡散させることにより、常温で固体の除草活性化合物の薬効を水田全面で発現させる方法が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、かかる水性懸濁状除草剤組成物は、必ずしも十分に満足できる水面上での拡散性を有するものではなく、より優れた性能を有する水性懸濁状除草剤組成物の提供が求められている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−106601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水面上での拡散性などにおいて優れた性能を有する水性懸濁状除草剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、優れた性能を有する水性懸濁状除草剤組成物を提供すべく検討の結果、特定の界面活性成分を含有する水性懸濁状除草剤組成物が優れた性能を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の〔1〕〜〔9〕の通りである。
〔1〕 少なくとも1種の常温で固体の除草活性化合物、比重調節剤、界面活性成分、増粘性成分、消泡剤及び水を含有する水面散布用水性懸濁状除草剤組成物であって、
界面活性成分として、イオン性界面活性成分及びHLB値が15より大きい非イオン性界面活性成分を含有することを特徴とする水性懸濁状除草剤組成物。
〔2〕 比重が0.90以上1.05以下であり、且つ、粘度が600〜1200mPa・sである〔1〕記載の水性懸濁状除草剤組成物。
〔3〕 非イオン性界面活性成分のHLB値が、15.5以上20以下である〔1〕又は〔2〕記載の水性懸濁状除草剤組成物。
〔4〕 非イオン性界面活性成分の少なくとも1種が、HLB値が15.5以上20以下であるショ糖脂肪酸エステルである〔1〕〜〔3〕いずれか一項記載の水性懸濁状除草剤組成物。
〔5〕 イオン性界面活性成分が、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩である〔1〕〜〔4〕いずれか一項記載の水性懸濁状除草剤組成物。
〔6〕 比重調節剤が、無機中空担体、有機中空担体及びパラフィン系炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種である〔1〕〜〔5〕いずれか一項記載の水性懸濁状除草剤組成物。
〔7〕 比重調節剤が、パラフィン系炭化水素である〔1〕〜〔5〕いずれか一項記載の水性懸濁状除草剤組成物。
〔8〕 常温で固体の除草活性化合物の少なくとも1種が、常温で固体のスルホニル尿素系除草活性化合物である〔1〕〜〔7〕いずれか一項記載の水性懸濁状除草剤組成物。
〔9〕 さらに防腐剤を含有する〔1〕〜〔8〕いずれか一項記載の水性懸濁状除草剤組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、湛水下水田等の水面に散布した場合に、十分な水面上での拡散性が付与されてなる、常温で固体の除草活性化合物を含有する水性懸濁状除草剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の水面散布用の水性懸濁状除草剤組成物は、少なくとも1種の常温で固体の除草活性化合物、比重調節剤、界面活性成分、増粘性成分、消泡剤及び水を含有する水面散布用水性懸濁状除草剤組成物であって、界面活性成分として、イオン性界面活性成分及びHLB値が15より大きい非イオン性界面活性成分を含有することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物に含有される常温で固体の除草活性化合物とは、20℃において固体である除草活性化合物であり、例えばスルホニル尿素系除草活性化合物が挙げられ、具体的には以下のものが挙げられる。
2,4,6−トリクロルフェニル−4’−ニトロフェニルエーテル(CNP);
α−(2−ナフトキシ)プロピオンアニリド(ナプロアニリド);
5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロ安息香酸メチル(ビフェノックス);
O−3−tert−ブチルフェニル=6−メトキシ−2−ピリジル(メチル)チオカルバマート(ピリブチカルブ);
(RS)−2−ブロモ−N−(α,α−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチルブチルアミド(ブロモブチド);
2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチルアセトアニリド(メフェナセット);
1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(パラトリル)尿素(ダイムロン);
メチル=α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−O−トルアート(ベンスルフロンメチル);
1−(2−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)尿素(イマゾスルフロン);
エチル=5−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−1−メチルピラゾール−4−カルボキシラート(ピラゾスルフロンエチル);
2−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−s−トリアジン(シメトリン);
2−メチルチオ−4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トリアジン(プロメトリン);
2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン(ジメタメトリン);
2,4−ジクロロフェニル−3’−メトキシ−4’−ニトロフェニルエーテル(クロメトキシニル);
5−ターシャリーブチル−3−(2,4−ジクロロ−5−イソプロポキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン(オキサジアゾン);
4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート(ピラゾレート);
2−[4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]アセトフェノン(ピラゾキシフェン);
(RS)−2−(2,4−ジクロロ−m−トリルオキシ)プロピオンアニリド(クロメプロップ);
2−[4−[2,4−ジクロロ−m−トルオイル]−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]−4’−メチルアセトフェノン(ベンゾフェナップ);
2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テニル)−2’,6’−ジメチルアセトアニリド(テニルクロール);
3−[1−(3,5−ジクロルフェニル)−1−メチルエチル]−2,3−ジヒドロ−6−メチル−5−フェニル−4H−1,3−オキサジン−4−オン(オキサジクロメホン);
3−(4−クロロ−5−シクロペンチルオキシ−2−フルオロフェニル)−5−イソプロピリデン−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン(ペントキサゾン);
1−(ジエチルカルバモイル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)−1,2,4−トリアゾール(カフェンストロール);
N−{[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニル]}−1−メチル−4−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)(アジムスルフロン);
メチル 2−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)オキシ]−6−[(E)−1−(メトキシイミノ)エチル]ベンゾエート(ピリミノバックメチル);
4−(2−クロロフェニル)−N−シクロへキシル−N−エチル−4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1H−テトラゾール−1−カルボキサミド(フェントラザミド);
ナトリウム=N−(ホスホノメチル)グリシナート(グリホサートナトリウム塩);
トリメシウム=N−(ホスホノメチル)グリシナート(グリホサートトリメシウム塩);
アンモニウム=N−(ホスホノメチル)グリシナート(グリホサートアンモニウム塩);
イソプロピルアミン=N−(ホスホノメチル)グリシナート(グリホサートイソプロピルアミン塩);
L−2−アミノ−4−[(ヒドロキシ)(メチル)ホスフィノイル]ブチリル−L−アラニル−L−アラニンナトリウム塩(ビアラホス);
アンモニウム=DL−ホモアラニン−4−イル(メチル)ホスフィナート(グルホシネート);及び
ナトリウム=2,6−ビス[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)オキシ]ベンゾエート(ビスピリバックナトリウム塩)。
【0009】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物には、常温で固体の除草活性化合物が通常0.1〜50重量パーセント、好ましくは0.5〜30重量パーセント程度含有される。
【0010】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で常温で固体の除草活性化合物とともに、常温で液体の除草剤活性化合物、並びに、常温で固体若しくは液体の殺虫活性化合物及び殺菌活性化合物等の他の生理活性化合物を含有することもできる。
【0011】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物に含有される比重調節剤とは、比重が1未満である固体担体で、本発明の水性懸濁状除草剤組成物自体の比重を軽減させることにより、本発明の水性懸濁状除草剤組成物の比重を1.05以下、好ましくは0.90〜1.05程度に調節でき得る担体であれば特に限定するものではない。
【0012】
かかる比重調節剤としては、例えば、発泡パーライト、発泡シラス、発泡珪酸ソーダ、発泡ホウ珪酸ソーダ等のガラス質中空体及びセラミック中空体などの無機中空担体、プラスチック中空体などの有機中空担体、ポリエチレン粉末やポリプロピレン粉末等の樹脂粉末、木粉、コルク粉、パラフィン系炭化水素等が挙げられ、好ましくは、無機中空担体、有機中空担体等の固体中空担体及びパラフィン系炭化水素が挙げられる。
かかる比重調節剤のうち、パラフィン系炭化水素としては、常温で不揮発性である点、及び、臭気等の点からは炭素数7〜13の液状のノルマルパラフィンが好ましい。また、かかる比重調節剤が固体である場合、その平均粒径が通常100μm以下、好ましくは50μm以下であるものが用いられる。
本発明の水性懸濁状除草剤組成物には、比重調節剤が通常3〜30重量%、好ましくは5〜20重量%程度含有される。
【0013】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物には、界面活性成分としてイオン性界面活性成分及びHLB値が15より大きい非イオン性界面活性成分が含有される。
【0014】
かかる界面活性成分のうち、イオン性界面活性成分としては、例えば、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアリールホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート及びポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性成分が挙げられる。
【0015】
界面活性成分のうち、HLB値が15より大きい非イオン性界面活性成分としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。ショ糖脂肪酸エステルとしては、例えばニューカルゲンFS−30(竹本油脂社製、商品名、HLB値 16)が挙げられる。本発明においては、HLB値が15以下である非イオン性界面活性成分であっても、HLB値が15より大きい非イオン性界面活性成分との組合わせにより、非イオン性界面活性成分の全体のHLB値が15より大きい値、例えば15.5以上20以下程度となるものであれば本発明に用いることができる。
【0016】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物には、HLB値が15より大きい非イオン性界面活性成分が通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜3重量%程度含有され、また、界面活性成分が合計量で通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%程度含有される。
【0017】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物に含有される増粘性成分としては、有機系増粘性成分及び無機系増粘性成分が挙げられ、詳しくは、キサンタンガム、グアガム、アラビアガム、カゼイン、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸とその誘導体、コロイド性含水ケイ酸アルミニウム、コロイド性含水ケイ酸マグネシウム、コロイド性含水ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。本発明の水性懸濁状除草剤組成物には、かかる増粘性成分の1種又は2種以上、好ましくは1種以上の有機系増粘性成分及び1種以上の無機系増粘性成分の混合物が含有され、その含有量は特に制限されるものではなく、本発明の水性懸濁状除草剤組成物の粘度が20℃でB型粘度計 No.2ローター、12rpmの測定条件において、通常は100〜1200mPa・s、製造面から好ましくは600〜1200mPa・sとなるように含有されていればよいが、通常は0.01〜10重量パーセント、好ましくは0.1〜5重量パーセント程度の含有量である。
【0018】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物に含有される消泡剤としては、例えばシリコーン系消泡剤及び脂肪酸系消泡剤が挙げられる。本発明の水性懸濁状除草剤組成物には、かかる消泡剤が通常0.01〜3重量パーセント程度含有される。
【0019】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物には、その分散媒として用いられる水としては、水道水及び地下水のほか、これらをイオン交換した水が挙げられ、特に限定されるものではないが、硬度が3度以下の水が好ましい。
【0020】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物には、さらに防腐剤を含有することができる。かかる防腐剤としては、例えば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMT)、ソルビン酸、p−クロロ−m−キシレノ−ル、p−オキシ安息香酸ブチル、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(BNPK)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MT)等が挙げられる。本発明の水性懸濁状除草剤組成物には、かかる防腐剤を0.005〜0.1重量パーセント程度含有させることができる。
【0021】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物には、さらに必要に応じて凍結防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤及び/又は結晶析出防止剤等を安定化剤として添加することもできる。
【0022】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物は、少なくとも1種の常温で固体の除草活性化合物、比重調節剤、増粘性成分、消泡剤、水、イオン性界面活性成分及びHLB値が15より大きい非イオン性界面活性成分と、防腐剤、ならびに、酸化防止剤、紫外線防止剤及び結晶析出防止剤等の安定化剤を用いて得ることができるが、その製造方法は特に限定されるものではない。
【0023】
例えば、水にイオン性界面活性成分、消泡剤、必要に応じて凍結防止剤を均一に溶かした後、該溶液に少なくとも1種の常温で固体の除草活性化合物及び増粘性成分、好ましくは無機系増粘性成分を加え、ディスパーミル等により分散させ、スラリー状にしてからビーズミル等で平均粒子径を10μm以下、好ましくは5μm以下となるように微粉砕する。次に微粉砕されたスラリーに比重調節剤を加え、ディスパーミル等により分散させ、次いで、HLB値が15より大きい非イオン性界面活性成分及び増粘性成分、好ましくは有機系増粘性成分と、さらに必要に応じて防腐剤等とを均一に混合することにより、本発明の水性懸濁状除草剤組成物を製造することができる。
かかる製造方法において少なくとも1種の常温で固体の除草活性化合物は、保存安定性や除草活性の面から、予め平均粒子径が通常は10μm以下、好ましくは5μm以下となるように粉砕されたものが用いられる。
【0024】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物は、従来の水性懸濁状除草剤組成物に用いられる公知の施用方法に用いることができる。かかる施用方法は特に限定されるものではないが、例えば、代掻き作業時以降の湛水下水田に、稲の移植前、移植時及び移植後のうち任意の時期に施用することができる。施用方法としては、湛水下水田への滴下処理が挙げられ、本発明の水性懸濁状除草剤組成物をプラスチック製の容器に入れて手振り散布する、或いは、加圧式散布機を用いて本発明の水性懸濁状除草剤組成物を噴射又は噴霧する方法が挙げられ、また、水田の水口で流入水に滴下散布し、流入水と共に水田に流し込む方法も挙げられる。
【0025】
本発明の水性懸濁状除草剤組成物の施用量は、特に限定されるものではないが、散布省力化の点からは、施用面積10アールあたりの施用量は、通常は1000ml以下、好ましくは100〜500ml程度である。
【実施例】
【0026】
次に、本発明を製造例及び試験例等の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、部とは重量部を示す。
【0027】
製剤例1
SUSビーカーにイオン交換水 370.5部、ソプロホールFLK(ローディア日華製、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステルカリウム塩) 30部、凍結防止剤(プロピレングリコール:和光純薬製) 100部及び消泡剤(アンチフォームE−20:花王製) 2.5部を加え、小型撹拌機で均一に分散させた。この分散液に、イマゾスルフロン18部、ブロモブチド80部及び無機系増粘剤(クニピアF:クニミネ工業製)5部を加え、小型オートホモミキサー(特殊機化工業製)で徐々に分散させてスラリー状にして、次いで、ビーズミルであるダイノミル(KDL型:シンマルエンタプライズ製)を用いて2000rpmで粉砕化を行い、平均粒子径3.5μmの粉砕スラリーとした。
この粉砕スラリーに、n−パラフィン(ノルマルウンデカン:ジャパンエナジー製) 180部を加え小型オートホモミキサー(特殊機化工業製)5000rpmで分散させた。次に、予め調製した1%有機系増粘剤液(ケルザンS:三晶製) 200部、ショ糖脂肪酸エステル(ニューカルゲンFS−30:竹本油脂製、HLB値 16) 10部、消泡剤(アンチフォームE−20:花王製)2.5部及び防腐剤(バイオホープL:ケイ・アイ化成製) 1部を加え、小型ミキサーで均一にした。最後にpHメーターでpHを確認しながら予め調製した30%硫酸0.5部を徐々に加え、pHを5.8に合わせ、比重が0.97〜0.99の水性懸濁状除草剤組成物(以下、本発明組成物1と記す。)を得た。
【0028】
製剤例2
SUSビーカーにイオン交換水 480.5部、ソプロホールFLK(ローディア日華製、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステルカリウム塩) 30部、凍結防止剤(プロピレングリコール:和光純薬製) 100部及び消泡剤(アンチフォームE−20:花王製) 2.5部を加え、小型撹拌機で均一に分散させた。この分散液に、イマゾスルフロン18部、ブロモブチド80部及び無機系増粘剤(クニピアF:クニミネ工業製)5部を加え、小型オートホモミキサー(特殊機化工業製)で徐々に分散させてスラリー状にして、次いで、ビーズミルであるダイノミル(KDL型:シンマルエンタプライズ製)を用いて2000rpmで粉砕化を行い、平均粒子径3.5μmの粉砕スラリーとした。
この粉砕スラリーに、ホウ珪酸ソーダ(グラスバブルスS60:住友スリーエム製) 70部を加え小型オートホモミキサー(特殊機化工業製)5000rpmで分散させた。次に、予め調製した1%有機系増粘剤液(ケルザンS:三晶製) 200部、ショ糖脂肪酸エステル(ニューカルゲンFS−30:竹本油脂製、HLB値 16) 10部、消泡剤(アンチフォームE−20:花王製)2.5部及び防腐剤(バイオホープL:ケイ・アイ化成製) 1部を加え、小型ミキサーで均一にした。最後にpHメーターでpHを確認しながら予め調製した30%硫酸0.5部を徐々に加え、pHを5.8に合わせ、比重が0.98の水性懸濁状除草剤組成物(以下、本発明組成物2と記す。)を得た。
【0029】
次に試験例に用いた比較組成物について参考製造例を示す。
【0030】
参考製造例1
ショ糖脂肪酸エステルの代わりに、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル(ソルポールT−20:東邦化学製、HLB値 13.3)を用いた以外は製剤例1と同様の操作を行い、比重が0.98の水性懸濁状除草剤組成物(以下、比較組成物1と記す。)を得た。
【0031】
参考製造例2
ショ糖脂肪酸エステルの代わりに、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル(ソルポールT−20:東邦化学製、HLB値 13.3)を用いた以外は製剤例2と同様の操作を行い、比重が0.98の水性懸濁状除草剤組成物(以下、比較組成物2と記す。)を得た。
【0032】
本発明組成物1及び2、並びに、比較組成物1及び2はいずれも、20℃でB型粘度計 No.2ローター、12rpmの測定条件における粘度は850〜1000mPa・sの範囲内であった。
【0033】
次に本発明が有する優れた効果を試験例に示す。
【0034】
試験例
1000ml容のガラス製ビーカーに3度硬水800mlを入れて、その水面から30cmの高さより、ポリスポイドで採取した供試組成物を3滴落下さた。落下した液滴が水面全体(約50cm2)に完全に拡散するまでの時間を目視により測定した。その結果を〔表1〕に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
試験例により、本発明の水性懸濁状除草剤組成物を湛水下水田等で水面上に直接散布した際に、優れた拡展性を示すことが確認できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の常温で固体の除草活性化合物、比重調節剤、界面活性成分、増粘性成分、消泡剤及び水を含有する水面散布用水性懸濁状除草剤組成物であって、
界面活性成分として、イオン性界面活性成分及びHLB値が15より大きい非イオン性界面活性成分を含有することを特徴とする水性懸濁状除草剤組成物。
【請求項2】
比重が0.90以上1.05以下であり、且つ、粘度が600〜1200mPa・sである請求項1記載の水性懸濁状除草剤組成物。
【請求項3】
非イオン性界面活性成分のHLB値が、15.5以上20以下である請求項1又は2記載の水性懸濁状除草剤組成物。
【請求項4】
非イオン性界面活性成分の少なくとも1種が、HLB値が15.5以上20以下であるショ糖脂肪酸エステルである請求項1〜3いずれか一項記載の水性懸濁状除草剤組成物。
【請求項5】
イオン性界面活性成分が、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩である請求項1〜4いずれか一項記載の水性懸濁状除草剤組成物。
【請求項6】
比重調節剤が、無機中空担体、有機中空担体及びパラフィン系炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5いずれか一項記載の水性懸濁状除草剤組成物。
【請求項7】
比重調節剤が、パラフィン系炭化水素である請求項1〜5いずれか一項記載の水性懸濁状除草剤組成物。
【請求項8】
常温で固体の除草活性化合物の少なくとも1種が、常温で固体のスルホニル尿素系除草活性化合物である請求項1〜7いずれか一項記載の水性懸濁状除草剤組成物。
【請求項9】
さらに防腐剤を含有する請求項1〜8いずれか一項記載の水性懸濁状除草剤組成物。

【公開番号】特開2009−84180(P2009−84180A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254160(P2007−254160)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】