氷柱の除去装置
【課題】
従来、強度不足や設置スペース不足によって氷柱の除去装置を設置することができなかった建築物にも設置できるようにし、また、メンテナンス作業の危険性をも低減できる氷柱の除去装置を提供できるようにした。
【解決手段】
建築物の軒先に垂下生成される氷柱を除去する氷柱の除去装置であって、氷柱４を除去するための切断部位を除いた本体部分が軒３下方にかつ軒先線に沿って設けられ、移動しながら氷柱４に衝突して同氷柱４を切断する切断用ブレード５と、同切断用ブレード５の移動方向に沿って設けられ、移動する切断用ブレード５を氷柱４の切断に適するように保持するブレードガイド７、８より構成され、切断用ブレード５は、同ブレードに固定され、内周に雌ねじを螺刻した筒体６が、周囲に雄ねじを螺刻した回転軸１２に螺合されて、同回転軸１２を正逆回転させることによって移動する。
従来、強度不足や設置スペース不足によって氷柱の除去装置を設置することができなかった建築物にも設置できるようにし、また、メンテナンス作業の危険性をも低減できる氷柱の除去装置を提供できるようにした。
【解決手段】
建築物の軒先に垂下生成される氷柱を除去する氷柱の除去装置であって、氷柱４を除去するための切断部位を除いた本体部分が軒３下方にかつ軒先線に沿って設けられ、移動しながら氷柱４に衝突して同氷柱４を切断する切断用ブレード５と、同切断用ブレード５の移動方向に沿って設けられ、移動する切断用ブレード５を氷柱４の切断に適するように保持するブレードガイド７、８より構成され、切断用ブレード５は、同ブレードに固定され、内周に雌ねじを螺刻した筒体６が、周囲に雄ねじを螺刻した回転軸１２に螺合されて、同回転軸１２を正逆回転させることによって移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、冬期に建築物の軒先に生成される氷柱を除去する氷柱の除去装置に関し、より詳しくは、氷柱を根元近傍より切断して除去できるように構成した氷柱の除去装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、冬期の寒冷地は、建築物の軒先に生成された氷柱が自然落下し、地上で砕けて跳ね返った氷柱の破片により、駐車している自動車や建築物の窓ガラスが破損したりする事故が多く発生していた。
【０００３】
このため、氷柱が自然落下する前に、氷柱除去用の棒体を手に持ち、同棒体で氷柱を叩き落としたり、また（例えば、特許文献１参照）のような氷柱の除去装置を建築物に設置し、同除去装置によって氷柱を機械的に除去したりして、自然落下した氷柱が地上で砕けて跳ね返ることにより生じる事故を防止するようにしていた。
【０００４】
しかしながら、前述する氷柱除去用の棒体を用いて氷柱を叩き落として除去する場合は、叩き落とした氷柱が、同氷柱の下で棒体を手に持ち使用している自分自身に向かって同棒体を伝わり滑り落ちてくることもあり、前記棒体を用いて行う氷柱の除去は、非常に危険を伴った除去作業であった。
【０００５】
一方、氷柱を機械的に除去する除去装置を用いて氷柱を除去する場合は、除去した氷柱が自分自身へ向かって滑り落ちてくることなく除去できるが、氷柱の除去装置を軒下近傍の建築物側壁に設置するため、建築物によっては、設置スペース不足や強度不足等によって除去装置を設置することができない等の問題があった。
【０００６】
また氷柱の除去装置は、建築物側壁の高所に設置されることが多く、同除去装置をメンテナンスする際は高所作業となり、したがって、手が悴むことのない暖かい季節であっても危険を伴うものであるが、同除去装置は冬期に稼動させるものなので、手袋をしていても手が悴む低温時にメンテナンスを行わなければならず、このため、同メンテナンス作業は落下事故が発生する恐れのある非常に危険を伴う作業であった。
【０００７】
また、雪おろし作業の軽減や、氷柱・雪庇の対策として、屋根に電熱ヒータを設け、同ヒータの熱により、雪や氷を融解するという方法もあった。
【０００８】
しかしながら、前記電熱ヒータを用いる場合、同ヒータの運転が長時間に及ぶことが多く、電力のランニングコストが嵩み、さらに、熱や漏電による事故が発生するおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開２００１−２７０５２号公報（第１〜６頁、図１〜４）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明は、氷柱の下より同氷柱を叩き落として除去する氷柱除去用の棒体を用いた氷柱の除去よりも極めて安全に氷柱を除去できる氷柱の除去装置を、従来、設置スペース不足や強度不足等によって同除去装置を設置することができなかった所定の建築物にまで設置できるようにし、また、メンテナンス作業時の危険性を低減できる氷柱の除去装置を提供できるようにした。
【００１１】
また、本発明は、運転時だけ電力を使用するので、ランニングコストの低減ができ、さらに、熱や漏電による事故の発生を抑えることができるようにした。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上述した課題を解決するために、本発明に係る氷柱の除去装置は、建築物の軒先に垂下生成される氷柱を除去する氷柱の除去装置であって、氷柱を除去するための切断部位を除いた本体部分が軒下方にかつ軒先線に沿って設けられ、移動しながら氷柱に衝突して同氷柱を切断する切断用ブレードと、同切断用ブレードの移動方向に沿って設けられ、移動する切断用ブレードを氷柱の切断に適するように保持するブレードガイドより構成され、切断用ブレードは、同ブレードに固定され、内周に雌ねじを螺刻した筒体が、周囲に雄ねじを螺刻した回転軸に螺合されて、同回転軸を正逆回転させることによって移動するように構成したものとしてある。
【００１３】
また前記切断用ブレードを、回転軸へその軸方向に一定間隔で複数設けたものとしてある。
【００１４】
また前記ブレードガイド部を、移動する切断用ブレードのブレード面を略水平に保持できるように構成したものとしてある。
【００１５】
さらに前記ブレードガイド部を、移動する切断用ブレードの回り止めを兼用できるように構成したものとしてある。
【００１６】
また前記回転軸を回転させるための駆動手段を、地上あるいは地上の近傍に設け、かつ駆動手段による回転出力を、所定の回転伝達手段によって回転軸に伝達できるように構成したものとしてある。
【発明の効果】
【００１７】
本発明に係る氷柱の除去装置によれば、建築物の軒先に垂下生成される氷柱を除去するための切断用ブレードを、同ブレードに固定し、内周に雌ねじを螺刻した筒体を、周囲に雄ねじを螺刻した回転軸に螺合させて、同回転軸を正逆回転させることにより切断用ブレードを移動させているので、同移動路における上下方向の厚みを小なる厚みにできるので、同切断用ブレードの移動路を、建築物の軒と窓との間の比較的小なるスペースにも充分設置することができる。
【００１８】
また本発明に係る氷柱の除去装置は、氷柱の除去手段たる切断用ブレードを移動させる駆動手段を地上あるいは地上の近傍に設置できるので、従来、窓を建築物の角部あるいは角部近傍まで設けていたり、建築物における側壁の強度が不足していること等により、氷柱の除去手段を駆動する駆動部を側壁に設置できなかった建築物でも、氷柱の除去装置を設置することができる。
【００１９】
そして、前述するように、氷柱の除去手段たる切断用ブレードを移動させる駆動手段を地上あるいは地上の近傍に設置できるようにしたことにより、特に入念を要する同駆動手段に関するメンテナンス作業を地上で行うことができるので、同作業時における落下事故を防止でき、同メンテナンス作業を安全に行うことができる。
【００２０】
また、氷柱の除去手段たる切断用ブレードの移動路を建築物における屋根の軒下方に設けているので、同移動路内に雪が進入し難く、これにより切断用ブレードの移動路に関係するトラブルを低減でき、したがって、高所作業となる同移動路に関係するメンテナンス回数も減らすことができ、メンテナンス作業時の危険性低減に寄与することができる。
【００２１】
また、同切断用ブレードを稼働させる時にだけ電力を使用するので、ランニングコストの低減ができ、さらに、熱や漏電による事故の発生を抑えることができる。
【００２２】
したがって、本発明に係る氷柱の除去装置は、氷柱の除去部たる切断用ブレードおよび同ブレードの移動路を簡単な構造で構成しているので同除去部を軽量にできて、また前述するように、同移動路における上下方向の厚みを小なる厚みにでき、かつメンテナンス性にも優れ、また省エネルギー化が図れるので、住宅等の建物は勿論のこと、工場や倉庫等の建物物にも設置できる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明に係る氷柱の除去装置を建物に設置した一例を示す斜視図。
【図２】建物の上方より見た切断用ブレードの配設例を示した図。
【図３】除去装置の一部拡大斜視図。
【図４】切断用ブレードの回り止め構造を示す図。
【図５】切断用ブレードの回り止め構造の他一例を示す図。
【図６】本発明に係る氷柱の除去装置を建物に設置した一例を示す斜視図。
【図７】切断用ブレードの移動路にカバーを設けた除去装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【００２４】
本発明に係る氷柱の除去装置を、以下、添付図面に基づいて説明する。
【実施例】
【００２５】
本氷柱の除去装置は、図１に示すように、同除去装置における少なくとも氷柱４を切断するための切断用ブレード５の移動路を、建築物たる建物１における屋根２の軒３下方に、かつ同軒３の軒先線に沿って配設できるように構成している。
【００２６】
この除去装置は、図１中の矢印Ａ方向に移動して、建物１における屋根２の軒３先端（軒先）に垂下生成される氷柱４に衝突して同氷柱４を切断したり、同氷柱を根元近傍から折り取るための切断用ブレード５と、この切断用ブレード５の移動方向に沿うように設けて、移動する切断用ブレード５を氷柱の切断に適するように保持するための上ガイド７および下ガイド８よりなるブレードガイドと、切断用ブレード５を移動させるための駆動手段を備える駆動装置部１７を備えている。
【００２７】
前記切断用ブレード５は、同基部に、内周に雌ねじを螺刻した筒体６が固定され、この筒体６が、前記軒３の軒先線に沿って配設している周囲に雄ねじを螺刻した回転軸１２に螺合していて（図３参照）、この回転軸１２を正逆回転させることによって切断用ブレード５を図１中の矢印Ａ方向に移動させている。
【００２８】
また切断用ブレード５は、図２に示すように、スパンが同じ場合には、回転軸１２へその方向軸に所定の一定間隔で複数設け、氷柱を切断する際に各切断用ブレード５の移動距離を短くするとともに、建物１における屋根２の軒３先端（軒先）に垂下生成される氷柱４を短時間で除去できるようにしている。
【００２９】
そして、前記回転軸１２は、軸受１３を介して建物１の壁面に取り付ける固定具１４に回動できるように支持されている。
【００３０】
また固定具１４は、固定具１４における伸長寸法を適宜に変えて、同固定具１４に軸受１３を介して支持している回転軸１２に螺合する切断用ブレード５が、同切断用ブレード５の先端部寄りが同建物１における屋根２の軒３先端（軒先）よりも外方に突出するようにしている。
【００３１】
そして、切断用ブレード５の移動方向に沿うように設けている上ガイド７および下ガイド８よりなるブレードガイドは、本実施例に示した除去装置では回転軸１２の前方すなわち氷柱４側に設けていて、下ガイドにより、移動する切断用ブレード５のブレード面が略水平に保持できるようにしているとともに、上ガイド７および下ガイド８により、回転軸１２の回転によって同回転軸１２を移動する切断用ブレード５が回転軸１２まわりに回転しないようにしている（図４参照）。
【００３２】
また、切断用ブレード５が回転軸１２まわりに回転しないようにするための他形態としては、図５に示すように、一方を切断用ブレード５に接続するアーム１１を、移動する切断用ブレード５のブレード面を略水平に保持するため回転軸１２の前方、すなわち氷柱４側にかつ切断用ブレード５の移動方向に沿うように設けたガイド１０の下方に延伸させて、このガイド１０を切断用ブレード５下面とアーム１１上面との間に位置させ、回転軸１２の回転によって同回転軸１２を移動する切断用ブレード５が回転軸１２まわりに回転しないようにする場合もある。
【００３３】
そして、切断用ブレード５を移動させるための駆動装置部１７に備える駆動手段は、通常のモータ（図示は省略）より構成していて、このモータの回転出力を、モータの出力軸に有するプーリ（図示は省略）と回転軸１２に有するプーリ１５との間に張架したベルト１６によって同回転軸１２に伝達している。
【００３４】
また、回転軸１２を回転させて建物１における屋根２の軒３先端（軒先）に垂下生成される氷柱４を切断する切断用ブレード５を移動させるための駆動手段からなる駆動装置部１７を、図１に示した建物１の側壁に配置するのではなく、例えば、地上や地上近傍における建物１の側壁に設けて（図示は省略）、同駆動装置部１７に有する駆動手段の回転出力を、図６に示すように、同駆動手段（図示は省略）と回転軸１２に有するプーリ１５との間に張架したベルト１６により、同回転軸１２に伝達する場合もある。
【００３５】
また駆動装置部１７に有する駆動手段の回転出力を、回転軸１２に有するプ―リ１５に伝達するベルト１６を、タイミングベルトあるいはチェーンにする場合や、前述するベルト等の環状体を用いて前記駆動手段の回転出力を伝達するのではなく、所定のギアを配したシャフトを用い同回転出力を伝達する場合もある。
【００３６】
さらには、建物１における屋根２の軒３下方に配設している切断用ブレード５の移動路たる回転軸１２に対し、駆動装置部１７を建物１の内外における比較的遠い場所に設置して、同場所に設置した駆動装置部１７に有する駆動手段の回転出力を、フレキシブルシャフトを用い前記回転軸１２に直接また間接に伝達する場合もある。
【００３７】
また除去装置における所定の部位、例えば切断用ブレード５の移動路たる回転軸１２の下部に、保護用のカバー１９を装着する場合もあり、この場合は、図示を省略したがカバー１９には水抜き用の孔を多数あけたプレートを用いるのが好適である。
【００３８】
そして、実施例では示していないが、除去装置における所定の部位（例えば、回転軸１２／上ガイド７／下ガイド８等）を一体にして所定長さのユニット体に形成し、このユニット体を複数連結することにより、氷柱４を切断する切断用ブレード５の移動路を形成できるようにする場合もある。
【００３９】
また、切断用ブレード５の稼働は、例えば一日一回の場合は、片道（往路）運転になり、次回使用するときに逆（復路）の片道運転を行うことになる。
【００４０】
実施例における図中の符号９は、上ガイド７と下ガイド８を接続するための接続材、符号１８は、駆動装置部１７に備える駆動手段と回転軸１２に有するプーリ１５との間に張架したベルト１６のベルトカバーである。
【符号の説明】
【００４１】
１ 建物
２ 屋根
３ 軒
４ 氷柱
５ 切断用ブレード
６ 筒体
７ 上ガイド
８ 下ガイド
９ 接続材
１０ ガイド
１１ アーム
１２ 回転軸
１３ 軸受
１４ 固定具
１５ プーリ
１６ ベルト
１７ 駆動装置部
１８ ベルトカバー
１９ カバー
【技術分野】
【０００１】
本発明は、冬期に建築物の軒先に生成される氷柱を除去する氷柱の除去装置に関し、より詳しくは、氷柱を根元近傍より切断して除去できるように構成した氷柱の除去装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、冬期の寒冷地は、建築物の軒先に生成された氷柱が自然落下し、地上で砕けて跳ね返った氷柱の破片により、駐車している自動車や建築物の窓ガラスが破損したりする事故が多く発生していた。
【０００３】
このため、氷柱が自然落下する前に、氷柱除去用の棒体を手に持ち、同棒体で氷柱を叩き落としたり、また（例えば、特許文献１参照）のような氷柱の除去装置を建築物に設置し、同除去装置によって氷柱を機械的に除去したりして、自然落下した氷柱が地上で砕けて跳ね返ることにより生じる事故を防止するようにしていた。
【０００４】
しかしながら、前述する氷柱除去用の棒体を用いて氷柱を叩き落として除去する場合は、叩き落とした氷柱が、同氷柱の下で棒体を手に持ち使用している自分自身に向かって同棒体を伝わり滑り落ちてくることもあり、前記棒体を用いて行う氷柱の除去は、非常に危険を伴った除去作業であった。
【０００５】
一方、氷柱を機械的に除去する除去装置を用いて氷柱を除去する場合は、除去した氷柱が自分自身へ向かって滑り落ちてくることなく除去できるが、氷柱の除去装置を軒下近傍の建築物側壁に設置するため、建築物によっては、設置スペース不足や強度不足等によって除去装置を設置することができない等の問題があった。
【０００６】
また氷柱の除去装置は、建築物側壁の高所に設置されることが多く、同除去装置をメンテナンスする際は高所作業となり、したがって、手が悴むことのない暖かい季節であっても危険を伴うものであるが、同除去装置は冬期に稼動させるものなので、手袋をしていても手が悴む低温時にメンテナンスを行わなければならず、このため、同メンテナンス作業は落下事故が発生する恐れのある非常に危険を伴う作業であった。
【０００７】
また、雪おろし作業の軽減や、氷柱・雪庇の対策として、屋根に電熱ヒータを設け、同ヒータの熱により、雪や氷を融解するという方法もあった。
【０００８】
しかしながら、前記電熱ヒータを用いる場合、同ヒータの運転が長時間に及ぶことが多く、電力のランニングコストが嵩み、さらに、熱や漏電による事故が発生するおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開２００１−２７０５２号公報（第１〜６頁、図１〜４）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明は、氷柱の下より同氷柱を叩き落として除去する氷柱除去用の棒体を用いた氷柱の除去よりも極めて安全に氷柱を除去できる氷柱の除去装置を、従来、設置スペース不足や強度不足等によって同除去装置を設置することができなかった所定の建築物にまで設置できるようにし、また、メンテナンス作業時の危険性を低減できる氷柱の除去装置を提供できるようにした。
【００１１】
また、本発明は、運転時だけ電力を使用するので、ランニングコストの低減ができ、さらに、熱や漏電による事故の発生を抑えることができるようにした。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上述した課題を解決するために、本発明に係る氷柱の除去装置は、建築物の軒先に垂下生成される氷柱を除去する氷柱の除去装置であって、氷柱を除去するための切断部位を除いた本体部分が軒下方にかつ軒先線に沿って設けられ、移動しながら氷柱に衝突して同氷柱を切断する切断用ブレードと、同切断用ブレードの移動方向に沿って設けられ、移動する切断用ブレードを氷柱の切断に適するように保持するブレードガイドより構成され、切断用ブレードは、同ブレードに固定され、内周に雌ねじを螺刻した筒体が、周囲に雄ねじを螺刻した回転軸に螺合されて、同回転軸を正逆回転させることによって移動するように構成したものとしてある。
【００１３】
また前記切断用ブレードを、回転軸へその軸方向に一定間隔で複数設けたものとしてある。
【００１４】
また前記ブレードガイド部を、移動する切断用ブレードのブレード面を略水平に保持できるように構成したものとしてある。
【００１５】
さらに前記ブレードガイド部を、移動する切断用ブレードの回り止めを兼用できるように構成したものとしてある。
【００１６】
また前記回転軸を回転させるための駆動手段を、地上あるいは地上の近傍に設け、かつ駆動手段による回転出力を、所定の回転伝達手段によって回転軸に伝達できるように構成したものとしてある。
【発明の効果】
【００１７】
本発明に係る氷柱の除去装置によれば、建築物の軒先に垂下生成される氷柱を除去するための切断用ブレードを、同ブレードに固定し、内周に雌ねじを螺刻した筒体を、周囲に雄ねじを螺刻した回転軸に螺合させて、同回転軸を正逆回転させることにより切断用ブレードを移動させているので、同移動路における上下方向の厚みを小なる厚みにできるので、同切断用ブレードの移動路を、建築物の軒と窓との間の比較的小なるスペースにも充分設置することができる。
【００１８】
また本発明に係る氷柱の除去装置は、氷柱の除去手段たる切断用ブレードを移動させる駆動手段を地上あるいは地上の近傍に設置できるので、従来、窓を建築物の角部あるいは角部近傍まで設けていたり、建築物における側壁の強度が不足していること等により、氷柱の除去手段を駆動する駆動部を側壁に設置できなかった建築物でも、氷柱の除去装置を設置することができる。
【００１９】
そして、前述するように、氷柱の除去手段たる切断用ブレードを移動させる駆動手段を地上あるいは地上の近傍に設置できるようにしたことにより、特に入念を要する同駆動手段に関するメンテナンス作業を地上で行うことができるので、同作業時における落下事故を防止でき、同メンテナンス作業を安全に行うことができる。
【００２０】
また、氷柱の除去手段たる切断用ブレードの移動路を建築物における屋根の軒下方に設けているので、同移動路内に雪が進入し難く、これにより切断用ブレードの移動路に関係するトラブルを低減でき、したがって、高所作業となる同移動路に関係するメンテナンス回数も減らすことができ、メンテナンス作業時の危険性低減に寄与することができる。
【００２１】
また、同切断用ブレードを稼働させる時にだけ電力を使用するので、ランニングコストの低減ができ、さらに、熱や漏電による事故の発生を抑えることができる。
【００２２】
したがって、本発明に係る氷柱の除去装置は、氷柱の除去部たる切断用ブレードおよび同ブレードの移動路を簡単な構造で構成しているので同除去部を軽量にできて、また前述するように、同移動路における上下方向の厚みを小なる厚みにでき、かつメンテナンス性にも優れ、また省エネルギー化が図れるので、住宅等の建物は勿論のこと、工場や倉庫等の建物物にも設置できる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明に係る氷柱の除去装置を建物に設置した一例を示す斜視図。
【図２】建物の上方より見た切断用ブレードの配設例を示した図。
【図３】除去装置の一部拡大斜視図。
【図４】切断用ブレードの回り止め構造を示す図。
【図５】切断用ブレードの回り止め構造の他一例を示す図。
【図６】本発明に係る氷柱の除去装置を建物に設置した一例を示す斜視図。
【図７】切断用ブレードの移動路にカバーを設けた除去装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【００２４】
本発明に係る氷柱の除去装置を、以下、添付図面に基づいて説明する。
【実施例】
【００２５】
本氷柱の除去装置は、図１に示すように、同除去装置における少なくとも氷柱４を切断するための切断用ブレード５の移動路を、建築物たる建物１における屋根２の軒３下方に、かつ同軒３の軒先線に沿って配設できるように構成している。
【００２６】
この除去装置は、図１中の矢印Ａ方向に移動して、建物１における屋根２の軒３先端（軒先）に垂下生成される氷柱４に衝突して同氷柱４を切断したり、同氷柱を根元近傍から折り取るための切断用ブレード５と、この切断用ブレード５の移動方向に沿うように設けて、移動する切断用ブレード５を氷柱の切断に適するように保持するための上ガイド７および下ガイド８よりなるブレードガイドと、切断用ブレード５を移動させるための駆動手段を備える駆動装置部１７を備えている。
【００２７】
前記切断用ブレード５は、同基部に、内周に雌ねじを螺刻した筒体６が固定され、この筒体６が、前記軒３の軒先線に沿って配設している周囲に雄ねじを螺刻した回転軸１２に螺合していて（図３参照）、この回転軸１２を正逆回転させることによって切断用ブレード５を図１中の矢印Ａ方向に移動させている。
【００２８】
また切断用ブレード５は、図２に示すように、スパンが同じ場合には、回転軸１２へその方向軸に所定の一定間隔で複数設け、氷柱を切断する際に各切断用ブレード５の移動距離を短くするとともに、建物１における屋根２の軒３先端（軒先）に垂下生成される氷柱４を短時間で除去できるようにしている。
【００２９】
そして、前記回転軸１２は、軸受１３を介して建物１の壁面に取り付ける固定具１４に回動できるように支持されている。
【００３０】
また固定具１４は、固定具１４における伸長寸法を適宜に変えて、同固定具１４に軸受１３を介して支持している回転軸１２に螺合する切断用ブレード５が、同切断用ブレード５の先端部寄りが同建物１における屋根２の軒３先端（軒先）よりも外方に突出するようにしている。
【００３１】
そして、切断用ブレード５の移動方向に沿うように設けている上ガイド７および下ガイド８よりなるブレードガイドは、本実施例に示した除去装置では回転軸１２の前方すなわち氷柱４側に設けていて、下ガイドにより、移動する切断用ブレード５のブレード面が略水平に保持できるようにしているとともに、上ガイド７および下ガイド８により、回転軸１２の回転によって同回転軸１２を移動する切断用ブレード５が回転軸１２まわりに回転しないようにしている（図４参照）。
【００３２】
また、切断用ブレード５が回転軸１２まわりに回転しないようにするための他形態としては、図５に示すように、一方を切断用ブレード５に接続するアーム１１を、移動する切断用ブレード５のブレード面を略水平に保持するため回転軸１２の前方、すなわち氷柱４側にかつ切断用ブレード５の移動方向に沿うように設けたガイド１０の下方に延伸させて、このガイド１０を切断用ブレード５下面とアーム１１上面との間に位置させ、回転軸１２の回転によって同回転軸１２を移動する切断用ブレード５が回転軸１２まわりに回転しないようにする場合もある。
【００３３】
そして、切断用ブレード５を移動させるための駆動装置部１７に備える駆動手段は、通常のモータ（図示は省略）より構成していて、このモータの回転出力を、モータの出力軸に有するプーリ（図示は省略）と回転軸１２に有するプーリ１５との間に張架したベルト１６によって同回転軸１２に伝達している。
【００３４】
また、回転軸１２を回転させて建物１における屋根２の軒３先端（軒先）に垂下生成される氷柱４を切断する切断用ブレード５を移動させるための駆動手段からなる駆動装置部１７を、図１に示した建物１の側壁に配置するのではなく、例えば、地上や地上近傍における建物１の側壁に設けて（図示は省略）、同駆動装置部１７に有する駆動手段の回転出力を、図６に示すように、同駆動手段（図示は省略）と回転軸１２に有するプーリ１５との間に張架したベルト１６により、同回転軸１２に伝達する場合もある。
【００３５】
また駆動装置部１７に有する駆動手段の回転出力を、回転軸１２に有するプ―リ１５に伝達するベルト１６を、タイミングベルトあるいはチェーンにする場合や、前述するベルト等の環状体を用いて前記駆動手段の回転出力を伝達するのではなく、所定のギアを配したシャフトを用い同回転出力を伝達する場合もある。
【００３６】
さらには、建物１における屋根２の軒３下方に配設している切断用ブレード５の移動路たる回転軸１２に対し、駆動装置部１７を建物１の内外における比較的遠い場所に設置して、同場所に設置した駆動装置部１７に有する駆動手段の回転出力を、フレキシブルシャフトを用い前記回転軸１２に直接また間接に伝達する場合もある。
【００３７】
また除去装置における所定の部位、例えば切断用ブレード５の移動路たる回転軸１２の下部に、保護用のカバー１９を装着する場合もあり、この場合は、図示を省略したがカバー１９には水抜き用の孔を多数あけたプレートを用いるのが好適である。
【００３８】
そして、実施例では示していないが、除去装置における所定の部位（例えば、回転軸１２／上ガイド７／下ガイド８等）を一体にして所定長さのユニット体に形成し、このユニット体を複数連結することにより、氷柱４を切断する切断用ブレード５の移動路を形成できるようにする場合もある。
【００３９】
また、切断用ブレード５の稼働は、例えば一日一回の場合は、片道（往路）運転になり、次回使用するときに逆（復路）の片道運転を行うことになる。
【００４０】
実施例における図中の符号９は、上ガイド７と下ガイド８を接続するための接続材、符号１８は、駆動装置部１７に備える駆動手段と回転軸１２に有するプーリ１５との間に張架したベルト１６のベルトカバーである。
【符号の説明】
【００４１】
１ 建物
２ 屋根
３ 軒
４ 氷柱
５ 切断用ブレード
６ 筒体
７ 上ガイド
８ 下ガイド
９ 接続材
１０ ガイド
１１ アーム
１２ 回転軸
１３ 軸受
１４ 固定具
１５ プーリ
１６ ベルト
１７ 駆動装置部
１８ ベルトカバー
１９ カバー
【特許請求の範囲】
【請求項１】
建築物の軒先に垂下生成される氷柱を除去する氷柱の除去装置であって、氷柱を除去するための切断部位を除いた本体部分が軒下方にかつ軒先線に沿って設けられ、移動しながら氷柱に衝突して同氷柱を切断する切断用ブレードと、同切断用ブレードの移動方向に沿って設けられ、移動する切断用ブレードを氷柱の切断に適するように保持するブレードガイドより構成され、切断用ブレードは、同ブレードに固定され、内周に雌ねじを螺刻した筒体が、周囲に雄ねじを螺刻した回転軸に螺合されて、同回転軸を正逆回転させることによって移動するように構成してなる氷柱の除去装置。
【請求項２】
前記切断用ブレードを、回転軸へその方向軸に一定間隔で複数設けてなる請求項１に記載の氷柱の除去装置。
【請求項３】
前記ブレードガイド部を、移動する切断用ブレードのブレード面を略水平に保持できるように構成してなる請求項１に記載の氷柱の除去装置。
【請求項４】
前記ブレードガイド部を、移動する切断用ブレードの回り止めを兼用できるように構成してなる請求項１に記載の氷柱の除去装置。
【請求項５】
前記回転軸を回転させるための駆動手段を、地上あるいは地上の近傍に設け、かつ駆動手段による回転出力を、所定の回転伝達手段によって回転軸に伝達できるように構成してなる請求項１に記載の氷柱の除去装置。
【請求項１】
建築物の軒先に垂下生成される氷柱を除去する氷柱の除去装置であって、氷柱を除去するための切断部位を除いた本体部分が軒下方にかつ軒先線に沿って設けられ、移動しながら氷柱に衝突して同氷柱を切断する切断用ブレードと、同切断用ブレードの移動方向に沿って設けられ、移動する切断用ブレードを氷柱の切断に適するように保持するブレードガイドより構成され、切断用ブレードは、同ブレードに固定され、内周に雌ねじを螺刻した筒体が、周囲に雄ねじを螺刻した回転軸に螺合されて、同回転軸を正逆回転させることによって移動するように構成してなる氷柱の除去装置。
【請求項２】
前記切断用ブレードを、回転軸へその方向軸に一定間隔で複数設けてなる請求項１に記載の氷柱の除去装置。
【請求項３】
前記ブレードガイド部を、移動する切断用ブレードのブレード面を略水平に保持できるように構成してなる請求項１に記載の氷柱の除去装置。
【請求項４】
前記ブレードガイド部を、移動する切断用ブレードの回り止めを兼用できるように構成してなる請求項１に記載の氷柱の除去装置。
【請求項５】
前記回転軸を回転させるための駆動手段を、地上あるいは地上の近傍に設け、かつ駆動手段による回転出力を、所定の回転伝達手段によって回転軸に伝達できるように構成してなる請求項１に記載の氷柱の除去装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１０−２２９７１６（Ｐ２０１０−２２９７１６Ａ）
【公開日】平成２２年１０月１４日（２０１０．１０．１４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−７８４６３（Ｐ２００９−７８４６３）
【出願日】平成２１年３月２７日（２００９．３．２７）
【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第１項適用申請有り 東奥日報社発行 「東奥日報（夕刊）」 第４２１９２号 平成２１年１月２１日発行
【出願人】（５９５０７３４９８）勝又金属工業株式会社 (6)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１０月１４日（２０１０．１０．１４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年３月２７日（２００９．３．２７）
【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第１項適用申請有り 東奥日報社発行 「東奥日報（夕刊）」 第４２１９２号 平成２１年１月２１日発行
【出願人】（５９５０７３４９８）勝又金属工業株式会社 (6)
【Ｆターム（参考）】
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