説明

汚損度測定方法、汚損度測定用の吸水性高分子シート、及び汚損度測定装置

【課題】純水の使用量をできる限り少なくし、測定者間の測定誤差を軽減し、さらに汚損度の測定を簡便かつ迅速に行うことができる汚損度測定方法を提供する。
【解決手段】本発明は、外圧を加えると吸水した水分を容易に放出する吸水性高分子材料のシート1を採用し、吸水性高分子シート1の裏面には防水シート2を貼り合わせておき、このシート1を機器表面の測定面4に貼付して水溶性汚損物質5を採取し、採取された汚損物質が溶解する溶液の電導度または汚損濃度を測定し、汚損濃度の測定値を汚損度に変換する汚損度測定方法を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器表面の汚損度を測定する汚損度測定方法、汚損度測定用の吸水性高分子シート、及び汚損度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、大気環境で使用される産業用電気機器は長期に渡り使用されることが多く、設置環境の影響で、その表面に大気中に浮遊する塵埃が付着し、経時的に堆積する。このような塵埃には大気環境中に存在する各種腐食性ガスや海塩粒子が吸着するため、湿度が高くなるとイオン性物質(例えば、塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、ナトリウムイオン等)がイオン解離し、電気機器表面の絶縁低下や金属の腐食の原因となる。特にファンを用いて強制的に冷却している制御盤内の機器は風が当たる部分に局所的に塵埃が堆積するため、短期間で絶縁低下や金属の腐食が発生することが多い。また、臨海地区に位置する建屋内で使用する電気機器も、建屋の密閉性が悪い場合は海塩粒子を含んだ海風が建屋内部に侵入しやすく、海塩粒子を多く含んだ塵埃が電気機器表面に堆積することで、比較的低湿度で海塩粒子の潮解が起こり、絶縁低下の原因となることが多い。そこで、電気機器表面の汚損による絶縁劣化被害や腐食被害を防ぐためには、機器表面の経年的な汚損状態の変化を予め把握しておくことが重要である。
【0003】
また、電気機器が火災に遭った場合、ケーブルや構成材料が燃焼して発生するガスは腐食性が高いものである。また消火に用いる消火剤にも絶縁を低下させる水溶性のイオン性物質が含まれている場合がある。したがって、燃焼を免れた機器も、これらの物質により経年的に腐食や絶縁低下が発生することがあり、ガスや消火剤の影響を受けた範囲を把握することは、腐食被害や絶縁劣化被害を防ぐために重要なことである。
【0004】
このような絶縁劣化や腐食の原因となる物質の影響を定量的に把握する指標として汚損度がある。これは、機器表面の汚損物質を純水で溶解した汚損液の電気伝導度(以下、「電導度」と呼ぶ。)を等価塩分量(イオン成分をすべて塩化ナトリウムに換算した値)に換算し、単位面積当りの塩化ナトリウム付着量として求めた値である。
【0005】
従来、機器の汚損度を測定するために機器の表面から汚損物質を採取するにはスミヤ法と呼ばれる、純水で湿らせた脱塩ガーゼを用いて機器表面の所定の面積を拭き取り、その脱塩ガーゼから汚損物質溶液を絞り出し、その溶液の電導度を計測し、汚損度に換算する方法が知られている。
【0006】
しかしながら、ガーゼを使った拭き取りによるスミヤ法では、測定者により拭き取る時のガーゼの使い方が異なっていたり、ガーゼの水分の含有量が異なっていたりして、測定者間で測定誤差が出る場合があった。
【0007】
また、従来のスミヤ法による汚損度測定方法では、ガーゼに採取した汚損物質を所定量の純水に溶解して電導度を測定するため、現地で汚損度を測定するためには多量の純水や溶解する容器を持っていくことが必要なため、測定箇所が制限する等、不便な点があった。
【0008】
従来の汚損度測定方法の1つとして、測定面に囲いを押しつけ、その中に蒸留水を満たし、振動させることによって測定面の汚損物を液体内に溶融させ、囲い内に設けた電極間の電導度を測定する汚損度測定装置が特開2002−333415号公報(特許文献1)に記載されている。しかしながら、この装置では、囲いを機器表面の測定面に密着するように押しつけてから蒸留水を囲い内に注入し、さらに振動させるという複雑な構造が必要である問題点があった。
【0009】
他の従来例として、碍子表面の汚損を赤外分光分析で清浄時の基準ピークとの比較で判定する方法が特開2001−242078号公報(特許文献2)に記載されている。この場合には、直接に汚損度を測定できない問題点があった。
【特許文献1】特開2002−333415号公報
【特許文献2】特開2001−242078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、純水の使用量をできる限り少なくし、測定者間の測定誤差を軽減し、さらに汚損度の測定を簡便かつ迅速に行うことができる汚損度測定方法、汚損度測定用の吸水性高分子シート、及び汚損度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、純水を滲み込ませた吸水性高分子材料を測定面に貼付して、水溶性汚損物質を吸水性高分子材料中の純水に溶解させて採取し、採取された水溶性汚損物質が溶解する溶液の電導度または汚損濃度を測定し、汚損濃度の測定値を汚損度に変換する汚損度測定方法を特徴とする。
【0012】
また、本発明は、吸水性高分子材料を所定の面積のシート状にし、シート状の吸水性高分子材料の裏面に防水シートを貼り合わせた汚損度測定用の吸水性高分子シートを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、吸水性高分子材料を所定の面積のシート状にし、シート状の吸水性高分子材料の裏面に防水シートを貼り合わせ、前記吸水性高分子材料内に抵抗測定用電極を埋め込み、前記電極からリード線を外部に引き出した汚損度測定用の吸水性高分子シートと、前記リード線間の抵抗値を測定する抵抗計と、抵抗値と汚損度とを対照する対照手段と、前記対照手段を参照し、前記抵抗計の測定する抵抗値を汚損度に換算する汚損度計と、前記汚損度計の求めた汚損度を出力する出力手段とを備えた汚損度測定装置を特徴とする。
【0014】
さらに、本発明は、吸水性高分子材料を所定の面積のシート状にし、シート状の吸水性高分子材料の裏面に防水シートを貼り合わせ、前記防水シートの前記吸水性高分子材料側の面に抵抗測定用電極を印刷し、前記電極からリード線を外部に引き出した汚損度測定用の吸水性高分子シートと、前記リード線間の抵抗値を測定する抵抗計と、抵抗値と汚損度とを対照する対照手段と、前記対照手段を参照し、前記抵抗計の測定する抵抗値を汚損度に換算する汚損度計と、前記汚損度計の求めた汚損度を出力する出力手段とを備えた汚損度測定装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、汚損度を測定するのに吸水性高分子材料を利用することにより、電気機器表面の汚損物質の採取が簡便になり、さらに、吸水性高分子材料を機器表面の測定面に貼付するだけなので、従来のスミヤ法での測定者間の拭き取り作業による測定誤差の問題も解決できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の汚損度測定方法の各工程を示している。本実施の形態の汚損度測定方法は、吸水性高分子シート1に純水を必要な所定量だけ供給する工程A、吸水性高分子シート1を機器表面の測定面4に押しつけて汚損物質を採取する工程B、採取した汚損物質の濃度に相当する値を測定する工程C、測定した値を汚損度に換算する工程D、換算した汚損度から電気機器表面の汚損レベルを判定する工程Eから構成されている。
【0018】
図2は汚損物質を採取する吸水性高分子シート1の一例を示している。純水を滲み込ませた吸水性高分子シート1の裏面には防水シート2が貼られている。この吸水性高分子シート1により、機器表面の測定面4の汚損物質5の中の水に溶解してイオン化する物質(以下、「水溶性汚損物質」と呼ぶ。)を採取する。
【0019】
吸水性高分子シート1としては、毛管吸水特性を有しているポリプロピレン繊維を編んだシートを用いることができる。本発明で使うことができる吸水性高分子シート1の材料の例としては、他にセルロース−アクリロニトリル共重合体、カルボキシメチルセルロース架橋体が上げられる。水に溶解し、イオン化するような物質を含有していないか、事前に確認して用いる。防水シート2にはポリイミド製のものを用いる。
【0020】
吸水性高分子シート1に滲み込ませる純水は、高分子材料の全体に純水が行き渡り、かつ機器表面の測定面4に貼付した時に余剰水分が移行しないように、予め調査してシート1の材質、面積、厚さに応じた適正量が決められている。そこで、マイクロピペッターで既定量の純水を測定して吸水性高分子シート1の中心部に滴下してシート中に滲み込ませる。滴下は測定直前に行う。純水を滴下すると、シート1の全体に素早く純水が行き渡る材料を選択している。
【0021】
純水を滲み込ませた吸水性高分子シート1を機器表面の測定面4に軽く押し付けることで、測定面4にわずかに純水が移行し、水溶性汚損物質5が溶解し始める。一旦溶解すると、水溶性汚損物質5の濃度差をなくそうとして、吸水性高分子シート1中に水溶性汚損物質5が素早く溶解し浸透する。防水シート2は、吸水性高分子シート1の取扱いを容易にするだけでなく、開放面である測定面4から滲み込ませた水分が蒸発し、蒸発面で溶解した水溶性汚損物質5が偏析してしまうのを防止する働きをする。
【0022】
吸水性高分子シート1にて機器表面の測定面4から水溶性汚損物質5を採取すると、採取した水溶性汚損物質5の濃度に相当する値として汚損物質を含んだ水の電導度を測定する。そして、電導度−汚損度換算式を利用して測定した電導度を汚損度に換算し、さらに、換算した汚損度から電気機器表面の汚損レベル1〜5を判定する。
【0023】
ここで、機器の絶縁劣化や腐食の原因となる物質の影響を定量的に把握する指標としての汚損度は、機器表面の汚損物質を純水で溶解した汚損液の電導度を等価塩分量(イオン成分をすべて塩化ナトリウムに換算した値)に換算し、単位面積当りの塩化ナトリウム付着量として求める。そして、図1に示した汚損レベル判別表TB1を参照して、その換算値の大小にて汚損レベル1〜5を判定する。
【0024】
上記実施の形態の汚損度測定方法によれば、汚損度を測定するのに吸水性高分子材料を利用することにより、電気機器表面の汚損物質の採取が簡便になり、さらに、吸水性高分子材料を機器表面の測定面に貼付するだけなので、従来のスミヤ法での測定者間の拭き取り作業による測定誤差の問題も解決できる。
【0025】
また、本実施の形態の汚損度測定方法によれば、測定面積も吸水性高分子材料の面積で決まるため、測定する必要がなく、測定者間で測定面積のばらつきや測定ミスもなく、測定精度が向上する。
【0026】
また、本実施の形態の汚損度測定方法によれば、汚損度測定に必要な純水の容量が少なく、現地で測定する場合も大量の純水を持ち歩く必要がない。測定箇所が多くなっても、測定後に汚損液の処理の必要もなく、吸水性高分子シート1と少量の純水だけで測定が可能となる。また、吸水性高分子シート1にして防水シート2を貼り合わせることで、吸水性高分子材料中に均一に短時間で水溶性汚損物質が拡散し、また防水シート2側の面に触ることができることで取扱いが容易である。さらに吸水性高分子シート1の裏面に防水シート2を貼り合わせないと、滲み込ませた水分が蒸発し、蒸発面で水溶性汚損物質が偏析してしまうが、この現象を防水シート2で防ぐことできる。
【0027】
[実施例]図3を用いて、本発明の実施例について説明する図である。図3(a)に示すように、吸水性高分子材料として、毛管吸水特性を有しているポリプロピレン繊維を編んだシートを吸水性高分子シート1とした。そしてこの吸水性高分子シート1の背面にポリイミド製の防水シート3を貼り合わせてある。25mm×25mm角のポリプロピレンシート1の中央あたりにマイクロピペッターで0.7mlの純水を滴下させ、素早く機器表面4に押し付けて30秒間放置した。この放置時間は吸水性高分子材料により異なる。
【0028】
その後、図3(b)に示すように、機器表面の測定面から吸水性高分子シート1を剥がし、防水シート2の余剰部分を折り曲げて吸水性高分子シート1を表裏から挟みつけてコンパクト電導度計6に汚損液を滴下して電導度を測定した。そして、この測定した電導度を、汚損度に換算した。
【0029】
比較例として、従来のスミヤ法により汚損度を測定した。
【0030】
図4に、本発明の実施例による汚損度測定結果と従来のスミヤ法の結果を比較して示してある。清浄レベル1から超重汚損レベル5までの広範囲の汚損レベルで、本発明が機器表面の水溶性汚損物質を採取できているか確認した結果である。既知量の塩化ナトリウムを付着させ、従来法であるスミヤ法による測定と本発明である吸水性高分子シートによる測定を行った。
【0031】
付着量の真値と比較すると、広範囲の汚損レベル1〜5で本発明の方法がスミヤ法と同等またはそれ以上に水溶性汚損物質を採取できることを確認した。
【0032】
<第2の実施の形態>本発明の第2の実施の形態の汚損度測定方法は、図5に示すように、抵抗測定用電極11,12を組み込んだ吸水性高分子シート1Aにより機器表面の測定面4の汚損度を測定することを特徴とする。また、本実施の形態の場合、図1における汚損度換算には、抵抗値−汚損度換算式を使用する。
【0033】
図5に示すように、本実施の形態で使用する吸水性高分子シート1Aには、汚損物濃度により変化する抵抗を測定するための電極11,12が設けてある。また、吸水高分子シート1Aの上面からは1対の抵抗測定用のリード線13,14が導出されている。汚損度測定に際して、このリード線13,14は抵抗計に接続し、電極11,12間の抵抗値を測定する。吸水性高分子シート1Aの裏面には防水シート2が貼り合わせてある。尚、本実施の形態にあっても、吸水性高分子シート1Aの吸水性高分子材料には第1の実施の形態と同様のものを使用する。防水シート3についても同様である。
【0034】

本実施の形態の汚損度測定方法は、次の通りである。マイクロピペッターで既定量の純水を測定し吸水性高分子シート1Aの中心部に滴下し、滲み込ませる(工程A)。滴下は測定直前に行う。純水を滲み込ませた吸水性高分子シート1Aを機器表面4に軽く押し付け、吸水性高分子シート1A中に機器表面4に付着している水溶性汚損物質が溶解し浸透するまでそのままの状態で所定時間だけ放置する(工程B)。
【0035】
汚損度測定には、所定の放置時間後にリード線13,14に抵抗計を接続し、電極11,12間の抵抗値を測定する(工程C)。そして、予め求めておいた図6に示すような抵抗値と汚損度の関係式から汚損度を求める(工程D)。そしてさらに、図1に示した汚損レベル判別表TB1を参照して、その換算値の大小にて汚損レベル1〜5を判定する(工程E)。
【0036】
本実施の形態の汚損度測定方法によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。加えて、本実施の形態によれば、吸水性高分子材料が汚損物質を吸収することで変化する抵抗値を内蔵した電極11,12で測定して汚損度に換算するので、測定を電気信号にすることで測定から汚損度の算出・表示を自動化でき、汚損度測定作業の効率が向上する。
【0037】
<第3の実施の形態>本実施の形態の汚損度測定方法は、第2の実施の形態で用いる吸水性高分子シート1Aに代えて、図7に示す構造の吸水性高分子シート1Bを使用する点に特徴がある。
【0038】
汚損物濃度により変化する抵抗を測定するための電極15,16は、防水シート3の吸水性高分子シート1B側の面に印刷し、吸水性高分子シート1Bに貼り合わせている。これらの電極15,16からは測定用のリード線17,18が導出されている。
【0039】
本実施の形態にあっても、第2の実施の形態と同様の方法にて機器表面の汚損度を、抵抗計の抵抗測定値から換算して求める。
【0040】
これにより、本実施の形態も、第2の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0041】
<第4の実施の形態>図8、図9を用いて、本発明の第4の実施の形態の汚損度測定装置について説明する。本実施の形態の汚損度測定装置は、図5に示した電極11,12を設けた吸水性高分子シート1Aを測定プローブとし、そのリード線13,14を汚損度測定装置20に接続している。汚損度測定装置20は、抵抗値、汚損度、汚損レベルを切り替えて表示出力できる表示部21、リード線13,14を通じて電極11,12間の抵抗値を測定する抵抗計22、この抵抗計22の測定した抵抗値を汚損度に換算する汚損度計23、この汚損度計23の求めた汚損度から汚損レベル1〜5を判別する汚損レベル計24、そして汚損度計23が参照する抵抗値・汚損度換算式を記憶する抵抗値・汚損度換算式記憶部25、図1に示した汚損度・汚損レベル判別表TB1を記憶し、汚損レベル計24に参照させるレベル判別表記億部26を備えている。
【0042】
本実施の形態の汚損度測定装置では、第2の実施の形態の汚損度測定方法にて汚損度、汚損レベルを自動的に測定して表示部21に表示出力することができる。まず、汚損度測定に際して、リード線13,14を汚損度測定装置20に接続し、マイクロピペッターで既定量の純水を測定し吸水性高分子シート1Aの中心部に滴下して滲み込ませ、純水を滲み込ませた吸水性高分子シート1Aを機器表面4に軽く押し付け、吸水性高分子シート1A中に機器表面4に付着している水溶性汚損物質が溶解し浸透するまでそのままの状態で所定時間だけ放置する。
【0043】
この後、電極11,12間の抵抗値を抵抗計22にて測定する。この抵抗値が測定できれば、汚損度計23は、記憶部25の抵抗値・汚損度換算式を用いて測定した抵抗値から汚損度を求める。そしてさらに、汚損レベル計24は、記憶部26のレベル判別表TB1を参照して、その換算値の大小にて汚損レベル1〜5を判定し、表示部21に表示する。尚、表示部21には、汚損レベルの表示の他に、汚損度そのもののを表示し、また抵抗値を表示させることができる。さらには、汚損レベルと汚損度を同時に表示させることもできる。
【0044】
本実施の形態の汚損度測定装置によれば、吸水性高分子シート1Aが汚損物質を吸収することで変化する抵抗値をこれに内蔵した電極11,12で測定して汚損度に換算するので、測定から汚損度、汚損レベルの算出・表示を自動的に行うことができ、汚損度測定作業の効率が向上する。
【0045】
尚、汚損度測定プローブには、図7に示した第3の実施の形態の構造の吸水性高分子シート1を吸水性高分子シート1Aに代えて用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施の形態の汚損度測定方法の工程図。
【図2】上記第1の実施の形態の汚損度測定方法に用いる吸水性高分子シートの断面図。
【図3】上記第1の実施の形態の吸水性高分子シートを用いた汚損度測定方法の説明図。
【図4】本発明の実施例と従来のスミヤ法による汚損度測定結果を対比して示したグラフ。
【図5】本発明の第2の実施の形態の汚損度測定方法に用いる吸水性高分子シートの断面図。
【図6】上記第2の実施の形態の汚損度測定方法において測定した抵抗値と汚損度との相関曲線のグラフ。
【図7】本発明の第3の実施の形態の汚損度測定方法に用いる吸水性高分子シートにおける防水シートの下面図。
【図8】本発明の第4の実施の形態の汚損度測定装置のブロック図。
【図9】上記第4の実施の形態の汚損度測定装置の内部構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0047】
1,1A,1B 吸水性高分子シート
2 防水シート
4 測定面
5 汚損物質
11,12 電極
13,14 リード線
15,16 電極
17,18 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水を滲み込ませた吸水性高分子材料を測定面に貼付して、水溶性汚損物質を吸水性高分子材料中の純水に溶解させて採取し、
採取された水溶性汚損物質が溶解する溶液の電導度または汚損濃度を測定し、
汚損濃度の測定値を汚損度に変換することを特徴とする汚損度測定方法。
【請求項2】
前記吸水性高分子材料には、吸水能力、保水能力を持ち、かつ、外圧を加えると水分を放出する特性を有する材料を用いることを特徴とする請求項1に記載の汚損度測定方法。
【請求項3】
前記吸水性高分子材料には、裏面に防水シートを貼り合わせた吸水性高分子シートを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の汚損度測定方法。
【請求項4】
前記吸水性高分子材料に滲み込ませる純水の量は、高分子材料の吸水能力・保水能力に応じて余剰水分がないように決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の汚損度測定方法。
【請求項5】
前記吸水性高分子材料に吸水させた水を放出させてその水の電導度を測定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の汚損度測定方法。
【請求項6】
前記水溶性汚損物質を吸収させた吸水性高分子材料の表面抵抗値または体積抵抗値を測定し、その測定した表面抵抗値又は体積抵抗値を予め求めておいた表面抵抗値または体積抵抗値と汚損度との相関に基づいて汚損度に換算することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の汚損度測定方法。
【請求項7】
前記水溶性汚損物質を吸収した吸水性高分子材料の抵抗値は、前記吸水性高分子材料の中に予め埋め込んだ抵抗測定用の端子間の抵抗値で測定することを特徴とする請求項6に記載の汚損度測定方法。
【請求項8】
前記吸水性高分子材料には、裏面に防水シートを貼り合わせた吸水性高分子シートを用い、
前記水溶性汚損物質を吸収した吸水性高分子材料の抵抗値は、前記防水シートに印刷した電極間の抵抗値で測定することを特徴とする請求項6に記載に汚損度測定方法。
【請求項9】
吸水性高分子材料を所定の面積のシート状にし、シート状の吸水性高分子材料の裏面に防水シートを貼り合わせたことを特徴とする汚損度測定用の吸水性高分子シート。
【請求項10】
前記吸水性高分子材料に、毛管吸水特性を有するポリプロピレン繊維を用いたことを特徴とする請求項9に記載の汚損度測定用の吸水性高分子シート。
【請求項11】
前記吸水性高分子材料に、セルロース−アクリロニトリル共重合体又はカルボキシメチルセルロース架橋体の繊維を用いたことを特徴とする請求項9に記載の汚損度測定用の吸水性高分子シート。
【請求項12】
前記防水シートに、ポリイミド製シートを用いたことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の汚損度測定用の吸水性高分子シート。
【請求項13】
前記吸水性高分子材料の抵抗測定用電極を埋め込み、前記電極からリード線を外部に引き出したことを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の汚損度測定用の吸水性高分子シート。
【請求項14】
前記防水シートの前記吸水性高分子材料側の面に抵抗測定用電極を印刷し、前記電極からリード線を外部に引き出したことを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の汚損度測定用の吸水性高分子シート。
【請求項15】
吸水性高分子材料を所定の面積のシート状にし、シート状の吸水性高分子材料の裏面に防水シートを貼り合わせ、前記吸水性高分子材料内に抵抗測定用電極を埋め込み、前記電極からリード線を外部に引き出した汚損度測定用の吸水性高分子シートと、
前記リード線間の抵抗値を測定する抵抗計と、
抵抗値と汚損度とを対照する対照手段と、
前記対照手段を参照し、前記抵抗計の測定する抵抗値を汚損度に換算する汚損度計と、
前記汚損度計の求めた汚損度を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする汚損度測定装置。
【請求項16】
吸水性高分子材料を所定の面積のシート状にし、シート状の吸水性高分子材料の裏面に防水シートを貼り合わせ、前記防水シートの前記吸水性高分子材料側の面に抵抗測定用電極を印刷し、前記電極からリード線を外部に引き出した汚損度測定用の吸水性高分子シートと、
前記リード線間の抵抗値を測定する抵抗計と、
抵抗値と汚損度とを対照する対照手段と、
前記対照手段を参照し、前記抵抗計の測定する抵抗値を汚損度に換算する汚損度計と、
前記汚損度計の求めた汚損度を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする汚損度測定装置。
【請求項17】
汚損度と汚損レベルとの対応を表す汚損レベル判別表を記憶する汚損レベル判別表記憶手段と、
前記汚損レベル判別表を参照し、前記汚損度計の求めた汚損度に対応する汚損レベルを判別して出力する汚損レベル計とを備え、
前記出力手段は、前記汚損レベル計の求めた汚損レベルを出力することを特徴とする請求項15又は16に記載の汚損度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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