汚染土壌の処理方法及び土壌固化材
【課題】油汚染土壌及び硫酸ピッチによる高粘性土を化学処理によって低粘性土に変化させ、併せて無臭化する。また、揮発性有機化合物（ＶＯＣ）に汚染された土壌の無害化処理、汚染土壌に含まれる重金属の不溶化処理、有機質土の土壌固化処理、コンクリ−トクラックの補修及び充填する技術を提供する。
【解決手段】ガラスカレットを高アルカリ液で溶解し、これを電気分解した電解液を製造して陽極側に生じる電解液を汚染土壌と混練する。また、硫酸ピッチにこの電解液を混合する。さらに、カルシウムシリケ−ト、及びその水和物を主要鉱物とする粉末、もしくは高炉スラグ微粉末、フライアッシュを混合して混練してもよい。あるいはこの電解液を補修材、充填材として用いる。
【解決手段】ガラスカレットを高アルカリ液で溶解し、これを電気分解した電解液を製造して陽極側に生じる電解液を汚染土壌と混練する。また、硫酸ピッチにこの電解液を混合する。さらに、カルシウムシリケ−ト、及びその水和物を主要鉱物とする粉末、もしくは高炉スラグ微粉末、フライアッシュを混合して混練してもよい。あるいはこの電解液を補修材、充填材として用いる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ガラスカレットを高アルカリ液で溶解し、これを電気分解した電解液を製造して陽極側に生じる電解液を使うことにより油汚染土壌や重金属汚染土壌、また、硫酸ピッチ特有の臭気である硫化水素、亜硫酸ガスなどの悪臭を脱臭させるための方法である。特に石油成分と土壌の分離及び硫酸ピッチの処理方法、重金属汚染土壌における重金属の不溶化を特徴とする環境保全技術に適応する薬剤に関する。同時にこのような有機質を含む軟弱地盤を固化させる薬剤に関する。また、コンクリ−トのクラックによる補修剤、充填材として組織の緻密化をはかり、クラックの充填剤、接合剤に適用する薬剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
汚染土壌の処理技術として種々の方法が提案されている。現在、ある種の微生物などが提案されているが処理にはかなり長時間かかるので、有効な手段とは言い難い。また、その効果も十分でないことがある。特に油汚染や重金属汚染などの処理方法はまだ解決されるには至っていない。
また、硫酸ピッチは重油と灯油を混合して軽油を製造するときに出る副産物である。濃硫酸と油の混合物で、強酸性のタ−ル状の液体から成っており、形状はこのタ−ル状のものが含浸した土壌汚泥である。そのため、硫化水素や亜硫酸ガスなどの極めて強い特有の刺激臭を放つ汚泥状のものである。硫酸ピッチの処理方法は現在まだ確立されていない。そのために不法投棄が後を絶たない。
このようなことから、微生物による無害化処理、有機キレ−ト剤による重金属の固定化、セメント類による固定化などが提案されているがそれぞれ問題があり、十分効果をあげるに至っていない。
【０００３】
油汚染土壌や硫酸ピッチの処理方法として、一挙に燃焼してしまう極めて原始的な方法がある。この方法は油汚染土をセメントの焼成キルンに投入して燃料の代替品とする方法であるが、極めて粘着性があり、キルンに投入することさえ難しく、さらにそれが可能であったとしても亜硫酸ガスの排煙脱硫装置の設置が不可欠で、焼成釜の内張り耐火レンガの劣化も著しい。
【０００４】
石油精製や備蓄の過程で排出される油粘土の処理も極めて難しい。現在、油汚染土壌の廃棄物として地中に埋め立て処理するなど、対策が全くないのが実状である。同様に硫酸ピッチを処理する場合、最初、中和する前に緩衝材の役目をする砂質分を投入し、さらにカセイソ−ダ、炭酸ナトリウム、石灰などのアルカリを投入する。これによって急速に固化して固形物になる。これを粉砕して砂状にする方法である。しかし、この方法では特有の刺激臭である硫化水素や亜硫酸ガスなどの悪臭は全く消えないばかりか、その固形物から同様な悪臭が放たれ、満足でききる方法ではない。
【０００５】
硫酸ピッチに含まれるタ−ル分が４０％以上も含まれるため、硫酸をアルカリで中和させるのが極めて難しい。また、タ−ル中の揮発性成分を除去することは不可能であった。また、この揮発成分とハロゲン元素が結合した有害な揮発性有機化合物（ＶＯＣ）は現存のままである。
【０００６】
油汚染土壌には微量な重金属類が含まれている。従来の処理方法ではこれが溶出し、環境基準を満たすことはできない。不溶化させるなど、何ら対策も採らずに放置されているのが現状である。タ−ル分が多いため、従来の重金属汚染土壌対策も不可能である。
【０００７】
油汚染土壌のみならず有機質を含む土壌、例えばダムの低汚泥やヘドロなどの固化処理はセメント系固化材の大量使用により処理されているが、重金属の汚染が新たに発生する。また、このような観点から重金属を固定化すると同時に併せて有機質土を固化させることは、現在まだ技術が確立していない。
【０００８】
コンクリ−トの補修においても、現在、表面の亀裂からコンクリ−ト内部に充填する補修材としてエポキシ系などの有機高分子系材料が使われている。しかし、この方法では内部に十分浸透させることができない。したがって、十分に補修効果を上げるに至っていない。
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
油汚染土壌にはアルカン系炭化水素や芳香族炭化水素が多く存在する。本発明はガラスカレットを高アルカリで溶解した後、電気分解によって陽極側に生じる電解液（以下、ガラスカレット電解液 という）を用いて粘土分に吸着している油性分と結合させ、これを土粒子分から脱離させることにより、その後の安定化処理が極めて良好になる。同時にここに含まれている重金属類も著しく不溶化させることができる。
【００１０】
他方、硫酸ピッチはタ−ル分が多量に存在するため、凝集した泥状になっている。このガラスカレット電解液により高粘性の汚泥の凝集性を破壊して硫酸ピッチの粘着物を液状にする。その時点で刺激臭を放出する成分とこのガラスカレット電解液が化学反応するので、ガスの放散が抑制される。これに伴って、揮発性有機化合物が分解し、また、含有する重金属はこのガラスカレット電解液と化学結合する。ので溶出は起こらないので無害化することができる。次にこの液状になったものに以下の〔００１３〕に記載した粉末を投入することにより粉末状になり、これを一般の土粒子と同様に処理や再利用することが可能である。
油汚染土壌や硫酸ピッその粘着性は著しく低減され、〔００１３〕に記載した粉末を混合することにより粉末状になる。同様にここに含まれている重金属類も著しく不溶化させることができる。
本発明の課題は、油汚染土壌の粘着性を低減し、また、硫酸ピッチ特有の刺激臭の発生を抑え、無害化して低粘性の一般土粒子として再利用に提供することである。同時にここに含まれている重金属類は著しく不溶化させることができる。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明者は前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アルカン系炭化水素や芳香族炭化水素、さらにタ−ル分などと化学結合する新規薬剤の開発を行った。それはガラスカレットを高アルカリ溶液で溶解した後、電気分解によって陽極側に生じる電解液（ガラスカレット電解液）である。この電解液にはケイ素、ナトリウム、カリウム、ホウ素などの主要成分が含まれる水溶性化合物（液体）である。このｐＨは３〜１１の範囲である。油汚染土壌にこのガラスカレット電解液を混合することによって飽和炭化水素及び芳香族炭化水素と結合して粘性は急激に低下する。また、硫酸ピッチにこのガラスカレット電解液を混合することによってタ−ル分と結合し、粘性は急激に低下すると同時に刺激臭が低減される。
【００１２】
硫酸ピッチ中に含まれる有害な揮発性有機化合物（ＶＯＣ）は、ガラスカレット電解液と混練する過程で、それを構成する化学構造中の官能基と結合して脱離して分解する。高粘性汚泥がこのとき粘性を失い、粘性は低下する。同時に刺激臭が低減される。したがって、揮発性有機化合物（ＶＯＣ）を分解して安定化させ、その含有量を著しく低減させることが確認できた。
【００１３】
ガラスカレット電解液を混合すると同時に刺激臭は低減され、混練可能な状態の泥状物質に変わる。この状態に、次に石灰石を粉砕した炭酸カルシウム又は軽量発砲コンクリ−トのようなカルシウムシリケ−ト水和物もしくはカルシウムシリケ−トを主要成分とする粉末、セメント水和物の粉末、コンクリ−トの微粉砕品または高炉スラグ微粉末、フライアッシュまたはセメントなど、また、これらの粉末かまたはこれらを組み合わせた混合粉末を混合して混練する。
【００１４】
ガラスカレット電解液と油汚染土壌と混練すると、油性分はこの電解液と結合し、同時に重金属とも化学結合する。その後に上記〔００１３〕の操作によって重金属類は固定化されるので不溶化できる。
【００１５】
ガラスカレット電解液と硫酸ピッチを混練すると液状になり、タ−ル油性分はこの電解液と結合して粘着性は極度に低下する。同時に油分、炭素含有量、硫黄含有量は著しく低減される。さらに、含有する重金属類とも化学結合し、上記〔００１３〕の操作により重金属類は固定化されるので不溶化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
本発明において使用されるガラスカレット電解液はケイ素濃度６０００〜１００００ｐｐｍ、好ましくは８０００〜１００００ｐｐｍの濃度である。これを硫酸ピッチ１ｋｇ当たり、この電解液を２０〜４０％、好ましくは３０〜４０％混合して混合攪拌する。
【００１７】
その結果、硫酸ピッチの粘性が急速に低下して混練可能な状態になる。２〜３分間混合した後、カルシウムシリケ−ト水和物、セメント水和物、スラグ微粉末、コンクリ−トの微粉砕品もしくは石灰石粉末を硫酸ピッチに対して４０〜６０％、好ましくは５０〜６０％混合して同様に混練する。
【実施例】
【００１８】
以下、本発明の実施例を示す。
【００１９】
油汚染土壌に含まれる油分は著しく減少し、粘着性は低減できる。さらに〔００１３〕に記載したカルシウムシリケ−ト化合物の混合によって、土壌の運搬も可能である。
【００２０】
硫酸ピッチ自体は高い粘性土でこのままでは混練は不可能である。実験では１００ｋｇの硫酸ピッチに８０００ｐｐｍ濃度のガラスカレット電解液３０００リットル混合して３分間攪拌する。その結果、粘性は急速に低下して混練可能な状態になる。このとき強い刺激臭は緩和され、ほとんど無臭に近い状態になる。
【００２１】
混練後、高炉スラグ微粉末を６０ｋｇを徐々に投入し、およそ１０分で投入を終える。十分に混練後は砂状の粒子に変わる。
【重金属の不溶出化】
【００２２】
硫酸ピッチには水銀、カドミウム、砒素、鉛などの重金属が含まれている。したがって、このままでは廃棄することさえできない。本発明によれば、処理後はこれらの重金属は環境１３号による溶出試験では規定値以下に抑えることができ、不溶性にすることが示された。
【揮発性有機化合物の分解】
【００２３】
硫酸ピッチには硫黄、塩化物イオン、硫化物イオン、油分などが含まれている。処理後の揮発性化合物、油分、炭素、硫黄分などは著しく低減させることができた。
【００２４】
有機質土の固化は、このガラスカレット電解液を投入することにより有機物を補足する役目をするので、セメント系固化材とガラスカレット電解液とのスラリ−を注入すると、土壌の強度が増加するので固化処理が可能である。
【００２５】
ガラスカレット電解液をコンクリ−トクラックに注入することにより、コンクリ−ト内部のカルシウム分と容易に結合してカルシウムシリケ−ト水和物を生成できるので、補修材としても有効である。
【発明の効果】
【００２６】
以上の通り、本発明によれば、油汚染上壌の粘着性低減による処理方法、硫酸ピッチの悪臭低減効果とタ−ル分を含む粘土粒子を低粘性土に変化させる技術、その処理の簡便性、揮発性有機化合物（ＶＯＣ）の低減効果、重金属の不溶化処理、有機質土の固化処理、コンクリ−トクラックによる充填材と補修性能に優れた効果を発揮する。無害化処理の簡便さ処理硫酸ピッチの刺激臭を低減する技術を提供することができる。
【表１】
【表２】
【表３】
【表４】
【表５】
【表６】
【図面の簡単な説明】
【図１】ガラスカレット電解液（陽極側）（ｐＨ３）とカルシウム塩との反応によるＸＲＤパターン
【図２】ガラスカレット電解液（陽極側）（ｐＨ９）とカルシウム塩との反応によるＸＲＤパターン
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ガラスカレットを高アルカリ液で溶解し、これを電気分解した電解液を製造して陽極側に生じる電解液を使うことにより油汚染土壌や重金属汚染土壌、また、硫酸ピッチ特有の臭気である硫化水素、亜硫酸ガスなどの悪臭を脱臭させるための方法である。特に石油成分と土壌の分離及び硫酸ピッチの処理方法、重金属汚染土壌における重金属の不溶化を特徴とする環境保全技術に適応する薬剤に関する。同時にこのような有機質を含む軟弱地盤を固化させる薬剤に関する。また、コンクリ−トのクラックによる補修剤、充填材として組織の緻密化をはかり、クラックの充填剤、接合剤に適用する薬剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
汚染土壌の処理技術として種々の方法が提案されている。現在、ある種の微生物などが提案されているが処理にはかなり長時間かかるので、有効な手段とは言い難い。また、その効果も十分でないことがある。特に油汚染や重金属汚染などの処理方法はまだ解決されるには至っていない。
また、硫酸ピッチは重油と灯油を混合して軽油を製造するときに出る副産物である。濃硫酸と油の混合物で、強酸性のタ−ル状の液体から成っており、形状はこのタ−ル状のものが含浸した土壌汚泥である。そのため、硫化水素や亜硫酸ガスなどの極めて強い特有の刺激臭を放つ汚泥状のものである。硫酸ピッチの処理方法は現在まだ確立されていない。そのために不法投棄が後を絶たない。
このようなことから、微生物による無害化処理、有機キレ−ト剤による重金属の固定化、セメント類による固定化などが提案されているがそれぞれ問題があり、十分効果をあげるに至っていない。
【０００３】
油汚染土壌や硫酸ピッチの処理方法として、一挙に燃焼してしまう極めて原始的な方法がある。この方法は油汚染土をセメントの焼成キルンに投入して燃料の代替品とする方法であるが、極めて粘着性があり、キルンに投入することさえ難しく、さらにそれが可能であったとしても亜硫酸ガスの排煙脱硫装置の設置が不可欠で、焼成釜の内張り耐火レンガの劣化も著しい。
【０００４】
石油精製や備蓄の過程で排出される油粘土の処理も極めて難しい。現在、油汚染土壌の廃棄物として地中に埋め立て処理するなど、対策が全くないのが実状である。同様に硫酸ピッチを処理する場合、最初、中和する前に緩衝材の役目をする砂質分を投入し、さらにカセイソ−ダ、炭酸ナトリウム、石灰などのアルカリを投入する。これによって急速に固化して固形物になる。これを粉砕して砂状にする方法である。しかし、この方法では特有の刺激臭である硫化水素や亜硫酸ガスなどの悪臭は全く消えないばかりか、その固形物から同様な悪臭が放たれ、満足でききる方法ではない。
【０００５】
硫酸ピッチに含まれるタ−ル分が４０％以上も含まれるため、硫酸をアルカリで中和させるのが極めて難しい。また、タ−ル中の揮発性成分を除去することは不可能であった。また、この揮発成分とハロゲン元素が結合した有害な揮発性有機化合物（ＶＯＣ）は現存のままである。
【０００６】
油汚染土壌には微量な重金属類が含まれている。従来の処理方法ではこれが溶出し、環境基準を満たすことはできない。不溶化させるなど、何ら対策も採らずに放置されているのが現状である。タ−ル分が多いため、従来の重金属汚染土壌対策も不可能である。
【０００７】
油汚染土壌のみならず有機質を含む土壌、例えばダムの低汚泥やヘドロなどの固化処理はセメント系固化材の大量使用により処理されているが、重金属の汚染が新たに発生する。また、このような観点から重金属を固定化すると同時に併せて有機質土を固化させることは、現在まだ技術が確立していない。
【０００８】
コンクリ−トの補修においても、現在、表面の亀裂からコンクリ−ト内部に充填する補修材としてエポキシ系などの有機高分子系材料が使われている。しかし、この方法では内部に十分浸透させることができない。したがって、十分に補修効果を上げるに至っていない。
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
油汚染土壌にはアルカン系炭化水素や芳香族炭化水素が多く存在する。本発明はガラスカレットを高アルカリで溶解した後、電気分解によって陽極側に生じる電解液（以下、ガラスカレット電解液 という）を用いて粘土分に吸着している油性分と結合させ、これを土粒子分から脱離させることにより、その後の安定化処理が極めて良好になる。同時にここに含まれている重金属類も著しく不溶化させることができる。
【００１０】
他方、硫酸ピッチはタ−ル分が多量に存在するため、凝集した泥状になっている。このガラスカレット電解液により高粘性の汚泥の凝集性を破壊して硫酸ピッチの粘着物を液状にする。その時点で刺激臭を放出する成分とこのガラスカレット電解液が化学反応するので、ガスの放散が抑制される。これに伴って、揮発性有機化合物が分解し、また、含有する重金属はこのガラスカレット電解液と化学結合する。ので溶出は起こらないので無害化することができる。次にこの液状になったものに以下の〔００１３〕に記載した粉末を投入することにより粉末状になり、これを一般の土粒子と同様に処理や再利用することが可能である。
油汚染土壌や硫酸ピッその粘着性は著しく低減され、〔００１３〕に記載した粉末を混合することにより粉末状になる。同様にここに含まれている重金属類も著しく不溶化させることができる。
本発明の課題は、油汚染土壌の粘着性を低減し、また、硫酸ピッチ特有の刺激臭の発生を抑え、無害化して低粘性の一般土粒子として再利用に提供することである。同時にここに含まれている重金属類は著しく不溶化させることができる。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明者は前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アルカン系炭化水素や芳香族炭化水素、さらにタ−ル分などと化学結合する新規薬剤の開発を行った。それはガラスカレットを高アルカリ溶液で溶解した後、電気分解によって陽極側に生じる電解液（ガラスカレット電解液）である。この電解液にはケイ素、ナトリウム、カリウム、ホウ素などの主要成分が含まれる水溶性化合物（液体）である。このｐＨは３〜１１の範囲である。油汚染土壌にこのガラスカレット電解液を混合することによって飽和炭化水素及び芳香族炭化水素と結合して粘性は急激に低下する。また、硫酸ピッチにこのガラスカレット電解液を混合することによってタ−ル分と結合し、粘性は急激に低下すると同時に刺激臭が低減される。
【００１２】
硫酸ピッチ中に含まれる有害な揮発性有機化合物（ＶＯＣ）は、ガラスカレット電解液と混練する過程で、それを構成する化学構造中の官能基と結合して脱離して分解する。高粘性汚泥がこのとき粘性を失い、粘性は低下する。同時に刺激臭が低減される。したがって、揮発性有機化合物（ＶＯＣ）を分解して安定化させ、その含有量を著しく低減させることが確認できた。
【００１３】
ガラスカレット電解液を混合すると同時に刺激臭は低減され、混練可能な状態の泥状物質に変わる。この状態に、次に石灰石を粉砕した炭酸カルシウム又は軽量発砲コンクリ−トのようなカルシウムシリケ−ト水和物もしくはカルシウムシリケ−トを主要成分とする粉末、セメント水和物の粉末、コンクリ−トの微粉砕品または高炉スラグ微粉末、フライアッシュまたはセメントなど、また、これらの粉末かまたはこれらを組み合わせた混合粉末を混合して混練する。
【００１４】
ガラスカレット電解液と油汚染土壌と混練すると、油性分はこの電解液と結合し、同時に重金属とも化学結合する。その後に上記〔００１３〕の操作によって重金属類は固定化されるので不溶化できる。
【００１５】
ガラスカレット電解液と硫酸ピッチを混練すると液状になり、タ−ル油性分はこの電解液と結合して粘着性は極度に低下する。同時に油分、炭素含有量、硫黄含有量は著しく低減される。さらに、含有する重金属類とも化学結合し、上記〔００１３〕の操作により重金属類は固定化されるので不溶化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
本発明において使用されるガラスカレット電解液はケイ素濃度６０００〜１００００ｐｐｍ、好ましくは８０００〜１００００ｐｐｍの濃度である。これを硫酸ピッチ１ｋｇ当たり、この電解液を２０〜４０％、好ましくは３０〜４０％混合して混合攪拌する。
【００１７】
その結果、硫酸ピッチの粘性が急速に低下して混練可能な状態になる。２〜３分間混合した後、カルシウムシリケ−ト水和物、セメント水和物、スラグ微粉末、コンクリ−トの微粉砕品もしくは石灰石粉末を硫酸ピッチに対して４０〜６０％、好ましくは５０〜６０％混合して同様に混練する。
【実施例】
【００１８】
以下、本発明の実施例を示す。
【００１９】
油汚染土壌に含まれる油分は著しく減少し、粘着性は低減できる。さらに〔００１３〕に記載したカルシウムシリケ−ト化合物の混合によって、土壌の運搬も可能である。
【００２０】
硫酸ピッチ自体は高い粘性土でこのままでは混練は不可能である。実験では１００ｋｇの硫酸ピッチに８０００ｐｐｍ濃度のガラスカレット電解液３０００リットル混合して３分間攪拌する。その結果、粘性は急速に低下して混練可能な状態になる。このとき強い刺激臭は緩和され、ほとんど無臭に近い状態になる。
【００２１】
混練後、高炉スラグ微粉末を６０ｋｇを徐々に投入し、およそ１０分で投入を終える。十分に混練後は砂状の粒子に変わる。
【重金属の不溶出化】
【００２２】
硫酸ピッチには水銀、カドミウム、砒素、鉛などの重金属が含まれている。したがって、このままでは廃棄することさえできない。本発明によれば、処理後はこれらの重金属は環境１３号による溶出試験では規定値以下に抑えることができ、不溶性にすることが示された。
【揮発性有機化合物の分解】
【００２３】
硫酸ピッチには硫黄、塩化物イオン、硫化物イオン、油分などが含まれている。処理後の揮発性化合物、油分、炭素、硫黄分などは著しく低減させることができた。
【００２４】
有機質土の固化は、このガラスカレット電解液を投入することにより有機物を補足する役目をするので、セメント系固化材とガラスカレット電解液とのスラリ−を注入すると、土壌の強度が増加するので固化処理が可能である。
【００２５】
ガラスカレット電解液をコンクリ−トクラックに注入することにより、コンクリ−ト内部のカルシウム分と容易に結合してカルシウムシリケ−ト水和物を生成できるので、補修材としても有効である。
【発明の効果】
【００２６】
以上の通り、本発明によれば、油汚染上壌の粘着性低減による処理方法、硫酸ピッチの悪臭低減効果とタ−ル分を含む粘土粒子を低粘性土に変化させる技術、その処理の簡便性、揮発性有機化合物（ＶＯＣ）の低減効果、重金属の不溶化処理、有機質土の固化処理、コンクリ−トクラックによる充填材と補修性能に優れた効果を発揮する。無害化処理の簡便さ処理硫酸ピッチの刺激臭を低減する技術を提供することができる。
【表１】
【表２】
【表３】
【表４】
【表５】
【表６】
【図面の簡単な説明】
【図１】ガラスカレット電解液（陽極側）（ｐＨ３）とカルシウム塩との反応によるＸＲＤパターン
【図２】ガラスカレット電解液（陽極側）（ｐＨ９）とカルシウム塩との反応によるＸＲＤパターン
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とする石油成分含有土壌の処理剤
【請求項２】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とする有機ハロゲン化合物の分解剤
【請求項３】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とする高粘性化合物、高粘性土の粘性低下剤
【請求項４】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とする重金属の不溶化剤
【請求項５】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とする硫酸ピッチの脱臭剤
【請求項６】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とする土壌固化材
【請求項７】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とするコンクリ−トクラックの充填材、補修材
【請求項１】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とする石油成分含有土壌の処理剤
【請求項２】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とする有機ハロゲン化合物の分解剤
【請求項３】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とする高粘性化合物、高粘性土の粘性低下剤
【請求項４】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とする重金属の不溶化剤
【請求項５】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とする硫酸ピッチの脱臭剤
【請求項６】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とする土壌固化材
【請求項７】
ガラスカレットのアルカリ電解液を特徴とするコンクリ−トクラックの充填材、補修材
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００６−３４６６６３（Ｐ２００６−３４６６６３Ａ）
【公開日】平成１８年１２月２８日（２００６．１２．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２０３５９３（Ｐ２００５−２０３５９３）
【出願日】平成１７年６月１６日（２００５．６．１６）
【出願人】（５９８１３４８７９）有限会社 日本素材工学研究所 (10)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１２月２８日（２００６．１２．２８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年６月１６日（２００５．６．１６）
【出願人】（５９８１３４８７９）有限会社 日本素材工学研究所 (10)
【Ｆターム（参考）】
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