説明

汚染土壌処理システム及び汚染土壌処理方法

【課題】限られた作業空間で、大量の汚染土壌の処理品質を向上させることができるとともに、処理時間を短縮することができる汚染土壌処理システムを提供する。
【解決手段】揮発性有機化合物や揮発性成分を有する油分を含有する土壌を処理する汚染土壌処理システムであって、前記土壌とこの土壌中の水分との水和反応による発熱を促進させる添加材とを混合する混合装置とこの混合装置で混合された混合土を排出する排出装置とを備えた土壌処理機械3と、前記土壌処理機械3から排出された混合土の揮発を促進する少なくとも2つ以上の揮発促進室5F,5Gとこれらの揮発促進室5F,5G内でそれぞれ発生したガスを排出するガス排出管9,10とを有する揮発促進手段とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機化合物や揮発性成分を有する油分を含有する土壌の処理システム及び処理方法に関し、さらに詳しくは限られた作業面積を効率的に活用し、連続的に大量の土壌を処理することができる土壌処理システム及び土壌処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性物質を含有する土壌を浄化処理するものとして、例えば特許文献1に記載のような土壌浄化工法が提案されている。この土壌浄化工法は、土壌供給装置と薬剤供給装置と混合装置と排出装置とを備えた土壌処理システムを用いて、有害物質を含む土塊を粉砕し、この粉砕土の薬剤を混合し、この混合土をフードで覆われた反応槽内に投入し、土壌中の汚染物質を揮発除去、もしくは無害化するものである。
【0003】
【特許文献1】特開2000−334437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境保全の気運の高まりに伴い、汚染土壌を早期に処理する要請が急増しているとともに、その処理量も増大している。また、石油系油類による汚染地盤箇所として、ガソリン等を供給する給油関係のサービスステーションの敷地が近年顕在化しているが、このサービスステーションの敷地のなかには狭小な敷地面積のものもある。
【0005】
上述の特許文献1に記載の土壌浄化工法などにより、揮発性物質を含有する土壌の浄化処理を行うことが可能である。さらに特許文献1では大量の土壌の処理が可能なように反応槽を2つ用意し、一方の反応槽に堆積する混合土が満杯になれば、他方の反応槽に混合土を堆積するようにし、処理効率の向上を図っている。
【0006】
しかしながら、上記の従来技術においては、反応槽を2つ用いるため、反応槽のコストが倍になってしまう。また、反応槽を1つにする方策もあるが、より大規模な反応槽を準備しなければならず、反応槽を2つ用意する場合と同様にコスト高となる。さらに、先に述べた狭小地での処理の場合、反応槽を2つ設置するスペースや、より大きな反応槽を設置するスペースを確保できないことがある。
【0007】
また、上記従来技術における土壌中の水分との水和反応により発熱を促進させる薬剤(添加材)として、生石灰(酸化カルシウム)が使用されているが、この生石灰は水和反応で水酸化カルシウムに変化し、混合土を強アルカリ性にする。強アルカリ性の土壌は生物の生育に適さない環境であるため、この混合土を埋戻し土として使用する場合に、周囲環境への悪影響を懸念される場合もある。
【0008】
本発明は、上記の事柄を鑑みてなされるものであり、限られた作業空間で、大量の汚染土壌の処理品質を向上させることができるとともに、処理時間を短縮することができる汚染土壌処理システム及び汚染土壌処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、揮発性有機化合物や揮発性成分を有する油分を含有する土壌を処理する汚染土壌処理システムであって、前記土壌とこの土壌中の水分との水和反応による発熱を促進させる添加材とを混合する混合装置とこの混合装置で混合された混合土を排出する排出装置とを備えた土壌処理機械と、前記土壌処理機械から排出された混合土の揮発を促進する少なくとも2つ以上の揮発促進室とこれらの揮発促進室内でそれぞれ発生したガスを排出するガス排出管とを有する揮発促進手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記揮発促進手段の近傍に、前記揮発促進手段で処理された混合土を中和処理する中性化処理手段を更に備えたことを特徴とする。
【0011】
さらに、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記揮発促進手段は、前記混合土を包囲する包囲手段と、この包囲手段の内部を少なくとも2以上の揮発促進室に区分けする区分け体とで構成したことを特徴とする。
【0012】
また、第4の発明は、第1または第2の発明において、前記揮発促進手段は、少なくとも2つの搬送コンベヤと、これらの搬送コンベヤを覆う包囲手段と、前記土壌処理機械から排出された混合土を前記搬送コンベヤに振り分け供給する供給コンベヤとを備えたことを特徴とする。
【0013】
さらに、第5の発明は、第1または第2の発明において、前記揮発促進手段は、前記土壌処理機械から排出された混合土の揮発を促進する少なくとも2つ以上の揮発促進室を有する包囲手段と、前記包囲手段内に設けられ、前記土壌処理機械から排出された混合土を前記包囲手段の揮発促進室に振り分けるコンベヤとを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、第6の発明は、第3乃至第5の発明のいずれかにおいて、前記包囲手段内の各室内の空間内空気における所定のガス状物質の濃度を測定するガス濃度測定装置及び、又は、各室内の混合土の内部温度を測定する温度計を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、第7の発明は、揮発性有機化合物や揮発性成分を有する油分を含有する汚染土壌を処理する土壌処理方法であって、前記土壌処理機械から排出される混合土を、揮発促進手段を構成する少なくとも2つ以上の揮発促進室を有する包囲手段内に堆積するに際し、前記包囲手段における一方の揮発促進室への混合土の土量が所定量に達したら、前記包囲手段における他方の揮発促進室に、混合土を排出堆積して、混合土に対する揮発促進を並列的に繰り返し処理することを特徴とする。
【0016】
さらに、第8の発明は、第7の発明において、前記揮発促進手段で処理された混合土を、空気又は二酸化炭素を含むガスの供給により中性化処理することを特徴とする。
【0017】
また、第9の発明は、第7または第8の発明において、前記包囲手段における一方の揮発促進室への混合土の土量が所定量に達してから、所定時間経過後に、該当室からの土壌搬出が可能になったことを、表示、警報することを特徴とする。
【0018】
さらに、第10の発明は、第7または第8の発明において、前記包囲手段における一方の揮発促進室への混合土の土量が所定量に達してから、逐次、または所定時間経過後に、ガス濃度測定装置を用いて計測した空間内空気における所定のガス状物質の濃度の測定値、温度計での各室内の混合土の内部温度の測定値、混合土から採取したサンプル中の所定物質含有量の測定値のいずれかの測定結果に基づいて、養生の継続又は該当室からの搬出を行う時期を、表示、警報することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の汚染土壌処理システムによれば、揮発促進手段を構成する包囲手段内の少なくとも2つ以上の揮発促進室に、混合土を交互に投入して、並列的に揮発促進作業を行うことができるので、揮発促進手段を構成する包囲手段の占有面積が小さくなり、設備費が安価になるとともに処理の品質を向上させることができる。
【0020】
本発明の汚染土壌処理方法によれば、揮発促進手段を構成する包囲手段内の少なくとも2つ以上の揮発促進室に、混合土を交互投入して、並列的に揮発促進作業を行うことができるので、処理の品質を向上させることができるとともに、大量の汚染土壌の処理効率を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の汚染土壌処理システム及び汚染土壌処理方法の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1及び図2は、本発明の土壌処理システムの一実施の形態を示すもので、その図1は本発明の土壌処理システムの一実施の形態を示す平面図、図2は図1に示す本発明の土壌処理システムの一実施の形態を一部断面にて示す正面図である。これらの図において、1は処理現場に堆積された汚染土壌である。
【0022】
2は汚染土壌1の近傍に配置した自走式の掘削機で、この掘削機は後述する土壌処理機械に土壌を移載させるもので、この例では油圧ショベルを示している。3は土壌1の近傍に配置した自走式の土壌処理機械で、この土壌処理機械3は、大略的に本体3Aと、この本体3Aに設けた走行装置3Bと、本体3A上に搭載したホッパ装置3Cと、本体3A上に設置した添加材供給装置3Dと、本体3A上に設置されホッパ装置3Cから移送される土壌と添加材供給装置3Dから供給される石灰系の添加材とを混合する混合装置3Eと、この混合装置3Eからの混合土を排出する排出装置3Fとで構成されている。
【0023】
5は土壌処理機械3における排出装置3Fが入り込める空間をもって処理現場に配置された包囲手段で、この包囲手段5は、揮発促進手段を構成し、図1及び図2に示すように処理現場に設置され混合土の堆積場を形成する基礎枠体5Aと、この基礎枠体5A上に設けた骨組5Bと、この骨組5B上に設けた屋根5Cと、骨組み5Bに取り付けた例えばシート状の側面側の覆い体5Dと、包囲手段5を2つのエリアに仕切る例えばシート状の仕切り体5Eとから構成されている。
【0024】
この包囲手段5は、その内部において汚染土壌中の水分と添加材との反応熱によって汚染土壌中に含まれた揮発性油分を積極的に揮発させるためのものである。その揮発促進は、実作業による経験から、汚染土壌の汚染濃度が短時間(汚染物質によるが、その浄化は数十分から、時間を要しても数時間程度で終了する)で環境基準値以下になることの知見に基づき、前述した包囲手段5として大きな収納空間を有するものにする必要がなく、小さな処理空間を複数並設し、その処理空間に処理すべき土壌を交互に投入し、その処理作業の時間を短縮する機能を有している。
【0025】
前述した基礎枠体5Aは、包囲手段5内に搬送された混合土の土留め機能を発揮するように、例えば図2に示すように、複数のH形鋼材をボルト等で積層する構成で、支え部材5A1によって保持され処理現場に構築される。
【0026】
前述した包囲手段5を構成する仕切り体5Eは、例えば蛇腹状の布が使用され、その上端はガイドレールに案内され、その下端には車輪が設けられ、包囲手段5の短手方向に開閉可能として、機械の行き来を可能にしている。この仕切り体5Eによって、図1に示すように包囲手段5内は、複数(本実施例では2つ)の揮発促進室5F、5Gに分割されている。
【0027】
前述した包囲手段5を構成する覆い体5Dの長手方向は、仕切り体5Eで分割された揮発促進室5F、5G間毎に、前述した基礎枠体5Aの構成と相俟ってそれぞれ混合土の搬入及び処理土の搬出のために、例えば一端を屋根5Cの下端に連結し、骨組5Bの上部に取り付けた滑車を経由して、他端を基礎枠体5A部分に係止したロープ等の手段により昇降可能になっており、機械の出入りを可能にしている。
【0028】
6は包囲手段5内で混合土を搬送するための移動可能な搬送装置で、この搬送装置6は、図2に示すように、架台6Aと、この架台6Aに設けたコンベヤ6Bと、架台6Aに設けた車輪6Cとで構成されている。その一端が土壌処理機械3の排出側の下方にくるように設置した場合には、その他端は包囲手段5内の他方の空間に臨むように構成されている。この搬送装置6は、包囲手段5内で仕切り体5Eで仕切られることで構成される一方の堆積場(一方の揮発促進室(処理室)5F)への混合土の搬送が終了した場合、その他端を包囲手段5内の他方の堆積場(他方の揮発促進室(処理室)5G)に臨むように移動される。
【0029】
7は包囲手段5内に配置した自走式の掘削機で、この例では、バックホウ型のショベルを示しており、この掘削機7は包囲手段5内に搬送された混合土を包囲手段5内の適宜位置に移載するために使用される。
【0030】
8は包囲手段5内を行き来する自走式の掘削機で、この例ではローダ型のショベルを示しており、この掘削機8は包囲手段5内で養生した養生土を包囲手段5外に搬出するために使用される。
【0031】
9,10は包囲手段5内のガス及び粉塵を吸引する吸引管で、これらの吸引管9.10の一端は特に混合土から揮発するガスを吸引するように、覆い体5Dを通して包囲手段5内に導入され、各他端は切換弁を介して有害ガス吸着装置及び集じん機(有害ガス分解装置でもよい)等の機器11に連結されている。
【0032】
12は処理現場に設置した添加材貯留装置で、この添加材貯留装置12は貯留している添加材をスクリュウコンベヤ13を介して土壌処理機械3の添加材供給装置3Dに供給する。14は処理現場に設置した発電機で、この発電機14は例えば包囲手段5内の照明器、搬送手段6、有害ガス吸着装置及び集じん機等の機器11を駆動のための電気を供給する。
【0033】
15は包囲手段5内で処理された混合土1を中性化処理するで、この中性化処理手段15は、包囲手段5の設置場所とは別の位置に設置され、この上に堆積した混合土に空気又は二酸化炭素を含むガスを供給するガス配管15Aと、このガス配管15Aに連結した空気又は二酸化炭素を含むガスのガス供給源15Bと、堆積土壌を覆い、外側が非通気性の層で、内側が通気性の層を持つ多層構造のシート15Cと、シート15Cの通気性の層に接続されるガス吸引配管15Dと、このガス吸引配管15Dに連結したガス吸引装置15Eとで構成されている。なお、シート15Cの上部は適宜の支持手段によって支持されている。
【0034】
次に、上述した本発明の土壌処理システムの一実施の形態による土壌処理方法を説明する。
図1に示すように、包囲手段5内の、仕切り体5Eで仕切られた一方側の揮発促進室5Fに、土壌処理機械3の排出装置3Fを導入し設置し、各機器を駆動状態にする。
【0035】
この状態において、掘削機2によって、処理現場に堆積した汚染土壌1を掘削し、この掘削した汚染土壌1を土壌処理機械3のホッパ装置3Cに投入する。土壌処理機械3は投入された汚染土壌1に添加材供給装置3Dから供給される添加材を加えて、その混合装置3Eに移送する。混合装置3Eは添加材と汚染土壌中の水分との反応熱が促進されるように汚染土壌1と添加材とを攪拌混合する。攪拌混合された添加材と汚染土壌との混合土1Aは、混合装置3Eから、その排出装置3Fに排出される。排出装置3Fは、混合土1Aを包囲手段5内の一方の揮発促進室5F内に排出、堆積する。
【0036】
包囲手段5内における排出装置3Fの下方に堆積した混合土Aは、掘削装置7によって、包囲手段5の一方の揮発促進室5F内の周囲に移載される。このとき、包囲手段5を構成する基礎枠体5Aは、混合土の土留め機能を発揮するので、包囲手段5内に多量の混合土を配置することができる。この混合土は、包囲手段5内における一方の揮発促進室5F内おいて前述した汚染土壌中の水分と添加材との反応熱によって汚染土壌中に含まれた揮発性油分を揮発させるための養生状態におかれる。
【0037】
上述の汚染土壌1の処理により、図1の包囲手段5内の一方側の揮発促進室5F内に収納すべき混合土が満杯になった場合に、搬送装置6の受入端が排出装置3Fの下方に、排出端が図1の包囲手段5内の他方側の処理空間5G内に導入されるように、搬送装置6を移動する。
【0038】
この状態において、前述した図1の包囲手段5内の一方側の揮発促進室5F内に汚染土壌1を移載したのと同様な動作によって、汚染土壌1を混合土にして、図1の他方側の揮発促進室5G内に移送する。この間に図1の一方側の揮発促進室5F内に堆積された混合土は、前述した反応熱によって汚染土壌1中の揮発性油分が揮発し、浄化が進行する。
【0039】
図1の一方側の揮発促進室5Fに堆積された混合土は、汚染土壌の汚染濃度が短時間で環境基準値以下になるので、速やかに図1に示す掘削機8によって、包囲手段5内から搬出し、図1の一方側の揮発促進室5F内の場所を次の混合土の養生箇所として準備する。
【0040】
搬送装置6によって、包囲手段5内の他方の揮発促進室5Gに堆積される混合土が満杯になったら、搬送装置6を受入端が排出装置3Fの下側に位置しないように移動し、排出装置3Fから新たに排出される混合土を包囲手段5の一方側の揮発促進室5F内に堆積する。
【0041】
仕切り体5Eで分割された包囲手段5内の処理空間となる2つの揮発促進室を有効に活用して、以上のように一連の処理を繰り返すことにより、大量の汚染土壌を、品質良く、且つ効率良く処理することが可能となる。
【0042】
包囲手段5から搬出された混合土1Aは、包囲手段5の設置場所とは別に設置される中性化処理手段15に移送される。この中性化処理手段15において、混合土1Aを、ガス配管15Aを覆うように堆積させ、多層構造のシート15Cを覆いかぶせる。この状態で、ガス供給源15B、ガス吸引装置15Eを駆動し、混合土内部を強制的に通気させる。この処理により、強アルカリ性の混合土が、炭酸化反応で中性化される。
【0043】
これにより、混合土は生物の生育に適するものとなり、埋戻し土として使用することができ、周囲環境への悪影響を抑えることができる。
【0044】
この本発明の汚染土壌処理システムの実施の形態によれば、揮発促進手段を構成する包囲手段内の少なくとも2つ以上の揮発促進室に、混合土を交互に投入して、並列的に揮発促進作業を行うことができるので、揮発促進手段を構成する包囲手段の占有面積が小さくなり、設備費が安価になるとともに処理の品質を向上させることができる。
【0045】
本発明の汚染土壌処理方法の実施の形態によれば、揮発促進手段を構成する包囲手段内の少なくとも2つ以上の揮発促進室に、混合土を交互投入して、並列的に揮発促進作業を行うことができるので、処理の品質を向上させることができるとともに、大量の汚染土壌の処理効率を大幅に短縮することができる。
【0046】
図3及び図4は、本発明の土壌処理システムの一実施の形態を構成する揮発促進手段の他の例を示すもので、図3はその平面図、図4は図3のIV−IV矢視から見た側面図である。これらの図において、図1及び図2の符号と同符号のものは同一部分または相当する部分である。
この実施の形態は、一方端側にホッパ16を有する2つの搬送コンベヤ17を並設し、これらの搬送コンベヤ17のホッパ16及び放出端を除く搬送部分を包囲手段5で覆い、前記ホッパ16、16上に、土壌処理機械3の排出装置3Fから排出される混合土を、一方側の搬送コンベヤ17、または他方側の搬送コンベヤ17の各ホッパ16に振り分け供給するコンベヤ18を適宜の支持手段で配置して、揮発促進手段を構成したものである。
【0047】
なお、この実施の形態においては、揮発促進を促すために、搬送コンベヤ17に混合土を解砕する解砕機19を設けたが、省略することも可能である。
【0048】
この実施の形態においては、土壌処理機械3の排出装置3Fから排出される混合土を、コンベヤ18によって一方側の搬送コンベヤ17、または他方側の搬送コンベヤ17に交互に供給し、搬送コンベヤ17上において、混合土の揮発促進を行い、その処理が完了次第、混合土を搬送コンベヤ17によって揮発促進手段外に搬送する。
【0049】
この実施の形態によれば、前述した実施の形態と同様な効果を得ることができるとともに、包囲手段を更に簡素化することができる。
【0050】
図5及び図6は、本発明の土壌処理システムの一実施の形態を構成する揮発促進手段のさらに他の例を示すもので、図5はその平面図、図6は図5の右側面図である。これらの図において、図1及び図2の符号と同符号のものは同一部分または相当する部分である。
【0051】
この実施の形態は、複数個の包囲手段5を並設し(この例では3個)、これらの包囲手段5で形成される両側部の揮発促進室5F,5H内に、混合土を供給するための搬送装置6を設け構成したものである。
【0052】
この実施の形態においては、図1に示す実施の形態と同様に、包囲手段5によって形成された各揮発促進室に、混合土を交互に投入して、混合土の並列的な揮発促進を行い、その処理が完了次第、混合土を順次揮発促進手段外に搬送する。
【0053】
この実施の形態によれば、前述の実施の形態と同様に、揮発促進手段を構成する包囲手段内の少なくとも2つ以上の揮発促進室に、混合土を交互投入して、並列的に揮発促進作業を行うことができるので、処理の品質を向上させることができるとともに、大量の汚染土壌の処理効率を大幅に短縮することができる。
【0054】
なお、上述の実施の形態において、各揮発促進手段での養生継続または養生終了時期を確認するために、前記包囲手段における一方の揮発促進室への混合土の土量が所定量に達してから、逐次、または所定時間経過後に、ガス濃度測定装置を用いて計測する空間内空気における所定のガス状物質の濃度の測定値、温度計での各室内の混合土の内部温度の測定値、混合土から採取したサンプル中の所定物質含有量の測定値のいずれかの測定結果と、予め設定された基準値との比較結果に基づいて、養生の継続又は該当室からの搬出を行う時期を表示装置に表示したり、またその時期を警報装置で報知することも可能である。
【0055】
また、各揮発促進手段での養生終了時期を確認するために、前記包囲手段における一方の揮発促進室への混合土の土量が所定量に達してから、所定時間経過後に、該当室からの混合土の搬出が可能になったことを表示装置に表示したり、またその時期を警報装置で報知することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の土壌処理システムの一実施の形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す本発明の土壌処理システムの一実施の形態を一部断面にて示す正面図である。
【図3】本発明の土壌処理システムの一実施の形態を構成する揮発促進手段の他の例を示す平面図である。
【図4】図3に示す本発明の土壌処理システムの一実施の形態を構成する揮発促進手段の他の例をIV−IV矢視から見た側面図である。
【図5】本発明の土壌処理システムの一実施の形態を構成する揮発促進手段のさらに他の例を示す平面図である。
【図6】図5に示す本発明の土壌処理システムの一実施の形態を構成する揮発促進手段のさらに他の例を示す右側面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 汚染土壌
3 土壌処理機械
5 包囲手段
5F 揮発促進室
5G 揮発促進室
15 中性化処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性有機化合物や揮発性成分を有する油分を含有する土壌を処理する汚染土壌処理システムであって、前記土壌とこの土壌中の水分との水和反応による発熱を促進させる添加材とを混合する混合装置とこの混合装置で混合された混合土を排出する排出装置とを備えた土壌処理機械と、前記土壌処理機械から排出された混合土の揮発を促進する少なくとも2つ以上の揮発促進室とこれらの揮発促進室内でそれぞれ発生したガスを排出するガス排出管とを有する揮発促進手段とを備えたことを特徴とする汚染土壌処理システム。
【請求項2】
前記揮発促進手段の近傍に、前記揮発促進手段で処理された混合土を中和処理する中性化処理手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌処理システム。
【請求項3】
前記揮発促進手段は、前記混合土を包囲する包囲手段と、この包囲手段の内部を少なくとも2以上の揮発促進室に区分けする区分け体とで構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の汚染土壌処理システム。
【請求項4】
前記揮発促進手段は、少なくとも2つの搬送コンベヤと、これらの搬送コンベヤを覆う包囲手段と、前記土壌処理機械から排出された混合土を前記搬送コンベヤに振り分け供給する供給コンベヤとを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の汚染土壌処理システム。
【請求項5】
前記揮発促進手段は、前記土壌処理機械から排出された混合土の揮発を促進する少なくとも2つ以上の揮発促進室を有する包囲手段と、前記包囲手段内に設けられ、前記土壌処理機械から排出された混合土を前記包囲手段の揮発促進室に振り分けるコンベヤとを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の汚染土壌処理システム。
【請求項6】
前記包囲手段内の各室内の空間内空気における所定のガス状物質の濃度を測定するガス濃度測定装置及び、又は、各室内の混合土の内部温度を測定する温度計を備えたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の汚染土壌処理システム。
【請求項7】
揮発性有機化合物や揮発性成分を有する油分を含有する汚染土壌を処理する土壌処理方法であって、前記土壌処理機械から排出される混合土を、揮発促進手段を構成する少なくとも2つ以上の揮発促進室を有する包囲手段内に堆積するに際し、前記包囲手段における一方の揮発促進室への混合土の土量が所定量に達したら、前記包囲手段における他方の揮発促進室に、混合土を排出堆積して、混合土に対する揮発促進を並列的に繰り返し処理することを特徴とする汚染土壌処理方法。
【請求項8】
前記揮発促進手段で処理された混合土を、空気又は二酸化炭素を含むガスの供給により中性化処理することを特徴とする請求項7に記載の汚染土壌処理方法。
【請求項9】
前記包囲手段における一方の揮発促進室への混合土の土量が所定量に達してから、所定時間経過後に、該当室からの土壌搬出が可能になったことを、表示、警報することを特徴とする請求項7または8に記載の汚染土壌処理方法。
【請求項10】
前記包囲手段における一方の揮発促進室への混合土の土量が所定量に達してから、逐次、または所定時間経過後に、ガス濃度測定装置を用いて計測した空間内空気における所定のガス状物質の濃度の測定値、温度計での各室内の混合土の内部温度の測定値、混合土から採取したサンプル中の所定物質含有量の測定値のいずれかの測定結果に基づいて、養生の継続又は該当室からの搬出を行う時期を、表示、警報することを特徴とする請求項7または8に記載の汚染土壌処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−136390(P2007−136390A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335999(P2005−335999)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】