説明

汚染対策方法

【課題】油分取扱設備から石油系油分が漏洩しても周辺の土壌への石油系油分の浸透を未然に抑制することができる汚染対策方法を提供する。
【解決手段】油分取扱設備200から漏洩した石油系油分bの周囲の土壌への浸透を未然に抑制する汚染対策方法であって、油分取扱設備200における石油系油分bの漏洩が懸念される油分漏洩懸念部位とその周囲の土壌との間に、石油系油分bを分解する微生物又は微生物を活性化する栄養剤の少なくとも一方を混合した土砂材料の層(汚染物質分解帯i)を形成し、油分取扱設備200から漏洩した石油系油分bが汚染物質分解帯iで分解されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重油やガソリン等といった石油系油分(石油系炭化水素)を取り扱う油分取扱設備からの石油系油分の拡散を抑制する汚染対策方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場やガソリンスタンド等においては、重油やガソリン等の石油系油分を取り扱う油分取扱設備(貯蔵設備、配管設備、給油設備等)がある。こうした油分取扱設備から石油系油分が漏洩した場合、そのまま放置しておくと周辺環境に拡散する危険性がある。そのため、油分取扱設備から漏洩した石油系油分の周辺環境への拡散を未然に抑制すべく対策する必要がある。
【0003】
この種の汚染対策としては幾通りかの方法が提唱されているが、その中には地中に埋設された貯油タンクの周囲を油吸着マット又は防油シートで覆い、漏洩油分を捕集する方法がある(特許文献1等参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−289427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、石油系油分が漏洩した場合、油吸着マット又は防油シートによって外部への拡散を一時的に防止することはできるが、油吸着マット又は防油シートとともに汚染物質が地中に残存する。そして、そのまま長期間放置しておくと、漏洩油分が油吸着マット又は防油シートの内側から外表面に浸出し、周囲の土壌に浸透する恐れもある。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、油分取扱設備から石油系油分が漏洩しても周辺の土壌への石油系油分の浸透を未然に抑制することができる汚染対策方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、油分取扱設備から漏洩した石油系油分の周囲の土壌への浸透を未然に抑制する汚染対策方法であって、前記油分取扱設備における石油系油分の漏洩が懸念される油分漏洩懸念部位とその周囲の土壌との間に、石油系油分を分解する微生物又は微生物を活性化する栄養剤の少なくとも一方を混合した土砂材料の層を形成し、前記油分取扱設備から漏洩した石油系油分が前記土砂材料で分解されるようにすることを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記油分取扱設備を構成する部材のうち石油系油分を貯蔵又は流通する部材の接続部を前記油分漏洩懸念部位として、前記土砂材料を前記接続部の周囲に形成することを特徴とする。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記油分取扱設備を構成する部材のうち石油系油分を貯蔵又は流通する部材の埋設された部位の周囲及び地上に設置された部位の下方の土壌の表層に前記土砂材料の層を形成し、特に前記油分漏洩懸念部位の周囲の土砂材料の層を他の部位の土砂材料の層に比べて厚く形成することを特徴とする。
【0010】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、好ましくは、石油系油分を吸着する吸着剤を前記土砂材料に混合することを特徴とする。
【0011】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかにおいて、好ましくは、前記土砂材料の層を形成する箇所に、石油系油分を分解する微生物又は微生物を活性化する栄養剤の少なくとも一方を混合したゲル材料、若しくは空気を注入することを特徴とする。
【0012】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、好ましくは、前記油分取扱設備を構成する部材のうち石油系油分を貯蔵又は流通する部材の地上に設置された部位の下方のコンクリートの目地の下部に前記土砂材料の層を形成することを特徴とする。
【0013】
(7)上記(1)〜(6)のいずれかにおいて、好ましくは、前記油分取扱設備を構成する部材のうち石油系油分を流通する配管の下部に形成された断面がU字型の溝の周囲に前記土砂材料の層を形成することを特徴とする。
【0014】
(8)上記(1)〜(7)のいずれかにおいて、好ましくは、地上に設置されたタンクからの漏洩油分を受ける防油堤の下部に前記土砂材料の層を形成することを特徴とする。
【0015】
(9)上記(1)〜(8)のいずれかにおいて、好ましくは、敷地の周囲に形成された集水溝、及び前記集水溝が接続する油水分離槽の下部に前記土砂材料の層を形成することを特徴とする。
【0016】
(10)上記(1)〜(9)のいずれかにおいて、好ましくは、帯状材料の一方側の面に前記土砂材料を付着させて土砂材料帯を作成し、土砂材料を付着させた面を内側にして前記油分漏洩懸念部位に前記土砂材料帯を巻き付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、油分取扱設備から石油系油分が漏洩しても周辺の土壌への石油系油分の浸透を未然に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の汚染対策方法の第1の実施の形態の一施工例を表す縦断面図、図2は透視平面図である。図1は図2中のI−I断面による断面図に相当する。
本発明の汚染対策方法の適用対象となる敷地cは、ガソリンスタンド、油槽所、各種工場等といったガソリンや重油、軽油、灯油等の石油系油分を取り扱う油分取扱設備200が設置された敷地であり、図1及び図2には油分取扱設備200として典型的なガソリンスタンドが例示されている。油分取扱設備200には、タンク(油槽)1等の石油系油分を貯蔵する貯蔵設備、油分を流通する油送配管(注油管3、給油管4等)や継手等を含む配管設備、貯蔵された油分を目的の機器やタンクに供給するための給油設備(軽量機等)5等が含まれる。
【0019】
タンク1は地下に埋設されており、例えばガソリン、軽油、灯油等の石油系油分が貯留されている。タンクローリー等により敷地c上にある注油口2に石油系油分が注入されると、注油管(埋設管)3を通って石油系油分がタンク1に充填される。給油設備5が操作されると、タンク1に貯留された石油系油分は、給油設備5によってタンク1から汲み上げられ、給油管(埋設管)4を介して給油設備5から自動車等に供給される。
【0020】
図示したガソリンスタンドの他の箇所について簡単に説明すると、まず敷地cの地表面はコンクリート層6で覆われており、ガソリンスタンドのスタッフ等が給油等のサービスをするためのフィールドと呼ばれるスペースとして形成されている。給油設備5の上方にはキャノピー(屋根)8が設けられている。また、コンクリート層6とは別途設けられた基礎(図示せず)の上にはサービスルームやスタッフルーム、或いは洗車機等といった設備7が、敷地cの周囲(隣地dとの境界)の地上には塀9がそれぞれ設けられている。
【0021】
図3はタンク1の周辺の拡大縦断面図、図4は図3中のIV−IV断面による縦断面図、図5はタンク1周辺の拡大平面図である。
図3〜図5において、タンク1を設置する地中に敷き詰められた砕石10上にはコンクリート製のタンクベース11が敷設されており、タンクベース11の上にバンド12を介してタンク1が配設されている。バンド12はタンク1を固定するための例えば鋼製の支持部材である。タンク1の周辺には砂質土(又は砂)13が埋め戻され、砂質土13上部の表層には砕石で構成された砕石層14が敷設されている。砕石層14の上部は先のコンクリート層6で覆われている。コンクリート層6の上面が地面であり、コンクリート層6の上面を車両等が走行したり人が往来したりする。また、タンク1の上方には砂質土13、砕石層14、コンクリート層6を貫通するマンホール16が設けられており、このマンホール16は通常は蓋17により塞がれている。
【0022】
タンク1の上部には、タンク1内の石油系油分の残量を示す油面計20がフランジ18を介して連結されている。また、タンク1上の別のフランジ18には配管部材19が連結され、配管部材19の分岐部にはフランジ21又は22を介して注油管3又は給油管4が連結されている。注油口2に注油された石油系油分は注油管3を通ってタンク1に補充される。また、給油設備5のポンプによりタンク1内から汲み上げられた石油系油分は、給油管4を通り給油設備5のノズル(図示せず)を介して自動車等に供給される。
【0023】
注油管3及び給油管4は、例えば鉄製や樹脂製の配管で構成されている。これらの配管は継ぎ手30(図5参照)を介して接続され、これにより所望の長さ及び経路の管路を構成する。なお、注油管3又は給油管4に樹脂製の管を用いる場合、可撓性を有しているため配管自体をある程度フレキシブルに曲げることができるが、管路を90度程度曲げる場合や長さを延長する場合にはやはり継ぎ手30で配管同士が連結される。
【0024】
このような敷地cにおいて、例えば年月の経過とともに地中の迷走電流に起因する電気腐食等の影響によって地中に埋設したタンク1や注油管3、給油管4に亀裂やピンホール等の損傷箇所が生じると、その損傷箇所を介して石油系油分(汚染物質)bが図21に示したように漏洩することがある。
【0025】
ガソリンスタンドの配管やタンクは先に説明したように砂質系の土砂によって埋設されることが多いため、漏洩した石油系油分bは流下し易く地下水位fまで到達し得る。この場合、石油系油分bは、比重が水より小さいため地下水の流れ(図21参照)に沿って拡散する。この過程において、土壌に石油系油分bが浸透して土壌汚染が生じたり地下水に混入して地下水汚染が生じたりする。
【0026】
ガソリンスタンドで取り扱われる石油系油分には、通常、土壌汚染対策法における指定有害物質であるベンゼン(規制値:溶出量0.01mg/L)や、地下水汚染防止法における要監視項目であるトルエン(基準値:0.6mg/L)、キシレン(基準値:0.4mg/L)等が含まれている。こうした石油系油分bは、漏洩経路の土壌や地下水位f付近に高濃度で分布するが、比重が水より小さくしかも揮発し易いため、地下水位fから上下に所定距離(例えば1m程度)の高さ範囲にもガス状体として低濃度で分布する。このため、図21に示したように地下水が隣地dに向かって移動するようであれば、石油系油分bが漏洩した後の汚染対策が遅れると隣地dにまで石油系油分bが侵入してしまう危険性がある。この場合、隣地dにまで石油系油分bが拡散してしまうと、敷地cの所有者にとって隣地dでの汚染対策は困難であり隣地dの持ち主に多大な負担をかけてしまうため、隣地dにまで石油系油分bが拡散する前に敷地c内で汚染対策を施さなければならない。さらには、敷地c内であっても土壌に石油系油分bが浸透してしまえば汚染の発生となるため、好ましくは漏洩した石油系油分bを土壌に浸透させることなく除去し汚染発生を未然に防止したい。
【0027】
そこで本実施の形態の汚染対策方法では、油分取扱設備200における少なくとも油分漏洩懸念部位とその周囲の土壌との間に、石油系油分を分解する土砂材料(後述)の層を形成することで、油分取扱設備200から漏洩した石油系油分が土砂材料で捕集され分解除去されるようにしておき、油分取扱設備200の周囲の土壌への石油系油分の浸透を未然に抑制し周囲環境を保全する。なお、本願明細書に記載する「油分漏洩懸念部位」とは、油分取扱設備200における経年により汚染物質の漏洩が懸念される部位を意味する。この油分漏洩懸念部位の代表例としては、油分取扱設備200を構成する部材のうち石油系油分を貯蔵又は流通する部材の接続部、例えばタンク1等の貯蔵設備と給油管3や供給管4等の配管設備との接続部、配管の継ぎ目、配管設備と給油設備5との接続部等が挙げられる。
【0028】
図1及び図2にハッチングで示した汚染物質分解帯iは上記の土砂材料で形成された層である。本実施の形態では、地下に埋設されたタンク1、注油管3、給油管4の周囲に汚染物質分解帯iを形成し、油分取扱設備200の埋設された部位(地中の部分)を汚染物質分解帯iで覆っている。例えば図3及び図4に示したようにタンク1の設置時にタンク1の周囲に砂質土13を埋め戻す場合には、タンク1の周囲を土砂材料で覆ってその周囲がさらに砂質土13で覆われた形とする(土砂材料と砂質土13を二層にする)、或いは砂質土13そのものに微生物やその栄養剤、或いは土砂材料を混合してタンク1の周囲に埋め戻す(砂質土13そのものを土砂材料とする、或いは土砂材料で埋め戻す)等してタンク1の周囲に汚染物質分解帯iを形成する。配管設備等の油分取扱設備200の他の部位の周囲に汚染物質分解帯iを形成する場合も同様である。
【0029】
汚染物質分解体iを構成する土砂材料は、石油系油分bを分解する微生物(バクテリア)又は微生物を活性化させる栄養剤の少なくとも一方を混合した土砂であり、言い換えれば、油分分解能を有する微生物の含有量を高めた土砂、若しくはそこに存在する微生物を活性化し石油系油分bの分解作用を強化した土砂である。地中に埋め戻して汚染物質分解体iを構成する土砂材料は、必要に応じ、微生物材料や栄養剤等と混合し後、所定期間(例えば1日程度)養生してから埋め戻す。
【0030】
また、汚染物質分解体iに生息させる微生物は、元来その土壌に生息していた油分分解能を有するものでも前述したような新たに混合する別の微生物でも良いが、好気性微生物が好ましい。また、汚染物質分解体iには、一種類の微生物を生息させるよりも異なる機能を有する複数種類の微生物を生息させる方が、相乗的な効果を期待する上で好ましい。複数種類の微生物を生息させることで、例えば石油・コールタール・有機汚泥等の重いタール質の炭化水素や、例えばガソリン・軽油等の精製された炭化水素物質が混じり合った石油系油分bを対象とする場合、加速度的な代謝能力が期待される。また、微生物の機能としては、例えばフェノール系炭化水素の分解、たんぱく質・でんぷん・セルロースの分解、高脂肪・グリースの分解、油分解酵素の生産等も挙げられる。
【0031】
汚染物質分解体iにおける微生物の配合割合は、例えば土壌1mに対し50g〜200g程度となるように考慮することが一つの目安となるが、油分漏洩懸念部位においては許容範囲内で他の部位に比して高くすると良い。汚染物質分解体iにおける微生物の配合割合が低すぎると石油系油分bの浄化が十分に進行せず、必要以上に多いと浄化は進行するが不経済である。
【0032】
また、汚染物質分解帯iに栄養剤を添加する場合、添加する栄養剤は市販のもので構わないが、窒素・リン酸・カリウムの少なくとも一種が混合されたものが望ましい。窒素源としては、例えば塩化アンモニウム・硫酸アンモニウム・硝酸アンモニウム等が挙げられる。リン酸源としては、例えばリン酸塩・過リン酸塩・メタリン酸塩・ポリリン酸塩等が挙げられる。また、カリウム源としては、例えば塩化カリウム・炭酸カリウム等を配合したものが挙げられる。また、栄養剤の窒素・リン酸・カリウムの割合は、例えば10:10:10〜25:15:15程度とし、窒素成分割合を比較的多めに配合することが好ましい。栄養剤の添加量を例示するなら、例えば50〜200g/m程度が一つの目安となるが、許容範囲内であれば多い程好ましい。
【0033】
さらに、上述した微生物や栄養剤のみを混合する場合よりも石油系油分bの捕集能力を強化したい場合、石油系油分bを吸着する吸着剤を汚染物質分解体iの土砂材料に混合すると効果的である。この吸着剤としては、石油系油分を吸着するものであれば用をなすが、おが屑や綿屑等の天然の繊維質の材料等も利用できる。また、吸着剤には、油分分解能を有する微生物及びその栄養剤が配合されたものも存在し、吸着剤の油分分解能にもよるが、例えば土砂1m当たりに対する吸着剤の混合量は、3〜13.5kg程度が一つの目安である。この他にも、例えば腐植土、コンポスト等も吸着剤として利用することができ入手も容易である。また、必要に応じ、上記の微生物材料、栄養剤、吸着剤の他に、土壌粒子から石油系油分bを剥離させるはく離剤を汚染物質分解体iに混合することも考えられる。
【0034】
ここで、図6は給油管4の継ぎ手30の拡大図である。
給油管4が樹脂製である場合、配管とは一般に融着によって接合される。樹脂製の配管や継ぎ手は鉄製のものに比べると腐食による漏洩の可能性は低いが、それでもガソリンスタンドの増改築等の各種工事の際の振動、衝撃や地震等によって配管にストレスが加わったりすると接合部分等に割れが生じる可能性がある。
【0035】
また、図7は給油管4と給油管4、すなわち配管同士の接続部分を示す図である。
例えば配管距離が長い場合も継ぎ手により配管同士が接続される。図7はそのような場合を図示しており、2本の給油管4が継ぎ手40で接続されている。継ぎ手40と給油管4が樹脂製の場合は図6の例と同様に融着により接合されるのが通常である。この場合も図6の場合と同様、ストレスによる接合部分からの漏洩の可能性がある。
【0036】
つまり、鉄製に限らず樹脂製の配管であっても接続部分は油分漏洩懸念部位と想定されるので、図6や図7のように配管の接続部位には他の部位に比して汚染物質分解帯iの層厚を厚くすることが望ましい。配管設備と貯蔵設備の接続部、給油設備と貯蔵設備の接続部等、その他の油分漏洩懸念部位についても同様である。
【0037】
以上のように、本実施の形態によれば、汚染物質分解体iを貯蔵設備や配管設備等の石油系油分を貯留又は流通する設備の周辺に形成することにより、万一これらの設備にピンホール等が発生したとしても、汚染物質分解体iによって漏洩直後の石油系油分bを吸着して土壌への石油系油分bの浸透を未然に抑制し、そして石油系油分bを汚染物質分解帯i中で分解除去することができ、汚染物質の拡散を防止することができる。油分漏洩懸念部位の周辺の汚染物質分解帯iを特に厚くすることによって、汚染発生防止の確度が向上する。
【0038】
また、例えば油吸着マット等で漏洩油分を捕集する場合には石油系油分bが油吸着マットとともに地中に残るため油吸着マット等を回収しなければならないが、本実施の形態の場合、漏洩した石油系油分bの土壌への移行、すなわち汚染発生の発生自体を未然に抑制しつつ、汚染物質分解帯i中で汚染物質を分解除去するので、例えば汚染物質分解帯iの入れ替えや回収等の作業が特に必要ないこともメリットである。
【0039】
また、吸着剤をさらに混合した土砂材料で汚染物質分解帯iを形成する場合、吸着剤に石油系油分bを吸着保持させることにより、十分に時間をかけて石油系油分bを微生物に分解させることができるので、石油系油分bを汚染物質分解体i中でより確実に分解することができ、石油系油分bの汚染物質分解帯iの通過、石油系油分bの拡散をより万全に抑制することができる。
【0040】
また、本汚染対策方法は、栄養剤を与えて元々生息していた微生物を活性化したり微生物材料を添加して微生物の生息数を増加させたりすることで、微生物による油分分解能を強化しただけの土砂材料を用いて油分取扱設備200の周囲に汚染物質分解体iを形成するものであるため、施工コストも極めて安価である。
【0041】
また、本実施の形態の汚染対策方法は、例えば地面の掘削や埋め戻しに使用する作業機械(油圧ショベル等)や、汚染物質分解帯iに用いる土砂材料を作る混合装置等の一般的な装置を用意すれば施工可能であり、特別な装置や大掛かりな装置やシステムが不要であることも大きなメリットである。
【0042】
図8は本発明の汚染対策方法の第2の実施の形態の一施工例を表す平面図、図9は図8中のIX−IX断面による縦断面図、図10は図8中のX−X断面による縦断面図である。図8では埋設設備やキャノピー8を図示省略している。また、既出図面と同様の部分又は同様の役割を果たす部分には同符号を付して説明を省略する。
図8〜図10に示したように、ガソリンスタンドの敷地cの周辺部には集水溝50が設けられており、集水溝50は油水分離槽60に接続している。給油中にコンクリート層6の上部にこぼれた石油系油分は、コンクリート層6の上面(又は集水用の図示しない溝)を移動して集水溝50に集められ、油分と水分とを分離する油水分離槽60に流れるようになっている。一般に油水分離槽60で油分と分離された水は下水等に流れ、油分は回収される。これら集水溝50や油水分離槽60も石油系油分の取扱を前提とした油分取扱設備の一つに想定される。すなわち、本実施の形態は、この集水溝50や油水分離槽60の下部(集水溝50・油水分離槽60の外周面と土壌との間)にも土砂材料による汚染物質分解帯iを形成した例である。
【0043】
一般に集水溝50や油水分離槽60はコンクリートで形成されているが、ガソリンスタンドへの車両の乗り入れや地震等により応力が加わると割れが生じることもあり、石油系油分が割れから漏れて地中に浸透する可能性もある。本実施の形態では、こうして集水溝50や油水分離槽60から漏洩した石油系油分bも土壌への浸透前に汚染物質分解体iによって捕集し分解することができ、汚染発生が未然に抑制される。
【0044】
図11は本発明の汚染対策方法の第3の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。図11において既出図面と同様の部分又は同様の役割を果たす部分には同符号を付して説明を省略する。
図11に示したように、ガソリンスタンド等では、オイル交換時等に発生する使用済みの石油系油分(廃油)を保管する廃油置き場があり、廃油は廃油置き場において廃油タンク70に保管されることがある。この廃油タンク70も石油系油分の取扱を前提とした油分取扱設備の一つに想定される。本実施の形態は、廃油タンク70の下部(廃油タンク70の外周面と土壌との間)にも土砂材料による汚染物質分解帯iを形成した例である。廃油タンク70がコンクリート層6上にある場合、廃油タンク70の下方領域におけるコンクリート層6の下部(地盤表層)に汚染物質分解帯iを形成する。
【0045】
廃油タンク70も、経年による腐食や何らかの外力により損傷する可能性があるが、本実施の形態のように、廃油タンク70から漏洩した石油系油分bも土壌への浸透前に汚染物質分解体iによって捕集し分解することができ、汚染発生が未然に抑制される。
【0046】
図12は本発明の汚染対策方法の第4の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。図12において既出図面と同様の部分又は同様の役割を果たす部分には同符号を付して説明を省略する。
図12に示したように、ガソリンスタンド等では廃油を地下タンクに貯蔵しているケースがある。本例では、地上に設置された廃油口80に廃油を流すと、廃油配管81を介して廃油タンク82に廃油が貯蔵される。これら廃油口80、廃油管81、廃油タンク82も石油系油分の取扱を前提とした油分取扱設備の一つに想定される。本実施の形態は、図1等に示したタンク1と同様に、地下に埋設された廃油タンク82や廃油管81の周囲(廃油タンク82や廃油管81とその周囲の土壌との間)にも土砂材料による汚染物質分解帯iを形成した例である。
【0047】
廃油タンク82や廃油管81も、経年による腐食や何らかの外力により損傷する可能性があり、また、配管同士の接続部、配管とタンクの接続部は油分漏洩懸念部位に想定される。油分漏洩懸念部位は他の部位よりも汚染物質分解帯iを厚くすることが望ましい。本実施の形態では、こうした廃油タンク82や廃油管81から漏洩した石油系油分bも土壌への浸透前に汚染物質分解体iによって捕集し分解することができ、汚染発生が未然に抑制される。
【0048】
図13は本発明の汚染対策方法の第5の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。図13において既出図面と同様の部分又は同様の役割を果たす部分には同符号を付して説明を省略する。
図13に示したように、ガソリンスタンド等では、一般に車両の下回り(走行系やシャーシ下部等)をメンテナンスするためのピット90がある。ピット90では各種オイルが使用され、床面にオイルがこぼれることも多い。本実施の形態は、このピット90の周囲(ピット90の外周面と土壌との間)にも土砂材料による汚染物質分解帯iを形成した例である。
【0049】
ピット90の内壁はコンクリートで形成されるのが一般だが、車両の搬出入や各種機器の使用、或いは経年による劣化により割れが生じ、割れから汚染物質(オイル)bが漏洩する可能性がある。本実施の形態では、ピット90から漏洩した石油系油分bも土壌への浸透前に汚染物質分解体iによって捕集し分解することができ、汚染発生が未然に抑制される。
【0050】
図14は本発明の汚染対策方法の第6の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。図14において既出図面と同様の部分又は同様の役割を果たす部分には同符号を付して説明を省略する。
図14に示したように、ガソリンスタンド等で地面となるコンクリート層6の上面には、コンクリートの膨張・圧縮による応力を緩和・吸収するために目地(溝)100が切られている。本実施の形態は、こうしたコンクリートの目地100の下部(目地100と周囲の土壌との間)にも土砂材料による汚染物質分解帯iを形成した例である。
【0051】
コンクリート層6の上には給油時等に石油系油分がこぼれ、こぼれた石油系油分が目地100を伝って流れることもある。目地100にはゴム等のシール材が充填されるが、シール材は経年により硬化し車両の通過や地震等により応力が加わると割れが生じ、割れから汚染物質(オイル)bが漏洩する可能性がある。本実施の形態では、目地100から漏洩した石油系油分bも土壌への浸透前に汚染物質分解体iによって捕集し分解することができ、汚染発生が未然に抑制される。
【0052】
図15は本発明の汚染対策方法の第7の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。図15において既出図面と同様の部分又は同様の役割を果たす部分には同符号を付して説明を省略する。
近年ではメンテナンス性等を考慮して図15に示したように配管(給油管や注油管等の送油管)111を地上に設置する場合がある。配管111は油分漏洩時に備えて断面がU字型の溝110(一般にコンクリート製)の中に備えられることが多い。つまり、これら配管111や溝110も石油系油分の取扱を前提とした油分取扱設備の一つに想定される。本実施の形態は、地上の配管111の下部(この場合、溝110の下部)や溝110の周囲(溝110と周囲の土壌との間)にも土砂材料による汚染物質分解帯iを形成した例である。
【0053】
地上の配管111や溝110であっても、前出の各油分取扱設備と同様に何らかの要因で損傷し汚染物質(オイル)bを漏洩させる可能性がある。本実施の形態では、このような配管111や溝110から漏洩した石油系油分bも土壌への浸透前に汚染物質分解体iによって捕集し分解することができ、汚染発生が未然に抑制される。
【0054】
図16は本発明の汚染対策方法の第8の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。図16において既出図面と同様の部分又は同様の役割を果たす部分には同符号を付して説明を省略する。
近年ではメンテナンス性等を考慮して図16に示したようにタンク(油槽)120を地上に設置する場合がある。上記配管111と同様、この種のタンク120は油分漏洩時に備えて漏洩油分を受ける受け皿上の坊油堤122(一般にコンクリート製)の中にベース(支持部材)121を介して設置されることが多い。これらタンク120や坊油堤122も石油系油分の取扱を前提とした油分取扱設備の一つに想定される。本実施の形態は、地上のタンク120の下部(この場合、坊油堤122の下部)や坊油堤122の周囲(坊油堤122と周囲の土壌との間)にも土砂材料による汚染物質分解帯iを形成した例である。
【0055】
こうした地上のタンク120や坊油堤122であっても、前出の各油分取扱設備と同様に何らかの要因で損傷し汚染物質(オイル)bを漏洩させる可能性がある。本実施の形態では、このようなタンク120や坊油堤122から漏洩した石油系油分bも土壌への浸透前に汚染物質分解体iによって捕集し分解することができ、汚染発生が未然に抑制される。
【0056】
図17は本発明の汚染対策方法の第9の実施の形態の一施工例を説明するための図である。
これまでの実施の形態では、土砂材料を地中又は表層に層状に形成した場合を例に挙げて説明したが、本実施の形態は、シールテープ等の各種テープ類や帯状の紙等といった帯状材料の一方側の面(テープ類では粘着面)に土砂材料を付着させて土砂材料帯131を作成し、土砂材料を付着させた面を内側にして油分取扱設備の特に油分漏洩懸念部位に土砂材料帯131を巻き付けることで汚染物質分解帯を形成する例である。図17には配管(給油管や注油管等の送油管)130に土砂材料帯131を螺旋状に巻き付けていって配管130の周囲を土砂材料帯131で覆う例である。土砂材料帯131で覆う配管やタンク等の油分取扱設備は地上設備であっても地下設備であっても構わない。或いは、シート状の材料の一方側の面に土砂材料を付着させて油分取扱設備の下部領域において、汚染物質分解帯としてコンクリートの下部に埋設又は地面に敷設(載置)することも考えられる。埋設する場合、土砂材料を付着させる帯状材料に生分解性を有する素材のものを用いると、環境保護の観点からより好ましい。
【0057】
本実施の形態においても、前述した各実施の形態における汚染物質分解帯iと同様の効果を得ることができる。
【0058】
図18は本発明の汚染対策方法の第10の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。図18において既出図面と同様の部分又は同様の役割を果たす部分には同符号を付して説明を省略する。
図18に示した例では、土砂材料の層すなわち汚染物質分解帯を形成すべき箇所(油分取扱設備200の周囲、特に油分漏洩懸念部位)に先端部が位置するように地面からパイプ140を挿入し、石油系油分を分解する微生物又は微生物を活性化する栄養剤の少なくとも一方を混合したゲル材料を注入する。ここで言う土砂材料の層を形成すべき箇所とは、油分取扱設備の埋設された部位の周囲に既存の汚染物質分解帯iの他、汚染物質分解帯iが未形成の既設の油分取扱設備の埋設された部位の周囲を含む。また、微生物をゲル材料に混合する場合、例えば包括固定化方法等によってゲル材料の微細な格子構造内部に微生物を取り込み固定化することができる。ゲル材料の代わりに、微生物を担持した流体を用いても良い。また、パイプ140はマンホール16のような汚染物質分解帯を形成すべき箇所に通じる既存の空間を利用して差し込んでも良いし、必要に応じてコンクリート層6に穿孔して差し込んでも良い。このようにしてパイプ140を介して上記ゲル材料を地上から注入することにより、既設の汚染物質分解帯iの汚染物質bの分解能力を向上させたり、未形成の箇所に汚染物質分解帯iを形成したりすることができる。
【0059】
なお、パイプ140は、直管でも良いし汚染物質分解帯i又はそれを形成したい領域に沿って延在するように曲成した管でも良い。後者の場合、外周部に複数の穴が設けられた管をパイプ140として用い、先端の開口だけでなく側面の各所からもゲル材料が流出するようにしておけば、汚染物質分解帯iやそれを形成したい領域に効果的にゲル材料を供給することができる。この場合、パイプ140を常設しておき、定期的にゲル材料を供給することで、汚染物質分解帯iの汚染物質bの分解能力を好適な状態に保つことができる。
【0060】
また、パイプ140を挿入するのと同様の要領で、汚染物質分解帯i又はその付近の土壌にパイプ141を挿入し、このパイプ141を介し、微生物を活性化するための空気又は栄養剤を注入することによっても、既設の汚染物質分解帯iの汚染物質bの分解能力を向上させたり、未形成の箇所に汚染物質分解帯iを形成したりすることができる。汚染物質分解帯iに生息する微生物に空気を供給する場合、例えばコンプレッサ等の空気供給源(図示せず)をパイプ141に接続する。パイプ140と同様、パイプ141は、直管でも良いし汚染物質分解帯iに沿って延在するように曲成した管でも良い。後者の場合、外周部に複数の穴が設けられた管をパイプ141として用い、先端の開口だけでなく側面の各所からも空気又は栄養剤が流出するようにしておけば、汚染物質分解帯iやその周辺に効果的に空気又は栄養剤(若しくはその両方)を供給することができる。この場合、パイプ141を常設しておき、定期的に空気や栄養剤を供給することで、汚染物質分解帯iの汚染物質bの分解能力を好適な状態に保つことができる。
【0061】
図19は本発明の汚染対策方法の第11の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。図19において既出図面と同様の部分又は同様の役割を果たす部分には同符号を付して説明を省略する。
本実施の形態は、石油系油分の漏洩を検知する手段を追加設置した例である。図19に点線で示した油漏れセンサ150は公知のもので足り、例えば膨潤性樹脂とカーボン粒子を含む導電性ポリマー等が利用できる。この場合、例えば導電性ポリマーを配管やタンクの外周面下部に軸方向に沿って貼設すれば、漏洩した石油系油分bとの接触により樹脂が膨潤したときの電気抵抗の増大を検知器151で検出することで、石油系油分bの漏洩を検知することができる。
【0062】
本実施の形態の場合も、既述の各実施の形態と同様に油分取扱設備200の周囲に汚染物質分解帯iを形成しているので汚染の発生は未然に抑制されるが、油分漏洩を検知することにより、貯蔵設備や配管設備の損傷箇所を適時に修復することができる。よって、油分漏洩自体を最小限に抑えることにより、油分取扱設備200の周囲の汚染物質分解帯iの存在と相乗して汚染発生をより効果的に抑制することができる。
【0063】
図20は本発明の汚染対策方法の第12の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。図20において既出図面と同様の部分又は同様の役割を果たす部分には同符号を付して説明を省略する。
本実施の形態は、例えば甚だしい量の石油系油分bが油分取扱設備200から漏洩し、分解されずに一部の汚染物質bが汚染物質分解帯iを通過したとしても、隣地dへの汚染拡散が生じないようにするための施工例である。
【0064】
図21を用いて先述したように、地中への汚染物質bの漏洩が生じると、漏洩した石油系油分bは流下して地下水位fまで到達し、地下水の流れに伴って拡散し得る。地下水の移動速度は周囲の土質(透水係数)や水頭差(水位勾配)、地層勾配等によって異なるが、例えば砂質系の土砂であれば年間数十メートル移動することもある。このため、漏洩後の対策が遅れると隣地dにまで石油系油分bが侵入してしまう危険性がある。
【0065】
そこで本実施の形態では、敷地cの土質、地層の勾配、及び地下水の水位勾配等を事前に調査して地下水の移動方向を見定め、油分取扱設備200に対して地下水の移動方向の下流側に汚染物質分解帯161を形成しておく。汚染物質分解帯161は、油分取扱設備20の設置された敷地cにおける隣地dとの境界に沿って汚染物質分解帯iと同様の土砂材料を埋め戻し、地下水位を跨ぐようにして深さ方向に延在させる。汚染物質分解帯161の高さ寸法は、特に限定されないが少なくとも地下水位fの上下1mを確保しておくことが望ましい。また、汚染物質分解帯161は、漏洩発生の有無とは無関係に万一に備えて予め形成しておいても良いし、油分の大量漏洩を知った後速やかに(汚染物質bが隣地に到達する前に)形成しても効果がある。また、敷地cにおける隣地dとの境界付近でなくとも、汚染物質分解帯161は、油分取扱設備200に対して地下水の移動方向の下流側にあれば石油系油分bの拡散防止の効果を奏する。その他の施工内容は先の実施の形態(例えば第1の実施の形態)と同様である。
【0066】
仮に事前調査により地下水の移動方向が想定できない場合等は、敷地cの外周部、或いは油分取扱設備200を取り囲む位置に、汚染物質分解帯161を環状に形成すれば良い。要するに、地下水の移動方向が特定できなければ、全方位を地下水の移動方向に見立て、汚染物質bがどの方位に移動しても石油系油分bが汚染物質分解帯161に導かれるようにしておく。
【0067】
本実施の形態によれば、仮に汚染物質bの一部が汚染物質分解帯iを通過して敷地cに汚染が発生したとしても、隣地dへの汚染拡散を未然に抑制することができる。
【0068】
なお、以上の各実施の形態においては、油分取扱設備200における石油系油分を貯蔵又は流通する部位の全体に対して周囲又は下部に汚染物質分解帯iを形成した場合を例示して説明したが、例えば樹脂製の配管の外周部(接続部以外)のように油分漏洩の発生の可能性がほとんど見込まれないと判断される場合には、その部位の周囲を省略して油分漏洩が懸念される部位にのみ汚染物質分解帯iを形成するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の汚染対策方法の第1の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。
【図2】本発明の汚染対策方法の第1の実施の形態の一施工例を表す透視平面図である。
【図3】本発明の汚染対策方法の第1の実施の形態に例示されたタンクの周辺の拡大縦断面図である。
【図4】図3中のIV−IV断面による縦断面図である。
【図5】本発明の汚染対策方法の第1の実施の形態に例示されたタンク周辺の拡大平面図である。
【図6】本発明の汚染対策方法の第1の実施の形態に例示された給油管の継ぎ手の拡大図である。
【図7】本発明の汚染対策方法の第1の実施の形態に例示された給油管同士の接続部分を示す図である。
【図8】本発明の汚染対策方法の第2の実施の形態の一施工例を表す平面図である。
【図9】図8中のIX−IX断面による縦断面図である。
【図10】図8中のX−X断面による縦断面図である。
【図11】本発明の汚染対策方法の第3の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。
【図12】本発明の汚染対策方法の第4の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。
【図13】本発明の汚染対策方法の第5の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。
【図14】本発明の汚染対策方法の第6の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。
【図15】本発明の汚染対策方法の第7の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。
【図16】本発明の汚染対策方法の第8の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。
【図17】本発明の汚染対策方法の第9の実施の形態の一施工例を説明するための図である。
【図18】本発明の汚染対策方法の第10の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。
【図19】本発明の汚染対策方法の第11の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。
【図20】本発明の汚染対策方法の第12の実施の形態の一施工例を表す縦断面図である。
【図21】敷地内において油分取扱設備から油分が漏洩した様子を例示した図である。
【符号の説明】
【0070】
1 タンク
2 注油口
3 注油管
4 給油管
5 給油設備
6 コンクリート層
7 設備
8 キャノピー
9 塀
10 砕石
11 タンクベース
13 砂質土
14 砕石層
16 マンホール
17 蓋
18 フランジ
19 配管部材
20 油面計
21,22 フランジ
30 継ぎ手
40 継ぎ手
50 集水溝
60 油水分離槽
70 廃油タンク
80 廃油口
81 廃油配管
82 廃油タンク
90 ピット
100 目地
111 配管
110 U字型の溝
120 タンク
121 ベース
122 坊油堤
130 配管
131 土砂材料帯
140,141 パイプ
150 油漏れセンサ
151 検知器
161 汚染物質分解帯
200 油分取扱設備
b 石油系油分
c 敷地
f 地下水位
i 汚染物質分解帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油分取扱設備から漏洩した石油系油分の周囲の土壌への浸透を未然に抑制する汚染対策方法であって、
前記油分取扱設備における石油系油分の漏洩が懸念される油分漏洩懸念部位とその周囲の土壌との間に、石油系油分を分解する微生物又は微生物を活性化する栄養剤の少なくとも一方を混合した土砂材料の層を形成し、前記油分取扱設備から漏洩した石油系油分が前記土砂材料で分解されるようにすることを特徴とする汚染対策方法。
【請求項2】
請求項1の汚染対策方法において、前記油分取扱設備を構成する部材のうち石油系油分を貯蔵又は流通する部材の接続部を前記油分漏洩懸念部位として、前記土砂材料を前記接続部の周囲に形成することを特徴とする汚染対策方法。
【請求項3】
請求項1又は2の汚染対策方法において、前記油分取扱設備を構成する部材のうち石油系油分を貯蔵又は流通する部材の埋設された部位の周囲及び地上に設置された部位の下方の土壌の表層に前記土砂材料の層を形成し、特に前記油分漏洩懸念部位の周囲の土砂材料の層を他の部位の土砂材料の層に比べて厚く形成することを特徴とする汚染対策方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの汚染対策方法において、石油系油分を吸着する吸着剤を前記土砂材料に混合することを特徴とする汚染対策方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの汚染対策方法において、前記土砂材料の層を形成する箇所に、石油系油分を分解する微生物又は微生物を活性化する栄養剤の少なくとも一方を混合したゲル材料を注入することを特徴とする汚染対策方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの汚染対策方法において、前記油分取扱設備を構成する部材のうち石油系油分を貯蔵又は流通する部材の地上に設置された部位の下方のコンクリートの目地の下部に前記土砂材料の層を形成することを特徴とする汚染対策方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの汚染対策方法において、前記油分取扱設備を構成する部材のうち石油系油分を流通する配管の下部に形成された断面がU字型の溝の周囲に前記土砂材料の層を形成することを特徴とする汚染対策方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかの汚染対策方法において、地上に設置されたタンクからの漏洩油分を受ける防油堤の下部に前記土砂材料の層を形成することを特徴とする汚染対策方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかの汚染対策方法において、敷地の周囲に形成された集水溝、及び前記集水溝が接続する油水分離槽の下部に前記土砂材料の層を形成することを特徴とする汚染対策方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかの汚染対策方法において、帯状材料の一方側の面に前記土砂材料を付着させて土砂材料帯を作成し、土砂材料を付着させた面を内側にして前記油分漏洩懸念部位に前記土砂材料帯を巻き付けることを特徴とする汚染対策方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−67413(P2009−67413A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235626(P2007−235626)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】