説明

汚水処理装置及び汚水処理方法

【課題】電解凝集処理を用いた汚水処理装置の製造コストやランニングコストの低廉化を図ること。
【解決手段】本発明では、電気分解装置(4)を有する電解凝集槽(3)に汚水(30)を貯留し、前記電気分解装置(4)を用いて汚水(30)に対して電解凝集処理を施すことで汚水(30)中の汚物を除去する汚水処理装置(1)において、前記電解凝集槽(3)の底部に濾過器(6)を連通し、前記濾過器(6)に排水管(13)を連通することにした。そして、電解凝集処理を行うことで前記汚水(30)を前記電解凝集槽(3)の内部で凝集によって沈殿した沈殿物(31)と沈殿物(31)が沈殿分離した処理水(32)と処理水(32)の水面に浮遊する浮遊物(33)とに分離し、その後、電解凝集槽(3)から濾過器(6)に電解凝集槽(3)内の沈殿物(31)と処理水(32)とを排出し、前記濾過器(6)によって沈殿物(31)を捕捉することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚水処理装置及び汚水処理方法に関するものであり、特に、電気分解装置を有する電解凝集槽に汚水を貯留し、電気分解装置を用いて汚水に対して電解凝集処理を施すことで汚水中の汚物を除去する汚水処理装置及び汚水処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の水処理で排出される汚水は、汚水処理装置を用いて汚水中の汚物を除去した後に排水されている。
【0003】
そして、従来の汚水処理装置としては、たとえば特許文献1に開示されているように、電気分解装置を用いて汚物を電解凝集させる汚水処理装置が知られている。
【0004】
この特許文献1に開示されている電気分解装置を用いた汚水処理装置では、電解凝集槽に電気分解装置と微細気泡発生装置とを設けた構成となっており、電解凝集槽に汚水を貯留した後に、電気分解装置によって汚水を電気分解し、電気分解により発生した金属イオンで汚物を凝集させ、凝集させた汚物を微細気泡発生装置から発生する微細気泡によって電解凝集槽の上部へ浮上させ、汚物を電解凝集槽からオーバーフローさせることで、汚水中に含有される汚物を除去するようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−136767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の汚水処理装置では、凝集させた汚物を微細気泡発生装置で発生する微細気泡によって強制的に電解凝集槽からオーバーフローさせることで汚物を除去するように構成していたために、微細気泡発生装置が必要となり、装置の製造コストやランニングコストが増大していた。
【0007】
また、上記従来の汚水処理装置では、微細気泡によって全ての汚物を電解凝集槽の上部まで浮上させてオーバーフローさせることは困難であり、電解凝集処理を行った後に電解凝集槽の内部に汚物が残留してしまい、その清掃作業のために多大な労力や時間を要していた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、電気分解装置を有する電解凝集槽に汚水を貯留し、前記電気分解装置を用いて汚水に対して電解凝集処理を施すことで汚水中の汚物を除去する汚水処理装置において、前記電解凝集槽の底部に濾過器を連通し、前記濾過器に処理水を排出するための排水管を連通することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記電解凝集槽の底部に傾斜面を形成し、前記傾斜面の下端部に排出管を接続し、前記排出管に前記濾過器を連通することにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記電解凝集槽に前記汚水の水温を調節するための調温装置を設けることにした。
【0011】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項1〜請求項3のいずれかに係る本発明において、前記電解凝集槽に供給する汚水をあらかじめ貯留するための貯留槽を前記電解凝集槽に汚水供給流路を介して接続するとともに、前記貯留槽及び/又は前記汚水供給流路に前記汚水の水温を調節するための調温装置を設けることにした。
【0012】
また、請求項5に係る本発明では、前記請求項1〜請求項4のいずれかに係る本発明において、前記電解凝集槽に前記汚水をオーバーフローさせるためのオーバーフロー管を設け、前記電解凝集槽に電解凝集処理で生じた浮遊物を前記オーバーフロー管へ掻き出すためのスクレーパーを設けることにした。
【0013】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項1〜請求項5のいずれかに係る本発明において、前記電解凝集槽に処理水を貯留する処理水貯留槽を処理水回収流路を介して連通連結し、前記電解凝集槽及び/又は前記処理水貯留槽及び/又は前記処理水回収流路に処理水をオゾンガスで曝気するための曝気機構を設けることにした。
【0014】
また、請求項7に係る本発明では、前記請求項1〜請求項6のいずれかに係る本発明において、前記汚水の水温を処理前及び/又は処理中に40〜90℃に加温することにした。
【0015】
また、請求項8に係る本発明では、電気分解装置を有する電解凝集槽に汚水を貯留し、前記電気分解装置を用いて汚水に対して電解凝集処理を施すことで汚水中の汚物を除去する汚水処理方法において、前記電解凝集槽の底部に濾過器を連通し、前記濾過器に処理水を排出するための排水管を連通するとともに、前記電解凝集槽に前記汚水の水温を調節するための調温装置を設けて、前記調温装置で前記汚水の水温を調節するとともに、前記電解凝集槽と前記濾過器とで汚水を処理することにした。
【0016】
また、請求項9に係る本発明では、前記請求項8に係る本発明において、前記電解凝集槽に供給する汚水をあらかじめ貯留するための貯留槽を前記電解凝集槽に汚水供給流路を介して接続するとともに、前記貯留槽及び/又は前記汚水供給流路に前記汚水の水温を調節するための調温装置を設けて、前記調温装置で前記汚水の水温を調節することにした。
【発明の効果】
【0017】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0018】
すなわち、請求項1に係る本発明では、電気分解装置を有する電解凝集槽に汚水を貯留し、電気分解装置を用いて汚水に対して電解凝集処理を施すことで汚水中の汚物を除去する汚水処理装置において、電解凝集槽の底部に濾過器を連通し、濾過器に処理水を排出するための排水管を連通しているために、汚水に対して電解凝集処理を行うことで電解凝集槽の内部で凝集によって沈殿した沈殿物と沈殿物が沈殿分離した処理水と処理水の水面に浮遊する浮遊物とに分離され、その後、これらの沈殿物と処理水と浮遊物とを電解凝集槽の底部から排出することで固形分である沈殿物と浮遊物とを濾過器で捕捉するとともに、処理水を排水管から排出することができるので、従来の電気分解装置を用いた汚水処理装置のように微細気泡発生装置などの特別な装置を用いることなく汚水の処理を行うことができ、汚水処理装置の製造コストやランニングコストの低廉化を図ることができる。
【0019】
また、請求項2に係る本発明では、電解凝集槽の底部に傾斜面を形成し、傾斜面の下端部に排出管を接続し、排出管に濾過器を連通しているために、電解凝集槽の底部の傾斜面に沿って沈殿物や処理水を円滑に濾過器へ排出することができる。
【0020】
また、請求項3に係る本発明では、電解凝集槽に汚水の水温を調節するための調温装置を設けているために、調温装置によって汚水の水温を調節することで電気分解の反応速度を速めることができるので、汚水の電解凝集処理に要する処理時間を短縮することができ、汚水の大量処理を行うことができる。
【0021】
また、請求項4に係る本発明では、電解凝集槽に供給する汚水をあらかじめ貯留するための貯留槽を電解凝集槽に汚水供給流路を介して接続するとともに、貯留槽及び/又は汚水供給流路に汚水の水温を調節するための調温装置を設けているために、調温装置によって汚水の水温を調節することで電気分解の反応速度を速めることができるので、汚水の電解凝集処理に要する処理時間を短縮することができ、汚水の大量処理を行うことができる。
【0022】
また、請求項5に係る本発明では、電解凝集槽に汚水をオーバーフローさせるためのオーバーフロー管を設け、電解凝集槽に電解凝集処理で生じた浮遊物をオーバーフロー管へ掻き出すためのスクレーパーを設けているために、スクレーパーによって浮遊物をオーバーフロー管へ円滑に排出することができ、電解凝集槽の内部に浮遊物が付着してしまうのを防止することができ、電解凝集槽の清掃作業に要する労力や時間を短縮することができる。
【0023】
また、請求項6に係る本発明では、電解凝集槽に処理水を貯留する処理水貯留槽を処理水回収流路を介して連通連結し、電解凝集槽及び/又は処理水貯留槽及び/又は処理水回収流路に処理水をオゾンガスで曝気するための曝気機構を設けているために、処理水をオゾンガスで曝気することができ、処理水の浄化を図ることができる。
【0024】
また、請求項7に係る本発明では、汚水の水温を処理前及び/又は処理中に40〜90℃に加温することにしているために、電気分解の反応速度を速めることができ、汚水の電解凝集処理に要する処理時間を短縮することができ、汚水の大量処理を行うことができる。
【0025】
また、請求項8に係る本発明では、電気分解装置を有する電解凝集槽に汚水を貯留し、電気分解装置を用いて汚水に対して電解凝集処理を施すことで汚水中の汚物を除去する汚水処理方法において、電解凝集槽の底部に濾過器を連通し、濾過器に処理水を排出するための排水管を連通するとともに、電解凝集槽に前記汚水の水温を調節するための調温装置を設けて、調温装置で前記汚水の水温を調節するとともに、電解凝集槽と前記濾過器とで汚水を処理することにしているために、調温装置によって汚水の水温を調節することで電気分解の反応速度を速めることができるので、汚水の電解凝集処理に要する処理時間を短縮することができ、汚水の大量処理を行うことができる。
【0026】
また、請求項9に係る本発明では、電解凝集槽に供給する汚水をあらかじめ貯留するための貯留槽を電解凝集槽に汚水供給流路を介して接続するとともに、貯留槽及び/又は汚水供給流路に汚水の水温を調節するための調温装置を設けて、調温装置で前記汚水の水温を調節することにしているために、これによっても、調温装置によって汚水の水温を調節することで電気分解の反応速度を速めることができるので、汚水の電解凝集処理に要する処理時間を短縮することができ、汚水の大量処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明に係る汚水処理装置及び汚水処理方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0028】
[第1実施例]
図1及び図2に示すように、汚水処理装置1は、矩形箱枠状の基台2の上部に矩形箱型状の電解凝集槽3を載置するとともに、この電解凝集槽3に電気分解装置4と調温装置5とを配設し、また、基台2の底部に縦長矩形箱型状の濾過器6とポンプ7とを載置している。
【0029】
そして、汚水処理装置1は、電解凝集槽3の底部に排出管8の始端部を接続し、この排出管8の中途部に開閉バルブ9を介設するとともに、排出管8の終端部に濾過器6を接続している。
【0030】
また、汚水処理装置1は、電解凝集槽3の内部にオーバーフロー管10を配設し、このオーバーフロー管10の中途部に開閉バルブ11を介設するとともに、オーバーフロー管10の終端部を排出管8の中途部に接続している。
【0031】
また、汚水処理装置1は、濾過器6に連通管12の始端部を接続し、この連通管12の終端部にポンプ7を接続し、ポンプ7に排水管13を接続している。
【0032】
さらに、汚水処理装置1は、濾過器6とポンプ7とを連通する連通管12の中途部に流路切替バルブ14(三方コック)を介設するとともに、この流路切替バルブ14に供給管15の終端部を接続し、また、排水管13の中途部にも流路切替バルブ16(三方コック)を介設するとともに、この流路切替バルブ16に流入管17の始端部を接続し、この流入管17の終端部を電解凝集槽3の上部に接続している。
【0033】
電解凝集槽3は、図3及び図4に示すように、槽本体18の上部開口に蓋体19を覆設しており、槽本体18の底部中央に排出管8の始端部を接続するとともに、槽本体18の右側上部に流入管17の終端部を接続し、槽本体18の左側底部にオーバーフロー管10を挿通して、オーバーフロー管10の始端部を槽本体18の内部において流入管17の終端部よりも下方に配置している。
【0034】
電気分解装置4は、電解凝集槽3に二対の矩形板状の電極板20,21,22,23を平行に収容し、正極側のアルミニウム製の電極板20,22と負極側の鉄製の電極板21,23との間に電源24から供給される直流電圧を印加するようにしている。これらの電極板20,21,22,23は、電解凝集槽3の蓋体19に形成したスリット25から挿通され、電解凝集槽3の槽本体18の底部に形成した左右一対の支持体26の支持溝27で支持されている。
【0035】
調温装置5は、電源24に接続したヒーターを用いている。なお、調温装置5は、冷却機能と加熱機能とを有するものを用いてもよい。また、調温装置5は、電解凝集槽3の内部に設けた場合に限られず、電解凝集槽3に供給する汚水をあらかじめ貯留するための貯留槽を電解凝集槽3に汚水供給流路を介して接続して、これら貯留槽及び/又は汚水供給流路に汚水の水温を調節するための調温装置を設けた構成としてもよい。また、調温装置5による汚水の調節温度としては、処理前又は/及び処理中に40〜90℃とするのが好ましい。
【0036】
濾過器6は、縦長矩形箱型状のケーシング28の内部にフィルター29を収容し、このフィルター29で固形分を捕捉するようにしている。
【0037】
なお、電解凝集槽3に処理水を貯留する処理水貯留槽を処理水回収流路を介して連通連結し、電解凝集槽3及び/又は処理水貯留槽及び/又は処理水回収流路に処理水をオゾンガスで曝気するための曝気機構を設けてもよい。この場合には、処理水をオゾンガスで曝気することができ、処理水の浄化を図ることができる。
【0038】
以上に説明したように、汚水処理装置1では、電解凝集槽3の底部に濾過器6を排出管8を介して連通し、濾過器6にポンプ7を介して排水管13を連通し、また、電解凝集槽3にオーバーフロー管10を設け、オーバーフロー管10を濾過器6に連通している。
【0039】
また、汚水処理装置1では、濾過器6とポンプ7とを連通する連通管12の中途部に供給管15を流路切替バルブ14を介して連通するとともに、ポンプ7と排水管13との間に流路切替バルブ16を設け、この流路切替バルブ16と電解凝集槽3とを連通し、両流路切替バルブ14,16によって供給管15からポンプ7を介して電解凝集槽3へと通じる汚水供給流路A(図5参照。)と電解凝集槽3からポンプ7を介して排水管13へと通じる汚水排出流路B(図7、図8参照。)とに流路を変更できるように構成している。
【0040】
そして、上記構成の汚水処理装置1では、まず、図5に示すように、排出管8の開閉バルブ9とオーバーフロー管10の開閉バルブ11を閉塞状態とするとともに、連通管12の流路切替バルブ14を供給管15からポンプ7への連通状態とし、排水管13の流路切替バルブ16をポンプ7から流入管17への連通状態として、供給管15からポンプ7を介して電解凝集槽3へと通じる汚水供給流路Aを形成し、ポンプ7を駆動することによって供給管15から供給される汚水30を電解凝集槽3に貯留する。
【0041】
次に、汚水処理装置1では、図6に示すように、ポンプ7の駆動を停止するとともに、電気分解装置4を駆動して、二対の電極板20,21,22,23に直流電圧を印加し、汚水30に対して電解凝集処理を行う。この電解凝集処理により、電解凝集槽3の内部では、汚水30の電気分解により発生した金属イオンに汚水30に含有される汚物が凝集され、その結果、汚水30が沈殿した沈殿物31と沈殿物31が沈殿分離した処理水32と処理水32の水面に浮遊する浮遊物33とに分離する。
【0042】
この電解凝集処理においては、調温装置5によって汚水30の温度を電気分解に適した水温に調節することができる。このように、上記汚水処理装置1では、電解凝集槽3に汚水30の水温を調節するための調温装置5を設けているために、調温装置5によって汚水30の水温を調節することで電気分解の反応速度を速めることができるので、汚水30の電解凝集処理に要する処理時間を短縮することができ、汚水30の大量処理を行うことができる。
【0043】
次に、汚水処理装置1では、図7に示すように、排出管8の開閉バルブ9とオーバーフロー管10の開閉バルブ11を開放状態とするとともに、連通管12の流路切替バルブ14を濾過器6からポンプ7への連通状態とし、排水管13の流路切替バルブ16をポンプ7から排水管13への連通状態として、電解凝集槽3からポンプ7を介して排水管13へと通じる汚水排出流路Bを形成し、ポンプ7を駆動することによって電解凝集槽3から沈殿物31と処理水32と浮遊物33を吸引する。
【0044】
そのときに、浮遊物33は、図7に示すように、オーバーフロー管10を介して濾過器6に吸引され、濾過器6のフィルター29によって捕捉される。
【0045】
そして、図8に示すように、先に沈殿物31が排出管8を介して濾過器6に吸引され、濾過器6のフィルター29によって捕捉され、その後に、処理水32が排出管8を介して濾過器6に吸引され、濾過器6のフィルター29を通過して、排水管13から排水される。
【0046】
なお、濾過器6のフィルター29で捕捉する沈殿物31や浮遊物33は凝集によって粒径が大型化しているために、使用するフィルター29は目の粗い安価なものを用いることができ、これにより、汚水処理装置1のコストを低廉化することができるとともに、処理水32がフィルター29を通過する際の抵抗が低く、ポンプ7によって円滑に吸引することができる。
【0047】
このように、上記汚水処理装置1では、電解凝集処理を行うことで汚水30を電解凝集槽3の内部で凝集によって沈殿した沈殿物31と沈殿物31が沈殿分離した処理水32と処理水32の水面に浮遊する浮遊物33とに分離し、その後、電解凝集槽3に連通する濾過器6よりも下流側に配設したポンプ7で電解凝集槽3の内部の沈殿物31と処理水32とを吸引し、濾過器6によって沈殿物31を捕捉するようにしている。
【0048】
そのため、上記汚水処理装置1では、従来の電気分解装置を用いた汚水処理方法のように微細気泡発生装置などの特別な装置を用いることなく汚水30の処理を行うことができ、汚水処理装置1の製造コストやランニングコストの低廉化を図ることができる。
【0049】
特に、上記汚水処理装置1では、濾過器6に連通させたオーバーフロー管10からポンプ7によって電解凝集槽3の内部の浮遊物33を吸引し、濾過器6によって浮遊物33を捕捉するようにしている。
【0050】
そのため、上記汚水処理装置1では、電解凝集処理によって処理水32の水面に浮遊する浮遊物33を沈殿物31とは別個にオーバーフロー管10から濾過器6に吸引することができるので、電解凝集槽3から沈殿物31と処理水32とをポンプ7によって吸引すると、沈殿した沈殿物31が吸引された後に浮遊物33が存在しない状態の処理水32が吸引されることになり、電解凝集槽3から最後に吸引される処理水32の中に浮遊物33が含まれておらず、電解凝集槽3の内部に浮遊物33が付着してしまうのを防止することができ、電解凝集槽3の清掃作業に要する労力や時間を短縮することができる。
【0051】
また、上記汚水処理装置1では、供給管15からポンプ7を介して電解凝集槽3へと通じる汚水供給流路Aと電解凝集槽3からポンプ7を介して排水管13へと通じる汚水排出流路Bとに流路を変更できるようにしているために、流路を変更することによって電解凝集処理前の汚水30の供給と電解凝集処理後の汚水30(沈殿物31、処理水32、浮遊物33)の排出とを1個のポンプを用いて行うことができるので、汚水30の供給と排出とを別々に行うために2個のポンプを用いる必要がなくなり、汚水処理装置1のコストを低減することができる。
【0052】
[第2実施例]
上記第1実施例に係る汚水処理装置1では、ポンプ7に排水管13を直結して、処理水32を排水管13からそのまま排出するように構成しているが、さらに処理水32を浄化できるように構成することもできる。
【0053】
図9に示す汚水処理装置34では、上記汚水処理装置1と同様の構成の汚水処理ユニット35の下流に処理水32の浄化を行う処理水浄化ユニット36を接続している。なお、以下の説明では、上記第1実施例に係る汚水処理装置1と同様の機能を有する部材については同一の符号を付して説明を省略している。
【0054】
処理水浄化ユニット36は、流路切替バルブ16に連結管37の始端部を接続するとともに、この連結管37の終端部に貯留槽38を接続し、この貯留槽38に循環濾過器39を接続している。
【0055】
循環濾過器39は、貯留槽38の底部に流出管40の始端部を接続し、この流出管40の中途部に開閉バルブ41を介設するとともに、流出管40の終端部にフィルター42を収容した濾過器43を接続し、この濾過器43にポンプ44を連通管45を介して接続している。
【0056】
また、循環濾過器39は、ポンプ44に排水管13の始端部を接続し、この排水管13の中途部に流路切替バルブ46(三方コック)を介設し、この流路切替バルブ46に流入管47の始端部を接続し、この流入管47の終端部を貯留槽38の上部に接続している。
【0057】
そして、処理水浄化ユニット36は、循環濾過器39の開閉バルブ41を閉塞状態とするとともに、流路切替バルブ16をポンプ7から貯留槽38への連通状態とし、ポンプ7を駆動することによって、汚水処理ユニット35で処理した処理水32を貯留槽38に貯留する。
【0058】
次に、処理水浄化ユニット36は、循環濾過器39の開閉バルブ41を開放状態とするとともに、流路切替バルブ46をポンプ44から貯留槽38への連通状態とし、ポンプ44を駆動することによって、貯留槽38に貯留した処理水32を濾過器43を介して循環させながら濾過器43で濾過する。
【0059】
このときに、汚水処理ユニット35では、電解凝集槽3に次の汚水30を貯留して、電解凝集処理を行うことができる。
【0060】
その後、処理水浄化ユニット36は、循環濾過器39の開閉バルブ41を開放状態とするとともに、流路切替バルブ46をポンプ44から排水管13への連通状態とし、ポンプ44を駆動することによって、貯留槽38に貯留した処理水32を排水管13から排水する。
【0061】
このように、上記汚水処理装置34では、ポンプ7と排水管13との間に処理済の汚水30(処理水32)を貯留するための貯留槽38を介設するとともに、貯留槽38の内部の汚水30(処理水32)を循環させながら濾過する循環濾過器39を貯留槽38に連通しているために、電解凝集槽3で汚水30を処理した後に、処理した汚水30(処理水32)を貯留槽38に移して循環濾過器39で濾過すると同時に、電解凝集槽3で次の汚水30を処理することができるので、汚水30の電解凝集と濾過とを同時に並行して処理することができ、汚水30の大量処理を行うことができる。
【0062】
[第3実施例]
第3実施例に係る汚水処理装置48は、図10〜図14に示すように、基台49に上部を開口した矩形箱型状の電解凝集槽50を取付け、電解凝集槽50の内部にオーバーフロー管51,52を形成するとともに、電解凝集槽50の底部に濾過器53を連通連結し、電解凝集槽50に調温装置としてのボイラー54と水源55とをそれぞれ連通連結し、さらには、電解凝集槽50の上部にスクレーパー56を着脱自在に載置している。
【0063】
電解凝集槽50は、底部に中央部へ向けて傾斜する左右一対の傾斜面57,58を形成するとともに、傾斜面57,58の最下端部に排出管59の始端部を接続し、この排出管59の終端部に濾過器53を開閉バルブ60を介して接続している。
【0064】
また、電解凝集槽50は、底部に連通管61の始端部を接続し、この連通管61の終端部にボイラー54を開閉バルブ62を介して接続している。そして、電解凝集槽50は、ボイラー54から内部に高温蒸気を供給することで汚水の温度を上昇させることができるようになっている。
【0065】
また、電解凝集槽50は、上部に連通管63の始端部を接続し、この連通管63の終端部に水源55(水道水源)を開閉バルブ64を介して接続している。そして、電解凝集槽50は、水源55から内部に常温又は低温の水を供給することで汚水の温度を下降させることができるようになっている。
【0066】
さらに、電解凝集槽50は、底部の傾斜面57,58の最上端部に左右一対の隔壁65,66を立設して、隔壁65,66の内側に電解処理室67を形成するとともに、隔壁65,66の外側に矩形断面形状のオーバーフロー管51,52を形成している。
【0067】
電解処理室67は、底部に網目状のフィルター68を配置するとともに、フィルター68の上部に電気分解装置69を載置している。
【0068】
この電気分解装置69は、矩形枠状のフレーム70に7対の矩形板状の電極板71〜84を平行に収容し、正極側のアルミニウム製の電極板71,73,75,77,79,81,83と負極側の電極板72,74,76,78,80,82,84との間に直流電圧を印加するようにしている。
【0069】
また、電解処理室67には、3個の連通管85,86,87の始端部を上下に間隔をあけて接続するとともに、3個の連通管85,86,87を上下に伸延させた透明の目視パイプ88に接続している。これにより、目視パイプ88を外部から目視することで、電解凝集槽50(電解処理室67)の内部の汚水の処理状態を確認することができるようになっている。
【0070】
スクレーパー56は、電解凝集槽50の開口上端部に着脱自在に載置した支持フレーム89にベルトコンベア機構90を取付け、このベルトコンベア機構90のベルト91に6枚の矩形板状のヘラ92を間隔をあけて取付けている。そして、スクレーパー56は、ベルトコンベア機構90を駆動することでベルト91が回動し、それに伴ってヘラ92が電解処理室67の開口部に沿って移動し、電解処理室67の内部に貯留された汚水30に浮遊する浮遊物を電解処理室67からオーバーフロー管51,52へと排出するようにしている。
【0071】
オーバーフロー管51,52は、底部に連通管93,94の始端部を接続し、この連通管93,94の終端部に濾過器53を開閉バルブ95,96を介して接続している。
【0072】
濾過器53は、上記実施例1又は実施例2に係る濾過器6と同様の構成となっており、排水管97の始端部を接続して、この排水管97から処理水を排出できるようにしている。
【0073】
なお、調温装置は、ボイラー54と水源55とで構成した場合に限られず、汚水30の水温を調節できる構成のものであればよく、また、電解凝集槽50の内部に設けた場合に限られず、電解凝集槽50に供給する汚水30をあらかじめ貯留するための貯留槽を電解凝集槽50に汚水供給流路を介して接続して、これら貯留槽及び/又は汚水供給流路に汚水30の水温を調節するための調温装置を設けた構成としてもよい。また、調温装置による汚水30の調節温度としては、処理前又は/及び処理中に40〜90℃とするのが好ましい。
【0074】
また、電解凝集槽50に処理水を貯留する処理水貯留槽を処理水回収流路を介して連通連結し、電解凝集槽50及び/又は処理水貯留槽及び/又は処理水回収流路に処理水をオゾンガスで曝気するための曝気機構を設けてもよい。この場合には、処理水をオゾンガスで曝気することができ、処理水の浄化を図ることができる。
【0075】
以上に説明したように、上記汚水処理装置48では、電解凝集槽50の底部に濾過器53を連通し、濾過器53に排水管97を連通しているために、汚水30に対して電解凝集処理を行うことで電解凝集槽50の内部で凝集によって沈殿した沈殿物31と沈殿物31が沈殿分離した処理水32と処理水32の水面に浮遊する浮遊物33とに分離され、その後、これらの沈殿物31と処理水32と浮遊物33とを電解凝集槽50の底部から排出することで固形分である沈殿物31と浮遊物33とを濾過器53で捕捉するとともに、処理水32を排水管97から排出することができるので、従来の電気分解装置を用いた汚水処理装置のように微細気泡発生装置などの特別な装置を用いることなく汚水30の処理を行うことができ、汚水処理装置48の製造コストやランニングコストの低廉化を図ることができる。
【0076】
特に、上記汚水処理装置48では、電解凝集槽50の底部に傾斜面57,58を形成し、傾斜面57,58の下端部に排出管59を接続し、排出管59に濾過器53を連通しているために、電解凝集槽50の底部の傾斜面57,58に沿って沈殿物31や処理水32を円滑に濾過器53へ排出することができる。
【0077】
また、上記汚水処理装置48では、電解凝集槽50に電解凝集処理で生じた浮遊物をオーバーフロー管51,52へ掻き出すためのスクレーパー56を設けているために、スクレーパー56によって浮遊物33をオーバーフロー管51,52へ円滑に排出することができ、これにより、電解凝集槽50の内部に浮遊物33が付着してしまうのを防止することができ、電解凝集槽50の清掃作業に要する労力や時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】第1実施例に係る汚水処理装置を示す正面図。
【図2】同ブロック配管図。
【図3】電解凝集槽を示す正面断面図。
【図4】同側面断面図。
【図5】汚水処理方法を示す説明図(汚水供給時)。
【図6】汚水処理方法を示す説明図(電解凝集処理時)。
【図7】汚水処理方法を示す説明図(オーバーフロー時)。
【図8】汚水処理方法を示す説明図(排出時)。
【図9】第2実施例に係る汚水処理装置を示すブロック配管図。
【図10】第3実施例に係る汚水処理装置を示す正面図。
【図11】同側面図。
【図12】同平面図。
【図13】同正面断面図。
【図14】同側面断面図。
【符号の説明】
【0079】
1 汚水処理装置 2 基台
3 電解凝集槽 4 電気分解装置
5 調温装置 6 濾過器
7 ポンプ 8 排出管
9 開閉バルブ 10 オーバーフロー管
11 開閉バルブ 12 連通管
13 排水管 14 流路切替バルブ
15 供給管 16 流路切替バルブ
17 流入管 18 槽本体
19 蓋体 20,21,22,23 電極板
24 電源 25 スリット
26 支持体 27 支持溝
28 ケーシング 29 フィルター
30 汚水 31 沈殿物
32 処理水 33 浮遊物
34 汚水処理装置 35 汚水処理ユニット
36 処理水浄化ユニット 37 連結管
38 貯留槽 39 循環濾過器
40 流出管 41 開閉バルブ
42 フィルター 43 濾過器
44 ポンプ 45 連通管
46 流路切替バルブ 47 流入管
48 汚水処理装置 49 基台
50 電解凝集槽 51,52 オーバーフロー管
53 濾過器 54 ボイラー
55 水源 56 スクレーパー
57,58 傾斜面 59 排出管
60 開閉バルブ 61 連通管
62 開閉バルブ 63 連通管
64 開閉バルブ 65,66 隔壁
67 電解処理室 68 フィルター
69 電気分解装置 70 フレーム
71〜84 電極板 85,86,87 連通管
88 目視パイプ 89 支持フレーム
90 ベルトコンベア機構 91 ベルト
92 ヘラ 93,94 連通管
95,96 開閉バルブ 97 排水管
A 汚水供給流路 B 汚水排出流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気分解装置を有する電解凝集槽に汚水を貯留し、前記電気分解装置を用いて汚水に対して電解凝集処理を施すことで汚水中の汚物を除去する汚水処理装置において、
前記電解凝集槽の底部に濾過器を連通し、前記濾過器に処理水を排出するための排水管を連通したことを特徴とする汚水処理装置。
【請求項2】
前記電解凝集槽の底部に傾斜面を形成し、前記傾斜面の下端部に排出管を接続し、前記排出管に前記濾過器を連通したことを特徴とする請求項1に記載の汚水処理装置。
【請求項3】
前記電解凝集槽に前記汚水の水温を調節するための調温装置を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の汚水処理装置。
【請求項4】
前記電解凝集槽に供給する汚水をあらかじめ貯留するための貯留槽を前記電解凝集槽に汚水供給流路を介して接続するとともに、前記貯留槽及び/又は前記汚水供給流路に前記汚水の水温を調節するための調温装置を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の汚水処理装置。
【請求項5】
前記電解凝集槽に前記汚水をオーバーフローさせるためのオーバーフロー管を設け、前記電解凝集槽に電解凝集処理で生じた浮遊物を前記オーバーフロー管へ掻き出すためのスクレーパーを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の汚水処理装置。
【請求項6】
前記電解凝集槽に処理水を貯留する処理水貯留槽を処理水回収流路を介して連通連結し、前記電解凝集槽及び/又は前記処理水貯留槽及び/又は前記処理水回収流路に処理水をオゾンガスで曝気するための曝気機構を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の汚水処理装置。
【請求項7】
前記汚水の水温を処理前及び/又は処理中に40〜90℃に加温することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の汚水処理装置。
【請求項8】
電気分解装置を有する電解凝集槽に汚水を貯留し、前記電気分解装置を用いて汚水に対して電解凝集処理を施すことで汚水中の汚物を除去する汚水処理方法において、
前記電解凝集槽の底部に濾過器を連通し、前記濾過器に処理水を排出するための排水管を連通するとともに、前記電解凝集槽に前記汚水の水温を調節するための調温装置を設けて、前記調温装置で前記汚水の水温を調節するとともに、前記電解凝集槽と前記濾過器とで汚水を処理することを特徴とする汚水処理方法。
【請求項9】
前記電解凝集槽に供給する汚水をあらかじめ貯留するための貯留槽を前記電解凝集槽に汚水供給流路を介して接続するとともに、前記貯留槽及び/又は前記汚水供給流路に前記汚水の水温を調節するための調温装置を設けて、前記調温装置で前記汚水の水温を調節することを特徴とする請求項8に記載の汚水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−207089(P2008−207089A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45732(P2007−45732)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(507062602)有限会社共和産商 (1)
【出願人】(000242024)株式会社北研 (17)
【Fターム(参考)】