説明

汚水洗浄装置

【課題】少量の洗浄水で汚水受器内の広い範囲を洗浄することが可能になった。
【解決手段】洗浄水によって洗浄可能な汚水受器1を有する汚水洗浄装置において、
給水タンク14から汚水受器1の洗浄ノズル10への給水途中に遮断弁12及び送水圧力調整装置11を設け、かつ汚水受器1の洗浄ノズル10が送水圧力の変化によって吐水洗浄範囲が変更される形状を有し、汚水受器1への送水圧力調整装置11による送水圧力を調整することにより汚水受器1の洗浄範囲を変更可能とする汚水洗浄装置による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、汚水洗浄装置、詳細には電車、列車、特に新幹線車両や長距離用の電車、列車内に設置され、小便等の汚水を洗浄処理する車両用汚水処理装置の汚水洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新幹線車両、長距離用電車、列車内に設置される汚水受器(小便器)に為された汚水は、給水タンクから給水管を通り送水され、汚水受器内の洗浄ノズルから吐出される洗浄水とともに汚水管を経由して汚物タンクへ流されている。汚水受器(小便器)は、上部に洗浄ノズルを設けており、洗浄ノズルは上流の給水管に設けられた給水電磁弁によって給水を制御されており、給水電磁弁は適宜の時間開閉動作をし一定の圧力によって洗浄水を汚水受器へ送水していた。
【0003】
電車、列車、特に新幹線車両や長距離用の電車、列車内に設置される車両用汚水処理装置の汚水洗浄装置においては、給水タンクに保持される洗浄水の量が制約されているため1回の洗浄に使用する量は、非常に少なく約300cc程度である。通常の建物の汚水洗浄装置の洗浄水の量と比較すると約9000ccと約30分の1程度で洗浄する必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の汚水洗浄装置、特に車両内に設置される汚水洗浄装置は、一回毎の洗浄水圧が一定で継続されて吐水されており、そのため最小の水量としても300cc以上の水量が必要であった。
【0005】
特に、従来の汚水洗浄装置は、水が少量であると、洗浄ノズルの形状によって洗浄の出来ない範囲や部分が出来てしまう不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、洗浄水によって洗浄可能な汚水受器を有する汚水洗浄装置において、
給水タンクから汚水受器の洗浄ノズルへの給水途中に給水電磁弁及び送水圧力調整容器を備えた送水圧力調整装置を設け、かつ汚水受器の洗浄ノズルが送水圧力の変化によって吐水洗浄範囲が変更される形状を有し、汚水受器への送水圧力調整装置による送水圧力を調整することにより汚水受器の洗浄範囲を変更可能とすることを特徴とする汚水洗浄装置を提案する。
【0007】
また、送水圧力調整装置が、圧力調整容器と、給水電磁弁と、給水電磁弁を設けた給水配管と、給水電磁弁の開閉を調整可能なコントロールユニットとを有する0006欄に記載の汚水洗浄装置を提案する。
【0008】
更に、給水電磁弁が、開閉により断続して送水することにより汚水受器の洗浄ノズルからの洗浄範囲を変更可能な0006欄又は0007欄に記載の汚水洗浄装置を提案する。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、従来の汚水洗浄装置に比較して非常に少量の洗浄水によって汚水の洗浄が出来る効果がある。そのため1回当りの洗浄水の量を制限されている車両用の汚水洗浄装置において洗浄水の量を少なくするが、洗浄範囲は変わらないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1乃至図3は、この発明の実施形態を示すもので、図1は、この発明の中間タンクを有する圧送式の車両用汚水洗浄装置の説明図、図2は送水圧力調整装置の拡大説明図、図3は、この発明の他の実施形態であり自然落下式の車両用汚水洗浄装置の説明図である。
【0011】
次に、この発明の車両用汚水洗浄装置について1つの実施形態である中間タンクを有する圧送式の示す図1及び図2に基づいて説明する。車両用汚水処理装置は、車両内に設けられる小便器である汚水受器1と、洗浄ノズル10と、コントロールユニット114を有する送水圧力調整装置11と、汚水管2と、汚物タンク3と、中間タンク4と、上流側開閉弁5と、下流側開閉弁6と、洗浄スイッチ7を有する。8は車内と車外を区分する部分であり、実施形態では車内床部分である。
【0012】
汚水受器1は、この実施形態では大人用小便器であるが小人用小便器、オストメイト用汚水受器、洗面ボウルでもよい。汚水受器1は、上部に洗浄ノズル10を設けており、その吐水形状は送水圧力によって吐水範囲が変更される形状であり、汚水受器1の洗浄ノズル10への送水圧力を送水圧力調整装置11によって調整することにより汚水受器1の洗浄範囲を変更することが可能である。
【0013】
洗浄ノズル10は、上流側で後述する送水圧力調整装置11の給水配管113に連結している。
【0014】
送水圧力調整装置11は、給水電磁弁111と、圧力調整容器112と、圧力調整容器112を有する給水配管113、及び給水電磁弁111の弁の開閉を調整可能なコントロールユニット114とを有する。給水配管113は、送水圧力調整装置110の上流に遮断弁12と、ストレーナ(濾過器)13を有しており、最上流で給水タンク14に接続している。15は電源でありコントロールユニット114等に接続している。
【0015】
コントロールユニット114は、予め入力されたプログラムによって洗浄スイッチ7からの検知信号の受信、及びその受信に基づいて洗浄ノズル10、送水圧力調整装置11の給水電磁弁111へ指示信号の送信を行う。洗浄スイッチ7は光電センサー或いは押しボタンスイッチ等からなる。
【0016】
汚水管2は、汚水受器1から汚水を中間タンク4まで送る上流側汚水管20と、上流側中間タンク4から汚水を汚物タンク3まで送る下流側汚水管21とからなる。中間タンク4は、車内部分に配設されている。
【0017】
中間タンク4は、上流側汚水管20の下流端部と上流側開閉弁5を介して接続し、下流側汚水管21の上流端部と下流側開閉弁6を介して接続している。別の実施形態では、上流側開閉弁5は、中間タンク4より上流かつ汚水受器1より下流の位置に設けられればよく、下流側開閉弁6は、中間タンク4より下流かつ汚物タンク3より上流の位置に設けられればよい。
【0018】
上流側開閉弁5及び下流側開閉弁6は、この実施例では電磁式エアスライドバルブとからなるスライド式開閉弁であるが、管路を開閉する弁であればボール弁等の他の開閉弁で構成してもよい。そして、上流側開閉弁5と下流側開閉弁6は、少なくとも互いの開口状態が同時には起こらないようにコントロールユニット114によって制御されている。すなわち、上流側開閉弁5が開口状態のときは、下流側開閉弁6は閉鎖状態であり、下流側開閉弁6が開口状態のときには上流側開閉弁5が閉鎖状態である。
【0019】
中間タンク4には、中間タンク4内の圧力を加圧でき、また加圧を排圧して常圧にできる圧力調整装置40と、中間タンク4の内圧を検知できるタンク内圧センサー41とを設けている。9はエアタンクであり、エアスライドバルブ及び中間タンク4へタンク圧力調整装置40を介して接続している。
【0020】
汚物タンク3は、各汚水受器1からの汚水管2や図示しない汚物管等の下流側に接続され汚水、汚物を列車、電車使用中、貯留する装置である。汚物タンク3は、車体の底部8の下方の車外に配設され、車内の圧力調整を受けない。
【0021】
前記上流側開閉弁5と、タンク圧力調整装置40と、タンク内圧センサー41と、下流側開閉弁6は、それぞれコントロールユニット114に接続している。コントロールユニット114によって上流側開閉弁5と下流側開閉弁6の開閉状態は、少なくとも2つの弁が同時に開口状態にならないように制御されている。他の実施例では、上流側開閉弁5と下流側開閉弁6の開閉状態は、互いに開閉が同じ状態にならないように制御されている。すなわち、上流側開閉弁5が開口状態のときは、下流側開閉弁6は閉鎖状態であり、上流側開閉弁5が閉鎖状態のときは、下流側開閉弁6は開口状態となる。
【0022】
図3は、この発明の他の実施形態であり自然落下式の車両用汚水洗浄装置の説明図である。自然落下式の車両用汚水洗浄装置は、車両内に設けられる小便器である汚水受器1と、洗浄ノズル10と、コントロールユニット114を有する送水圧力調整装置11と、汚水管2と、汚物タンク3とを有する。この発明の実施形態は、汚水受器1から下流側の装置が汚水管2によって汚物タンク3へ直結する実施形態であり、汚水受器1及び送水圧力調整装置11は、第1実施形態と同じである。
【0023】
次に、この発明の実施形態の車両用汚水処理装置の作用について説明する。車内において、使用者の使用前の状態では、給水電磁遮断弁111は、閉鎖状態である。
【0024】
次に使用者が使用を始めると、光電センサーである洗浄スイッチ7がこの状態を検知し、使用後に使用者が汚水受器1から離れると、光電センサーである洗浄スイッチ7がこの状態を検知しコントロールユニット114へ送信し給水電磁弁111を開口させ、給水配管113を経由し圧力調整容器112を経て汚水受器1の洗浄ノズル10へ給水し洗浄する。
【0025】
給水電磁弁111は、コントロールユニット114により適宜時間開口し、送水圧調整容器112に給水供給し、送水圧力を変化させながら扇状に洗浄範囲を広げて洗浄後、徐々に圧力を低下させて洗浄範囲を狭めて洗浄する。
【0026】
汚水は、第1実施形態では重力により上流側汚水管20から中間タンク4へ自然落下して、中間タンク内4で止められ溜まる。また自然落下式の実施形態では、重力により汚物タンク3まで直接落下する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明は、電車、列車、特に新幹線車両や長距離用の電車、列車内に設置され利用される可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の第1実施形態を示す車両用汚水洗浄装置の説明図
【図2】同じくこの発明の実施形態を示す送水圧力調整装置の拡大説明図
【図3】この発明の他の実施形態を示す車両用汚水処理装置の説明図
【符号の説明】
【0029】
1 汚水受器
10 洗浄ノズル
11 送水圧力調整装置
111 給水電磁弁
112 圧力調整容器
113 給水配管
114 コントロールユニット
12 遮断弁
13 ストレーナ(濾過器)
14 給水タンク
15 電源
2 汚水管
20 上部汚水管
22 下部汚水管
3 汚物タンク
4 中間タンク
40 タンク圧力調整装置
41 タンク内圧力センサー
5 上流側開閉弁
6 下流側開閉弁
7 洗浄スイッチ(光電センサー)
8 車内部分と車外部分を区分する部分(車両床部分)
9 エアタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水によって洗浄可能な汚水受器を有する汚水洗浄装置において、
給水タンクから汚水受器の洗浄ノズルへの給水途中に給水電磁弁及び送水圧力調整容器を備えた送水圧力調整装置を設け、かつ汚水受器の洗浄ノズルが送水圧力の変化によって吐水洗浄範囲が変更される形状を有し、汚水受器への送水圧力調整装置による送水圧力を調整することにより汚水受器の洗浄範囲を変更可能とすることを特徴とする汚水洗浄装置。
【請求項2】
送水圧力調整装置が、圧力調整容器と、給水電磁弁と、給水電磁弁を設けた給水配管と、給水電磁弁の開閉を調整可能なコントロールユニットとを有する請求項1に記載の汚水洗浄装置。
【請求項3】
給水電磁弁が、開閉により断続して送水することにより汚水受器の洗浄ノズルからの洗浄範囲を変更可能な請求項1又は請求項2に記載の汚水洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−108566(P2009−108566A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281219(P2007−281219)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000133858)株式会社テシカ (7)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】