説明

汚泥処理方法及び汚泥処理装置

【課題】汚泥処理のランニングコストを低減させることが可能な汚泥処理方法及び汚泥処理装置を提供する。
【解決手段】脱水効果を高めるための脱水助剤を汚泥に添加し、これを脱水機4で脱水して脱水汚泥を得る汚泥処理方法及び汚泥処理装置において、脱水助剤を、汚泥を脱水し得られた脱水汚泥から回収することを特徴とする。これにより、脱水助剤を再利用することができるようになり、従って、ランニングコストを低減させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水効果を高めるための脱水助剤を汚泥に添加し、これを脱水機で脱水して脱水汚泥を得る汚泥処理方法及び汚泥処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水汚泥や工場排水汚泥などの汚泥に、パーライトを汚泥乾燥固形物当たり5〜30wt%添加して撹拌混合し、次いで高分子凝集剤を添加して凝集反応させた後、ろ布を用いた脱水機で脱水処理する方法が以下の特許文献1に開示されている。この方法では、パーライト粒子同士の空隙率が高いので汚泥の水はけが良くなり、さらにろ布との接触面に粘着性の低いパーライト粒子が混入するため、汚泥のろ布からの剥離性が向上し、効率よく汚泥を脱水することができる。
【特許文献1】特開昭58−52000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の方法では、汚泥乾燥固形物当たりのパーライトの重量パーセント濃度(wt%)が所定範囲になるように、パーライトを汚泥に添加し続ける必要があり、ランニングコストが高いという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、ランニングコストを低減できる汚泥処理方法及び汚泥処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る汚泥処理方法は、上記課題を解決するために、脱水効果を高めるための脱水助剤を汚泥に添加し、これを脱水機で脱水して脱水汚泥を得る汚泥処理方法において、脱水助剤を脱水汚泥から回収することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る汚泥処理装置は、脱水効果を高めるための脱水助剤を汚泥に添加し、これを脱水機で脱水して脱水汚泥を得る汚泥処理装置において、脱水助剤を脱水汚泥から回収する回収手段を備えることを特徴とする。
【0007】
このような汚泥処理方法及び汚泥処理装置によれば、脱水効果を高めるための脱水助剤が、汚泥を脱水し得られた脱水汚泥から回収されるため、脱水助剤を再利用することができ、従って、ランニングコストを低減できる。
【0008】
ここで、脱水助剤を脱水汚泥から回収する処理としては、脱水汚泥を焼却し、得られた灰から脱水助剤を選別し回収する方法を採用するのが好適である。これにより、耐熱性物質を脱水助剤として用いる場合には、従来の汚泥処理施設を利用して汚泥を焼却した後に、脱水助剤を選別回収すれば良く、低コスト化を図ることができる。また、汚泥を焼却した灰からは例えばふるい選別等により脱水助剤を簡便に選別回収することができ、脱水助剤の回収が容易となる。
【0009】
また、脱水助剤を脱水汚泥から回収する処理としては、脱水汚泥を乾燥させて、脱水助剤を選別して回収する方法を採用するのも好適である。これにより、可燃性や融解性の脱水助剤を用いた場合でも、脱水助剤を選別回収できるため、脱水助剤を再利用することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る汚泥処理方法及び汚泥処理装置によれば、ランニングコストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明による汚泥処理方法及び汚泥処理装置の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る汚泥処理方法を適用した汚泥処理装置を示す概略構成図である。
【0012】
汚泥処理装置100は、脱水効果を高めるための脱水助剤を余剰汚泥に添加して混合する助剤混合槽1と、助剤混合槽1からの混合物に無機凝集剤(ポリ鉄など)を加え混合する無機凝集剤混合槽2と、無機凝集剤混合槽2からの混合物に高分子凝集剤(カチオン系など)を加え混合する高分子凝集剤混合槽3と、高分子凝集剤混合槽3からの混合物を脱水処理する脱水機4と、脱水処理により得られた脱水汚泥を焼却処理する焼却炉5と、脱水汚泥を焼却処理して得られた焼却灰から脱水助剤を選別する選別機6と、を備えて構成される。
【0013】
ここで、特に本実施形態にあっては、ランニングコストを低減すべく、汚泥に添加する脱水助剤を、脱水汚泥の焼却処理後に焼却灰から選別回収できるように、アルミナ、磁器などの耐熱性物質としている。なお、脱水助剤は、粒形1ミリメートル以下、好ましくは0.5〜1ミリメートル程度の粒状物質であるとよい。
【0014】
そして、ここでは、脱水機4として、ベルトプレス型、スクリュープレス型など圧搾脱水するタイプ、または、回転円板を用いて遠心脱水するタイプなどが用いられる。なお、汚泥脱水に適するベルトプレス型などの圧搾タイプを用いるのが特に好適である。
【0015】
また、ここでは、選別機6として、ふるい、比重選別機(風力選別機)などが脱水助剤に応じて用いられる。なお、焼却処理後に脱水助剤の選別を行う本実施形態では、アルミナ、磁器などの脱水助剤を焼却灰から選別できる風力選別機を用いるのが好適である。
【0016】
このように構成された汚泥処理装置100により実施される汚泥処理方法は以下のとおりである。助剤混合槽1では、アルミナ、磁器などの耐熱性物質が脱水助剤として余剰汚泥に添加され、これらが撹拌されて、汚泥中に脱水助剤が十分に分散され、次いで、この混合物に、無機凝集剤混合槽2において無機凝集剤が、高分子凝集剤混合槽3において高分子凝集剤が順に加えられ、これにより脱水助剤を含む凝集汚泥が得られ、この凝集汚泥が脱水機4により脱水処理され脱水汚泥が得られ、この脱水汚泥が焼却炉5で焼却処理され焼却灰が得られる。そして、選別機6で、この焼却灰から耐熱性物質である脱水助剤が選別回収され、再び助剤混合槽1に導入されて再利用される。
【0017】
ここで、本実施形態では、助剤混合槽1においてアルミナ、磁器などの耐熱性物質が脱水助剤として余剰汚泥に混合されるため、この脱水助剤により脱水機4において汚泥が滑りにくくなり流動性が低下し、脱水機4の脱水効果が向上する。そして、このような脱水効果を高めるための脱水助剤が焼却炉5で燃焼することなく、後段のふるい選別等の選別機6において選別回収されるため、脱水助剤を再利用することができ、ランニングコストを低減できる。
【0018】
また、このように脱水助剤が耐熱性物質であるため、助剤混合槽1から焼却炉5に亘る従来の汚泥処理施設を利用して汚泥を焼却した後に、選別機6を追加することにより焼却灰から脱水助剤を選別回収することができ、設備投資の低コスト化を図ることができると共に、焼却炉5において脱水汚泥を焼却処理して得られた焼却灰からふるい選別等により脱水助剤を簡便に選別回収することができ、脱水助剤の回収が容易となる。
【0019】
図2は、本発明の第2実施形態に係る汚泥処理方法を適用した汚泥処理装置を示す概略構成図である。
【0020】
この実施形態の汚泥処理装置200が第1実施形態の汚泥処理装置100と違う点は、脱水助剤を、焼却炉5における焼却処理後には回収不能となる可燃性や融解性の物質、例えば鉄球、ビーズ、木屑などとした点であり、このような脱水助剤を用いるのに伴い、選別機6を焼却炉5より前に配置した点である。
【0021】
そして、ここでは、選別機6として、脱水助剤を鉄球とした場合には、脱水汚泥から鉄を選別できる磁選機を用いるのが好適であり、また、脱水助剤をビーズ又は木屑とした場合には、脱水汚泥からビーズ又は木屑を選別できる風力選別機を用いるのが好適である。なお、脱水機4により得られた脱水汚泥から脱水助剤を選別しやすくするために、脱水機4と選別機6との間には、脱水汚泥を乾燥する乾燥機7が設けられている。
【0022】
このように構成された汚泥処理装置200により実施される汚泥処理方法は以下のとおりである。助剤混合槽1では、鉄球、ビーズ、木屑などの可燃性又は融解性物質が脱水助剤として余剰汚泥に添加され、これらが撹拌されて、汚泥中に脱水助剤が十分に分散され、次いで、この混合物に、無機凝集剤混合槽2において無機凝集剤が、高分子凝集剤混合槽3において高分子凝集剤が順に加えられ、これにより脱水助剤を含む凝集汚泥が得られ、この凝集汚泥が脱水機4により脱水処理され脱水汚泥が得られる。この脱水時にあっては、第1実施形態と同様に、脱水助剤により汚泥の流動性が低下するため、脱水効果が高められた脱水汚泥が得られる。この脱水汚泥は乾燥機7により乾燥された後に、選別機6において脱水助剤が焼却される前に選別回収され、再び助剤混合槽1に導入されて再利用される。そして、選別機6により脱水助剤が取り除かれた脱水汚泥は、焼却炉5において焼却処理される。
【0023】
このように本実施形態では、選別機6により脱水汚泥から脱水助剤を選別して回収した後に、焼却炉5において脱水助剤が取り除かれた脱水汚泥を焼却するため、可燃性や融解性の脱水助剤を用いた場合でも、焼却前に選別回収して、脱水助剤を再利用することができる。
【0024】
次に、図3及び図4を参照して、第2実施形態の具体例について説明する。図3及び図4は、共に図2に示す汚泥処理装置200のうち乾燥機7と選別機6の部分の構成を具体的に示した構成図であり、図3は、ビーズなどの比較的比重の小さい物質を脱水助剤に用いた場合、図4は、鉄球などの比較的比重の大きい物質を脱水助剤に用いた場合の構成図である。
【0025】
乾燥機7としては、脱水汚泥を効率よく乾燥させることができる風力乾燥機が用いられる。図3及び図4に示す風力乾燥機は、スクリューフィーダ11により流路へ導入された脱水汚泥を、上流の熱風発生炉12から吹き出された熱風により下流へ送りながら乾燥させる。
【0026】
そして、図3に示すように、ビーズなどの比較的比重の小さい脱水助剤の場合には、脱水汚泥はそのまま流路に沿って下流に搬送され、さらに下流に配置された2つのサイクロン13,14に導入されて固気分離される。これらのサイクロン13,14は、脱水助剤、乾燥汚泥の比重に応じて、それぞれ脱水助剤、乾燥汚泥を落下させて回収する。脱水助剤は、サイクロン13の下方に配置されたホッパなどの助剤回収装置15に貯留される。
【0027】
また、図4に示すように、鉄球などの比較的比重の大きい脱水助剤の場合には、スクリューフィーダ11により流路へ導入された脱水汚泥は、熱風発生炉12から吹き出された熱風により下流へ搬送され乾燥されるのに伴い、比重の大きい脱水助剤は分離されて落下し、流路内の落下方向の下部に配置されたホッパなどの助剤回収装置15で回収・貯留され、一方、流路内で脱水助剤から分離した乾燥汚泥は、下流のサイクロン14で分離回収される。
【0028】
サイクロン14は、乾燥汚泥を落下回収した後に残ったガスを、フィルタや化学反応などによりガスを無害化する排ガス回収装置16へと排出する。なお、サイクロン13,14の代わりに、バグフィルタを用いてもよい。
【0029】
このように、風力乾燥機を用いると乾燥と選別を効率よく行うことができる。
【0030】
なお、上述の第2実施形態に係る汚泥処理装置200では、選別機6により脱水助剤が回収された後の脱水汚泥は、必要に応じて焼却炉5により焼却処理されずに処分することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係る汚泥処理方法を適用した汚泥処理装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る汚泥処理方法を適用した汚泥処理装置を示す概略構成図である。
【図3】ビーズなどの比較的比重の小さい物質を脱水助剤に用いた場合における、第2実施形態の乾燥機及び選別機の構成を具体的に示した構成図である。
【図4】鉄球などの比較的比重の大きい物質を脱水助剤に用いた場合における、第2実施形態の乾燥機及び選別機の構成を具体的に示した構成図である。
【符号の説明】
【0032】
1…助剤混合槽、2…無機凝集剤混合槽、3…高分子凝集剤混合槽、4…脱水機、5…焼却炉、6…選別機、7…乾燥機、100,200…汚泥処理装置。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水効果を高めるための脱水助剤を汚泥に添加し、これを脱水機で脱水して脱水汚泥を得る汚泥処理方法において、
前記脱水助剤を前記脱水汚泥から回収することを特徴とする汚泥処理方法。
【請求項2】
前記脱水汚泥を焼却し、得られた灰から前記脱水助剤を選別し回収することを特徴とする、請求項1に記載の汚泥処理方法。
【請求項3】
前記脱水汚泥を乾燥させて、前記脱水助剤を選別して回収することを特徴とする、請求項1に記載の汚泥処理方法。
【請求項4】
脱水効果を高めるための脱水助剤を汚泥に添加し、これを脱水機で脱水して脱水汚泥を得る汚泥処理装置において、
前記脱水助剤を前記脱水汚泥から回収する回収手段を備えることを特徴とする汚泥処理装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−131500(P2010−131500A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308684(P2008−308684)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】