説明

汚泥培地分解法による繊維質汚泥と、更に一般汚泥の分解法

【課題】台所の一般汚泥と、し尿に含まれる繊維質(ちり紙)汚泥と、それに付随する汚泥(糞)の分解と、その排水を浄化する。
【解決手段】軽石5を培地とした汚泥培地分解槽1により、土壌生物(ミミズ、トビムシ等)を利用して、繊維質を含む汚泥を糖分に分解し、その糖分を共棲している土壌微生物によって水分に分解し、浄化する。更にそれをより浄化する目的で散水ろ過槽の設置をして、全ての排水の放流又は、地下浸透可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物から出る、し尿、台所からの排水の技術的処理と、風呂、洗濯排水の技術的処理と、更に雨水の排水等のすべての排水の放流、又は地下浸透を目的としたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
家庭から出る全ての排水処理は合併浄化槽を利用したものである。しかし、この処理方式は電力を使い、この貴重な電力を使って微生物による、汚水の浄化は可能だが、汚泥の繊維質(ちり紙)等の微生物による分解が困難がため沈殿槽内のこれら汚泥を定期的に汲み取り汚泥処理場等に搬送しなくてはならない欠点がある。
【0003】
今東京電力、福島原子力発電所の地震と津波による大災害で、東京電力関内は電力不足が生じ、企業や家庭の日常の生活にも困難をきたし、しかも発電所の破壊等によって放射能の外部への放出によって空気や海水が汚染され、附近の地域では放射能汚染の心配から集団で避難する騒ぎとなっている。静岡県中部電力浜岡原電も政府の要請で中止。
【0004】
本処理方式は軽石を利用した多槽のろ過方式で、各槽交互に汚泥、汚水を流入し利用するものである。数日間汚水を流入させると、ろ過され軽石上に汚泥が堆積する、次に槽を切り替えて同様流入させる、最初に流入した軽石上の汚泥は水分が無くなり、汚泥の培地となって槽の外部の地盤から土壌生物(ミミズ、トビムシ等)が槽の格子の隙間から浸入し、汚泥の捕食分解が始まる。電力は一切使用しない画期的処理方式である・
【0005】
その汚泥とは比較的濃度の高い、し尿と台所の排水汚泥である。本方式は電力を使わないで、汚泥の分解処理を土壌生物(ミミズ,トビムシ等)と土壌微生物等により分解する画期的な処理方式である。特にちり紙等の繊維質汚泥は好期性の一般的微生物では分解できず、主として土壌生物が繊維質を一般の汚泥と一緒に捕食し、その捕食した繊維質の排泄物が土壌生物の胃の中で糞(糖分)として分解さられる、そしてその糞を共棲する好期性微生物により水分として分解される。すなわち、浄化されることとなる。この浄化方式は軽石等を使用した接触ろ過方式と云える。これが即ち、汚泥培地分解法である。従って、電力も使わず自然の生態系の中で汚泥が分解できる。しかも汚泥の汲み取りも不要で、定期的に汚泥の公共し尿処理場への搬入も不要となり、まったく手間の掛からない、現場での画期的処理方式と云える。
【0006】
次に比較的汚泥の濃度の低い、しかも水量の多い風呂、洗濯排水である。最近の高度な技術により洗剤も少量で洗濯が可能となり、したがって洗剤の濃度も少なくすみ、従来の水量から比較して少水量ですむ、又、洗い場排水も比較的汚染の濃度も少なく、これらを軽石を使った浅い長距離の、自然の散水ろ過方式の浄化方法がある。図面参照。
【0007】
また浴槽排水は真水に近いほど透明度も高く、浄化の対象にはならない、雨水と一緒にして、直接放流か浸透させても差しつかいない、以上申した全ての排水は浄化されているので、これらをトータルしたものを河川に直接放流か、若しくは池のようにして沈殿させるか、更には直接地下に浸透させることもできる。
【0008】
汚泥培地分解法とは、ある程度水分を除去すると繊維汚泥や、一般汚泥を地中生物の捕食と、微生物の培養によって分解処理する方法である。この方法は汚泥の接触酸化方式であって、5軽石の入った複数の槽をある期間ごと、汚水の流入を交互に使用すれば、流入部は汚泥が溜まってゆき、他方の槽は休止の状態で、汚泥培地となり分解が進むこととなる。本来、繊維質汚泥の分解は空気を遮断した、かなり大型化した貯留槽を複数槽設け、休止した側の槽を長期間も繊維質汚泥を滞留させることにより、嫌気性微生物の働きで分解処理する方法もあるが、嫌気的状態では貯留槽内の汚泥の分解には、かなり長期間を要するので、実用化としてはかなり困難を伴うものである。
【0009】
この浄化方法は云うまでもなく、し尿排水と台所排水を一緒にしたものを軽石のろ過で汚水を浄化するものであって、汚水中の汚泥の流出を防ぐには極めて水量の少ない方がよい、日常の家庭の生活では水がどうしても必要であり、台所での水の制限はかなり困難である。しかし、し尿の排水は現在使われている水量の多いタンク式のものでなく、以前に使われたコップ一杯の排水だけで充分役割が果たせるので、し尿汚泥と台所排水を合流させるとよい。従って、第5図の如く別排水でなく、合流して一つで流す方法にすることとなる。いずれにせよ、し尿排水と台所排水は一つの排水路となって、本処理槽は両汚泥を分解し浄化することとなる。現在のタンク式では不満だがそれでもよい。
【0010】
次に図面上の説明に入る。本容器は繊維強化プラスチック(FRP)の複槽で使用する。又 のように容器の縦中心に同材の仕切り壁6を入れる構造とすることが必要、蓋は同材であるが、この容器の中には土壌生物が生息するので、かなり断熱効果のあるものを蓋の中にいれた構造にしなくてはならない。製品本体は繊維強化プラスチックであるが、他に煉瓦、鉄筋コンクリート等で造ることもできる。容器の外壁の外には上部土壌が落下しないための7網が張られている。軽石外部の土壌よりの壁となっている、この外壁には格子状の隙間が造られているが、ここから土壌生物が浸入しやすい様になっている。尚、網状のものでもよい、この隙間は本体に厚く敷き詰められた14軽石の中にも一部入っていてもよいし、15のように入っていなくてもよい、できれば少しでも入っていた方がよい、入っていると多少なりとも汚水が土壌に染み込むので、土壌生物による早期発見に繋がり、直ちに土壌生物が浸入してくるので、し尿と台所排水の合流した汚水の一方は流入され軽石内で、ろ過され浄化されて流出する。他方はキャップで汚水の流入が阻止されるために、汚泥培地が発生し土壌生物による汚泥の分解が始まる。ある期間をおいて分解の状況を観察し、分解が終了したならばキャップを差し替え、汚水を流入させるその繰り返しである。但し、差し替えの際、分解が終了した側は軽石槽の汚水がろ過しやすくするためシャベル等で、よく攪拌して流すようにする、このことは非常に重要である。12二槽間の壁の穴、13二槽の連結パイプの穴は、土壌生物の移動を助けるためのものであり、9は油分の流出を阻止し、汚泥培地で油分も分解する。
【0011】
次に自然散水ろ過について述べると、まず地下埋設であって、ただ一槽の比較的巾の寸法は短く、浅くて長い軽石槽である。この軽石槽の上部にはパイプがおかれ、それぞれパイプの左右に、散水用の孔が適当な間隔に開けられている。何故このようにしたのかと云えば、汚水は真下にくねりながら散水ろ過していく、この時点では隣のパイプ孔は元が汚泥培地となっているので、散水はまったくしていません。従って休止している側の散水槽は培地となって汚水を分解している最中である。これら軽石槽の上部はその上の土砂が落下しないように網を被せてあり、この槽の最下部に有孔パイプを置けば放流することもでき、末端を土壌で塞げば軽石槽からの浸透槽にもなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】汚泥培地分解槽の1槽状態の平面と立断面図
【図2】汚泥培地分解槽の2槽状態の平面と立断面図
【図3】汚泥培地分解槽の1槽分離と2槽分離の単独放流
【図4】汚泥培地分解槽と自然散水ろ過槽の接続後の地価浸透、並びに浸透放流
【図5】台所の炊事場の流しとトイレの接続と汚泥分解槽への流入
【図6】自然散水ろ過槽の立断面、側断面の両詳細図
【0013】
1 汚泥培地分解槽本体
2 蓋 蓋の内部には断熱材が入る
3 流入口
4 キャップ(流入を止める蓋)
5 汚泥培地分解用の軽石
6 縦中央の中仕切り
7 外部の軽石
8 流出口の格子状の孔の切り口
9 油分流出防止器
10 流出口(AとB)
11 汚泥培地分解槽の2槽方式の本体
12 仕切りに穴を開けたもの
13 2槽間のパイプ状の通路
14 培地の軽石内部に入っている格子状の孔
15 培地の軽石内部に入っていない格子状の孔
16 台所の流し台
17 防臭器
18 トイレの便器(コップ一杯程度の少量排水)
19 糞ちり紙排水ができ、防臭もできる便器の弁
20 自然散水ろ過槽の軽石
21 土砂落下防止網
22 防水ネット上に砂を敷いたもの
23 土壌の真下への直接浸透を防ぐネット
24 散水ろ過槽の流入口(AとB)
25 Cは洗濯排水と風呂洗い場排水、必要あれば雨水、浴槽排水等も入れる
26 Dは、雨水、浴槽排水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥培地分解法とは建物から流出する、し尿、台所等からの汚水を浄化し、そこに溜まった汚水中の汚泥を分解する装置である。その培地を形成する素材は軽石である。軽石は火山等からの噴火石で軽く、表面に凹凸があって,細かく砕石しやすい素材である。他にこのような素材の軽石もあるし、又化学的素材で形成したものもある。これらのものはいずれも使用は可能である。すなわち、軽石はその表面で汚水をろ過し、浄化して表面に溜まった汚泥を分解する極めて重要な役割を果たす。
ここでは単なる汚泥だけではなく、し尿にも使われる、ちり紙等の分解も必要であり、このちり紙は繊維質であるがため、単なる微生物だけでは分解は不可能であり、土壌生物(ミミズ、トビムシ等)を利用する必要がある。従って、土壌生物によって繊維質と単なる汚泥も一緒に捕食させて糖分(糞)に分解させる、次にその糖分をその他、汚泥と共に微生物によって水分に分解させる。すなわち、共にそこに生息している土壌生物と微生物との連携によって汚水並びに、その汚泥も分解処理することがしできる。電力は一切使わない極めて画期的で重要な浄化槽である。
【請求項2】
汚泥培地分解法の容器は角型のもので、繊維強化プラスッチク(FRP)の複槽にできている。又他の素材、たとえば煉瓦、鉄筋コンクリート、他の化学的素材で作られていてもよい。この容器の縦中心に仕切り壁を入れる構造とする。蓋も同材ではあるが、この容器の中には土壌生物や微生物等が生息するので、かなり断熱効果のあるものを蓋の中心に入れる必要がある。尚、土壌生物が逃げ出さない様に,容器と蓋が密着するように弾力性の化学的素材を蓋の裏表面に着ける必要がある。
本容器は複槽であって、し尿と台所排水の合流したものを一つの槽に入れ、他の槽にはキャップをして汚水の流入をさせない。容器の床面にはろ過に必要な厚さの軽石を置き、そこに汚水を流入させる。その軽石間の摩擦により汚水が浄化され,汚泥は軽石に附着したり、軽石表面に堆積したりする。従って、流入された汚水は浄化されて、格子状のパイプの出口から流出する。尚、格子状のパイプには油分が直接外部に流出しない構造となっている。数期間流出させたら、その槽をキャップをして次の槽に流し込む、キャップをした側は汚泥培地となって自然発生する微生物により分解される。ただこれでは回りが密閉されているため、土壌生物が入らないので、一般汚泥は分解するが、繊維質汚泥の分解は行われない欠点がある。
【請求項3】
次に上記欠点を補うための方法がある。それは土壌生物(ミミズ、トビムシ等)を導入し繊維質汚泥を一般汚泥と共に捕食させて、糖分(糞)に分解させる。更にその糖分を共棲している微生物により分解させて水分となる。すなわち、浄化させることである。その容器の構造は次の通りに変化させる必要がある。本体そのものはまったく同じであるが、土壌生物がその容器に侵入し易い構造にする必要がある。それにはまず容器の外壁に外の軽石が内部に落下しないように格子状の孔を作る、又軽石上部に土砂が落下しないように網が張られている。外部の軽石の回りは土壌に直接、接しておるため土壌生物が、軽石や格子間の隙間から侵入しやすいような構造にしてある。尚、格子の一部が内部の、ろ過槽の軽石の中に入っている構造と、入っていない構造の2種類があるが、僅かでも入いると汚水が土壌に直接、接するので土壌生物の内部への侵入が早まることとなる。
尚、格子が処理槽の軽石の内部に入っていなくとも、土壌生物は外の軽石から汚水の臭気等を感知して、処理槽近くの軽石の上部、又は処理槽内部の上部の壁等に吸着しておるものと考えられる。従って、土壌生物は汚水が流路しているところには、決しては入りません。従って、流路が止まり汚泥培地となって初めて、ミミズ等は一般汚泥と共に繊維質(ちり紙等)汚泥を捕食して糖分(糞)に分解し、更に共棲している一般微生物等によって水分に分解される、すなわち、浄化されることとなる。
【請求項4】
汚泥培地分解法は以上の如くではあるが、2槽以上の複槽のため、それぞれ流路を変えた汚泥培地を作らなくてはならない、特に土壌生物は流路から汚泥培地への浸入ルートも考える必要がある。図示の如く槽の中央が壁で仕切られている場合は、壁に孔を空けてそこを浸入口とし、複槽間の場合は任意の形の孔を構成するパイプ状のものでもよいが、互いに通過できるルートを作る必要がある。
【請求項5】
汚泥培地で除去された流水を、更に清流にする装置が自然散水ろ過である。自然散水ろ過は汚泥培地分解槽からの排水だけでなく、浸透槽とするならば、雨水も含め、他の排水すべてをここに投入するとよい、又、雨水、風呂浴槽排水は極めて清水であるから、このろ過を通さず直接放流するとよい、しかし風呂洗い場、洗濯槽の排水は汚泥培地分解槽の排水と一緒にして、自然散水ろ過を通して放流するとよい、この槽は末端を閉めれば、軽石を通しての立派な浸透槽となる。尚、末端が放流でも浸透でもどちらでもよいが、汚泥培地分解槽とのパイプの繋ぎ目はA−A′叉 B−B′と接続する。散水ろ床の最下部にある、有孔のパイプには清水に近い雨水、並びに風呂浴槽排水等の繋ぎ込みをすればよいであろう。
【請求項6】
この自然散水ろ床は一つの軽石槽の中にAとBという流路によって、隣合わせの、二つの散水路が生じ、一方は拡散しながら下方に接触酸化しながら流れ、他方は流れが止まり、汚泥培地となって土壌生物と微生物によっての分解が始まる。しかも、一つの軽石の隣合わせの出来事、土壌生物の移動が極めて簡単にできる利点がある。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−254434(P2012−254434A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139917(P2011−139917)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(591278921)
【Fターム(参考)】