説明

河川堤防および補強用ブロック

【課題】
既存の堤体の改修に適用できず、崩壊防止に不適で、堤体の変形に抵抗できず、排水効果の低下が大きく、連続的な間隙水圧への抵抗力が小さい,堤体のすべり抵抗力が小さいという、従来の河川堤防の課題を解決することを目的とし、せん断補強工を設けることにより、河川堤防を効果的に補強し、堤体の崩壊による災害防止を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
川裏法尻部に排水性を有する空隙率が10〜35%のポーラスコンクリートであって、粗骨材の実積率が48〜60%の重量骨材を含むポーラス重量コンクリートによるせん断補強工を設けたことを特徴とする河川堤防、を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポーラス重量コンクリートを使用した河川堤防の構造および補強用のブロックに関するもので、主として川裏法尻部の補強により、豪雨の際などに堤体が崩落して洪水などの被害が生ずるのを防止するための補強構造を与えるものである。
【背景技術】
【0002】
河川堤防は、土粒子からなる土堤が原則である。従って、豪雨などの際に、堤体内を浸透する大量の水により軟弱化すると、堤防の一部が崩落し始め、最悪の場合には決壊に至る。
【0003】
堤体の浸透水には、堤体の川表から浸透してくる河川水や、天端から浸透してくる雨水があり、堤体の基礎地盤からの浸透水もある。また、豪雨の際には堤体の天端を越えてくる河川水が大きな被害をもたらす可能性がある。
【0004】
一般的には堤体の川裏法尻部あるいはさらにその堤内側に、排水溝などのドレーン工を設けて排水を図っている。しかし、堤体内の浸透水の流れがスムーズでない場合、上述のように豪雨などの際に堤体の崩落の危険性が高まる。
【0005】
この問題に対し、川裏法尻部の透水性を高めることで、堤体内の浸透水の流れを改善し、堤体の崩壊を防ぐ試みがなされている。
【0006】
例えば、特許文献1には、川裏法尻部の補強も兼ねて、裏法尻部に面状排水材を所定間隔で略水平に埋設するとともに、面状排水材を貫通する杭などの係止部材を設けて面状排水材を所定位置に保持する堤防の構造が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、直径50〜200mmの礫または割石を鋼製組立網に充填してなる篭製ドレーン部を川裏側に設置し、この篭製ドレーン部に流入する堤体の浸透水を、さらに地盤中に埋設したドレーン層を通じて堤内側の排水路に誘導するようにした堤防のドレーン構造が記載されている。
【0008】
一方、川表側については、従来から護岸や減勢を目的とした各種護岸構造物が開発されており、砕石を詰めた布団篭の他、生態系への配慮から透水性が高く緑化が可能なポーラスコンクリート製の護岸などが形成されているが、豪雨時の堤体の崩壊を考慮したものではなく、川裏側からの崩壊防止には効果がない。
【特許文献1】特開2000−257044号公報
【特許文献2】特開2002−121720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および特許文献2記載の発明は、いずれも川表側から川裏側への浸透水の浸透性を改善することで堤体の安定を図ったものであるが、特許文献1記載の発明では堤体の下部に堤体横断方向の長さが10mといった面状排水材を敷設するものであり、特に、既存の堤体の改修に適用することは困難である。また、面状排水材を固定するために杭などを打設しているが、杭どうしの間隔が大きくならざるを得ないため、豪雨や越流水による川裏法尻部からの崩壊防止にはほとんど効果がない。
【0010】
また、特許文献2記載の発明において、篭製ドレーン部はその空隙による浸透水の排水促進を図ったものであり、堤体の変形に抵抗できるものではなく、また礫あるいは割石間の間隙が目詰まりを起こすと、排水効果も低下するという問題がある。
【0011】
また、ドレーン材には、使用材料による透水性能のばらつきがあり、長期間の使用により目詰まりの程度に差異が生じると,さらに透水性能のばらつきを促進し,堤体の安全性が損なわれる危険性がある。また、骨材の内部摩擦角のみではせん断抵抗が小さいために、連続的な間隙水圧への抵抗力が小さいこと,堤体部のすべりに抵抗できないという課題があった。
【0012】
本発明は、従来技術におけるこのような課題の解決を目的とし、川裏法尻部に必要な透水性とせん断強度を兼ね備えたポーラス重量コンクリート製のせん断補強工を設けることにより、河川堤防を効果的に補強し、堤体の崩壊による災害防止を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
川裏法尻部に排水性を有する空隙率が10〜35%のポーラスコンクリートであって、粗骨材の実積率が48〜60%の重量骨材を含む重量コンクリートによるせん断補強工を設けたことを特徴とする河川堤防、を提供する。
【0014】
前記重量コンクリートとして、圧縮強度が10N/mm2以上の重量コンクリートを用いたことを特徴とする河川堤防、更に前記重量コンクリートとして、透水係数が10-2〜1.0cm/secの重量コンクリートを用いたことを特徴とする河川堤防、を提供する。
【0015】
前記せん断補強工の堤内側に排水路が設けられており、前記せん断補強工から前記排水路へ向けて直接的なまたは他の排水手段を介して間接的な排水経路が形成されていることを特徴とする河川堤防、更に前記せん断補強工が、プレキャスト重量コンクリートブロックからなることを特徴とする河川堤防、を提供する。
【0016】
前記プレキャスト重量コンクリートブロックが断面コの字状のブロックであり、隣り合うブロックのコの字の開口側が上下交互になるように互いに開口側で係合させながら、該ブロックを法尻に沿って多数連設してなることを特徴とする河川堤防、を提供する。
【0017】
重量コンクリートからなる断面コの字状のブロックであり、コの字の開口側を上下交互に係合させることで、上下方向および連結方向に遊びをもたせて多数連結可能としたことを特徴とする河川堤防補強用ブロック、を提供する。
【0018】
河川堤防の川裏法尻部に、ポーラス重量コンクリートによるせん断補強工を設けることで、堤体内から川裏へ向けて浸透水を積極的に排水することができる。また、せん断耐力が期待できるポーラス重量コンクリートにより、堤体のすべり抵抗性を著しく高めることができる。
【0019】
空隙率を10〜35%としたのは、空隙率が10%未満では浸透水の排水性能が十分と言えず、堤体内に滞る浸透水により、堤体が軟弱化したり、豪雨の際の越流の可能性が高まるためである。また、空隙率は15%程度あれば堤体内の浸透水の流れが十分確保され、良好な排水性が得られるのに対し、空隙率が35%を超えると川裏法尻部におけるせん断補強工として十分なせん断耐力が得られない可能性があるためである。
【0020】
粗骨材の実積率が48〜60%の重量粗骨材をとしたのは、これを用いたポーラス重量コンクリートが、高い透水性と、高いせん断抵抗性とを併せもつためである。実積率が、48%に満たないと、空隙が多く粗骨材のせん断抵抗性が低下し、水圧に対するカウンターウエイトとしての重量も不十分となる可能性がある。60%を超えると、所定の透水性能が確保できず、水圧に抗しできなくなる恐れがある。
【0021】
粗骨材の絶乾比重は、3.0以上である重量骨材を用いることが好ましい。通常、この密度を充足するものとして、重晶石、酸化スラグ、銅スラグ、鉄鉱石、粒鉄などがあり、これらの中から選ばれた1以上のものを選定して用いる。本発明のポーラス重量コンクリートは、絶乾比重3.0以上の粗骨材を用いるものである。
【0022】
粗骨材の実積率は、JIS A 1104 実積率試験方法による。A 1104では,粗骨材の最大寸法によって試験容器や1層あたりの突き回数が決められており,本特許で対象とする10〜40mm程度の粗骨材寸法では,容積10リットルの容器を用いて,1層あたり30回突き固める。試料は3層で詰め,実積率は,単位容積質量,骨材の密度,および吸水率から算出する。骨材は表面乾燥飽水状態(表乾状態)でも絶乾状態でもよく,表乾状態であれば,実績率Gは,G=(骨材の単位容積質量/骨材の表乾密度)×(100+骨材の吸水率)として算出される。
【0023】
実積率が、48〜53%の範囲であれば、例えば、空隙率30%として設計する際にペースト(またはモルタル)部分の占有部が22〜17%となり、必要なせん断強度を有するポーラスコンクリートが容易に設計でき、しかも、堤防に重量を持たせ、安定化する機能も確保できる。
【0024】
本発明は特許文献1や特許文献2記載の発明と異なり、排水機能を有するポーラス重量コンクリートが、それ自体、せん断補強工としてのせん断耐力を有する点に利点があり、望ましい強度として圧縮強度10N/mm2以上としたものである。圧縮強度の上限は特に限定する必要はないが、ポーラス重量コンクリートとしての配合や、経済性を考慮すると18N/mm2以内程度で、十分と考えられる。
【0025】
透水係数を10-2〜1.0cm/secとしたのは、透水係数が10-2cm/sec未満では、排水性能が十分とは言えないのに対し、1.0cm/secあれば十分である一方、一般的に空隙率も高くなり、必要なせん断耐力が得にくいためである。
【0026】
河川堤防において、前記せん断補強工の堤内側に排水路が設けられており、前記せん断補強工から前記排水路へ向けて直接的なまたは他の排水手段を介して間接的な排水経路が形成されている場合を限定しても良い。
【0027】
ポーラス重量コンクリートのせん断補強工を川裏部の排水溝などの構造体と一体化すれば、堤防を支持するアンカー効果を持たせることができ、また、川裏側へ誘導した浸透水をスムーズに処理することができる。ただし、排水路は上述のようにせん断補強工と一体化してもよいし、例えば特許文献2記載の発明のようにドレーン工、その他の排水手段を介して接続してもよい。
【0028】
前記河川堤防において、前記せん断補強工が、プレキャストポーラス重量コンクリートブロックからなる場合を限定してもよい。
【0029】
本発明において、ポーラス重量コンクリートによるせん断補強工は、現場打ちポーラス重量コンクリートでもよいが、請求項5のようにプレキャストブロックを用いた場合、工期を短縮できる他、工場製作などによる高品質のポーラス重量コンクリートブロックを利用することができる。また、プレキャストポーラス重量コンクリートブロックの形状などを工夫することで、さらに施工性が向上し、後述するようにブロックどうしを組み合わせて、せん断補強工を構成するブロック間で変位吸収を図ることもできる。
【0030】
前記河川堤防において、前記プレキャストせん断補強工ブロックが断面コの字状のブロックであり、隣り合うブロックのコの字の開口側が上下交互になるように互いに開口側で係合させながら、該ブロックを法尻に沿って多数連設してせん断補強工を構成する場合を限定してもよい。
【0031】
豪雨などの場合に限らず、地震などによっても、ポーラス重量コンクリート製のせん断補強工に設計以上のせん断力が作用することがあり得るが、その場合に前段落のような構成により、各ブロック間で上下方向および連設方向の変位をある程度許容するようにすれば、せん断補強工が一気に破断するといったことを避けることができる。
【0032】
更に前記河川堤防に用いることができるポーラス重量コンクリートからなる断面コの字状のブロックであり、コの字の開口側を上下交互に係合させることで、上下方向および連結方向に遊びをもたせて多数連結可能としたことを特徴とするブロックを提供するものである。
【0033】
なお、以上の発明において、ポーラス重量コンクリートの粗骨材の最大径は、通常のコンクリートと同程度の10〜40mm程度であり、10〜25mm以内が望ましい。
【0034】
また、粗骨材に重量コンクリート廃材を破砕した再生重量骨材を用いたり、溶融スラグを用いたりして、廃棄物の有効利用を図ることもできる。但し、絶乾比重としては、3.0以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明では、河川堤防の川裏法尻部に設けたポーラス重量コンクリート製のせん断補強工により、堤体内の浸透水を積極的に排水することで、堤体の崩壊の危険性を低減することができる。すなわち、堤防内部や堤体の基礎地盤に浸透水を滞留させることなく、堤防強度の長期安定化を図ることができる。更に、長期間使用による透水性能の低下、連続的な間隙水圧への抵抗力を増加させることができる。
【0036】
また、せん断力の高いポーラス重量コンクリートを用いることで堤体のすべり抵抗性を高めることができる。
【0037】
請求項6、7のように、ポーラス重量コンクリートからなる断面コの字状のブロックを用い、コの字の開口側を上下交互に係合させて、上下方向および連結方向に遊びをもたせて多数連結するようにすれば、豪雨や地震の際に、大きなせん断力が作用しても、各ブロック間で上下方向および連設方向の変位をある程度許容することができ、せん断補強工の破断などを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
粗骨材の実積率が48〜60%の重量粗骨材を製造する方法について説明する。
【0039】
原料としては、結晶質の重晶石が好ましい。ここで、結晶質重晶石とは、骨材を構成する鉱物組成の結晶性が高い重晶骨材を指し、結晶構造が比較的規則的に配列していることから、X線を照射した組成分析では明確なピーク挙動を示す。結晶性の高い重晶石は、結晶そのものは堅固である一方、結晶同士の結合力は高くない。そのため、打撃や衝撃を加える破砕方法では、結晶ごと剥がれて細分化される。これを原石として、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー等の打撃力で粗砕したり、二軸ロール方式のように押しつぶすようなタイプの破砕機で粉砕することにより製造される。通常、コンクリート用途に砕石を加工する際は,原石を破砕し粒度選別をし,角張りを削ってできるだけ球形に近づけるべく造粒工程を必要とするが、ここでは、造粒工程を省略することができる。
【0040】
ジョークラッシャーは、V字形の空間内に原石を投入して対象物を砕く。ちょうどあごで物を噛み砕くのと同じメカニズムで、V字型の空間は排出口を制限するため、一般に処理後の粒度は揃えることができる。所定条件を選定して粗骨材の実積率が48〜60%の重量粗骨材を製造できる。実積率を調整するために、スクリーンを併用しても良い。
【0041】
インパクトクラッシャーは一般的には、固体の大きな固まりを、回転するハンマー、鋼板、棒などによる鋭い打撃により粉砕する機械で、回転式の場合は高速で回転する「打撃板」の衝撃、跳ね飛ばされたものを受け止める固定された「衝撃板」による衝撃、跳ね飛ばされた物どうしがぶつかり合う際の衝撃により、対象物を砕くので、所定条件を選定して単独で、またはスクリーンを併用して、粗骨材の実積率が48〜60%の重量粗骨材を製造できる。
【0042】
ハンマークラッシャーはインパクトクラッシャーのひとつで衝撃式破砕機であり、供給口上部のホッパー及び給鉱機により破砕室に均一に投入された原料は高速度で回転しているハンマーによって連続的に強打され、又加速されてハンマーと対向位置にある反撥板に激突し、或いは跳ね返ってくる塊に衝突して破砕されながら下方に排出される。主として石灰石、ドロマイト、石炭、コークス、化成肥料等比較的軟質のものの細砕に使用されてきたが、打撃子の材質改良により硝子ビンのリサイクル等環境関連向け破砕機としても使用されてきている。これも所定条件を選定して単独で、またはスクリーンを併用して、粗骨材の実積率が48〜60%の重量粗骨材を製造できる。
【0043】
二軸ロール方式は2対のローラーにより、押しつぶすように破砕する方式であり、所定条件を選定して単独で、またはスクリーンを併用して、粗骨材の実積率が48〜60%の重量粗骨材を製造できる。
【0044】
また、製鋼過程で発生するダストを含む廃棄物を溶融して製造された人工石材を用いることも好ましい。特に、製鋼過程で発生するダストと、粉末状にした還元スラグとを混合して加熱溶融させ、冷却固化させて製造される人工石材は、溶融過程で遊離石灰や低沸点金属酸化物が除かれており、また重量粗骨材として十分な密度も有することから、本発明の粗骨材そのもの、または粗骨材の原料として有効である。
【0045】
前記人工石材を、原料として、これを前述のジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマーミル、ローラーミル等の打撃力で粗砕するタイプの破砕機で、所定条件を選定して単独で、またはスクリーンを併用して、粗骨材の実積率が48〜60%の重量粗骨材を製造できる。
【0046】
ポーラス重量コンクリート自体の配合は、一般のポーラス重量コンクリートの場合と特に変わるところはなく、要求される空隙率(例えば、10〜35%)、圧縮強度(例えば、10〜18N/mm2)、透水係数(例えば、10-2〜1.0cm/sec)に応じて、配合設計すればよい。
【0047】
具体的には、例えば、セメント100重量部に対し、水20〜35重量部、細骨材0〜45重量部、重量粗骨材400〜750重量部に混和剤などが配合される。
【0048】
表1は、具体的な配合3種類を例示したものである。
【0049】
【表1】

【0050】
表1で、セメントは高炉セメントB種(密度3.05g/cm3)を選定した。表1の粗骨材は、密度4.1g/cm3の重晶石を、ジョークラッシャーで粗粉砕し、スクリーンを通して10〜40mmに選別した。特に、すりもみなど骨材の角張り部分を削り取るような造粒工程は省いて製造し,実積率52%のものを得た。細骨材は密度2.62g/cm3の陸砂を用いた。混和剤は、ポリカルボン酸系分散剤を配合(BASF社、レオビルドSP8N)した。
【0051】
以下、本発明の施工の形態を図面に基づいて説明する。
【0052】
図1の河川堤防において、符号2は堤体、符号3は河川を示す。堤体2の法面は、河川側の川表4、河川と反対側の川裏5により構成されている。
【0053】
川裏5の法尻に堤体2と一体となったポーラス重量コンクリート製のせん断補強工1が敷設されており、川表4からの浸透水および川底からの浸透水を集水する。さらにポーラス重量コンクリート製のせん断補強工1に連結された排水溝6により、集水された浸透水を排水する。
【0054】
よって、堤体2に河川からの浸透水が滞留し、堤体2の強度を低下させることなく、速やかに排水することで、堤体2の崩壊の危険性が低減される。堤体2のすべり抵抗性を高めるために、せん断力の高いポーラス重量コンクリートを用いることが好ましい。
【0055】
図2〜図6は、本発明の河川堤防のバリエーションを示したものである。
図2は川裏5の法尻に堤体2と一体となったポーラス重量コンクリート製のせん断補強工1のみを設けた場合、図3はアンカー効果を期待するため、ポーラス重量コンクリートによるせん断補強工1の根入れdを深くした場合、図4は根入れd部分を現場打ちのベース重量コンクリート7とした場合である。
【0056】
図5は川裏5に小裏5に小段部分を形成した場合、図6は根入れしたポーラス重量コンクリート製のせん断補強工1に隣接させて排水溝6を設け、せん断補強工1に連結し一体化した場合である。
【0057】
図7は本発明の河川堤防補強用ブロックの一実施形態を示したものであり、堤内側から見た正面図である。
【0058】
ポーラス重量コンクリート製のプレキャストブロック1aは、断面コの字状に形成されており、隣り合うブロック1aのコの字の開口側が上下交互になるように互いに開口側で係合させながら、ブロック1aを法尻に沿って多数連設して行くことで、川裏法尻部にせん断補強工1を構築している。
【0059】
ブロック1aどうしの間に上下方向および水平方向の遊び(間隙)が形成されるようにすることで、地震や豪雨の際に、せん断補強工1に過大な力が作用した場合にも、ブロック1aどうしが上下方向または水平方向に相対変位することで、せん断補強工1の一部が折れるなどの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の河川堤防の原理を概略的に示した鉛直断面図である。
【図2】本発明の一実施形態を概略的に示した鉛直断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を概略的に示した鉛直断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態を概略的に示した鉛直断面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態を概略的に示した鉛直断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態を概略的に示した鉛直断面図である。
【図7】本発明の河川堤防補強用ブロックの一実施形態を堤内側から見た正面図である。
【符号の説明】
【0061】
1…ポーラス重量コンクリートせん断補強工、1a…2…堤体、3…河川、4…川表、5…川裏、6…排水溝、7…ベースコンクリート、8…ポーラス重量コンクリート製のプレキャストブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
川裏法尻部に排水性を有する空隙率が10〜35%のポーラスコンクリートであって、粗骨材の実積率が48〜60%の重量骨材を含む重量コンクリートによるせん断補強工を設けたことを特徴とする河川堤防。
【請求項2】
前記重量コンクリートとして、圧縮強度が10N/mm2以上の重量コンクリートを用いたことを特徴とする請求項1記載の河川堤防。
【請求項3】
前記重量コンクリートとして、透水係数が10-2〜1.0cm/secの重量コンクリートを用いたことを特徴とする請求項1または2記載の河川堤防。
【請求項4】
前記せん断補強工の堤内側に排水路が設けられており、前記せん断補強工から前記排水路へ向けて直接的なまたは他の排水手段を介して間接的な排水経路が形成されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の河川堤防。
【請求項5】
前記せん断補強工が、プレキャスト重量コンクリートブロックからなることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の河川堤防。
【請求項6】
前記プレキャスト重量コンクリートブロックが断面コの字状のブロックであり、隣り合うブロックのコの字の開口側が上下交互になるように互いに開口側で係合させながら、該ブロックを法尻に沿って多数連設してなることを特徴とする請求項5記載の河川堤防。
【請求項7】
重量コンクリートからなる断面コの字状のブロックであり、コの字の開口側を上下交互に係合させることで、上下方向および連結方向に遊びをもたせて多数連結可能としたことを特徴とする河川堤防補強用ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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