説明

油入変圧器コンサベータ用複合膜

【課題】EVOHフィルム等からなる中間層と、ナイロン布層との間の剥離強度が高く耐久性に優れている油入変圧器コンサベータ用複合膜を提供する。
【解決手段】油入変圧器に用いられるコンサベータ用複合膜1は、中間層2の両面にゴム層3が接着剤6により接着され、ゴム層3のそれぞれの外側表面に接着剤7でコーティングされたナイロン布層4が接着され、ナイロン布層4のそれぞれの外側表面に外層5が接着剤7により接着されており、中間層2はゴム層3との接着前に接着面が活性化処理されたものであり、ナイロン布層4はゴム層3との接着前に接着面が樹脂添加ゴム糊(接着剤7)によりコーティング処理されたものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油入変圧器コンサベータ用複合膜に関し、特に、優れた接着性により層間の剥離強度が高い油入変圧器コンサベータ用複合膜に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、油入変圧器の構成例を示す。この油入変圧器10は、鉄心、一次巻線、および二次巻線等からなる変圧器本体11と、密閉構造を有すると共に変圧器本体11が内蔵されるタンク12と、絶縁耐力および冷却効果を上げるためにタンク12に封入される絶縁油13と、タンク12の天井面に取り付けられた複数の碍子14と、タンク12の上部に配設され、連結管15を介してタンク12に連結されたコンサベータ(Conservator)16と、連結管17を介してコンサベータ16に連結された吸湿呼吸器18とを備える。
【0003】
変圧器本体11は、鉄心、一次巻線、および二次巻線等を備え、交流の入力電圧を降圧して出力する。タンク12は、放熱性に優れる金属を用いて、高い放熱性が得られ、かつ変圧器本体11との絶縁を考慮した構造に作られている。碍子14は、タンク12に絶縁させて取り付けられ、送電線や配電線と変圧器本体11の一次巻線および二次巻線に接続される。
【0004】
コンサベータ16は、内部に、油入変圧器10の絶縁油13と外気を分離して絶縁油13の酸化劣化を防止するとともに、絶縁油13の膨張および収縮を吸収するための耐油性の油入変圧器コンサベータ用複合膜(以下、コンサベータ用複合膜という。)20が設けられている。
【0005】
吸湿呼吸器18は、コンサベータ16に導入される空気を除湿するための乾燥剤、例えば、シリカゲルを収納している。
【0006】
図4は、コンサベータ用複合膜20の構成を示す。酸素ガスバリア性を向上したコンサベータ用複合膜は流動帯電対策のひとつとして、超高圧変圧器への適用が検討されており、図4のコンサベータ用複合膜20は特許文献1に開示されている。
【0007】
このコンサベータ用複合膜20は、酸素ガスバリア性を備える酸化防止用の高分子材料を用いた中間層としてのEVOHフィルム21と、このEVOHフィルム21の両面にそれぞれ設けられた内層としてのナイロン布22と、ナイロン布22のそれぞれの表面に設けられた外層としてのニトリルゴム23とを備える。なお、各層の相互間は、接着剤により接着されている。
【0008】
変圧器本体11は、運転にともなって鉄心および各巻線の温度が上昇する。変圧器本体11の温度が上昇すると、絶縁油13の温度が上昇し、膨張する。また、変圧器本体11が運転を停止し、或いは軽負荷で動作するようになったときには、絶縁油13の温度が下がり、収縮する。この絶縁油13の膨張および収縮を吸収するためにコンサベータ16が設けられている。
【0009】
コンサベータ用複合膜20は、その片面に吸湿呼吸器18からの空気(酸素)が接触し、他方の面にタンク12からの絶縁油13が接触しており、タンク12内の絶縁油13の膨張または収縮に応じてコンサベータ用複合膜20が上下動し、絶縁油13の膨張/収縮を吸収する。
【0010】
したがって、コンサベータ用複合膜20には、絶縁油13の劣化防止のため酸素ガスバリア性に優れていること、変形に対する追随性に優れていること、層間の剥離強度が高いこと等が要求される。
【特許文献1】特開2006−237531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1記載のコンサベータ用複合膜20は、EVOHフィルム等からなる中間層と、ナイロン布からなる内層との間の剥離強度について改善の余地が残されていた。
【0012】
従って、本発明の目的は、EVOHフィルム等からなる中間層と、ナイロン布層との間の剥離強度が高く耐久性に優れている油入変圧器コンサベータ用複合膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するため、酸素ガスバリア性を備える酸化防止用の高分子材料を用いた中間層と、前記中間層の両面にそれぞれ設けられたゴム層と、前記各ゴム層のそれぞれの外側表面(前記中間層対向面とは反対側の面)に設けられたナイロン布層と、前記各ナイロン布層のそれぞれの外側表面(前記ゴム層対向面とは反対側の面)に設けられた耐油物質による外層とを備え、前記中間層は、前記ゴム層との接着前に接着面が活性化処理されたものであり、前記ナイロン布層は、前記ゴム層との接着前に接着面が樹脂添加ゴム糊によりコーティング処理されたものであることを特徴とする油入変圧器コンサベータ用複合膜を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、EVOHフィルム等からなる中間層と、ナイロン布層との間の剥離強度が高く耐久性に優れている油入変圧器コンサベータ用複合膜を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る油入変圧器コンサベータ用複合膜を示す。この油入変圧器コンサベータ用複合膜(以下、コンサベータ用複合膜という。)1は、酸素ガスバリア性を備える酸化防止用の高分子材料を用いた中間層2と、この中間層2の両面にそれぞれ設けられたゴム層3と、各ゴム層3のそれぞれの外側表面(中間層対向面とは反対側の面)に設けられたナイロン布層4と、各ナイロン布層4のそれぞれの外側表面(ゴム層対向面とは反対側の面)に設けられたニトリルゴム等の耐油物質による外層5とを備える。
【0016】
中間層2とゴム層3との間は接着剤6により、ゴム層3と外層5は接着剤7でコーティング処理されたナイロン布層4を介して接着されている。
【0017】
〔中間層2〕
中間層2には、酸素ガスバリア性に優れた高分子材料を用いる。具体的には、室温(20〜25℃)、湿度0%で酸素透過率が、3.5cm/m・24h・atm以下、50℃、湿度0%において30cm/m・24h・atm以下である高分子材料を好適に用いることができる。より好ましくは、室温(20〜25℃)、湿度0%で酸素透過率が、2.0cm/m・24h・atm以下、50℃、湿度0%において25cm/m・24h・atm以下である。さらに好ましくは、室温(20〜25℃)、湿度0%で酸素透過率が、1.0cm/m・24h・atm以下、50℃、湿度0%において21cm/m・24h・atm以下である。
【0018】
また、中間層2は、より好ましくは以下の条件も満たす高分子材料を用いる。すなわち、35℃、湿度75%で酸素透過率が、6.0cm/m・24h・atm以下、より好ましくは、5.0cm/m・24h・atm以下、さらに好ましくは、4.0cm/m・24h・atm以下である。
【0019】
また、水分の透過を防止することが望ましいことから、中間層2は、さらに好ましくは以下の条件も満たす高分子材料を用いる。すなわち、室温(20〜25℃)における水蒸気透過率が、1000g/m・24h以下、50℃において5000g/m・24h以下である。より好ましくは、室温(20〜25℃)における水蒸気透過率が、950g/m・24h以下、50℃において5000g/m・24h以下である。
【0020】
このような中間層2として、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)、延伸ポリビニルアルコール(延伸PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等のフィルムを好適に用いることができる。
【0021】
中間層2として、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)を用いる場合には、エチレン共重合比率が20〜45mol%のものを用いることが好ましく、より好ましくは、25〜35mol%であり、さらに好ましくは、29〜31mol%である。
【0022】
EVOHの厚みは、10〜30μmが好ましく、より好ましくは12〜25μmであり、さらに好ましくは14〜20μmである。
【0023】
中間層2として、延伸ポリビニルアルコール(延伸PVA)を用いる場合には、二軸延伸PVAを用いることが好ましい。また、延伸PVAは、耐水蒸気透過に優れているとは言えないため、乾燥剤等を併用することが好ましい。
【0024】
延伸PVAの厚みは、8〜30μmが好ましく、より好ましくは10〜25μmであり、さらに好ましくは12〜20μmである。
【0025】
中間層2として、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)を用いる場合には、厚めのフィルムを使用するか、複数層貼り合わせて使用するか、強度の点からほかの材料を張り合わせて使用することが好ましい。
【0026】
PVDCの厚みは、14〜55(27ミクロン×2枚を想定)μmが好ましく、より好ましくは18〜40μmであり、さらに好ましくは20〜35μmである。
【0027】
〔ゴム層3〕
ゴム層3には、ニトリルゴム等の合成ゴムを好適に用いることができる。ゴム層3の厚みは、60〜150μmが好ましく、より好ましくは70〜130μmであり、さらに好ましくは80〜100μmである。
【0028】
〔ナイロン布層4〕
ナイロン布層4の厚みは、70〜150μmが好ましく、より好ましくは80〜140μmであり、さらに好ましくは90〜130μmである。
【0029】
〔外層5〕
外層5には、ニトリルゴム等の耐油物質を好適に用いることができる。外層5の厚みは、150〜400μmが好ましく、より好ましくは200〜400μmであり、さらに好ましくは250〜350μmである。
【0030】
〔接着剤6〕
中間層2とゴム層3との間は接着剤6により接着されている。接着剤6としては、樹脂添加ゴム糊を好適に用いることができる。外層5と同質系のゴム糊が好ましい。特に、フェノール樹脂添加ニトリルゴム糊が好ましい。フェノール樹脂の添加量は、ニトリルゴムの質量の10〜50%が好ましい。これは、接着性能、樹脂添加による硬化防止および経済性の観点から定めたものである。なお、15〜30%がより好ましく、20〜25%がさらに好ましい。
【0031】
中間層2とゴム層3との間を接着剤6により接着する前に、接着強度の安定化のため、中間層2の表面を活性化させる必要がある。活性化させる方法としては、熱処理、コロナ放電、プライマー処理等があるが、コスト面や水分を飛ばす効果等の観点から熱処理が最も好ましい。活性化処理は、接着する直前に行なうことが最適であり、少なくとも接着する前の数時間内に行なうことが好ましい。
【0032】
〔接着剤7〕
ゴム層3と外層5は、接着剤7で処理されたナイロン布層4を介して接着剤7により接着されている。ここで、接着剤7とは、ナイロン布全面にコーティングする接着剤を意味する。接着剤7としては、接着剤6と同類の樹脂添加ゴム糊を好適に用いることができる。ゴムは外層5と同質系のゴム糊が好ましい。
【0033】
ナイロン布層4に接着剤7をコーティング処理する方法としては、例えば、樹脂添加ニトリルゴム糊にナイロン布を浸漬させて加圧又は減圧に保ち、ゴムを繊維と繊維の間の空隙に含浸させ塗布させることにより行なうことができる。
【0034】
〔コンサベータ用複合膜の製造方法〕
コンサベータ用複合膜1は、例えば、以下の手順により製造することができる。貼り付けに際しては、気泡が混入しないように、また皺にならないように行なう。
(1)ナイロン布層4に接着剤7をコーティングする。
(2)(1)にゴム層3を貼りつける。
(3)中間層2に表面処理を加える。
(4)(3)の片面に接着剤6を塗布する。
(5)(4)の塗布面に(2)のゴム層3側を貼りつける。
(6)(5)の中間層2の露出面に接着剤6を塗布する。
(7)(6)の塗布面に(2)のゴム層3側を貼りつける。
(8)(7)の外側両面に外層5を貼りつける。
(9)(8)を加硫する。
【0035】
〔本発明の実施の形態の効果〕
本発明の実施の形態によれば、複合膜の層間の剥離強さが10N/cm以上、更には20N/cm以上のコンサベータ用複合膜を得ることができる。
【0036】
また、上記剥離強さを保持し、かつ、室温(20〜25℃)、湿度0%で酸素透過率が、0.08cm/m・24h・atm以下であり、絶縁油耐油性が約60℃の油中屈曲においても3万回以上の伸縮屈曲動作に耐えられるコンサベータ用複合膜を得ることもできる。
【0037】
〔他の実施の形態〕
本発明は、上記実施の形態に限定されず、その要旨を変更しない範囲内で種々な変形が可能である。例えば、コンサベータ用複合膜1は、いわゆる隔膜型に限らず、いわゆる袋型に適用することもできる。
【0038】
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
〔実施例1〕
上記本発明の実施の形態のコンサベータ用複合膜の製造方法に従って、コンサベータ用複合膜1Aを量産設備により製造した。
【0040】
図2(a)は、実施例1のコンサベータ用複合膜1Aの断面図である。各層には、延伸ポリビニルアルコール(延伸PVA)フィルム層2A(厚さ12μm)、ニトリルゴム層3A(厚さ100μm)、ナイロン布層4A(厚さ120μm)、ニトリルゴム層5A(厚さ300μm)を用いた。延伸PVAには、日本合成化学工業株式会社製の商品名「ボブロン」(二軸延伸PVA)を用いた。
【0041】
また、延伸ポリビニルアルコール(延伸PVA)フィルム層2Aは、活性化処理として熱処理を施した。接着剤6Aにはフェノール樹脂20%添加ニトリルゴム糊を用い、ニトリルゴム層3Aとニトリルゴム層5Aを、接着剤7Aでコーティングしたナイロン布層4Aにより加硫融着した。接着剤7Aには樹脂添加ニトリルゴム糊を用いた。
【0042】
(試験結果)
上記実施例1の酸素透過率試験は、JIS K7126B法:1987による方法で室温23℃、湿度0%の条件で酸素透過率が0.01cm/m・24h・atm以下(測定限界)であった。また、絶縁油耐油性として約100℃絶縁油(7種4号)に浸漬し30日放置した後、約60℃の油中屈曲において、3万回の伸縮屈曲動作を実施し、貫通亀裂なく耐えることができた。これにより、目的とした強度を有していることが分かった。
【0043】
〔比較例1〕
特許文献1記載のコンサベータ用複合膜の製造方法に従って、コンサベータ用複合膜1Bを量産設備により製造した。
【0044】
図2(b)は、比較例1のコンサベータ用複合膜1Bの断面図である。各層には、延伸ポリビニルアルコール(延伸PVA)フィルム層2B(厚さ12μm)、ナイロン布層4B(厚さ120μm)、ニトリルゴム層5B(厚さ250μm)を用いた。延伸PVAには、日本合成化学工業株式会社製の商品名「ボブロン」(二軸延伸PVA)を用いた。
【0045】
また、延伸ポリビニルアルコール(延伸PVA)フィルム層2Bは、活性化処理として熱処理を施した。接着剤6Bおよび接着剤8Bには、ニトリルゴム糊を用い、ニトリルゴム層5Bを加硫融着することによりナイロン布層4Bに接着した。
【0046】
〔比較例2〕
上記本発明の実施の形態のコンサベータ用複合膜の製造方法に従って、コンサベータ用複合膜1Cを量産設備により製造した。但し、ニトリルゴム層3Aに相当する層は設けずに、フィルム層2Cとナイロン布層4Cとを接着した。
【0047】
図2(c)は、比較例2のコンサベータ用複合膜1Cの断面図である。各層には、延伸ポリビニルアルコール(延伸PVA)フィルム層2C(厚さ12μm)、ナイロン布層4C(厚さ120μm)、ニトリルゴム層5C(厚さ350μm)を用いた。延伸PVAには、日本合成化学工業株式会社製の商品名「ボブロン」(二軸延伸PVA)を用いた。
【0048】
また、延伸ポリビニルアルコール(延伸PVA)フィルム層2Cは、活性化処理として熱処理を施した。接着剤6Cにはフェノール樹脂20%添加ニトリルゴム糊を用い重ね塗りし、接着剤7Cでコーティングしたナイロン布層4Cを接着することによりニトリルゴム層5Cを加硫融着した。接着剤7Cには樹脂添加ニトリルゴム糊を用いた。
【0049】
(剥離接着強さ試験)
上記の実施例1および比較例1〜2を用いて、剥離接着強さ試験により剥離強度の測定を行った。
【0050】
剥離接着強さ試験は、JIS K6404−5:1999による方法により行った。各サンプルを引張試験機に取り付け、180度剥離強度(N/cm)を測定した。
【0051】
測定結果は、実施例1が29N/cm、比較例1が2.9N/cm、および比較例2が4.4N/cmであった。これより、実施例1の層構成および接着剤を用いた場合の剥離強度が極めて高く、優れていることが分かった。
【0052】
〔実施例2〕
上記本発明の実施の形態のコンサベータ用複合膜の製造方法に従って、実施例1と同様のコンサベータ用複合膜をラボ設備により製造した。
【0053】
(中間層2表面の活性化処理の効果確認)
実施例1と同様に熱処理により中間層2の表面を活性化させて製造したものの他に、熱処理に換えて放電処理としてのコロナ処理、およびプライマー処理により中間層2の表面を活性化させて製造したものを準備し、前述の剥離接着強さ試験を行なったところ、熱処理によるものは22.7N/cmであり、コロナ処理によるものは26.3N/cmであり、プライマー処理によるものは9.9N/cmあった。
【0054】
〔実施例3〕
上記本発明の実施の形態のコンサベータ用複合膜の製造方法に従って、実施例1と同様のコンサベータ用複合膜をラボ設備により製造した。但し、フェノール樹脂20%添加ニトリルゴム糊に換えて、フェノール樹脂30%添加ニトリルゴム糊、フェノール樹脂50%添加ニトリルゴム糊、フェノール樹脂100%添加ニトリルゴム糊をそれぞれ用いて製造した。
【0055】
(フェノール樹脂添加量の効果確認)
それぞれについて、前述の剥離接着強さ試験を行なったところ、フェノール樹脂30%添加のものは21.3N/cmであり、フェノール樹脂50%添加およびフェノール樹脂100%添加のものは剥離不能であった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンサベータ用複合膜の断面図である。
【図2】実施例および比較例のコンサベータ用複合膜の断面図である。
【図3】油入変圧器の構成例を示す構成図である。
【図4】従来のコンサベータ用複合膜の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1:コンサベータ用複合膜、2:中間層
3:ゴム層、4:ナイロン布層、5:外層
6:接着剤、7:接着剤、
1A〜1C:コンサベータ用複合膜
2A〜2C:延伸PVAフィルム層
3A:ニトリルゴム層、4A〜4C:ナイロン布層
5A〜5C:ニトリルゴム層、6A〜6C:接着剤
7A,7C:接着剤、8B:接着剤
10:油入変圧器、11:変圧器本体、12:タンク
13:絶縁油、14:碍子、15:連結管
16:コンサベータ、17:連結管、18:吸湿呼吸器
20:コンサベータ用複合膜、21:中間層(EVOHフィルム)
22:内層(ナイロン布)、23:外層(ニトリルゴム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素ガスバリア性を備える酸化防止用の高分子材料を用いた中間層と、前記中間層の両面にそれぞれ設けられたゴム層と、前記各ゴム層のそれぞれの外側表面(前記中間層対向面とは反対側の面)に設けられたナイロン布層と、前記各ナイロン布層のそれぞれの外側表面(前記ゴム層対向面とは反対側の面)に設けられた耐油物質による外層とを備え、
前記中間層は、前記ゴム層との接着前に接着面が活性化処理されたものであり、
前記ナイロン布層は、前記ゴム層との接着前に接着面が樹脂添加ゴム糊によりコーティング処理されたものであることを特徴とする油入変圧器コンサベータ用複合膜。
【請求項2】
前記中間層と前記ゴム層、および前記ナイロン布層と前記外層は、前記接着用樹脂添加ゴム糊により接着されており、
前記接着用樹脂添加ゴム糊は、フェノール樹脂の添加量がニトリルゴムの質量の10〜50%であるフェノール樹脂添加ニトリルゴム糊であることを特徴とする請求項1に記載の油入変圧器コンサベータ用複合膜。
【請求項3】
前記活性化処理は、熱処理であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の油入変圧器コンサベータ用複合膜。
【請求項4】
前記ゴム層は、ニトリルゴムからなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の油入変圧器コンサベータ用複合膜。
【請求項5】
前記ゴム層は、その厚みが60〜150μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の油入変圧器コンサベータ用複合膜。
【請求項6】
前記中間層を構成する前記高分子材料は、室温(20〜25℃)、湿度0%で酸素透過率が、3.5cm/m・24h・atm以下、50℃、湿度0%で酸素透過率が、30cm/m・24h・atm以下、室温(20〜25℃)における水蒸気透過率が、1000g/m・24h以下、50℃における水蒸気透過率が、5000g/m・24h以下の高分子材料であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の油入変圧器コンサベータ用複合膜。
【請求項7】
前記高分子材料は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)、延伸ポリビニルアルコール(延伸PVA)、又はポリ塩化ビニリデン(PVDC)であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の油入変圧器コンサベータ用複合膜。
【請求項8】
前記外層を構成する前記耐油物質は、ニトリルゴムであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の油入変圧器コンサベータ用複合膜。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−238943(P2009−238943A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81719(P2008−81719)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000230973)日本工営株式会社 (39)
【Fターム(参考)】