説明

油圧ホースの継手

【課題】汎用性に優れ、油圧ホースの接続や固定の作業も容易にできる作業機械用の継手を提供する。
【解決手段】作業機械に備えられた油圧ホース2の継手1である。基部9から異なる方向に突出する複数の突出部10を有している。少なくとも2つの突出部11,12の突端面に、油流路15を通じて互いに連通する接続口14が形成され、少なくとも1つの突出部13の突端面に、油流路15と連通することなく、雌ネジ孔16が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンやショベル等の作業機械に備えられた油圧ホースの継手に関する。
【背景技術】
【0002】
アタッチメント等、作業機械の機械要素は、主に油圧でもって駆動制御されている。油圧制御するために、作業機械では、各機械要素に油圧ポンプやコントロールバルブ、作動油タンクなどの油圧関連装置を組み合わせて、作動油が循環する油圧回路が構成されている。油圧ポンプの駆動により、作動油は、コントロールバルブを経由して作動油タンクから各機械要素に循環供給されている。
【0003】
各油圧関連装置の間は、多数の油圧ホースによって接続されており、これら油圧ホースを通じて作動油の供給や返送が行われている。従って、各種機器が密集する機械室の内部では、これら機器の間を縫うように油圧ホースが配置されている。
【0004】
接続部位によっては、油圧ホース内が高圧になったり油圧ホースが揺れ動いたりするため、作動油の漏れが発生しないように、油圧ホースの接続には確実性が要求される。ところが、油圧ホースの接続や固定の作業は、通常、各種機器の設置後に行われるため、十分な作業スペースを確保するのは難しい。しかも、各油圧関連装置の設置位置や油圧ホースの寸法等がずれていれば、それに合わせて油圧ホースを捩ったり曲げたりするため、手間がかかるという問題がある。
【0005】
この種の技術に関する先行技術として、ホースクランプ(特許文献1)や油圧ホースの固定装置(特許文献2)がある。
【0006】
前者のホースクランプでは、複数の油圧ホースにおけるコントロールバルブとの接続部分がグロメットに挿通されており、これらグロメットが2枚のクランププレートで挟持されている。そうすることにより、油圧ホースの揺れ動きを規制している。
【0007】
後者の固定装置では、油圧ホースの接続等の作業を容易にするため、フレームに取り付けられた中継ブラケットに、アダプタで直線状に接続された2本の油圧ホースの継手の部分を固定している。
【0008】
詳しくは、板状の中継ブラケットの先端に、切り込み状のアダプタ収容部が設けられている。そのアダプタ収容部にアダプタを嵌め込んで締結することにより、油圧ホースが中継ブラケットに固定されている。油圧ホースは、中継ブラケットの板面と直交する方向に延びていて、油圧ホースに作用する曲げ力が緩和される方向にその板面が傾斜するよう、中継ブラケットは、フレームの所定の位置に所定の角度で取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−225478号公報
【特許文献2】特開2010−106529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1のホースクランプは、固定部位が限られているし、油圧ホースの接続等の作業性の向上については考慮されていない。
【0011】
その点、特許文献2の固定装置は、油圧ホースを接続した後に中継ブラケットに固定できるので、油圧ホースの接続等の作業性を向上させることができる。しかし、所定形状の中継ブラケットを所定位置に精度高く設置しなければならないため、その調整に手間がかかる。また、設置場所が変われば、それに合わせて中継ブラケットの配置や形状を設計し直す必要があり、汎用性にも欠ける。
【0012】
そこで、本発明の目的は、汎用性に優れ、油圧ホースの接続や固定の作業も容易にできる作業機械用の継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
油圧ホースの配置に合わせて油圧ホースが接続できるように、異なる方向に開口する複数の接続口を継手に形成し、1箇所をねじ止めするだけで継手を固定できるようにした。
【0014】
具体的には、本発明に係る継手は、作業機械に備えられた油圧ホースの継手であって、基部と、前記基部から異なる方向に突出する複数の突出部とを有している。少なくとも2つの前記突出部の突端面に、油流路を通じて互いに連通する接続口が形成されている。そして、少なくとも1つの前記突出部の突端面に、前記油流路と連通することなく、雌ネジ孔が形成されている。
【0015】
このように構成された継手によれば、油流路を通じて互いに連通する接続口が、異なる方向に突出する少なくとも2つの突端部の突端面に形成されているので、油圧ホースを曲げて固定したい場合など、その配置に合った継手を使用することで、油圧ホースに過度な負担を強いることなく油圧ホースを接続することができる。従って、作動油の漏れが抑制でき、確実性をもって油圧ホースを接続することができる。
【0016】
少なくとも1つの雌ネジ孔が油流路と連通することなく形成されているので、油圧ホースの継手としての機能は損なわずに、1本のボルト等をねじ込むだけで継手を固定することができる。従って、作業工数が削減されるなど、固定作業が容易になる。部材点数も削減できるし、設置スペースも比較的小さくて済む。
【0017】
継手の取り付け時には、ボルト等の軸回りに継手を回動させることができるので、油圧ホースの固定方向の自由度が高まり、汎用性に優れる。油流路や雌ネジ孔は、切削加工によって形成できるので、生産性に優れ、コストも削減できる。
【0018】
例えば、前記突出部が、前記基部に連続する直方体形状を有しているように形成するのが好ましい。
【0019】
そうすれば、例えば、既存の金属ブロック等を材料にして継手を加工することができ、よりいっそう生産性に優れる。雌ネジ孔が形成される突端面が平坦であるため、取付対象に面接触させることができ、安定して継手を固定することができる。また、部品として、多数の継手を搬送する場合や収容する場合に、継手どうしを効率よく安定して積み重ねることができ、利便性にも優れる。
【0020】
このような継手の具体例としては、略T字状ないし略Y字状の外観を有するように、前記突出部が三方に突出し、前記突出部のいずれか1つに前記雌ネジ孔が形成され、残りの2つに前記接続口が形成されているように構成することができる。
【0021】
また別の具体例としては、略十字状の外観を有するように、前記突出部が四方に突出し、前記突出部のいずれか1つ又は2つに前記雌ネジ孔が形成され、残りの前記突出部に前記接続口が形成されているように構成することもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る継手によれば、汎用性に優れ、油圧ホースの接続や固定の作業も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態の継手を示す概略図である。
【図2】図1における継手の断面を示す概略図である。
【図3】継手の変形例を示す概略図である。(b)は(a)におけるI−I線断面図である。
【図4】継手の変形例を示す概略図である。
【図5】継手の変形例を示す概略図である。
【図6】(a),(b)は、継手の変形例を示す概略図である。
【図7】従来の油圧ショベルの概略図である。
【図8】図7の油圧ショベルにおける機械室内部の要部を示す概略図である。
【図9】継手の適用例を示す概略図である。
【図10】継手の適用例を示す概略図である。
【図11】継手の適用例を示す概略図である。
【図12】継手の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0025】
[継手の構造]
図1及び図2に、本実施形態の継手1を示す。この継手1は、略T字状の外観を有する金属加工品であり、油圧ホース2が接続される部分(接続部1a)と、ボルト等の締結部材3が締結される部分(固定部1b)とを有している。
【0026】
この継手1は、複数の直方体を組み合わせたような金属ブロックに機械加工を施すことによって形成されている。具体的には、継手1は、直方体形状を有する基部9と、基部9に連なって互いに逆向きに突出する直方体形状の第1突出部11及び第2突出部12と、基部9に連なって第1突出部11及び第2突出部12と略直交する方向に突出する直方体形状の第3突出部13とを有している。各突出部10(突出部を包括的に称する場合は符号10を用いる)の横断面は正方形状である。基部9と各突出部10とは連続しているため、継手1の略T字状の側面は平坦面となっている。
【0027】
そして、この継手1では、直線状に連なる第1突出部11、基部9、及び第2突出部12によって接続部1aが構成されている。すなわち、この継手1では、第1突出部11及び第2突出部12の各突端面11a,12aに、それぞれ接続口14が形成され、第1突出部11、基部9、及び第2突出部12を直線状に貫いて、両接続口14、14に連通する油流路15が形成されている。
【0028】
油流路15は、旋盤等により、金属ブロックを円筒状にくり抜く切削加工によって形成されている。油圧ホース2を接続するために、油流路15の各接続口14の近傍には、ねじ切り加工によって雌ネジが形成されている(ネジ部15a)。このネジ部15aに、油圧ホース2の接続端に設けられた雄ネジの部分をねじ込むことにより、油圧ホース2と継手1とが接続される。
【0029】
第3突出部13によって固定部1bが構成され、第3突出部13の突端面13aに雌ネジ孔16が形成されている。具体的には、第3突出部13の突端面13aの中央部位から、第3突出部13が突出する方向にドリル等で孔を空け、ねじ切りすることにより雌ネジ孔16が形成されている。雌ネジ孔16の孔深さは、第3突出部13の突出量よりも小さく、雌ネジ孔16は、油流路15に連通することなく第3突出部13に独立して形成されている。
【0030】
この雌ネジ孔16には、通常、継手1を固定するために締結部材3がねじ込まれる。例えば、取付対象30に形成された貫通孔31を介して、対応する締結部材3の雄ネジ部分がねじ込まれることにより、継手1は取付対象30に固定される。ワッシャやナット等を介在させれば、固定位置を調整することができる。このとき、締結部材3の軸回りに継手1を回動させることができるので、継手1に接続した油圧ホース2の固定方向の調整ができる。雌ネジ孔16の周囲には平坦な突端面13aが拡がっているので、取付対象30に継手1を安定して固定することができる。
【0031】
図3に示すように、取付対象30の貫通孔31は細長い長孔にするのが好ましい。そうすれば、同図に矢印で示すように、締結部材3の軸回りに加え、継手1の固定位置を貫通孔31に沿って変位させることができるので、継手1の固定状態の自由度が高まり、よりいっそう汎用性を向上させることができる。
【0032】
(第1変形例)
図4に、継手1の変形例を示す(符号に1Aを用いる)。本変形例の継手1Aは、上述した継手1と同じ金属ブロックを用いて形成されている。ただし、この継手1Aでは、L字状に連なる第1突出部11、基部9、及び第3突出部13によって接続部1aが構成され、第2突出部12によって固定部1bが構成されている。なお、第1突出部11と第2突出部12は逆であってもよいが、ここでは第2突出部12を固定部1bとして説明する。
【0033】
すなわち、この継手1では、第1突出部11及び第3突出部13の各突端面11a,13aに、それぞれ接続口14が形成されている。そして、これら接続口14、14を連通するL字状の油流路15(符号に15Aを用いる)が接続部1aに形成されている。なお、この油流路15Aも先の継手1と同様に切削加工によって形成されている。
【0034】
第2突出部12の突端面12aには、第2突出部12が突出する方向に、先の継手1と同様に雌ネジ孔16が形成されている。このように、同じ金属ブロックを用いて油圧ホース2の接続方向が異なる継手1を形成すれば、材料の共有化が図れ、汎用性に優れる。
【0035】
また、各突出部10が基部9に連続する直方体形状をしているので、部品として、多数の継手1を搬送する場合や収容する場合に、継手1どうしを効率よく安定して積み重ねることができ、利便性に優れる。特に、各突出部10や基部9を立方体形状にすれば、隙間無く継手1を組み合わすことができるので、より好ましい。
【0036】
(第2変形例)
図5に、継手1の変形例を示す(符号に1Bを用いる)。本変形例の継手1Bも金属ブロックを用いて形成されている。ただし、ここでの継手1Bは、金属ブロックが略Y字状の形状をしている点で相違している。この継手1Bでは、第2突出部12によって固定部1bが構成され、第1突出部11及び第3突出部13によって接続部1aが構成されている。第1突出部11及び第3突出部13は、基部9を介して第2突出部12の両側にV字状に突出し、油流路15もV字形状をしている(符号に15Bを用いる)。
【0037】
この継手1Bは、油圧ホース2を湾曲した状態で固定したい場合などに好適である。なお、略Y字状とは、接続口14が形成されている2つの突出部11,13が、雌ネジ孔16が形成されている突出部12とは逆向きに、互いに斜め方向に突出していればよく、その傾きの程度は必要に応じて適宜設定できる。
【0038】
(第3変形例)
図6に、継手1の変形例を示す(符号に1Cを用いる)。本変形例の継手1Cも金属ブロックを用いて形成されている。ただし、ここでの継手1Cは略十字状の外観を有している点で相違している。
【0039】
具体的には、継手1Cは、直方体形状を有する基部9と、基部9に連なって互いに逆向きに突出する直方体形状の第1突出部11及び第2突出部12と、基部9に連なって第1突出部11及び第2突出部12と略直交する方向に互いに逆向きに突出する直方体形状の第3突出部13及び第4突出部21とを有している。各突出部10の横断面は正方形状である。基部9と各突出部10とは連続しているため、継手1Cの略十字状の側面は平坦面となっている。
【0040】
そして、同図の(a)に示す継手1Cでは、T字状に連なる第1突出部11、基部9、第2突出部12、及び第3突出部13によって接続部1aが構成され、第4突出部21によって固定部1bが構成されている。すなわち、第1突出部11、第2突出部12、及び第3突出部13の各突端面11a,12a,13aに、それぞれ接続口14が形成され、これら接続口14を連通するT字状の油流路15(符号に15Cを用いる)が接続部1aに形成されている。そして、第4突出部21の突端面21aには、雌ネジ孔16が形成されている。
【0041】
この継手1Cでは、3本の油圧ホース2を各接続口14に接続してもよいし、いずれか1つの接続口14を蓋ネジで封止して2本の油圧ホース2を残りの接続口14にそれぞれ接続してもよい。
【0042】
同図の(b)に示す継手1Cでは、第2突出部12、基部9、及び第3突出部13によって接続部1aが構成されている。そして、第2突出部12、及び第3突出部13の各突端面12a,13aに、それぞれ接続口14が形成され、これら接続口14、14を連通するL字状の油流路15(符号に15C’を用いる)が接続部1aに形成されている。
【0043】
第1突出部11及び第4突出部21によって固定部1bが構成されている。第4突出部21の突端面21aに、雌ネジ孔16が形成されている。第1突出部11に形成されている雌ネジ孔16(符号に16Aを用いる)は、第1突出部11の側面(略十字状の側)に形成され、第1突出部11の突出方向と直交する方向に延びている。
【0044】
すなわち、この継手1Cでは、向きの異なる2つの雌ネジ孔16、16Aを選択して用いることができるので、継手1の固定状態の自由度が増え、よりいっそう汎用性を向上させることができる。
【0045】
[継手の適用例]
次に、図7に示す従来の油圧ショベル50を例に、本発明に係る継手1の適用例を示す。油圧ショベル50には、クローラ式の下部走行体51や、下部走行体51の上に旋回自在に支持された上部旋回体52が備えられている。
【0046】
上部旋回体52の支持フレーム52a上には、アタッチメント54やキャブ55、機械室56などが配置されている。アタッチメント54は、ブーム57やアーム58、バケット59などで構成されており、それぞれに対応して設けられた油圧シリンダ57a,58a,59aを油圧制御することにより、ブーム57等は作動する。キャブ55の内部には、アタッチメント54や下部走行体51を操作する操作機器が設置されている。なお、アーム58やバケット59には1つの油圧シリンダが設けられ、ブーム57には左右両側に2つの油圧シリンダが設けられている。
【0047】
機械室56の内部には、アタッチメント54等を駆動するための各種機器、例えば、エンジンや、油圧ポンプ、コントロールバルブ、燃料タンク、作動油タンク等が密集した状態で配置されている。そのうち、コントロールバルブ周辺におけるアタッチメント54の油圧制御に関連する構成を図8に示す。
【0048】
油圧ポンプ61の上部には、コントロールバルブ62から延びる2本の油圧ホース2(符号に2Aを用いる)の各々の一端が接続されている。そして、コントロールバルブ62からは、バケット59を駆動する油圧シリンダ59aと接続される油圧ホース2(符号に2Bを用いる)、アーム58を駆動する油圧シリンダ58aと接続される油圧ホース2(符号に2Cを用いる)、及びブーム57を駆動する油圧シリンダ57aと接続される油圧ホース2(符号に2Dを用いる)が、それぞれ各装置の隙間を縫うようにして所定位置に配置されている。いずれの油圧ホース2も一対で構成されている。
【0049】
本発明の継手1は、例えば、同図に白抜きの矢印X,Y,Zで示す箇所に用いることができる。
【0050】
矢印Xで示す箇所では、一対の油圧ホース2Dのそれぞれが、継手T1で直線状に接続されており、各油圧ホース2Dにおけるその接続部位の近傍の部分が、支持フレーム52aに固定された縦板52bにブラケットB1で固定されている。
【0051】
この矢印Xで示す箇所に、本発明の継手1を適用した例を図9に示す。継手1の取付対象30としては、例えば、帯板状の取付片30aに長孔の貫通孔31が形成された支持ブラケットを用いるのが好ましい。その支持ブラケット(符号に30Aを用いる)を、貫通孔31が上下方向に沿うように縦板52bに取り付ける。
【0052】
そして、上述した実施形態の継手1を2つ用い、各継手1に一対の油圧ホース2Dの各々を接続する。そして、支持ブラケット30Aの貫通孔31を介し、締結部材3で各継手1を支持ブラケット30Aに固定する。このとき、各継手1は、上下方向と、締結部材3回りとに動かすことができるので、油圧ホース2Dの配置に合わせて継手1を個別に位置決めしながら固定することができる。雌ネジ孔16が形成されている突出部10の突端面と取付片30aとは面接触しているので、継手1を安定して固定することができる。
【0053】
矢印Yで示す箇所では、一対の油圧ホース2Dの各々が継手T2により、2本の分岐ホース64、64に接続されており、各油圧ホース2Dにおけるその接続部位の近傍の部分が、支持フレーム52aに取り付けられたブラケットB2に固定されている。
【0054】
この矢印Yで示す箇所に、本発明の継手1を適用した例を図10に示す。継手1の取付対象30としては、先と同様に、帯板状の取付片30aに長孔の貫通孔31が形成された支持ブラケット(符号に30Bを用いる)を用い、貫通孔31が上下方向に沿うように、その支持ブラケット30Bを支持フレーム52aに取り付けるのが好ましい。
【0055】
ここでは、図6の(a)に示した第3変形例の継手1Cを2つ用いる。そして、各継手1Cにおける第1突出部11及び第2突出部12の一方の接続口14に一対の油圧ホース2Dの各々を接続し、その他方の接続口14と第3突出部13の接続口14とのそれぞれに各分岐ホース64を接続する。
【0056】
支持ブラケット30Bの貫通孔31を介し、締結部材3で各継手1Cを支持ブラケット30Bに固定する。このとき、油圧ホース2Dや分岐ホース64の配置に合わせて継手1を個別に位置決めしながら固定することができる。また、各継手1Cに1本の締結部材3を締結するだけで油圧ホース2D等を適正位置に固定できるので、設置スペースが小さくなるし、部材点数や作業工数も削減でき、作業性に優れる。
【0057】
矢印Zで示す箇所では、油圧ポンプ61の吐出口や吸込口(これらを口部61aと称する)に、L字状の継手T3を介して、コントロールバルブ62から延びる油圧ホース2Aがそれぞれ接続されている。この矢印Zで示す箇所に、本発明の継手1を適用した例を図11に示す。
【0058】
同図に示すように、本発明の継手1の固定部1bは、継手1を固定すること以外にも利用できる。例えば、図4に示した第1変形例の継手1Aを用い、第1突出部11及び第3突出部13の一方の接続口14に油圧ポンプ61の口部61aを接続し、その他方の接続口14に油圧ホース2Aを接続する。
【0059】
この場合、継手1Aは油圧ポンプ61によって固定されるので、第2突出部12の雌ネジ孔16は継手1Aの固定以外にも利用できる。従って、例えば、第2突出部12の雌ネジ孔16に、ケーブルCを束ねて固定する結束部材65を取り付ければ、継手1AをケーブルCの結束具としても兼用できる。
【0060】
なお、本発明にかかる継手は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0061】
例えば、図12に示す継手1(符号に1Dを用いる)のように、突出部10の数は5つ以上であってもよい。雌ネジ孔16も異なる方向に延びるように複数形成し、選択して使用できるようにしてもよい。また、雌ネジ孔16や接続口14が形成されていない予備的な突出部10を設け、必要に応じて雌ネジ孔16や接続口14を形成するようにしてもよい。突出部10の形状は直方体形状に限らず、円柱形状等であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 継手
2 油圧ホース
3 締結部材
9 基部
10 突出部
11 第1突出部
11a 突端面
12 第2突出部
12a 突端面
13 第3突出部
13a 突端面
14 接続口
15 油流路
16 雌ネジ孔
30 取付対象
30a 取付片
31 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械に備えられた油圧ホースの継手であって、
基部と、
前記基部から異なる方向に突出する複数の突出部と、
を有し、
少なくとも2つの前記突出部の突端面に、油流路を通じて互いに連通する接続口が形成され、
少なくとも1つの前記突出部の突端面に、前記油流路と連通することなく、雌ネジ孔が形成されている油圧ホースの継手。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧ホースの継手において、
前記突出部が、前記基部に連続する直方体形状を有している油圧ホースの継手。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の油圧ホースの継手において、
略T字状ないし略Y字状の外観を有するように、前記突出部が三方に突出し、
前記突出部のいずれか1つに前記雌ネジ孔が形成され、残りの2つに前記接続口が形成されている油圧ホースの継手。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の油圧ホースの継手において、
略十字状の外観を有するように、前記突出部が四方に突出し、
前記突出部のいずれか1つ又は2つに前記雌ネジ孔が形成され、残りの前記突出部に前記接続口が形成されている油圧ホースの継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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