説明

油性リキッドインキ

【課題】流動性、分散安定性、印刷物の光沢、ブリード性等に優れた油性リキッドインキの提供。
【解決手段】樹脂溶液と、顔料と、下記一般式の置換基をフタロシアニン残基に対し1個有する誘導体(D1)と、2個有する誘導体(D2)とを含有し、(D1):(D2)の重量比が85:15〜56:44である。


(XはCO、SO2、CH2、CH2NHCOCH2から選ばれる2価の連結基、Yは直接結合またはNH(CH2)nを、R1、R2は水素原子、アルキル基を、nは1〜6を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用適性、特に流動性および分散安定性、光沢、ブリード性に優れる油性リキッドインキに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、顔料の微細な粒子を油性のビヒクルに分散する場合、安定な分散体を得ることは難しく、製造作業上および得られる製品の価値に種々の問題を引き起こすことが知られている。
例えば、微細な粒子からなる顔料を含む分散体は、往々にして高粘度を示し、製品の分散機からの取り出し、輸送が困難となるばかりでなく、更に悪い場合は貯蔵中にゲル化を起こし使用困難となることがある。さらに、展色物に関しては、光沢の低下、レベリング不良等の状態不良を生じることがある。また、異種の顔料を混合して使用する場合、凝集による色別れや沈降などの現象により、展色物に色むらや著しい着色力の低下が現れることがある。
【0003】
以上のような種々の問題を解決するために、有機顔料を母体骨格として側鎖に酸性基や塩基性基を置換基として有する顔料誘導体を分散剤として混合する方法が、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5等に提案されている。これらの方法では、顔料誘導体とワニス中の樹脂成分が相互作用して分散安定化に寄与する機構が考えられているが、油性リキッドインキには非常に多くのワニス系が存在するため、顔料誘導体とワニス中の樹脂が常に有効に作用するとは限らず、一部のワニス系を除いては満足な効果が得られていないのが実状である。
【0004】
また、これらの顔料誘導体は、染料に近い性質を有するため、顔料に比べ耐性が劣る場合があり、これらの顔料誘導体を含有する顔料組成物をインキや塗料に使用すると、経時等により顔料誘導体の色相が褪色し塗膜色相が変化する場合がある。特に、食品包装用油性リキッドインキにおいては、塗膜形成後、ボイル、焼き付け等の高温処理や圧着により、これらの顔料誘導体が浮き出て色相の移行が生じる問題(ブリード)があった。
【特許文献1】特公昭41−2466号公報
【特許文献2】USP2855403号公報
【特許文献3】特開昭63−305173号公報
【特許文献4】特開平1−247468号公報
【特許文献5】特開平3−26767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、流動性、分散安定性、ならびに印刷物の光沢、水中での煮沸処理によるブリード性等に優れた油性リキッドインキの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の油性リキッドインキは、樹脂溶液と、顔料と、下記一般式(1)で示される置換基をフタロシアニン残基に対し1個有するフタロシアニン誘導体(D1)と、下記一般式(1)で示される置換基をフタロシアニン残基に対し2個有するフタロシアニン誘導体(D2)とを含有する油性リキッドインキであって、前記フタロシアニン誘導体(D1):前記フタロシアニン誘導体(D2)の重量比が85:15〜56:44であることを特徴とする。
一般式(1)
【化1】

(式中、XはCO、SO2、CH2、CH2NHCOCH2から選ばれる2価の連結基、Yは直接結合またはNH(CH2)nを表し、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の置換基を有してもよいアルキル基を表すか、またはR1、R2で窒素原子または酸素原子を含んでも良い複素環を形成し、nは1〜6の整数を表す。)
【発明の効果】
【0007】
本発明の油性リキッドインキは、特定の塩基性置換基をフタロシアニン残基に対し1個有するフタロシアニン誘導体(D1)と、2個有するフタロシアニン誘導体(D2)とを特定の比率で用いて、顔料を分散しているため、顔料の二次粒子が極めて少なく、顔料の粒径が均一に揃い、顔料の高分散化が達成できており、非集合性、非結晶性、流動性に優れている。そのため、本発明の油性リキッドインキを用いることにより、光沢、水中での煮沸処理によるブリード性等に優れた印刷物を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
まず、好ましい実施の形態を挙げて、本発明の油性リキッドインキについて詳細に説明する。
本発明の油性リキッドインキは、樹脂溶液と、顔料と、下記一般式(1)で示される置換基をフタロシアニン残基に対し1個有するフタロシアニン誘導体(D1)と、下記一般式(1)で示される置換基をフタロシアニン残基に対し2個有するフタロシアニン誘導体(D2)とを含有する油性リキッドインキであって、前記フタロシアニン誘導体(D1):前記フタロシアニン誘導体(D2)の重量比が85:15〜56:44、好ましくは80:20〜65:35であることを特徴とする。
一般式(1)
【化2】

(式中、XはCO、SO2、CH2、CH2NHCOCH2から選ばれる2価の連結基、Yは直接結合またはNH(CH2)nを表し、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の置換基を有してもよいアルキル基を表すか、またはR1、R2で窒素原子または酸素原子を含んでも良い複素環を形成し、nは1〜6の整数を表す。)
【0009】
前記フタロシアニン誘導体(D1)と前記フタロシアニン誘導体(D2)とを共に用いても、前記フタロシアニン誘導体(D1)の比率が上記範囲より多い場合には、分散後に顔料の凝集が発生して流動性が悪くなり、また、分散安定性も悪くなるので、経時増粘や粗粒の発生が起こり、光沢の低下などの原因となる。また、前記フタロシアニン誘導体(D1)の比率が上記範囲より少ない場合には、印刷物の水中での煮沸処理によりフタロシアニン誘導体の一部が水に溶け出すためブリードが発生し、印刷物の品位低下の原因となる。さらに、本発明の油性リキッドインキ中に、フタロシアニン残基に対し3個以上有するフタロシアニン誘導体(D3)が混在しても、熱水への溶解性が高まるためブリード性が悪化する。
前記フタロシアニン誘導体(D1)と前記フタロシアニン誘導体(D2)とは、油性リキッドインキに含まれる顔料100重量部に対して、合計して0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の量で用いることができる。
【0010】
上記一般式(1)の置換基を有するフタロシアニン誘導体(D1)および(D2)は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、フタロシアニン化合物に下記一般式(2)〜(5)で示される置換基を導入した後、アミン成分を反応させて上記一般式(1)の置換基を形成することによって合成することができる。
一般式(2) −SO2Cl
一般式(3) −COCl
一般式(4) −CH2Cl
一般式(5) −CH2NHCOCH2Cl
【0011】
前記フタロシアニン誘導体(D1)と前記フタロシアニン誘導体(D2)の重量比は、以下のようにしてコントロールすることができる。
例えば、一般式(2)で示される置換基を導入する場合には、フタロシアニン化合物をクロルスルホン酸に溶解して、塩化チオニル等の塩素化剤を反応させるが、この時の反応温度、反応時間等の条件により、フタロシアニン化合物に導入する一般式(2)で示される置換基数をコントロールし、結果として前記フタロシアニン誘導体(D1)と前記フタロシアニン誘導体(D2)の重量比をコントロールすることができる。
【0012】
また、一般式(3)で示される置換基を導入する場合には、まず、カルボキシル基を有するフタロシアニン化合物を公知の方法に従って合成したのち、ベンゼン等の芳香族溶媒中で塩化チオニル等の塩素化剤を反応させる。フタロシアニン化合物は、一般には無水フタル酸、尿素および塩化第一銅をモリブデン酸アンモニウムのような触媒の存在下で、芳香族溶媒中で加熱することにより得られるが、無水フタル酸に一部、無水トリメリット酸あるいは無水ピロメリット酸を加えて同様に反応させることによって、カルボキシル基を有するフタロシアニン化合物を得ることができ、この時の無水フタル酸に対する無水トリメリット酸あるいは無水ピロメリット酸のモル比を調整することによって、フタロシアニン化合物に導入するカルボキシル基数(=一般式(3)で示される置換基数)をコントロールし、結果として前記フタロシアニン誘導体(D1)と前記フタロシアニン誘導体(D2)の重量比をコントロールすることができる。
【0013】
フタロシアニン残基を構成するフタロシアニン化合物としては、銅、ニッケル、コバルト、アルミニウム、鉄、亜鉛、マンガンなどの中心金属を有する金属フタロシアニン、および無金属フタロシアニンが挙げられる。中心金属が3価以上の原子価を有する金属の場合は、所望により、塩素原子、臭素原子、場合によっては、スルホン酸基、カルボン酸基が中心金属に結合していてもよい。
また、フタロシアニン化合物は、フタルイミド骨格の水素原子が所望により、塩素原子、臭素原子、場合によっては、スルホン酸基、カルボキシル基で置換されていてもよい。
【0014】
一般式(2)〜(5)で示される置換基と反応させて一般式(1)の置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジーsec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニコペチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
【0015】
一般式(2)〜(5)で示される置換基と上記アミン成分との反応時には、一般式(2)〜(5)で示される置換基の一部が加水分解して、塩素が水酸基に置換することがある。その場合、一般式(2)で示される置換基はスルホン酸基となり、一般式(3)で示される置換基はカルボン酸基となるが、何れも遊離酸のままでもよく、また、1〜3価の金属または上記モノアミンと塩を形成していてもよい。
【0016】
本発明の油性リキッドインキに含有される顔料としては、有機または無機の顔料を、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。有機顔料の具体例としては、カラーインデックス番号で示すと、C.I.Pigment Green 7、36、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60、C.I.Pigment Violet 23等が挙げられる。また、無機顔料としては、カーボンブラック等が挙げられる。
本発明の油性リキッドインキには、上記具体例以外の白色顔料、着色顔料を混合して用いることもできる。
【0017】
本発明の油性リキッドインキに含有される樹脂溶液は、樹脂を有機溶剤に溶解させたものである。樹脂としては、通常の油性リキッドインキに使用されるあらゆるものを使用することができ、例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ライムロジン、ビニル樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル、シリコン樹脂等が挙げられる。
樹脂は、上記の樹脂のうち1種類またはそれ以上を使用することができ、1種類またはそれ以上の樹脂を用いて分散した高濃度顔料分散体を他の樹脂で希釈して使用しても良い。
【0018】
本発明の油性リキッドインキに用いられる有機溶剤としては、トルエン等の芳香族炭化水素、ミネラルスピリット等の石油系炭化水素、クロロベンゼン等のハロゲン炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、2−エトキシエチルアセタート等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類等が挙げられる。特に好ましいのは、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、セロソルブ類、エステル類等の極性の高い有機溶剤である。当然のことながら有機溶剤は2種またはそれ以上の混合物であっても差し支えない。
【0019】
本発明の油性リキッドインキには、必要により各種添加剤、分散剤等を混合して使用しても良い。
添加剤としては、消泡剤、レベリング剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、粘度調整剤、ワックス等が使用できる。
分散剤としては、例えば、Solsperse 24000(アビシア社製)、Disperbyk−160 、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−163、Disperbyk−170(ビックケミー社製)、アジスパーPB711、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)等が挙げられる。
【0020】
本発明の油性リキッドインキは、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で、顔料及びフタロシアニン誘導体を樹脂溶液中に分散することにより製造することができる。また、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散を行う前に、ニーダー、3本ロールミル、2本ロールミル等の練肉混合機を使用して前分散を行ってもよい。また、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機等のあらゆる分散機や混合機が本発明の油性リキッドインキを製造するために利用できる。
【0021】
本発明の油性リキッドインキは、粘度の低下および構造粘性の減少等の良好な流動性を示すと同時に、色分かれ、結晶の変化等の問題がなく、印刷物の光沢が良い。また、熱水への溶解性のほとんどないフタロシアニン誘導体を使用しているため、本発明の油性リキッドインキを用いることにより、水中での煮沸処理によるブリード性に優れた美麗な製品を得ることができる。
本発明の油性リキッドインキは、油性グラビアインキ、油性フレキソインキ、油性インクジェットインキとして用いることができる。
【実施例】
【0022】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を、「%」とは「重量%」を、それぞれ意味する。
【0023】
(フタロシアニン誘導体組成物の調製)
クロルスルホン酸300部中に銅フタロシアニン30部を仕込み、完全に溶解した後、塩化チオニル24部を加え、徐々に昇温して101℃で3時間反応させた。その反応液を氷水9000部中に注入し、撹拌後、濾過、水洗した。得られたプレスケーキを水300部でスラリーとした後、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン15部を加え、室温で3時間、次いで、60℃で2時間撹拌した後、濾過、水洗、乾燥し、フタロシアニン誘導体組成物36部を得た。得られたフタロシアニン誘導体組成物について、Waters社製液体クロマトグラフ質量分析計プラットフォームLCZで組成分析したところ、3個以上置換基を有するものは含まれておらず、下記式(6)の置換基を1個有するフタロシアニン誘導体(D1)と下記式(6)の置換基を個有するフタロシアニン誘導体(D2)の重量比は85:15であった。
【0024】
また、上記塩化チオニル24部を加えた後、反応温度を105℃、106℃、100℃、110℃にすることによって、下記式(6)の置換基を1個有するフタロシアニン誘導体(D1):下記式(6)の置換基を個有するフタロシアニン誘導体(D2)の重量比がそれぞれ65:35、60:40、90:10、41:59のフタロシアニン誘導体組成物を得た。
式(6)
【化3】

【0025】
[実施例1〜5、比較例1〜3]
銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3、東洋インキ製造社製「リオノールブルーFG−7351」)に、表1に示すフタロシアニン誘導体組成物を表1に示す量で添加した顔料組成物10部、油性リキッドインキ用ワニス(ニトロセルロース樹脂12%、酢酸エチル33%、トルエン30%、イソプロピルアルコール15%、メタノール10%)90部および3mmガラスビーズ100部を混合し、ペイントコンディショナーで60分間分散して油性リキッドインキを作成した。作成したインキの粘度をB型粘度計(6rpm)で測定した。また、作成したインキをバーコーターでナイロンフィルムに展色した印刷物の光沢値(60゜)、さらにはこの印刷物を白インキの印刷物に印刷面を重ねて密着し水中に浸漬し、100℃で30分間煮沸した後のブリード性(白インキ印刷面への着色インキの移行着色)を三段階で評価した。結果を表1に示す。
フタロシアニン誘導体(D1)とフタロシアニン誘導体(D2)とを特定の比率で使用した本発明のインキは、何れも低粘度で優れた流動性を示し、さらに光沢が高く、ブリードの発生がない特性を全て満たした優れた品質であった。
【0026】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂溶液と、顔料と、下記一般式(1)で示される置換基をフタロシアニン残基に対し1個有するフタロシアニン誘導体(D1)と、下記一般式(1)で示される置換基をフタロシアニン残基に対し2個有するフタロシアニン誘導体(D2)とを含有する油性リキッドインキであって、前記フタロシアニン誘導体(D1):前記フタロシアニン誘導体(D2)の重量比が85:15〜56:44であることを特徴とする油性リキッドインキ。
一般式(1)
【化1】

(式中、XはCO、SO2、CH2、CH2NHCOCH2から選ばれる2価の連結基、Yは直接結合またはNH(CH2)nを表し、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の置換基を有してもよいアルキル基を表すか、またはR1、R2で窒素原子または酸素原子を含んでも良い複素環を形成し、nは1〜6の整数を表す。)

【公開番号】特開2007−254628(P2007−254628A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82354(P2006−82354)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】