説明

油揚げおよびその製造方法

【課題】 その内部に浸透した調味成分の外部への流出が小さく、かつ良好な食感と食味を呈する油揚げを提供する。 乾燥した雰囲気下で乾燥麺によって過剰に水分が奪い取られた上に、商品輸送時に過大な衝撃や震動を受けてもなお、その形態破壊に至らない十分な物理的強度と、長期保存性とを兼ね備えた乾燥油揚げを提供する。
【解決手段】 原料大豆から抽出した豆乳に湿熱処理澱粉を加え、次いで、凝固剤を作用せしめて得た豆腐を、加熱された食用油で揚げ調理して油揚げを得る。 次いで、着味液に浸漬させて調味成分を定着せしめた油揚げを、その内部が105℃以上の温度に達する条件下で加熱処理する。 なお、湿熱処理澱粉は、豆乳に代えて、凝固剤および着味液の双方または一方にも任意に添加できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、油揚げ、特に、即席麺類に添付される油揚げとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油揚げとは、丸大豆や脱脂大豆などの原料大豆、あるいはこれら原料大豆に由来する大豆蛋白質などを主原料として製造される食品である。 伝統的な油揚げの製造方法によれば、まず、原料大豆を水に浸漬して得た膨潤大豆から抽出された豆乳に凝固剤を加えて豆腐が製造される。 そして、所定の形状(板状)に切断された豆腐を揚げ調理して得た油揚げを、着味液に浸漬して、味付け(調味)を行う。 次に、調味した油揚げを、乾燥処理工程または加圧加熱殺菌処理工程に適用することで、目的とするタイプの油揚げが製造されるのである。 このようにして製造された油揚げは、うどんやそばなどの麺類、特に、カップ麺類や生タイプ麺類などの即席麺類に添付される具材の一つとして、従来より、広く利用されている。
【0003】
これら即席麺類によく用いられている油揚げとして、常法によって製造された油揚げに乾燥処理を施して長期保存性を付与した乾燥油揚げ(「乾燥味付け油揚げ」とも称する)がある。 この乾燥油揚げ以外にも、例えば、加圧加熱殺菌処理などの工程を経て水分が付与された油揚げなども、即席麺類によく用いられている。
【0004】
また、従来より、湯戻しした油揚げに関して、その乾燥工程にマイクロ波乾燥を採用することで、油揚げの厚みが大きくなり、また、その復元性が改善されることが教示されている[特許文献1を参照]。 さらに、大豆蛋白質を油揚げの主原料とする場合は、大豆蛋白質を含んだペースト状物に対して、水、油、食塩などを練り込んで取得されたカード状の成型物を、食用油で油揚げ調理することで、目的とする油揚げが製造されることも教示されている[特許文献2〜3を参照]。
【特許文献1】特開平 8−19382号公報
【特許文献2】特開昭53−75350号公報
【特許文献3】特開昭53− 6446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の油揚げの製造方法に従って、豆腐を食用油で揚げ調理すると、豆腐の原料生地特有のきめ細かな張りのある表面組織が、多孔質構造になってしまうため、油揚げに定着させた調味成分が溶出しやすくなる構造となる問題点があった。 このような油揚げを、麺類、例えば、即席麺類に利用した場合、喫食するに際して、うどんやそばの麺塊上に油揚げを置いた状態で、熱湯が注加されるため、熱湯が注加されて以降は、油揚げに定着させた調味成分は、スープ(うどんやそばのだし汁)の方に過剰に流亡してしまい、油揚げ本来の食味が賞味できなくなってしまう。 それと同時に、スープの方には油揚げの調味成分が移行してくるため、だし汁の素材本来の風味までもが損われてしまうなど、油揚げの味のみならず、スープの味にも変化をきたしかねないこととなる。 また、油揚げからの調味成分の流亡に起因する同様の不都合な現象は、大豆蛋白質を主原料として製造した油揚げにおいても認められており、その改善が望まれている。 加えて、前出の乾燥油揚げは、理想的な長期保存性を有しており、即席カップ麺の具材としても利用されている。 この乾燥油揚げを、乾燥した雰囲気下で乾燥麺と共存させると、乾燥油揚げ内に残存している水分を、乾燥麺が過剰に奪い取ってしまう現象が確認されている。 この現象は、わが国の冬場の乾燥冷涼条件下でよく認められるが、それ自体は、油揚げの食品上の性質に実質的な影響を及ぼすものではない。 しかしながら、それ以外の要素、例えば、乾燥油揚げが、即席麺類の商品輸送時に過大な衝撃や震動を受けた場合などには、それら物理的作用との相乗作用によって初めて、即席麺類に添付された乾燥油揚げの折損や破損を招くことがあった。 つまり、当該技術分野においては、水分量が過剰に低下した乾燥油揚げの形態維持にかかわる前述したような不都合を未然に防止するための改善が求められているのである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、先行技術で認められていた上掲の問題点に鑑みて発明されたものであって、その要旨とするところは、油揚げの製造方法、すなわち、(1) 原料大豆を水に浸漬して得た膨潤大豆から豆乳を抽出し、(2) その豆乳に凝固剤を作用せしめて得た豆腐を所定形状に成形し、(3) この豆腐を、加熱された食用油内で揚げ調理して油揚げを調製し、(4) その油揚げを着味液に浸漬し、および、(5) 着味液に浸漬させて調味成分が定着した油揚げを、その内部が約105℃以上の温度に達する条件下で加熱処理する工程を含み、かつ湿熱処理澱粉が、工程(1)、(2)および(4)の少なくとも一つの工程で添加される油揚げの製造方法にある。 好ましくは、湿熱処理澱粉は、豆乳、凝固剤および着味液の少なくとも一つに添加される。 なお、工程(5)での加熱処理は、好ましくは、乾燥手段または加圧加熱殺菌手段を用いて行う。 また、カラメルを、当該豆乳または当該凝固剤に含めることができる。 さらに、工程(5)で、調味成分が定着した油揚げの水分量を、乾燥手段によって、油揚げの重量の約4重量%〜約16重量%、好ましくは、約10重量%〜約 14重量%の範囲に調整して(低減して)、乾燥油揚げの形態で提供することもできる。
【0007】
本願発明のその他の実施態様によれば、油揚げの製造方法、すなわち、(A) 大豆蛋白質に主原料とする原料生地を調製し、(B) この原料生地を所定形状に成形し、(C) この原料生地を、加熱された食用油内で揚げ調理して油揚げを取得し、(D) その油揚げを、着味液に浸漬し、および、(E) 着味液に浸漬させて調味成分が定着した油揚げを、乾燥手段または加圧加熱殺菌手段を用いて、その内部が約105℃以上の温度に達する条件下で加熱処理する工程を含み、かつ湿熱処理澱粉が、工程(A)、(B)および(D)の少なくとも一つの工程で添加される油揚げの製造方法が提供される。 好ましくは、湿熱処理澱粉は、原料生地および着味液の少なくとも一つに添加される。 そして、工程(E)での加熱処理は、好ましくは、乾燥手段または加圧加熱殺菌手段を用いて行う。
【0008】
また、本願発明は、前掲の本願方法発明によって製造された油揚げの他に、湿熱処理澱粉を含む原材料を用いて製造された油揚げをも企図している。
【0009】
さらに、本願発明は、本願発明の油揚げが添付された即席麺類をも企図している。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によって、所期の目的であった、油揚げからの調味成分の流亡、特に、即席麺類の調理および喫食時の油揚げからの調味成分の流亡が効果的に抑制され、かつ食感・食味も改善された美味な油揚げを賞味することが可能となる。 加えて、本願発明によれば、油揚げの調味成分が、麺類のスープに移行することも抑制されるので、スープを構成する素材本来の風味も同時に十分に堪能できるようになる。 また、本願発明の製造方法によれば、乾燥した雰囲気下で乾燥麺によって過剰に水分が奪い取られた上に、商品輸送時に過大な衝撃や震動を受けてもなお、その形態破壊に至らない十分な物理的強度と、長期保存性とを兼ね備えた乾燥油揚げが提供される。
【0011】
さらに、本願発明の製造方法によって提供される油揚げは、柔軟で、しかも滑らかな表面を有しているなど、油揚げの食感を顕著に改善するとの相乗効果をも奏するのである。
【0012】
ここに示した作用効果は、本願発明の完成を契機にして初めて獲得できたものであって、換言すれば、本願発明は、このような幾多もの優れた作用効果を相乗的に奏する優れた発明であると言える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本願発明を、油揚げの製造工程に沿って詳細に説明する。
【0014】
油揚げのための原料豆腐は、通常の豆腐の製造方法に準じて製造できる。 具体的には、まず、原料大豆(丸大豆や脱脂大豆など)を、所定時間にわたって水に浸漬して、膨潤大豆を得る。 次に、この膨潤大豆を、グラインダーなどで磨砕し、所要量の水を加えて懸濁させる。 次いで、得られた磨砕物(懸濁液)を煮沸した後に、メッシュなどで大豆成分の分離を行い、豆乳と大豆粕(おから)とに分別することによって、豆乳を抽出する。 こうして得られた豆乳に凝固剤(にがり)を加えて凝固反応を促して、原料豆腐を得る。 凝固剤としては、硫酸カルシウム、グルコノデルタラクトン、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、またはこれらの塩類など、当該技術分野で周知の凝固成分を含んだ凝固剤を用いることができる。 回収した原料豆腐は、水切りされた後に、一定の厚みになるように成形したものを切断して、所定形状、例えば、板状の豆腐とする。
【0015】
次に、油揚げの製造に移る。 まず、豆腐を、加温された食用油、例えば、約110℃〜約160℃の温度に加温された食用油を収容した油槽(フライヤー)内で、約10分〜約20分間かけて揚げ調理をして、油揚げを得る。 揚げ調理に用いる食用油としては、揚げ調理に適した食用油、例えば、大豆油、菜種油、パーム油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、米油、胡麻油などの植物油が、本願発明において好適に利用できる。
【0016】
次に、この油揚げを着味液に浸漬して、油揚げ内部に調味成分を移行させて味付けを行う。 具体的には、着味液を収容した液槽に油揚げを通過させることで、調味成分を効果的に油揚げに移行(吸収)させることができる。 着味液への浸漬を終えた油揚げを、マイクロ波乾燥や熱風乾燥などの乾燥手段を用いて乾燥させる。 特に、マイクロ波乾燥を利用することで、復元性が良好で、しかも厚みのある乾燥油揚げが安定的に得られることが知られているので、本願発明においても、マイクロ波乾燥が好適に利用することができる。
【0017】
あるいは、これら乾燥手段に代えて、着味液へ浸漬した油揚げを、可撓性容器内に封入して、その容器ごとに、約105℃〜約130℃程度(F値=約4)の温度で、加圧加熱殺菌手段によって加熱処理することもできる。 ただし、本願発明の場合、いずれの手段による場合でも、油揚げの内部温度を約105℃以上、好ましくは、約110℃以上の温度になるまで加熱することが肝要である。 これはすなわち、通常の未処理澱粉が膨潤して粘性を発現する温度が、約60℃〜約70℃と低温であるため、通常の豆腐の揚げ調理を行うことで、その加工適性がもはや喪失してしまうのに対して、本願発明の製造方法で利用している湿熱処理澱粉では、約105℃以上、好ましくは、約110℃以上という高温に到達して初めて所望の粘性が出現することによるものである。 このような温度差は、湿熱処理澱粉の製造工程、すなわち、原料澱粉の粒子に水蒸気を瞬時に作用させる工程で変化した湿熱処理澱粉の粒子構造に起因するものと考えられている。
【0018】
ところで、本願発明の製造方法で利用している湿熱処理澱粉とは、一般的には、主原料であるコーンスターチなどの天然澱粉に対して水と熱を作用させて得られた澱粉を指す。
【0019】
すなわち、湿熱処理澱粉とは、前述したように、天然澱粉(原料澱粉)の各粒子に対して、水蒸気を瞬時に作用させる工程、具体的には、減圧下に置かれた原料澱粉に対して加圧蒸気を導入して湿熱処理を行い、この操作を必要に応じて繰り返した後に、原料澱粉を冷却する、との工程を経て製造される澱粉である。 このような湿熱処理澱粉として、三和澱粉工業株式会社が製造しているデリカスター(登録商標)が、本願発明において好適に利用できる。
【0020】
このような湿熱処理澱粉を利用して製造された油揚げが、揚げ調理および着味液への浸漬を経て、乾燥/加圧加熱殺菌処理のために、その内部が約105℃以上、好ましくは、約110℃以上にまで加熱されると、湿熱処理澱粉が膨潤および粘性発現して、これにより、調味成分が澱粉内部に保持されて、油揚げからの調味成分の流亡を阻止しているものと考えられる。 加えて、湿熱処理澱粉を利用し、かつ乾燥工程/加圧加熱殺菌処理工程で加熱作用を及ぼすことで、油揚げがより柔軟になり、しかも滑らかな表面が形成されるなど、油揚げの食感を顕著に改善するとの相乗効果をも奏するのである。 なお、揚げ調理の工程で、加温された食用油で豆腐が揚げ調理されるが、その際の油揚げ内部の温度は100℃にも至っていないので、その段階では、湿熱処理澱粉の膨潤や粘性発現は起こりえないものと推定される。
【0021】
なお、これら加熱処理を終えた油揚げに対して、湿熱処理澱粉に加熱の影響を及ばさずに追加的にフリーズドライ乾燥処理を施すことも可能である。
【0022】
こうして製造される乾燥油揚げは、乾燥した雰囲気下で乾燥麺によって過剰に水分が奪い取られた上に、商品輸送時に過大な衝撃や震動を受けてもなお、その形態破壊に至らない十分な物理的強度と、長期保存性とを兼ね備えている。 具体的には、本願発明によれば、水分含量を約5.0重量%〜約6.0重量%に調整した乾燥油揚げの物理的強度を、レオメーターによって決定された破断強度、すなわち、約1.8kgw以上、好ましくは、約2.1kgw以上の破断強度にまで調整することができる。 ところで、本願明細書で使用する「破断強度」の用語は、特に断りの無い限り、乾燥油揚げの中央部に、レオメーター(不動工業社製、型式:NRM−2010FCW)の歯型押棒Bに装着されたプランジャーを当接せしめ、次いで、約2cm/分の速度で押圧して、油揚げの破断に至るまでに要した強度(kgw)を指す。
【0023】
なお、熱湯を注加することで復元および喫食可能な油揚げであれば、その破断強度の上限値は限定されるものではない。 しかしながら、通常の油揚げの製造工程で利用されている製造条件に従って品質維持を図る場合、破断強度の上限値として、概ね約5.0kgw程度の破断強度に調整されることになるものと思料される。 つまり、本願発明に従って製造される乾燥油揚げは、その破断強度の大小にかかわらず、過剰に水分が奪い取られて水分含量が低下してもなお、物理的強度が改善される一方で、熱湯を注加して復元すると、柔軟で、しかも滑らかな表面が形成されるなど、食感の改善にも寄与するものである。
【0024】
本願発明の油揚げの製造方法によれば、湿熱処理澱粉が、豆乳または凝固剤に添加される。 なお、湿熱処理澱粉は、静置しておくと沈殿する性質があるため、湿熱処理澱粉を凝固剤に添加する場合には、豆乳へ添加する以前に凝固剤を攪拌して懸濁しておくことが望ましい。 また、本願発明の効果を十分に引き出す観点からすれば、湿熱処理澱粉の添加量は、豆乳の約0.05重量%〜約0.5重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約0.3重量%の範囲で調整する。 同様に、湿熱処理澱粉の添加量は、凝固剤の約3.0重量%〜約10.0重量%、好ましくは、約5.0重量%〜約10.0重量%の範囲で調整する。
【0025】
本願発明の他の実施態様によれば、湿熱処理澱粉が、着味液に添加される。 なお、湿熱処理澱粉は、静置しておくと沈殿する性質があるため、湿熱処理澱粉を着味液に添加する場合には、着味液の使用に先駆けて予め攪拌などして、着味液を懸濁しておくことが望ましい。 本願発明の効果を十分に引き出す観点からすれば、乾燥油揚げを製造する場合には、湿熱処理澱粉の添加量は、着味液の約1.0重量%〜約10.0重量%、好ましくは、約3.0重量%〜約5.0重量%の範囲で調整する。 また、次工程で加圧加熱殺菌処理を行う場合には、同様の観点から、湿熱処理澱粉の添加量は、着味液の約0.5重量%〜約4.0重量%、好ましくは、約1.0重量%〜約3.0重量%の範囲で調整する。 この実施態様に従って、湿熱処理澱粉を着味液に添加した場合でも、着味液に浸漬した油揚げを、その内部温度を約105℃以上、好ましくは、約110℃以上にまで加熱することで、前述したような、油揚げからの調味成分の流亡阻止や、油揚げの食感の改善などの効果を獲得することができる。 さらに、本願発明の製造方法によれば、乾燥した雰囲気下で乾燥麺によって過剰に水分が奪い取られた上に、商品輸送時に過大な衝撃や震動を受けてもなお、その形態破壊に至らない十分な物理的強度と、長期保存性とを兼ね備えた乾燥油揚げが提供される。
【0026】
なお、他の態様として、湿熱処理澱粉を含まない通常の着味液と湿熱処理澱粉だけを含む澱粉溶液(懸濁液)とを調製し、次いで、澱粉溶液と着味液の双方に油揚げを浸漬して、油揚げへの湿熱処理澱粉の定着を図ることも可能である。
【0027】
また、本願発明のさらに他の実施態様によれば、大豆蛋白質から製造された油揚げの製造においても、湿熱処理澱粉を利用することができる。 この場合、湿熱処理澱粉を、丸大豆や脱脂大豆などの原料大豆に由来する大豆蛋白質、それに、水、食用油、食塩などの副原料と共に練り込むことで、原料生地が形成される。 次いで、このようにして得られた原料生地を、所定形状、例えば、板状に成形し、次いで、加熱された食用油を収容した油槽内で揚げ調理して油揚げを取得する。 そして、この油揚げを、着味液に浸漬し、最後に、乾燥手段または加圧加熱殺菌手段を用いて、その内部が約105℃以上、好ましくは、約110℃以上の温度に達する条件下で加熱処理することで、湿熱処理澱粉を含む油揚げが得られるのである。 なお、本願発明の効果を十分に引き出す観点からすれば、大豆蛋白質から油揚げを製造する場合には、湿熱処理澱粉の添加量は、原料生地の約0.03重量%〜約0.5重量%の範囲で調整する。
【0028】
本願発明のさらに他の実施態様によれば、湿熱処理澱粉の他に、カラメルが、豆乳または凝固剤に添加される。 これはすなわち、カラメルを添加することで、油揚げからの調味成分の流亡阻止の効果がさらに増強されるとの知見に基づくものに他ならない。 このような作用を奏するカラメルとして、カラメルS-65(商品名:森田フードシステム株式会社)が市販されており、本願発明において好適に利用できる。 本願発明の効果を十分に引き出す観点からすれば、カラメルの添加量は、豆乳の約0.05重量%〜約0.3重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約0.2重量%の範囲で調整する。 また、大豆蛋白質から油揚げを製造する場合には、カラメルの添加量は、原料生地の約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲で調整する。
【0029】
カラメルは、本願方法発明の任意の工程において、それ単独で添加することもできるが、本願発明の効果を十分に引き出す観点からすれば、凝固剤の構成成分として添加するのが好ましい。
【実施例】
【0030】
本願発明を、その好適な実施例に基づいて、以下に具体的に説明するが、本願発明は、これら実施例の開示に基づいて限定的に解釈されるべきでない。
【0031】
実施例1-1:湿熱処理澱粉を添加した豆乳を用いた油揚げの製造
原料丸大豆(2.5kg)を水に浸漬して得た膨潤大豆から抽出した豆乳30kgに対して、以下の表1に記載の組成を有する凝固剤(1kg)を加えて凝固反応を促して、原料豆腐を得た。
【0032】
なお、本実施例で用いたカラメルおよび湿熱処理澱粉の詳細は、以下の通りである。
【0033】
カラメル;カラメルS-65(商品名:森田フードシステム株式会社)
湿熱処理澱粉;デリカスター(登録商標)H-100(商品名:三和澱粉工業株式会社)
その他の澱粉、すなわち、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉およびタピオカ澱粉は、製造業者から提供を受けた試供品(純品)を用いた。
【0034】
【表1】

原料豆腐を水切りした後に、切断して、板状の豆腐に成形した。 約110℃〜約160℃の温度にまで加温された食用油を収容した油槽(フライヤー)内で、この豆腐(約25g)を、約15分間かけて揚げ調理をして、揚げ豆腐を得た。 そして、この揚げ豆腐(約15g)を、以下の表2に記載の組成を有する着味液に、2分間浸漬した。
【0035】
【表2】

着味液に浸漬した揚げ豆腐を、一対のローラーの間に通して、過剰の着味液をそこで圧搾して除去した。 得られた油揚げ(約30g)を、まず、マイクロウェーブに通して乾燥させて、その水分含量を約25%にまで調整し、そして、約95℃の温度下で、60分間かけて熱風乾燥を行い、次いで、自然冷却した。 なお、豆乳に対して添加されるカラメルおよび澱粉の量は、最終濃度で、共に0.16重量%であった。 また、本実施例で用いた油揚げは、澱粉の添加の有無および添加した澱粉の種類にかかわらず、いずれの試験区でも、油揚げに対して一定の比率で着味液が保持されるように製造を行った。
【0036】
こうして得られた本実施例の油揚げ(約22g)に対して、熱湯を注加して、湯戻ししたものを、熟練のパネラー(5名)に試食してもらい、10段階で評価した。 そして、評点値の平均値を求めた(この評価方法では、優秀な評価ほど平均値が高くなる)。
【0037】
それと同時に、油揚げから溶出した液の糖度を測定した。 具体的には、400mlの熱湯を油揚げに注加して、そのまま、油揚げを湯内に5分間浸漬して、湯戻しを行った。
【0038】
湯戻しを終えた後に、残湯内に糖度計(N-10E:ATAGO社)を浸して、そこで計測された数値を糖度として表した。
【0039】
油揚げの官能評価と糖度に関する結果を、以下の表3に示した。
【0040】
【表3】

表3に記載の試験結果から明らかな通り、油揚げの構成要素として、湿熱処理澱粉を豆乳に加えて利用することによって、油揚げからの調味成分の流出が効果的に抑えられていることが実証された。 このことは、湿熱処理澱粉を利用した油揚げでの良好な食感・食味を反映している官能評価での結果とも符合している。 なお、馬鈴薯澱粉およびタピオカ澱粉を用いた試験区では、揚げ調理の際に豆腐が十分に膨張しなかったため、油揚げの製造には至らなかった。
【0041】
実施例1-2:湿熱処理澱粉の添加量の検討
原料丸大豆(2.5kg)を水に浸漬して得た膨潤大豆から抽出した豆乳30kgに対して、以下の表4に記載の組成を有する凝固剤(1kg)を加えて凝固反応を促して、原料豆腐を得た。
【0042】
【表4】

そして、実施例1-1に記載の手順と同様の手順に従って、油揚げの調製を行った。 また、表4に記載の凝固剤A〜凝固剤Dを用いて製造された油揚げでの湿熱処理澱粉の含有量(重量%)は、それぞれ、0.0、0.1、0.16および0.32であった。
【0043】
本実施例での油揚げについても、実施例1-1に記載の手順と同様の手順に従って、官能評価と糖度の測定を行った。 油揚げの官能評価と糖度に関する結果を、以下の表5に示した。
【0044】
【表5】

表5に記載の試験結果から明らかな通り、油揚げからの調味成分の流出が、湿熱処理澱粉の添加量に依存して抑制されていることが判明した。 また、湿熱処理澱粉の添加量が増大することで、油揚げの弾力性や滑らかさなどの食感面のみならず、食味の改善も認められた。
【0045】
実施例1-3:湿熱処理澱粉とカラメルの添加量の検討
原料丸大豆(2.5kg)を水に浸漬して得た膨潤大豆から抽出した豆乳30kgに対して、以下の表6に記載の組成を有する凝固剤(1kg)を加えて凝固反応を促して、原料豆腐を得た。
【0046】
【表6】

そして、実施例1-1に記載の手順と同様の手順に従って、油揚げの調製を行った。 また、表6に記載の凝固剤E〜凝固剤Hを用いて製造された油揚げでの湿熱処理澱粉の含有量(重量%)は、それぞれ、0.0、0.1、0.16および0.32であった。
【0047】
本実施例での油揚げについても、実施例1-1に記載の手順と同様の手順に従って、官能評価と糖度の測定を行った。 油揚げの官能評価と糖度に関する結果を、以下の表7に示した。
【0048】
【表7】

表7に記載の試験結果から明らかな通り、湿熱処理澱粉の他にカラメルを加えることで、油揚げからの調味成分の流出の抑制が、湿熱処理澱粉の添加量に依存して出現することが判明した。 また、湿熱処理澱粉の添加量を増加させることで、油揚げの弾力性や滑らかさなどの食感面のみならず、食味での改善も認められた。
【0049】
実施例1-4:カラメルの添加量の検討
原料丸大豆(2.5kg)を水に浸漬して得た膨潤大豆から抽出した豆乳30kgに対して、以下の表8に記載の組成を有する凝固剤(1kg)を加えて凝固反応を促して、原料豆腐を得た。
【0050】
【表8】

そして、実施例1-1に記載の手順と同様の手順に従って、油揚げの調製を行った。 また、表8に記載の凝固剤J〜凝固剤Mを用いて製造された油揚げでのカラメルの含有量(重量%)は、それぞれ、0.0、0.08、0.16および0.24であった。
【0051】
本実施例での油揚げについても、実施例1-1に記載の手順と同様の手順に従って、官能評価と糖度の測定を行った。 油揚げの官能評価と糖度に関する結果を、以下の表9に示した。
【0052】
【表9】

表9に記載の試験結果から明らかな通り、湿熱処理澱粉の他にカラメルを加えることで、油揚げからの調味成分の流出が効果的に抑制されるのみならず、その食味も改善が認められた。
【0053】
実施例2-1:湿熱処理澱粉を添加した着味液を用いた油揚げの製造
原料丸大豆(2.5kg)を水に浸漬して得た膨潤大豆から抽出した豆乳30kgに対して、以下の表10に記載の組成を有する凝固剤(1kg)を加えて凝固反応を促して、原料豆腐を得た。
【0054】
【表10】

原料豆腐を水切りした後に、切断して、板状の豆腐に成形した。 約110℃〜約160℃の温度にまで加温された食用油を収容した油槽内で、この豆腐(約25g)を、約15分間かけて揚げ調理をして、揚げ豆腐を得た。 そして、この揚げ豆腐(約15g)を、以下の表11に記載の組成を有する着味液に、2分間浸漬した。
【0055】
なお、本実施例で用いたカラメル、湿熱処理澱粉、タピオカ澱粉および増粘剤(タマリンドシードガム)の詳細は、以下の通りである。
【0056】
カラメル;カラメルS-65(商品名:森田フードシステム株式会社)
湿熱処理澱粉;デリカスター(登録商標)H-100(商品名:三和澱粉工業株式会社)
タピオカ澱粉(酸化澱粉);FLOMAX(商品名:ナショナルスターチ社)
タマリンドシードガム;グリロイド(登録商標)8LE(商品名:大日本住友製薬株式会社)
その他の澱粉、すなわち、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、小麦澱粉および緑豆澱粉は、製造業者から提供を受けた試供品(純品)を用いた。
【0057】
【表11】

そして、実施例1-1に記載の手順と同様の手順に従って、油揚げの調製を行った。 また、表10に記載の凝固剤を用いて製造された油揚げでのカラメルの含有量(重量%)は、0.16であった。
【0058】
本実施例での油揚げについても、実施例1-1に記載の手順と同様の手順に従って、官能評価と糖度の測定を行った。 得られた油揚げの官能評価と糖度に関する結果を、以下の表12に示した。
【0059】
【表12】

表12に記載の試験結果から明らかな通り、油揚げの構成要素として、湿熱処理澱粉を着味液に加えて利用することによって、油揚げからの調味成分の流出が効果的に抑えられていることが実証された。 このことは、湿熱処理澱粉を利用した油揚げでの良好な食感・食味を反映している官能評価での結果とも符合している。
【0060】
なお、湿熱処理澱粉以外の澱粉や増粘剤を着味液に加えたところ、着味液に過大な粘性が付与されてしまったため、油揚げをこの着味液に浸漬しても、油揚げに調味成分が浸透しなかったため、食味と糖度の評価・測定は断念した。
【0061】
実施例2-2:湿熱処理澱粉の添加量の検討
原料丸大豆(2.5kg)を水に浸漬して得た膨潤大豆から抽出した豆乳30kgに対して、表10(前出)に記載の組成を有する凝固剤(1kg)を加えて凝固反応を促して、原料生地を得た。 そして、実施例1-1に記載の手順と同様の手順に従って、油揚げの調製を行った。 また、以下の表13に記載の着味液A〜着味液Dに浸漬して調味成分を移行させて製造された油揚げでのカラメルの含有量(重量%)は、0.16であった。
【0062】
【表13】

本実施例での油揚げについても、実施例1-1に記載の手順と同様の手順に従って、官能評価と糖度の測定を行った。 油揚げの官能評価と糖度に関する結果を、以下の表14に示した。
【0063】
【表14】

表14に記載の試験結果から明らかな通り、湿熱処理澱粉を取り込んだ着味液を利用することで、油揚げからの調味成分の流出が効果的に抑えられることが実証された。 この効果は、湿熱処理澱粉の添加量に依存して高まった。 また、湿熱処理澱粉の添加量を増加させることで、油揚げの食感面のみならず、食味での改善も認められた。
【0064】
実施例3:加圧加熱殺菌処理を利用した油揚げの製造
原料丸大豆(2.5kg)を水に浸漬して得た膨潤大豆から抽出した豆乳30kgに対して、以下の表15に記載の組成を有する凝固剤(1kg)を加えて凝固反応を促して、原料豆腐を得た。
【0065】
【表15】

原料豆腐を水切りした後に、切断して、板状の豆腐に成形した。 約110℃〜約160℃の温度にまで加温された食用油を収容した油槽内で、この豆腐を、約15分間かけて揚げ調理をした。 得られた揚げ豆腐(約15g)を脱水して得た約14gの豆腐を、以下の表16に記載の組成を有する着味液E〜着味液Hに、約10分間浸漬した。
【0066】
【表16】

得られた油揚げ(約44g)を可撓性容器内に封入して、約110℃で、30分かけて加圧加熱殺菌処理を行った以外は、実施例1-1に記載の手順と同様の手順に従って油揚げの製造を行った。
【0067】
こうして得られた本実施例の油揚げを、うどんの上に載置し、そして、熱湯を注加して調理されたきつねうどんを、熟練のパネラー(5名)に試食してもらい、油揚げの食感・食味について、10段階で評価してもらった。 そして、評点値の平均値を求めた(この評価方法では、優秀な評価ほど平均値が高くなる)。
【0068】
油揚げの官能評価の結果を、以下の表17に示した。
【0069】
【表17】

表17に記載の試験結果から明らかな通り、湿熱処理澱粉を取り込んだ着味液を利用し、かつ加圧加熱殺菌処理を行っても、油揚げの食感のみならず、食味での改善が認められた。
【0070】
実施例4:乾燥処理を利用した油揚げの製造
原料丸大豆(2.5kg)を水に浸漬して得た膨潤大豆から抽出した豆乳30kgに対して、以下の表18に記載の組成を有する凝固剤(1kg)を加えて凝固反応を促して、原料豆腐を得た。 また、コントロール(比較例)の油揚げでは、湿熱処理澱粉を無添加とした。
【0071】
なお、本実施例で用いたカラメルおよび湿熱処理澱粉の詳細は、以下の通りである。
【0072】
カラメル;カラメルS-65(商品名:森田フードシステム株式会社)
湿熱処理澱粉;デリカスター(登録商標)H-100(商品名:三和澱粉工業株式会社)。
【0073】
【表18】

原料豆腐を水切りした後に、切断して、板状の豆腐に成形した。 約110℃〜約160℃の温度にまで加温された食用油を収容した油槽(フライヤー)内で、この豆腐(約25g)を、約15分間かけて揚げ調理をして、揚げ豆腐を得た。 そして、この揚げ豆腐(約15g)を、以下の表19に記載の組成を有する着味液に、2分間浸漬した。
【0074】
【表19】

着味液に浸漬した揚げ豆腐を、一対のローラーの間に通して、過剰の着味液をそこで圧搾して除去した。 得られた油揚げ(約21g)を、まず、マイクロウェーブに通して乾燥させて、その水分含量を約25%にまで調整し、そして、約95℃の温度下で、60分間かけて熱風乾燥を行い、次いで、自然冷却して乾燥油揚げ(外寸;縦×横×厚み=約9〜10cm×約7〜8cm×約1cm)を得た。 なお、豆乳に対して添加されるカラメルおよび湿熱処理澱粉の量は、最終濃度で、豆乳に対して共に約0.16重量%であった。
【0075】
また、澱粉の添加の有無にかかわらず、本実施例のいずれの油揚げについても、自然冷却後の重量は約17gであり、水分は約14重量%であった。
【0076】
本実施例の乾燥油揚げの破断強度を、以下の手順に従って検証した。
【0077】
まず、油熱乾燥した即席麺の麺塊を、乾燥機で約80℃にまで加温した後に、2時間かけて乾燥処理を行って、水分を麺塊の重量の約2重量%〜約3重量%にまで低減せしめた。 次いで、通常の乾燥処理を終えた麺塊および本実施例の乾燥油揚げの双方を、ポリスチレン製カップ容器内に置いて、これを封入して、上部開口部をアルミ製包材で閉蓋した後に、シュリンク包装した。 包装完了後に、約20℃の条件下で5日間放置した。 こうすることで、容器内の乾燥麺が、乾燥油揚げの水分を過剰に吸収する条件を人為的に再現した。
【0078】
放置を開始して5日後、つまり、乾燥油揚げの水分を乾燥麺塊に十分に移行させた後に、容器から乾燥油揚げを取り出して、その水分含量を測定した。 それと同時に、乾燥油揚げの破断強度を測定した。 具体的には、乾燥油揚げの中央部に、レオメーター(不動工業社製、型式:NRM−2010FCW)の歯型押棒Bに装着されたプランジャーを、2cm/分の速度で押圧せしめて、油揚げの破断に要する強度(kgw)を測定した。 比較例の乾燥油揚げ(比較試料1〜比較試料6)での水分含量と破断強度に関する計測値を、以下の表20に示した。
【0079】
【表20】

そして、本実施例の乾燥油揚げ(油揚げA〜油揚げF)での水分含量と破断強度に関する計測値を、以下の表21に示した。
【0080】
【表21】

表20および表21に記載の結果から明らかな通り、当初は約14重量%であった乾燥味付油揚げの水分含量を約6.0重量%程度まで低減せしめた条件下で行った試験において、本実施例の乾燥油揚げでの破断強度が増大していることが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本願発明の油揚げは、麺類のスープへの調味成分の溶出が小さく、油揚げに定着した食味を十分に堪能できる。 また、乾燥した雰囲気下で乾燥麺によって過剰に水分が奪い取られた上に、商品輸送時に過大な衝撃や震動を受けてもなお、その形態破壊に至らない十分な物理的強度と、長期保存性とを兼ね備えた乾燥油揚げが提供される。 このように、本願発明の油揚げは、特に、即席麺類に添付される具材として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油揚げの製造方法であって、以下の工程、すなわち;
(1) 原料大豆を水に浸漬して得た膨潤大豆から豆乳を抽出し、
(2) 当該豆乳に凝固剤を作用せしめて得た豆腐を所定形状に成形し、
(3) 当該豆腐を、加熱された食用油内で揚げ調理して油揚げを調製し、
(4) 当該油揚げを着味液に浸漬し、および、
(5) 着味液に浸漬させて調味成分が定着した油揚げを、その内部が105℃以上の温度に達する条件下で加熱処理する、
工程を含み、かつ湿熱処理澱粉が、当該工程(1)、(2)および(4)の少なくとも一つの工程で添加される、ことを特徴とする油揚げの製造方法。
【請求項2】
前記湿熱処理澱粉が、前記豆乳、前記凝固剤および前記着味液の少なくとも一つに含まれる請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程(5)の加熱処理が、乾燥手段または加圧加熱殺菌手段を用いて行われる請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記乾燥手段が、調味成分が定着した油揚げの水分量を、当該油揚げ重量の4重量%〜16重量%の範囲に調整する請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
カラメルが、前記豆乳または前記凝固剤のいずれかに含まれる請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
油揚げの製造方法であって、以下の工程、すなわち;
(A) 大豆蛋白質を主原料とする原料生地を調製し、
(B) 当該原料生地を所定形状に成形し、
(C) 当該原料生地を、加熱された食用油内で揚げ調理して油揚げを調製し、
(D) 当該油揚げを、着味液に浸漬し、および、
(E) 着味液に浸漬させて調味成分が定着した油揚げを、乾燥手段または加圧加熱殺菌手段を用いて、その内部が105℃以上の温度に達する条件下で加熱処理する、
工程を含み、かつ湿熱処理澱粉が、当該工程(A)、(B)および(D)の少なくとも一つの工程で添加される、ことを特徴とする油揚げの製造方法。
【請求項7】
前記湿熱処理澱粉が、前記原料生地および前記着味液の少なくとも一つに含まれる請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記工程(E)の加熱処理が、乾燥手段または加圧加熱殺菌手段を用いて行われる請求項6または7に記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の製造方法によって製造された油揚げ。
【請求項10】
請求項4に記載の製造方法によって製造され、かつ水分を5.0重量%〜6.0重量%に調整した後の破断強度が1.8kgw以上である油揚げ。
【請求項11】
湿熱処理澱粉を含む原材料を用いて製造された油揚げ。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかに記載の油揚げが添付された即席麺類。

【公開番号】特開2007−252363(P2007−252363A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212429(P2006−212429)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000226976)日清食品株式会社 (127)
【Fターム(参考)】