説明

治療薬を収容及び送達するための器械及び方法

本実施形態は、治療薬を収容して目標部位へ送達するのに適した器械及び方法を提供している。本器械は、概して、治療薬を保持するための少なくとも1つの容器(18)と、治療薬の送達を容易にするための圧力源(70)を備えている。1つの実施形態では、圧力源を容器の近位領域と選択的流体連通した状態にすることができ、圧力源からの流体は、容器の少なくとも一部を通って流れ、治療薬を、容器を通して目標部位に向けて押し進める。別の実施形態では、圧力源は、選択的に、治療薬がカテーテルの中へ押し進められるように第1の中空管(62)及び容器と、又は圧力源からの流体が容器を迂回してカテーテルに進入するように第2の中空管(63)及びカテーテルと、の何れかと流体連通させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、概括的には医療装置に、より厳密には治療薬を目標部位へ送達するための器械及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
治療薬を人間又は動物の身体に導入することが望ましい状況になり得る場合が幾つかある。例えば、治療薬物又は生物活性物質が、生物学的効果を実現するべく導入されることがある。生物学的効果には、止血すること、穿孔を密閉すること、再狭窄の可能性を低減すること、又は癌性腫瘍や他の疾病を治療することなどの、一連の目標とされる成果が含まれる。
【0003】
その様な治療薬の多くは、静脈内(IV)的技法を用いたり内服薬を介したりして注入される。その様な技法では、薬を全身的に導入することはできるが、多くの場合は、薬剤が選択された目標部位へ誘導的に且つ正確に送達されることを可能にする治療薬の限局的局所的な送達又は標的化導入を提供するのが望ましいであろう。例えば、治療薬の腫瘍への限局的送達は、正常で健康な組織に対する治療薬の曝露を低減して、有害な副作用の起こる可能性を減らすことができる。
【0004】
治療薬の限局的送達は、カテーテルや類似の導入器装置を使用して行われてきた。一例として、カテーテルを患者体内の目標部位に向けて前進させ、次いで治療薬をカテーテルのルーメンを通して目標部位へ注入することができる。典型的には、治療薬をカテーテルのルーメンに注入するのにシリンジ又は類似の装置が使用されることになる。しかしながら、その様な送達技法では、注入される治療薬の流れ方が比較的弱くなってしまう恐れがある。
【0005】
更に、治療薬は、粉末形態の様な特定の形態では、狙い撃ち方式で所望の部位へ送達することが難しいか又は実施できないこともある。例えば、治療粉剤がシリンジ又は他の容器内に保持されている場合、前記治療粉剤を、同様に有害な副作用を減らす見込みのある限局的方式でカテーテルを通して目標部位へ送達しようとしても簡単にはいかない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第12/435,574号
【特許文献2】米国特許出願第61/182,463号
【特許文献3】米国特許出願第12/428,226号
【発明の概要】
【0007】
本実施形態は、治療薬を収容し、当該治療薬を目標部位へ送達するのに適した器械及び方法を提供している。本器械は、概して、治療薬を保持するための少なくとも1つの容器と、治療薬の送達を容易にするための圧力源を備えている。
【0008】
1つの実施形態では、圧力源は、容器の近位端と選択的流体連通した状態とすることができる。圧力源からの流体が容器の少なくとも一部を通って流れ、治療薬を、容器の遠位端を通し、目標部位へ向けて押し進めることができる。圧力源は、圧縮ガス分注器を備えていてもよい。
【0009】
容器から目標部位への治療薬の送達を容易にするのに、カテーテルの様な少なくとも1つの管状部材を使用することができる。カテーテルは、容器の遠位領域と流体連通した状態とすることができる。使用時、圧力源からの流体は、治療薬を、容器を通し、カテーテルを通し、次いで遠位方向に目標部位に向けて押し進める。
【0010】
容器は、近位端と遠位端を有し、該近位端と遠位端とは脆弱なシール部材で閉鎖されていてもよい。容器は、毎使用時に不変均一量を提供するために、管状部材を通る治療薬の流れを制御するように設計されている。1つの実施形態では、容器は、望ましくは容器の遠位端付近で容器の略半径方向中心に保持されている管状部材を備えている。栓が管状部材を所定の場所に保持し、栓は容器の内部と大凡等しい外径を有しており、その結果、治療薬はどれも管状部材を通らずには容器の遠位端から出てゆけないようになっている。
【0011】
1つの実施形態では、流れ障害部材が、望ましくは管状部材の近位側に隣接して容器の略半径方向中心に設置されている。ワイヤ又は他の適した材料で構成されている支持部材が流れ障害部材に連結されていて、支持構造体によって所定の場所に保持されている。支持構造体と支持部材は、共同で、流れ障害部材を所定の場所に維持している。圧力源からの流体が容器に進入したとき、流体は強制的に治療薬を流れ障害部材を周って進行させ、治療薬の一定量が方向決めされ管状部材を通って目標部位へ送達されるようにする。
【0012】
別の実施形態では、容器は、管状部材を含んでおらず、但し容器の内側に沿って設置されている流れ障害部材を備えており、当該流れ障害部材は、毎使用時の治療薬の不変均一量の送達を促すように設計されている。
【0013】
上記実施形態の何れにおいても、何時、圧力源からの流体を容器に進入させて治療薬をカテーテルの中へ押し出すかを制御するために、容器の近位端と遠位端にスイッチを設置することができる。脆弱なシールが使用されている場合、スイッチは、容器を取り囲んでいるシールに孔を開けるのに使用することができる。更に、カテーテルから余分な治療薬を除去するため、圧力源からの流体が容器全体を迂回してカテーテルに進入するように、圧力源と容器の間に流体連通して弁を設置することができる。
【0014】
当業者には、添付図面及び以下の詳細な説明を考察すれば、本発明の他のシステム、方法、特徴、及び利点が明らかであろう、又は明らかになってくるであろう。全てのその様な付加的なシステム、方法、機構、及び利点は、本発明の範囲に含まれるものとし、付随の特許請求の範囲に網羅されるものとする。
【0015】
本発明は、添付図面及び以下の詳細な説明を参照することにより、より深く理解され得る。図中の構成要素は、必ずしも縮尺合わせされているわけではなく、むしろ本発明の原理の説明に重点が置かれている。図中、同様の参照番号は、異なる図全部を通して対応する部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】治療薬を収容して目標部位へ送達するための器械の側面断面図である。
【図2】容器の第1の実施形態の概略図である。
【図3】容器内部に治療薬が入っている状態の、図2の第1の実施形態を示している側面断面図である。
【図4】図2の実施形態の流れ障害部材と、支持構造体及び支持部材の端面図である。
【図5】図2の実施形態の管状部材と栓の側面図である。
【図6】スイッチが閉じた状態に描かれている図2の実施形態の側面断面図である。
【図7】スイッチあ開いた状態に描かれている図2の実施形態の側面断面図である。
【図8】流れ障害部材を通り過ぎて管状部材の中へ進められてゆく治療薬の模式図である。
【図9】別の流れ障害部材を通り過ぎて管状部材の中へ進められてゆく治療薬の模式図である。
【図10】治療薬を収容して目標部位へ送達するための例示的なシステムの構成要素を描いている流れ図式の図である。
【図11】1つの実施形態により、治療薬を収容して目標部位へ送達する場合の器械の模式図である。
【図12】治療薬をカテーテルから除去する場合の器械の模式図である。
【図13】図1の器械とともに使用することのできる例示的な端面視検内視鏡の遠位端と針の斜視図である。
【図14】容器の別の実施形態の側面断面図である。
【図15】送達状態にあるカテーテルの1つの実施形態の側面断面図である。
【図16】配備された状態にあるカテーテルの1つの実施形態の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願では、「近位」という用語は、概して医療処置中の医師に向かう方向を指し、一方「遠位」という用語は、概して医療処置中の患者の解剖学的構造内の目標部位に向かう方向を指す。
【0018】
まず図1を参照すると、本図には、治療薬を収容し、治療薬を患者体内の目標部位へ送達するのに適した器械の第1の実施形態が示されている。器械は、圧力源70と、容器18と、カテーテル46を備えている。例えば、図1に示されている様に、圧力源70は、加圧流体カートリッジ72と、当該圧流体カートリッジ72を少なくとも部分的に包んでいるか又は覆っているハウジング71を備えている。
【0019】
圧力源70は、所望の圧力を有する流体を発生させるか又は与える能力のある1つ又はそれ以上の構成要素を備えることができる。1つの実施形態では、圧力源70は、二酸化炭素、窒素、又は人体との適合性を有するものとされる任意の他の適した気体又は液体の様な、選択された気体又は液体−或いはそれら気体と液体の組合せ−で構成されている加圧流体カートリッジ72を備えたものとすることができる。加圧流体カートリッジ72は、例えばカートリッジ内で1800psi(12411kPa)程度の比較的高い第1の所定圧力にある気体又は液体を収容していてもよい。流体は、加圧流体カートリッジ72から、圧力取出口を有する調整弁73の様な圧力調整器であって、圧力をより低い第2の所定圧力に下げるか又は設定された流量を実現することのできる圧力調整器を通って流れる。単に一例として、第2の所定圧力は、約30psi(207kPa)から約80psi(552kPa)の範囲とすることができるが、以下に記載されている目的に適した如何なる圧力が提供されていてもよい。治療薬は容器18内に配置されている。圧力源70は、加圧流体カートリッジ72からの流体を、遠位方向に、容器18を通し、そしてカテーテル46を通して進ませる。他の実施形態では、圧力源70は、圧縮ボール又はシリンジを備えていてもよい。カテーテル46の内径d1は、様々であってよいが、好適な内径は、約0.085インチ(0.2159cm)から約0.100インチ(0.254cm)の範囲である。
【0020】
次に図1−図5を参照して、容器18の更なる特徴をより詳しく説明する。この実施形態では、器械は、概ね円筒状の外表面区域21と、約0.90インチ(2.286cm)から約1.10インチ(2.794cm)の範囲にある好適な外径とを有する容器18を備えている。容器18は、更に内表面19と厚さ23を備えており、ここに、好適な厚さは、約0.10インチ(0.254cm)から約0.30インチ(0.762cm)である。容器18は、治療薬33を保持するように構成されている。容器18は、更に、支持構造体24を備えており、前記支持構造体は、容器18の近位端32付近にあるのが望ましいが、容器18の殆どどの位置にも配置することができよう。支持構造体24は、支持部材28を介して、流れ障害部材26に接続されている。流れ障害部材26は、容器18の略半径方向中心に配置されているのが望ましい。支持構造体24は、内向きに容器18の半径方向中心に向けて突き出ているのが望ましい。この実施形態では、流れ障害部材26は概ね球状、支持構造体24は概ね円柱状であり、支持構造体24は容器18の内表面19の内側に嵌るサイズのリング又は短尺円柱であるのが望ましい。流れ障害部材26の直径は、様々であってよいが、好適な範囲は、約0.25インチ(0.635cm)から約0.35インチ(0.889cm)である。支持部材28は、ワイヤ、ロッド、又は、流れ障害部材26を所定の場所に保持するのに適した他の材料を備えたものとすることができる。また、支持構造体24と流れ障害部材26と支持部材28は、単体の中実部品で構成されていてもよい。
【0021】
容器18は、更に管状部材22を備えており、この管状部材22の遠位端37は、容器18の遠位端30付近に配置されている。管状部材22の直径は様々であってよいが、好適な範囲は、外径で約0.23インチ(0.5842cm)から約0.27インチ(0.6858cm)であり、好適な内径d2は、約0.19インチ(0.4826cm)から約0.22インチ(0.5588cm)の範囲である。管状部材22は、流れ障害部材26に近接する位置まで延びている。管状部材22から流れ障害部材26までの距離r1は様々であってよいが、距離r1の好適な範囲は、約0.25mmから約0.35mmである。管状部材22の遠位端37は、遠位方向に容器18の遠位端まで、又は遠位端を越えて、延びていてもよい。管状部材22は、望ましくは流れ障害部材26に直接当接又は接触せず、栓20で容器18の略半径方向中心に保持されているのが望ましい。この実施形態では、栓20は、円盤形である。栓20の外径は、治療薬が一部なりとも管状部材22を通らないで容器18の遠位端30に到達するのを防ぐために栓20と内表面19の間にシールが形成されるように、容器18の内表面19の直径に等しいか又はそれより僅かに小さくなっている。容器18は更にシール部材25によって密閉されており、シール部材25は図2に描かれている様に遠位端30に1つ在り、もう1つのシール部材25が近位端32に在る(図示せず)。管状部材22の遠位端37が遠位方向に容器18の遠位端30を越えて延びている別の実施形態では、シール部材25は管状部材22の遠位端37を包んでいる。
【0022】
容器18は、治療薬33を保持するためのいかなる適した寸法及び形状を備えていてもよい。容器が非円筒状の形状である代わりの実施形態では、支持構造体24と栓20は、治療薬が管状部材22を通る以外の経路を通って遠位端30に到達するのを防ぐのに必要な形状物から作られることになる。
【0023】
流れ障害部材26は、管状部材22に流入する治療薬の流量を制御するのに適した如何なる形状を備えていてもよい。圧力源70からの流体が入口35を通って容器18に進入したとき、流体は、流れ障害部材26を周って進行してゆくが、そのとき流れ障害部材26の表面に沿って進行する傾向がある。流体が継続して管状部材22を通過してゆくことで、流体が圧力差を生じさせ、このとき管状部材22内に生じている低い圧力が治療薬33を管状部材22の中へ引き込む。流れ障害部材26が無ければ、治療薬33は、無秩序な乱流で容器18の遠位端に向かって流れ、そうすると非均一な量の治療薬33が管状部材22を通ってしまうことになる。図8及び図9に描かれている様に、流れ障害部材は、より層流的な治療薬33の流れを発生させ、その結果、均一な量の治療薬33が管状部材22を通ってゆく。矢印1は、流れ障害部材26を周る流体の流れを表しており、矢印2は、管状部材22の中に引き入れられてゆく治療薬33を表現している。流れ障害部材26によって生じる、より層流的な流れは、治療薬33及び流体の管状部材22内での概ね均一な分散をもたらす。流体と治療薬33との好適な比率は、約1:5から約1:1を範囲とすることができるが、最も好適には約1:1である。流れ障害部材26によって生じる、より層流的な流れは、更に、所定流量の約+/−10%を範囲とする不変体積流量をもたらす。当業者には容易に理解されるであろうが、混合物及びその流れの均一性と不変性は、使用されている流体及び薬剤に依って(例えば、粒子サイズ、密度、粘度などに基づき)変わってくる。
【0024】
図8及び図9には、それぞれ、球状の流れ障害部材26と涙滴形の流れ障害部材26’が描かれている。図9を参照すると、「涙」の先端が、管状部材22に向かって長手方向に延びている。別の実施形態では、流れ障害部材26は、ゴルフボールに似た窪みのある球状となっている。図9の涙滴形の流れ障害部材26’は、図8の球状の流れ障害部材26より一段と層流的な流れをもたらし、好適である。
【0025】
容器18は、使用者が、容器18内に保持されている治療薬33の量を判定できるようにする測定表示を備えていてもよく、それについては、同一出願人による2009年5月5日出願の係属中の米国特許出願第12/435,574号(「’574号出願」)に説明されており、同特許出願をこれにより参考文献としてその全体をここに援用する。’574号出願に更に記載されているように、随意的に、容器18とカテーテル46の間の流体連通を選択的に許容したり阻止したりするため、容器18の貯留部とカテーテル46の間に弁部材を配置することができる。
【0026】
次に図1及び図10−図12を参照すると、圧力源70を選択的に作動させるための、ボタンの様なアクチュエータが使用されている。’574号出願で説明されている様にアダプターを使用して、加圧流体を加圧流体カートリッジ72から流し、次いで調整弁73に通してもよい。アダプターは、’574号出願に更に説明されている様に、加圧流体カートリッジ72に密閉連結されるように構成されていてもよい。更に、アダプターは、加圧流体を調整弁へ流入させる管材に連結されていてもよい。’574号出願に示されている様に、異なる管材の近位端を調整弁73に連結できるように適合させれば、それにより加圧流体を、調整弁73に通し、より低い第2の所定圧力で管材へ流入させることができる。
【0027】
圧力源70は、随意的に、1つ又はそれ以上の市販されている構成要素を備えていてもよい。単に一例として、加圧流体カートリッジ72は、テキサス州エルパソのHelen of Troy社(登録商標)によって製造されているVisage(登録商標)商業用分注器の様な使い捨て式二酸化炭素カートリッジを備えていてもよい。従って、圧力源70は、流体又は気体を所望の調節された圧力で管材へ提供できる本来の構成要素又は後付けの構成要素を備えることができる。
【0028】
治療薬33を目標部位へ送達するのに、1つ又はそれ以上のカテーテルが使用されていてもよい。図1、図11、及び図12を参照して、カテーテル46は、適した連結機構又は装置を使用して容器18の遠位端30と流体連通した状態とすることのできる近位端を備えている。カテーテル46は、以下に述べられている様に、更に、治療薬33の目標部位への送達を容易にすることのできる遠位端を備えている。カテーテル46は、1つ又はそれ以上の半剛性ポリマーから形成されている可撓性の管状部材を備えたものとすることができる。例えば、カテーテルは、ポリウレタン、ポリエチレン、テトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ナイロン、PEBAXなどから製造されていてもよい。
【0029】
図13を参照すると、治療薬を送達するための器械は、更に、内視鏡150と、組織を穿通するのに適した針95とを備えているか、内視鏡無しに針だけを備えていてもよい(図示せず)。針95は、経管腔的処置を行うのに患者の組織の一部又は管腔壁を刺し貫く構成の鋭利な遠位領域を形成するようにカテーテル46の遠位端94に連結されていてもよい。図13では、針95は、カテーテル46と一体の構成要素として、即ちカテーテル46を遠位方向に動かすと針95が遠位方向に前進するように、形成されている。この実施形態では、カテーテルの遠位端の針形の要素を形成するのに、比較的鋭利な針の先端が、カテーテル90の遠位先端に、例えば接着剤を使用して取り付けられていてもよい。代わりに、カテーテル90のルーメンに挿通されるように構成されている別体の針が採用されていてもよい。
【0030】
加えて、’574号出願に記載されている様に、端面視検及び側面視検内視鏡を使用することができる。内視鏡を、消化管の様な身体管腔を通して目標場所に近接する位置へ前進させる。次に、カテーテル46を、内視鏡の作業ルーメンを通して前進させる。針95が採用されている場合、針95の尖った先端96を内視鏡より遠位に伸ばし、針を使用して器官又は胃腸の壁若しくは組織を穿刺することができる。この段階で、治療薬33を、上記及び’574号出願に記載のやり方で、カテーテル46を通し、次いで針95の内腔97を通して送達することができる。
【0031】
手術において、図1及び図10−図13の器械を使用して、治療薬33を患者体内の目標部位へ送達することができる。第1の段階で、カテーテル46の遠位端を目標部位に比較的密に近接して配置する。カテーテル46は目標部位まで、開放的技法、腹腔鏡的技法、管腔内的技法を使用して、口や結腸を通す胃腸学的技法を使用して、又は他の任意の適した技法を使用して前進させることができる。
【0032】
カテーテル46は、カテーテル46の遠位端付近に配置された1つ又はそれ以上のマーカー(図示せず)を備えていてもよい。マーカーは、カテーテル46の遠位端の位置確認が容易になるよう、蛍光透視法又は他の画像化技法下で視覚化されるように構成することができる。針95がカテーテル46と一体化されている場合、針95も画像化技法を使って視覚化することができ、それにより、カテーテル46の遠位端を目標部位に密に近接して配置することが可能になる。’574号出願に更に詳しく説明されている様に、カテーテル46は、必要に応じ、内視鏡の作業ルーメンを通して前進させることができる。
【0033】
カテーテル46が所望の場所に配置されたら、圧力源70を作動させる。以上に言及されているように、比較的高圧の流体を放出するのにボタン又は他のアクチュエータが加圧流体カートリッジ72に連結されていてもよい。以上に言及されている様に、加圧流体は、所望の圧力及び流量で、調整弁73を通り、容器18を通って流れる。例えば、調整弁が流体の圧力を自動的に設定するようになっていてもよいし、代わりに、加圧流体カートリッジ及び/又は調整弁に連結されている制御機構を使用者が起動して、容器18に流入する流体流の所望圧力を設定するようにしてもよい。その様な制御機構は、容器18に流入する流体流れを可変的に許容するのに使用することもでき、例えば、加圧流体カートリッジ72からの流体を容器18に所望の時間間隔で流入させる、例えば所定の秒当たりの流量を流入させるようにしてもよい。更に、制御機構は、治療薬の種類、粘度、及び他の特性に依り、治療薬の所定量を送達するように事前にプログラムされていてもよい。圧力、時間、及び送達された量の表の様な経験的情報を記憶させ、異なった薬剤又は処置に使用するようにしてもよい。
【0034】
圧力源70からの流体は、容器18の近位端32を通り、流れ障害部材26を周って流れ、管状部材22に進入し、遠位端30を通り、カテーテル46の遠位端を通り、次いでルーメンを通って流れてゆく。流体は、カテーテル46の遠位端を、例えば針95に形成されている内腔を通って、出てゆくことができる。また、圧力源70に対して容器18の向きは様々であってよい。例えば、容器18は、2009年5月29日出願の米国特許出願第61/182,463号に記載されている様に圧力源70に平行に整列していてもよく、同出願の開示をここに参考文献としてその全体を援用する。
【0035】
以上に言及されている様に、随意的に、容器18の貯留部と接続部材の間に、’574号出願に示されている様に弁部材を配置することができる。使用者は、弁部材を選択的に作動させて、容器と接続部材の間の流体連通を周期的に許容したり阻止したりすることができる。弁部材は、更に、加圧流体が接続部材を通って流れているときであっても、貯留部からの治療薬の引き出しを阻止する「遮断」安全機構の役目を果たすことができる。
【0036】
以上に言及され、’574号出願に描かれている様に、圧力源70に連結されている制御機構は、加圧流体カートリッジ72から管に流入させる流体流れを可変的に所望の時間間隔で許容していてもよく、例えば所定の秒当たりの流量の流れを許容していてもよい。このやり方では、加圧流体は周期的にカテーテルを通って流れ、治療薬33を所定の間隔又はそれ以外の周期単位で目標部位へ送達することができる。
【0037】
本器械は、広範な処置で治療薬33を送達するのに使用することができ、治療薬33は、カテーテル46の遠位端から噴出させると所望の機能を発揮するように選定することができる。限定を課すことなく単に一例として、治療薬33の供与は、止血、穿孔の閉鎖、砕石術、薬物の送達、腫瘍及び癌の治療、及び腎透析静脈瘻狭窄や人工血管狭窄などの治療のために、使用することができる。治療薬33を送達するのに使用されるカテーテル46のサイズは、それが使用される処置に依って様々であり、例えば、形の不規則な裂傷へ外用的に使用するには短尺カテーテルを使用することができる。治療薬33のサイズも様々であるが、止血用治療薬33の好適な実施形態は、メッシュサイズが325とされている。
【0038】
治療薬33は、冠動脈血管形成術、腎動脈血管形成術、及び頚動脈手術の様な処置中に送達することもできるし、或いは一般的には、様々な他の、心臓血管、呼吸器、消化器、又は他器官の病態を治療するのに使用されてもよい。上記のシステムは、経腟、臍帯、鼻腔、及び気管支/肺に関連した用途にも使用することができる。
【0039】
例えば、止血の目的で使用される場合、限局的な出血を減らすためにトロンビン、エビネフリン、又は硬化剤が供与されてもよい。同様に、穿孔を閉じるために使用される場合、限局的な患部にフィブリンシーラントが送達されてもよい。治療薬33の止血性に加え、流体及び治療薬の比較的高い圧力は、それだけでも、圧縮力を提供することによって機械的タンポナーゼの役目を果たし、それにより止血を実現するのに必要な時間が縮小されることに注目されたい。
【0040】
治療薬33は、例えば身体脈管の内壁からの組織の内成長を促進するという様な1つ又はそれ以上の所望の生物学的機能を発揮させるように、或いは代わりに、再狭窄の様な、脈管壁の好ましくない病態を緩和又は防止するように、選択されてもよい。多くの他の種類の治療薬33が、本器械と関連付けて使用できる。
【0041】
治療薬33は、如何なる適した形態で送達されてもよい。例えば、治療薬33は、粉末、液体、ゲル、エアゾール、又は他の物質を備えることができる。圧力源70は、これらの形態の何れの治療薬33についても、その送達を容易にすることができるのが好都合である。
【0042】
採用されている治療薬33は、抗血栓形成性生物活性剤、例えば身体脈管内の血栓形成を阻害又は防止する何らかの生物活性剤を備えていてもよい。抗血栓性生物活性剤の種類には、抗凝固剤、抗血小板剤、及び線維素溶解剤が含まれる。抗凝固剤は、生化学カスケードにおける因子、補助因子、活性化因子、又は活性化補助因子の何れかに働きかけて線維素の合成を阻害する生物活性物質である。抗血小板性生物活性剤は、血栓の主要成分であって血栓症で重要な役割を演じている血小板の粘着、活性化、及び凝集を阻害する。線維素溶解性生物活性剤は、線維素溶解カスケードを亢進するか、又は別のやり方で血栓の溶解を支援する。抗血栓剤の例として、限定するわけではないが、トロンビン阻害薬、因子Xa阻害薬、因子VIIa阻害薬、及び組織因子阻害薬の様な抗凝固剤;グリコプロテインIIb/IIIa阻害薬、トロンボキサンA2阻害薬、ADP誘導型グリコプロテインIIb/IIIa阻害薬、及びホスホジエステラーゼ阻害薬の様な抗血小板剤;及び、プラスミノゲン活性化因子阻害薬、トロンビン活性化繊維素溶解阻害因子(TAFI)阻害薬、及び線維素を開裂する他の酵素の様な線維素溶解剤が挙げられる。
【0043】
追加的又は代替的に、治療薬33は、身体脈管の血流に悪影響を及ぼす恐れのある血餅を溶かすのに使用される血栓溶解剤を含んでいてもよい。血栓溶解剤は、線維素線維を直接蒸解させる又は蒸解するための自然な機序を活性化させるかの何れかを行う任意の治療薬である。市販の血栓溶解薬の例として、限定するわけではないが、アボキナーゼ(ウロキナーゼ)、アボキナーゼOpen−Cath(ウロキナーゼ)、アクティバーゼ(アルテプラーゼ、組換体)、エミナーゼ(アニストレプラーゼ)、レタバーゼ(レテプラーゼ、組換体)、及びストレプターゼ(ストレプトキナーゼ)が挙げられ、括弧内は対応する活性剤である。他の普及している名称に、アニソイル化プラスミノゲンストレプトキナーゼアクチベータ複合体APSAC、組織型プラスミノゲンアクチベータt−PA、同組換体rt−PAがある。幾つかの代表的な治療薬33を列挙したが、他にも数多くの適した治療薬が、本器械と関連付けて使用され、カテーテル46を通して送達できることは自明であろう。
【0044】
本器械では、治療薬33の所望量を、圧力源70を介して所望の圧力で限局的に送達できるのが好都合である。カテーテル46の遠位端は目標部位に比較的密に近接して置かれているので、本装置は、治療薬が経口か又はIVシステムを通して送達される場合に勝る有意な利点をもたらし、治療薬33が健康な組織に溜まることを低減して、それにより副作用を減らすことができる。更に、治療薬33の目標部位への送達は、流体の圧力が比較的高いために比較的高速式に行われ、それにより、目標部位への送達がこれまでの装置に比べ速やかになる。
【0045】
更に、随意的な針95が採用されている場合、本器械は、目標部位又はその付近の組織を穿孔するのと、次いで治療薬33を所望の圧力で上述のやり方で送達するのとの両方に使用できるのが好都合である。例えば、針95は、内視鏡超音波(EUS)針を備えていてもよい。従って、1つの代表的な技法では、針95の尖った先端は、器官又は胃腸の壁又は組織を穿刺することができ、よって、そうでなければアクセスするのが困難であるような様々な身体場所に治療薬33を所定の圧力で送達できるようになる。カテーテル46を目標部位へ送達するのに、とりわけカテーテル46の遠位端が随意的な針95を備えている場合は、内視鏡又はシースの様な1つ又はそれ以上の送達媒介手段が採用されていてもよい。
【0046】
次に図6及び図7を参照して、この実施形態では、容器18の近位端32を選択的に開閉するのにスイッチ40を使用し、管状部材22の遠位端37を選択的に開閉するのにスイッチ42を使用することができる。スイッチ40と42のそれぞれは、開口部44を含んでいる。スイッチ40と42が図7に描かれている開位置に押し下げられたとき、圧力源70からの流体は、容器18の近位端32に進入してゆき、容器18内の少なくとも一部の治療薬33を、管状部材46を通って目標部位へ送達されるように進ませる。図6に描かれている閉位置では、圧力源70からの流体は容器18に進入してゆくことができず、従って治療薬は目標部位に送達されなくなる。
【0047】
図6及び図7に描かれている実施形態では、スイッチ40と42は、シール部材25と共に使用されてもよいし、シール部材無しに使用されてもよい。スイッチ40と42がシール部材25と関連付けて使用されている場合、スイッチは、最初に開位置へ押し下げられたときにシール部材25に孔を開け、それにより少なくとも一部の治療薬33を管状部材22の遠位端37を通ってカテーテル46の中へ進行させ、治療薬33が目標部位に送達されるようにする。スイッチ40と42は、シール部材25に孔が開けられた後であっても、図6に描かれている閉位置に戻されると、治療薬がカテーテル46に進入するのを防ぐ。別の実施形態では、典型的にカテーテルと共に使用されているコック又は弁をスイッチ40及び42と置き換えることもできよう。更に別の実施形態では、雄ねじ端と雌ねじ端を有するねじの切られたルアーを使用することができ、その場合、管状部材22の遠位端37は、ねじの切られたルアーの雄ねじ端になる。
【0048】
再び図11及び図12を参照すると、浄化弁60が使用されている。開口部64が形成されているピストン61は、「オン」位置では、弁60の中で、開口部64がカテーテルの様な第1の中空管62の近位端と流体連通するように位置付けられている。中空管62の遠位端は、治療薬33を保持している容器と流体連通している。この実施形態では、圧力源70からの流体は、弁60と中空管62とを通って容器18の中へ進行し、そこで流体は、治療薬33を、容器18の遠位端30を通して進ませ、当該治療薬33を、カテーテル46を通して患者の目標部位へ送達することができる。図12に描かれている「オフ」位置では、ピストン61は、開口部64が、容器18と流体連通していない第2の中空管63と整列するように位置付けられている。この実施形態では、圧力源70からの流体は、カテーテル46を通ってゆき、カテーテル46に溜まっている治療薬33があればそれをカテーテル46から追い出す。容器より遠位で且つカテーテル46より近位の位置に設置された逆止弁65又は一方向弁は、治療薬33がカテーテル46の中へ進行するのを阻止する。これで、確実に、弁60が「オン」位置にあるときには治療薬33の均一量が患者体内の目標部位に送達されることになる。
【0049】
次に図14を参照すると、本図には、治療薬33を収容し、均一な量の治療薬33を送達するための別の実施形態が示されている。図14の実施形態は、図1に示されている実施形態の1個の流れ障害部材と管状部材の代わりに、容器16の内表面17に沿って並んでいる複数の流れ障害部材50を備えている。それぞれの流れ障害部材50は、容器16の内表面17に固定されている基底部52、峰部54、凸状近位面56、及び凹状遠位面58を備えた好適な環形を有しているが、近位面56が凹状で遠位面58が凸状であってもよい。
【0050】
図14の実施形態では、圧力源70の1回の噴射による流体が近位端36を通って容器16に進入すると、容器16内に収容されている比較的の均一な量の治療薬33が容器16を通って長手方向に進められ、遠位端34から出される。圧力源からの流体が進入し、容器16の遠位端34に向かって進んでいった後に、一部の治療薬33は、流れ障害部材50によって行く手をふさがれ、同部材の背後及び周囲に溜まるので、比較的に均一な量が得られる。毎噴射時に、それぞれの流れ障害部材50の背後に溜まった治療薬33の一定量が、長手方向に前進中の流体によってすくい上げられ、容器16の遠位端34に向かって回流する。図14では、流れ障害部材50は、峰の形をしているものとして描かれているが、それらは、圧力源70からの噴射毎に治療薬33の比較的均一量が容器16から出されることを保証するために治療薬33の一部の流れを遮るか又は食い止めるのに適した如何なる形状を備えていてもよい。
【0051】
次に図15及び図16を参照すると、ここでこれまでに説明されているカテーテル46のどの実施形態とも置き換えることのできる、カテーテル46の代わりの実施形態が示されている。この実施形態では、カテーテル46は、形状記憶材料で構成されており、外シース79内に封入されている。カテーテル46は、シース79によって覆われているときは、図15に描かれている送達状態を保っている。外シース79が引き込まれると、カテーテル46の遠位端47は、図16に描かれている配備状態に半径方向に展開する。カテーテル46の遠位端47は、ニチノール又は任意の他の適した形状記憶材料、例えば2009年4月22日出願の米国特許出願第12/428,226号に記載されている材料などを備えていてもよく、同特許出願の開示をここに参考文献としてその全体を援用する。遠位端47は、布又はエチレンテトラフルオロエチレン(「ETFE」)の様な潤滑性のポリマーで被覆されていてもよい。内視鏡150と関連付けて使用される場合は、シース79及び内部のカテーテル46は、内視鏡150のルーメン161を通されることになる。この実施形態のカテーテル46では、治療薬をより正確なやり方で目標部位へ送達できるようになる。カテーテル46と遠位端47を送達状態に維持するのにシース79を使用していることによって、カテーテル46と同時に他の物品を内視鏡150又はルーメン161に通すことができる。
【0052】
本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明は、付随の特許請求の範囲及びそれらの等価物に照らした場合を除き限定されるものではない。更に、ここに記載されている利点は必ずしも本発明の唯一の利点というわけではなく、また本発明のあらゆる実施形態が、必ずしも記載されている利点の全てを実現できるものと期待されているわけではない。
【符号の説明】
【0053】
1 流れ障害部材を周る流体の流れ
2 管状部材の中に引き入れられてゆく治療薬の流れ
16 容器
17 内表面
18 容器
19 内表面
20 栓
21 外表面区域
22 管状部材
23 容器の厚さ
24 支持構造体
25 シール部材
26、26’ 流れ障害部材
28 支持部材
30 容器の遠位端
32 容器の近位端
33 治療薬
34 容器の遠位端
35 容器の入口
36 容器の近位端
37 管状部材の遠位端
40、42 スイッチ
44 スイッチの開口部
46 カテーテル
47 カテーテルの遠位端
50 流れ障害部材
52 流れ障害部材の基底部
54 流れ障害部材の峰部
56 流れ障害部材の凸状近位面
58 流れ障害部材の凹状遠位面
60 浄化弁
61 ピストン
62 第1の中空管
63 第2の中空管
64 ピストンの開口部
65 逆止弁
70 圧力源
71 ハウジング
72 加圧流体カートリッジ
73 調整弁
79 外シース
90 カテーテル
94 カテーテルの遠位端
95 針
96 針の先端
97 針内腔
150 内視鏡
161 内視鏡のルーメン
d1 カテーテルの内径
d2 管状部材の内径
r1 管状部材から流れ障害部材までの距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療薬の送達を容易にするのに適した器械であって、
圧力源と、
近位端及び遠位端を有し、前記圧力源からの流体を受け入れるための入口が前記近位端に設けられている容器と、
前記容器内に配置されている治療薬と、
近位端及び遠位端を有する管状部材であって、前記近位端が前記容器内に配置されている、管状部材と、
前記容器内において前記入口と前記管状部材の前記近位端との間に配置されている流れ障害部材であって、流体が当該流れ障害部材を周って前記管状部材の前記近位端に向かって流れるような構造であり、当該流れ障害部材と前記管状部材とは互いに間隔を空けて配置されており、それによって、流体が当該流れ障害部材を周って流れて、前記治療薬が前記管状部材の中へ引き込まれて前記管状部材を通して遠位方向に向かって流れるようになる、流れ障害部材と、
を備えている器械。
【請求項2】
前記容器の前記近位端に配置されている少なくとも1つのシール部材と、前記容器の前記遠位端に配置されている少なくとも1つのシール部材と、を更に備えている、請求項1に記載の器械。
【請求項3】
前記容器の前記近位端及び前記遠位端に配置されているスイッチであって、各スイッチの内部に開口部が設置されているスイッチを更に備えており、
前記スイッチは、前記開口部が、前記容器の前記近位端及び前記遠位端と流体連通していない第1位置と、前記容器の前記近位端及び前記遠位端と流体連通している第2位置とを有している、請求項1に記載の器械。
【請求項4】
前記流れ障害部材は球状である、請求項1に記載の器械。
【請求項5】
前記流れ障害部材は、丸い端部の側が前記入口に面するような向きに配置されている涙滴形である、請求項1に記載の器械。
【請求項6】
前記容器に接続されている支持構造体であって、半径方向内向きに突き出ている支持部材を有し、該支持部材を介して前記流れ障害部材に接続されている支持構造体を更に備えている、請求項1に記載の器械。
【請求項7】
前記管状部材を前記容器の略半径方向中心に維持する栓を備える、請求項6に記載の器械。
【請求項8】
前記容器は約2.286cmから約2.794cmの範囲にある外径を有し、前記流れ障害部材は約0.635cmから約0.889cmの範囲にある直径を有し、前記管状部材は約0.4826cmから約0.5588cmの範囲にある内径を有し、前記流れ障害部材と前記管状部材との間の距離は約0.25mmから約0.35mmの範囲にある、請求項1に記載の器械。
【請求項9】
前記流体と前記治療薬は前記管状部材内で一体に混合されて混合物を形成し、前記混合物は前記流体中で前記治療薬が概ね均一に分散している、請求項1に記載の器械。
【請求項10】
前記流体と前記治療薬は前記管状部材内で一体に混合されて混合物を形成し、前記混合物の治療薬の体積流量が一定である、請求項1に記載の器械。
【請求項11】
治療薬を収容して目標部位へ送達するのに適した器械であって、
圧力源と、
近位端及び遠位端を有するカテーテルと、
近位端及び遠位端を有し、内部に治療薬が配置される容器であって、該遠位端が前記カテーテルの前記近位端と流体連通している、容器と、
近位端及び遠位端を有する第1の中空管であって、該遠位端が前記容器の前記近位端と流体連通している、第1の中空管と、
近位端及び遠位端を有する第2の中空管であって、該遠位端が前記カテーテルの前記近位端と流体連通している、第2の中空管と、を備えており、
前記圧力源が前記第1の中空管の前記近位端及び前記容器と流体連通している第1の状態であって、前記容器の少なくとも一部を通る前記圧力源からの流体の供給によって、前記治療薬が前記容器の前記遠位端に向い、さらに前記カテーテルを通って前記目標部位に向けて遠位方向に押し進められるようになる、第1の状態と、
前記圧力源が前記第2の中空管の前記近位端と流体連通していて且つ前記カテーテルの前記近位端と連通する第2の状態であって、前記圧力源からの流体の供給が、前記容器を迂回し、前記カテーテルを通って流れる、第2の状態と、を含む少なくとも2通りの状態に操作できる、器械。
【請求項12】
前記圧力源は、圧縮ガス分注器を備えている、請求項11に記載の器械。
【請求項13】
前記カテーテルの前記遠位端が、配備状態で半径方向に展開する形状記憶材料で構成されている、請求項11に記載の器械。
【請求項14】
近位端及び遠位端を有し、前記容器内を長手方向に延びている管状部材と、
前記管状部材の前記近位端に隣接して配置されている流れ障害部材と、を更に備えている、請求項11に記載の器械。
【請求項15】
前記圧力源と前記第1及び第2の中空管との間に置かれている弁を更に備えており、
前記弁は、前記圧力源と前記第1及び第2の中空管との間の流体連通を維持し、前記圧力源を前記第1の中空管と流体連通させるか又は第2の中空管と流体連通させるかを制御する開口部がその内部に設置されているピストンを有する、請求項11に記載の器械。
【請求項16】
治療薬を収容して目標部位へ送達するのに適した方法であって、
圧力源を準備する段階と、
近位端及び遠位端を有し、内部に治療薬が配置されている容器を準備する段階と、
近位端及び遠位端を有しているカテーテルであって、該近位端が前記容器の前記遠位端と連通しているカテーテルを準備する段階と、
近位端及び遠位端を有する第1の中空管であって、該遠位端が前記容器の前記近位端と流体連通している第1の中空管を準備する段階と、
近位端及び遠位端を有する第2の中空管であって、該遠位端が前記カテーテルの前記近位端と流体連通している第2の中空管を準備する段階と、
前記圧力源を前記第1の中空管の前記近位端及び前記容器に連通させて、前記圧力源からの流体を前記容器の少なくとも一部を通して提供し、前記治療薬を前記容器の前記遠位端に向かわせ、さらに前記カテーテルを通して、前記目標部位に向けて遠位方向に押し進める段階と、
前記圧力源を前記第2の中空管の前記近位端及び前記カテーテルに連通して、前記圧力源からの流体を前記カテーテルに提供し、前記容器を迂回する段階と、とを含む方法。
【請求項17】
前記容器が、
近位端及び遠位端を備え、前記容器内を長手方向に延びている管状部材と、
前記管状部材の前記近位端に隣接して配置されている流れ障害部材と、を備えている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記流れ障害部材は、前記治療薬を、前記流れ障害部材を周って前記管状部材に向かって層流状に流れるようにする形状となっている、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記圧力源は、所定量の薬剤を前記目標部位に向けて押し進めるために、所定の時間に亘って前記第1の中空管の前記近位端と連通される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記圧力源は、前記カテーテルから治療薬を除去するために、前記第2の中空管の前記近位端と連通される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記治療薬は止血を促すために使用される、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−513284(P2012−513284A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543549(P2011−543549)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/067076
【国際公開番号】WO2010/074949
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】