説明

治療薬を送達するためのシステム及び方法

本実施形態は、治療薬を標的部位まで送達するのに適したシステム及び方法を提供している。本システムは概括的に、治療薬(38)を貯留するための容器(30)と、容器の貯留部の少なくとも一部分と選択的に流体連通して配置されるように構成された圧力源(68)を備えている。一実施形態では、圧力源からの流体は、容器の第1の領域を通って容器の第2の領域の方向に送り込まれる。次に、流体は、容器の第2の領域から容器の第1の領域に向かい、続いて、標的部位の方向に治療薬を押し出すように少なくとも部分的に流れの向きを変えられる。別の実施形態では、圧力源から流体は容器の第2の領域を通って容器の第1の領域の方向に送り込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2009年5月29日出願の「治療薬を送達するためのシステム及び方法(Systems and Methods for Delivering Therapeutic Agents)」と題される、米国仮特許出願第61/182,463号の優先権の利益を主張し、この開示の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本実施形態は、概括的には医療デバイスに、より具体的には、標的部位に治療薬を送達するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人間又は動物の体内への治療薬の導入が望ましくなる様々な場合がある。例えば、生物学的効果を達成するために、治療薬又は生物活性物質を導入することがある。該生物学的効果には数々の的を絞った効果、例えば止血を促すこと、穿孔を封止すること、再狭窄の可能性を減少させること、又は癌性の腫瘍や他の疾患を治療することなどが挙げられる。
【0004】
このような治療薬の多くは、静脈注射(IV)技法の使用及び内服薬によって注入される。多くの場合に治療薬を局所的に又は的を絞って送達することが望ましい場合があり、該技法は薬剤の一般的な導入を可能にしながら、選択された標的部位へ薬剤を誘導して正確に送達することができる。例えば、治療薬を腫瘍へ局所的に送達することは、治療薬を正常で健全な組織に曝すことを緩和でき、潜在的に有害な副作用を減少させることができる。
【特許文献1】米国特許第12/435,574号
【特許文献2】米国特許出願第12/633,027号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カテーテル及び類似の導入器デバイスを使用して、治療薬の局所的な送達が行なわれている。一例として、カテーテルを患者内の標的部位に向けて進め、次に、該治療薬をカテーテルのルーメンを通して標的部位に注入することができる。典型的には、カテーテルのルーメンに治療薬を注入するために、注射器又は類似のデバイスを使用することができる。しかしながら、このような送達技術は、注入された治療薬の流れが比較的弱いものとなる可能性がある。
【0006】
さらに、治療薬を所望の部位に粉末状などの特定の形態の的を絞った方法で送達することは困難であり不可能であり得る。例えば、治療粉末剤が注射器又は他の容器内に貯留されている場合、潜在的に有害な副作用を減らすこともできる局所的な方法では、該治療粉末剤を、カテーテルを通して標的部位まで容易に送達することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態は、治療薬を標的部位へ送達するのに適したシステム及び方法を提供している。本システムは概括的に、治療薬を貯留するための容器と、容器の貯留部の少なくとも一部分と選択的に流体連通して配置されるように構成された圧力源を備えている。
【0008】
一実施形態では、圧力源からの流体は、容器の第1の領域を通って容器の第2の領域の方向に送り込まれる。次に、流体は、容器の第2の領域から容器の第1の領域に向かい、続いて、標的部位の方向に治療薬を押し出すように少なくとも部分的に流れの向きを変えられる。
【0009】
本実施形態では、圧力源からの流体が入口管を通って容器の貯留部に流れるように、入口管が容器内に配置されてもよい。入口管からの流体は、次に容器の第2の領域から容器の第1の領域の方向に流れるように向きを変えることができる。出口管が容器内に配置されてもよく、入口管の第2の端部を流出する流体が、治療薬を出口管の第2の端部の中に押し進めている。
【0010】
別の実施形態では、圧力源からの流体は第2の領域を通って容器に送り込まれ、第1の領域の方向に流れてもよい。治療薬を容器の第2の領域から第1の領域に向け、次に標的部位の方向に押し進める。
【0011】
圧力源は圧縮ガス容器を備えていてもよい。圧力源と容器の間にチューブが配置されてもよく、必要に応じて、圧力源と容器との間に圧力調整弁が配置されてもよい。圧力調整弁は、圧力源からの流体が所定の圧力で容器内を流れることができるようにしている。
【0012】
実施形態のいずれにおいても、システムは容器と圧力源を固く保持するように構成されたハウジングを備えることができる。ハウジングは使用者の手に把持されるようになされていてもよい。ハウジングに連結された第1のアクチュエータが、圧力源からの加圧流体を放出するように構成されてもよく、さらにハウジングに連結された第2のアクチュエータが、容器の少なくとも一部分を通して選択的に流体の流れを可能にするように構成されてもよい。さらに、容器の垂直方向を示すために方向デバイスが使用されてもよい。
【0013】
本発明の他のシステム、方法、特徴及び利点が、以下の各図及び詳細説明を参照することにより、当業者には明らかである或いは明らかになるであろう。全てのその様な追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、本発明の範囲に含まれるものとし、以下の特許請求の範囲に網羅されるものとする。
【0014】
本発明は以下の図面と記述を参照してより深く理解することができる。図中の構成要素は必ずしも一定の縮尺ではなく、むしろ本発明の原理を説明することに重点が置かれている。また、各図において、同様の参照符号が異なる図に対応する部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態によるシステムの斜視図である。
【0016】
【図2】ハウジングの一部が除去された状態の図1のシステムの概略図である。
【0017】
【図3】図1−2のシステムの容器の側面断面図である。
【0018】
【図4】別の実施の形態によるシステムの斜視図である。
【0019】
【図5】さらに別の実施形態によるシステムの斜視図である。
【0020】
【図6】さらに別の実施形態によるシステムの斜視図である。
【0021】
【図7】ハウジングの一部が除去された状態の図6のシステム概略図である。
【0022】
【図8】図6−7のシステムの容器の斜視図である。
【0023】
【図9】ハウジングの一部が除去された状態のさらに別の実施形態によるシステムの概略図である。
【0024】
【図10】図9のシステムの容器の斜視図である。
【0025】
【図11】別の実施形態によるシステムの一部分の側面断面図である。
【0026】
【図12】別のアクチュエータ配置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本出願では、「近位」という用語は、一般的に医療処置中に医師に向かう方向を指し、「遠位」という用語は、一般的に医療処置中に患者の生体構造内の標的部位に向かう方向を指す。
【0028】
図1−3をここで参照すると、1つ以上の治療薬を送達するのに適したシステムの第1の実施形態が示されている。この実施形態では、以下により十分説明するように、治療薬38を、カテーテル90を通して患者内の標的部位に送達するために、システム20は、治療薬38を貯留するように構成された容器30を備え、さらに容器30の少なくとも一部分に選択的に流体連通して配置されるように構成された少なくとも1つの圧力源68を備えている。
【0029】
システム20はさらにハウジング22を備えており、該ハウジングは、容器30、圧力源68、カテーテル90、及び後述の他の構成部品を固く保持、係合、及び/又はカバーするのに適している。ハウジング22は、使用者が把持できる直立部分24と容器30を係合するための区画25を備えていることが好ましい。アクチュエータ26及び28は、使用者が使用して、以下で説明する機能を実行するように選択的に作動させることができる。
【0030】
容器30は、治療薬38を貯留するため任意の適切な寸法及び形状を備えることができる。図1−3では、容器30は、第1の領域31、第2の領域32、及び容器30の内面によって画定される貯留部33を有する概ね管状の形態を備えている。図3に最も分かり易く示す様に、プラットホーム35が、湾曲した端部領域34上の容器30内に配置されている。
【0031】
図3に示すように、プラットホーム35は、好ましくは容器30の内面と実質的に液密シールを形成しており、それによって、貯留部33に留置されている治療薬38が湾曲した端部領域34の内部に到ることを防いでいる。この実施形態では、図3に示し以下でさらに詳細に説明するように、プラットホーム35は開口部36を備えており、そこを通る圧力源68からの流体は湾曲した端部領域34内に配置されたU字型管37を通して送り込まれる。
【0032】
図3に示すように、容器30は、さらに、入口管40、出口管50、キャップ60を備え、キャップ60は容器30の第1の領域31に固定されるように構成されている。入口管40は、間に延在するルーメン43を備える第1及び第2の端部41及び42を有し、出口管50は、間に延在するルーメン53を備える第1及び第2の端部51及び52を有している。図3に示すように、入口管40の第1の端部41は、キャップ60に形成された入口ポート61と流体連通して配置され、出口管50の第1の端部51は、キャップ60に形成された出口ポート62と流体連通して配置されている。
【0033】
入口管40の第2の端部42は、プラットホーム35に向かって延在し、プラットホーム35と一体化又はプラットホーム35に固定できるアダプタ44に連結することができる。図3に示すように、アダプタ44は、入口管40の第2の端部42を、湾曲した端部領域34内に配置されたU字型管37の第1の端部45と流体連通した状態で取り付けられている。U字型管37の第2の端部46は、プラットホーム35の開口部36と流体連通している。
【0034】
従って、キャップ60の入口ポート61を通過した流体は、入口管40、U字型管37、及び開口部36を通して貯留部33に送り込まれる。特に、流体が容器30の第1の領域31から第2の領域32に向かって、次に第2の領域32から第1の領域31に向かって戻る方向に本来流れるように、U字型管37は流体の流れの方向を事実上約180度変更する。図1−3の実施形態では、容器30の第1の領域31は、使用の際、容器30の第2の領域32の上方垂直方向に配置されているが、第1及び第2の領域31及び32は互いに少なくとも部分的に水平に隣接して配置されるように、第1及び第2の領域31及び32を互いに対して異なる配置とすることが可能である。
【0035】
図1−3に示すように、出口管50の第2の端部52は、プラットホーム35の上方で所定の距離で終端することができる。本実施形態では、第2の端部52がプラットホーム35の比較的近くに示されているが、任意の適切な所定の距離を設けてもよい。例えば、図1−3に示すように、出口管50の長さはより短い、およそ半分の長さであってもよく、第2の端部52はプラットホーム35からさらに離れて配置されてもよい。図1−3に示すように、現在の好ましい実施形態では、出口管50の第2の端部52は、プラットホーム35の開口部36と半径方向に揃えられている。従って、さらに以下で詳しく説明するように、圧力源68からの流体がプラットホーム35内の開口部36を通して送り込まれるとき、貯留部33内の流体と治療薬38を出口管50、出口ポート62を通して、標的部位に向かって送り込むことができる。或いは、出口管50は省略することができ、治療薬38を貯留部33から出口ポート62に直接流すことができる。容器30及び出口ポート62の他の変形例は、2009年12月8日出願の米国特許出願第12/633、027号に開示されており、この開示の全体を参照により本明細書に援用する。
【0036】
キャップ60は、容器30の第1の領域31と密封して係合するための任意の適切な形態を備えることができる。一例では、治療薬38を貯留部33内に維持するために、O−リング65がキャップ60の外周の所定の位置に保持されている。さらに、キャップ60は、ハウジング22の区画25を補完的に内部領域と確実で取り外し可能な係合を可能にする1つ以上のフランジ63を備えていてもよい。例えば、容器30を回転させることにより、キャップ60のフランジ63は区画25内の所定の位置に固定していてもよい。
【0037】
入口管40及び出口管50は、1つ以上の支持部材によって容器30内の所定の位置に保持することができる。図3に示す例示では、第1の支持部材48は、入口管40及び出口管50の周りに、該入口管及び出口管それぞれの第1の端部41及び51に近接して固定されている。第1の支持部材48は、恒久的に入口管40及び出口管50の周囲に固定し且つ該管の間に所望の間隔を維持することができる。同様に、図1−3に示すように、第2の支持部材49は、入口管40及び出口管50の周りに、該入口管及び出口管それぞれの第2の端部42及び52に近接して固定されている。明らかなように、容器30内の所望の向きに入口管40及び出口管50を保持するために、より多い又はより少ない支持部材を設けることができる。一実施形態では、例えば、第2の支持部材49は省略することができ、また第1の支持部材48のみが設けられてもよく、或いは3つ以上の支持部材が使用することができる。
【0038】
装填方法では、入口管40及び出口管50を第1の支持部材48、第2の支持部材49、プラットホーム35及びU字型管37に確実に結合させることができる。図3に示すように、プラットホームが容器30の湾曲した端部領域34の段差47に置かれるまで、プラットホーム35を空の容器30の第2の領域32に向けて進めることができる。次のステップでは、図3に示すように、所望量の治療薬38を、第1の支持部材に隣接して、或いは該支持部材内に形成されたスリット57を通して装填することができる。また、特に、容器30は目盛表示39を備えてもよく、該目盛表示は、例えば貯留部33内に装填される治療薬38の量を、プラットホーム35の上部から測定しながら使用者が決定できるようにする。治療薬38が貯留部33内に装填された状態で、キャップ60は容器30の第1の領域31に固く結合することができ、次に、先に説明したように、容器30はハンドル22の区画25に固く結合される。
【0039】
圧力源68は、所望の圧力を有する流体を生成或いは供給することができる1つ以上の成分を含むことができる。一実施形態では、圧力源68は、液体や気体などの加圧流体を、含む。例えば、図2に示すように、圧力源68は、二酸化炭素、窒素、又は他の任意の適切なガスや液体などの人体と適合性がある選択されたガスや液体の加圧流体カートリッジとすることができる。加圧流体カートリッジは、例えばカートリッジの内部に約12.4メガパスカル(1,800psi)の、比較的高圧の所定圧力の気体や液体を収納することができる。圧力源68は、選択的に1つ以上の市販のものとすることができる。従って、圧力源68は、元の圧力で液体又は気体を供給することができる交換品とすることができる。
【0040】
図2に示すように、圧力放出口72を有する調整弁70などの圧力調整器を通して、圧力源68から流体を流すことができ、該圧力調整器は、より低い第2の所定圧力まで圧力を減少させることができる。単に一例として、第2の所定圧力は、約207キロパシカル(30psi)から約552キロパスカル(80psi)までの範囲であってもよいが、任意の適切な圧力を以下に説明する目的のために供給することができる。
【0041】
アクチュエータ26は、圧力源68から流体を放出するために作動させることができる。例えば、図2に示すように、使用者は、アクチュエータ26とハウジング22の間のねじ係合部29によって直線運動に変換するアクチュエータ26を回転させることができる。圧力源68を直線的に前進させるとき、調整弁70は、高圧流体を解放するために圧力カートリッジのシールを穿通することができる。調整弁70が圧力を減少させた後、流体を圧力放出口72からチューブ75を通して作動弁80に流すことができる。
【0042】
作動弁80は、入口ポート81と出口ポート82を備えている。押し下げ式ボタンの形態であってもよいアクチュエータ28は、流体が入口ポート81から出口ポート82まで選択的に通過できるようにする作動弁80を選択的に係合することができる。例えば、アクチュエータ28が作動弁80に係合するとき、作動弁80は、その中に形成された流体が出口ポート82に向けて流れることを可能にする穴を有するピストンを含んでもよい。前述のように、出口ポート82を流れる流体は、チューブ85を通ってキャップ60の入口ポート61に、続いて、容器30に送り込まれる。任意の適切なカップリング機構が、チューブの様々な部分を様々な弁とポートに固定するために用いてもよいことが理解されるであろう。
【0043】
さらにシステム20は、治療薬38を標的部位へ送達するための1つ以上のチューブ部材を備えることができる。例えば、チューブ部材は、出口ポート62と流体連通して配置することができる近位端を有するカテーテル90を備えることができる。カテーテル90はさらに、治療薬38の標的部位への送達を容易にすることができる遠位端を備えている。カテーテル90は、1つ以上の半硬質ポリマーから形成することができる柔軟性のある管状部材を備えることができる。例えば、カテーテルはポリウレタン、ポリエチレン、テトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ナイロン、PEBAXなどから製造されてもよい。適切なチューブ部材のさらなる詳細は、2009年5月5日出願の米国特許第12/435,574号(「第574出願」)に記載されており、この開示の全体を参照により本明細書に援用する。本第574出願でさらに説明するように、組織の穿通に適した針を、経管腔的処置を行うために患者の組織の一部分又は管腔の壁を穿通するように構成された、カテーテル90の鋭い、遠位の領域を形成する遠位端に連結してもよい。
【0044】
操作時、カテーテル90の遠位端は、標的部位に比較的近接して配置することができる。カテーテル90は、切開手術、腹腔鏡手術、管腔内手術を使用して、口、結腸を通す消化器病学的手術を使用して、或いは任意の他の適切な手術を使用して、標的部位まで進めることができる。カテーテル90は、カテーテル90の遠位端の配置を容易にするために、放射線透視又は他のイメージング技術のもとで可視化するように構成された1つ以上のマーカーを備えていてもよい。必要に応じて、カテーテル90を内視鏡の作業ルーメンを通して進めることができる。
【0045】
カテーテル90が所望の標的部位に配置されているとき、圧力源68はアクチュエータ26との係合により作動することができる。上述したように、加圧流体は、圧力源68から調整弁70を通って流れ、所望の圧力と速度にされることができる。次に、流体は、チューブ75を通って流れ、アクチュエータ28が選択的に押されたとき、流体は、弁80及びチューブ85を通って容器30に向かって流れる。さらに、流体は、入口ポート62、容器30内の入口管40、及びU字型管37を通って送り込まれる。この時点で、U字型管は流体の流れの方向を効果的に変更する。次に、調節された流体は、プラットホーム35内の開口部36を通って流れ、治療薬38を出口管50に押し進める。次に、流体と治療薬38は、出口管50の第1の端部51、キャップ60の出口ポート62、及びカテーテル90を通って抜け出て、治療薬38を所望の圧力で標的部位に送達する。
【0046】
場合により、所望の時間間隔で容器30の中及び/又は外への流体の流れ、例えば秒毎の所定量の流体の流れを可変的に可能にするために、制御機構がシステム20に結合されてもよい。この様にして、所定の間隔又は他の周期的基準で治療薬38を標的部位へ周期的に送達するために、加圧流体は容器30の中又は外に周期的に流れてもよい。
【0047】
システム20は、広範囲に及ぶ処置において治療薬38を送達するために使用されてもよく、また治療薬38はカテーテル90の遠位端から放出される際に、所望の機能を果たすたように選択されてもよい。単に一例として、治療薬38の供与は、止血を行うこと、穿孔を閉じること、砕石術を行うこと、腫瘍やがんを治療すること、腎臓透析の瘻孔狭窄の治療、血管移植片の狭窄などのために用いることができるが、これらに限定されるものではない。治療薬38は、冠動脈形成術、腎動脈形成術及び頸動脈手術などの処置中に送達したり、或いは他の様々な心臓血管、呼吸器管、消化器管又は他の病態を治療するために一般的に使用したりすることができる。また、上述のシステムは、経膣、臍、鼻、及び気管支/肺に関連する応用に使用されてもよい。
【0048】
例えば、止血の目的で使用する場合は、トロンビン、エピネフリン、又は組織硬化性因子(sclerosant)が局所的な出血を減らすために供給することができる。同様に、穿孔を閉じるために使用される場合は、繊維素、封止材が局所的な病変に供給されてもよい。治療薬38の止血特性に加えて、比較的高い圧力の流体及び治療薬は、圧縮力をもたらすことにより、それ自体で、自動的に止血栓挿入法(tamponade)の役割を果たしており、それによって止血を達成するのに必要な時間を短縮できることに留意すべきである。
【0049】
1つ以上の所望の生物学的機能、例えば、体内血管の内壁から組織の内部成長を促進したり、或いは再狭窄などの血管壁の望ましくない病態を軽減又は防止したりする機能を実行するように、治療薬38が選択されてもよい。多くの他の種類の治療薬38が、システム20と組み合わせて使用することができる。
【0050】
治療薬38は、任意の適切な形態で送達することができる。例えば、治療薬38は、粉末、液体、ジェル、エアゾール、又は他の物質を含んでもよい。有利には、圧力源68は、これらの形態のいずれかの1つで治療薬38の送達を容易にすることができる。
【0051】
また、使用される治療薬38は、抗血栓生物活性剤、例えば、体内血管内に血栓形成を阻害又は防止するいかなる生物活性剤を含んでもよい。抗血栓生物活性剤の種類は抗凝血剤、抗血小板薬、及び線維素溶解薬がある。抗凝血剤は、生化学的カスケードの任意の因子、共同因子、活性化因子、又は活性化共同因子に作用し、繊維素の合成を阻止する生物活性物質である。抗血小板生物活性剤は、血栓の主要要素であり血栓症において重要な役割を果たしている血小板の接着、活性化、及び凝集を阻止する。線維素溶解活性剤は、線維素溶解カスケードを強化し、或いは血栓の溶解に役立つ。抗血栓剤の例としては、トロンビン、第Xa因子、第VIIa因子、及び組織因子阻害剤などの抗凝血剤、糖タンパク質 IIb/IIIa、トロンボキサンA2、ADP誘発性糖タンパク質IIb/IIIa、及びホスホジエステラーゼ阻害剤などの抗血小板薬、並びにプラスミノーゲンアクチベータ、トロンビン活性化可能繊維素溶解インヒビタ(TAFI)阻害剤、及び繊維素を切断する他の酵素などの繊維素溶解剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
さらに或いは代わりに、治療薬38は、体内血管の血流に悪影響を及ぼす可能性がある血栓を溶解するために使用される血栓溶解剤が含まれてもよい。血栓溶解剤は、フィブリン繊維の直接溶解、又は溶解するための自然のメカニズムの活性化のうちのどちらかを行う任意の治療薬である。商用血栓溶解剤の例としては、括弧内の対応する活性剤と共に、アボキナーゼ(ウロキナーゼ)、アボキナーゼ・オープン−キャス(Abbokinase Open-Cath)(ウロキナーゼ)、アクティベーゼ(Activase)(アルテプラーゼ、遺伝子組換え)、エミナーゼ(Eminase)(アンティストレプラセ(anitstreplase))、レタベーセ(Retavase)(レテプラーゼ、遺伝子組換え)、及びストレプターゼ(Streptase)(ストレプトキナーゼ)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。その他の一般的に使用されている名前には、血栓溶解薬アニストレプラーゼ(anisoylated plasminogen-streptokinaseactivator complex)、即ちAPSACと、組織型プラスミノーゲン活性化因子(遺伝子組換え)、即ちt−PA、rt−PAが挙げられる。
【0053】
一例では、治療薬38は、メリーランド州ベセスダのトラウマキュア(TraumaCure)社製止血パウダー(hemostasis powder)を含んでいる。しかしながら、幾つかの典型的な治療薬38を説明してきたが、多数の他の適切な治療薬をシステム20と共に使用し、カテーテル90を通して送達することができることが明らかであろう。
【0054】
有利には、システム20は、調整された所望の圧力で、所望量の治療薬38の局所的供給を可能にしている。カテーテル90の遠位端を標的部位に比較的近接して配置することができるで、システム20は、経口的に又は経動脈的システムを通して送達された治療薬に比べて大きな利点を提供し、また治療薬38の健全な組織への蓄積を減らすことができ、それによって副作用を軽減している。さらに、治療薬38の標的部位への送達は、流体の比較的高い圧力によって比較的速い方法で行われ、それによって、以前のデバイスと比較して迅速な標的部位への送達を提供している。
【0055】
さらに、第574出願で説明したように、任意の針がカテーテル90の遠位端に用いられる場合、標的部位における或いはその近傍の組織を両方とも穿孔するのにシステム20を有利に使用することができ、その後、前述の方法で所望の圧力で治療薬38を送達する。例えば、該針としては超音波内視鏡検査(EUS)針を挙げることができる。従って、1つの典型的な技法では、針の尖った先端が臓器或いは胃腸の壁又は組織を貫いて穿刺することができるので、他の方法ではアクセスするのが困難な身体の様々な場所に所定の圧力で治療薬38を送達することができる。特に、カテーテル90の遠位端が任意の針を備える場合には、カテーテル90を標的部位に送達するために、内視鏡又はシースなどの1つ以上の送達手段を用いることができる。
【0056】
ここで図4−5を参照すると、別のシステム20’及び20''は、以下に述べられる主な例外を除いて、図1−3のシステム20に類似している。図4では、別のシステム20’は、入口管40’の第2の端部42’に、入口管40’の第1の端部41に対して実質的に反対の方向に流体の流れを誘導させるJ字型の湾曲部93を有する入口管40’を備えている。概ね上記で説明したように、使用時には、圧力源68からの流体が、入口管40’の第1の端部41とJ字型の湾曲部93を流れて第2の端部42’を出ており、その結果、カテーテル90を通して標的部位に送達するために、(図4に示されていない)治療薬38を出口管50に送り込む。この実施形態では、プラットホーム35は省略されてもよく、治療薬38は貯留部33の下部領域に留まる可能性がある。目盛表示39’は、貯留部33の下部領域からの治療薬38の量を測定することができる。
【0057】
図4並びに図1−3の実施形態では、フィルタが出口管50の第2の端部52を被っていてもよい。該フィルタは、治療薬38の比較的小さな粒子だけが出口管50内に入ることができるようにする大きさとされ、それによって目詰まりのリスクを低減することができる。比較的大きな粒子が貯留部33に存在するようになる場合、圧力源68から容器に流入する流体は、該粒子がフィルタを通って出口管50を通過するのに十分小さくなるまで、より大きな粒子を細分化することができる。
【0058】
図5では、別のシステム20''は、フローアセンブリ95に流体を導く湾曲部94を有する入口管40''を備えている。フローアセンブリ95は、入口管40の第2の端部42''と流体連通するために構成された少なくとも1つの穴を有する入口部96を備えている。フローアセンブリ95は、出口管50の第2の端部52に連結され且つ流体連通している出口部98をさらに備えている。少なくとも1つの開口部97は、入口部96と出口部98の間のフローアセンブリ95の外側面に形成されており、該開口部97は、そこを通しての治療薬38の吸引を可能にする大きさとされている。概ね示したように、開口部97は、スリット又は円形の穴或いは他の形状を有することができる。使用時には、圧力源68からの流体は、入口管40''の第1の端部41、湾曲部94及び第2の端部42''を通り、さらに入口部96を通ってフローアセンブリ95の中に流れる。それによって、該流体は、貯留層33内の治療薬38を、カテーテル90を通して標的部位に送達するために、開口部97を通して出口管50に送り込む。
【0059】
特に、圧力源68からの流体が入口部96から出口部98まで通過する際に、流体力学のベルヌーイの法則に従い、局所的な低圧部が開口部97の近傍に形成される。フローアセンブリ95を通過する加圧流体の存在によって形成される低圧部は、該加圧流体が開口部97付近を通過するときに、強力な吸引力を形成する。その結果、治療薬38を貯留部33から開口部97、出口部98及び出口管50を通して吸引することができる。特に、スリット又は他の開口部は、治療薬38の比較的小さな粒子だけが出口管50の中に入ることができるようにする大きさとされ、それによって目詰まりのリスクを低減することができる。
【0060】
ここで図6−8を参照して、別の実施形態に係るシステム120を説明する。システム120は、ハウジング122を備えており、以下に説明する構成部品を固く保持、係合、及び/又はカバーするのに適している。使用者は、使用中に、直立支持部125及び/又は容器130の外面を把握することにより、システム120を保持することができる。前述のアクチュエータ26及び28に類似しているアクチュエータ126及び128は、使用者が使用して、以下で説明する機能を実行するように作動させることができる。
【0061】
容器130は(説明の目的として図6−8には示していない)前述の治療薬38を保持するための任意の適切なサイズ及び形状を備えることができる。容器130は、第1の領域131及び第2の領域132を有している。上部キャップ160が第1の領域131と固く係合し、さらに下部キャップ165が第2の領域132と固く係合することができており、それによって貯留部133内に治療薬38を保持している。目盛表示139が、貯留部133内の治療薬38の量を測定するために設けられている。
【0062】
本実施形態では、第1及び第2の端部151及び152を有する出口管150は容器130内に配置されている。図6−8に示すように、出口管150の第2の端部152は、下部キャップ165の上面168の上部の所定の距離で終端している。さらに、図6−8に示すように、出口管150の第2の端部152は、下部キャップ165の上面168にある開口部166と整列させることができる。
【0063】
システム120はさらに、第1及び第2の端部178及び179を有する少なくとも一つのリンク機構177を備えている。リンク機構177の第1の端部178はアクチュエータ128に連結され、さらにリンク機構177の第2の端部179は弁80に連結されている。従って、アクチュエータ128が押されたとき、弁80は選択的に作動することができる。図8に最も分かり易く示すように、容器130は、リンク機構177を収容するための溝137を備えていてもよい。上部及び下部のキャップ160及び165はまた、リンク機構177を収容するために、対応する溝162及び167を、それぞれ備えていてもよい。アクチュエータ128で所望の運動を与えて弁80を選択的に作動させるために、必要に応じて、任意の数のリンク機構を用いてもよいし、ハウジング122内での該リンク機構の位置決めを変更してもよいことが明らかであろう。
【0064】
選択的に、方向デバイス193は容器130の垂直位置を示すために使用してもよい。方向デバイス193は、ハウジング122と一体的に形成、又はハウジング122の外側表面に連結することができる。方向デバイス193は、容器130の垂直方向の表示を可能にする閉じ込められた液体、ボール、矢又は他の部材、或いは電子式表示を備えることができる。従って、システム120が使用者の手に把持されるときに、使用者は、治療薬38の流れ及び他の機能を強めることができる垂直方向に容器130が向いているかどうかを判断することができる。特に、図6−7に示す方向デバイス193は、図1−5及び図8−9の実施形態においても使用することができる。
【0065】
システム120の動作は、前述のシステム20の動作に似ている。カテーテル90を所望の位置に配置した後、アクチュエータ126を係合することにより、圧力源68を作動させることができる。前述したように、加圧流体を、調整弁70を通して流し、所望の圧力及び速度に至らせることができる。次に、流体は、チューブ75を通って流れ、アクチュエータ28が選択的に作動されるとき、流体が容器130に向かって弁80及びチューブ85を通って流れる。次に、調節された流体は、下部キャップ165内の開口部166を通って貯留部133内に流れ、治療薬38を第2の端部152から第1の端部151に向かう方向に出口管150を通して押し進める。該流体及び治療薬38は、その後、出口管150の第1の端部151及び上部キャップ160の開口部161を通り、さらに開口部161と流体連通しているカテーテル90を通って出ていく。従って、治療薬38は、所望の時間間隔及び圧力で標的部位に送達される。
【0066】
ここで図9−10を参照して、さらに別の実施形態に係るシステム220を説明する。システム220はハウジング222を備えており、該ハウジングは以下に説明する構成部品を固く保持、係合及び/又はカバーするのに適している。使用者は、概ね直立の支持部225を把握することによって、使用中にシステム220を保持することができる。前述のアクチュエータ26及び28に類似しているアクチュエータ226及び228は、使用者が係合し、以下で説明する機能を実行するために作動させることができる。
【0067】
この実施形態では、別の容器230が、前述の治療薬38を保持するための(説明の目的として図9−10には示していない)貯留部233を備えていてもよい。容器230は、第1の領域231及び第2の領域232を有している。目盛表示239が、貯留部233内の治療薬38の量を測定するために設けられている。
【0068】
この実施形態では、容器230の第2の領域232は、下部キャップ234に固く連結されている。下部キャップ234は入口ポート243を備えており、下部キャップ234の上面235に形成された開口部236と流体連通している。図9に示すように、柔軟性のあるU字型管237が、入口ポート243及び開口部236との間に流体連通を可能にするために連結されていてもよい。
【0069】
システム220はさらに、第1及び第2の端部278及び279を有する少なくとも1つのリンク機構277を備えている。リンク機構277の第1の端部278はアクチュエータ228に連結されており、さらにリンク機構277の第2の端部279はハウジング222の内部部品の周りで枢動可能であってもよい。例えば、図9に示すように、第2の端部279は穴を備えていてもよく、該穴はハウジング222内に伸びる突起(図示せず)の周りに拘束することができ、それによって、第2の端部279を突起の周りに枢動できるようにしている。従って、アクチュエータ228が押されたときに、選択的に弁を作動させ、該弁を通って流れることができるように、リンク機構277の中央領域が弁80と係合してもよい。明らかなように、必要に応じて、任意の数のリンク機構を使用することができ、さらに、選択的に弁80を作動させるためにアクチュエータ228で所望の動作を与えるように、ハウジング222内で該リンク機構の位置を変化させることができる。
【0070】
システム220の動作は、前述のシステム20の動作に似ている。カテーテル90を所望の位置に配置した後、アクチュエータ226を係合することにより、圧力源68を作動させることができる。前述したように、加圧流体を、調整弁70を通して流し、所望の圧力及び速度に至らせることができる。次に、流体は、チューブ75を通って流れ、アクチュエータ228が選択的に作動されるとき、流体が弁80及びチューブ85を通って流れる。次に、流体は、入口ポート243、下部キャップ234内に配置されたU字型管、及び開口部236を通って、貯留部233に流れる。次に、貯留部233に流入する流体は、治療薬38を容器230の第1の領域231にある出口ポート261を通して押し出す。第1の領域231は、開口部261を通して流体と治療薬38を送り込むために、湾曲又は縮径部249を備えていてもよい。その後、流体及び治療薬38を、開口部261と流体連通しているカテーテル90を通して流し、それにより、治療薬38を所望の圧力で標的部位に送達する。
【0071】
別の実施形態では、前述したように、図1−5及び図6−8の出口管50及び150はそれぞれ省略することができる。このため、貯留部33及び133に流入する流体は、治療薬38をキャップ60及び160の出口ポートを通す方向に押し出すことができる。縮径部又は湾曲部が、治療薬38を容器30及び130の外へ誘導するために設けられてもよい。
【0072】
別の実施形態の図11を参照すると、出口管350は、ハウジング322の遠位端に形成された出口ポート362に連結されている第1の端部351を有している。出口ポート362は近位及び遠位の領域363及び364を備えており、それにより、近位領域363は出口管350の第1の端部351と固く係合するように構成され、遠位領域364は、図1−2のカテーテル90に連結されるように構成されている。ルアー型連結が設けられてもよい。有利なことには、ハウジングの遠位端付近に出口管350を配置し、さらにルアー型連結によって使用者に見えるようにすることによって、例えば、カテーテル90が閉塞することになった場合には、手術中に医師はカテーテル90を簡単に交換することができる。
【0073】
さらに、図11は容器330のハウジング322への別の連結を示している。容器330は前述の容器30に類似しているが、図11の実施形態では、容器330のキャップは中に配置されたO−リング365を有するフランジ部363を備えており、フランジ部363はハウジング322の上部及び下部の内部ストッパ388及び389の間に固定されるように構成されている。このように、キャップのフランジ部363を移動することができない定位置に保持することができ、それによって容器330をハンドル322に恒久的に固定し、容器330を再利用できないようにしている。特に、図11のキャップの図示されていない入口ポート61などの他の機構は、図3のキャップ60と類似の様式で設けることができる。
【0074】
図12に関し、概ね図1−2のアクチュエータ26に似ている別のアクチュエータ426を提供しているが、主な相違は、下部ハンドル部分427及びハウジング422内を垂直方向に延在し、さらに調整弁470の一部を超えて上方へ延在している概ね直立の部分428を設けていることである。概ね直立の部分428の上部領域は、ねじ部429を備えており、該ねじ部は調整弁470の外側表面のねじ部と係合するように構成されている。
【0075】
使用時には、使用者がアクチュエータ426の下部ハンドル部分427を回転させることができ、それにより、ねじ係合部429によって調整弁470に対して直線運動に変換している。該直線運動がチャンバー内の圧力源468に伝えられるとき、調整弁470は高圧の流体を放出するために圧力カートリッジのシールを貫通して穴を開けることができる。調整弁470が圧力を下げた後、前述の図2で説明した方法で、流体は圧力放出口72からチューブ75を通って作動弁80へ流れることができる。場合により、アクチュエータ426が外れないように安全な出っ張り又は障害をハウジング422に設けてもよく、そうしなければ、圧力カートリッジが該装置から押し出される可能性がある。
【0076】
本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明は、付随の特許請求の範囲及びそれらの等価物に照らして見た場合を除き、限定されない。更に、ここに記載されている利点は必ずしも本発明の唯一の利点というわけではなく、また必ずしも本発明のあらゆる実施形態が記載されている利点の全てを実現できるものと期待されているわけではない。
【符号の説明】
【0077】
20、120、220 システム
20’、20'' 別のシステム
22、122、222、322、422 ハウジング
24、428 直立部分
25 区画
26、28、126、128、226、228、426 アクチュエータ
29、429 ねじ係合部
30、130、230、330 容器
31、131、231 第1の領域
32、132、232 第2の領域
33、133、233 貯留部
34 湾曲した端部領域
35 プラットホーム
36、97、166、236 開口部
37、237 U字型管
38 治療薬
39、39’、139、239 目盛表示
40、40’、40'' 入口管
41、45、51、151、178、278、351 第1の端部
42、42’、42''、52、152、179、279 第2の端部
43、53 ルーメン
44 アダプタ
47 段差
48 第1の支持部材
49 第2の支持部材
50、150、350 出口管
57 スリット
60、160 キャップ
61、81、243 入口ポート
62、82、362 出口ポート
65、365 O−リング
68、468 圧力源
70、470 調整弁
72 圧力放出口
75、85 チューブ
80 作動弁
90 カテーテル
93、94 湾曲部
95 フローアセンブリ
96 入口部
98 出口部
125、225 直立支持部
160 上部キャップ
165、234 下部キャップ
168、235 上面
177、277 リンク機構
193 方向デバイス
249 湾曲又は縮径部
363 近位領域、フランジ部
364 遠位領域
388 上部の内部ストッパ
389 下部の内部ストッパ
427 下部ハンドル部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療薬を標的部位に送達するシステムであって、
第1及び第2の領域並びに前記治療薬を収容する貯留部を有する、前記治療薬を貯留するための容器と、
加圧流体を有し、前記容器の前記貯留部の少なくとも一部分と選択的に流体連通している圧力源と
を備え、
前記圧力源からの流体が、前記容器の前記第1の領域を通って前記容器の前記第2の領域の方向に送り込まれ、
少なくとも部分的に流れの向きを変えられ、前記治療薬を前記第2の領域から前記容器の前記第1の領域の方向に向け、続いて、前記標的部位の方向に押し出すようにする、治療薬を標的部位に送達するシステム。
【請求項2】
使用の際、前記容器の前記第1の領域が、前記容器の前記第2の領域の垂直方向上方に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記容器の前記第1の領域に固定された、入口ポートと出口ポートを有するキャップを備え、前記圧力源からの前記流体が、前記キャップの前記入口ポートを通して送り込まれ、流れの向きを変えられて、前記治療薬を前記キャップの前記出口ポートを通して押し出すようにされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記容器内に配置された入口管であって、前記容器の前記第1の領域の近くに配置された第1の端部、及び前記容器の前記第2の領域の近くに配置された第2の端部を有する入口管を備え、前記圧力源からの前記流体は、前記入口管を通って前記第1の領域から前記第2の領域の方向に流れて、前記容器の前記貯留部の中に流入するようにされた、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記入口管の第2の端部が、流体の流れを前記容器の前記第2の領域から前記容器の前記第1の領域に向かう方向に変えるための、少なくとも90度の湾曲部を備えている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記入口管の前記第2の端部に連結されたU字型管をさらに備え、前記U字型管が、流体の流れを前記容器の前記第2の領域から前記容器の前記第1の領域に向かう方向に変えるように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記容器内に配置された、第1及び第2の端部を有する出口管をさらに備え、前記入口管の前記第2の端部を流出する流体が、前記治療薬を前記出口管の前記第2の端部の中に、及び前記出口管の前記第1の端部に向かって押し進める、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記出口管の前記第2の端部が前記入口管の前記第2の端部から離れて配置されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
入口部、出口部及びそれらの間に配置された少なくとも1つの開口部を有するフローアセンブリをさらに備え、前記フローアセンブリの前記入口部が、前記入口管の前記第2の端部に連結されており、前記フローアセンブリの前記出口部が、前記出口管の前記第2の端部に連結され、さらに前記フローアセンブリの入口部と出口部の間を流体が通過するときに、前記少なくとも1つの開口部が、前記治療薬を受け入れる大きさとされている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記容器内に配置された、前記容器の内面と実質的に液密シールを形成しているプラットホームをさらに備え、前記治療薬が前記プラットホームの上に保持されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記容器内に配置された、第1及び第2末端を有する入口管であって、前記圧力源からの前記流体が前記入口管及び前記プラットホームの第1の開口部を通って第1の方向に向けられている入口管をさらに備え、
前記流体が第2の方向に流れるように、前記プラットホームの第2の開口部を通って前記容器の前記貯留部の中に流れの向きを変えられている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記容器内に配置された、第1及び第2の端部を有する出口管をさらに備え、前記プラットホームの前記第2の開口部を流出する流体が、前記治療薬を前記出口管の前記第2の端部の中に、及び前記出口管の前記第1の端部に向かって押し進める、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記圧力源と前記容器の間に配置された圧力調整弁をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記治療薬が粉末を含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
標的部位に少なくとも1つの治療薬を送達するのに適した方法であって、
第1及び第2の領域を有し、治療薬を貯留する容器を提供するステップと、
流体を前記容器の前記第1の領域を通って前記容器の前記第2の領域に向う方向に選択的に送り込むステップと、
前記治療薬を前記容器の前記第2の領域から前記容器の前記第1の領域に向け、次に前記標的部位の方向に押し進めるために、前記流体を前記第2の領域から前記第1の領域に向けて流れの向きを変えるステップと、
を含んでいる方法。
【請求項16】
前記流体を、前記圧力源から前記容器の前記第1の領域に固定されたキャップの入口ポートを通して送り込むステップと、
前記治療薬を、前記キャップの出口ポートを通して押し出すために、前記流体の流れの向きを変えるステップと、
をさらに含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記容器内に配置された入口管であって、前記容器の前記第1の領域の近くに配置された第1の端部、及び前記容器の前記第2の領域の近くに配置された第2の端部を有する入口管を提供するステップをさらに含み、前記圧力源からの前記流体が、前記入口管を通って前記容器の貯留部の中に流入するようにする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
標的部位に少なくとも1つの治療薬を送達するのに適したシステムであって、
治療薬を貯留するのに適した容器であって、第1及び第2の領域を有する容器と、
前記容器の貯留部の少なくとも一部分と選択的に流体連通するようにされた圧力源と、
前記容器及び前記圧力源を固定位置に保持するように構成され、使用者の手に把持されるようになされているハウジングと、
前記ハウジングに連結され、前記圧力源からの加圧流体を放出するように構成された第1のアクチュエータと、
前記ハウジングに連結され、流体を前記容器の少なくとも一部分を通して選択的に流すように構成された第2のアクチュエータと、
を備えているシステム。
【請求項19】
使用者の手に把持されるときに、前記容器の垂直の向きを示す方向デバイスをさらに備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記圧力源からの流体が、前記容器の前記第2の領域、前記貯留部の少なくとも一部分、及び前記容器の第1の領域を通って送り込まれる、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1及び第2のアクチュエータが、前記ハウジングの前記ハンドルの一部分に両方とも設けられている、請求項20に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−527974(P2012−527974A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513251(P2012−513251)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/036381
【国際公開番号】WO2010/138703
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】