治療薬剤の送達のためのカテーテルベース医療デバイスおよび方法
本発明は、治療薬剤の送達のために、順方向で標的部位に移動することが可能な本体と、本体から離れた選択的移動のためのその中心軸に沿って、本体に対する移動のために載置される、少なくとも1つの針とを備える、治療薬剤の送達のための医療デバイスを提供する。楔を備える可動中心コアは、針に接触して中心軸から離れて針端部を配備し、治療薬剤を送達するための標的部位に係合するよう、カテーテル本体とは反対方向に移動するように適合される。本発明のデバイスは、主に、罹患動脈壁に治療薬剤/成分を局所的に送達するように設計される。本発明の主な利点のうちの1つは、バルーンを必要とせず、送達針を前進および後退させて局所的に治療薬剤/成分を送達する、新規方法を提供することである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の分野)
本発明は、体腔、例えば、動脈壁への治療薬剤の局所送達用のカテーテルベースの医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
種々の病状は、治療薬剤の局所投与によって、より有効に治療することができることは、一般的に既知である。動脈壁の生態の近年の研究により、種々の薬剤の局所投与で有効に治療することができる内膜における、種々の局所的病変の性質が明らかになった。これらの例は、不安定プラーク(完全閉塞へ急速に進化し、依存組織の壊死がもたらされる確率の高い、アテローム性動脈硬化症の病変)、および再狭窄病変(血管壁への血管形成の介入によって生じ、治療した血管の反復性閉塞を引き起こす外傷に対する、線維細胞増殖反応)を含む。
【0003】
循環の局限可能な部分における活性的生理学的プロセスは、全身投与経路よりも有効な活性治療薬剤の局所投与によって、罹患領域に直接対処できる可能性がある。血管形成のために、バルーンを配備するか、またはステントを配備するプロセスは、血管壁の損傷をもたらす。この手段は、損傷が血管の再狭窄をもたらす可能性のある新生内膜組織形成を引き起こすため、問題である。
【0004】
下肢の末梢動脈疾患(PAD)は、下肢への深刻な血流欠乏をもたらす可能性があり、一部の場合では、下肢の切断が必要とされ得る。PADは、その形成において、冠動脈疾患に非常に類似するが、疾患の治療は、著しく異なる。冠動脈では、薬物溶出ステントが移植され、最良の臨床結果を有する。しかしながら、心臓は、組み込まれた内蔵であり、いかなる外部の機械的荷重から十分に保護される一方、PADは、通常、表面付近で生じ、罹患動脈は、外部力からのそのような保護を受けない。ステンレス鋼またはコバルトクロムステントは、外部荷重に接触する場合に、恒久的に変形し、血管内の実質的な梗塞を引き起こすため、PADを治療するために使用し得ない。末梢の罹患血管壁への治療薬剤の送達は、生物学的問題に対して、恒久的機械的解決(ステント留置)ではなく、むしろ一時的な機械的解決(バルーン血管形成)および恒久的生物学的解決(恐らく、遺伝子治療)を提供するため、ステント留置に好適であり得る。
【0005】
動静脈(AV)瘻は、動脈を血管と直接連通させて形成され、しばしば、末期の腎疾患の血液透析患者のためのアクセスポートとして形成される。瘻は、通常、上肢または下肢内に形成される。これらのAV瘻の狭窄は、非常に一般的であり、それらを除去するための手術が必要であり、しばしば、良好な結果は得られない。また、経皮的介入は、狭窄を除去するためにも使用されるが、それらは、通常、極めて線維性であり、治療が困難である。高い破裂圧力(20気圧を上回る)を有する血管形成バルーンおよびカッティングバルーンも使用されるが、再狭窄率は、依然として非常に高い。したがって、再狭窄率を低下させるためのデバイスまたは方法を提供する必要性がある。
【0006】
他のカテーテル送達システムは、薬物および他の治療薬剤を送達するために、注入技術を使用する。注入技術は、針に基づく送達システムに劣ることが証明されている(非特許文献1)。これらの技術は、薬剤が血管壁内を通過する拡散プロセスによって、閉塞バルーンの使用を介して動脈を閉塞するステップと、それらを薬剤の溶液に露出させるステップとを伴うことができる。必要とされる数量と比較して、より多くの量の薬物が必要とされ得る。局所送達のための現在の注入技術または治療薬剤の直接注射は、約0.1%〜1%の効率を有する(非特許文献2)。この数字は、非常に低いが、全身送達と比較して、100倍の増加を表す。これにより、治療薬剤の局所投与のための、より効果的で、正確な針に基づく低プロファイルカテーテルの必要性が明らかに特定された。
【0007】
遺伝子治療および幹細胞治療は、比較的新しい研究領域であり、初期結果が非常に有望である。新薬、幹細胞、および遺伝子治療化合物の絶え間ない開発には、新治療がヒトにおける使用に安全であるとみなされるまで必要とされる、何回もの動物試験とともに、十分なインビボ試験が必要とされる。標的領域に、これらの治療薬剤を有効に送達するためのデバイスを提供する必要性がある。また、脳内の不完全組織の再生を試みるために、幹細胞の使用において実施される多大な研究がある。既に、脳の領域に到達し、治療薬剤を送達することができるデバイスの研究の動向がある。かん流ガイドワイヤおよびガイドカテーテルを使用する、eV3等の企業の製品にみられる。脳血管疾患における将来の治療方向は、非常に低プロファイルのデバイスを使用する局所的送達治療の方向に向かっているように思える。
【0008】
薬物溶出ステントは、ステント内再狭窄を有意に減少させたが、一定レベルのステント縁再狭窄は、依然として存在する。Alfonsoらは、ステント縁再狭窄の研究を実施し、問題が特有の患者サブグループで認められたと決定した(非特許文献3)。この研究により、そのような状態の最適な治療は、従来のバルーン血管形成とは対照的に、反復的ステント移植を実施することであると結論付けられた。しかしながら、これらの種類のステントの問題は、バルーンによって生じる損傷が、バルーンが膨張すると動脈壁にもたらされることである。針に基づく送達カテーテルは、ステント近位部および遠位部の動脈壁に抗増殖薬を注入しながら、この損傷を排除することができる。
【0009】
治療薬剤の局所投与のための針に基づくカテーテルデバイスは、例えば、特許文献1に開示されるとおり、既知である。Wijayらの特許文献2は、注入ヘッド内に含まれる複数の針を備える薬物送達デバイスを開示する。図2に示すとおり、デバイスが標的部位に到達するために移動した方向に、カムによって力を印加し、針を標的部位への治療製品の送達のために、血管壁の外側に促すことができる。このデバイスの問題は、針の移動を制御し、送達後に針を後退させることが困難なことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,419,777号明細書
【特許文献2】米国特許第6,997,903号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Gonshior et al,American Heart Journal,Volume 130,Number 6,December 1995
【非特許文献2】Bailey et al, Current Interventional Cardiology Reports 2000,No.2,p349−357
【非特許文献3】ACC Current Journal Review,Volume 14,Issue2,February 2005,Page 47
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これまで、針に基づく治療薬剤の局所送達に関する上述の問題を克服するための満足のいく解決法は、提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(本発明の概要)
本発明に従い、付属の請求項に記載されるとおり、治療薬剤を送達するために、順方向で標的部位に移動することが可能な本体と、本体から離れた選択的移動のためのその中心軸に沿って、本体に対する移動のために載置される、少なくとも1つの針と、針に接触して中心軸から離れて針端部を配備し、治療薬剤の送達のための標的部位に係合するよう、本体とは反対方向に移動するように適合される楔を備える、可動中心コアとを備える、治療薬剤の送達のための医療デバイスを提供する。
【0014】
主に、本発明のデバイスは、罹患動脈壁に治療薬剤/成分を局所的に送達するように設計される。本発明の主な利点は、バルーンを必要とせず、送達針を前進および後退させて、化合物を局所的に送達する新規方法を提供することである。バルーンの欠如のため、本デバイスでは、最小限の血管壁の接触が行われ、行われた接触は、動脈壁への全体の損傷を減少させ、再狭窄のリスクを低下させる、針または複数の針の先端に非常に限局される。バルーンの欠如により、デバイスの低クロッシングプロファイルが可能になり、それは、デバイスが循環系内の種々の蛇行位置に送達することができるため、大きな利点である。また、楔がカテーテルの前方移動に対して後方に移動するということにより、針を配備させる上でより優れたレベルの制御が提供される。
【0015】
デバイスの低プロファイルの特質により、現在の介入手順が劣る結果を呈する位置で治療を実施することが可能になる。膝下領域および特に下肢は、本発明のデバイスからの局所薬物送達が有効であり得る。
【0016】
本発明は、体腔、すなわち、動脈または静脈への治療薬剤の局所送達の問題を解決する。そのような治療薬剤は、治療、幹細胞、および遺伝子治療製品を含むが、それらに限定されない。デバイスの基本機能は、血管内の疾患の所望部位で操作され、血管壁内に治療薬剤を的確に放出することである。デバイスは、標的部位への送達直後、および治療薬剤の送達中に、血管に最小限の損傷をもたらす。損傷は、ミクロ針の使用を介する、血管壁との局所接触によって制限される。デバイスは、現在、標準的介入手順で治療することが困難である、より小さな直径の血管に到達できるように、非常に低プロファイルである。
【0017】
理想的には、後退状態で本体の中心軸に沿って、少なくとも1つの針をしっかりと担持するための保持環を提供する。保持環は、楔の移動に対して移動し、中心軸から離れた針の配備を可能にする。保持環は、その機能が針を後退状態で保持する、または配備位置から針を後退させることができるという限り、いかなる形状でもあり得ることを理解するであろう。楔と保持環との距離は、針が配備される量を決定する。一実施形態では、楔は、外部回転力が中心軸に印加される時に、楔と保持環との距離を選択することができるように、中心軸に係合するための手段を含む。中心軸に係合するための適切な手段は、保持環のネジ部および/または可動コアと伝達するために、中心軸上にネジ部を有することである。
【0018】
針は、デバイス本体の中心軸から血管に向かって湾曲することができるような方法で位置付けられる。中心コアの楔要素は、針を平行位置から罹患血管壁内に押し込むように機能する。保持環の機能は、最初に針を隠蔽し、制御された方法でデバイス内に再び後退させることである。針の配備は、楔および保持環が取り付けられる、可動中心コアの置換を介して達成されることを理解するであろう。楔と保持環との分離距離は、配備力および針の血管壁内の貫通深度を制御する。これは、針の長さを最小限にし、それによって、より優れた柔軟度が提供される。
【0019】
適切には、針は、楔によって接触される時の針の配備に役立つように湾曲する。針は、配備される時に、針端部が中心軸に対して実質的に垂直に位置付けられるように、第2の湾曲とともに提供することができる。
【0020】
一実施形態では、楔は、実質的に、切頂円錐の形状である。適切には、楔は、楔が移動させられた時に、針に係合して針を配備するために、楔の外面上に位置付けられる湾曲面取り部を備える。さらなる実施形態では、楔は、一片の弾性変形可能材料の形態である。
【0021】
別の実施形態では、デバイスは、挿入ケージ、例えば、自己拡張ステントの近位端にごく近接する、少なくとも1つの針と、挿入ケージの遠位端にごく近接して配備されるように適合される、第2の針とを配備するように適合される。
【0022】
別の実施形態では、針先端が所望位置における治療薬剤の送達のために、標的部位を貫通することができるように、標的部位に接触して針を安定化させるように、針の端部上に位置付けられる、安定化要素を提供する。安定化要素は、最大直径が標的部位に接触して針を安定化させるように、裁頭円錐状要素として寸法設定され得る。
【0023】
別の実施形態では、第1の針にごく近接して位置付けられる第2の針を提供し、各針は、別々に流体連通しており、第1の針は、第1の治療薬剤を送達し、第2の針は、第2の治療薬剤を送達する。理想的には、第1の針は、第1の深度で第1の治療薬剤を送達するように、標的領域を貫通し、第2の針は、第2の深度で第2の治療薬剤を送達するように、標的領域を貫通する。
【0024】
適切には、針は、ニチノールまたは他の形状記憶合金から製造される。
【0025】
別の実施形態では、楔の移動を制御するための加圧流体の作用によって加圧下で移動するように適合されるプランジャを備える、可動コアを提供する。この実施形態の主な利点は、油圧制御プランジャを使用して、針を配備し、それによって、デバイスの全体のプロファイルを縮小することによって達成することができる、サイズの縮小である。
【0026】
本発明に従い、ヒトまたは動物体内の血管壁の1つ以上の標的領域を治療する治療薬剤を送達するための方法をさらに提供し、方法は、治療薬剤を送達するために、カテーテル本体を順方向で標的領域に移動させるステップと、カテーテル本体から離れた選択的移動のためのその中心軸に沿って、カテーテル本体に対する移動のために載置される、少なくとも1つの針を提供するステップと、針に接触して中心軸から離れて針端部を配備し、治療薬剤の送達のための標的部位に係合するよう、コア本体、例えば、楔を備える可動中心コアを、カテーテル本体とは反対方向に移動させるステップとを含む。適切には、方法は、後退状態で本体の中心軸に沿って、少なくとも1つの針をしっかりと担持するための保持環を提供する付加的ステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、付随の図面を参照して、ほんの一例として提供される、その実施形態の以下の説明からより明確に理解されるであろう。
【図1】図1は、本発明のデバイスの第1の実施形態を示す。
【図2】図2は、図1のデバイスのさらなる実施形態を示す。
【図3】図3は、後退状態の中心軸に沿った、図2の断面図である。
【図4】図4は、前進状態の中心軸に沿った、図2の断面図である。
【図5】図5は、本発明のデバイスとともに使用する針の所望の形状を示す。
【図6】図6は、本発明の楔および保持環形状の一例を示す。
【図7】図7は、本発明の異なる実施形態を示す。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態である。
【図9】図9は、本発明のさらなる実施形態である。
【図10】図10は、本発明の別の実施形態を示す。
【図11】図11は、本発明の代替的実施形態を示す。
【図12】図12は、本発明のさらに別の実施形態を示す。
【図13】図13は、本発明の代替的実施形態を示す。
【図14】図14は、使用中の図13の実施形態を示す。
【図15】図15は、本発明のさらに別の実施形態を示す。
【図16】図16は、使用中の図15の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(図の詳細な説明)
次に図1を参照すると、参照番号1で示す、本発明の第1の実施形態を示す。カテーテル本体2は、標的部位3、例えば、動脈壁に移動することが可能である。少なくとも1つの針4は、カテーテル本体2から離れた選択的移動のためのその中心軸に沿って、カテーテル本体2に対する移動のために載置される。コア本体、例えば、楔を備える可動中心コア5は、針に接触して中心軸から離れて針端部を配備し、治療薬剤の送達のための標的部位に係合するよう、カテーテル本体2とは反対方向に移動するように適合される。大きな矢印は、カテーテル本体が移動した方向とは反対の楔の移動を示す。次いで、コア本体5の移動は、小さな矢印で示すとおり、針を動脈壁3に向かって半径方向外側、および上方に向ける。コア本体のさらなる移動により、必要に応じて、針の端部(針先端)が標的部位まで動脈壁を貫通することを可能にする。治療薬剤は、針4の端部を介して所望の標的領域に送達することができる。
【0029】
図2を参照すると、本発明のさらなる実施形態を図示し、図1の一般的な部品を特定するために同一の参照番号を使用する。カテーテル本体2の遠位端は、4つの溝付き開口部8を提供して、4つの針4の開放(および隠蔽)を可能にするように修正される。本体2は、針および可動コア機構5を封入する。部品6は、楔に沿って、カテーテルの可動コアに取り付けられる。部品は、保持環として最適に称され得、その機能は、制御された方法で弾性針が配備され、物質が動脈壁内に送達された後に、針がカテーテルの先端で陥没することを可能にすることである。図2は、配備され、血管壁を貫通する針を有するデバイスを示す。
【0030】
配備および陥没状態のデバイスの構造を図3および4に示す。デバイスは、標準ガイドワイヤ送達することができる。デバイスは、図3に示す状態で、主要カテーテル本体2内で陥没し、隠蔽された針で、標準ガイドワイヤの上から標的位置まで送達することができる。例えば、X線不透過性マーカの使用を介して、デバイスが所望位置にあることが確認されると、針4は、標的部位に治療薬剤を送達するために、配備され得る。可動コアは、楔を針に接触させ、カテーテルの中心軸から離れるそれらの横方向の配備をもたらし、同時に、保持環6は、後方に移動し、針が自由に外側に移動することを可能にする、オペレータによって後方に移動する。針の長さおよび楔と保持環との間の距離は、治療される血管の直径に一致する。可動コアが最終位置に後方移動すると、針端部4は、動脈壁を貫通することができ、針先端を介して治療薬剤を送達することができる。配備状態の針を図4に示す。
【0031】
図3を参照すると、次いで、針は、可動コアを順方向に移動させることによって、制御された方法で陥没することができ、それは、保持環を配備された針上に前方に押し出し、低プロファイル状態の主要カテーテル本体2内の陥没位置、および隠蔽された状態に戻す。図3は、隠蔽された位置に維持するために、内向きの力が針上の保持環によって印加される、後退した針を有するデバイスを示す一方、図4は、保持環および楔が矢印の方向に移動し、この場合、楔は、動脈壁内に押し込む、針上に外向きの力を呈する、前進構造のデバイスを示す。
【0032】
デバイスのための針は、医療デバイスの分野において既知のいかなる適切な種類の材料から作製することもできることを理解されるであろう。発明者は、ニチノールが超弾性特性を呈し、比較的高い弾性率を有するため、特に有益な材料は、ニチノールであることを発見した。ニチノールのいかなる所望形状に「形状を定める」能力により、針の湾曲した遠位端の形成が可能になる。湾曲により、針がカテーテル本体内で隠蔽され、血管壁内の針の垂直貫通が可能になる。これにより、次に針の位置制御を増大させる、楔のより円滑な移動を可能にする。図5は、一般的に参照番号10で示す、針の所望の実施形態の形状を示す。製造過程は、針が所望の形状に設定されたら、針が先鋭になるまで研磨するステップを伴った。
【0033】
通常、各針は、従来の方法で針に治療薬剤が送達されるように、治療送達管腔と連携する。針は、摩擦を減少するために楔によって接触された時に、針の配備を目的として、第1の湾曲部11を有することを理解されるであろう。また、針は、配備される時に、針の端部が中心軸に対して垂直に位置付けられるように、第2の湾曲部12とともに提供される。
【0034】
図6を参照して、カテーテル本体21の中心軸を示す。楔5および保持環6を一般的な実施形態で示し、それら両方は、力が印加される時に、カテーテル本体に沿って、軸方向に摺動することができる。保持環6は、使用中の針を受容するための、多くの実質的に円形の開口部22を備える。好適な実施形態では、4つの別々の針を受容するための4つの開口部を提供する。楔5は、針が使用中の楔に接触する領域内の湾曲部24であり得る、面取り部23で設計し得る。湾曲した表面24により、可動コアのより円滑な動作、および使用中の針の有効な配備を可能にする。いかなる適切な形状の楔で達成することもできることを理解されるであろう。本発明の重要な態様は、図6の距離Dで示す、楔5と保持環6との間の分離距離である。本発明により、必要とされる用途によって、ユーザーは、有利に距離Dを制御することが可能になる。距離Dは、針が配備される距離に比例する。したがって、力、および血管壁(標的領域)内の針の浸透深度は、距離Dの選択によって制御することができる。本発明の医療デバイスは、異なるサイズの用途に選択することができる。距離Dを制御する適切な実施形態を、図15および16を参照して、以下に説明する。
【0035】
図7を参照すると、参照番号30で示す、本発明の代替的実施形態を示す。この実施形態では、円形のワイヤコイル31は、可動コアとの連通に使用され、可動コアの正面に向かって位置付けられる。コイル31は、弾性であるが、蛇行位置/血管内の位置にデバイスを送達するために、遠位端において必要とされる柔軟性を提供する。コイル31の弾性特性によって、コイル31は、カテーテルの完全長におよぶ可動コア/楔からの必要な力の一部またはすべてを伝送して、いかなる可動コアの変形なく、針を完全に配備することができることを理解されるであろう。
【0036】
図8は、参照番号40で示す、末梢動脈疾患を治療するために一般的に使用される自己拡張ステントまたはケージとともに使用可能なデバイスを示す。この実施形態では、可動コア6は、遠位方向に押し出され、それは、近位針4の動作を近位のステント縁に向かって遠位方向、かつ静的楔に対して上方にさせる。さらに、遠位楔は、それらを外側に向ける静的遠位針に向かって移動する。次いで、可動コア6は、近位針を血管壁から本来の位置に引き戻し、遠位保持環を遠位針に引き寄せて、陥没させるオペレータによって、近位方向に引き寄せられる。本発明の利点は、ステントが配備されている時に、治療は、ステント縁再狭窄を防止するためにステントの縁に容易に送達することができることである。
【0037】
図9は、参照番号50で示す、本発明のさらなる実施形態を図示し、針を湾曲するために、楔の代わりに自己拡張ニチノールケージの使用を提供する。楔の代わりにニチノールケージ51の使用により、ケージが針上のより高い場所で針に接触し、針に付加的な担持を提供することができるため、針のさらなる拡張が可能になる。ニチノールケージ51は、ケージ51を拡張するために、近位方向に引き寄せることができるシース(図示せず)内に制約される。また、保持環6は、遠心移動とともに、針の陥没を可能にするシースに取り付けられる。図9に示す実施形態は、針に付加的な担持を提供する。
【0038】
図10を参照して、参照番号60で示す、本発明のさらなる実施形態は、治療薬剤の送達前に針4の安定性を提供するために、漏斗状針送達装置の使用を伴う。ニチノール針の先端は、血管壁3を貫通しない漏斗状先端61で置換される。漏斗状先端61は、内皮との接触による損傷の量を低減するように、最小限の力で血管壁に接触する。漏斗要素61が配備されると、デバイスは、安定化され、血管壁を貫通するための漏斗要素61内の柔軟なニチノール針先端62の遠位方向の移動が可能になる。次いで、どの治療薬剤が送達されるかによって、これらの針先端62は、オペレータによって血管壁内に必要とされる限り、配備することができる。デバイスが安定化される限り、いかなる形状の安定化要素を使用することができることを理解されるであろう。本実施形態の利点は、デバイスの安定化および限局された最小限の血管壁接触にある。
【0039】
図11を参照すると、参照番号70で示すとおり、配備中の針からの血管損傷を最小限にするために、中心軸の上にデバイスを配列する、安定化デバイスの使用を伴う本発明のさらなる実施形態を示す。この実施形態は、血流が針配備の機構を妨害し、デバイスを中心から外し得る、高血圧の領域内でデバイスを使用する時に、必要とされ得る。安定化要素71は、単に、可動コアに取り付けられる、第2の楔および保持環システムであり、それは、ニチノールを血管壁に向かって偏向させるが、この場合、ニチノールは、先鋭針ではなく、血管壁を貫通しない。安定化要素71は、血管壁に対して固定され、全体のデバイスに担持を提供するために平坦な球状先端を備えるが、内皮にわずかな損傷をもたらす。この第2の楔と保持環との間の距離は、安定化要素が最初に配備され、針が接触する前に血管に接触するように選択される。これは、最小限の血管損傷のリスクで、血管の中心軸の上にデバイスを押し入れ、針の均一の対称的拡張を可能にする。
【0040】
図12は、参照番号80で示す、二重針送達システムの使用を伴う本発明の別の実施形態を示す。この実施形態の原理は、第1の針4aおよび第2の針4bを提供することである。第2の針4bは、第1の針4aにごく接近して位置付けられ、各針は、別々に流体通信しており、第1の針は、第1の治療薬剤を送達し、第2の針は、第2の治療薬剤を送達する。各針4a、4bは、治療薬剤の異なる容器との別々に流体連通している2つの管腔を備えることを理解されるであろう。針の1つの管腔は、薬剤を送達して、疾患を治癒する、または再狭窄を予防するために、血管壁内の深度を貫通する。針の第2の管腔は、血管壁内部のみを貫通し、針が血管壁を貫通することによって生じる外側の内皮層への損傷を治癒することができる医療薬剤を送達する。図12に明確に示すとおり、第1の針は、第1の深度で第1の治療薬剤を送達するように、標的領域を貫通し、第2の針は、第2の深度で第2の治療薬剤を送達するように、標的領域を貫通する。種々の深度は、必要とされる用途に応じて、選択することができる。
【0041】
参照番号90によって示す、デバイスのさらなる実施形態を図13および14を参照して以下に説明する。もう一度、この実施形態は、血管壁内に治療化合物を注入するために、針4を配備し、陥没させるために、楔5および保持環6をさらに活用する。前述の実施形態に記載する可動コアは、オペレータによって制御される、圧縮流体によって移動するプランジャ91の形状である。図13に示す未配備状態では、プランジャ91は、それをデバイスの遠位端に維持するように加圧され、保持環6が針を拘束し、隠蔽することを可能にする。流体圧が放出されると、プランジャ91は、近位方向に引き寄せられ、それは、楔5が針を血管壁に向かって湾曲させ、所望の治療を送達することを可能にする。上述の主要実施形態と同一の前提下のデバイス機能であるが、デバイスの長さにわたる可動コアを手動で移動するオペレータの代わりに、流体圧は、プランジャ91、したがって、針の配備を制御する。
【0042】
図13および14に示す実施形態の主な利点は、油圧制御プランジャ91を使用して、針を配備することによって達成することができる、サイズの縮小である。主要カテーテルシャフトのプロファイルは、例えば、標準の0.014インチのガイドワイヤとして、同一サイズに産生することができ、したがって、バルーンカテーテルまたはバルーン載置ステント等のいかなる標準デバイスをその上に配置することも可能になる。また、デバイスは、「迅速交換」方法でガイドワイヤ上に送達することもでき、迅速交換エントリーポートは、針より遠位であり得る。また、カテーテルの完全長のわたる可動コアの欠如は、デバイスの全体の柔軟性を著しく増大させ、血管系内の種々の蛇行位置への送達の簡便性を可能にする。
【0043】
図15および16を参照すると、参照番号100で示す、ユーザーが針を配備するために距離Dを制御することを可能にする実施形態を示す。距離Dは、針が配備される距離に比例する。したがって、血管壁(標的領域)への針の貫通の力および深度は、距離Dの選択によって制御することができる。これは、機構が可動コアをデバイスの中心軸と係合するための手段を提供するように、ユーザーがこの距離「D」を変更することを可能にする、デバイス内の機構101を提供することによって達成される。機構101の例は、可動コア5と連通するネジ部を含むことである。ユーザーが、その時点で対処している対応血管に対する所望量の針の拡張を選択することができる。
【0044】
図15および16に示すデバイスは、基本的に、依然として上述の実施形態に開示する方法で機能する。可動コア5は、後方移動し、楔は、針4を湾曲/拡張させる。環6は、可動コア5の前方移動で針を陥没させる。違いは、可動コアが自己固定ネジによって機構101に連通することができる、ネジ部102を備える、遠位端部分を備えることである。距離Dは、先端がどの方向に回転するかによって、可動コア5をネジ部102に沿って、後方または前方にねじ込むように、遠位先端を回転させて設定することができる。したがって、可動コア5と環6との間の距離を制御することができる。針が半径方向に移動させられる距離「D」は、コアと保持環との間の距離によって増加または減少する。コアは、遠位先端に直接取り付けられないが、そのいずれかの側面上の遮断物(遮断物は遠位先端に取り付けられる)、およびカテーテル内のスロット開口部によって移動するのを防止し、遠位先端が回転する時に、コアが前方または後方にねじ込まれることを可能にすることができることを理解されるであろう。本質的に、図15および16に示す実施形態は、必要とされる用途によって、デバイスの「すべてに適合する1つのサイズ」を形成する。
【0045】
本発明を参照して本明細書に使用される際、用語「備える/備えている」および用語「有する/含んでいる」は、記載した特性、整数、ステップ、部品の有無を特定するために使用されるが、1つ以上の他の特性、整数、ステップ、部品、またはそれらの群の有無または追加は除外しない。
【0046】
明確にするために、別個の実施形態の脈絡に記載する本発明の特定の特性も、単一の実施形態とあわせて提供し得ることを理解されるであろう。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の脈絡に記載する本発明の種々の特性も、別々、またはいかなる適切な副次的組み合わせでも提供され得る。
【0047】
本発明は、上述実施形態に限定されず、構成および詳細において異なり得る。
【技術分野】
【0001】
(本発明の分野)
本発明は、体腔、例えば、動脈壁への治療薬剤の局所送達用のカテーテルベースの医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
種々の病状は、治療薬剤の局所投与によって、より有効に治療することができることは、一般的に既知である。動脈壁の生態の近年の研究により、種々の薬剤の局所投与で有効に治療することができる内膜における、種々の局所的病変の性質が明らかになった。これらの例は、不安定プラーク(完全閉塞へ急速に進化し、依存組織の壊死がもたらされる確率の高い、アテローム性動脈硬化症の病変)、および再狭窄病変(血管壁への血管形成の介入によって生じ、治療した血管の反復性閉塞を引き起こす外傷に対する、線維細胞増殖反応)を含む。
【0003】
循環の局限可能な部分における活性的生理学的プロセスは、全身投与経路よりも有効な活性治療薬剤の局所投与によって、罹患領域に直接対処できる可能性がある。血管形成のために、バルーンを配備するか、またはステントを配備するプロセスは、血管壁の損傷をもたらす。この手段は、損傷が血管の再狭窄をもたらす可能性のある新生内膜組織形成を引き起こすため、問題である。
【0004】
下肢の末梢動脈疾患(PAD)は、下肢への深刻な血流欠乏をもたらす可能性があり、一部の場合では、下肢の切断が必要とされ得る。PADは、その形成において、冠動脈疾患に非常に類似するが、疾患の治療は、著しく異なる。冠動脈では、薬物溶出ステントが移植され、最良の臨床結果を有する。しかしながら、心臓は、組み込まれた内蔵であり、いかなる外部の機械的荷重から十分に保護される一方、PADは、通常、表面付近で生じ、罹患動脈は、外部力からのそのような保護を受けない。ステンレス鋼またはコバルトクロムステントは、外部荷重に接触する場合に、恒久的に変形し、血管内の実質的な梗塞を引き起こすため、PADを治療するために使用し得ない。末梢の罹患血管壁への治療薬剤の送達は、生物学的問題に対して、恒久的機械的解決(ステント留置)ではなく、むしろ一時的な機械的解決(バルーン血管形成)および恒久的生物学的解決(恐らく、遺伝子治療)を提供するため、ステント留置に好適であり得る。
【0005】
動静脈(AV)瘻は、動脈を血管と直接連通させて形成され、しばしば、末期の腎疾患の血液透析患者のためのアクセスポートとして形成される。瘻は、通常、上肢または下肢内に形成される。これらのAV瘻の狭窄は、非常に一般的であり、それらを除去するための手術が必要であり、しばしば、良好な結果は得られない。また、経皮的介入は、狭窄を除去するためにも使用されるが、それらは、通常、極めて線維性であり、治療が困難である。高い破裂圧力(20気圧を上回る)を有する血管形成バルーンおよびカッティングバルーンも使用されるが、再狭窄率は、依然として非常に高い。したがって、再狭窄率を低下させるためのデバイスまたは方法を提供する必要性がある。
【0006】
他のカテーテル送達システムは、薬物および他の治療薬剤を送達するために、注入技術を使用する。注入技術は、針に基づく送達システムに劣ることが証明されている(非特許文献1)。これらの技術は、薬剤が血管壁内を通過する拡散プロセスによって、閉塞バルーンの使用を介して動脈を閉塞するステップと、それらを薬剤の溶液に露出させるステップとを伴うことができる。必要とされる数量と比較して、より多くの量の薬物が必要とされ得る。局所送達のための現在の注入技術または治療薬剤の直接注射は、約0.1%〜1%の効率を有する(非特許文献2)。この数字は、非常に低いが、全身送達と比較して、100倍の増加を表す。これにより、治療薬剤の局所投与のための、より効果的で、正確な針に基づく低プロファイルカテーテルの必要性が明らかに特定された。
【0007】
遺伝子治療および幹細胞治療は、比較的新しい研究領域であり、初期結果が非常に有望である。新薬、幹細胞、および遺伝子治療化合物の絶え間ない開発には、新治療がヒトにおける使用に安全であるとみなされるまで必要とされる、何回もの動物試験とともに、十分なインビボ試験が必要とされる。標的領域に、これらの治療薬剤を有効に送達するためのデバイスを提供する必要性がある。また、脳内の不完全組織の再生を試みるために、幹細胞の使用において実施される多大な研究がある。既に、脳の領域に到達し、治療薬剤を送達することができるデバイスの研究の動向がある。かん流ガイドワイヤおよびガイドカテーテルを使用する、eV3等の企業の製品にみられる。脳血管疾患における将来の治療方向は、非常に低プロファイルのデバイスを使用する局所的送達治療の方向に向かっているように思える。
【0008】
薬物溶出ステントは、ステント内再狭窄を有意に減少させたが、一定レベルのステント縁再狭窄は、依然として存在する。Alfonsoらは、ステント縁再狭窄の研究を実施し、問題が特有の患者サブグループで認められたと決定した(非特許文献3)。この研究により、そのような状態の最適な治療は、従来のバルーン血管形成とは対照的に、反復的ステント移植を実施することであると結論付けられた。しかしながら、これらの種類のステントの問題は、バルーンによって生じる損傷が、バルーンが膨張すると動脈壁にもたらされることである。針に基づく送達カテーテルは、ステント近位部および遠位部の動脈壁に抗増殖薬を注入しながら、この損傷を排除することができる。
【0009】
治療薬剤の局所投与のための針に基づくカテーテルデバイスは、例えば、特許文献1に開示されるとおり、既知である。Wijayらの特許文献2は、注入ヘッド内に含まれる複数の針を備える薬物送達デバイスを開示する。図2に示すとおり、デバイスが標的部位に到達するために移動した方向に、カムによって力を印加し、針を標的部位への治療製品の送達のために、血管壁の外側に促すことができる。このデバイスの問題は、針の移動を制御し、送達後に針を後退させることが困難なことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,419,777号明細書
【特許文献2】米国特許第6,997,903号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Gonshior et al,American Heart Journal,Volume 130,Number 6,December 1995
【非特許文献2】Bailey et al, Current Interventional Cardiology Reports 2000,No.2,p349−357
【非特許文献3】ACC Current Journal Review,Volume 14,Issue2,February 2005,Page 47
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これまで、針に基づく治療薬剤の局所送達に関する上述の問題を克服するための満足のいく解決法は、提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(本発明の概要)
本発明に従い、付属の請求項に記載されるとおり、治療薬剤を送達するために、順方向で標的部位に移動することが可能な本体と、本体から離れた選択的移動のためのその中心軸に沿って、本体に対する移動のために載置される、少なくとも1つの針と、針に接触して中心軸から離れて針端部を配備し、治療薬剤の送達のための標的部位に係合するよう、本体とは反対方向に移動するように適合される楔を備える、可動中心コアとを備える、治療薬剤の送達のための医療デバイスを提供する。
【0014】
主に、本発明のデバイスは、罹患動脈壁に治療薬剤/成分を局所的に送達するように設計される。本発明の主な利点は、バルーンを必要とせず、送達針を前進および後退させて、化合物を局所的に送達する新規方法を提供することである。バルーンの欠如のため、本デバイスでは、最小限の血管壁の接触が行われ、行われた接触は、動脈壁への全体の損傷を減少させ、再狭窄のリスクを低下させる、針または複数の針の先端に非常に限局される。バルーンの欠如により、デバイスの低クロッシングプロファイルが可能になり、それは、デバイスが循環系内の種々の蛇行位置に送達することができるため、大きな利点である。また、楔がカテーテルの前方移動に対して後方に移動するということにより、針を配備させる上でより優れたレベルの制御が提供される。
【0015】
デバイスの低プロファイルの特質により、現在の介入手順が劣る結果を呈する位置で治療を実施することが可能になる。膝下領域および特に下肢は、本発明のデバイスからの局所薬物送達が有効であり得る。
【0016】
本発明は、体腔、すなわち、動脈または静脈への治療薬剤の局所送達の問題を解決する。そのような治療薬剤は、治療、幹細胞、および遺伝子治療製品を含むが、それらに限定されない。デバイスの基本機能は、血管内の疾患の所望部位で操作され、血管壁内に治療薬剤を的確に放出することである。デバイスは、標的部位への送達直後、および治療薬剤の送達中に、血管に最小限の損傷をもたらす。損傷は、ミクロ針の使用を介する、血管壁との局所接触によって制限される。デバイスは、現在、標準的介入手順で治療することが困難である、より小さな直径の血管に到達できるように、非常に低プロファイルである。
【0017】
理想的には、後退状態で本体の中心軸に沿って、少なくとも1つの針をしっかりと担持するための保持環を提供する。保持環は、楔の移動に対して移動し、中心軸から離れた針の配備を可能にする。保持環は、その機能が針を後退状態で保持する、または配備位置から針を後退させることができるという限り、いかなる形状でもあり得ることを理解するであろう。楔と保持環との距離は、針が配備される量を決定する。一実施形態では、楔は、外部回転力が中心軸に印加される時に、楔と保持環との距離を選択することができるように、中心軸に係合するための手段を含む。中心軸に係合するための適切な手段は、保持環のネジ部および/または可動コアと伝達するために、中心軸上にネジ部を有することである。
【0018】
針は、デバイス本体の中心軸から血管に向かって湾曲することができるような方法で位置付けられる。中心コアの楔要素は、針を平行位置から罹患血管壁内に押し込むように機能する。保持環の機能は、最初に針を隠蔽し、制御された方法でデバイス内に再び後退させることである。針の配備は、楔および保持環が取り付けられる、可動中心コアの置換を介して達成されることを理解するであろう。楔と保持環との分離距離は、配備力および針の血管壁内の貫通深度を制御する。これは、針の長さを最小限にし、それによって、より優れた柔軟度が提供される。
【0019】
適切には、針は、楔によって接触される時の針の配備に役立つように湾曲する。針は、配備される時に、針端部が中心軸に対して実質的に垂直に位置付けられるように、第2の湾曲とともに提供することができる。
【0020】
一実施形態では、楔は、実質的に、切頂円錐の形状である。適切には、楔は、楔が移動させられた時に、針に係合して針を配備するために、楔の外面上に位置付けられる湾曲面取り部を備える。さらなる実施形態では、楔は、一片の弾性変形可能材料の形態である。
【0021】
別の実施形態では、デバイスは、挿入ケージ、例えば、自己拡張ステントの近位端にごく近接する、少なくとも1つの針と、挿入ケージの遠位端にごく近接して配備されるように適合される、第2の針とを配備するように適合される。
【0022】
別の実施形態では、針先端が所望位置における治療薬剤の送達のために、標的部位を貫通することができるように、標的部位に接触して針を安定化させるように、針の端部上に位置付けられる、安定化要素を提供する。安定化要素は、最大直径が標的部位に接触して針を安定化させるように、裁頭円錐状要素として寸法設定され得る。
【0023】
別の実施形態では、第1の針にごく近接して位置付けられる第2の針を提供し、各針は、別々に流体連通しており、第1の針は、第1の治療薬剤を送達し、第2の針は、第2の治療薬剤を送達する。理想的には、第1の針は、第1の深度で第1の治療薬剤を送達するように、標的領域を貫通し、第2の針は、第2の深度で第2の治療薬剤を送達するように、標的領域を貫通する。
【0024】
適切には、針は、ニチノールまたは他の形状記憶合金から製造される。
【0025】
別の実施形態では、楔の移動を制御するための加圧流体の作用によって加圧下で移動するように適合されるプランジャを備える、可動コアを提供する。この実施形態の主な利点は、油圧制御プランジャを使用して、針を配備し、それによって、デバイスの全体のプロファイルを縮小することによって達成することができる、サイズの縮小である。
【0026】
本発明に従い、ヒトまたは動物体内の血管壁の1つ以上の標的領域を治療する治療薬剤を送達するための方法をさらに提供し、方法は、治療薬剤を送達するために、カテーテル本体を順方向で標的領域に移動させるステップと、カテーテル本体から離れた選択的移動のためのその中心軸に沿って、カテーテル本体に対する移動のために載置される、少なくとも1つの針を提供するステップと、針に接触して中心軸から離れて針端部を配備し、治療薬剤の送達のための標的部位に係合するよう、コア本体、例えば、楔を備える可動中心コアを、カテーテル本体とは反対方向に移動させるステップとを含む。適切には、方法は、後退状態で本体の中心軸に沿って、少なくとも1つの針をしっかりと担持するための保持環を提供する付加的ステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、付随の図面を参照して、ほんの一例として提供される、その実施形態の以下の説明からより明確に理解されるであろう。
【図1】図1は、本発明のデバイスの第1の実施形態を示す。
【図2】図2は、図1のデバイスのさらなる実施形態を示す。
【図3】図3は、後退状態の中心軸に沿った、図2の断面図である。
【図4】図4は、前進状態の中心軸に沿った、図2の断面図である。
【図5】図5は、本発明のデバイスとともに使用する針の所望の形状を示す。
【図6】図6は、本発明の楔および保持環形状の一例を示す。
【図7】図7は、本発明の異なる実施形態を示す。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態である。
【図9】図9は、本発明のさらなる実施形態である。
【図10】図10は、本発明の別の実施形態を示す。
【図11】図11は、本発明の代替的実施形態を示す。
【図12】図12は、本発明のさらに別の実施形態を示す。
【図13】図13は、本発明の代替的実施形態を示す。
【図14】図14は、使用中の図13の実施形態を示す。
【図15】図15は、本発明のさらに別の実施形態を示す。
【図16】図16は、使用中の図15の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(図の詳細な説明)
次に図1を参照すると、参照番号1で示す、本発明の第1の実施形態を示す。カテーテル本体2は、標的部位3、例えば、動脈壁に移動することが可能である。少なくとも1つの針4は、カテーテル本体2から離れた選択的移動のためのその中心軸に沿って、カテーテル本体2に対する移動のために載置される。コア本体、例えば、楔を備える可動中心コア5は、針に接触して中心軸から離れて針端部を配備し、治療薬剤の送達のための標的部位に係合するよう、カテーテル本体2とは反対方向に移動するように適合される。大きな矢印は、カテーテル本体が移動した方向とは反対の楔の移動を示す。次いで、コア本体5の移動は、小さな矢印で示すとおり、針を動脈壁3に向かって半径方向外側、および上方に向ける。コア本体のさらなる移動により、必要に応じて、針の端部(針先端)が標的部位まで動脈壁を貫通することを可能にする。治療薬剤は、針4の端部を介して所望の標的領域に送達することができる。
【0029】
図2を参照すると、本発明のさらなる実施形態を図示し、図1の一般的な部品を特定するために同一の参照番号を使用する。カテーテル本体2の遠位端は、4つの溝付き開口部8を提供して、4つの針4の開放(および隠蔽)を可能にするように修正される。本体2は、針および可動コア機構5を封入する。部品6は、楔に沿って、カテーテルの可動コアに取り付けられる。部品は、保持環として最適に称され得、その機能は、制御された方法で弾性針が配備され、物質が動脈壁内に送達された後に、針がカテーテルの先端で陥没することを可能にすることである。図2は、配備され、血管壁を貫通する針を有するデバイスを示す。
【0030】
配備および陥没状態のデバイスの構造を図3および4に示す。デバイスは、標準ガイドワイヤ送達することができる。デバイスは、図3に示す状態で、主要カテーテル本体2内で陥没し、隠蔽された針で、標準ガイドワイヤの上から標的位置まで送達することができる。例えば、X線不透過性マーカの使用を介して、デバイスが所望位置にあることが確認されると、針4は、標的部位に治療薬剤を送達するために、配備され得る。可動コアは、楔を針に接触させ、カテーテルの中心軸から離れるそれらの横方向の配備をもたらし、同時に、保持環6は、後方に移動し、針が自由に外側に移動することを可能にする、オペレータによって後方に移動する。針の長さおよび楔と保持環との間の距離は、治療される血管の直径に一致する。可動コアが最終位置に後方移動すると、針端部4は、動脈壁を貫通することができ、針先端を介して治療薬剤を送達することができる。配備状態の針を図4に示す。
【0031】
図3を参照すると、次いで、針は、可動コアを順方向に移動させることによって、制御された方法で陥没することができ、それは、保持環を配備された針上に前方に押し出し、低プロファイル状態の主要カテーテル本体2内の陥没位置、および隠蔽された状態に戻す。図3は、隠蔽された位置に維持するために、内向きの力が針上の保持環によって印加される、後退した針を有するデバイスを示す一方、図4は、保持環および楔が矢印の方向に移動し、この場合、楔は、動脈壁内に押し込む、針上に外向きの力を呈する、前進構造のデバイスを示す。
【0032】
デバイスのための針は、医療デバイスの分野において既知のいかなる適切な種類の材料から作製することもできることを理解されるであろう。発明者は、ニチノールが超弾性特性を呈し、比較的高い弾性率を有するため、特に有益な材料は、ニチノールであることを発見した。ニチノールのいかなる所望形状に「形状を定める」能力により、針の湾曲した遠位端の形成が可能になる。湾曲により、針がカテーテル本体内で隠蔽され、血管壁内の針の垂直貫通が可能になる。これにより、次に針の位置制御を増大させる、楔のより円滑な移動を可能にする。図5は、一般的に参照番号10で示す、針の所望の実施形態の形状を示す。製造過程は、針が所望の形状に設定されたら、針が先鋭になるまで研磨するステップを伴った。
【0033】
通常、各針は、従来の方法で針に治療薬剤が送達されるように、治療送達管腔と連携する。針は、摩擦を減少するために楔によって接触された時に、針の配備を目的として、第1の湾曲部11を有することを理解されるであろう。また、針は、配備される時に、針の端部が中心軸に対して垂直に位置付けられるように、第2の湾曲部12とともに提供される。
【0034】
図6を参照して、カテーテル本体21の中心軸を示す。楔5および保持環6を一般的な実施形態で示し、それら両方は、力が印加される時に、カテーテル本体に沿って、軸方向に摺動することができる。保持環6は、使用中の針を受容するための、多くの実質的に円形の開口部22を備える。好適な実施形態では、4つの別々の針を受容するための4つの開口部を提供する。楔5は、針が使用中の楔に接触する領域内の湾曲部24であり得る、面取り部23で設計し得る。湾曲した表面24により、可動コアのより円滑な動作、および使用中の針の有効な配備を可能にする。いかなる適切な形状の楔で達成することもできることを理解されるであろう。本発明の重要な態様は、図6の距離Dで示す、楔5と保持環6との間の分離距離である。本発明により、必要とされる用途によって、ユーザーは、有利に距離Dを制御することが可能になる。距離Dは、針が配備される距離に比例する。したがって、力、および血管壁(標的領域)内の針の浸透深度は、距離Dの選択によって制御することができる。本発明の医療デバイスは、異なるサイズの用途に選択することができる。距離Dを制御する適切な実施形態を、図15および16を参照して、以下に説明する。
【0035】
図7を参照すると、参照番号30で示す、本発明の代替的実施形態を示す。この実施形態では、円形のワイヤコイル31は、可動コアとの連通に使用され、可動コアの正面に向かって位置付けられる。コイル31は、弾性であるが、蛇行位置/血管内の位置にデバイスを送達するために、遠位端において必要とされる柔軟性を提供する。コイル31の弾性特性によって、コイル31は、カテーテルの完全長におよぶ可動コア/楔からの必要な力の一部またはすべてを伝送して、いかなる可動コアの変形なく、針を完全に配備することができることを理解されるであろう。
【0036】
図8は、参照番号40で示す、末梢動脈疾患を治療するために一般的に使用される自己拡張ステントまたはケージとともに使用可能なデバイスを示す。この実施形態では、可動コア6は、遠位方向に押し出され、それは、近位針4の動作を近位のステント縁に向かって遠位方向、かつ静的楔に対して上方にさせる。さらに、遠位楔は、それらを外側に向ける静的遠位針に向かって移動する。次いで、可動コア6は、近位針を血管壁から本来の位置に引き戻し、遠位保持環を遠位針に引き寄せて、陥没させるオペレータによって、近位方向に引き寄せられる。本発明の利点は、ステントが配備されている時に、治療は、ステント縁再狭窄を防止するためにステントの縁に容易に送達することができることである。
【0037】
図9は、参照番号50で示す、本発明のさらなる実施形態を図示し、針を湾曲するために、楔の代わりに自己拡張ニチノールケージの使用を提供する。楔の代わりにニチノールケージ51の使用により、ケージが針上のより高い場所で針に接触し、針に付加的な担持を提供することができるため、針のさらなる拡張が可能になる。ニチノールケージ51は、ケージ51を拡張するために、近位方向に引き寄せることができるシース(図示せず)内に制約される。また、保持環6は、遠心移動とともに、針の陥没を可能にするシースに取り付けられる。図9に示す実施形態は、針に付加的な担持を提供する。
【0038】
図10を参照して、参照番号60で示す、本発明のさらなる実施形態は、治療薬剤の送達前に針4の安定性を提供するために、漏斗状針送達装置の使用を伴う。ニチノール針の先端は、血管壁3を貫通しない漏斗状先端61で置換される。漏斗状先端61は、内皮との接触による損傷の量を低減するように、最小限の力で血管壁に接触する。漏斗要素61が配備されると、デバイスは、安定化され、血管壁を貫通するための漏斗要素61内の柔軟なニチノール針先端62の遠位方向の移動が可能になる。次いで、どの治療薬剤が送達されるかによって、これらの針先端62は、オペレータによって血管壁内に必要とされる限り、配備することができる。デバイスが安定化される限り、いかなる形状の安定化要素を使用することができることを理解されるであろう。本実施形態の利点は、デバイスの安定化および限局された最小限の血管壁接触にある。
【0039】
図11を参照すると、参照番号70で示すとおり、配備中の針からの血管損傷を最小限にするために、中心軸の上にデバイスを配列する、安定化デバイスの使用を伴う本発明のさらなる実施形態を示す。この実施形態は、血流が針配備の機構を妨害し、デバイスを中心から外し得る、高血圧の領域内でデバイスを使用する時に、必要とされ得る。安定化要素71は、単に、可動コアに取り付けられる、第2の楔および保持環システムであり、それは、ニチノールを血管壁に向かって偏向させるが、この場合、ニチノールは、先鋭針ではなく、血管壁を貫通しない。安定化要素71は、血管壁に対して固定され、全体のデバイスに担持を提供するために平坦な球状先端を備えるが、内皮にわずかな損傷をもたらす。この第2の楔と保持環との間の距離は、安定化要素が最初に配備され、針が接触する前に血管に接触するように選択される。これは、最小限の血管損傷のリスクで、血管の中心軸の上にデバイスを押し入れ、針の均一の対称的拡張を可能にする。
【0040】
図12は、参照番号80で示す、二重針送達システムの使用を伴う本発明の別の実施形態を示す。この実施形態の原理は、第1の針4aおよび第2の針4bを提供することである。第2の針4bは、第1の針4aにごく接近して位置付けられ、各針は、別々に流体通信しており、第1の針は、第1の治療薬剤を送達し、第2の針は、第2の治療薬剤を送達する。各針4a、4bは、治療薬剤の異なる容器との別々に流体連通している2つの管腔を備えることを理解されるであろう。針の1つの管腔は、薬剤を送達して、疾患を治癒する、または再狭窄を予防するために、血管壁内の深度を貫通する。針の第2の管腔は、血管壁内部のみを貫通し、針が血管壁を貫通することによって生じる外側の内皮層への損傷を治癒することができる医療薬剤を送達する。図12に明確に示すとおり、第1の針は、第1の深度で第1の治療薬剤を送達するように、標的領域を貫通し、第2の針は、第2の深度で第2の治療薬剤を送達するように、標的領域を貫通する。種々の深度は、必要とされる用途に応じて、選択することができる。
【0041】
参照番号90によって示す、デバイスのさらなる実施形態を図13および14を参照して以下に説明する。もう一度、この実施形態は、血管壁内に治療化合物を注入するために、針4を配備し、陥没させるために、楔5および保持環6をさらに活用する。前述の実施形態に記載する可動コアは、オペレータによって制御される、圧縮流体によって移動するプランジャ91の形状である。図13に示す未配備状態では、プランジャ91は、それをデバイスの遠位端に維持するように加圧され、保持環6が針を拘束し、隠蔽することを可能にする。流体圧が放出されると、プランジャ91は、近位方向に引き寄せられ、それは、楔5が針を血管壁に向かって湾曲させ、所望の治療を送達することを可能にする。上述の主要実施形態と同一の前提下のデバイス機能であるが、デバイスの長さにわたる可動コアを手動で移動するオペレータの代わりに、流体圧は、プランジャ91、したがって、針の配備を制御する。
【0042】
図13および14に示す実施形態の主な利点は、油圧制御プランジャ91を使用して、針を配備することによって達成することができる、サイズの縮小である。主要カテーテルシャフトのプロファイルは、例えば、標準の0.014インチのガイドワイヤとして、同一サイズに産生することができ、したがって、バルーンカテーテルまたはバルーン載置ステント等のいかなる標準デバイスをその上に配置することも可能になる。また、デバイスは、「迅速交換」方法でガイドワイヤ上に送達することもでき、迅速交換エントリーポートは、針より遠位であり得る。また、カテーテルの完全長のわたる可動コアの欠如は、デバイスの全体の柔軟性を著しく増大させ、血管系内の種々の蛇行位置への送達の簡便性を可能にする。
【0043】
図15および16を参照すると、参照番号100で示す、ユーザーが針を配備するために距離Dを制御することを可能にする実施形態を示す。距離Dは、針が配備される距離に比例する。したがって、血管壁(標的領域)への針の貫通の力および深度は、距離Dの選択によって制御することができる。これは、機構が可動コアをデバイスの中心軸と係合するための手段を提供するように、ユーザーがこの距離「D」を変更することを可能にする、デバイス内の機構101を提供することによって達成される。機構101の例は、可動コア5と連通するネジ部を含むことである。ユーザーが、その時点で対処している対応血管に対する所望量の針の拡張を選択することができる。
【0044】
図15および16に示すデバイスは、基本的に、依然として上述の実施形態に開示する方法で機能する。可動コア5は、後方移動し、楔は、針4を湾曲/拡張させる。環6は、可動コア5の前方移動で針を陥没させる。違いは、可動コアが自己固定ネジによって機構101に連通することができる、ネジ部102を備える、遠位端部分を備えることである。距離Dは、先端がどの方向に回転するかによって、可動コア5をネジ部102に沿って、後方または前方にねじ込むように、遠位先端を回転させて設定することができる。したがって、可動コア5と環6との間の距離を制御することができる。針が半径方向に移動させられる距離「D」は、コアと保持環との間の距離によって増加または減少する。コアは、遠位先端に直接取り付けられないが、そのいずれかの側面上の遮断物(遮断物は遠位先端に取り付けられる)、およびカテーテル内のスロット開口部によって移動するのを防止し、遠位先端が回転する時に、コアが前方または後方にねじ込まれることを可能にすることができることを理解されるであろう。本質的に、図15および16に示す実施形態は、必要とされる用途によって、デバイスの「すべてに適合する1つのサイズ」を形成する。
【0045】
本発明を参照して本明細書に使用される際、用語「備える/備えている」および用語「有する/含んでいる」は、記載した特性、整数、ステップ、部品の有無を特定するために使用されるが、1つ以上の他の特性、整数、ステップ、部品、またはそれらの群の有無または追加は除外しない。
【0046】
明確にするために、別個の実施形態の脈絡に記載する本発明の特定の特性も、単一の実施形態とあわせて提供し得ることを理解されるであろう。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の脈絡に記載する本発明の種々の特性も、別々、またはいかなる適切な副次的組み合わせでも提供され得る。
【0047】
本発明は、上述実施形態に限定されず、構成および詳細において異なり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療薬剤の送達のための医療デバイスであって、
該治療薬剤送達のために、順方向で標的部位に移動することが可能なカテーテル本体と、
該カテーテル本体から離れた選択的移動のための、その中心軸に沿って該カテーテル本体に対する移動のために載置される、少なくとも1つの針と、
該針端部を該中心軸から離れて配備して、該治療薬剤を送達するために該標的部位に係合するよう、該カテーテル本体とは反対方向に移動して該針に接触するように適合される、コア本体、例えば楔、を備える、可動中心コアと
を備える、医療デバイス。
【請求項2】
後退状態で前記本体の前記中心軸に沿って、少なくとも1つの針をしっかりと担持する保持環を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記保持環は、前記コア本体の移動に関連して移動し、それにより、前記中心軸から離れた前記針の配備を可能にする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記楔と前記保持環との間の距離は、前記針が前記中心軸から配備される量を決定するように選択することができる、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記楔は、外部回転力が前記中心軸に印加される時に、該楔と前記保持環との間の距離を選択することができるように、該中心軸に係合するための手段を備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記針は、前記楔によって接触されるときに、該針の配備を目的とするように湾曲する、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記針には、配備された時に、該針端部が前記中心軸に対して実質的に垂直に位置付けられるように、第2の湾曲が提供される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記楔は、実質的に、切頂円錐の形状である、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記楔は、該楔が移動させられた時に、前記針に係合して該針を配備するために、該楔の外面上に位置付けられる、湾曲した面取り部を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記楔は、円形のワイヤコイルを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記楔は、一片の弾性変形可能材料の形態である、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
挿入されたケージ、例えば、自己拡張ステントの近位端にごく近接している、少なくとも1つの針と、該挿入されたケージの遠位端にごく近接して配備されるように適合される、第2の針とを配備するように適合される、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
所望位置における前記治療薬剤の送達のために、針の先端が前記標的部位を貫通できるように、該標的部位に接触して該針を安定化させるように、該針の端部上に位置付けられる、安定化要素を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記安定化要素は、最大直径が前記標的部位に接触して前記針を安定化させるように、裁頭円錐状要素として寸法設定される、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の針にごく近接して位置付けられる第2の針を備え、各針は、別々に流体連通しており、該第1の針は、第1の治療薬剤を送達し、該第2の針は、第2の治療薬剤を送達する、請求項1から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の針は、第1の深度で、前記第1の治療薬剤を送達するように前記標的領域を貫通し、前記第2の針は、第2の深度で、前記第2の治療薬剤を送達するように該標的領域を貫通する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記針は、ニチノール針である、請求項1から16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記可動コアは、加圧流体の作用によって加圧下で移動し、前記楔の移動を制御するように適合される、プランジャを備える、請求項1から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項1】
治療薬剤の送達のための医療デバイスであって、
該治療薬剤送達のために、順方向で標的部位に移動することが可能なカテーテル本体と、
該カテーテル本体から離れた選択的移動のための、その中心軸に沿って該カテーテル本体に対する移動のために載置される、少なくとも1つの針と、
該針端部を該中心軸から離れて配備して、該治療薬剤を送達するために該標的部位に係合するよう、該カテーテル本体とは反対方向に移動して該針に接触するように適合される、コア本体、例えば楔、を備える、可動中心コアと
を備える、医療デバイス。
【請求項2】
後退状態で前記本体の前記中心軸に沿って、少なくとも1つの針をしっかりと担持する保持環を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記保持環は、前記コア本体の移動に関連して移動し、それにより、前記中心軸から離れた前記針の配備を可能にする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記楔と前記保持環との間の距離は、前記針が前記中心軸から配備される量を決定するように選択することができる、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記楔は、外部回転力が前記中心軸に印加される時に、該楔と前記保持環との間の距離を選択することができるように、該中心軸に係合するための手段を備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記針は、前記楔によって接触されるときに、該針の配備を目的とするように湾曲する、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記針には、配備された時に、該針端部が前記中心軸に対して実質的に垂直に位置付けられるように、第2の湾曲が提供される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記楔は、実質的に、切頂円錐の形状である、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記楔は、該楔が移動させられた時に、前記針に係合して該針を配備するために、該楔の外面上に位置付けられる、湾曲した面取り部を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記楔は、円形のワイヤコイルを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記楔は、一片の弾性変形可能材料の形態である、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
挿入されたケージ、例えば、自己拡張ステントの近位端にごく近接している、少なくとも1つの針と、該挿入されたケージの遠位端にごく近接して配備されるように適合される、第2の針とを配備するように適合される、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
所望位置における前記治療薬剤の送達のために、針の先端が前記標的部位を貫通できるように、該標的部位に接触して該針を安定化させるように、該針の端部上に位置付けられる、安定化要素を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記安定化要素は、最大直径が前記標的部位に接触して前記針を安定化させるように、裁頭円錐状要素として寸法設定される、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の針にごく近接して位置付けられる第2の針を備え、各針は、別々に流体連通しており、該第1の針は、第1の治療薬剤を送達し、該第2の針は、第2の治療薬剤を送達する、請求項1から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の針は、第1の深度で、前記第1の治療薬剤を送達するように前記標的領域を貫通し、前記第2の針は、第2の深度で、前記第2の治療薬剤を送達するように該標的領域を貫通する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記針は、ニチノール針である、請求項1から16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記可動コアは、加圧流体の作用によって加圧下で移動し、前記楔の移動を制御するように適合される、プランジャを備える、請求項1から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2011−504778(P2011−504778A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535371(P2010−535371)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066261
【国際公開番号】WO2009/068573
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(509237767)ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066261
【国際公開番号】WO2009/068573
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(509237767)ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ (12)
【Fターム(参考)】
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