説明

泡消火装置

【課題】通常人が存在する防護領域において、最適な泡消火装置の制御方式を得ることを目的とする。
【解決手段】防護領域に火災警報器と、発泡機と、タンクユニットと、制御盤を備えた泡消火装置を設け、タンクユニットから発泡機に泡水溶液を供給し、人が存在する防護領域に所定の泡積み速度で高膨張泡を放出することを特徴とした。前記所定の泡積み速度は、1〜2[m/min]とし、高膨張泡の発泡倍率を200〜1000倍とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の消火設備には、一般的な湿式スプリンクラ消火設備、油火災向けの泡消火設備、水気を嫌う書庫やサーバールーム等に用いるガス系消火設備等、種々の消火方式が用いられている。小規模施設の共用室など人が存在する防護領域では、火災の抑制を目的とした水道直結型スプリンクラ消火設備が設けられていることがある。しかし、スプリンクラ消火設備では散水障害をもたらすような物体が防護領域内に存在する場合、火災の抑制が効率よく行えない場合がある。
このようなスプリンクラ消火設備の代わりに、ガス系消火設備を用いる場合、防護領域内を不活性ガスで低酸素状態にするので、散水障害物の影響を受けることなく火災の抑制が可能である。しかし、不活性ガスで防護領域内を充満させるため、常時人が存在するような防護領域には適さない。
【0003】
同様に、散水障害物の影響を受けにくい消火装置として、防護領域全体を泡で埋め尽くすことで窒息消火を行う高膨張泡消火装置がある。このような泡消火装置の泡放出条件は、発泡倍率が低下することなく、なるべく早い時間で、防護領域全体を高膨張泡で埋め尽くす事ができればよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−165837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に高膨張泡消火装置は、各種危険物施設、倉庫、石油タンクのピット、石油コンビナートのカルバート、あるいは、船の機関室等に設置されていた。このような防護領域は通常、人が存在する防護領域ではない。そのため、防護領域に人が存在する状態での泡放出条件が検討されていなかった。
この発明は上記課題を鑑み、通常人が存在する防護領域において、最適な泡消火装置の制御方式を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
防護領域の火災を検出する火災検出手段と、火災検出手段からの出力によって泡水溶液を供給する供給手段と、防護領域の上層部に設けられ、供給手段から泡水溶液が供給される放射ノズルを内部に有する発泡機とを備え、発泡機は、防護領域内の空気で所定の発泡倍率の高膨張泡を発泡させて防護領域に放出する泡消火装置であって、発泡機は、人が存在する防護領域に所定の泡積み速度で高膨張泡を放出することを特徴とするものである。
【0007】
また、発泡倍率は、200倍から1000倍としたことを特徴とするものである。また、所定の泡積み速度は、1〜2[m/min]としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る泡消火装置によれば、所定の発泡倍率、且つ、所定の泡積み速度で高膨張泡を放出することで、通常人が使用し、且つ散水障害物となり得る家具等が設置された防護領域であっても、散水障害物の影響を受けることなく、安全に高膨張泡で防護領域を埋
め尽くすことが可能となる。
【0009】
また、高膨張泡の発泡倍率は、200倍から1000倍であれば、安全かつ確実に消火することができる。また、泡積み速度を1〜2[m/min]としたので、確実に消火が行えると共に、発泡機を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係る泡消火装置のシステム構成図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る泡消火装置の設置概要図である。
【図3】本発明の動作フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、図1及び図2を用いて本件発明の実施形態1を説明する。
図1は、本発明の実施形態1のシステム構成図である。この泡消火装置100は、防護領域Sに設けられ、火災警報器1と、発泡機2と、タンクユニット3と、制御盤4を備えている。
【0012】
防護領域Sは、日中人が存在する空間であり、棚や机、ソファーと言ったような、スプリンクラ消火設備では散水障害物Tとなりうる家具Tが備えられている。 このような防護領域Sの一例としては、例えばオフィス等の執務室や住宅の居室、小規模施設であるグループホームがある。グループホームとは、一般に入居者が小規模な生活の場で少人数(5人から9人)を単位とした共同住居であり、入居者は建物内に個室を宛がわれている。入居者は日中、個室や共用室で入居者同士や、世話人、入居者の家族達(以下、入居者等)と一緒に過ごしている。このような小規模施設には、世話人が常駐するための管理室等が設置されている。
【0013】
火災警報器1は、防護領域Sの火災を検出する火災検出手段の一例で、例えば住宅用火災警報器などが用いられる。この火災警報器1は、防護領域Sの天井や壁面に設けられ、無線又は信号線を介して制御盤4と接続されている。火災警報器1は火災を検出すると火災信号を出力し、出力された火災信号は、信号線等を介して制御盤4に送信される。
【0014】
発泡機2は、防護領域Sの上層部、つまり天井付近に設けられており、発泡機本体の先端には発泡用網が設けられている。そして、発泡機本体内部の後端側に備えられた図示しない複数の放射ノズルに、後述するタンクユニット3から泡水溶液が供給される。より詳しく述べると、発泡機2は、放射ノズルが泡水溶液を放射することで生じる負圧によって空気を吸引するアスピレータ式、且つ、防護領域S内の空気を発泡機内に取り込むインサイドエア式のものである。従って、放射ノズルから放射された泡水溶液は、発泡機本体の後端側に設けられた開口部から、防護領域S内の空気を取込ながら発泡用網へ当たることで高膨張泡Bを放出する。
【0015】
発泡機2の大きさは、例えば、1800mm×300mm×1200mm以下とし、素材にはステンレス等の腐食に強いものが好適であるが、これに限定される必要は無く、樹脂やベニヤ板等でも良い。特に発泡機2の一部又は全体を、木材もしくは木目調の板で覆うことで、小規模施設の共用室に設置しても、美観を損ねることがない。
【0016】
この高膨張泡Bの発泡倍率は、200〜1000倍の範囲で適宜選択されるが、より好ましい範囲としては、500〜800倍であり、最も適した値としては700倍である。発泡倍率が低いと、一つの泡を形成する泡水溶液の量が多いため、破泡し難く消火能力は高い。しかし、このような泡で人がいる空間を埋め尽くした場合、空間内の泡水溶液の量が多く、破泡し難いので、避難の妨げになる虞がある。また、発泡倍率が高すぎると、一
つの泡を形成する泡水溶液の量が少ないため、火災の熱等によって破泡しやすく、消火能力が低下する虞がある。
【0017】
これに対し、最も好適な発泡倍率の高膨張泡Bを放出した場合、散水障害物Tとなる家具Tがあったとしても、流動性のある高膨張泡が家具の下や隙間に入り込むので、家具によって隠れた火点まで消火剤を行き渡らせることが可能となる。その後、継続して高膨張泡を供給することで、高膨張泡が防護領域内に積み重なり、火点全体を覆うことで窒息消火が行える。
【0018】
さらに、人がいる空間に放出しても、適度に破泡するため避難の妨げにならず、防護領域S空間全体を高膨張泡Bで埋め尽くすことなく窒息消火が行える。
このとき、タンクユニット3から発泡機2の図示しない放射ノズルへ供給される泡水溶液の供給速度は、例えば130[l/min]とし、発泡機2から放出される高膨張泡Bの発泡倍率は700倍とする。これにより、小規模施設の共用部に多く見られる床面積が42m程度の空間であれば、130[l/min]×700÷42[m]=2.17[m/min]となり、泡積み速度を約2[m/min]とすることができる。
【0019】
この泡積み速度とは、高膨張泡を単位時間当たりに所定の高さまで積み上げる速度の事を言う。一般に泡積み速度は、速い方が消火能力は高くなるが、上記の速度程度を達成すれば火災警報器1との連携で極めて高い消火性能を実現できる。ただし、想定される火災規模に応じては泡積み速度を1[m/min]程度まで遅くすることが可能であり、それにより発泡機を小型化できる。
【0020】
上記計算式では、対象とする防護領域Sの床面積を小規模施設の共用部に多く見られる42m程度の空間としたが、例えば倍の84mになった場合、タンクユニット3と発泡機2をもう一台追加しても良い。このとき制御盤4は二つのタンクユニット3に接続して共用させても良い。また防護領域Sの床面積が半分の21mや、より狭い床面積の場合、発泡機2に設けられる放射ノズルの個数を減少し、且つ、発泡機2の大きさを小さくすることで、泡水溶液の供給速度を変化させ、泡積み速度が1〜2[m/min]となるように制御しても良い。また、後述するガスボンベ31から放出されるガスをレギュレータによって調節する事で、泡水溶液の供給速度を変化させ、泡積み速度が1〜2[m/min]となるように制御しても良い。
【0021】
タンクユニット3は、発泡機2へ泡水溶液を供給するための供給手段の一例で、ガスボンベ31と、水タンク32と、原液タンク33と、起動弁34等が備えられている。このタンクユニット3は、発泡機2の近傍に設けられていると、接続する配管距離が短くて良い。また、例えば共用室の外部や、入居者の個室、建物の外等に複数台分散して設け、各タンクユニット3を配管で接続しても良い。
【0022】
ガスボンベ31には、窒素ガスが充填されており、配管を介して水タンク32及び原液タンク33に接続されている。
水タンク32には消火用水が、原液タンク33は希釈されていない界面活性剤等の泡原液が封入されている。また、水タンク32及び原液タンク33は、発泡機2の放射ノズルに配管を介して接続されている。
【0023】
ガスボンベ31と水タンク32及び原液タンク33を繋ぐ配管には、常時閉の起動弁34が、水タンク32及び原液タンク33と放射ノズルを繋ぐ配管には、常時開の放水停止弁35がそれぞれ設けられている。
【0024】
起動弁34及び放水停止弁35は、それぞれ信号線を介して制御盤4と接続されており
、制御盤4から出力される制御信号により弁の開閉動作が行われる。
起動弁34よりガスボンベ31側(以下起動弁34の1次側と呼ぶ)の配管には、レギュレータ36及びメンテナンス弁37が設けられる。
レギュレータ36は、ガスボンベ31から放出されるガスの圧力を調整している。
メンテナンス弁37は、例えばガスボンベ31や起動弁34を交換する際に作業員によって手動で閉止することで、各種部品の交換を可能にする。
【0025】
起動弁34より、水タンク32及び原液タンク33側(以下起動弁の2次側と呼ぶ)の配管には、排気弁38及び試験弁39が設けられ、例えばガスボンベ31のガス圧を試験する際利用される。より詳細に述べると、ガスボンベ31の圧力試験時には、まず試験弁39を閉止し、その後起動弁34及び排気弁38を開くことで、排気弁38からガスボンベ31のガスが放出する。この放出圧力を測定することで、ガスボンベ31内の圧力を測定することができる。
【0026】
制御盤4からの制御信号により起動弁34が開くと、ガスボンベ31内に充填された高圧ガスが、水タンク32及び原液タンク33の容器内に放出される。これにより、水タンク32及び原液タンク33の容器内の圧力が高まり、水タンク32内の消火用水と原液タンク33内の界面活性剤が押し出される。原液タンクから伸びた配管は、放水停止弁35よりも一次側で水タンク32から伸びた配管に接続される。押し出された消火用水と界面活性剤は、放水停止弁35よりも一次側で、例えば3〜6%程度の混合率の泡水溶液となり、発泡機2に設けられた放射ノズルへ向かって供給される。
【0027】
制御盤4は受信部41と、送信部42と、タイマー部43と、スイッチ部44と、制御部45が備えられている。一般に、制御盤4は、世話人が常駐する管理室に設けられるが、防護領域S内や防護領域Sの出入り口付近に設けられていても良い。更に言えば、各種スイッチを有するスイッチ部44だけを別体に形成し、有線または無線によって制御盤4と接続することで、防護領域S内又は近傍に設けても良い。
【0028】
受信部41は、信号線を介して火災警報器1と接続され、火災警報器1から火災信号を受信すると、制御部45に火災信号を出力する。
送信部42は、信号線を介して起動弁34及び、放水停止弁35と接続され、制御部45によって出力された制御信号を送信することで、起動弁34及び放水停止弁35の開閉動作が行われる。
【0029】
タイマー部43は、放出タイマー、閉止タイマー、一時停止タイマーを備えている。放出タイマーは火災警報器1が作動すると制御部45によってカウントが開始され、所定時間、例えば20〜30秒程度、が経過すると制御部45へカウント信号を送信する。閉止タイマーは、泡水溶液の放出が開始されると制御部45によってカウントが開始され、所定時間、例えば90〜120秒程度、が経過すると制御部45へカウント信号を送信する。一時停止タイマーは、閉止タイマーが起動している時に、放出停止スイッチが操作されると制御部45によってカウントが開始される。その後所定時間、例えば30秒程度、が経過すると制御部45へカウント信号を送信する。なお、上記所定時間は適宜選択される。
【0030】
スイッチ部44は、例えば、図示しない放出スイッチ、放出停止スイッチ、及び復旧スイッチとからなり、各種スイッチを操作することで、制御部45に操作信号を出力する。操作信号を受信した制御部45は、起動弁34や放水停止弁35を開閉動作させる制御信号を送信部42から出力する。
【0031】
次に、防護領域Sで火災が起きた際の実施形態1の動作を説明する。図3は、本発明の
実施形態1の動作フローを示すフローチャートである。
【0032】
まず初めに、この防護領域S内で火災が発生すると、火災警報器1の火災検出部が火災の煙や熱を検出し、警報部からブザーや音声警報による警報を発すると共に、制御盤4へ火災信号を出力する(ステップS1)。
火災警報器1の警報に入居者や世話人が気づき、制御盤4のスイッチ部44にある放出スイッチを操作すると(ステップS2)、制御部45は送信部42から制御信号を送信し、直ちに起動弁34を開放する(ステップS7)。
【0033】
入居者や世話人が防護領域Sと離れた場所にいて、火災警報器1の動作に気がつかなくとも、制御盤4の受信部41が火災信号を受信すると、制御部45はタイマー部43の放出タイマーを起動し(ステップS3)所定時間をカウントさせる。
【0034】
放出タイマーが起動した後、放出停止スイッチの操作がされることなく、あらかじめ設定された設定時間が経過すると(ステップS6)、タイマー部43は制御部45にカウント信号を送信する。カウント信号を受信した制御部45は、起動弁34を開放し(ステップS7)、タンクユニット3から放射ノズルへ向かって泡水溶液の供給を開始する。
【0035】
放出タイマーが起動した後、スイッチ部44の放出停止スイッチが操作された場合(ステップS4)、制御部45はタイマー部43の放出開始カウントをクリアし、起動弁34を開放させることなく起動弁34の開放を中止する(ステップS5)。これにより、入居者や世話人は、火災警報器1からの警報が誤報であると判断した場合、高膨張泡Bの放出を中止できる。
【0036】
泡水溶液の供給が開始されると、必要以上にガスを放出することを防止するため、制御部45はタイマー部43に閉止タイマーを起動させる(ステップS8)。
引き続き防護領域S内に高膨張泡Bが放出されるが、防護領域S内に入居者等が残っている場合、そのままでは避難に困難が生じる虞がある。このとき、入居者や世話人によって、スイッチ部44にある放出停止スイッチが操作されると(ステップS9)、制御部45は送信部42から制御信号を送信し、放水停止弁35を閉止させると共に閉止タイマーのカウントを一時停止させる(ステップS10)。同時に、制御部45はタイマー部43に一時停止タイマーのカウントを開始させる。これにより、一時停止タイマーが所定時間カウントしている間は一時的に高膨張泡Bの放出を停止させることができるので、世話人は残っている入居者を救助可能となる。その後一時停止タイマーが所定時間経過すると(ステップS12)、制御部45へカウント信号を送信する。カウント信号を受信した制御部45は、送信部42から制御信号を送信し、放水停止弁35を開放する。
【0037】
制御部45は、放水停止弁35を開放すると同時に、閉止タイマーを再開させる(ステップS13)。そのため、所定時間が経過すると、放水停止弁35の開放操作を行うこと無く、自動で高膨張泡Bの放出が再開できる。また、閉止タイマーは一時停止タイマーが所定時間カウントしている間は停止しているので、高膨張泡Bを放出すべき時間が一定となり、設定した高膨張泡Bの放出量を確保できる。
【0038】
一時停止タイマーが設定された時間を経過する前に放出停止スイッチが再操作されると(ステップS11)、制御部45はタイマー部43に一時停止タイマーのカウントをクリアさせる。同時に制御部45は、送信部42から制御信号を送信し、放水停止弁35を開放する。これにより、防護領域S内に逃げ遅れた入居者等を見つけた場合でも、一時的に高膨張泡Bの放出を停止できる。そして、安全に避難させた後、再操作を行う事で直ちに高膨張泡Bの放出が再開できる。
【0039】
閉止タイマーが設定時間経過すると(ステップS14)、タイマー部43は制御部45へカウント信号を出力する。制御部45は、タイマー部43からカウント信号を受信すると、送信部42から起動弁34及び放水停止弁35へ制御信号を出力し、起動弁34及び放水停止弁35を閉止する(ステップS15)。この時、水タンク32及び原液タンク33の内部は、ガスによって加圧された状態が続いている。そのため、復旧操作として排気弁38を開放することで水タンク32及び原液タンク33内のガスを排出する(ステップS16)。その間、スイッチ部44からの放出スイッチや放水停止スイッチのキー操作は無効となっている(ステップS17)。
【0040】
作業員は、配管内のガス抜きや、各種タンクの交換が終わったことを確認し、再度防護領域Sを監視状態に戻すため、スイッチ部44の復旧ボタンを操作することで、監視状態となる(ステップS18)。
【0041】
このように、本発明によれば、従来人が存在しない様な場所に利用されていた高膨張泡消火装置であっても、所定の発泡倍率、かつ所定の泡積み速度とすることで、人がいる防護領域に高膨張泡を放出しても、安全に消火することができるという効果を奏する。
【0042】
本発明は以上説明した通りであるが、以下のようにすることも可能である。
(1)泡の放出手段はガスボンベとレギュレータによる加圧により消火剤を放出するものとしたが、これに限定される必要は無く、消火用水と泡水溶液を混合したタンクを加圧したものでも良い。
(2)また、例えば原液タンク33内の加圧室と消火剤室を、フラムの様なもので仕切ったものを使用しても良い。このような構成にすることで、必要以上にガスを放出しないので、放水停止弁を設ける必要が無くなる。
(3)また、本願発明はアスピレータ式且つインサイドエア式としたが、この方式に限定される必要は無く、ファン式やアウトサイドエア式と組み合わせて利用しても良いことは言うまでもない。
(4)また、本願発明は一時停止タイマーを設け、この一時停止タイマーが所定時間経過すると高膨張泡Bを自動で再放出するようにしたが、必ずしも一時停止タイマーを設ける必要はない。この場合、放出停止スイッチを一度操作した後、再度放出停止スイッチを操作することで高膨張泡Bが放出されるので、入居者が多数いた場合でも救助する時間が限定されない。
【符号の説明】
【0043】
S 防護領域、T 散水障害物、B 高膨張泡、100 泡消火装置、1 火災警報器、2 発泡機、3 タンクユニット、4 制御盤、31 ガスボンベ、32 水タンク、33 原液タンク、34 起動弁、35 放水停止弁、36 レギュレータ、37 メンテナンス弁、38 排気弁、39 試験弁、41 受信部、42 送信部、43 タイマー部、44 スイッチ部、45 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防護領域の火災を検出する火災検出手段と、該火災検出手段からの出力によって泡水溶液を供給する供給手段と、前記防護領域の上層部に設けられ、前記供給手段から前記泡水溶液が供給される放射ノズルを内部に有する発泡機とを備え、該発泡機は、前記防護領域内の空気で所定の発泡倍率の高膨張泡を発泡させて前記防護領域に放出する泡消火装置であって、
前記発泡機は、人が存在する前記防護領域に所定の泡積み速度で高膨張泡を放出することを特徴とする泡消火装置。
【請求項2】
前記防護領域は、散水障害物のある防護領域であることを特徴とする請求項1記載の泡消火装置。
【請求項3】
前記所定の泡積み速度は、1〜2[m/min]としたことを特徴とする請求項1または2記載の泡消火装置。
【請求項4】
前記発泡倍率は、200倍から1000倍としたことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の泡消火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−100819(P2012−100819A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250989(P2010−250989)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】