説明

波長多重光通信システム

【課題】瞬時レベル変動である場合にのみ一定レベルになるような制御を行うと共に、過渡応答波形が後段に伝搬されていくのを抑制する波長多重光通信システムを得る。
【解決手段】前段の波長多重装置1Aの比較判定部17aのレベル閾値T1よりも後段の波長多重装置1Bの比較判定部17bのレベル閾値T2の方が大きくなるように設定したので、前段になる程、可変光減衰器11の制御を実施しやすくし、光ファイバへの応力等による瞬時レベル変動を緩和し、一定レベルになるように制御することができる。また、後段になる程、可変光減衰器11の制御そのものによる過渡応答波形に応じた誤った可変光減衰器11の制御を実施しにくくし、可変光減衰器11の制御そのものによる過渡応答波形が後段に伝搬されていくのを抑制することができる効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の波長を伝送路である1本の光ファイバに多重して伝送する波長多重光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
波長多重光通信システムは、近年の通信容量の増大に対応するシステムとして実用化されている。このようなシステムでは、信号品質を確保するために、波長多重されたそれぞれの波長毎の光レベルを適切に管理する必要がある。
【0003】
光伝送路である光ファイバ内に波長多重した光信号を長距離伝送した場合の信号レベルの変動要因として、光ファイバへの応力等による瞬時レベル変動がある。これは、敷設工事等のメンテナンス時に光ファイバに応力をかけた場合や、架空ケーブル等の積雪により応力がかかり、光ファイバに局所的な曲げ損失の増加、または、減少が発生することが原因である。このような場合に、瞬時レベル変動が発生し、信号の受信器で信号再生能力を超え、信号エラーが発生することになる。
【0004】
そのため、波長多重光通信システムは、伝送路区間での光損失を一定に制御するALC(Automatic Level Control)機能を有している。このALC機能は、前段の波長多重装置の光出力レベルと本波長多重装置の光入力レベルとを比較して瞬時レベル変動を検知した場合に、可変光減衰器等のレベル等価部を制御することにより、瞬時レベル変動を緩和し、一定レベルになるようにするものである。
【0005】
また、信号レベルの変動要因として、上述したファイバへの応力等による瞬時レベル変動以外に、多重波長数の変化によるレベル変動、すなわち、波長数レベル変動がある。このような多重波長数が変化する場合に、既存波長の光信号の伝送特性に影響を与えないようにする必要がある。
【0006】
ところで、上記ALC機能のうちのトータル光パワーレベルで制御を実施する方式のALC機能では、波長数レベル変動時にも誤ってALC機能のよる伝送路損失の制御を実施することにより、1波あたりの伝送光レベルを変化させてしまう課題が生じる。そこで、瞬時レベル変動であるか、または、波長数レベル変動であるかを判別し、瞬時レベル変動である場合にのみALC機能のよる伝送路損失の制御を実施する必要がある。この判別方法として、光レベルの変動パターンが、瞬時レベル変動であるか、波長数レベル変動であるかを判別する固定のレベル閾値を各波長多重装置に設けることで実現している。
【0007】
なお、これに関連する技術文献として、特許文献1には、受信される光信号の波長毎のレベルに応じた傾斜と予め設定された傾斜とを比較し、異常であると判定した場合に、まず、減衰量可変値を全ての可変光減衰器に均等配分し、その後、障害発生箇所が特定されると、その特定箇所に近い可変光減衰器に減衰量可変値の重みづけを行うと共に、全ての可変光減衰器の減衰量可変値が最適条件となるように再設定を行うようにしたWDM光伝送システムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−258739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の波長多重光通信システムは、以上のように構成されていたので、ALC機能のよる伝送路損失の制御の実施により、瞬時レベル変動を緩和することはできるが、その瞬時レベル変動を緩和する際に過渡応答波形が発生する。しかし、各波長多重装置には、波長数レベル変動を判別するために固定のレベル閾値が設けられているので、後段の波長多重装置では、発生した過渡応答波形を瞬時レベル変動であると誤って判別し、さらにALC機能のよる伝送路損失の制御を実施することにより、過渡応答波形が伝搬していく課題があった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解消するために設けられたものであり、瞬時レベル変動と波長数レベル変動とを判別し、瞬時レベル変動である場合にのみ一定レベルになるような制御を行うと共に、過渡応答波形が後段に伝搬されていくのを抑制する波長多重光通信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る波長多重光通信システムは、前段の光伝送路を介して波長多重光を入力し、レベル制御指令に応じてその波長多重光が一定レベルになるように制御するレベル等化部と、レベル等化部を通じた波長多重光を分波および合波する光パス制御部と、光パス制御部を通じた波長多重光を所定のレベルに増幅し、後段の光伝送路に出力する光増幅部と、前段の光伝送路を介して入力される波長多重光のレベル変動率を検出するレベル検出部と、レベル検出部により検出されるレベル変動率が予め設定されたレベル閾値よりも大きい場合にレベル等化部にレベル制御指令を出力する比較判定部とを備えた波長多重装置を複数段連続接続し、それら複数段連続接続された波長多重装置のうちのn(nは2以上の任意の自然数)段連続接続された波長多重装置の比較判定部のレベル閾値は、α>Tn>Tn−1>・・・>T2>T1>βに設定されたものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、この発明によれば、前段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値よりも後段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値が大きくなるように設定したので、前段になる程、レベル等化部の制御を実施しやすくし、光ファイバへの応力等による瞬時レベル変動を緩和し、一定レベルになるように制御することができる。また、後段になる程、レベル等化部の制御そのものによる過渡応答波形に応じた誤ったレベル等化部の制御を実施しにくくし、レベル等化部の制御そのものによる過渡応答波形が後段に伝搬されていくのを抑制することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1による波長多重装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による波長多重光通信システムを示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態2による波長多重光通信システムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による波長多重装置を示す構成図であり、図において、波長多重装置1は、光ファイバからなる光伝送路2に接続されるものである。また、波長多重装置1は、電気信号を送受信するクライアントネットワーク3に接続されるものである。
【0015】
波長多重装置1において、可変光減衰器(VOA:Variable Optical Attenutor:レベル等化部)11は、光伝送路2を介して波長多重光を入力し、後述する比較判定部17からレベル制御指令が入力された場合に、波長多重光の瞬時レベル変動を緩和し、一定レベルになるように制御するものである。光増幅部(AMP:Amplifier)12は、可変光減衰器11を通じた波長多重光を所定のレベルに増幅するものである。
【0016】
光パス制御部(O−ADM:Optical Add Drop Multiplexing)13は、波長多重光を分波して各波長の光信号を出力すると共に、各波長の光信号を入力して合波するものである。クライアントインタフェース部14は、クライアントネットワーク3側から入力される電気信号を光信号に変換すると共に、特定波長の光波長をその変換した光信号により変調して光パス制御部13に出力し、また、光パス制御部13から入力される特定波長の光信号を、検波して光信号のみ分離すると共に、電気信号に変換し、クライアントネットワーク3側に出力するものである。光増幅部(AMP:Amplifier)15は、光パス制御部13を通じた波長多重光を所定のレベルに増幅し、光伝送路2に出力するものである。
【0017】
レベル検出部16は、光伝送路2を介して入力される波長多重光のレベル変動率を検出するものである。比較判定部17は、レベル検出部16により検出されるレベル変動率が予め設定されたレベル閾値よりも大きい場合に可変光減衰器11にレベル制御指令を出力するものである。なお、図1に示した波長多重装置1を光伝送路2を介して複数段連続接続することで波長多重光通信システムが構成される。各波長多重装置1において比較判定部17に設定されるレベル閾値は、それぞれ個別のレベル閾値が設定されるが、詳しくは動作において説明する。
【0018】
次に動作について説明する。
図1において、可変光減衰器11は、光伝送路2を介して波長多重光を入力し、比較判定部17からレベル制御指令が入力された場合に、ALC機能により区間損失による波長多重光の瞬時レベル変動を緩和し、一定レベルになるように制御する。光増幅部12は、可変光減衰器11を通じた波長多重光を、光パス制御部13の入力値として満たす所定のレベルに増幅する。
【0019】
光パス制御部13は、波長多重光を分波して各波長の光信号を出力し、クライアントインタフェース部14は、光パス制御部13から入力される特定波長の光信号を、検波して光信号のみ分離すると共に、電気信号に変換し、クライアントネットワーク3側に出力する。また、クライアントインタフェース部14は、クライアントネットワーク3側から入力される電気信号を光信号に変換すると共に、特定波長の光波長をその変換した光信号により変調して光パス制御部13に出力する。光パス制御部13は、各波長の光信号を入力して合波する。ここで、クライアントインタフェース部14において、新たな特定波長の光信号を追加したり、削除することにより、多重波長数の変化が生じる。光増幅部15は、光パス制御部13を通じた波長多重光を所定の送信レベルにまで増幅し、光伝送路2に出力する。
【0020】
図2はこの発明の実施の形態1による波長多重光通信システムを示す構成図であり、図において、波長多重装置1を光伝送路2を介して複数段連続接続された波長多重光通信システムのうちの3段連続接続された波長多重装置1A〜1Cのみを示したものである。
図1におけるレベル検出部16および比較判定部17については、波長多重装置1A〜1C毎に動作が異なるので、以下、図2に基づいて説明する。
【0021】
波長多重装置1Aのレベル検出部16aは、光伝送路2を介して入力される地点aの波長多重光のレベル変動量を検出する。ここで、測定時間間隔x1[s]でのレベル変動量y1[dB]を測定し、測定される測定時間間隔x1[s]およびレベル変動量y1[dB]からレベル検出部16aは、レベル変動率A=y1/x1を検出あるいは演算する。
【0022】
比較判定部17aでは、予めレベル閾値T1が設定されている。このレベル閾値T1は、光伝送路2への応力等による瞬間的なレベル変動(瞬時レベル変動)時に想定されるレベル変動量をα、多重波長数の変化によるレベル変動(波長数レベル変動)時に想定されるレベル変動量をβとした場合に、α>T1>βを満たすように設定される。
【0023】
比較判定部17aでは、レベル検出部16aにより検出されたレベル変動率Aと予め設定されたレベル閾値T1とを比較し、レベル検出部16aにより検出されるレベル変動率Aが予め設定されたレベル閾値T1よりも大きい場合(A>T1)に、可変光減衰器11aにレベル制御指令を出力する。可変光減衰器11aは、比較判定部17aからレベル制御指令が入力された場合に、ALC機能により区間損失による波長多重光の瞬時レベル変動を緩和し、一定レベルになるように制御する。
【0024】
図2は(1A入力波形)のレベル変動率Aがレベル閾値T1よりも大きいと判定され、可変光減衰器11aによりALC機能による制御を実施し、区間損失による波長多重光の瞬時レベル変動を緩和しつつ、ALCによる(1B入力波形)に示す過渡応答波形を含む出力波形を出力したものを示している。なお、比較判定部17aでは、レベル検出部16aにより検出されるレベル変動率Aが予め設定されたレベル閾値T1以下の場合(A≦T1)に、入力される波長多重光をそのまま通過させても伝送品質に影響を与えることはないので、可変光減衰器11aにレベル制御指令を出力することなく、可変光減衰器11aは、ALCを実施することなく、入力される波長多重光を通過させる。
【0025】
波長多重装置1Bのレベル検出部16bは、前段の波長多重装置1Aから光伝送路2を介して入力される地点bの波長多重光のレベル変動量を検出する。ここで、測定時間間隔x2[s]でのレベル変動量y2[dB]を測定し、測定される測定時間間隔x2[s]およびレベル変動量y2[dB]からレベル検出部16bは、レベル変動率B=y2/x2を検出あるいは演算する。
【0026】
比較判定部17bでは、予めレベル閾値T2が設定されている。このレベル閾値T2は、光伝送路2への応力等による瞬間的なレベル変動(瞬時レベル変動)時に想定されるレベル変動量をα、多重波長数の変化によるレベル変動(波長数レベル変動)時に想定されるレベル変動量をβとした場合に、α>T2>T1>βを満たすように設定される。
【0027】
比較判定部17bでは、レベル検出部16bにより検出されたレベル変動率Bと予め設定されたレベル閾値T2とを比較し、レベル検出部16bにより検出されるレベル変動率Bが予め設定されたレベル閾値T2よりも大きい場合(B>T2)に、可変光減衰器11bにレベル制御指令を出力する。可変光減衰器11bは、比較判定部17bからレベル制御指令が入力された場合に、ALC機能により区間損失による波長多重光の瞬時レベル変動を緩和し、一定レベルになるように制御する。
【0028】
ところで、比較判定部17bでは、レベル閾値T2がT2>T1の条件で設定されている。よって、図2において、波長多重装置1Aと波長多重装置1Bとの間の光伝送路2に区間損失による波長多重光の瞬時レベル変動が無く、ALCによる過渡応答波形を含む(1B入力波形)が入力される場合では、レベル閾値T2をレベル閾値T1よりも高くした分だけレベル変動率Bがレベル閾値T2よりも大きいと判定される可能性が小さくなるので、可変光減衰器11bによるALCの実施を回避し、ALCによる過渡応答波形が後段に伝搬されるのを抑制することができる。図2の(1C入力波形)は、可変光減衰器11bによるALCの実施を回避したことにより、波長多重装置1Aからの過渡応答波形が減衰した波形を出力したものを示している。なお、比較判定部17bでは、(1B入力波形)のレベル変動率Bがレベル閾値T2よりも大きいと判定される場合は、可変光減衰器11bによりALC機能による制御を実施し、区間損失による波長多重光の瞬時レベル変動を緩和しつつ、ALCによる過渡応答波形を含む出力波形を出力することになる。
【0029】
波長多重装置1Cのレベル検出部16cは、前段の波長多重装置1Bから光伝送路2を介して入力される地点cの波長多重光のレベル変動量を検出する。ここで、測定時間間隔x3[s]でのレベル変動量y3[dB]を測定し、測定される測定時間間隔x3[s]およびレベル変動量y3[dB]からレベル検出部16cは、レベル変動率C=y3/x3を検出あるいは演算する。
【0030】
比較判定部17cでは、予めレベル閾値T3が設定されている。このレベル閾値T3は、光伝送路2への応力等による瞬間的なレベル変動(瞬時レベル変動)時に想定されるレベル変動量をα、多重波長数の変化によるレベル変動(波長数レベル変動)時に想定されるレベル変動量をβとした場合に、α>T3>T2>T1>βを満たすように設定される。
【0031】
比較判定部17cでは、レベル検出部16cにより検出されたレベル変動率Cと予め設定されたレベル閾値T3とを比較し、レベル検出部16cにより検出されるレベル変動率Cが予め設定されたレベル閾値T3よりも大きい場合(C>T3)に、可変光減衰器11cにレベル制御指令を出力する。可変光減衰器11cは、比較判定部17cからレベル制御指令が入力された場合に、ALC機能により区間損失による波長多重光の瞬時レベル変動を緩和し、一定レベルになるように制御する。
【0032】
ところで、比較判定部17cでは、レベル閾値T3がT3>T2>T1の条件で設定されている。よって、図2において、波長多重装置1Bと波長多重装置1Cとの間の光伝送路2に区間損失による波長多重光の瞬時レベル変動が無く、減衰されたALCによる過渡応答波形を含む(1C入力波形)が入力される場合では、レベル閾値T3をレベル閾値T1よりも高くした分だけレベル変動率Cがレベル閾値T3よりも大きいと判定される可能性が小さくなるので、可変光減衰器11cによるALCの実施を回避し、ALCによる過渡応答波形が後段に伝搬されるのを抑制することができる。図2の(1C出力波形)は、可変光減衰器11cによるALCの実施を回避したことにより、波長多重装置1Aからの過渡応答波形がさらに減衰した波形を出力したものを示している。なお、比較判定部17cでは、(1C入力波形)のレベル変動率Cがレベル閾値T3よりも大きいと判定される場合は、可変光減衰器11cによりALC機能による制御を実施し、区間損失による波長多重光の瞬時レベル変動を緩和しつつ、ALCによる過渡応答波形を含む出力波形を出力することになる。
【0033】
なお、図2では、3段連続接続された波長多重装置について説明したが、n(nは2以上の任意の自然数)段連続接続された波長多重装置を対象としても良く、その場合の波長多重装置の比較判定部の閾値は、α>Tn>Tn−1>・・・>T2>T1>β、但し、Tn〜T1は、n段連続接続された波長多重装置のうちの最前段の波長多重装置の比較判定部の閾値をT1とし、以下、順に接続される後段の波長多重装置の比較判定部の閾値をT2・・・Tn−1とし、最後段の波長多重装置の比較判定部の閾値をTnとしたものに設定すれば良い。
【0034】
以上のように、この実施の形態1によれば、前段の波長多重装置1Aの比較判定部17aのレベル閾値T1よりも後段の波長多重装置1Bの比較判定部17bのレベル閾値T2が大きくなるように設定したので、前段になる程、可変光減衰器11のACLを実施しやすくし、光ファイバへの応力等による瞬時レベル変動を緩和し、一定レベルになるように制御することができる。また、後段になる程、上記瞬時レベル変動ではないにもかかわらず、可変光減衰器11のACLそのものによる過渡応答波形に応じた可変光減衰器11のACLを実施しにくくし、可変光減衰器11のACLそのものによる過渡応答波形が後段に伝搬されていくのを抑制することができる。
【0035】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、前段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値よりも後段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値の方が常に大きくなるように設定したものについて説明したが、可変光減衰器11のACLそのものによる過渡応答波形が既に抑制されていると見込まれる波長多重装置数の単位で、レベル閾値を繰り返すように設定しても良い。
【0036】
図3はこの発明の実施の形態2による波長多重光通信システムを示す構成図であり、図において、波長多重装置1Aの比較判定部17aのレベル閾値T1と、波長多重装置1Bの比較判定部17bのレベル閾値T2は、上記実施の形態1と同様に、α>T2>T1>βに設定されている。ここで、波長多重装置1Aおよび波長多重装置1Bの2台の波長多重装置の単位で可変光減衰器11のACLそのものによる過渡応答波形が既に抑制されていると見込まれる場合に、波長多重装置1Cの比較判定部17cのレベル閾値T3を波長多重装置1Aの比較判定部17aのレベル閾値T1と同一になるように設定し、後段の波長多重装置1D(図示せず)の比較判定部17d(図示せず)のレベル閾値T4を波長多重装置1Bの比較判定部17bのレベル閾値T2と同一になるように設定する。
【0037】
このように、可変光減衰器11のACLそのものによる過渡応答波形が既に抑制されていると見込まれる2台の波長多重装置の単位で、前段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値よりも後段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値の方が大きくなるように、且つこれを繰り返すように設定する。
【0038】
以上のように、この実施の形態2によれば、可変光減衰器11のACLそのものによる過渡応答波形が既に抑制されていると見込まれる2台の波長多重装置の単位で、前段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値よりも後段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値の方が大きくなるように、且つこれを繰り返すように設定したので、2台の波長多重装置の連続接続段数を単位として閾値が大きくなるように設定することができ、前段による可変光減衰器11のACLの実施のしやすさと、後段による可変光減衰器11のACLの実施のしにくさとの両者の効果をさらに活かすことができ、可変光減衰器11のACLそのものによる過渡応答波形が後段に伝搬されていくのを即座に抑制することができる。
【0039】
なお、上記実施の形態2によれば、2台の波長多重装置の単位でレベル閾値を繰り返すように設定したが、n(nは2以上の任意の自然数)台の波長多重装置の単位でレベル閾値を繰り返すように設定しても良く、同様な効果が得られる。
【0040】
また、n台等の予め決められた台数を単位とすることなく、可変光減衰器11のACLそのものによる過渡応答波形が既に抑制されていると見込まれる波長多重装置の単位であれば何台を単位としても良く、例えば、初めの3台を一つの単位とし、次の5台を一つの単位とし、さらに次の2台を一つの単位とする等、その単位の波長多重装置間で前段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値よりも後段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値の方が大きくなるように、且つこれを繰り返すように設定するようにしても良く、同様な効果が得られると共に、レベル閾値の設定にさらに自由度を得ることができる。
【0041】
さらに、単位毎に異なるレベル閾値を設定するようにしても良い。例えば、初めの3台を一つの単位とし、レベル閾値をT3>T2>T1に設定し、次の4台を一つの単位とし、レベル閾値をT7>T6>T5>T4に設定するようにしても良く、同様な効果が得られると共に、レベル閾値の設定にさらに自由度を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1A〜1C 波長多重装置、2 光伝送路、3 クライアントネットワーク、11,11a〜11c 可変光減衰器(レベル等化部)、12,12a〜12c,15,15a〜15c 光増幅部、13,13a〜13c 光パス制御部、14 クライアントインタフェース部、16,16a〜16c レベル検出部、17,17a〜17c 比較判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前段の光伝送路を介して波長多重光を入力し、レベル制御指令に応じてその波長多重光が一定レベルになるように制御するレベル等化部と、
上記レベル等化部を通じた波長多重光を分波および合波する光パス制御部と、
上記光パス制御部を通じた波長多重光を所定のレベルに増幅し、後段の光伝送路に出力する光増幅部と、
上記前段の光伝送路を介して入力される波長多重光のレベル変動率を検出するレベル検出部と、
上記レベル検出部により検出されるレベル変動率が予め設定されたレベル閾値よりも大きい場合に上記レベル等化部にレベル制御指令を出力する比較判定部とを備えた波長多重装置を複数段連続接続し、
それら複数段連続接続された波長多重装置のうちのn(nは2以上の任意の自然数)段連続接続された波長多重装置の比較判定部のレベル閾値は、
α>Tn>Tn−1>・・・>T2>T1>β
(但し、αは、光ファイバへの応力等による瞬間的なレベル変動時に想定され
るレベル変動率であり、Tn〜T1は、n段連続接続された波長多重装置の
うちの最前段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値をT1とし、以下、
順に接続される後段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値をT2・・・
Tn−1とし、最後段の波長多重装置の比較判定部のレベル閾値をTnとし
たものであり、βは、多重波長数の変化によるレベル変動時に想定されるレ
ベル変動率である。)
に設定されたことを特徴とする波長多重光通信システム。
【請求項2】
複数段連続接続された波長多重装置のうちのnのm(mは2以上の任意の自然数)倍段連続接続された波長多重装置の比較判定部のレベル閾値は、
n段連続接続された波長多重装置の比較判定部のレベル閾値を、nのm倍段繰り返すように設定されたことを特徴とする請求項1記載の波長多重光通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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