説明

泥水処理装置及び泥水処理方法

【課題】 水分の含まれる割合の低い泥分を泥水から分離できるようにするとともに、分離した泥分を袋詰めしてそのまま搬送し易くする泥水処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】泥水分離装置11から泥分6を搬送しつつ攪拌する攪拌搬送部14と、該攪拌搬送部14によって搬送中の泥分6に安定材12及び吸湿材13を供給する安定材供給部15及び吸湿材供給部16と、前記攪拌搬送部14で攪拌され搬送された泥分6を袋詰めする袋詰部61を有することを特徴とする泥水処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート用骨材の製造過程において排出される泥水を処理し袋詰めするための泥水処理装置及び泥水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート用骨材として用いられる砕砂の製造においては、砂利、砕石等の原砂を適度に破砕することによって得られる砕砂を水洗し、その後に砕砂を取り出すということが行われる。この過程において砕砂を洗浄した後の水が大量の泥水として排出される。このような泥水は然るべき場所に廃棄しなければならないが、周辺環境に与える影響を考慮すると適当な廃棄場所を見つけることが困難である。また、その廃棄場所が遠方になる場合、大量の泥水をトラック等により運搬しなければならず、運搬費用が膨大なものとなる。
【0003】
そこで、このような泥水の運搬を容易にするため、泥水から泥分を分離し、加圧等して水分を除去することにより泥分のみを固めて取り出す装置が知られている。しかし、このような装置により取り出した泥分は、加圧等により脱水して固めてあるだけであり、水分を含めばすぐに溶けて流れてしまうことから、雨が降れば溶けて流れ出し、運搬が困難になるとともに、周辺の環境に悪影響を与える可能性があった。
【0004】
このような問題を解決するため、本件出願人は、特許第2909585号公報に記載の泥水処理装置を既に開示している。この泥水処理装置101は、図14に示すように、泥水102に凝集剤103を注入して攪拌混合する攪拌槽104と、前記攪拌槽104から排出された泥水102を搬送する間に更に凝集反応を促進させる凝集ドラム105と、該凝集ドラム105を通過した泥水102から泥分106を分離するための分離用スクリーンでなる網目ドラム107と、該網目ドラム107の外周側に所定間隔を空けて配置されて前記網目ドラムを通過した水分を回収して排出する外側ドラム108とからなる二重構造の固液分離ドラム109と、該固液分離ドラム109で分離された泥分106を搬送する外側ドラム110と、該外側ドラム108の内部に配置され石粉製造装置115から供給された石粉111を篩いにかけて搬送中の前記泥分106に供給する分別用スクリーンでなる網目ドラム112とからなる二重構造の石粉混合ドラム113と、前記凝集ドラム105、固液分離ドラム109及び石粉混合ドラム113を回転させる駆動装置114とを備えるものである。
【0005】
この泥水処理装置101によれば、泥水102から泥分106を分離して取り出すとともに、石粉111を供給して前記泥分106の表面に石粉111の層を形成するので、泥分106を、多少の水分を含んでも容易に溶けて流れ出すことがない固形物として取り出すことができる。したがって、トラックなどに積載して容易に運搬することが可能となるとともに、屋外に放置しておいて雨が降るなどしても、溶けて流れ出して運搬を困難にしたり、周辺の環境を汚染したりすることがない。
【0006】
しかしながら、上記従来の泥水処理装置101では、回転する円筒形の分離用スクリーンでなる網目ドラム107を通過させることのみによって泥水102から泥分106を分離するものであることから、除去される水分の割合が低く、分離された泥分106の中に含まれる水分の割合が高いものとなる。そのため、泥分106に含まれる水分を吸収するために大量の石粉111を必要とし、更に、取り出された泥分106の乾燥硬化に長い時間を要するという問題があった。また、上記従来の泥水処理装置101は、泥水102から分離した泥分106を雨等の水分により容易に溶け出さない程度に固めるものであり、長期的には風化して元の泥分に戻るため、路盤材料や盛土などに再利用することはできず、産業廃棄物として処理するしかなかった。
そこで水分の含まれる割合の低い泥分を泥水から分離できるようにするとともに、分離した泥分を恒久的に固形化させて路盤材料などに再利用することができる泥水処理装置及び泥水処理方法を提案した(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特許第3433250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この泥水処理装置及び泥水処理方法においては、製造された泥分がストックヤードに山積みされて固化するために、これを利用する際には、解砕機で砕いて粒径を5mm以下の安定処理砕石微粉末としなければならない問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術課題を解決するための具体的手段は、次のようなものである。すなわち、請求項1に記載する泥水処理装置は、周方向に回転駆動される円筒形状の本体と、凝集剤を混入した泥水を供給する供給口と、本体の回転中心から該本体の内周面にかけて放射状に複数配置され、本体の回転に伴って回転することより泥水から泥分を分離する分離スクリーンと、泥水の中の水分を排出する排出口と、分離された泥分を回収して本体の外部へ排出する排出部とを備える泥水分離装置と、該泥水分離装置から泥分を搬送しつつ攪拌する攪拌搬送部と、該攪拌搬送部によって搬送中の泥分に安定材及び吸湿材を供給する安定材供給部及び吸湿材供給部と、前記攪拌搬送部で攪拌され搬送された泥分を袋詰めする袋詰部を有することにある。
【0009】
請求項2に記載する泥水処理方法は、泥水に凝集剤を混入して攪拌し、周方向に回転駆動される円筒形状の本体内で泥水中の泥分を凝集沈殿させた後、前記本体の回転中心から該本体の内周面にかけて放射状に複数配置され、該本体の回転に伴って回転する分離スクリーンにより該泥分を泥水からすくい上げて分離し、該分離した泥分に安定剤及び吸湿剤を供給して攪拌してから、袋詰めすることにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る泥水処理装置及び泥水処理方法によれば、円筒形状の本体の回転中心から該本体の内周面にかけて放射状に複数配置され、該本体の回転に伴って回転することより前記泥水から泥分を分離する分離スクリーンを備えることにより、泥分を上方へ持ち上げながら分離スクリーンにより水分を下方へふるい落とすので、水分の含まれる割合の低い泥分を泥水から分離することができる。
【0011】
更に、前記泥水分離装置から泥分を搬送しつつ攪拌する攪拌搬送部と、該攪拌搬送部によって搬送中の泥分に安定材及び吸湿材を供給する安定材供給部及び吸湿材供給部とを有することにより、泥水分離装置において泥水から分離された泥分を効率良く自動的に固形化し、泥水を処理することができる。また、攪拌搬送部により取り出した泥分は、その搬送端部の終端部で袋詰めされるので、そのままトラックの荷台に積んで、目的地まで搬送できる。したがって、荷積みの作業が著しく向上する。トラックへの荷台への袋の積載は、ユニック付きのトラックであれば自身で荷積み出来るので便利である。勿論のこと、簡易クレーンなどを用いて荷積みしても良く、その手段は限定されるものではない。
このように袋詰めされた泥分の利用用途としては、RC路面の再生クラッシャーランなどが好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る泥水処理装置について図面に基づいて説明する。本発明の実施形態に係る泥水処理装置1は、図1に示すように、周方向に回転駆動される円筒形状の本体2と、該本体2の一端側に設けられ、凝集剤60を混入した泥水3を本体2の内部へ供給する供給口4と、前記本体2の回転中心Cから該本体2の内周面5にかけて放射状に複数配置され、該本体2の回転に伴って回転することより前記泥水3から泥分6を分離する分離スクリーン7と、前記本体2の他端側に設けられ、前記泥水3の中の水分8を排出する排出口9と、前記本体2の回転中心Cに配置され、前記分離スクリーン7において分離された泥分6を回収して本体2の外部へ排出する排出部10とを備える泥水分離装置11と、該泥水分離装置11の排出部10に連続して設けられ、泥分6を搬送しつつ安定材12及び吸湿材13と攪拌する攪拌搬送部14と、該攪拌搬送部14において搬送中の泥分6に安定材12を供給する安定材供給部15と、前記攪拌搬送部14において搬送中の泥分6に吸湿材13を供給する吸湿材供給部16と、そして、前記攪拌搬送部14と連続して搬送する搬送装置69の先端部に設けた袋詰部61とを有するものである。以下更に詳細に説明する。
【0013】
まず、前記泥水分離装置11について詳細に説明する。図2及び図3に示すように、前記泥水分離装置11の本体2は円筒形状に形成されており、支持部17により周方向に回転自在に支持されている。ここで、支持部17は、本体2の長手方向一端側及び他端側にそれぞれ一対ずつ配置されており、それぞれ支持台18及び支軸19を介して回転自在に設けられた一対の支持ローラ20を有して構成されている。該支持ローラ20の外周には嵌合溝21が形成されており、本体2の外周面22に形成された2個の環状突起23にそれぞれ回転自在に係合することにより、本体2を両側から回転自在に支持するとともに本体2の軸方向の移動を規制している。ここでは、支持ローラ20の嵌合溝21と本体2の外周面22の環状突起23はそれぞれ断面U字形に形成されている。
【0014】
また、本体2の外周面22には、従動スプロケット24が設けられている。そして、本体2を周方向に回転駆動するためのモータ25の出力軸上には駆動スプロケット26が取り付けられており、駆動スプロケット26と従動スプロケット24とはチェーン27により連結され、モータ25によってチェーン27を介して本体2が矢印R方向へ回転駆動されるようになっている。
【0015】
前記供給口4は、図3及び図4に示すように、本体2の一端側において本体2の回転中心Cを中心として設けられた円形の開口部であり、該供給口4を介して凝集剤60が混入された泥水3が本体2の内部へ供給される。供給口4の直径D1は本体2の直径D2よりも小さく形成されており、例えば、本実施形態においては、本体2の直径D2は2200mmとし、供給口4の直径D1は700mmとしている。そして、供給口4から本体2に至る部分には、緩やかな傾斜を有する傾斜部28が形成されている。該傾斜部28の傾斜角度θは約5〜10°となるように形成すると好適である。また、傾斜部28の長さLは、凝集剤が混入された泥水3の凝集作用を促進させるために十分な長さを有することが必要であり、約2000〜3000mmの長さを確保すると好適である。これにより、供給口4から供給された泥水3は、傾斜部28を移動する間に十分に攪拌されるので凝集作用がほぼ完了した状態で本体2へ到達することとなる。そして、本体2に到達した泥水3は、本体2の内部において泥分6と水分8とに分離し、そのうち泥分6は比重が重いので本体2の下部に沈殿する。また、傾斜部28と本体2との接続部分には段差部29が形成されている。該段差部29は、その高さH1が本体2の下部に沈殿した泥分6の高さH2以上の高さとなるように形成されており、沈殿した泥分6が傾斜部28の方へ戻ることを防止する働きをする。本実施形態においては、前記泥分6の高さH2は100mm前後を想定しているので、段差部29の高さH1は150mmとしている。
【0016】
供給口4から供給される凝集剤60を混入した泥水3は、図1に示すように、攪拌水槽63においてあらかじめ泥水3の中に凝集剤60を投入して攪拌したものである。該攪拌水槽63は、外部攪拌槽64と内部攪拌槽65とを有する2重構造となっており、内部攪拌槽65に供給された泥水3と凝集剤60は攪拌羽根66により攪拌された後、内部攪拌槽65の下部に設けられた開口部から外部攪拌槽64へ送られた後、供給口4へ送られる。前記凝集剤60としては、例えばカチオン系、ノニオン系、アニオン系等の水溶性高分子凝集剤を使用することができる。
【0017】
前記分離スクリーン7は、図4及び図4のA−A断面図である図5に示すように、本体2の回転中心Cから本体2の内周面5にかけて放射状に複数配置されている。具体的には、分離スクリーン7は、供給口4側の第1列30、中央の第2列31及び排出口9側の第3列32の3列に分けて配置されており、第1列30においては6個、第2列31及び第3列32においては3個の分離スクリーン7がそれぞれ配置されている。ここで、第1列30の分離スクリーン7を6個としたのは、第1列30は供給口4から供給された泥水3から最初に泥分6をすくい上げる部分であるため、大量の泥分6を効率良くすくい上げることができるように分離スクリーン7の数は多い方が好ましいからである。一方、第2列31及び第3列32の分離スクリーン7を3個としたのは、第1列30の分離スクリーン7により泥分6の大半が既にすくい上げられていることから、残りの泥分6をすくい上げるためには第1列30ほどの分離スクリーン7の数は必要でないからである。
【0018】
各列の分離スクリーン7は、その中心側端部33が本体2の回転中心Cに配置された排出部10の周囲を囲むように配置された支持フレーム34に対して固定され、その外周側端部35が本体2の内周面5に対して固定されることにより回転中心Cから外側へ放射状に配置されている。ここで、支持フレーム34は、本体2の内部における排出部10の供給口側端部36及び排出口側端部37の近傍にそれぞれ配置された六角形の端部フレーム38と、該端部フレーム38の各辺ごとに両側の端部フレーム38間を連結するように配置された6個の断面L字形の直線フレーム39とを有して構成されており、両側の端部フレーム38はそれぞれ支持シャフト40により本体2の内周面5に対して固定されて支持されている。
【0019】
分離スクリーン7は、図6にも示すように、篩網からなるスクリーン本体41と、該スクリーン本体41を所定形状に保ちつつ所定位置に固定するための側板42及び連結シャフト43とを有して構成されている。前記スクリーン本体41は、本体2の径方向に対して平行に配置された第1面44と、該第1面44の径方向外側に連続して設けられ、該第1面44に対して本体2の回転方向Rに傾斜した第2面45とを有する断面「く」の字形に形成されている。第2面45の第1面44に対する傾斜角度γは約45〜60°となるように形成すると好適である。スクリーン本体41の目開きについては、第1列30及び第2列31を大きい目開きとし、第3列32をそれより小さい目開きとすると好適である。例えば本実施形態においては、第1列30及び第2列31のスクリーン本体41を線形0.8mmで目開きが約3mmとし、第3列32のスクリーン本体41を線形0.3mmで目開きが約1.5mmとしている。このようにすることにより、第3列32において、第1列30及び第2列31ですくい上げることができなかった小さい粒径の泥分6をもすくい上げることができる。
【0020】
前記側板42は、略五角形状に形成された平板であって、その中心側端部33が支持フレーム34に、外周側端部35が本体2の内周面にそれぞれ固定されるとともに、その対向する内側面にスクリーン本体41の両側端部が取り付けられている。前記連結シャフト43は、両側の側板42を連結する棒状部材であって側板42を所定間隔で固定するとともに、スクリーン本体41の背面側にも配置されて泥分6をすくい上げる際に加わる泥分6の重量を支持する役割も果たす。
【0021】
そして、分離スクリーン7は、本体2の回転に伴って本体2と一体的に回転することにより、本体2内部の下部に沈殿している泥分6をすくい上げ、泥水3から泥分6を分離する。そこで、分離スクリーン7が泥水3から泥分6をすくい上げる際の動作について説明する。図4のB−B断面図である図7に示すように、本体2の内部においては、泥水3は泥分6と水分8とにほぼ分離しており、泥分6が本体2の下部に沈殿した状態となっている。そして、分離スクリーン7は、本体2の回転に伴ってR方向に回転しつつ、位置P1付近において本体2の下部に沈殿している泥分6を、その径方向外側の第2面45によりすくい上げる。その後、分離スクリーン7はそのまま回転しつつ上昇し、位置P2付近において泥分6を水面46から上に持ち上げて泥水3から分離する。この際、泥分6に含まれる余分な水分8は、分離スクリーン7から下方へ落下する。その後、水面46より上の位置P3付近において、第2面45の上にあった泥分6が移動して第1面44の上に落下する。これは前述の通り、第2面45が第1面44に対して本体2の回転方向Rに傾斜していることから、位置P3付近においては第2面45の傾斜角度が第1面44の傾斜角度よりも大きくなることによるものである。この際、第1面44の上に落下したことによる衝撃等により泥分6の中に含まれている水分8が更に分離スクリーン7から下にふるい落とされ、泥分6に含まれる水分8の割合を更に低くすることができる。その後、排出部10のほぼ真上の位置P4付近において、泥分6は下方へ落下し、排出部10により回収される。そして、このような動作は、第1列30、第2列31及び第3列32の分離スクリーン7においてそれぞれ同様に行われる。
【0022】
前記排出口9は、図4及び図8に示すように、本体2の他端側の端部壁47に対して本体2の回転中心Cを中心として設けられた円形の開口部であり、外周側へ傾斜した突出部48を有し、該排出口9を介して泥水3の中の水分8が本体2の内部から外部へ排出される。本体2の内周面5と排出口9との段差を形成する端部壁47の高さH3は、本体2の下部に沈殿した泥分6の高さH2よりも十分に高く、なおかつ、泥水分離装置11の運転中における本体2の内部の泥水3の水位H4よりも少し低い高さとなるように形成する。本実施形態においては、前記泥水3の水位H4は700mm前後を想定しているので、端部壁47の高さH3は550mmとしている。これにより、泥水3の中から泥分6が下方に沈殿した後の上澄みの水分8のみが排出口9から外部へ排出されることとなる。
【0023】
前記排出部10は、図4及び図5に示すように、本体2の回転中心Cの近傍に配置され、前記分離スクリーン7において分離された泥分6を回収して本体2の外部へ排出するための搬送装置である。そこで、本実施形態においては、排出部10として、下部が半円形に形成された樋49と、該樋49の中に配置されたねじ状の送り羽根50とを備え、該送り羽根50を回転させることによりねじ面に沿って泥分6を押し進めるスクリューコンベアを使用している。樋49の上部は幅方向に拡開されて広い上方開口部51を形成しており、分離スクリーン7から落下してくる泥分6を確実に回収できるようになっている。そして、排出部10は、排出口9から本体2の外部へ泥分6を搬送するように設けられている。ここで、排出部10が本体2の外部へ出た所において泥分6を回収するような構成とすれば、泥水分離装置11を単体として使用することができる。
【0024】
次に、泥水処理装置1の泥水分離装置11以外の部分について説明する。図1に示すように、前記攪拌搬送部14は、泥水分離装置11の排出部10に連続して設けられ、後述する安定材供給部15及び吸湿材供給部16において供給される安定材12及び吸湿材13と攪拌しつつ泥分6を搬送する搬送装置である。そこで、本実施形態においては、前記泥水分離装置11の排出部10を構成するスクリューコンベアの長さを延長することにより、攪拌搬送部14を該排出部10と一体的に連続して設けている。すなわち、攪拌搬送部14は、前記排出部10と同様に、下部が半円形に形成されるとともに上部が幅方向に拡開されて広い上方開口部51を形成している樋49と、該樋49の中に配置されて回転されるねじ状の送り羽根50とを備えたスクリューコンベアで構成されている。このため、攪拌搬送部14において搬送される泥分6は、送り羽根50によって樋49の中で回転しながら押し進められることとなり、搬送されつつ適度に攪拌される。したがって、後述するように、攪拌搬送部14において搬送中の泥分6に安定材供給部15及び吸湿材供給部16から安定材12及び吸湿材13が供給されれば、泥分6と安定材12及び吸湿材13とが攪拌され、攪拌搬送部14の終端部52においては泥分6と安定材12及び吸湿材13とが混合された状態で排出されることとなる。
【0025】
なお、攪拌搬送部14を泥水分離装置11の排出部10と別個の構成とすることも可能である。この場合、図示しないが、例えば排出部10を通常のベルトコンベア、攪拌搬送部14をスクリューコンベアとし、攪拌搬送部14の始端部を排出部10の終端部より一段低い位置に配置して、排出部10から落下した泥分6を攪拌搬送部14の樋49において受けて連続的に搬送する構成とすることもできる。更に又、搬送部と攪拌部を分けて、搬送されて来た泥分6、安定材12及び吸湿材13を一度に攪拌するようにしても良い。これらはいずれも攪拌搬送部14の範囲に含まれるものである。
【0026】
前記安定材供給部15は、図9に示すように、攪拌搬送部14に上方から適量の安定材12を投入することにより、搬送中の泥分6に対して安定材12を供給する供給装置である。具体的には、安定材供給部15は、安定材12が収容されているサイロ本体53と、該サイロ本体53から攪拌搬送部14の上方の所定位置まで安定材12を搬送する搬送パイプ54と、該搬送パイプ54から送出された安定材12を攪拌搬送部14へ定量的に供給するためのフィーダ55とを有して構成されている。ここで、フィーダ55を設けたことにより次のような利点がある。すなわち、安定材12は、泥分6に対して一定の割合で混合させることが必要であるが、搬送パイプ54から送出される安定材12の量は一定しないため、安定材12を一旦フィーダ55上に供給することにより、搬送パイプ54から送出される安定材12の量の変動を吸収し、泥分6に対して適量の安定材12を常に一定の割合で供給することができる。
【0027】
ここで、安定材12としては、ポルトランドセメント、高炉セメントなどの各種セメント、セメント系安定材、生石灰、石灰系安定材などを使用することができる。この中で、生石灰又は石灰系安定材を使用すれば、水硬性複合路盤材の材料規格に合致し、本発明に係る泥水処理装置1において処理した後の泥分6を水硬性複合路盤材として再利用することができるので好適である。また、セメントやセメント系安定材などのセメント成分を含む安定材12を使用する場合には、本発明に係る泥水処理装置1において処理した後の泥分6を盛土や埋め戻しなどに再利用した際に土壌中に六価クロムが溶出することを防止するため、六価クロムの溶出が少ない安定材12を使用すると好適である。
【0028】
前記吸湿材供給部16は、攪拌搬送部14に上方から適量の吸湿材13を投入することにより、搬送中の泥分6に対して吸湿材13を供給する供給装置である。具体的には、吸湿材供給部16は、吸湿材13が収容されているサイロ本体53と、該サイロ本体53から攪拌搬送部14の上方の所定位置まで吸湿材13を搬送する搬送パイプ54とを有して構成されている。本実施形態においては、このような吸湿材供給部16を3個隣接させて配置している。このように3個の吸湿材供給部16を配置することにより、吸湿材13を供給する量を攪拌搬送部14において搬送中の泥分6の含水比などに合わせて適宜調節することが可能となる。なお、安定材供給部15と異なりフィーダ55を設けていないのは、吸湿材13は安定材12とは異なり泥分6に対して大量に混合させるものであるため、供給量の多少の変動はあまり問題とならないことによるものである。
【0029】
前記吸湿材13としては、ここでは、石粉を使用している。石粉は、岩石を細かく砕いて粉状にしたものであり、乾燥した状態のものを使用する。このような乾燥した石粉を泥分6に混入させることにより、泥分6に含まれている水分を吸収して全体の含水比を低下させることができる。石粉を製造するためには、例えば、すでに本出願人により開示されている特公平7-75674又は特公平7-75675の「コンクリート用砕砂製造装置」を使用すると好適である。なお、吸湿材13として、石粉以外のもの、例えば植物繊維をペレット状に固めたものや給水性ポリマーなどを使用することも可能であるが、路盤材料として使用するためには石粉が最も好適である。
【0030】
泥分6に対する安定材12及び吸湿材13の供給量は、具体的には以下のようになる。すなわち、泥水分離装置11から排出されてきた泥分6を「100」とすると、これに対して安定材12を「5」、吸湿材13を「20」の割合で供給する。例えば、本実施形態においては、泥水分離装置11から排出されてきた時点における泥分6「100g」の内には、水分が約1/3の「33g」含まれており、含水比は49.3%である。これに対して安定材12を「5g」と吸湿材13を「20g」加えると含水比は35.8%となり、安定材12により固形化するのに適した含水比となる。なお、含水比とは、水の質量を水以外の固形分の質量により割った値である。このようにすることにより、少ない量の安定材12で大量の泥分6を固形化することができる。
【0031】
前記袋詰部61は、前記攪拌搬送部14に連続して設けられ、攪拌後の泥分6を袋詰するものである。具体的には、図9及び図10に示すように、袋詰部61は、攪拌搬送部14の終端部52を中心に放射状に配置された袋支持枠70により仕切られて扇形に配置された袋置場71と、攪拌搬送部14の終端部52と袋置場71とをつないで配置されて攪拌搬送部14から排出された泥分6を袋置場71へ搬送する搬送装置69とを有して構成される。ここでは、該搬送装置69として、下部が半円形に形成された樋67と、該樋67の中に配置されて回転されるねじ状の送り羽根68とを備えたスクリューコンベアを用いている。そして、搬送装置69は、その始端部72が攪拌搬送部14の終端部52の下方に配置され、該始端部72の下部に設けられた回転軸73を中心に水平面上で回転可能に支持されているので、搬送装置69を回転させてその終端部74を袋置場71の上方へ移動させることにより、攪拌搬送部14から排出された泥分6を袋置場71の袋支持枠70に開口して引っ掛け支持されている袋Fの内部へと搬送することができるようになっている。なお、搬送装置69は前記スクリューコンベアに限定されるものではなく、例えばベルトコンベア等他の搬送装置を使用することも可能である。
【0032】
また、搬送装置69の長さ方向中央部近傍の下部には支持ローラ75が設けられており、該支持ローラ75は袋置場71の端壁を構成する円弧状壁76の上面に載置され、搬送装置69を移動可能に支持している。更にここでは、支持ローラ75をモータ等により回転させることにより、搬送装置69を自動的に回転させ、その終端部74を各袋置場71の袋支持枠70に開口支持されている袋Fの上方へ移動させることができるようにしている。これによって、多数の袋Fを袋置場71に並べられるので、搬送装置69からの搬送量が多い場合であっても、順次、搬送装置69を回転させて袋Fから袋Fへと袋詰めできる。しかし、搬送量が余り多くない場合には、搬送装置69の設置を止めて、攪拌搬送部14の終端部74に袋詰部61を設けて、一袋ずつ満杯になるまで袋詰めするようにしても良い。
なお、この搬送装置69を使用しないで、攪拌搬送部14の終端部52に袋詰部61を設けるようにしても良い。また、図示していないが、袋詰部61の上方には屋根などを設け、泥分6に雨などがかからないようにすると好適である。
【0033】
上述のようにして袋詰された泥6は、図1に示すように、ユニックUを使うなどしてトラックTの荷台に載置して、そのままトラックTで目的地へと搬送することができる。このような、袋Fに詰めた泥分6の使用例としては、RC路面再生クラッシャーランなどに有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係る泥水処理装置を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る泥水分離装置を示す正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る泥水分離装置を示す左側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る泥水分離装置を示す断面図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る泥水分離装置の分離スクリーンを示す斜視図である。
【図7】泥水分離装置の使用状態を示す図4のB−B断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る泥水分離装置を示す右側面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る泥水処理装置のうち、泥水分離装置以外の部分を示す正面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る泥水処理装置の袋詰部を示す平面図である。
【図11】従来例に係る泥水処理装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 泥水処理装置
2 泥水分離装置の本体
3 泥水
4 供給口
6 泥分
7 分離スクリーン
8 水分
9 排出口
10 排出部
11 泥水分離装置
12 安定材
13 吸湿材
14 攪拌搬送部
15 安定材供給部
16 吸湿材供給部
17 支持部
28 傾斜部
34 支持フレーム
41 スクリーン本体
44 スクリーン本体の第1面
45 スクリーン本体の第2面
56 搬送部
58 攪拌部
61 袋詰部
63 攪拌水槽
69 搬送装置
71 袋置場
C 泥水分離装置の本体の回転中心
R 泥水分離装置の本体の回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に回転駆動される円筒形状の本体と、凝集剤を混入した泥水を供給する供給口と、本体の回転中心から該本体の内周面にかけて放射状に複数配置され、本体の回転に伴って回転することより泥水から泥分を分離する分離スクリーンと、泥水の中の水分を排出する排出口と、分離された泥分を回収して本体の外部へ排出する排出部とを備える泥水分離装置と、該泥水分離装置から泥分を搬送しつつ攪拌する攪拌搬送部と、該攪拌搬送部によって搬送中の泥分に安定材及び吸湿材を供給する安定材供給部及び吸湿材供給部と、前記攪拌搬送部で攪拌され搬送された泥分を袋詰めする袋詰部を有することを特徴とする泥水処理装置。
【請求項2】
泥水に凝集剤を混入して攪拌し、周方向に回転駆動される円筒形状の本体内で泥水中の泥分を凝集沈殿させた後、前記本体の回転中心から該本体の内周面にかけて放射状に複数配置され、該本体の回転に伴って回転する分離スクリーンにより該泥分を泥水からすくい上げて分離し、該分離した泥分に安定剤及び吸湿剤を供給して攪拌してから、袋詰めすることを特徴とする泥水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−117896(P2007−117896A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314003(P2005−314003)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(391060638)ナカヤ実業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】