説明

泥状汚泥処理方法、及び泥状汚泥処理装置

【課題】ヘドロや沈砂池等の前処理汚泥等を堆肥化処理するためには、高含水、粘着性、土砂分による圧密沈降、通気性等を解決する必要があり、また泥状汚泥だけでは、一般の堆肥原料ほどの有機物は含まれていないため十分に堆肥発酵しない。
【解決手段】水中で攪拌・破断された古紙等は、柔らかなかたまりとなり、水中で膨潤することから、泥状汚泥と水槽内で混合すれば、土砂分と古紙の粒状物が絡み合って圧密沈降を防止でき、また保水力が強いため成形性がよく、堆肥原料に必要な有機物の供給源ともなる。これを団子にして堆肥場に仕込むと、丸い団子を積み重ねることで隙間ができ、通気性が確保され、また栄養塩、発酵促進剤や種堆肥等を混合させることで、堆肥化するための条件が整い、また堆肥場を砂が露出する壁で覆うことにより保温がされ、発酵に伴って昇温する高含水の団子の水分は蒸発し、蒸発水分は結露することなく砂に吸収されて大気へ放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘドロや下水道から排出される沈砂池等の前処理汚泥等の土砂を含んだ高含水の泥状汚泥と水中で柔らかな粒状物となる古紙を水が注水された水槽内で混合し、更に発酵補助剤としてのぬかや窒素、りん等の栄養塩、種堆肥を添加し、これらの混合物を古紙の粒状物の保水力により、団子状に成形して、堆肥化することにより、高含水で悪臭があり、かつ有機物が多く含まれる土砂を含んだ泥状汚泥を無害な土とする一連の処理方法及び処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
湖沼や運河等に堆積するヘドロや、下水道から排出される沈砂池等の前処理汚泥等は、有機質や水分が多く、粘土や砂等を含んだ土砂混じりの泥状物である。
【0003】
特にヘドロは、粘土質の土砂分が多いために、そのままでは沈降分離や脱水処理が難しく、脱水処理を行っても、そのろ液中には濁質成分が多く排出される。このろ液中の濁質成分を沈降分離するためには、大量の凝集剤の添加を必要とし、脱水されたヘドロの脱水ケーキには、粘土分が多いため、高含水のままであり、固化剤の添加を必要とする。また有機質は分解されないために、埋め立て等による最終処分とならざるを得ない。
下水道から排出される沈砂池等の前処理汚泥についても、混入する土砂分は分離した後、洗浄され、有機質分は脱水・焼却処理がされる。しかし洗浄土砂には悪臭成分が付着しているため、そのままでは再利用が難しく、埋め立て等による最終処分となる。
【0004】
このようなヘドロ等を処分する技術として、汚泥に、グリオキザール処理を施した水溶性のセルロース系樹脂からなる添加剤と、ポルトランド系セメントを転化して混合攪拌し、これに高吸水性受信を混入してゲル化した後、自然乾燥等の手段により乾燥させて汚泥を固化する技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、良質な堆肥を効率よく製造する方法として、解繊して綿状にした髪を、陸上生物の収穫物、排泄物または枯死体と混合し、その混合物を堆肥化する堆肥の製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、古紙および生ゴミの有効な処理方法として、古紙を切断して紙片とし、該紙片を生ゴミと攪拌混合して混合物を得、その際該生ゴミに含まれる水分は該紙片に吸水され、次いで、該混合物を微生物の増殖基質として用いて、該微生物を加温下に増殖させることにより該混合物を分解して有機質堆肥化させ、これにより、古紙および生ゴミが同時処理できる方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
有機物を多く含むヘドロ等の泥状物は、悪臭が強く、単に固めるだけでは、有機物や悪臭成分の除去はできない。そもそもヘドロは自然物の土砂中に過剰な有機物等が混入した結果、腐敗し、堆積物となったものである。もともと自然な土であったものを、凝集剤や固化剤等の化学薬品等を添加しないで、自然な土に返すことが望ましい。下水道から排出される沈砂池等の前処理汚泥からの洗浄土砂も付着する有機物や悪臭成分が除かれれば、自然な土としての再利用が可能となる。
これら土砂混じりの泥状汚泥の処理物を無害な自然な土とすることができれば、逼迫している最終処分場へ埋め立て処分をする必要がなくなる。
【0006】
【特許文献1】特開平6−339698号公報
【特許文献2】特開平7−165481号公報
【特許文献3】特開平11−79875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ヘドロや下水道から排出される沈砂池等の前処理汚泥等(以下土砂混じりの泥状汚泥)は、粘土や砂等と共に、有機物や悪臭成分を多く含み、かつ水分が多い土砂混じりの泥状汚泥である。これらの有機物は、長期間に渡って堆積・腐敗した難分解性の有機物であり、悪臭成分を伴い、また粘土や砂粒子等に有機物が強固に付着しているため、単に脱水処理や洗浄だけでは無害化しない。
【0008】
有機物や悪臭成分は、堆肥化処理等の微生物による分解で除去ができるが、土砂混じりの泥状汚泥そのものを直接堆肥化処理の対象にしなければ、無害化処理にはならない。そのため、堆肥化処理をするためには、以下の課題を解決する必要がある。
【0009】
堆肥化処理の原料に求められる要素として、十分な有機物があり、炭素/窒素比(C/N比)が20〜40位であること、水分率は60%程度で過剰な水分によって嫌気状態にならないこと、通気性が確保できるよう原料の見掛け比重は、0.5kg/リットル程度であること等が必要条件となる。土砂混じりの泥状汚泥はそのままでは、水分率は95〜100%以上、見掛け比重は1.0kg/リットル以上であり、堆肥化処理の原料にはならない。
しかし堆肥原料とならない土砂混じりの泥状汚泥を堆肥原料とするためには、以下の課題を解決していく必要がある。
【0010】
含水量の高い土砂混じりの泥状汚泥を堆肥原料とするためには、水分、有機物、土砂分等が均一になっていることが求められる。そのために先ず水槽に貯留した場合、砂等の比重の大きい粒子は、水槽底部に先に沈降し、圧密化した状態で堆積してしまい、水槽からの排出作業すら難しくなる。土砂混じりの泥状汚泥を水槽に投入しても、圧密沈降することなく、均一な状態の原料とする必要がある。
【0011】
土砂混じりの泥状汚泥には、一般の堆肥原料ほどの有機物は含まれていないため、十分な発酵が期待できない。また粘土等の微細粒子も多いことから、粘着性が強く、堆肥化処理をするための条件である通気性の確保が困難である。粘着性が改善される資材を添加する必要がある。また添加する資材には、その他に、堆肥原料として、発酵に必要な有機物が含まれていること、圧密沈降が防止でき、砂、粘土等の土砂成分が均一になっていること等が条件となる。
【0012】
堆肥化するためには、堆肥場内の通気性を確保する必要がある。一般の堆肥場においては、粘土や砂等の土砂等の混入は、前もって除去され、水分が多い場合は、水分調整材により60%程度に調整する等、堆肥原料の見掛け比重を小さくし、堆肥場の通気性が確保できるよう工夫がされる。土砂混じりの泥状汚泥は、水分率は95〜100%以上と高く、見掛け比重も土砂が多く混入していることから、一般の堆肥化処理のように原料を積み重ね、適度に切り替えして通気性を確保しながら発酵させていく一般的な方法では堆肥化されない。
【0013】
土砂混じりの泥状汚泥は、土砂成分、水、有機物、悪臭成分が混ざり合ったものであり、土砂成分だけを処理しようとしても、土砂等の粒子に悪臭成分が強固に付着し、また水だけを処理しようとしても、有機物が含まれていることから、高度な水処理をしなければ、無害化されない等、処理困難物である。そのため土砂混じりの泥状汚泥をそのままの状態で処理することが肝要である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一般的な堆肥化処理は、先ず生育の速いカビや細菌が関与して、易分解性の有機物が糖化され、原料の温度が60℃以上に上昇する。昇温することにより、好気性の高温性の細菌や放線菌が出現し、更にヘミセルロース等の難分解性有機物が分解される。高温性の好気性菌が活発に酸素を吸収することにより、周辺に酸素不足の環境が作られ、そこに嫌気性のセルロース分解菌が活動してくる。セルロース分解菌は、嫌気条件下でセルロースを分解して有機酸をつくり、有機酸は好気性菌によって分解される。セルロースの分解の盛期が過ぎると、温度も降下し、難分解性のリグニン等が分解され、完熟堆肥となる。
【0015】
一般的な堆肥化処理の過程で、高温の嫌気性のセルロース分解菌が活動する嫌気的な環境に着目する。ヘドロや下水道から排出される沈砂池からの前処理汚泥等(以下土砂混じりの泥状汚泥)の有機物や悪臭成分を多く含む泥状汚泥にセルロースを混合し、更にセルロース分解菌を種付けし、窒素やりん等の栄養塩、ぬか等の発酵促進剤を添加し、堆肥原料としての条件を整え、60℃以上の高温を持続させることができれば、嫌気的な環境であっても、セルロース分解菌が活動できる場ができ、堆肥化中には、水分も蒸発し、水分が蒸発することで、好気性雰囲気となり、好気性菌により、泥状汚泥に含まれる有機物や悪臭成分、セルロースが分解されて生じる有機酸等が分解される。
【0016】
土砂混じりの泥状汚泥をそのまま堆肥化処理をするために、大部分がセルロースである古紙を用いる。古紙は、そのまま細断等をして、用いるのでなく、先ず水槽に投入して、ミキサー等で攪拌することにより、柔らかな粒状物となったものを使用する。
【0017】
柔らかな古紙の粒状物内には、水が封じ込まれることにより、水中で膨潤する。また膨潤している粒状物内には、土砂等の比重の重い粒子も取り込まれ、土砂が混合されても、圧密沈降することなく、流動状態となる。細断されただけの乾いた古紙では、水中に投入しても、強い保水力もなく、ただふやけたままで、膨潤状態とならない。
【0018】
この古紙の細片が水中で柔らかな粒状物となるのは、細片端部には解繊された繊維ヒゲがあることにより、破断された細かい紙片が、重なりあい、絡み合って、丸まった粒状物となり、粒状物内に水が保水されていることにより、膨潤状態であり、粘土や砂分等の比重の大きい粒子が粒状物内に絡めとられ、砂分等は沈降することなく、流動状態を保つことができる。
【0019】
古紙の粒状物には保水性があることから、高含水であっても、泥状汚泥との混合物を水槽から取り出して、別の成形容器等に移し変えれば、粒状物内にある過剰な水分は、水切り等で脱水され、成形品とすることができる。この成形品を丸めることで、団子状とすることができる。またセルロース分解菌のある種堆肥等も同時に混合しても、均一な状態で取り出すことができる。
【0020】
ヘドロや下水道から排出される沈砂池等の土砂を含んだ高含水の泥状汚泥に含まれる有機物や悪臭成分をそのまま、堆肥化による処理をするために、細かく裁断し、水中で攪拌することにより、柔らかな粒状物となって膨潤する古紙を水槽に投入し、泥状汚泥は土砂を含んだまま、混合することで、土砂は古紙の粒状物内に絡めとられ、圧密沈降することなく、流動状態となり、水槽から取り出しても、古紙の粒状物には保水力があるため、砂等の上に静置し、水切りする程度で団子状等に成形でき、更に流動状態にある混合物に、堆肥化をするための必要な資材としての発酵促進材であるぬか、窒素等の栄養塩、被堆肥化物で嫌気性のセルロース分解菌がある種堆肥を添加・混合し、これを堆肥場に仕込むことで高含水であっても、堆肥化処理ができる。
【0021】
この団子状に成形された混合物を堆肥場に積み重ねて仕込めば、丸い団子間には隙間があり、通気性の確保ができ、同時に枝葉剪定材等の植物発生材を仕込むことにより、植物発生材が先に発酵し、この発酵熱により堆肥場内が昇温し、団子の温度も上昇することで、団子内は高含水であっても、嫌気状態で活動するセルロース分解菌により、古紙のセルロースは分解され、セルロース分解菌の代謝による高温が持続することにより、水分が蒸発し、水分が蒸発することにより、団子内は好気性雰囲気となり、泥状汚泥の有機物や悪臭成分等が、好気性菌によって分解される。
【0022】
堆肥場の側面及び上面を砂が露出する壁、覆いで囲うことにより、堆肥場内が保温され、発酵熱により高含水の泥状汚泥の混合物から蒸発する水分や悪臭成分は、砂壁が露出する内側の砂に吸収され、蒸発水分は堆肥場内で結露することなく、また悪臭は外気に漏洩することがない。
【0023】
本発明に係る泥状汚泥処理装置は、水が注水されている水槽と、ヘドロや下水道から排出される沈砂池からの前処理汚泥等の泥状汚泥を、前もって水中で細かい紙片に破断され、それぞれの細片が水中で重なりあい、丸まった柔らかな粒状物となっている古紙、被堆肥化物から得る種堆肥、更に窒素やりん等の栄養塩、ぬか等の発酵促進材を攪拌・混合する攪拌混合装置と、を有し、攪拌・混合することで、比重の重い土砂成分等は、水中で柔らかくなって、膨潤している古紙の粒状物に絡め取られ、水槽内で圧密沈降することなく、流動状態で、均一な状態に混合されて、取り出し、土砂混じりのままで堆肥原料とする。
【0024】
枠体に砂を詰め、その表層に団子状となるような複数の孔を掘り、保水性の強い古紙の粒状物が混合されている流動状態の混合物を流し込むことで、泥状汚泥にある有機物等は古紙の粒状物に絡めとられているため、直接砂と接触することで、水分だけが砂層内に浸透し、更に上記の枠体の上に、底に砂留めのための不織布を張り、砂が詰められた枠体を被せることにより、孔上部の混合物の水分は不織布を通して、上段枠の砂に吸収されると共に、下段の枠体中の砂が透水性の悪い砂質土の場合であっても、孔下部で粘土等が膜を作り、浸透しきれずに滞水する場合であっても、水は上段枠の不織布を通して上層の砂中に湿潤し、混合物は積み重ねても潰れない程度の強度がある水切りされた団子を得ると共に、水切りされた排水は、下段の枠体の底から排出し、上段、下段の枠体を取り外すことにより団子を回収することを特徴とする。
【0025】
水を多く含む団子等を仕込む堆肥場を保温するためと、悪臭を外気に漏洩させないためと、また蒸発する水分が堆肥場の壁等に結露し、結露する水分によって発酵が停止しないために、砂が詰められた壁や覆いで囲い、側面四方は、砂が露出した壁とし、上面は底に金網等を敷き、発酵した後の団子等を詰めた枠体を覆いとし、蒸発する水分は内面の露出する砂壁に吸収させ、吸収された水分は、外面の露出する砂壁から外気に蒸発させ、また上面の覆いは、蒸発水分の吸収と保温の他に、悪臭の揮散を防止し、更に下面は、堆肥場への通気をするために開放する。
【0026】
砂が露出する壁構造は、底部にネット等で砂留めをし、底から排水ができるようにした木製等の枠にあらかじめ取り外しのできる外側板を取り付けて、砂を詰め込み、外壁側には、金属製の帯材等、またその上部には不織布を置き、更にこれらを砂層内に棚段に配置し、外側板を外し、砂壁内に水が浸透してきた時、不織布が棚段にあることにより、水による砂の流動を制限し、また砂と帯材等の摩擦によって、砂の崩れを防止し、砂層が露出する壁とする。
【0027】
堆肥場内でセルロース分解菌の代謝による高温が持続することにより、水分が過剰に蒸発し、乾燥してしまうことを防止するために、砂壁内には、上部に散水するための複数の孔があり、かつパイプの孔の上には、上部からの砂の重圧で孔が塞がれないように、透水性のあるカバーで覆ったパイプを敷設し、流動状態の混合物からの排水を通水し、砂壁内に浸透させて、露出した内面の砂表面を湿潤させることで、堆肥場に適度な湿度をもたせる。
【0028】
団子を堆肥場に積み重ねて、仕込むことにより、丸い団子間には隙間ができ、更に水分を多く含む柔らかな団子がつぶれないよう、網目の板を丸めて、円筒短管にし、その上下も網目の板で蓋をした内部が空洞の短管と、短管下部には下方が広がるように、柱を接着して自立することのできる多孔缶を複数、団子が積み重ねられている中に、配置させて、団子間の隙間を確保し、また多孔缶に空洞部があることにより、通気性のある堆肥場とする。
【発明の効果】
【0029】
ヘドロや下水道の沈砂池から排出される前処理汚泥等の土砂混じりで有機物や悪臭成分を多く含む泥状汚泥と、水中で柔らかな粒状物となり、膨潤する古紙を攪拌・混合することで、土砂分は、圧密沈降して、水槽底部に堆積することなく、膨潤状態であり、流動状態となり、発酵するための種堆肥や、発酵促進剤であるぬか等を添加しても、均一な混合物を得ることができる。
【0030】
流動状態となっている泥状汚泥には保水性の強い古紙の粒状物が混合されていることから、砂の上に静置するだけで、泥状汚泥にある有機物等は古紙の粒状物に絡めとられているため、直接砂と接触することで、泥状汚泥等の混合物の水分は、水きりされ、水分だけが砂層内に浸透し、団子状に成形することができ、この団子個々に、有機物や発酵に必要な発酵促進剤、種堆肥等が均一に混合することで、泥状汚泥そのものを堆肥原料とすることができる。
【0031】
堆肥場の側面に砂壁、上面は底に金網等を敷き、発酵した後の団子等を詰めた枠体を覆いとして、保温を保ち、かつ内部が空洞である多孔缶と多孔缶を支える柱を有し、自立することのできる支持材を複数、配置させて、団子間の隙間を確保し、空洞の多孔缶があることにより、空気層を保つことができ、かつ周囲は砂壁で囲われていることにより、堆肥場内は、外気と触れることはないため、一般の堆肥場によくみられる中心部が熱く、外側が冷えることによる品温の不均一さが解消される。温度の不均一は、外側の低い温度域で結露を生じ、未発酵の悪臭成分が外部に漏れるひとつの原因でもある。本発明では、結露があっても、結露水は砂壁に吸水され、蒸発水に付随する悪臭成分も、砂壁内で吸収され、分解されるために、悪臭の発生のない堆肥化処理となる。
【0032】
水分を多く含んだ団子を堆肥場に積み重ねて、仕込むことにより、丸い団子間には隙間ができ、堆肥場全体の通気性が確保され、更に発酵のための補助材として枝葉剪定材等の植物発生材を、同時に仕込むことで、これらの発酵熱により、堆肥場内は昇温し、続いて団子の温度も上昇し、団子内部は嫌気性であっても、嫌気性のセルロース分解菌が活動し、60℃以上の発酵熱が持続され、更に団子の水分が蒸発することで、好気性雰囲気となり、高温性の好気性分解菌により、泥状汚泥等の有機物が分解される。
【0033】
嫌気性のセルロース分解菌による発酵によって、品温が70〜80℃に上昇し、約5日〜7日間、高温が持続する。品温が70〜80℃持続することにより、団子内の水分は蒸発し、好気性となり、有機物が分解され、品温も低下して、発酵が停止する。発酵後の団子の水分は30%〜40%位となり、水分蒸発後の団子内には空洞部分ができ、多孔質の団子となる。
【0034】
この多孔質の発酵後の団子は、手で軽くつぶすと、さらさらの状態となり、崩れ、また適度な土砂が混入していることにより、通気性のある有機土壌となる。団子を露地に戻すと、降雨等で解体され、自然な土となる。
【0035】
本発明は、ヘドロ等の泥状汚泥に適用するばかりでなく、下水汚泥や有機汚泥等の廃棄物の処理にも適用ができる。これらの汚泥を堆肥化するためには、脱水等を行い、堆肥化するための水分調整が必要であるが、本発明では逆に、泥状汚泥を水中で柔らかなかたまりとなる古紙の粒状物と同時に、水が入っている水槽にそのまま投入すればよい。下水汚泥や有機汚泥等と処理対象物が異なれば、古紙の粒状物の添加割合を変えるだけで対応ができる。
【0036】
泥状汚泥から団子に成形するときの水切りされた排水は、砂壁内上部の散水パイプに通水し、砂壁内に浸透させて、露出した内面の砂表面を湿潤させることで、堆肥場内でセルロース分解菌の代謝による高温が持続することにより、水分が過剰に蒸発し、乾燥してしまうことを防止するために、堆肥場に適度な湿度をもたせる。また余剰水は砂層を通過する間に、浄化され、砂壁の下部から排水される。
【0037】
団子には水中で柔らかな粒状物となる古紙が、高含水のまま含まれた状態で、堆肥化処理をすること、また古紙を分解するセルロース分解菌は、70〜80℃の高温を持続することから、セルロース1kg当たり、4〜6kgの水分が蒸発する。蒸発だけを目的とした処理にも対応ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下本発明の実施例から泥状物処理方法、及び当該泥状物処理方法を実現する泥状物処理装置について、図を参照して説明する。図1の処理フローに示すように、ヘドロや下水道から排出される沈砂池等の前処理汚泥等の土砂混じりの泥状汚泥(以下土砂混じりの泥状汚泥)は、古紙からの粒状物等と攪拌・混合する攪拌・混合装置1、団子状に成形する装置2、堆肥化装置3により処理される。
【0039】
古紙からの粒状物を得るためには、先ず古紙を水槽に投入し、柔らかくなった状態で、ミキサーで攪拌破断する。攪拌は長い時間行わず、10〜20分程度で、1〜5mm位の大きさの細片になるまでとする。これ以上の長い攪拌では、細片が細かくなりすぎて、白濁状態となり、粒状物となり難い。1〜5mm位の古紙の大きさの異なる細片は、図2に示すように重なり、攪拌流動することで、細片端部の繊維ヒゲに絡んで丸まってくる。細片自身が水を吸収すると共に、丸まったかたまりの中に水が封じ込まれ、柔らかな粒状物となる。攪拌・破断された細片が大きいと、粒状物も大きくなる。これらの粒状物を団子の中で、完全に発酵させ、発酵後に古紙の細片が消失しているためには、細片は10mm以下まで破断し、粒状物としては、直径が5mm位になるまで、攪拌・破断をする。
【0040】
柔らかな粒状物となった古紙は、水槽内で膨潤する。泥状物と混合させるためには、そのまま使用してもよいが、一度脱水をして、保管しておいたものを使用するほうが、ハンドリング性がよい。脱水する方法は、水槽内で膨潤している粒状物をネットの袋に移すことにより、水が切れ、ネットの袋に入れたまま放置することで、固いかたまりとなる。これを水槽に再び投入すれば、絡み合った古紙の細片に水が浸入し、速やかに柔らかな粒状物となる。この水切りされた古紙の粒状物を泥状汚泥に混合する。
【0041】
泥状汚泥と粒状物を混合する攪拌・混合装置1の攪拌混合槽11へ水きりされた古紙からの粒状物を投入する。粒状物は袋等に詰めて、保管していたものを解袋して、図3に示す攪拌混合槽11の上部デッキ11aから投入する。
粒状物と混合されていない泥状汚泥は圧密堆積しやすいため、粒状物は水槽上部から水槽全体に万遍なく投入できるように、水槽上部が広く、浅い、下部断面が半円形の容器である攪拌混合槽11には、パドルミキサー12を取り付ける。あらかじめ注水し、パドルミキサー12は50〜100rpm程度のゆるやかな回転をする。攪拌混合槽11に古紙からの粒状物を先に投入する。粒状物の投入量は、泥状汚泥に含まれる固形分の量にもよるが、投入泥状汚泥の10%〜20%程度を目安とすれば、泥状汚泥は圧密沈降しないで、水中で膨潤している粒状物に取り込まれる。続いて泥状汚泥を投入する。投入順序は、泥状汚泥に古紙の粒状物を投入しても、効果は変わらない。泥状汚泥の水分が少ない場合、小型のユンボ等により、攪拌混合槽11の上部から、直接投入する。水分が多い場合は、ポンプ等により投入する。泥状汚泥と粒状物をよく攪拌・混合させてから、袋等で保管していた窒素やりん等の栄養塩である農業用肥料や、ぬか等も攪拌混合槽11の上部デッキ11aから投入する。大規模な装置となる場合は、自動投入とするが、小規模の場合は、人力作業で行えばよい。
【0042】
窒素やりん等の栄養塩は、泥状汚泥や古紙からの粒状物の有機物量から、堆肥化に必要な量をあらかじめ、計算した量の添加となる。続いて堆肥を終えた団子をつぶして得た種堆肥は、泥状汚泥、古紙の粒状物に対して、5〜10%を投入する。ぬかや種堆肥は、水分調整材ともなるが、水分調整材を目的とした量を投入しなくてもよい。混合物の水分が少なく、流動性が悪い場合は、更に水を加えて混合してもよい。
【0043】
攪拌混合槽11に取り付けられるパドルミキサー12は、減速機12aにより駆動する。攪拌混合槽11の下部に排出管13、排出用バルブ14を取り付ける。排出は、パドルミキサー12を回転しながら、排出用バルブ14を開・閉して、混合物を取り出す。攪拌混合槽11には、泥状汚泥からの土砂分が入っているが、古紙からの粒状物とよくからみあっているため、圧密沈降や下部堆積等は起こらず、排出は排出管13から受入容器21へ、ホース等により行う。
【0044】
排出管13、排出用バルブ14から取り出された混合物は、図4に示す下部に砂利等の支持床を敷き、上部には砂を詰めた箱である団子状に成形する装置2を構成する受入容器21に流し込む。受入容器21の表層には団子状となるような複数の孔22を掘り、流動状態の混合物を流し込む。
泥状汚泥にある有機物等は古紙の粒状物に絡めとられているため、複数の孔22周辺の砂と直接、接触することで、水分だけが砂層内に浸透し、更に上記の受入容器21の上に、底に砂留めのための不織布23を張り、砂が詰められた枠体である上段枠24を被せることにより、孔22に流し込まれた混合物の上部の水分は不織布23を通して、上段枠24の砂に吸収される。また下段の枠体である受入容器21の砂が透水性の悪い砂質土の場合、孔22の下面では、水が流動することにより、砂中の粘土も随伴して、浮かび上がってき、孔22の下面に薄い粘土の膜を生じ、透水性を悪くしてしまう。この透水しなく、滞水してしまう水は、不織布23、及び上部に上段枠24の砂があることにより、上部の砂に湿潤し、拡散していく。また団子を回収する時、粘土膜は団子に付着したままで回収されるので、下段の受入容器21の砂に残らないため、次の団子成形の作業には、粘土膜を除去する必要はない。団子は上段枠24と砂、及び不織布23を取り払い、受入容器21の砂を掘り起こすことで、重ねても潰れない程度の強度がある水切りされた団子を得る。水切りされた排水は、受入容器21の底の排水パイプ25から排出する。
【0045】
この団子を堆肥原料として、堆肥化装置3を構成する堆肥場30に仕込む。この時の団子の固さは、手で持って崩れない程度、また手で軽く握れば、水が滲みだすような高含水の状態でよい。
【0046】
団子は堆肥化装置3で堆肥化処理をする。堆肥場30は、図5に示すように、砂が露出する側壁31、前壁32で囲まれる。砂壁である側壁31は、幅0.5m〜1m位、高さ1m〜1.5m、奥行き2m〜4mの大きさが適当であるが、作業量に合わして、その大きさを決める。更に原料を仕込んだ後の堆肥化には、5日以上要するため、複数個の設置をする。堆肥場30の上部は、下部に金網等を張り、発酵後の団子を厚さが0.1m程度に詰め、上方を開放した枠体33で全面を覆う。下面には通気を確保するために、下から100mm位の位置に10〜30mm位の孔をあけた有孔板34を置く。
【0047】
砂が露出する側壁31の構造は、図6に示すように、木製等の枠31aにあらかじめ取り外しのできる外側板31bを取り付けて、砂を詰め込み、外側板31bに不織布31c、更に不織布31cの下には、金属製の帯材31dを壁の端から中に向かって設置し、不織布31c、帯材31dを対に、砂層内に棚段に配置し、外側板31bを外したとき、砂と不織布31c、帯材31dとの間で発生する摩擦によって、砂の崩れを防止し、側壁31に砂層を露出させる。
【0048】
側壁31の上部の砂層内に、図7に示すように、堆肥場の砂が詰められた側壁31の上方部の砂中内に、散水パイプ35を設置し、団子を成形するための受入容器21の底の排水パイプ25からの混合物の余剰水を受け入れる。散水パイプ35には、受入口35aとドレン口35bを取り付け、上部には複数の散水孔35cを開ける。散水孔35cの上部には、上層の砂の圧力で散水孔35cが閉塞し、水が出ないことを防止するためと、散水孔35cに砂が混入させないようにするために、透水性のある蓋35dを置く。蓋35dは、散水孔35cの上に、透水性のあるメッシュの板を数枚重ねて、置き、更にその上に、不織布35eを被せた構造とし、蓋35dをつけて、散水パイプ35を砂中に埋め込む。散水パイプ35より、上に位置する受入口35aから水を注水することにより、散水パイプ35の散水孔35cから砂層内に散水される。
【0049】
散水パイプ35を砂中に埋設する理由は、砂の表層から水を散水すると、砂に含まれる粘土は、浮かび上がって来、滞水部に薄い膜を作って、砂層の透水性を悪化させてしまう。これを防止するために、散水パイプ35は砂中に置き、散水は散水孔35cから上向流により散水することで、粘土の薄膜による透水障害を避けることができる。
【0050】
堆肥場30の発酵熱が外気温より高く、砂層内も外気温より高くなり、かつ側壁31を露出させていることにより、砂層への排水の大部分は、側壁31の外側から蒸発する。砂層を通して蒸発しきれなかった場合は、砂層底には、排水の受入槽36を設け、受入槽36の上部には、多孔板36a、更に1mm程度のネット36bを敷いておけば、砂が受入槽36に落下することなく、排水のみが流入する。排水槽に流入した排水は、砂層でろ過されていることから、濁質成分や悪臭成分が除去された透明な水となり、排水管36cで排水される。
【0051】
堆肥原料の仕込みは、まず植物発生材にあらかじめC/N比の調整のための窒素、ぬか等、また、堆肥化処理後の植物発生材のうち、篩い分けされた粗大な堆肥化処理の未発酵物残渣を混合して、下面に100mm位敷き、通気性を確保する。前壁32を堆肥原料の仕込み作業の高さに応じて、積み重ねていく。側壁31の高さを1.0m〜1.5mとすると、前壁32は、約0.3mずつの高さで3〜5段積み重ねる作業となる。前壁32も側壁31と同じ構造で、砂層の外側を露出させており、側壁31と同じく、保温と水分の蒸発を行う。堆肥原料の出し入れのために、前壁32の下部に移動用レール32aと車輪32bを設け、移動可能にする。
【0052】
図8に示すように、下面に100mm位敷き詰められた植物発生材の上に、図9に示すメッシュ缶37aとメッシュ缶を支える柱37bを有し、自立することのできる支持材37を200mm〜300mmのピッチで水平に並べる。支持材37の高さを200mm位とすると、団子は50mm位の球形であるから、3段位に積み重ねることができる。支持材37の周囲に団子の積み重ねが終われば、更にその上に100mm位の厚さで、植物発生材を水平面に仕込む。これを1段目とする。2段目は1段目と同様に、支持材37、団子投入、植物発生材を水平面に仕込む。これを繰り返して、砂の側壁31の上端まで、積み重ねる。側壁31の高さを1.0mとすると、3段が仕込まれる。この仕込み状態で、団子の堆肥場に占める割合は、約60%で、団子は球形であることから空隙が約50%ある。約60%のうち、実質の団子の堆肥場30での占有率は約30%で、空隙は約30%となる。植物発生材は約40%の仕込みとなり、植物発生材のかさ比重を0.6程度とすれば、植物発生材中の空隙は堆肥場で、24%となる。堆肥場全体の空隙率は54%となり、水分の多い団子を仕込んでも、好気的な堆肥場とすることができる。下部に有孔板34があり、かつメッシュ缶37aとメッシュ缶を支える柱37bを有し、自立することのできる支持材37が各段に水平に並べられておるため、発酵中、堆肥場30の下方が圧縮してしまうことはなく、また植物発生材の剪定枝葉等を介して、通気性も確保された堆肥場となり、堆肥化中の切り返し作業は必要としない。
【0053】
堆肥場30内に団子を積み重ねる場合、団子は水を含んでいるため、何段にも積み重ねるだけの強度がなく、下の団子は押し潰されてしまう。下の団子が押し潰されると、団子間の隙間が失われ、堆肥場30全体の通気性も損なわれる。これを防止するために、図9に示すメッシュ缶37aとメッシュ缶を支える柱37bを有し、自立することのできる支持材37を団子間に複数個を配置する。団子の大きさが50mm程度の球状とすると、メッシュ缶37aは、団子と同じ程度の大きさで50mm程度である。支持材37は団子間に置き、堆肥場30内に数段設置することから、軽い材料が要求される。メッシュ缶37aはプラスチック製の網板(メッシュ板)を丸めて、円筒短管にし、その上下もメッシュ板の蓋を接着した内部が空洞の短管を用意する。円筒短管であるメッシュ缶37aの側面に、柱を接着する。柱はメッシュ缶37aの下方が広がるように、プラスチック等の板を曲げて、斜めに3〜4本で支え、柱とメッシュ缶37a下の空間高さを、団子が1〜2個入れるだけの高さにする。団子を50mmとすると、支持材37全体の高さは150mm〜200mm程度となる。
【0054】
原料の仕込みが終了すると、先ず植物発生材が1〜2日後に60〜70℃に昇温し、続いて、古紙からのセルロースを分解するセルロース分解菌により、堆肥場は70〜80℃の高温となり、5〜7日持続する。この間、団子内の水分蒸発が続く。側壁31の砂壁は蒸発水により、湿潤するが、結露等はなく、側壁31、前壁32に接触する団子も、中央にある団子も、発酵終了後の観察では、いずれも水分が蒸発し、手でつぶすと、ばらばらと崩れる水分が抜けた団子となっている。また側壁31、前壁32の砂壁、及び上部の覆い33は、発酵中、堆肥場の温度が伝播し、外気温より高くなり、湿潤していることから、堆肥場内の蒸発水を大気に放散させている。
【0055】
発酵後の堆肥化物は、振動ふるい等により、植物発生材から細粒となっている発酵残渣と乾燥した団子、植物発生材の粗大な発酵残渣を篩い分ける。団子は振動ふるい等の上部から、転がり落ちることにより、容易に回収できる。回収された団子の一部をつぶして得た土を種堆肥とする。また一部は、それ以外の団子は、団子の状態で積み上げ、植物発生材から細粒となっている腐植物と共に、露地に戻し、残留する有機物を自然に分解させる。露地に戻すことにより、団子は降雨により、自然とつぶれて土に戻る。植物発生材の粗大な発酵残渣は、次の新しい植物発生材と混合して、次の原料の仕込み材に利用する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係る泥状汚泥処理方法の一連の処理フローを示す概略図である。
【図2】本実施形態において古紙等から粒状物が生成する過程を示す図である。
【図3】本実施形態における混合攪拌槽を示す(a)平面図、及び(b)断面図である。
【図4】泥状汚泥と粒状物から団子を成型するための受入容器を示す(a)平面図、(b)断面図である。
【図5】本実施形態に係る堆肥化装置を示す斜視図である。
【図6】本実施形態における堆肥化装置において、堆肥場の砂壁の構造を示す(a)平面図、(b)断面図、(c)A−A矢視平面図、(d)B−B矢視平面図である。
【図7】本実施形態に係る堆肥化装置の砂壁へ注水する(a)正面断面図、(b)側面断面図、(c)散水パイプの断面部分拡大図である。
【図8】本実施形態における堆肥化装置において、堆肥場内の支持材と団子との状態を示す断面図である。
【図9】本実施形態に係る支持材と団子の関係を示す(a)側面図、(b)斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1・・攪拌・混合装置、11・・攪拌・混合槽、11a・・上部デッキ、12・・パドルミキサー、12a・・減速機、13・・排出管、14・・排出用バルブ
2・・団子状に成形する装置、21・・受入容器、22・・孔、23・・不織布、
24・・上段枠、25・・排水パイプ
3・・堆肥化装置、30・・堆肥場、31・・側壁、31a・・枠、31b・・外側板、31c・・不織布、31d・・金属製の帯材、32・・前壁、32a・・移動用レール、32b・・・車輪、33・・枠体、34・・有孔板、35・・散水パイプ、
35a・・受入口、35b・・ドレン口、35c・・散水孔、35d・・蓋、35e・・不織布、36・・・受入槽、36a・・多孔板、36b・・ネット、36c・・排水管、37・・支持材、37a・・メッシュ缶、37b・・メッシュ缶を支える柱


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘドロや下水道から排出される沈砂池等の土砂を含んだ高含水の泥状汚泥に含まれる有機物や悪臭成分をそのまま、堆肥化による処理をするために、
細かく裁断し、水中で攪拌することにより、粒状物となっている古紙を水槽に投入し、
上記泥状汚泥は土砂を含んだ状態で、上記水槽に投入して上記粒状物と混合することで、上記土砂が上記古紙の粒状物内に絡めとられ、圧密沈降することなく、流動状態となり、
上記流動状態の混合物を、上記水槽から取り出し、上記古紙の粒状物の保水力により、砂等により構成された成型容器の上に静置することで、水切りする程度で団子状に成形し、
更に流動状態にある混合物を団子状に成形した混合物に、堆肥化をするための必要な資材としての発酵促進材であるぬか、窒素等の栄養塩、被堆肥化物で嫌気性のセルロース分解菌がある種堆肥を添加・混合し、これを堆肥場に仕込むことで高含水であっても、堆肥化処理することを特徴とする泥状汚泥処理方法。
【請求項2】
この団子状に成形された混合物を堆肥場に積み重ねて仕込めば、丸い団子間には隙間があり、通気性の確保ができ、
同時に枝葉剪定材等の植物発生材を仕込むことにより、植物発生材が先に発酵し、この発酵熱により堆肥場内が昇温し、団子の温度も上昇することで、団子内は高含水であっても、嫌気状態で活動するセルロース分解菌により、古紙のセルロースは分解され、セルロース分解菌の代謝による高温が持続することにより、水分が蒸発し、水分が蒸発することにより、団子内は好気性雰囲気となり、泥状汚泥の有機物や悪臭成分等が、好気性菌によって分解される請求項1記載の泥状汚泥処理方法。
【請求項3】
堆肥場の側面及び上面を砂が露出する砂壁で囲うことにより、堆肥場内が保温され、発酵熱により高含水の泥状汚泥の混合物から蒸発する水分や悪臭成分は、上記砂が露出する砂壁の内側の砂に吸収され、蒸発水分は堆肥場内で結露することなく、また悪臭は外気に漏洩することがない請求項2記載の泥状汚泥処理方法。
【請求項4】
水が注水される水槽と、
ヘドロや下水道から排出される沈砂池からの前処理汚泥等の泥状汚泥、細かい紙片に破断した上、水中で攪拌することにより、それぞれの細片が水中で重なりあい、丸まった粒状物となっている古紙、被堆肥化物から得る種堆肥、更に窒素やりん等の栄養塩、ぬか等の発酵促進材を上記水槽内で攪拌・混合する攪拌混合装置と、を有し、
上記攪拌混合装置が、上記水槽内を攪拌・混合することで、上記泥状汚泥に含まれる比重の重い土砂成分は、水中で柔らかくなって、膨潤している古紙の粒状物に絡め取られ、上記水槽内で圧密沈降することなく、流動状態で、均一な状態に混合され、土砂混じりのままで堆肥原料とする混合物が取り出されることを特徴とする泥状汚泥処理装置。
【請求項5】
枠体に砂が詰められ、その表層に団子状となるような複数の孔が掘られた下段枠を有し、この孔に、上記水槽から取り出した、保水性の強い古紙の粒状物が混合されている流動状態の混合物を流し込むことで、泥状汚泥にある有機物等は古紙の粒状物に絡めとられているために、上記混合物が直接砂と接触して水分だけが砂層内に浸透し、
更に上記下段枠の上には、底に砂留めのための不織布が張られ、砂が詰められた枠体である上段枠が被せられており、上記孔に流し込まれた混合物の上部の水分が不織布を通して、上記上段枠の砂に吸収されると共に、上記下段枠中の砂が透水性の悪い砂質土の場合に、上記孔下部で粘土等が膜を作り、上記水分が浸透しきれずに滞水する場合であっても、上記水分は上段枠の上記不織布を通して上層の砂中に湿潤し、積み重ねても潰れない程度の強度がある水切りされた混合物の団子が得られると共に、水切りによる排水は、上記下段枠の底から排出され、上記上段枠と上記下段枠を取り外すことにより団子が回収される請求項4記載の泥状汚泥処理装置。
【請求項6】
水を多く含む団子等を仕込む堆肥場を保温するためと、悪臭を外気に漏洩させないためと、また蒸発する水分が堆肥場の壁等に結露し、結露する水分によって発酵が停止しないために、砂が詰められた壁や覆いで堆肥場を囲い、
側面四方は、砂が露出した壁とし、
上面は底に金網等を敷き、発酵した後の団子等を詰めた枠体を覆いとし、蒸発する水分は内面の露出する砂壁に吸収させ、吸収された水分は、外面の露出する砂壁から外気に蒸発させ、また上面の覆いは、蒸発水分の吸収と保温の他に、悪臭の揮散を防止し、更に下面は、堆肥場への通気をするために開放する請求項5記載の泥状汚泥処理装置。
【請求項7】
砂が露出する壁構造は、底部にネットで砂留めをし、
底から排水ができるようにした木製等の枠にあらかじめ取り外しのできる外側板を取り付けて、砂を詰め込み、外壁側には、金属製の帯材等、またその上部には不織布を置き、更にこれらを砂層内に棚段に配置し、外側板を外し、砂壁内に水が浸透してきた時、不織布が棚段にあることにより、水による砂の流動を制限し、また砂と帯材等の摩擦によって、砂の崩れを防止し、砂層が露出する壁とする請求項6記載の泥状汚泥処理装置。
【請求項8】
堆肥場内でセルロース分解菌の代謝による高温が持続することにより、水分が過剰に蒸発し、乾燥してしまうことを防止するために、砂壁内には、上部に散水するための複数の孔があり、かつ孔の上は、上部からの砂の重圧で孔が塞がれないように、透水性のあるカバーで覆われたたパイプを敷設し、流動状態の混合物からの排水を通水し、砂壁内に浸透させて、露出した内面の砂表面を湿潤させることで、堆肥場に適度な湿度をもたせる請求項6又は7記載の泥状汚泥処理装置。
【請求項9】
団子を堆肥場に積み重ねて、仕込むことにより、丸い団子間には隙間ができ、更に水分を多く含む柔らかな団子がつぶれないよう、網目の板を丸めて、円筒短管にし、その上下も網目の板で蓋をした内部が空洞の短管と、短管下部には下方が広がるように、柱を接着して自立することのできる多孔缶を複数、団子が積み重ねられている中に、配置させて、団子間の隙間を確保し、また多孔缶に空洞部があることにより、通気性のある堆肥場とする請求項6乃至8いずれかの項に記載の泥状汚泥処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−114043(P2009−114043A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291612(P2007−291612)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【特許番号】特許第4144761号(P4144761)
【特許公報発行日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(505423601)株式会社クリーンテクノ (7)
【出願人】(507371560)
【Fターム(参考)】