説明

注入可能な放射性生成物の吸引、較正、希釈および/または注入用の医療装置

本発明に従う医療装置は、下記を適応化させる遮蔽囲い(2)を含む:
‐注入可能な放射性生成物の源または生成元(11)を含む容器(12)を支持する手段(13);
‐シリンジ(6)を支持する手段(10);
‐アクティビメータータイプの装置(3);および、
‐少なくとも1個のバルブ(15)と連携するパイプ系(9、20、23、24)。
上記シリンジ支持体(10)、上記バルブ(15)および上記放射性源支持体(13)は、それぞれ上部から底部へ互いに対して垂直に配置されており、上記シリンジ支持体(10)は、上方に配置したシリンジプランジャー(8)を有する上記シリンジ(6)を支持するように配置されている。
上記バルブ(15)およびシリンジプランジャー(8)は、吸引、希釈および注入操作を確実にするように操作し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核医学の一般的分野に関する。さらに詳細には、本発明は、患者に注入することを意図する放射性物質の吸引、較正、希釈および/または注入において使用する医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の放射性物質は、医療分野において、例えば、撮像法における造影剤として或いは治療剤としてよりわけ有用である。
患者および操作担当要員が受ける放射線の被曝量を抑えるためには、医療用途の短半減期放射性元素、即ち、発出放射線レベルが時間的に急速に低下する放射性生成物を使用する。
しかしながら、そのような短半減期放射性生成物によれば、適切な線量を患者に投与することに問題がある。対応線量は、極めて正確でなければならない;注入すべき投与物の調製に要する時間並びに生成投与物の調製時とこの投与物の患者への注入時自体間の可能時間を考慮しなければならない。
さらに、使用する生成物のタイプ(短半減期)にもかかわらず、考慮すべきもう1つの制約は、放射性投与物の調製およびこの投与物の患者への注入を担当する医療要員の放射線防護に関連する。この放射線防護は、患者にとっても有効である。
古典的な方法においては、注入すべき投与物を、適切な遮蔽物を備えたシリンジ内に吸引し、それ自体を、目的線量の放射性生成物を吸引することのできる適切な計測および制御手段を備えた遮蔽囲い内に置いている。その後、操作者が遮蔽シリンジを取出し、患者に対して注入を行っている。
しかしながら、この手法は、操作者放射線防護および患者への注入線量の正確性に関する限りは、最適の安全保障を提供していない。
【0003】
文献米国特許第6 767 319号は、放射性物質への人員暴露を抑制しなお且つ患者安全性を最適化することを目的とする、放射性生成物の較正および注入用装置を記載している。
相応する装置は、各々が下記を含む3つの別々の放射線防護性の囲いを含む:
‐注入可能な放射性生成物源を支持する手段;
‐シリンジプランジャーの自動操作用の手段を備え且つシリンジ内に収容した生成物からの放射性同位元素活性をリアルタイムで測定するアクティビメーター(activimeter)タイプの装置と連携させる、シリンジの支持手段;および、
‐バルブ系。
このバルブ系は、チューブによって、放射性母源を収容する囲い、シリンジを収容する囲い、生理食塩溶液源および患者への連結を意図する注入カテーテルと水系連結させている。
この装置は、さらに、バルブ系を駆動させることを意図する手段およびシリンジプランジャーを操作する手段を、最初に投与量の放射性生成物および/または生理食塩溶液のシリンジへの吸引を、二番目に吸引した放射性生成物および/または生理食塩溶液の注入カテーテルからの放出を確実にするような形で含む。放射性生成物の投与量は、アクティビメーター装置により、シリンジへの吸引中に計測する。
この装置においては、バルブ系を収容する囲いおよびシリンジまたは放射性源を収容する囲いを連結するチューブは、保護されてなく、環境中への放射性放出物源である。
さらにまた、その構造故に、相応する装置は、取扱いが難しい。さらに、チューブネットワークの複雑性は、有意の死容積の存在をもたらしている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、放射性生成物の較正および注入用の新規な極めてコンパクトなサイズの医療装置を提供し、この装置は、生成物の吸引、計測および注入を、高い正確性でもって、完全に安全に且つ減少した死容積でもって可能にする。
この医療装置は、
‐注入可能な放射性生成物の源または生成元を適応化させる放射線防護材料製の容器を支持する手段;
‐プランジャーを備えたシリンジを支持する手段;
‐上記シリンジの内容物からの放射性同位元素活性をリアルタイムで測定するアクティビメータータイプの装置;および、
‐上記放射性源、上記シリンジ、生理食塩溶液源および患者との連結を意図する注入カテーテルの水系連結のための少なくとも1個のバルブと連携するパイプ系;
を含むタイプであり、
上記バルブおよび上記シリンジプランジャーは、一方では上記放射性生成物または上記生理食塩溶液の上記シリンジ中への吸引を、他方では予め上記シリンジに吸引した上記放射性生成物、上記生理食塩溶液または双方の混合物の上記注入カテーテルを介しての放出を確実にするように操作でき、シリンジによって吸引および注入した放射性生成物量を上記アクティビメーターによって計量する。
本発明によれば、上記医療装置は、上記放射性源支持体、上記シリンジを支持する手段の少なくとも1部、上記アクティビメーター、上記バルブおよび上記パイプ系の少なくとも1部を適応化させる、少なくとも1種の放射線防護材料製の遮蔽囲いをさらに含む。
さらにまた、上記シリンジ支持体、上記バルブおよび上記放射性源支持体は、それぞれ上部から底部へ互いに対して垂直に配置されており;上記シリンジ支持体は、上記シリンジを、上方に配置したプランジャーと一緒に垂直に担持するように配置されている。
この特定の配置は、上記吸引/注入シリンジと上記放射性源を上記バルブに接近させることができ、最小化された死容積を有する極めてコンパクトなサイズの装置を提供する。
【0005】
1つの実施態様の特徴によれば、上記バルブは、下記を含む三方バルブからなる:
‐上記吸引および注入用シリンジとの連結を意図する上部経路;
‐注入可能な放射性生成物源との連結を意図する下部経路;および、
‐生理食塩溶液源と連結させた第1パイプおよび注入カテーテルと連結させた第2パイプとの連結を意図し、上記パイプが、各々、適切に配置されたチェックバルブを備えている、側部経路。
この場合、上記アクティビメーターは、有利には、上記シリンジを収容することを意図する垂直軸中央壁を囲む概して管の形状を有し、上記アクティビメーターは、2つの開口、即ち、上部開口と下部開口を有しており、後者は、上記三方バルブと上記放射性源支持体に相対して配置されている。
この装置の各パイプ中の死容積を減じるためには、上記シリンジとの連結を意図する上記バルブの上部経路は、有利には、上記シリンジ支持体上に取付けたシリンジに装着しているニードルで穿刺することを意図する密閉膜シールを含み;同様に、上記放射性生成物源との連結を意図する上記バルブの下部経路は、有利には、上記放射性源を収容しているバイアルを密閉している膜シールを穿刺するニードルによって延長されている。
【0006】
本発明のもう1つの実施態様の特徴によれば、上記放射性源およびシリンジの支持体は、各々、下記の2つの位置間において、垂直軸または実質的に垂直な軸に沿ってこれら支持体の移動を確保する手段によって担持されている:
‐操作者が、上記放射性源とシリンジをそれら各々の支持体上に設置するか或いは逆に上記放射性源とシリンジを取外し得る第1の位置;および、
‐上記放射性源と上記シリンジを上記バルブに連結させる第2位置。
この特徴によれば、上記シリンジ支持体を移動させる前記手段は、有利には、上記シリンジ支持体が上記遮蔽囲い内に設けられたオリフィスから下記の間で垂直に移動するのを可能にする:
‐上記支持体を上記囲いの外に少なくとも部分的に位置させる上部の設置/取外し位置;および、
‐上記シリンジを、上記アクティビメーターの中央ハウジングの内側に位置させ、上記バルブに連結させる下部の連結位置。
さらにまた、上記放射性源支持体は、有利には、上記遮蔽囲い内で、上記支持体の上記設置/取外し位置と連結位置間で移動する;この囲いは、操作者が、少なくとも上記支持体がその設置/取外し位置にあるときに、上記放射性源支持体に届くのを可能にする前面トラップドアをさらに備えている。
【0007】
さらにもう1つの特徴によれば、上記医療装置は、上記バルブとシリンジプランジャーを操作する手段とを駆動させてシリンジの吸引および放出操作を実施することのできるコンピュータおよび/または電子制御手段をさらに含む。同様に、上記コンピュータ/電子制御手段は、必要に応じて、上記シリンジ支持体と上記放射性源支持体を移動する手段も駆動させる。
この場合、上記シリンジプランジャーを操作する上記手段は、有利には、上記コンピュータ/電子制御手段によって制御されて、一方で一定投与量の放射性生成物の前記シリンジ中への自動吸引を、他方でこの投与量の自動または手動による患者への注入を確実にする離脱可能なギアモータータイプである。事実、操作者は、必要に応じて、上記ギアモーター手段を取外して、放射性投与物の患者への注入を手動で制御し得る。
もう1つの興味ある実施態様によれば、上記の囲いは、互いに対して垂直に配置させた3つの副囲い、即ち、下記からなる:
‐上記シリンジと上記アクティビメーターを収容する上部副囲い;
‐上記バルブを収容する中間副囲い;および、
‐上記放射性生成物源を収容する下部副囲い。
これらの副囲いは、数本の水系連結パイプを通す通り抜け開口により2個ずつ一緒に連結されている。
医療データの加工をさらに最適化するには、上記コンピュータおよび/または電子制御手段は、データの送出しおよび/または受取りのための、とりわけ、コンピュータサーバーとの交換のためのコネクティックスを備えている。
本発明に従う医療装置は、移動可能にし得る。そのためには、本発明に従う装置を、有利には、モーター駆動型車輪上に取付ける;本発明に従う装置は、必要に応じて、例えばGPSタイプのジオロケーションシステムと一体化している。
本発明を、如何なる形でも限定するものではないが、単なる例として提示し且つ添付図面に示す特定の実施態様についての以下の説明によってさらに具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に従う医療装置の断面略図である。
【図2】図1に示す医療装置の可能性ある実施態様の表面構造の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すように、本発明に従う医療装置1は、放射線防護材料製の遮蔽囲い2を含み、この囲い内に、概して垂直軸円筒形状を有し且つ上部開口4および下部開口5を備えた、放射性同位元素活性をリアルタイムで測定する装置3(ACADタイプ(登録商標)のアクティビメーター)が設置されている。
本体7、プランジャー8およびニードル9を含む通常のシリンジ6は、アクティビメーター3の測定用壁3’内に設置されている(そして、適切な加工装置に連結させている);このシリンジ6は、上方に配置されたそのプランジャー8および下方に配置されたそのニードル9を有して、上部支持体10上に垂直に取付けられている。
放射性生成物の源または発生元11は、アクティビメーター3の下に、アクティビメーター3の下部開口5に相対して置かれている。この放射性生成物源11は、放射線防護材料製の遮蔽容器12内で状態調節したバイアル中に収容される。遮蔽容器12は、遮蔽囲い2内で適応化させて、支持体13上に置く。
シリンジ6と放射性源11のバイアルとの間の上記遮蔽囲い2内で適応化させたモーター駆動三方バルブ15により、上記シリンジ6、放射性源11の上記バイアル、生理食塩溶液バッグ16(遮蔽囲い2の外側)および患者への注入用のカテーテル17(これも遮蔽囲い2の外側)間の適切な水系連結を確保する。バルブ15は、アクティビメーター3の下部開口5に相対して、さらに放射性源11に相対して配置する。
この三方バルブ15の上部経路18は、シリンジ6のニードル9によって穿刺することを意図する密閉膜シールを含む。バルブ15の下部経路19は、放射性源11のバイアルを密閉している密閉膜シール21を穿刺することを意図するニードル20によって延長されている。バルブ15の側部経路22は、Y型コネクターにより、生理食塩溶液バッグ16に至るチューブ23および注入カテーテル17に至るチューブ26に連結している。チューブ23は、生理食塩溶液バッグ16への液体の戻りを阻止するチェックバルブ25を備えている。また、チューブ24も、液体を患者に押し進めるチェックバルブ26を備えている。
【0010】
図1においては、カテーテル17は、第2の生理食塩溶液バッグ27とも、チューブ28およびY型コネクター29によって連結していることを理解し得る。
三方バルブ15は、下記の2通りの主位置を有する:
‐その上部18と下部19経路が連結している第1の位置(シリンジ6を放射性生成物源11と連結させて、投与量の放射性生成物をシリンジ本体7内に吸引するのを確実にすることができる);および、
‐上部18と側部22経路が連結している第2の位置(生理食塩溶液をバッグ16からシリンジ本体7内にシリンジ6による吸引操作中に吸引するか或いはシリンジ本体7中に含ませた液体をシリンジ本体7の水きり操作により注入カテーテル17放出させるかのいずれかのため)。
バルブ15の第3の可能性ある位置は、放射性元素源11とチューブ23および24とを連結させて放射性源11のバイアル内の真空を破壊させると同時に生理食塩溶液のバッグ16からの吸引を可能にすることからなる。
三方バルブ15は、囲い2内で、シリンジ6および放射性生成物源11を通る垂直または実質的に垂直の軸上で固定的に締め付ける。
放射性生成物11の支持体13は、手(または足)により作動させる適切な機械的手段(図示せず)の作用下に或いはモーター手段(図示せず)により、方向矢印30に従って垂直方向に移動可能であり、ニードル20の放射性源11のバイアル中への導入または該バイアルからのこのニードル20の引抜きを可能にしている。
操作者は、放射性生成物源を交換したいとき、この後者の“引抜き”位置において移動可能支持体13を操作する。
【0011】
一方、シリンジ6の支持体10も、手により作動させる適切な機械的手段(図示せず)の作用下に或いはモーター手段(図示せず)により、方向矢印31に従って垂直方向に移動可能であり、シリンジ6のニードル9の三方バルブ15内への導入或いはアクティビメーター3の上およびシリンジの設置および取外しのための遮蔽容器2の外側でのシリンジ6の抜取りを可能にしている。
シリンジ6の支持体10は、さらに、該シリンジ6をアクティビメーター3の測定用壁3’内に中心させたとき、遮蔽容器12の外側からシリンジプランジャー8を操作できるように配置させる。
そのためには、支持体10は、シリンジ本体7の後方部分と係合する円筒状部分32、および円筒状部分32中に摺動するプランジャー形状のシリンジプランジャー8の後方部分と係合する中央部分33を含む。
シリンジ本体7がアクティビメーター3の測定用壁3’内の位置にあるときは、摺動プランジャー33の上端は、遮蔽容器2の外側から届き得る。このプランジャー33の上端は、係合した時点でシリンジプランジャー8の自動操作を可能にし、そして、離脱させたとき、このプランジャー8の手動操作を可能にする離脱可能なモーター系34と連携している。
この特異点は、操作者がシリンジ6による放射性生成物吸引および/またはカテーテル17中への放射性生成物放出の自動および手動管理のどちらかを選択することを可能にしている。
【0012】
図1においては、ソレノイドピンチバルブ35を生理食塩溶液バッグ16のチューブ23中に配置していることに注目し得る。このソレノイドバルブ35の機能は、注入カテーテル17を患者に連結する前のチューブ23からの生理食塩溶液の早過ぎる循環を防止することである。
また、例えばフィルター形状の2つの発泡防止/抗菌手段36がカテーテル17の供給チューブ24に存在して注入プロセスの滅菌性を確保していることにも注目し得る。
さらに、図1においては、遮蔽囲い2は、下記の3つの遮蔽副アッセンブリの形状にあることも理解し得る:
‐第1のアッセンブリ2aは、アクティビメーター3とシリンジ支持体10の1部とを一体化している;
‐第2のアッセンブリ2bは、モーター駆動三方バルブ15を囲っている;そして、
‐第3のアッセンブリ2cは、遮蔽容器12を有する移動可能な支持体13を囲っている。
3つの副囲い2a、2bおよび2cは、積み重ねられている;シリンジ6とバルブ15は、上記副アッセンブリ2aと2bの間に設けられた開口37により連結している。バルブ15と放射性生成物源11は、上記副アッセンブリ2bと2cの間に設けられた開口38により連結している。
シリンジ6の支持体10は、放射線防護材料製である。そのサイズは、副アッセンブリ2aの上部部分に設けられた開口39と最大限一致して、低下位置(即ち、シリンジ6をアクティビメーター3の測定用壁3’内に中心させたとき)において遮蔽連続性を提供している。
遮蔽囲い2は、それぞれ生理食塩溶液バッグ16とカテーテル17と連結したチューブ23と24が通り抜けるように適応化した開口をさらに含む。
【0013】
一定投与量の放射性生成物の調製およびその後の該生成物の患者への注入のために医療装置1において実施する主たる工程を、以下で詳細に説明する。
先ず、患者に注入すべき投与量の放射性生成物をシリンジ6内で調製する。
そのためには、シリンジ6(低位置においてそのプランジャー8を有する)と放射性生成物源11を三方バルブ15と連結する;次に、このバルブ15を、その上部18および下部19経路を一緒に水系連結するように駆動させて、シリンジニードル9が放射性生成物源11と連結するのを可能にする。
次に、シリンジプランジャー8を上方に操作して、シリンジ本体7内に、アクティビメーター3によってリアルタイムで測量する所望投与量の放射性生成物を吸引する。この投与量は、とりわけ、患者体重の関数である。
シリンジ内で調製した投与物は、その後、患者に投与し得る。
そのためには、バルブ15を再度駆動させて、その上部18および側部22経路をそれぞれシリンジニードル9とチューブ23および24(生理食塩溶液バッグ16および注入カテーテル17に連結している)と連結させる。
注入段階それ自体の前に、必要に応じて、シリンジプランジャー8を駆動させて(上方に)、補助容量の生理食塩溶液をバッグ16から吸引する;この食塩溶液容量は、放射性生成物を希釈し、さらにまた、十分な注入容量を得るのを可能とする。
次に、シリンジ6を、シリンジプランジャー8の適切な移動(下方への)によって水切りする。補助容量の生理食塩溶液によって必要に応じて希釈された放射性生成物は、その後、チューブ24を通り(そこで、装置36により濾過される)、次いで注入カテーテル17に沿って患者まで移動する。
【0014】
この注入段階の後、操作者は、必要に応じて、シリンジ本体7、バルブ15並びに下流のパイプ17および24を、所望放射性投与物全体を患者に投与するのを確実にするのに適する容量の生理食塩溶液によって洗浄する補助段階を実施し得る。
そのためには、シリンジプランジャー8を、一定容量の生理食塩溶液をバッグ16から吸引する吸引(上方へ)、次いで、この容量をパイプ24および放出カテーテル17により放出する放出(下方へ)において連続操作する。
操作者は、シリンジ6または放射性生成物源11を交換したい場合は、それぞれの支持構造体10および13を正しく操作しなければならない。参考までに、シリンジ6および種々の経路を有するバルブ15は、注入後毎に交換し得る。一方のシリンジ6と、他方のニードル20およびパイプ23、24を有するバルブ15、生理食塩溶液バッグ16およびカテーテル17とは、使用後毎に極めて容易に交換し得る単回使用滅菌アッセンブリを構成する。
この装置の種々の上記で説明した吸引、希釈および注入のサイクルは、シリンジプランジャー8と三方バルブ15の操作手段34を適切な方法で自動的に駆動させることのできるプログラム可能なコントローラータイプのコンピュータおよび/または電子制御手段によって管理する。
これらのサイクルは、全体を完全に自動化し得る。必要または操作者の所望に応じて、放射性投与物の患者への注入は、離脱可能な手段のギアモーター34により、手動でも実施することができる。
【0015】
図1において略図的に示した医療装置のとりわけ興味ある形態を図2に示す。
図2においては、遮蔽囲い2は、上記の機能的装置全体を一体化しており、4個のホイール40を有するフレーム上に取付けられている。好ましくは、ホイール40の少なくとも幾つかは、簡単な移動助力を与えるか或いは適切なジョイスティック制御装置によって遠隔駆動させる移動可能装置の自発移動をそれ自体で確実にするモーター系と連携している。
また、移動可能装置1は、例えばGPSタイプのジオロケーションシステムと一体化して、建物内でのその遠隔位置を絶えず知ることができる。
囲い2の下部部分においては、放射性生成物源11を囲っている遮蔽容器12のその支持体13上での設置または取外し(とりわけ、この支持体13が低設置/取外し位置にあるとき)のための、副囲い2c内部へのアクセスを提供する遮蔽トラップドア41の存在に注目し得る。
上部部分においては、シリンジ支持体10、支持体42から吊下げている生理食塩溶液バッグ16、並びにサイクル管理プログラム制御可能コントローラーを一体化し或いは該コントローラーと直接の関係にある(例えば、装置フレーム内を移動させる)タッチスクリーン制御およびディスプレーボード43に注目し得る。この制御、ダイアログおよびディスプレーボード43は、較正操作(活性測定)を実施し、移動調製(希釈…..)および放射性生成物注入の各種段階をリアルタイムで視察することを可能にする。
【0016】
相応するコンピュータおよび/または電子制御手段は、データの送出しおよび/または受取りのための、とりわけ、遠隔保守を実施し且つ患者に関するデータ(とりわけ、彼/彼女に投与しなければならない放射性元素の線量を決定するのに必要なデータ)を収集する近隣または遠隔位置に位置するコンピュータサーバーとの幾つかの交換(例えば、イントラネットネットワークまたはインターネットによる)のためのコネクティックス44を備えている。
また、装置1のフレームは、例えば再充電可能なバッテリータイプのフレーム独自の電力供給手段を有して、とりわけ上記モーター駆動ホイール40およびコンピュータおよび/または電子制御手段への電源供給を確保している。
この遮蔽移動可能装置1は、如何なる放射性生成物(とりわけ、FDG)の較正および注入を可能にする単独型装置を構成している。この装置は、上記アクティビメーター、上記三方バルブおよび上記放射性生成物源を同じ垂直軸上で或いは実質的に同じ垂直軸上で積み重ねている故に、また、副囲い2a、2bおよび2cの積み重ね故に、極めてコンパクトなサイズである。この装置は、十分に安全な吸引、測定および注入操作を可能にする。
【符号の説明】
【0017】
1 医療装置
2 遮蔽囲い
3 アクティビメーター
4 上部開口
5 下部開口
6 シリンジ
7 シリンジ本体
8 シリンジプランジャー
9 パイプ、ニードル
10 シリンジ支持体
11 放射性生成物源
12 遮蔽容器
13 容器12の支持体
15 バルブ
16 生理食塩溶液のバッグ
17 注入カテーテル
18 上部経路
19 下部経路
20 パイプ
21 密閉膜シール
22 側部経路
23 パイプ
24 パイプ
25 チェックバルブ
26 チェックバルブ
29 Y型コネクター
33 摺動プランジャー
34 離脱可能なギアモーター
35 ソレノイドピンチバルブ
36 発泡防止/抗菌手段
37、38、39 開口
40 ホイール
41 遮蔽トラップドア
43 ディスプレーボード
44 コネクティックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に注入することのできる放射性生成物の吸引、較正、希釈および/または注入用の医療装置にであって、
この医療装置(1)が、少なくとも、
‐注入可能な放射性生成物の源または生成元(11)を適応化させる放射線防護材料製の容器(12)を支持する手段(13);
‐プランジャー(8)を備えたシリンジ(6)を支持する手段(10);
‐前記シリンジ(6)の内容物からの放射性同位元素活性をリアルタイムで測定するアクティビメータータイプの装置(3);および、
‐前記放射性源(11)、前記シリンジ(6)、生理食塩溶液源(16)および患者との連結を意図する注入カテーテル(17)の水系連結のための少なくとも1個のバルブ(15)と連結するパイプ系(9、20、23、24);
を含み、
前記バルブ(15)および前記シリンジプランジャー(8)は、一方では前記放射性生成物(11)または前記生理食塩溶液(16)の前記シリンジ(6)中への吸引を、他方では予め前記シリンジ(6)に吸引した前記放射性生成物(11)、前記生理食塩溶液(16)または双方の混合物の前記注入カテーテル(17)を介しての放出を確実にするように操作でき、前記シリンジ(6)によって吸引および注入した放射性生成物量を前記アクティビメーター(3)によって計量するようになっている、医療装置において、
前記医療装置が、前記放射性源(11)の前記支持体(13)、シリンジ(6)を支持する手段(10)の少なくとも1部、前記アクティビメーター(3)、前記バルブ(15)、前記パイプ系(9、20、23、24)の少なくとも1部を適応化させる少なくとも1種の放射線防護材料製の遮蔽囲い(2)を含み、且つ前記シリンジ支持体(10)、前記バルブ(15)および前記放射性源(11)の前記支持体(13)が、それぞれ上部から底部へ互いに対して垂直に配置されており、前記シリンジ支持体(10)が、上方に配置したプランジャー(8)を有する前記シリンジ(6)を担持するように配置されていることを特徴とする前記医療装置。
【請求項2】
前記バルブ(15)が、下記を含む三方バルブからなる請求項1記載の医療装置:
‐前記吸引および注入用シリンジ(6)との連結を意図する上部経路(18);
‐注入可能な放射性生成物源(11)との連結を意図する下部経路(19);および、
‐生理食塩溶液源(16)と連結させた第1パイプ(23)および注入カテーテル(17)と連結させた第2パイプ(24)との連結を意図し、前記パイプ(23、2’)が各々適切に配置されたチェックバルブ(25、26)を備えている、側部経路(22)。
【請求項3】
前記アクティビメーター(3)が、シリンジ(6)を収容することを意図する垂直軸中央壁(3’)を囲む概して管状の形を有し、前記アクティビメーター(3)は、2つの開口、即ち、上部開口(4)と下部開口(5)を有しており、後者が三方バルブ(15)および放射性源(11)の支持体(13)に相対して配置されている、請求項2記載の医療装置。
【請求項4】
シリンジ(6)との連結を意図するバルブ(15)の上部経路(18)が、前記シリンジ(6)に装着しているニードル(9)で穿刺することを意図する密閉膜シールを含む、請求項2または3のいずれか1項記載の医療装置。
【請求項5】
注入可能な放射性生成物源(11)との連結を意図するバルブ(15)の下部経路(19)が、前記放射性源(11)を収容しているバイアルを密閉している膜シール(21)を穿刺することを意図するニードル(20)によって延長されている、請求項2〜4のいずれか1項記載の医療装置。
【請求項6】
前記放射性源(11)およびシリンジ(6)の支持体(13、10)が、各々、下記の2つの位置間で、垂直軸または実質的に垂直な軸に沿ってこれら支持体の移動を確保する手段によって担持されている、請求項1〜5のいずれか1項記載の医療装置:
‐操作者が、前記放射性源(11)およびシリンジ(6)をそれらの各々の支持体(13、10)上に設置するか或いは逆に前記放射性源(11)およびシリンジ(6)を取外し得る第1の位置;および、
‐前記放射性源(11)およびシリンジ(6)を前記バルブ(15)に連結させる第2位置。
【請求項7】
シリンジ支持体(10)を移動させる前記手段が、シリンジ支持体(10)が遮蔽囲い(2)に設けられたオリフィス(39)から下記の間で垂直に移動するのを可能にする、請求項6記載の医療装置:
‐前記支持体(10)を前記囲い(2)外に少なくとも部分的に位置させる上部の設置/取外し位置;および、
‐シリンジ(6)を、アクティビメーター(3)の前記中央壁(3’)の内側に位置させ、前記バルブ(15)に連結させる下部の連結位置。
【請求項8】
前記放射性源(11)の支持体(13)が、遮蔽囲い(2)内で、該支持体の前記設置/取外し位置と連結位置間で移動し、前記囲い(2)が、操作者が、少なくとも前記支持体(13)がその設置/取外し位置にあるときに、前記放射性源(11)の支持体(13)に届くのを可能にする前面トラップドア(41)をさらに備えている、請求項6または7のいずれか1項記載の医療装置。
【請求項9】
前記装置(1)が、前記バルブ(15)とシリンジプランジャー(8)を操作する手段(33、34)を駆動させてシリンジ(6)の吸引および注入操作を実施することのできるコンピュータおよび/または電子制御手段をさらに含み、これらコンピュータ/電子制御手段が、必要に応じて、シリンジ支持体(10)および放射性源支持体(13)を移動する手段も駆動させる、請求項1〜8のいずれか1項記載の医療装置。
【請求項10】
シリンジ(6)のプランジャー(8)を操作する前記手段が、前記コンピュータ/電子制御手段によって制御されて、一方で一定投与量の放射性生成物の前記シリンジ(6)中への自動吸引を、他方でこの投与量の自動または手動による患者への注入を確実にする離脱可能なギアモーター(34)タイプである、請求項9記載の医療装置。
【請求項11】
前記囲い(2)が、互いに対して垂直に配置させた3個の副囲い(2a、2b、2c)、即ち、シリンジ(6)とアクティビメーター(3)を収容する上部副囲い(2a)、バルブ(15)を収容する中間副囲い(2b)、および放射性生成物源(11)を収容する下部副囲い(2c)からなり、これらの副囲い(2a、2b、2c)が、数本の水系連結パイプ(9、20)を通す通り抜け開口(37、38)を経て2個ずつ一緒に連結されている、請求項1〜10のいずれか1項記載の医療装置。
【請求項12】
前記コンピュータおよび/または電子制御手段が、データの送出しおよび/または受取りのための、とりわけ、コンピュータサーバーとの交換のためのコネクティックス(44)を備えている、請求項1〜11のいずれか1項記載の医療装置。
【請求項13】
前記装置(1)をホイール(40)上に取付けて移動可能とし、且つ前記装置(1)が、必要に応じて、例えばGPSタイプのジオロケーションシステムと一体化している、請求項1〜12のいずれか1項記載の医療装置。
【請求項14】
下記を含む三方バルブ(15)を少なくとも含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項記載の医療装置用の単回使用滅菌アッセンブリ:
‐前記吸引および注入用シリンジ(6)との連結を意図し、前記シリンジ(6)に装着しているニードル(9)で穿刺することを意図する密閉膜シールを含む経路(18);
‐注入可能な放射性生成物源(11)との連結を意図し、前記放射性源(11)を収容するバイアルを密閉している膜シール(21)を穿刺することを意図するニードル(20)によって延長されている、経路(19);および、
‐2本の液体パイプ(23、24)との連結を意図するY型コネクターを備えている側部経路(22)。
【請求項15】
吸引および注入用シリンジ(6)と、Y型コネクターとの連結を意図し且つ各々が適切に配置されたチェックバルブ(25、26)を備えている2本のパイプ(23、24)とをさらに含む、請求項14記載の単回使用滅菌アッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−504783(P2010−504783A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529747(P2009−529747)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/FR2007/052048
【国際公開番号】WO2008/037939
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(509083267)ルメール プロテクシオン アンティ−イクス パル アブレヴィアシオン ソシエテ ルメール パクス (3)
【Fターム(参考)】