説明

注入器自動パージ

【課題】患者の中に流体を注入するための注入器を提供すること。
【解決手段】プランジャ駆動ラムを前進させるモータを有し、且つ概ね既知量の空気を含
有するプレフィルド又はユーザーフィルドシリンジと共に使用するよう構成されたタイプ
の静脈造影注入器用自動パージであって、モータを動かすプロセッサ、及びシリンジ中の
概ねの既知量を表す所定のパージ停止点を記憶するメモリを含み、注入器は、シリンジに
含有される概ね既知量の空気を表す所定のパージ停止点に実質的に等しい量、プランジャ
駆動ラムを自動的に前進させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、患者に流体を注入する注入器に関し、詳細には、かかる注入器から
空気をパージすることに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療環境において、診断又は治療中に、患者に医療用流体が注入される。一例と
して、動力作動の自動注入器を使用して、核医学、磁気共鳴(MR)、CT、光学、血管
造影法又は超音波像形成法を改善するために患者に造影剤を注入することが挙げられる。
【0003】
これらの用途や類似の用途に好適な注入器は、比較的大容量のシリンジを使用し、比較
的大きな流速と高い注入圧力を発生することが可能である。このため、かかる用途の注入
器は、典型的には、モータ作動され、大型で高質量の注入器用モータと駆動系とを含む。
使用し易くするために、モータと駆動系は、典型的には、床、壁又は天井に装着されたア
ームによって支持された注入器ヘッドに収容されている。
【0004】
注入器ヘッドは、典型的に、枢動可能にアームに装着され、ヘッドは、シリンジの先端
をシリンジの残りの部分の上方に位置させて、上方に傾動し、シリンジに流体を充填しや
すくし、そしてシリンジの先端をシリンジの残りの部分の下方に位置させて、下方に傾動
し、注入しやすいようにする。ヘッドをこのように傾動させることで、充填中、シリンジ
から空気を抜き易くし、注入プロセス中、空気が患者に注入される可能性を低くさせる。
それでも、患者に空気を偶発的に注入する可能性があり、安全上深刻な関心事となってお
り、見落とすと、致命的な結果となる場合がある。
【0005】
前述の注入器ヘッドの他に、多くの注入器は、その注入器を制御するためのコンソール
を含む。コンソールは、典型的には、注入器の自動プログラム化制御に使用することので
きるプログラム化可能な回路を含み、注入器の作動が予測可能であって、スキャナや画像
形成装置等のその他の装置の作動と同期化できようになっている。
【0006】
注入器システムはまた、2つのヘッドで構成してもよい。各ヘッドの各シリンジは、「
Y」又は「Y型チューブ」で相互接続されていて、患者の単一の静脈注入部位に導かれる
。例えば、かかるシリンジは、造影剤及び食塩水を含有していて、組み合わせて用いて、
凝血を防ぐことができる。
【0007】
注入器システムにより実施される特定の操作ルーチンは、充填中に導入される空気等、
シリンジ及びそれと共に使用する延長チューブから空気をパージすることである。このパ
ージルーチン又はシーケンスには、典型的に、操作者による注入器のヘッドの上方への傾
動及びプランジャを前進させて、シリンジ及び延長チューブから空気を押出すことが含ま
れる。これによって、注入プロセス中に、対象物に空気が注入される可能性が減る。この
手動のプロセスは、典型的に、訓練を受けた臨床士により実施される。相応の努力によっ
て、患者への空気の注入を確実に最小なものとする、又は排除するためである。自動注入
器におけるセットアップシーケンスを単純化して、操作者が、医療用流体を患者へ注入す
る前に、注入器から空気をより容易に(例えば、自動的に)パージするようにするのが望
ましい。
【0008】
多くの用途において、多数の異なるサイズのシリンジを備えた注入器を使用することが
望ましい。例えば、小児用には、大人用より小型のシリンジを使用することが望ましい。
異なるシリンジサイズを使用しやすくするために、注入器は、多数の異なるサイズのシリ
ンジのためのパラメータを含むメモリを備えて、操作者がシリンジのパラメータ又はタイ
プを入力できるようにしてある。他の注入器は、異なるシリンジに特有の様々なヘッドを
受け、それに基づいてシリンジのためのパラメータを選択するようになっている。
【0009】
シリンジの特定のサイズ又は構造に関わらず、各シリンジは、シリンジのサイズ又は構
造に基づいて、特定量の空気又はガスをトラップ又は含有している。例えば、あるサイズ
のプレフィルドシリンジを、小さな、例えば、約1ミリリットル(ml)の窒素泡により
作製して、殺菌を促進する。このように、様々な注入器に適合する注入器用自動パージを
提供することが望ましい。さらに、様々なサイズのプレフィルド及び/又は空のシリンジ
で作動する注入器用自動パージを提供することも望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、自動注入器におけるセットアップシーケンスを単純化して、操作者が、医療
用流体を患者へ注入する前に、注入器から空気を自動的にパージできるようにすることを
一部の特徴とする。本発明は、1つ又は複数の注入器で用いられる自動パージルーチンを
提供することも特徴とする。一態様によれば、本発明は、プレフィルド及び/又はユーザ
ーフィルドシリンジで用いられる。本発明の他の態様によれば、空気は、シリンジに使用
される延長チューブからパージされる。本発明のさらに他の態様は、シリンジの1つを受
けるように構成された2つのヘッドを有する注入器と共に使用する複数のシリンジから空
気をパージすることに関する。かかるシリンジは、通常、延長チューブに結合されていて
、そこから、同じく、空気がパージされる。本発明のこれら及びその他の特徴、態様及び
利点は、添付の図面及びその説明から明らかとなろう。
【0011】
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
シリンジと共に使用するプランジャ駆動ラムを前進させるモータを有する注入器であっ
て、
モータを動かすプロセッサを含み、上記プランジャ駆動ラムを所定のパージ停止点まで
自動的に前進させるよう構成され、上記所定のパージ停止点に達すると、低流速を可能に
する注入器。
(項目2)
パラメータを記憶するメモリをさらに含み、該パラメータから、上記所定のパージ停止
点が、上記注入器の特定のプレフィルドシリンジに含有された概ね既知量のガスから誘導
される、概ね既知量のガスを含有するプレフィルドシリンジと共に使用する、項目1に記
載の注入器。
(項目3)
上記注入器が、概ね既知量の空気を含有する延長チューブと共に使用するようさらに構
成されており、
上記メモリが、上記延長チューブ中の上記概ねの空気量を表す値を記憶し、
上記注入器が、上記延長チューブに含有される上記概ね既知量の空気に実質的に等しい
追加量、上記プランジャ駆動ラムを自動的に前進させるように構成されている、項目1に
記載の注入器。
(項目4)
上記所定のパージ停止点がユーザー調整される、項目1に記載の注入器。
(項目5)
上記所定のパージ停止点が較正される、項目1に記載の注入器。
(項目6)
上記所定のパージ停止点が履歴情報に基づいている、項目1に記載の注入器。
(項目7)
上記低流速が、上記注入器の手動の運動制御に適用可能である、項目1に記載の注入器

(項目8)
パージが操作者入力により停止するまで、上記注入器が付加流体を自動的にパージする
後続のパージ完了に、上記低流速が適用可能である、項目6に記載の注入器。
(項目9)
充填時に曝気により付加された概ね既知量の空気を潜在的に含有し、且つ上記プランジ
ャ駆動ラムと上記シリンジプランジャとの間に機械的間隙を有するユーザーフィルドシリ
ンジと共に使用する項目1に記載の注入器であって、上記ユーザーフィルドシリンジに充
填中、曝気により付加された上記概ね既知量の空気及び/又は上記プランジャ駆動ラムと
上記シリンジプランジャとの間の上記機械的間隙を表す所定のパージ停止点を記憶するメ
モリをさらに含む、注入器。
(項目10)
第1のシリンジを受けるよう構成された第1のヘッドと、
第2のシリンジを受けるよう構成された第2のヘッドと、
上記第1及び第2のシリンジを結合するY型チューブと、
を含む二重ヘッド注入器であって、
上記二重ヘッド注入器は、上記第1及び/又は第2のシリンジ及び/又は上記Y型チュ
ーブから実質的に全ての空気を自動的にパージし、シリンジ及び/又はY型チューブの自
動パージにおいて所定パージ停止点に達すると、低流速を可能にするように構成されてい
る、二重ヘッド注入器。
(項目11)
パラメータを記憶するメモリをさらに含み、該パラメータから、上記所定のパージ停止
点が、上記注入器の特定のプレフィルドシリンジに含有される概ね既知量のガスから誘導
される、概ね既知量のガスを含有するプレフィルドシリンジと共に使用する、項目10に
記載の二重ヘッド注入器。
(項目12)
上記Y型チューブが、上記第1のヘッドに結合した第1のセクションを含み、上記第1
のヘッドが最初に、上記第1のシリンジ及び上記チューブの第1のセクションから空気を
パージする、項目10に記載の二重ヘッド注入器。
(項目13)
上記Y型チューブが、上記第2のヘッドに結合した第2のセクション、上記第1及び第
2のセクションに結合したコネクタ、及び上記コネクタに結合した第3のセクションを含
み、上記第2のヘッドが、次に、上記第2のシリンジ、上記チューブの第2のセクション
、上記コネクタ及び上記チューブの第3のセクションから空気をパージする、項目12に
記載の二重ヘッド注入器。
(項目14)
上記第1のシリンジが造影剤のプレフィルドシリンジである、項目10に記載の二重ヘ
ッド注入器。
(項目15)
上記第2のシリンジが食塩水を含有する、項目14に記載の二重ヘッド注入器。
(項目16)
上記第1及び第2のシリンジのうち1つが造影剤を含有する、項目10に記載の二重ヘ
ッド注入器。
(項目17)
上記第1及び第2のシリンジのうち1つが食塩水を含有する、項目10に記載の二重ヘ
ッド注入器。
(項目18)
上記低流速が、上記注入器の手動の運動制御に適用可能である、項目10に記載の注入
器。
(項目19)
パージが操作者入力により停止されるまで、上記注入器が付加流体を自動的にパージす
る、上記注入器により行われる後続のパージ完了に、上記低流速が適用可能である、項目
18に記載の注入器。
(項目20)
ラムを所定のパージ停止点まで動かすのに必要な期間にわたってモータに電圧を印加す
ることにより、注入器に装着されたシリンジからガスを自動的にパージする方法において
、上記所定のパージ停止点に達すると、低流速を可能にする改善された方法。
(項目21)
シリンジサイズ及びタイプを決定する工程と、上記シリンジサイズ及びタイプに基づい
て上記シリンジに含有される概ねの量のガスから誘導される上記所定のパージ停止点を決
定する工程とをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
ユーザーが上記シリンジを充填できる工程をさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目23)
ユーザーがパージボタンを作動すると、電圧を印加することが実施される工程をさらに
含む、項目20に記載の方法。
(項目24)
上記所定のパージ停止点が、特定のプレフィルドシリンジ及びそれと共に使用する延長
チューブにトラップされた空気の量についての実際の値に基づいている、項目20に記載
の方法。
(項目25)
上記所定のパージ停止点が履歴データに基づいている、項目20に記載の方法。
(項目26)
上記シリンジサイズ及びタイプがユーザーインターフェースから入力される、項目20
に記載の方法。
(項目27)
上記シリンジサイズ及びタイプが、上記シリンジが結合される面板から誘導される、項
目20に記載の方法。
(項目28)
上記低流速が、上記注入器の手動の運動制御に適用可能である、項目20に記載の注入
器。
(項目29)
パージが操作者入力により停止するまで、上記注入器が付加流体を自動的にパージする
後続のパージ完了に、上記低流速が適用可能である、項目28に記載の注入器。
(項目30)
注入器から空気を自動的にパージする方法において、
シリンジ近傍の空気検出器を監視する工程と、
モータに電圧を印加して、ラムを動かし、上記空気検出器を監視しながら、上記シリン
ジのプランジャを前進させる工程と、
空気が検出されなくなったあと、所定の条件に達したら、上記ラムを停止する工程と、
上記所定の条件に達すると低流速を可能にする工程と、
を含む方法。
(項目31)
ユーザーが上記シリンジを充填できるようにする工程をさらに含む、項目30に記載の
方法。
(項目32)
ユーザーがパージボタンを作動すると開始される、項目30に記載の方法。
(項目33)
空気が検出されない一方で所定量の流体がパージされたあと、上記ラムが停止される、
項目30に記載の方法。
(項目34)
上記空気検出器が上記シリンジの放出先端近傍にある、項目30に記載の方法。
(項目35)
上記低流速が上記注入器の手動の運動制御に適用可能である、項目30に記載の方法。
(項目36)
操作者入力によりパージが停止されるまで、上記注入器が付加流体を自動的にパージす
る後続のパージ完了に上記低流速が適用可能である、項目35に記載の注入器。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に組み込まれ、一部を構成し、上述した本発明の一般的な説明及び後述する実
施形態の詳細な説明と共に本発明の例示の実施形態を示す添付の図面は、本発明の原理を
説明する役割を果たす。
【図1】シリンジ、圧力ジャケット、ヒーターブランケット及び空気検出モジュールを取り外した状態で、パワーヘッド、コンソール及びパワーパック(カバーの下にある)を含む、本発明の原理による注入器の斜視図を示す。
【図2】圧力ジャケット、シリンジ及びヒーターブランケットを装着した状態で、パワーヘッドディスプレイ、手動の制御装置及び支持アームマウントを詳細に示す、図1の注入器のパワーヘッドの斜視図である。
【図3】空気検出モジュールの内部構造及びシリンジの先端の構造の相互作用を示す、空気検出モジュールを適所に位置させた状態で圧力ジャケットに装着したシリンジの部分断面図である。
【図4】シリンジ及び圧力ジャケットを取り外した状態で、図3の線4−4に沿った空気検出モジュールの図である。
【図5】図1〜4に示すパワーヘッドの電気的及び電気機械的ブロック図を示す。
【図6】単一シリンジを有する注入器についての注入器自動パージルーチンのフローチャートである。
【図7】空気検出器を含む注入器についての注入器自動パージルーチンのフローチャートである。
【図8】本発明の原理に従った二重ヘッド注入器の斜視図を示す。
【図9】図8の二重ヘッド注入器の手持部分の斜視図を示す。
【図10】二重ヘッド注入器のための注入器自動パージルーチンのフローチャートである。
【図11】低流速を用いてパージを完了するためのルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、本発明による注入器20は、例えばパワーヘッド22、コンソール
24及び(カバーの内部に装着された)パワーパック26のような各種の機能要素を含む
。シリンジ36(図2に図示)がパワーヘッド22の面板28において注入器20に装着
され、各種の注入器の制御装置が使用され、シリンジ、例えば、ユーザーフィルドシリン
ジに、例えば、核医学、磁気共鳴(MR)、CT、光学、血管造影法は超音波像形成法又
はその他手順のための造影剤を充填し、媒体は次に操作者によって、あるいは予めプログ
ラム化した制御によって検査中の対象又は患者に注入される。シリンジはプリフィルドし
てよいものと考えられる。
【0014】
注入器パワーヘッド22は内部駆動モータの運動を制御するのに使用する手動の運動制
御レバー29と、操作者に対して注入器の現在の状態と作動パラメータとを指示するディ
スプレイ30とを含む。コンソール24は注入器20の作動を遠隔制御するために操作者
が使用可能で、また注入器20による自動的な注入のためのプログラムを特定し、かつ記
憶するためにも使用し得るタッチスクリーンディスプレイ32を含む。それは、後に操作
者による開始により、注入器によって自動的に実行可能である。
【0015】
パワーヘッド22とコンソール24はケーブル(図示せず)によりパワーパック26に
接続されている。パワーパック26は注入器20のための電源と、コンソール24とパワ
ーヘッド22との間の連通のためのインターフェース回路と、例えば遠隔コンソール、遠
隔ハンドあるいはフット制御スイッチ、あるいはその他の、例えば注入器20の操作を画
像形成システムのX線露出と同期化しうる相手先商標製造会社製品(OEM)である遠隔
ユニットとの注入器20の接続を可能にするさらなる回路とを含む。
【0016】
パワーヘッド22、コンソール24及びパワーパック26はキャリッジ34に装着され
ており、キャリッジは検査対象の近傍にパワーヘッド22を位置させ易くするためにパワ
ーヘッド22を支持する支持アーム35を含む。しかしながら、その他の据付けも考えら
れる。例えば、コンソール24とパワーパック26とをテーブルに位置させるか、あるい
は検査室の電子ラックに装着可能で、一方パワーヘッド22を天井、床、あるいは壁装着
の支持アームに支持させる。
【0017】
図2を参照すると、操作時のシリンジ36と圧力ジャケット38はパワーヘッド22に
装着され、パワーヘッド22内のモータに電圧が印加され、図1に示すプランジャ駆動ラ
ム62及びプランジャ37をシリンジ36の胴体内でシリンジの放出先端40に向って、
あるいは離れる方向に動かし、それによってシリンジ36から流体を放出したり、あるい
はシリンジに流体を充填する。圧力ジャケット38はシリンジ36の外壁を支持し、シリ
ンジ36の壁が高度の注入圧で破損するのを阻止する。しかしながら、圧力ジャケットを
使用することは、本発明の原理に密接に結びつくものではなく、圧力ジャケットを含むか
どうかに関らず、注入器に適用されてよいものと考えられる。
【0018】
図示した実施形態において、シリンジ36と圧力ジャケット38は透明のプラスチック
材料で作られており、それを通して操作者はプランジャ37の現在の位置と、プランジャ
37と放出先端40との間の流体あるいは空気を見ることができる。従って、操作者は充
填過程を視覚的にモニターしながら、パワーヘッド22を上方に傾斜させ、シリンジ36
に流体源から充填し、次に注入器を患者に達する(しかし接続はされていない)チューブ
に接続し、チューブ及びシリンジから空気を放出又はパージし、一方シリンジ内での流体
のレベルを視覚的にモニターし、次に、空気が放出されたら、注入器を下方に傾斜し、患
者にチューブを接続し、流体の対象への注入に進む。
【0019】
この充填及びパージ工程、及び対象に注入を行っている間のその他の操作を促進するた
めに、パワーヘッド22は回転可能なレバー29の形態の手動の運動制御装置を含む。具
体的には、レバー29はパワーヘッド22の内部の回転軸線で回転可能である。手動の運
動制御レバー29が図1及び2に示す原位置にあるままだと、パワーヘッド22によって
プランジャが動くことはない。しかしながら、手動制御レバー29をシリンジ36の方に
回すと、パワーヘッド22によってプランジャが順方向に動き、流体あるいは空気をシリ
ンジ36から放出する。この代わりに、手動制御レバー29をシリンジ36から離れる方
向に回すと、パワーヘッド22によってプランジャが逆方向に動き、シリンジ36に流体
あるいは空気を充填する。
【0020】
シリンジ及びそれと共に使用する延長チューブからの空気のパージは、一般的に、操作
者が行う。これにより、また、注入プロセス中、対象者に空気が注入される可能性が減じ
る。この手動のパージ手順も、訓練された臨床士により一般的に行われ、通常はそれが必
要とされる。相応の努力によって、患者への空気の注入を確実に最小なものとする、又は
排除するためである。
【0021】
後述するとおり、本発明は、医療用流体を患者に注入する前に、操作者が使用して、シ
リンジ及び/又はチューブから自動的に空気をパージする、注入器のルーチンを提供する
。さらに、本発明の原理に従って、注入器自動パージルーチンは、様々な注入器に適用可
能で、様々なサイズのプレフィルド及び/又は空の、例えば、ユーザーフィルドシリンジ
で機能する。
【0022】
対象に注入される流体が略体温に確実に保持されるようにするために、ヒーターブラン
ケット42が圧力ジャケット38の外壁と当接して設置されている。ヒーターブランケッ
ト42はシリンジ36内の流体の温度を調節するための熱を発生させる電気ヒータを含む
。ヒーターブランケット42は面板28から延びているポスト44に装着されており、ヒ
ーターブランケット42を圧力ジャケット38と熱接触状態に保持している。
【0023】
パワーヘッド22の後端には(光線拡散カバーによって被覆されている)インジケータ
ランプ46が設けられ、パワーヘッドの状態を指示する。
【0024】
図3及び4を参照して、一体型の空気検出システムを説明する。空気検出モジュール1
22はポスト44の端部に装着され、圧力ジャケット38の遠位端の周りに巻かれ、シリ
ンジ36の放出首部を囲む外方に突出したカラー124aと接触するような形状にされて
いる。カラー124aとの接触点において、空気検出モジュールは光源126と光線セン
サ127とを含む。光線センサ127は市販されている回路であって、センサ127と、
光源126が光線ビームを発生するように励起されるべきときを指示するトリガー信号を
発生させる励振器とを含む。センサ127の出力は、光源のトリガーに応答して検出器に
よって光線ビームが受け取られたか否かを指示するデジタル信号である。
【0025】
図3及び4は、光源126から放射された光線がとる軌道を示す光線の軌跡を示す。光
源126は一体の集光レンズを含み、シリンジ36の放出首部のカラー124aは第2の
集光レンズを形成する。これらのレンズは調和して作用し、光源126からの光線を軌道
129に沿ってシリンジ36の放出首部のカラー124bに向って導く。カラー124b
の内部形状は隅部の反射器を形成し、光源126からのカラー124bに衝突する光は光
線センサ127に向って反射される。
【0026】
この構造の結果、シリンジ36の首部が流体で充填されると、光源126から放射され
た光線は、例えば図3及び4に示す軌道129のように反射し、光線センサ127に戻す
ようなシリンジ36の首部を通る軌道に従う。従って、かかる状態では、センサ127は
光線を受け取ったことを示すデジタル信号を発生し、その信号はシリンジの首部に空気が
存在しないことを示す。(光源126とカラー124aにおけるレンズの組み合わせた焦
点距離は軌道129に沿って光が走行する距離より長い、すなわちカラー124aとカラ
ー124bとの間の距離より2倍長い。)
【0027】
しかしながら、シリンジの首部が空気あるいは気泡を含む場合、空気/流体あるいは空
気/シリンジの境界での光の回折は、光を図3及び4とに示す軌道129から著しく偏移
させる。具体的には、シリンジ36の首部に入射する光線は図3に示す軌道130あるい
は図4に示す軌道131に従う。いずれの状態においても、気泡の存在は、光が光源12
6からシリンジの首部を通して光線検出器127まで反射するのを阻止し、かくして光線
検出器に、空気がシリンジの首部に存在していることを示す、光線を受け取れなかったこ
とを示す信号を発生させる。
【0028】
一貫した、繰り返し可能な成果を確保するため、空気検出モジュール122は光源12
6と、光線センサ127とシリンジ36のカラー124aの表面との間に完全な接触を確
保するような構造にされている。具体的には、空気検出モジュール122は軟質で弾性の
あるプラスチック134をオーバーモールドされた、ばね金属内部スケルトン133を有
する。ばね金属のスケルトン133の一端は(プラスチックの成形部134の空洞を介し
て取り扱い可能な)装着ねじ135によってポスト44に装着されている。スケルトン1
33の反対側の端部は、光源126と光線センサ127とを支持している硬質プラスチッ
ク成形部136を含む空気検出モジュールを支持している。成形部136は圧力ジャケッ
ト38の開口の面取り部138に嵌合する大きさにされた斜め部分137を含む。斜め部
分137と面取り部138との相互作用は、圧力ジャケット38に対する光源126と光
線センサ127との正確な位置決めを確保する。
【0029】
シリンジ36の首部は軽い締り嵌めの寸法にされ、シリンジ36が圧力ジャケット38
内へ挿入され、ばねスケルトン133を撓ませ、その結果シリンジ36のカラー124a
に対して光源126と光線センサ127とに付加力を着実に加えると、カラー124aが
空気検出モジュール122と接触し僅かに撓ませる。この付加力は光源126からの光が
シリンジ36の首部内へ、かつシリンジ36の首部から光線センサ127内へ確実に連通
するようにする。
【0030】
図1〜4に示すような注入器システムの操作を制御する例示のハードウェア及びソフト
ウェアのさらなる詳細は、本発明の譲渡者に譲渡され、その全内容が参照により本明細書
に援用される米国特許第5,868,710号明細書にある。
【0031】
注入器20等の注入器システムは、シリンジ及びそれと共に使用する延長チューブにト
ラップ又は含有される空気又はガスの量に関連する、又はこれを含めたようなシリンジパ
ラメータを突き止める変形方法を含んでいてもよい。例えば、シリンジパラメータは、保
守技術員により注入器20に入力される。シリンジパラメータはまた、シリンジ36に特
定の面板28から誘導されてもよく、それによって、注入器20がそのシリンジ36と共
に使用されるよう適合される。面板28を、配置カムレバー78を使用して、パワーヘッ
ド22の定位置にロック又は係合して、かかるシリンジパラメータの取得を促すことがで
きる。これら変形方法のそれぞれについての詳細は後述する。
【0032】
再び図1を参照すると、コンソール24及びタッチスクリーンディスプレイ32は、注
入器20の操作者にユーザーインターフェースを与える。注入器20を保守するのに関連
した機能は、通常、操作者により利用されるものとは異なるため、典型的には、保守人員
は、操作者のインターフェーススクリーンとは異なるコンソールにインターフェーススク
リーンを提供する。このサービスインターフェーススクリーンから、技術者は、シリンジ
の物理特性の記憶された定義を追加又は修正するために、メニュー選択を提示される。
【0033】
保守技術員は、注入器20の一部である入力装置(例えば、キーボード、タッチスクリ
ーン等)を介して、又は注入器20のインターフェースポートに接続可能なその他診断機
器から、ユーザーインターフェースに入力を行ってもよい。それによって、保守技術員は
、コンソール24を使用して、注入器20により提供されるサービスユーザーインターフ
ェースに達し、複数のサービス関連の選択の中から、記憶されたシリンジ定義の変更を許
可するルーチンを選択する。さらに、この特別なサービスルーチンによって、技術者は、
意図した変化が、新たなシリンジ定義を作成するか、既存の定義を変更するか指定するこ
とができる。既存の定義を変更する場合には、技術者は、記憶されたシリンジの名前を示
して、更新する正しい定義を選択する補助とする。
【0034】
本発明の態様によれば、技術者は、シリンジ及びそれと共に使用する延長チューブ中の
ガス及び/又は空気の量を示す情報を入力してもよい。本発明の他の態様によれば、技術
者はまた、プランジャドライバラム62とシリンジプランジャ37との間の機械的間隙に
関する等容積に関連する値を入力してよい。同様に、インターフェースは、好ましくは、
保守技術者に、新たなシリンジ情報にラベルを付ける、又はその他指示する機会を提供す
る。このようにすると、注入器を操作するときに、操作者が正しいシリンジをより容易に
選択できるようになる。
【0035】
記憶されたシリンジ定義及び関連パラメータを用いて、注入器システムを自動的に実施
できる様々なプロトコル及びルーチンのさらなる詳細については、本発明の譲渡者に譲渡
され、その全内容が参照により本明細書に援用される米国特許第5,662,612号明
細書にある。さらに、シリンジ及びそれと共に使用する延長チューブ中のガス及び/又は
空気の量に関連したシリンジパラメータ、及びプランジャドライバラムとシリンジプラン
ジャとの間の機械的間隙に関する等容積に関連するシリンジパラメータを入力してもよい

【0036】
上述したとおり、シリンジパラメータはまた、シリンジ36に特定の面板28から誘導
されてもよく、それによって、注入器20はそのシリンジ36と共に使用されるよう適合
される。再び、面板28を、配置カムレバー78を使用して、パワーヘッド22の定位置
にロック又は係合して、かかるシリンジパラメータの取得を促すことができる。
【0037】
図5を参照すると、図1〜4に示すパワーヘッド22の電気的及び電気機械的ブロック
図を示す。パワーヘッド22は、パワーパック26との通信を行うマイクロプロセッサを
含む回路基板48を含む。回路基板48は、コンソール24のタッチスクリーン32から
の入力又は「タッチ」を受信及び/又は送り、そのマイクロプロセッサを含む回路基板4
8は、上述したとおり、シリンジパラメータを受信する。
【0038】
回路基板48はまた、2つのホール効果センサ52、54の出力も検出する。説明した
とおり、パワーヘッド22は、図1及び2に示す、取外し可能な面板28を有する。異な
るサイズのシリンジを受け入れるために、異なるサイズのアパーチャを有する多数の面板
がある。このように、面板28は、シリンジ36を他の同様のサイズのシリンジと交換す
るのに取り外す必要はないが、面板28を取り外して異なるサイズのシリンジを使用して
もよい。
【0039】
回路基板48はまた、パワーヘッド22の上に装着されたレバー29からの動きを示す
電気パルスを受信し、パワーヘッド22の裏に装着されたライト46を消す。回路基板4
8はまた、ギアボックスに結合したモータ50も制御し、モータの回転運動をシリンジ3
6のプランジャ駆動ラム62とプランジャ37の直線移動に変換する。回路基板48は、
シリンジ中の造影流体を加熱するヒーターブランケット42を制御する。さらに、回路基
板48は、空気検出モジュール122の出力を検出する。
【0040】
回路基板48は、さらに、傾斜センサ58として構成された単一チップ加速度計を含む
。回路基板48に装着されたセンサ58は、地球の引力の方向に対してパワーヘッド22
の傾斜を示すアナログ電圧を生成するよう構成されている。さらに、センサ58を使用し
て、パワーヘッド22がある位置の角度を検出してもよい。このように、センサ58を使
用して、シリンジ36の放出先端が上を指しているか、下を指しているかを検出する。先
端が上を指しているときは、空気は、放出先端で、通常、蓄積されるため、放出先端が、
一般に、上方位置を指すときのみ、自動パージルーチンが操作されるように構成してもよ
い。
【0041】
当業者であれば、この代わりに、水銀スイッチを使用して、シリンジ36の放出先端が
上を指しているか、下を指しているかを検出してもよいことが分かるであろう。同様に、
機械スイッチ及びスイッチアクチュエータを使用してもよい。使用するセンサのタイプに
関わらず、放出先端が、上方位置を指すときにのみ操作されるように自動パージルーチン
を構成してもよい。
【0042】
センサ52は、パワーヘッド22の配置カムレバー78を使用して、面板28が適所に
ロックされたかどうかを検出する。回路基板48が、モータ50に電圧を印加することを
止めない場合には、面板が適所にロックされるときまで、さらなる注入手順を止める。セ
ンサ54は、使用中の面板のサイズを検出する。さらに、この情報は、マイクロプロセッ
サを含む回路基板48に送られる。この情報は、シリンジパラメータ、例えば、サイズ及
びタイプに関連しており、これを使用して、モータ50及びそれに結合したシリンジを制
御する。
【0043】
シリンジパラメータをユーザーインターフェースから入力したか、メモリに記憶したか
、シリンジプランジャを制御するのに後に使用するためにリコールしたか、特定のサイズ
シリンジで使用するよう適合された面板から誘導されたか、あるいはこれらの組み合わせ
かに関わらず、本発明の原理に従って注入器自動パージルーチンを作成してよい。さらに
、空気検出をかかるルーチンに用いてもよい。
【0044】
ルーチン80のプログラム的フローを説明する前に、図6に示すとおり、例示のシリン
ジ及びそれに結合した関連の延長チューブについて簡単に説明する。この例示のシリンジ
及び延長チューブは、ルーチン80、それぞれ、図7及び10のルーチン94及び140
の説明のために、背景として使用する。
【0045】
図9を参照すると、例示のシリンジ64は、殺菌を促すために、小さな、例えば、約1
ミリリットル(ml)の窒素泡で作成した多くの特定のサイズのプレフィルドシリンジの
1つである。シリンジ64を、図9に示すように、上方位置に向けるとき、かかる小さな
窒素泡は、通常、放出先端66に含まれる。シリンジ64に関連して結合しているのは、
延長チューブ68である。延長チューブ68は、患者の注入部位に達するのに実用的な対
処である。延長チューブ68の直径は、シリンジ64と共に一般的に使用されるものであ
り、長さは60インチ(60”)である。このように、延長チューブ68は、2.5ml
の空気を含有している。さらなる対処は、注入器プランジャ駆動ラム(例えば、図1に示
すプランジャ駆動ラム62)とシリンジプランジャ(例えば、図2に示すシリンジ36プ
ランジャ37)との間の間隙である。シリンジ64及び注入器70については(手持形ヘ
ッド60bであり、図8によく図示されており、詳細は後述される)、これは約3mlに
等しい。このように、パージされるのが望ましいガス及び/又は空気の合計量は6.5m
lである。
【0046】
当業者であれば、シリンジの充填中の曝気のために、空のシリンジの充填中にトラップ
された空気の量に関して他の仮定を行えることが分かるであろう。例えば、シリンジの容
積及び使用する造影剤に基づいていてもよい。さらに、当業者であれば、仮定が履歴デー
タ及び/又は経験に基づいていてもよいことが分かるであろう。
【0047】
プレフィルドシリンジ64及び延長チューブ68を考慮し、図6を再び参照すると、図
1〜5に示す注入器20のような単一シリンジを有する注入器用の注入器自動パージルー
チン80についてのフローチャートが示されている。本開示内容により利益を受ける当業
者であれば理解されるように、注入器は、プロセッサの制御の下で操作され、様々なコン
ピュータソフトウェア、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、デー
タ構造等を実行したり、或いはこれらに依存している。さらに、様々なアプリケーション
、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、データ構造等も、注入器の
1つ以上のプロセッサで実施されてよく、すなわち、ルーチンの様々な機能を実施するの
に必要な処理を、注入器内の複数のプロセッサに割り当ててよい。
【0048】
一般に、オペレーティングシステムの一部、又は特定のアプリケーション、コンポーネ
ント、プログラム、モジュール又は命令のシーケンス、あるいはこれらのサブセットとし
て実施されていても、本発明の実施形態を実施するために、実行されているルーチンは、
ここでは、プログラム又は「ルーチン」と呼ばれる。ルーチンは、注入器のメモリ及び記
憶装置に様々な時に常駐していて、注入器において1つ以上のプロセッサにより読み出さ
れ実行されるとき、本発明の様々な態様を実現する工程又は要素を実行するのに必要な様
々な工程を注入器に実行させる1つ以上の命令を典型的に含む。さらに、本発明は、完全
に機能する注入器に関して記載されているが、当業者であれば、本発明の様々な実施形態
は、様々な形態においてプログラム製品として流通でき、本発明は、流通を実際に行うの
に使用する信号を含む媒体の特定のタイプに関わらず等しく適用されることが分かるであ
ろう。信号を含む媒体としては、これらに限られるものではないが、記録可能なタイプの
媒体、例えば、特に、揮発性及び不揮発性メモリデバイス、フロッピー(登録商標)及び
リムーバブルディスク、ハードディスクドライブ、磁気テープ、光学ディスク(例えば、
CD−ROM、DVD等)並びにデジタル及びアナログ通信等の伝送型タイプの媒体が例
示される。
【0049】
さらに、後述する様々なルーチンが、本発明の特定の実施形態で実施される用途に基づ
いて明らかになる。しかしながら、後述の特定のプログラム又はルーチンの用語は、便宜
上に過ぎず、かかる用語により識別及び/又は含意される特定のルーチンでのみ使用する
ことに本発明は限定されないものと考えられる。さらに、プログラム機能性を、ルーチン
、手順、方法、モジュール、オブジェクト等へと組織する典型的に限りない数のやり方、
並びにプログラム機能が典型的な注入器内に常駐している様々なソフトウェア層に配置さ
れる様々なやり方を鑑みて、本発明は、本明細書に記載したルーチン機能性の特定の組織
及び配置に限定されるものではないと考えられる。
【0050】
当業者であれば、図6に示した例示のルーチンが、本発明を限定するためのものでない
ことが分かるであろう。実際、当業者であれば、本発明の理念から逸脱することなく他の
変形ハードウェア及び/又はソフトウェア環境を用いてよいことが分かるであろう。
【0051】
自動パージルーチン80は、ステップ82で実行を開始する。ステップ82で、例えば
、ホール効果センサ54を使用して、シリンジサイズ及びタイプを決定する。プレフィル
ドシリンジは、通例、50、75、100及び125ミリリットル(mL)をはじめとす
るサイズで入手可能であり、空又はユーザーフィルドシリンジは、200mLを含めて2
00mLまでのサイズで入手可能である。シリンジはユーザーフィルドでなければならな
いと判断された場合、ステップ84へと実行を進めると、ユーザーは、シリンジを充填す
るよう促される。その後、ステップ86へと実行を進める。しかしながら、この代わりに
、シリンジがプレフィルドと判断された場合は、ステップ86に即時に実行を進め、ユー
ザーは、パージボタンをプレス又は作動するよう促される。
【0052】
ステップ88に示すとおり、パージボタンをプレスすると、プランジャ駆動ラム62の
ようなプランジャ駆動ラムが、ステップ82で求められた、又は集められたシリンジパラ
メータに基づいて、所定の停止点まで動いて、シリンジ、例えば、シリンジ36から空気
及び/又はガスを押出す。ステップ90で、ユーザーは、レバー29を連接して、シリン
ジ36から残りの空気及び/又はガスを押出すこと等により、パージシーケンスを完了す
る。最後に、ステップ92で、注入器が使用可能となって、ユーザーは、医療用流体の患
者への注入に進む。
【0053】
このように、自動パージルーチン80は、自動注入器におけるセットアップシーケンス
を単純化して、医療用流体を患者に注入する前に、操作者が、注入器から空気及び/又は
ガスを自動的にパージできるようにする。さらに、注入器についての自動パージルーチン
80は、様々な注入器に適用可能であり、様々なサイズのプレフィルド及び/又は空のシ
リンジで機能する。
【0054】
本発明の変形実施形態において、ステップ90のパージシーケンスの完了には、図11
を参照して後述するとおり、追加のプログラム工程が含まれる。
【0055】
図7を参照すると、空気検出器を含む注入器のための注入器自動パージルーチン94の
フローチャートが示されている。具体的には、ルーチン94はユーザーフィルドシリンジ
に用いられる。ただし、当業者であれば、プレフィルドシリンジに使用するのにルーチン
94を容易に適合することができる。
【0056】
ルーチン94は、ステップ96で実行を開始し、ユーザーは、医療用流体をシリンジに
充填する。次に、ステップ98で、ユーザーは、パージボタンをプレス又は作動するよう
促される。ステップ100に示すとおり、パージボタンをプレスすると、プランジャ駆動
ラム62等のプランジャ駆動ラムが、空気検出モジュール122等の空気検出器が流体を
センシングするまで前進する、又は動いて、所定量について継続して、シリンジから何か
及び/又はガスを押出す。かかる所定量及び関連の停止位置は、仮定の延長チューブサイ
ズに基づいている。例示の延長チューブは図8及び9に示してあり、詳細は後述する。
【0057】
次に、ステップ102で、ユーザーは、再び、レバー29を連接して、シリンジ36か
ら残りの空気及び/又はガスを押出すこと等により、パージシーケンスを完了する。最後
に、ステップ104で、注入器が使用可能となって、ユーザーは、医療用流体の患者への
注入に進む。
【0058】
本発明の変形実施形態において、ステップ102でのパージシーケンスの完了には、図
11を参照して、後述するとおり、追加のプログラム工程が含まれる。
【0059】
このように、自動パージルーチン94は、自動注入器におけるセットアップシーケンス
を単純化して、医療用流体を患者に注入する前に、操作者が、注入器から空気及び/又は
ガスを自動的にパージできるようにする。さらに、注入器についての自動パージルーチン
80は、様々な注入器に適用可能であり、様々なサイズの空の、及び/又はユーザーフィ
ルドシリンジで機能する。
【0060】
当業者であれば、図7に示した例示のルーチンもまた、本発明を限定するためのもので
ないことが分かるであろう。実際、当業者であれば、本発明の理念から逸脱することなく
他の変形ハードウェア及び/又はソフトウェア環境を使用してよいことが分かるであろう

【0061】
図8を参照すると、二重ヘッド注入器60の斜視図が示されている。二重ヘッド注入器
60は、装着ヘッド60aと、格納式又は手持形ヘッド60bとを含む。装着ヘッド60
a及び手持形ヘッド60bは、それぞれ、シリンジ106、108を受けるように構成さ
れている。手持形ヘッド60bは、トリガーをパージ/引き込むことにより作動し、トリ
ガーは、トリガーが押圧される量に比例してラムを動かす。二重ヘッド注入器60は、互
いに電子的に通信している、各シリンジ106、108及び「Y型チューブ」110、装
着ヘッド60a及び手持形ヘッド60bから空気及び/又はガスをパージするよう構成さ
れている。
【0062】
Y型チューブ110は、チューブ110a〜cの3つのセクションと、コネクタ110
dとを含む。チューブセクション110a及び110bは、それぞれシリンジ106及び
108と、コネクタ110dに結合されている。チューブセクション110cもコネクタ
110dに結合されており、典型的に、患者の注入部位(図示せず)との接続性を提供す
る。
【0063】
二重ヘッド注入器60は、上述したのと同様のやり方で、Y型チューブ110から空気
をパージするように構成されている。例えば、ヘッド60aは、造影剤を含有していてよ
く、一方、手持形ヘッド60bは、それと共に使用する食塩水を含有している。かかる場
合、ヘッド60aはまず、コネクタ110dでY型チューブ110の交差部までチューブ
110aから空気をパージする。手持形ヘッド60bは、次に、チューブ110b、コネ
クタ110d及びチューブ110cから残りの空気をパージすることによって、注入器6
0から全ての空気及び/又はガスを実質的にパージする。パージのシーケンスは、当業者
であれば分かるとおり、装着ヘッド60a及び手持形ヘッド60bの電子的な通信を通し
て制御される。
【0064】
当業者であれば、チューブを食塩水で充填するといくつかの利点があることが分かるで
あろう。第1に、食塩水を使用すると、血液を凝固することなく対象の患者への静脈アク
セスが保持される。第2に、食塩水を試験接種として使用すると、チューブ外遊出をチェ
ックできる。第3に、食塩水は、造影剤等の医療用流体を圧縮するのを補助して、造影剤
と合わさる。
【0065】
図10を参照すると、二重ヘッド注入器用の注入器自動パージルーチン140のフロー
チャートが示されている。例えば、自動パージルーチン140は、図8に示す二重ヘッド
注入器60と共に用いてよく、ヘッド60aは、造影剤を含有していて、第2に注入され
るシリンジ又は第2のシリンジと呼ばれ、手持形ヘッド60bは、食塩水を含有していて
、第1に注入されるシリンジ又は第1のシリンジと呼ばれる。
【0066】
自動パージルーチン140は、ステップ142で実行を開始する。シリンジサイズ及び
タイプ、例えば、シリンジ106、108を決定する。プレフィルドシリンジは、ここで
も、通例、50、75、100及び125ミリリットル(mL)をはじめとするサイズで
入手可能であり、空又はユーザーフィルドシリンジは、200mLを含めて200mLま
でのサイズで入手可能である。シリンジの一方又は両方がユーザーフィルドでなければな
らないと判断された場合、ステップ144へと実行を進めると、ユーザーは、シリンジを
充填するよう促される。その後、ステップ146へと実行を進める。しかしながら、この
代わりに、シリンジがプレフィルドと判断された場合は、ステップ146に即時に実行を
進め、ユーザーは、パージボタンをプレス又は作動するよう促される。
【0067】
ステップ148で、パージボタンをプレスすると、第2に注入されるシリンジ用のプラ
ンジャ駆動ラム(例えば、ヘッド60a及びシリンジ106)が、ステップ142で求め
られた、又は集められたシリンジパラメータに基づいて、所定の停止点まで動いて、シリ
ンジ及びそれに接続されたチューブ又はチューブ110aから空気及び/又はガスを押出
す。ステップ150で、ユーザーは、手動ノブ又は吐出ボタンを用いて、第2のシリンジ
についてのパージシーケンスを手動で完了し、シリンジ106及びチューブ110aから
、コネクタ110dのY型チューブ110の交差部まで残りの空気及び/又はガスを押出
す。
【0068】
次に、ステップ152で、ユーザーは、パージボタンをプレス又は作動するよう促され
る。ステップ154で、パージボタンをプレスすると、第1に注入されるシリンジについ
てのプランジャ駆動ラム62、例えば、ヘッド60b及びシリンジ108が、ステップ1
42で求められた、又は集められたシリンジパラメータに基づいて、所定の停止点まで動
いて、シリンジ及びそれに接続されたチューブ又はチューブ110b、コネクタ110d
及びチューブ110cから空気及び/又はガスを押出す。ステップ156で、ユーザーは
、手動ノブ又は吐出ボタンを用いて、第1のシリンジについてのパージシーケンスを手動
で完了し、シリンジ108及びチューブ110b、コネクタ110d及びチューブ110
cから残りの空気及び/又はガスを押出す。
【0069】
最後に、ステップ158で、注入器が使用可能となって、ユーザーは、医療用流体又は
造影剤及び/又は食塩水の患者への注入に進む。
【0070】
本発明の変形実施形態において、ステップ156のパージシーケンスの完了には、図1
1を参照して後述するとおり、追加のプログラム工程が含まれる。
【0071】
このように、自動パージルーチン140は、自動注入器におけるセットアップシーケン
スを単純化して、医療用流体を患者に注入する前に、操作者が、注入器から空気及び/又
はガスを自動的にパージできるようにする。さらに、自動パージルーチン140は、二重
ヘッド注入器用であるが、様々な注入器に適用可能であり、様々なサイズのプレフィルド
及び/又は空のシリンジで機能する。
【0072】
図11を参照すると、パージシーケンスを完了する本発明の変形実施形態が示されてい
る。上述したとおり、図6、7及び10のステップ90、102及び156のそれぞれで
、ユーザーは、所定の停止点まで注入器が自動的にパージした後、パージシーケンスを完
了する。これは、一般的に、完全な吐出位置に達していない。ユーザーは、残りの空気を
、手動制御下でシリンジから吐出するか、又はラムの自動吐出運動を開始して、空気が完
全にパージされたら、その運動を手動で停止する。いずれのアプローチでも難しい点は、
自動的又は手動でなされる動きの速さが過剰になるということである。例えば、8ml/
秒の典型的なパージ流速だと、チューブ及びシリンジ延長部に急激な流体運動が生じ、僅
か0.5ml/秒の速度だと、チューブにおいて10インチ/秒の流体運動へと変換され
る。ユーザーは、流体境界が、チューブの終端を過ぎて1インチ未満になったらパージフ
ローを終了したいと考える。これは、ユーザーが、典型的なパージ流速で1秒未満の反応
時間としなければならないことを暗示している。上述したような手動の運動制御を使用す
るときでも、所望の位置の1インチ以内まで流体境界の正確なパージに必要とされる低レ
ベルまで流速を制御することは難しい。
【0073】
従って、本発明の実施形態において、ユーザーは、パージルーチンの最後の工程として
、正確な低流速パージに対する特徴を提供される。具体的には、図1に示すコントロール
29等の調整可能な手動の運動制御を使用する実施形態において、注入器がステップ90
、102又は156に達したら、手動の運動制御について低流速範囲、例えば、最大流速
1ml/秒で注入器が使用可能となる。次に、ステップ162で、ユーザーは手動制御を
用いて、手動制御操作をこの低い流速範囲で用いて、チューブから残りの空気をパージし
、流体が接続チューブを丁度充填するときに、この動きを監視する。最後に、ステップ1
64で、ユーザーは、チューブが満たされたら、手動制御を「停止」位置まで戻すことに
より手動フローを終える。その後、注入器はステップ92、104又は158で使用可能
になり、注入器は手動の運動制御について低流速範囲を使用不可にする。
【0074】
本発明の変形実施形態において、パージシーケンスがステップ90、102又は156
で完了したら、ステップ166で、注入器は低流速パージ操作を使用可能とし(かつ/又
はユーザーは開始を促される、又は手動で開始し)、流体が、例えば、0.5ml/秒と
いう安定した遅い流速でパージされる。注入器が、ステップ168でこの手動パージを続
ける間、ユーザーは、流体が接続チューブを丁度充填するときに、この動きを監視する。
最後に、ステップ170で、例えば、チューブが満たされたら、ボタンを押圧する、又は
注入器の他のコントロールを作動することにより、ユーザーはパージフローを停止する。
その後、最後に注入器をステップ92、104又は158で使用可能にして、注入器は通
常の操作を続ける。
【0075】
説明した低流速完了工程を含めると、注入器の有用性が大幅に向上し、流体のパージが
改善され、関連した廃棄物及び流体の漏出が減少する。
【0076】
本発明を、各種の実施例を説明することにより示し、一方、これらの実施例をかなり詳
細に説明したが、出願人の意図は請求の範囲をそのような詳細に限定することではない。
さらなる利点や修正は当業者には容易に想起されるであろう。例えば、傾斜センサを有す
る注入器において、図6、7及び10のルーチンは、パージ操作を実施する前提条件とし
て、注入器を上方に傾斜するかどうか決めて、パージ中、捕捉された空気が確実にシリン
ジ首部及び放出出口近傍にあるようにするための工程をそこに含めることによって向上す
る。従って、本発明はその最も広い態様において、図示し、かつ説明した特定の細部、代
表的なシステム、装置及び方法、並びに例示の実施例に限定されない。従って、本出願人
の全体的な発明概念の理念又は範囲から逸脱することなくかかる詳細からの逸脱は可能で
ある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−86078(P2012−86078A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−23632(P2012−23632)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【分割の表示】特願2008−500799(P2008−500799)の分割
【原出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(595181003)マリンクロッド エルエルシー (203)
【Fターム(参考)】