説明

注入器

【課題】電力注入器を改良するために、圧力限度を安全な閾値内で容易に設定することができる注入器を含む注入器システムを提供する。
【解決手段】シリンジ28から対象動物に流体を注入する注入器20において、長手軸に沿って2方向に移動可能な駆動ラム46と、駆動ラム46に駆動可能に接続され、駆動ラム46を長手軸に沿って選択的に前進及び後退させるモータと、シリンジ28と係合可能で、シリンジ28を注入器20に対して位置決めし、シリンジ28内のプランジャー74を係合し移動させるシリンジマウント26とからなり、シリンジマウント26は、第1部材92と第2部材を有し、第1部材92は第2部材に向かいまた離れるように回動可能で、これにより第1部材92は第1位置又は第2位置に位置するようにした注入器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人を含む対象動物に流体を注入する注入器に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療手順の間、診断又は治療の目的で種々の流体が患者に注入される。このような流体の一例は、血管造影又はCT撮影を向上するのに使用される造影剤である。このような流体はまた、静脈性腎孟造影(IVP)や心臓病のような他の物理療法でも使用される。これらの手順で使用される注入器は、たいてい自動化された装置であり、流体をシリンジから、チューブを通り、対象へ放出する。
【0003】
これらの適用に適した注入器は、一般的に比較的大きな容量のシリンジを含み、比較的大きな流量と注入圧力を生じることができる。このため、このような適用のための注入器は、典型的には大きく高質量の注入モータと動力伝達系を含む。これらは典型的には注入ヘッドに収容され、該注入ヘッドは床、壁、又は天井に取り付けられたアームにより支持されている。このような注入器はCT9000ADV及びオプティスターMR注入システム(K948088)を含む。このような装置は一般に市場の通常の要求と高等な要求の両方に適うように設計されている。
【0004】
現在、造影剤や他の媒体を注入するのに使用されている前述した大きな注入器ユニットには多くの欠点が存在する。例えば、これらの電動注入器は一般に高コストでしか入手できない。多くの場合、このコストは、多くの注入器に小さな病院や発展途上の第三世界の市場に手の届かない値をつけているという点で、非常に高い。この結果、患者は、(1)必要なテストをすることなく治療し、(2)必要な注入能力を備えた設備に到達するのに長い距離をたどる義務を負う。また、この結果、造影剤や他の流体を手動シリンジで供給する手順をとることになり、人間工学的に不安全であり、ユーザは累積したストレス障害に至る。さらに、手動シリンジの使用により、電動注入器を使用するときに形成されるものに比べて画像が劣悪になる。加えて、多くのコストの高い大きな注入器ユニットは多くの特徴を有し、それらは小さな病院や医療施設で使用されるような目的には必要でない。そのような施設には、大きな注入器の多くの特徴の全てを含まず、もっと手ごろな注入器を供給するのがよい。
【0005】
前述したコストの問題に加え、このような大きく複雑な注入器の使用により、安全の問題が生じる。まず、前述したように、これらの注入器は比較的高圧で動作する。多くの現在の電動注入器は、該電動注入器の部品に安全性を与えるために最大圧力限度を有する。これは、注入器がその部品が耐えるより大きな力が作用することにより損傷するのを防止する。これらの注入器は、オペレータが設定最大圧力限度を低減するのを許容し、注入を受ける患者又は他の対象に安全を与える。例えば、経静脈的に薬剤を必要とする患者にアクセスポートが挿入されるが、静脈は複数の針の突き刺しに耐えることができない。患者に移植されるアクセスポートは、これらの大きな注入器により生じる高圧に耐えることができない。大きな流量と圧力は、アクセスポートの移植カテーテル部分を損傷し、外科医に除去することを要求する。例えば、100psiは、典型的なアクセスポートが耐えることができる一般的な圧力の閾値である。しかしながら、典型的な大きなCT注入器は、媒体の注入中に全ての流量で300psiの圧力に達する。したがって、そのような注入器の圧力が手動で低減されない限り、患者のアクセスポートは過剰圧力となり、おそらく失敗する。造影検査のためにアクセスポートに流体を注入する圧力を制限するには、技術者は圧力限度を低減するように注入器をプログラムする必要がある。適用が実行されてから高設定への限度をリセットするのを忘れると、患者への注入中は所望の流量に達しない。この結果、注入が無効になり、媒体が無駄になり、注入手順を繰り返すことになる。
【0006】
第2の安全性の問題は、注入器のトリガーの構造と機能に関する。前述したような注入器は、トリガーレバーを含み、該トリガーレバーは、シリンジから媒体又は他の流体を対象に押し込み、又は容器から流体をシリンジに引き入れるために、オペレータにより操作される。これらの大きな電動注入器のトリガーは、一定の設定速度でのみ操作される。注入が開始すると、設定圧力と設定流量で完了まで自動的に進む。注入が行われている際には、実際に注入手順を中止することなく、オペレータは一般に注入速度、流量、又は圧力を変更することができない。注入が行われる圧力と流量に関する制御不能は、万一不適当な圧力限度や流量がプログラムされていると、注入される患者または他の対象に安全問題を引き起こす。同様に、注入手順を中止することは無効な注入、媒体の無駄に帰する。
【0007】
シリンジを注入器に取り付けるときにさらなる問題が生じる。現在の多くの注入器は、注入器の前端に配置されたフェースプレートを含む。シリンジを取り替えるために、シリンジプランジャーとプランジャー駆動ラムの間の結合を促進する前フェースプレートを移動させ、使用済みのシリンジを取り外し、新しいシリンジを取り付ける。シリンジは予め充填されていてもよいし、最初は空であって注入器に取り付けた後で充填されてもよい。注入器のプランジャー駆動ラムは、フェースプレートの一方の側で注入器ハウジング内に配置される一方、シリンジは、フェースプレートの反対側に取り付けられて伸張している。シリンジはフェースプレートに接続されると、プランジャー駆動ラムとほぼ同軸に一致する。シリンジを注入器に機能的に接続するのに使用されたフェースプレートは、操作するのに邪魔であり、時間の浪費である。
【0008】
さらに、多くの注入器は、注入器を制御する分離したコンソールを含む。コンソールは典型的には、注入器を自動プログラム制御するのに使用することができるプログラマブル回路を含む。これは、注入器の動作を予測することができ、他の医療機器の動作と協調して動作する点で有益である。このため、少なくとも一部の注入工程は自動的に制御される。しかしながら、任意の充填手順、および典型的には注入手順のいくつかの部分は、注入器のヘッドにある手動の移動制御装置を使用して、オペレータにより実行される。典型的には、手動の移動制御装置は、注入器駆動ラムの前進又は後退用のボタンを含み、それぞれシリンジを充填し空にする。いくつかのケースでは、ラムの移動を開始し、又はラム移動速度を制御するのに、あるボタンの組合せが使用される。注入器ヘッドはさらに、典型的にオペレータに注入パラメータを表示するためのゲージ又は表示器を含む。残念ながら、オペレータは手動の移動ボタンを使用すること、注入器ヘッドのゲージ及び表示器を読むのは煩わしいことを見出した。
【0009】
媒体又は他の流体が注入される際にその温度に関して問題が生じる。注入中、注入される流体は、注入される対象の体温に達する温度を有することが重要である。これを達成するために、前述した大きな注入器では、流体の温度を所定のレベルに上昇し維持するために、加温装置が注入器に含められる。しばしば、媒体は分離した加温装置の中で特定の温度に維持され、その後で注入装置に取り付けられる。しかしながら、加温クレードルから媒体を取り出し、シリンジに取り付け、媒体を注入するのに要する遅延時間の結果、媒体の温度が低下する。
【0010】
現在使用されている注入器の他の欠点は、一般に他の注入器と連通できないことである。この結果、一度に1つの注入器だけプログラムし、及び/又は使用することができる。このように、一般に、異なる注入器を連続して自動的に動作させる能力がない。この状況は、熟練者又は他の医療人が潜在的にいくつかの異なる注入を同時に又は重複して動作し監視する必要があるので、注入手順における全体的な安全性を低減する。これは注入手順の過誤に対する潜在性を増加する。
【0011】
現在の注入器に関して、注入手順中にお互いに連通しなければならない多数の部品を使用することによるさらなる問題が生じる。しばしば、注入器、コンソール及び電源のようないくつかの部品は、正しく注入を実行するために、全てお互いに連通しなければならない。
【0012】
現在の注入器の構造から生じる他の問題は、シリンジの注入器への着脱を向上するために、駆動ラムの正しい設置を維持する試みにある。多くの従来の注入器は、注入器のハウジングに対して駆動ラムの位置を追跡するのに、モータ上のポテンシオメータ及び/又はエンコーダを別個に又は重複したシステムとして使用している。一連の注入の間にオペレータがシリンジを取り外し取り替えることができるように駆動ラムの位置を追跡することができる一方、正確な位置にある駆動ラムを信頼することができることは重要である。従来のある注入器は線形ポテンシオメータを使用し、他はロータリポテンシオメータを使用している。しかしながら、これらのポテンシオメータおよび重複したシステムの使用は、必要なサイズと注入器のコストを増加している。
【0013】
現在の注入器でみられる他の問題は、注入中に駆動ラムが対称軸の回りに回転しないことを保証するための構造である。駆動ラムがその原位置から離れて回転するなら、オペレータは古いシリンジを取り外して廃棄することができないし、及び/又は新しいシリンジを注入器に取り付けることができないことが起こる。この問題を低減するために、従来の注入器は一般に駆動ラムに接続されたカムフォロワーを使用しており、このカムフォロワーは、駆動ラムの回転を防止するために、駆動ラムとともに前進及び後退し、注入器のハウジングの内壁に位置する溝内を追跡する。しかしながら、この構造は摩擦を増加する結果、注入器駆動ラムの移動が円滑でなくなる。さらに、ハウジングの溝が閉塞されると、注入手順を妨げることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、電力注入器を改良するために、圧力限度を安全な閾値内で容易に設定することができる注入器を含む注入器システムに対する要求がある。さらに、注入手順中に注入速度、流量、及び/又は圧力の操作ができる注入器を提供することが望ましい。さらに、注入器自身への電力の接続を減少し、又は排除する注入器を提供することが望ましい。また、シリンジの取り付けを向上する注入器を提供することが望ましい。さらに、注入される媒体又は他の流体の温度を加温し及び/又は維持することができる注入器を提供することが望ましい。さらに、他の注入器と連通することができる注入器を提供することが望ましい。さらに、駆動ラムの位置を追跡する一方、注入器の全体サイズを縮小し、これによりコストを低減することができる注入器を提供することが望ましい。また、遠隔コンソールのような周辺機器と関連した同一の又は「ソフト」な電源スイッチを含む注入器を提供することが望ましい。さらに、駆動ラムの回転を防止する注入器を提供することが望ましい。また、操作の容易性を向上する注入器を提供することが望ましい。最後に、現在利用できない市場に注入器を提供するために低コストで注入器を提供することが望ましい。
【0015】
また、本発明は従来の注入器より扱いにくくない特徴を提供し、これにより低コストで注入器又及び注入器システムを提供する。したがって、本発明の装置は、発明の背景で説明した注入器システム及び注入器の欠点を克服し排除する注入器を有する注入器システムを含む。ここで使用する「注入器システム」の用語は一般に、注入手順を完了するのに使用される任意の数の注入器、コンソール、電源、相互接続、その他の周辺機器に適用される。一方、「注入器」の用語は一般に、シリンジから媒体のような流体を直接排出する特定の機器に言及される。しかしながら、「注入器」及び「注入器システム」の用語はここでは互換性をもって使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
シリンジから対象動物に流体を注入する注入器において、
長手軸に沿って2方向に移動可能な駆動ラムと、
該駆動ラムに駆動可能に接続され、上記駆動ラムを上記長手軸に沿って選択的に前進及び後退させるモータと、
シリンジと係合可能で、該シリンジを上記注入器に対して位置決めし、シリンジ内のプランジャーを係合し移動させるシリンジマウントとからなり、
上記シリンジマウントは、第1部材と第2部材を有し、該第1部材は第2部材に向かいまた離れるように回動可能で、これにより第1部材は第1位置又は第2位置に位置するようにした注入器。
(項目2)
上記第1部材は、上記シリンジマウントが上記シリンジに係合していないときは上記第1位置にある項目1に記載の注入器。
(項目3)
上記第1部材は、上記シリンジマウントが上記シリンジに係合しているときは上記第1位置にある項目1に記載の注入器。
(項目4)
上記第1部材及び第2部材は湾曲面を有する項目1に記載の注入器。
(項目5)
上記第1部材は、該第1部材が上記第2位置にあるときに上記第2部材に向かって付勢され、上記第1部材及び第2部材は、該第1部材と第2部材の間で上記シリンジの側壁を把持し、上記シリンジを上記シリンジマウントに係合させる項目4に記載の注入器。
(項目6)
上記シリンジマウントは、上記ハウジングの外部のシリンジを装着するように適合されている項目1に記載の注入器。
(項目7)
上記シリンジマウントは第1及び第2可動部材を有し、該第1及び第2可動部材はお互いに向かいそして離れるように回動可能で、これにより上記第1及び第2部材は第1位置又は第2位置になる項目1に記載の注入器。
(項目8)
上記第1及び第2可動部材は、上記シリンジマウントが上記シリンジと係合していないときは上記第1位置にある項目7に記載の注入器。
(項目9)
上記第1及び第2可動部材は、上記シリンジマウントが上記シリンジと係合しているときは上記第2位置にある項目7に記載の注入器。
(項目10)
上記第1及び第2部材は湾曲面を有する項目1に記載の注入器。
(項目11)
上記第1及び第2可動部材は、上記第2位置にあるときにお互いに向かって付勢され、第1可動部材と第2可動部材の間で上記シリンジの側壁を把持し、上記シリンジを上記シリンジマウントに係合させる項目10に記載の注入器。
(項目12)
上記シリンジマウントは、上記ハウジングの外部のシリンジを装着するように適合されている項目7に記載の注入器。
(項目13)
シリンジから対象動物に流体を注入する注入器において、
長手軸に沿って2方向に移動可能な駆動ラムと、
該駆動ラムに駆動可能に接続され、上記駆動ラムを上記長手軸に沿って選択的に前進及び後退させるモータと、
シリンジと係合可能で、該シリンジを上記注入器に対して位置決めし、シリンジ内のプランジャーを係合し移動させるシリンジマウントとからなり、
上記シリンジマウントは、湾曲した面を有する単一部材からなり、該部材は、上記シリンジが当該部材内に徐々に入り込むことができるようにある程度弾性があり、これにより上記部材の湾曲面は上記シリンジの側壁と接触し、上記シリンジを把持して保持する注入器。
(項目14)
シリンジから対象動物に流体を注入する注入器において、
長手軸に沿って第1ラム方向と第2ラム方向の2方向に移動可能な駆動ラムと、
該駆動ラムに駆動可能に接続され、上記駆動ラムを上記長手軸に沿って選択的に前進及び後退させるモータと、
第1及び第2トリガー方向に変位するように移動可能で、上記モータに対する制御信号を生成するトリガーとからなり、
これにより、上記トリガーが上記第1トリガー方向に移動すると、上記駆動ラムは上記長手軸に沿って第1ラム方向に移動し、上記トリガー制御信号は上記トリガーから上記モータに無線で送信されるようにした注入器。
(項目15)
上記駆動ラムは、上記トリガーが上記第2トリガー方向に移動すると、上記第2ラム方向に移動する項目14に記載の注入器。
(項目16)
上記トリガー制御信号は上記トリガーから上記モータに磁石を介して無線で送信される項目14に記載の注入器。
(項目17)
上記トリガー制御信号を受信し、上記駆動ラムの操作を容易にするためのモータ制御信号を上記モータに送信する回路基板をさらに含む項目16に記載の注入器。
(項目18)
上記回路基板に機能的に接続され通信可能なトリガー信号センサをさらに有し、該センサは磁石又は磁界を検出するように適合されている項目17に記載の注入器。
(項目19)
上記モータ及び駆動ラムはさらに、可変速度で上記長手軸に沿って2方向に移動するように適合されている項目14に記載の注入器。
(項目20)
上記可変速度は第1速度から該第1速度より大きな第2速度まで変化し、上記可変速度は上記トリガーの変位の程度に依存する項目19に記載の注入器。
(項目21)
上記モータに機能的に接続された速度ロック装置をさらに有する項目14に記載の注入器。
(項目22)
上記速度ロック装置は第1及び第2位置に設置されるように適合されている項目21に記載の注入器。
(項目23)
上記モータ及び駆動ラムは、上記速度ロック装置が上記第1位置にあるときに、上記シリンジからの流体を上記トリガーの変位の程度に依存して可変流速で排出するように適合されている項目22に記載の注入器。
(項目24)
上記モータ及び駆動ラムは、上記速度ロック装置が上記第2位置にあるときに、上記シリンジからの流体を可変流速で排出するように適合されている項目22に記載の注入器。
(項目25)
シリンジから対象動物に流体を注入する携帯用注入器において、
ハウジングと、
長手軸に沿って2方向に移動可能な駆動ラムと、
該駆動ラムに駆動可能に接続され、上記駆動ラムを上記長手軸に沿って選択的に前進及び後退させるモータと、
加熱要素とからなり、
上記加熱要素は上記ハウジングの外側で上記注入器に機能的に接続された延長部をさらに有する携帯用注入器。
(項目26)
上記加熱要素はシリンジと相互作用するように適合され、上記シリンジの内容物の温度を直接的及び/又は間接的に変更する項目25に記載の注入器。
(項目27)
上記加熱要素はシリンジと相互作用するように適合され、上記シリンジの内容物の温度を直接的及び/又は間接的に維持する項目25に記載の注入器。
(項目28)
上記シリンジの内容物の温度は注入される対象の温度に近づくように上昇させる項目26に記載の注入器。
(項目29)
上記シリンジの内容物の温度は注入される対象の温度にほぼ維持される項目27に記載の注入器。
(項目30)
長手軸に沿って2方向に移動可能な駆動ラム、
該駆動ラムに駆動可能に接続され、上記駆動ラムを上記長手軸に沿って選択的に前進及び後退させるモータ、及び
シリンジを有し、該シリンジを上記注入器に対して位置決めし、シリンジ内のプランジャーを係合し移動させるようにシリンジと係合するシリンジマウントからなる注入器と、
加熱要素を有するハンガーとの組合せであって、
上記シリンジマウントに係合する如何なるシリンジも上記加熱要素と対向する関係にあるように、上記注入器は上記ハンガーに機能的に接続されている組合せ。
(項目31)
上記加熱要素はさらに、上記シリンジと対向する関係にある少なくとも部分的に円筒形状の延長部を有する項目30に記載の組合せ。
(項目32)
上記加熱要素はシリンジと相互作用するように適合され、上記シリンジの内容物の温度を直接的及び/又は間接的に変更する項目30に記載の組合せ。
(項目33)
上記加熱要素はシリンジと相互作用するように適合され、上記シリンジの内容物の温度を直接的及び/又は間接的に維持する項目30に記載の組合せ。
(項目34)
上記シリンジの内容物の温度は注入される対象の温度に近づくように上昇させる項目32に記載の組合せ。
(項目35)
上記シリンジの内容物の温度は注入される対象の温度にほぼ維持される項目33に記載の組合せ。
(項目36)
シリンジから対象動物に流体を注入する注入器において、
長手軸に沿って2方向に移動可能な駆動ラムと、
該駆動ラムに駆動可能に接続され、上記駆動ラムを上記長手軸に沿って選択的に前進及び後退させるモータと、
上記注入器によって生じる流量によって決定される限度を超えた圧力が注入中に発生するのを防止する制御回路とからなる注入器。
(項目37)
上記流体注入圧力が所定の限度を超えれば注入を終了させる停止回路をさらに有する項目36に記載の注入器。
(項目38)
上記停止回路は、上記流体注入圧力が所定期間、上記所定の限度を超えると上記注入を終了させる項目37に記載の注入器。
(項目39)
上記所定の限度は250psiである項目37に記載の注入器。
(項目40)
上記流体注入圧力が所定の限度に達すると上記注入器によって生じる流量を低減する低減回路をさらに有する項目36に記載の注入器。
(項目41)
上記所定の限度は250psiである項目40に記載の注入器。
(項目42)
注入工程中に注入器で生じる圧力を自動的に制限する方法において、
シリンジから対象動物に流体を注入する注入器であって、長手軸に沿って2方向に移動可能な駆動ラムと、該駆動ラムに駆動可能に接続され、上記駆動ラムを上記長手軸に沿って選択的に前進及び後退させるモータと、上記注入器によって生じる流量によって決定される限度を超えた圧力が注入中に発生するのを防止する制御回路とからなる注入器を準備し、
流体の内容物で満たされたシリンジを上記注入器に取り付け、
上記シリンジの内容物を施与するための流体流量を設定し、
上記シリンジの内容物を対象に施与することからなる方法。
(項目43)
上記注入工程中の圧力変化を決定することをさらに含む項目42に記載の方法。
(項目44)
上記決定された圧力変化を上記圧力限度と比較することをさらに含む項目43に記載の方法。
(項目45)
上記圧力変化が上記圧力限度を超えていれば上記注入工程を終了させることをさらに含む項目42に記載の方法。
(項目46)
上記圧力変化が所定時間、上記圧力限度を超えていれば上記注入工程を終了させることをさらに含む項目42に記載の方法。
(項目47)
シリンジから対象動物に流体を注入する注入器において、
ハウジングと、
長手軸に沿って2方向に移動可能な駆動ラムと、
該駆動ラムに駆動可能に接続され、上記駆動ラムを上記長手軸に沿って選択的に前進及び後退させるモータと、
上記ハウジング内に配置され、上記基端側の駆動ラムの第1端が上記注入器のハウジングの前端の末端側にある第1位置にあるか否かを決定する検出器とからなり、
上記検出器は、上記駆動ラムに配置された発信装置と協調して動作し、上記発信装置から発信される信号を検出する注入器。
(項目48)
上記発信装置は磁石である項目47に記載の注入器。
(項目49)
上記発信装置により発信される信号は磁界である項目47に記載の注入器。
(項目50)
上記注入器のハウジングに配置された少なくとも1つのセンサをさらに含む項目47に記載の注入器。
(項目51)
上記駆動ラムはその長手軸に沿って正又は逆方向に移動可能である項目50に記載の注入器。
(項目52)
上記駆動ラムは、上記検出器が上記駆動ラムに配置された発信装置から如何なる信号も検出しないとき、その長手軸に沿って第1速度で逆方向に移動可能である項目51に記載の注入器。
(項目53)
上記注入器は上記駆動ラムの上記第1位置に対応して較正された値を含む項目52に記載の注入器。
(項目54)
上記駆動ラムは、上記検出器が発信装置から信号を検出したが、該信号は上記較正値と等しくないとき、その長手軸に沿って第2速度で逆方向に移動可能である項目53に記載の注入器。
(項目55)
上記検出器は、該検出器が発信装置によって発信される信号を検出し、該信号が上記較正値と等しいとき、上記駆動ラムを上記第1位置で機能的に停止させる項目53に記載の注入器。
(項目56)
シリンジから対象動物に流体を注入する注入器において、
ハウジングと、
長手軸に沿って2方向に移動可能で、上記長手軸に垂直な第1形状の断面を有する駆動ラムと、
該駆動ラムに駆動可能に接続され、上記駆動ラムを上記長手軸に沿って選択的に前進及び後退させるモータと、
上記ハウジング内に配置された板と、
上記板を貫通して配設され、上記第1形状を有し、上記駆動ラムが貫通して配置されるオリフィスとからなり、
これにより上記第1形状は上記駆動ラムが上記長手軸の回りに回転するのを防止する注入器。
(項目57)
シリンジから対象動物に流体を注入する注入器において、
長手軸に沿って第1ラム方向と第2ラム方向の2方向に移動可能で、上記長手軸に垂直な第1形状の断面を有する駆動ラムと、
該駆動ラムに駆動可能に接続され、上記駆動ラムを上記長手軸に沿って選択的に前進及び後退させるモータと、
上記注入器に機能的に接続され、上記駆動ラムが上記長手軸に沿って第1ラム方向に移動するように上記モータに対するコンソール制御信号を生成するコンソールとからなり、
上記コンソール制御信号は上記コンソールから上記モータに遠隔的に供給される注入器。
(項目58)
上記駆動ラムは、第2コンソール制御信号が上記コンソールから上記モータに遠隔的に供給されたとき、上記第2ラム方向に移動する項目57に記載の注入器。
本発明の注入器は、向上した診断X線画像を得る目的で患者の血管系にX線撮影造影剤及び/又は洗浄溶液を供給するのに使用してもよい。しかしながら、注入器はこの目的に限るものではなく、他の適用のための他の媒体を供給するのに使用してもよい。1つの局面では、本発明は携帯することができる人間工学的で軽量なパワーヘッド注入器を提供する。これにより、注入器は、現在の大きな注入器よりも可搬性と経済性を有することができる。このような携帯用注入器は、手動注入に依存する設備で使用し、又はCT適用における2重シリンジの可能性を与える装着された単一パワーヘッドとの組合せに使用するのに適している。本発明の注入器は、向上した診断画像を得る目的でX線撮影造影剤を制御された流量と容量で患者の血管系に供給することができる。本発明の注入器は、少なくとも次の部材で構成されている。
(1)パワーヘッド
このパワーヘッドは、駆動システム、シリンジを取り付けて保持するシリンジマウント、主マイクロプロセッサ、電子制御回路、注入プロトコルをプログラムし開始するコントロールキーパッド、状態表示器、及びパージ/後退トリガーを含む。
(2)パワーパック
このパワーパックは、電源とインターフェースを含む。インターフェースは、複数のリレーと、種々のデバイス間の通信を与える光学カップリングで構成されている。インターフェースの1つの用途は、より大きな容量を与え、洗浄溶液を提供するために、2つの注入器を1つの注入システムに調和させることである。
【0017】
本発明は、パワーヘッドと通信して注入プロトコルをプログラムし開始し、注入状態を表示し、タイマーを表示するオプションの遠隔コンソールを含む。
【0018】
本発明は、次の特徴を有するが、これに限られない。(1)シリンジを注入器に取り付けるためのシリンジマウント、(2)容量及び流量の表示及び制御装置、(3)流量の選択によって決定されるように注入器の作動圧力を自動的に限定、(4)加温能力を有するシリンジクレードル、(5)改良されたシールの完全性、速度ロック、及び/又は注入手順中に媒体又は他の流体の濃度及び/又は流量を変更する能力のために、注入器のハウジングを介して可変速度駆動ラム及び非接触制御伝達系と連結された、直感的な方向(例えば注入は前進、充填は後退)を有する注入手順を制御するトリガーレバーを含むパージ/後退トリガー、(6)駆動ラムが「ホーム」位置にあるときを決定するスイッチ、(7)注入器から離れた「ソフト」なオン/オフパワースイッチ、(8)駆動ラムのその対称軸回りの回転を防止する構造。さらに、注入器システムは種々の部品を制御するためのソフトウェアを含む。本発明の注入器の特徴の多くは、発明の背景において述べた大きな天井、床、又は壁に装着される注入器に適用してもよいことは当業者に明らかである。
【0019】
本発明の注入器は、コントラストが向上した診断画像を得る目的のために、造影剤のような媒体を患者に例えば圧力をかけて供給する。発明の背景で説明したように、現在の多くの市場は、大きく永久的な注入器システムを供給しており、それは天井から吊り下げられ、又は発明の背景で説明したようなペデスタル型のモバイルスタンドに取り付けられた検査台に装着される。これらの従来の注入器は多くの市場では禁止されるようなコストでのみ入手できる。ある局面では、本発明の注入器は小さくて軽量であり、これによりユーザは注入中に手動で注入器を保持することができ、これにより高レベルの制御が可能である。このような小さな携帯用の注入器は、必要な材料が少なく、このために低コストで製造することができる。このような注入器の全体価格の減少は、小さな病院と第三世界の市場がそのような注入器を購入する能力を増加し、これによりこれらの地域の患者は広範囲の医療手順を受けることができる。本発明の注入器は医療市場の通常の要求にかなうように設計され、このため安価で、小さく、操作が簡単である。コストを低減し、ユーザインターフェースを簡単にするために、記憶されたプロトコル、多相注入、大流量、及びオプションのプリンタのような特徴は本発明の注入器から省略してもよい。オプティスターMR注入システムのような他の注入システムと同様に多相注入、大容量、及び洗浄溶液(通常は塩水)を供給するために、オプションの注入器−注入器インターフェースを用いて、本発明の注入器は他のコンパティブルな注入器と接合してもよい。
【0020】
高レベルの制御は、本発明のパージ/後退トリガーにより提供され、それは直感的なトリガーレバーを含む。このトリガーレバーは可変速度揺動スイッチ(variable speed rocker switch)の形態であってもよい。本発明の注入器のトリガーの前端を押圧すると、駆動ラムがシリンジの中に伸張し、これによりそこに収容されている流体が排出する。トリガーの後端を押圧すると、駆動ラムがシリンジから後退する。本発明の注入器のトリガーにより、オペレータは流体が注入される速度を変化させることができる。これは駆動ラムの伸張及び後退の運動に比例速度制御を与えることでなされる。駆動ラムの速度はプログラム速度と比較したトリガー起動量に依存する。オペレータがレバーの前端を押圧するときにトリガーをその原点又はホーム位置から変位すればするほど、駆動ラムの移動すなわち注入速度は速くなる。同じ速度制御は駆動ラムを後退させるときも与えられる。
【0021】
本発明の注入器の他の局面は、ハウジングをシールし、該ハウジングを通る電力接続を減少するために、トリガーと関連した非接触制御の使用である。一つの実施形態では、このような非接触制御はトリガーと関連した一連の磁石を介して生じ、該磁石は注入器のハウジング内の回路基板に機能的に接続された磁石センサによって検出される。さらに、本発明の注入器はトリガーと関連した速度ロックを含む。これによりオペレータは、速度ロックを係合することで一定速度で、又は速度ロックを非係合にすることで可変速度で、注入器の注入と充填機能を操作することができる。
【0022】
本発明の注入器の他の局面は、注入器と該注入器に装填されるシリンジとの間の接続の一体性である。このため、本発明の注入器は第1及び第2把持部材を含むシリンジマウントを提供する。これらの把持部材は、シリンジが注入器に装着されたときに、シリンジの円筒形本体の周囲にあるように設計される。これらの把持部材はシリンジの長手軸に向かって付勢され、これによりシリンジが注入器に設置されると、把持部材はシリンジの円筒形本体に向かって付勢され、該円筒形本体の回りにクランプする。
【0023】
他の局面では、本発明の携帯形注入器は注入器に機能的に接続された加温クレードルを含む。この加温クレードルにより、シリンジが注入器に取り付けられている間、シリンジの内容物は所望温度に維持することができる。一つの実施形態では、加温装置は本発明の注入器と関連するハンガーに存在するクレードルである。使用する際に、シリンジを下方に向けて、注入器(シリンジを含む)をハンガーに機能的に接続する。これにより、シリンジの円筒形本体はクレードルに近接させることができ、これによりシリンジ内の媒体は加温される。この形態により、従来の分離した加温装置と注入器の使用に存在する冷却問題を減少し排除することができる。
【0024】
前述したように、本発明は注入器によって供給される圧力を制限することができる。低い流量は低圧力を必要とするので、本発明の注入器は流量に基づいて圧力限度を自動的に割り当てる。圧力限度の値は、通常状態のプログラムされた流量を達成するのに十分に大きいが、シリンジ又はチューブ又はアクセスポート内が予期せずに制限され閉塞された場合でも高圧を生じさせない。流量に基づいて圧力限度を自動的に割り当てることにより、オペレータは、注入器を使用する毎に、圧力限度を変更することを思い出す必要がない。このため、注入器は所望の速度で媒体を供給することができるが、閉塞が起こった場合に過剰な圧力を貯まらせない。これにより、従来の注入器以上に、本発明の注入器の安全性が増加する。
【0025】
本発明の注入器は他の注入器とともに使用されるように適合されていてもよい。他の注入器は、携帯用注入器、人間工学的軽量パワーヘッド注入器、又はその他のCT注入器を含むが、これらに限定されず、また多デバイス通信リンクを利用してもよい。本発明の一つの実施形態では、使用される通信フォーマットはコントローラエリアネットワーク(CAN)である。しかしながら、注入器は任意の通信フォーマットを潜在的に使用することができる。通信は、ワイヤ、光ケーブルを介して行い、又は無線通信で行ってもよい。
【0026】
本発明の注入器はまたラムホーム検出器を含む。ラムホーム検出器は、ラムがホーム位置からある距離にあるとき、及びラムがホーム位置にあるときの両方に、正確に検出することができる。この検出は磁石の使用を介して達成することができる。これにより、ポテンショメータのような第2のアナログ位置検出装置を排除することができる。発明の背景で説明したように、現在の多くの注入器は、注入器の駆動ラムの位置を追跡する余剰なシステムとして、モータ上にポテンショメータ及び/又はエンコーダを使用している。本発明の注入器はそのようなシステムを含まない。むしろ、本発明の注入器はラムに配置した磁石を含み、該磁石は注入器の内部に沿うセンサを相互作用してラムの位置を検出する。ラムをそのホーム位置に後退させると、例えばこれによりラムは、ホーム位置からある距離になるまで、逆モードで迅速に走行することができる。動作中、本発明の注入器は、ラムが注入器の前面の外縁とほぼ面一であるホーム位置にあるとき、該ラムに割り当てる値を較正する。このようにして、ラムは走行し後退することができ、常に同じホーム位置で静止する。これは、正確な位置にあるとき、駆動ラムの内外において種々のシリンジを取り外して取り替えるのに必要である。このように、逆モードのとき、注入器は、ホーム位置に近づいたと認められるまで、ラムを比較的迅速に後退させることができる。次に、ラムの後退速度は、注入器が予め較正されたホーム位置に達したと認めるまで、低下される。そしてラムの移動は中止され、これによりシリンジは注入器から取り外され該注入器に挿入することができる。
【0027】
さらに、本発明の注入器は、遠隔コンソールに配置された「ソフト」パワースイッチと言及されるオン/オフスイッチを含み、該「ソフト」パワースイッチは電源及び/又は注入器自身に配置されたスイッチに加えて存在する。注入手順で使用されるコンソールは、電源のAC電力が印加されている間、一般にDC電力のオフスイッチを有する。本発明の注入器のオン/オフスイッチはコンソールと通信し、これによりコンソールがオフであれば、注入器及びコンソールは、コンソールがオンしたとことを電源が読み取ったときに、自動的にオンする。特に、このスイッチは、注入器のコンソールの内側のプロセッサと通信する常閉/常開接点を含む。コンソールが開くと、プロセッサは注入器内の通信部品と通信し、電源をオフする。ソフトウェアを本発明の注入器に含めて、スイッチが注入手順の実際の運用を開始しないことを保証してもよい。
【0028】
本発明の注入器は、駆動ラムの回転を防止する構造を含む。特に、これは注入手順中にラムが対称軸の回りに回転するのを防止する。ラムの回転防止は駆動ラム自身の形状により生じる。一つの実施形態では、駆動ラムの長手軸に垂直にとった断面は、ラムの上部を横切る平坦面、ラムの底部を横切る平坦面、ラムの両側の湾曲面を有する背中合せのD形である。この駆動ラムは、シリンジの最も近くで、本発明の注入器のハウジングの端部にある板に類似の形状のオリフィス134を通して挿入する。駆動ラムの上部及び底部の平坦面により、前方に移動するときラムは回転することができない。これは、駆動ラムの端部に配置されている接合要素を上方に向かう方向に一致するように維持するのに重要であり、これによりシリンジは注入器から取り出して取り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の注入器の斜視図で、本発明の原理による直感的なトリガーとシリンジマウントを示し、電源と遠隔コンソールを含む。
【図1A】本発明の実施形態の斜視図で、2つの注入器、2つの遠隔コンソール及び2つの電源を含む。
【図2】図1の2−2線に沿う本発明の注入器の断面図で、本発明の直感的なトリガーを示す。
【図3】本発明の直感的なトリガーの断面図で、前進位置にあるトリガーを示す。
【図4】本発明の直感的なトリガーの断面図で、後退位置にあるトリガーを示す。
【図5】図2の5−5線に沿うシリンジマウントの断面図で、シリンジが注入器に取り付けられていないものを示す。
【図6】シリンジの断面図で、本発明の注入器に取り付けられたシリンジを示す。
【図7】本発明の原理による注入器のハンガーの斜視図。
【図7A】本発明の注入器の斜視図で、注入器に取り付けられハンガーと関連するシリンジを備えたハンガーを含む。
【図8】本発明の原理による注入器のハンガーと加温クレードルの斜視図。
【図8A】本発明の注入器の斜視図で、注入器に取り付けられハンガー及び加温クレードルと関連するシリンジを備えたハンガーと加温クレードルを含む。
【図9】本発明の注入器における圧力限度と流量を示すグラフ。
【図10】本発明の原理による遠隔コンソールの制御盤の概略図。
【図11】本発明の原理による遠隔コンソールの制御盤の概略図。
【図12】本発明の原理による電源相互接続基板の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の前述した及び他の原理及び利点は、前述した本発明の概要、以下の実施形態の詳細な説明、この明細書に含まれその一部を構成する添付図面から明らかである。
【0031】
前記発明の開示で説明したように、本発明は前述したような注入器の欠点を克服し解消した注入器を提供する。図を参照すると、本発明の実施形態の注入器20は携帯できるように「細い棒(wand)」状に提供されている。本発明の注入器20は医療市場の通常の要求にかなうように設計され、安価で、小さく、操作が複雑でない。コストを低減し、ユーザ−注入器インターフェース30を簡単にするために、記憶プロトコル、多相注入、高流量、オプションのプリンタは省略されている。大量の注入物又は洗浄溶液(通常は塩水)をオプティスターMR注入システムのような他の注入システムと類似の方法で供給するために、オプションの注入器−注入器インターフェース31(図1A)を用いて、本発明の注入器20は他のコンパティブルな注入器と接合してもよい。しかしながら、本発明の多くの特徴は壁、天井、床に装着したCT注入器のような大きな注入器に使用できるように修正できることは、当業者に認められるであろう。本発明の注入器20は、向上された診断画像を得るために、X線造影剤を制御された流量と容量で患者の血管系に供給してもよい。前述したように、本発明の注入器20は少なくとも次の部品で構成されている。
(1)パワーヘッド22
このパワーヘッド22は、電機機械的である駆動システム24、シリンジ28を取り付け保持するシリンジマウント26、主マイクロプロセッサ、電子制御部、注入プロトコルをプログラムし開始するユーザ−注入器インターフェース30、状態表示器34、及びパージ/後退トリガー36を含む。
(2)パワーパック38
このパワーパック38は電源38と電源−注入器インターフェース42を含む。一般に、パワーパック38はAC電源からパワーヘッド22にDC電力を供給してもよい。電源−注入器インターフェース42は、複数のリレーと、パワーヘッド22のような装置とパワーパック38の間の通信を提供する光学カップリングとで構成されている。注入器−注入器インターフェース31のようなインターフェースの1つの用途は、注入システムの2つの注入器を調和し、より大きな容量の可能性を与え、又は洗浄溶液を提供することである。
【0032】
本発明はまた、オプションの遠隔コンソール44を含めてもよく、該遠隔コンソール44は、パワーヘッド22と連通し、ユーザが注入プロトコルをプログラムして開始し、例えば注入を開始し停止することにより注入を制御することができるようにする。遠隔コンソール44はまたユーザ−コンソールインターフェース45を含めてもよく、該ユーザ−コンソールインターフェース45は、注入中の容量や流量のような注入パラメータを表示し、注入状態を表示し、さらに時間を表示してもよい。
【0033】
本発明の注入器20のある特徴は、次のものを含むが、これには限定されない。本発明の注入器20は、シリンジ28を駆動ラム46と一致するように注入器20に取り付けるのを容易にするために、注入器20にシリンジマウント26を含めてもよい。注入器20は加温能力を有するクレードル48を含めてもよい。さらに、本発明の注入器20は、直感的な方向の認識可能性を有するパージ/後退トリガー36を含めてもよい。これは、注入するためにトリガー36を前方に押圧すること、充填するためにトリガー36を逆方向に押圧することを含む。さらに、駆動ラム46の速度は、「ホーム」位置から離れるトリガー36の偏差の程度に応じて変更してもよい。トリガー36はまた、注入器のハウジング47を貫く非接触制御通信を含めてもよい。トリガー36はまた、速度ロック装置を含めてもよく、この速度ロック装置は、注入手順を実際に行っている間に注入する流体の濃度又は流量をユーザが変更できるようにする。小さくて軽量の注入器20の有用性と、注入を実行している間に流量を動的に調整する能力は、注入中にユーザに高レベルの制御を与える。さらに、本発明の注入器20により生成される圧力は、特定の流量を選択することで自動的に制限することができる。本発明の注入器20は、注入器20の駆動ラム46が「ホーム」位置に位置するときを決定するのに使用されるラムホーム検出器50を含めてもよい。本発明の注入器20は、他のパワースイッチから離れた遠隔コンソール44上のオン/オフパワースイッチ52を含めてもよい。最後に、本発明の注入器20は、駆動ラム46の対称軸76の回りの回転を防止するように動作する特定の構造を有する駆動ラム46を含めてもよい。
【0034】
前述したように、本発明の注入器20はシリンジ28との組み合せで動作する。注入器47の前端56の近傍で、注入器20とシリンジ28の間には、シリンジ28の注入器20への取り付けを促進するためのシリンジマウント26が配置されている。ある実施形態(不図示)では、好ましくは透明の圧力ジャケットは、取り替え可能なシリンジ28を受入れるために、ハウジング47の前端56から外側に延びている。シリンジ28と圧力ジャケットは、注入手順中に注入器20により生成される注入圧力に耐えるように構成されている。注入器20はシリンジ28を囲む圧力ジャケットを含むことは必要ではない。代案の実施形態(不図示)では、シリンジ28を支持するために、クレードルはハウジング47の前端56から外側に延びていてもよい。以下に説明するように、このようなクレードルは、シリンジ28の内容物を加温するために加熱能力を有していてもよい。しかしながら、注入器20はシリンジ28を支持するクレードルを含むことは必要ではない。さらに他の実施形態では、シリンジ28は、注入器20自体への接続以外に支持構造を有しないで、注入器20から単純に自由に延びていてもよい。シリンジ28はシリンジプランジャーを含んでいてもよい。
【0035】
図1−4を参照して、本発明の注入器20とともに使用するシリンジ28は一般に本体54を含み、該本体54は、外部円筒胴の形態であってもよく、その前端55で円錐前壁部58と一体である。排出チップ62で終了するネック60は、一般に円錐前壁部58から前方に延び、該円錐前壁部58と一体であってもよい。シリンジ28の本体54は、圧力ジャケット又はクレードルが注入器20に存在するとき、前述したように圧力ジャケット又はクレードルの内壁と係合してもよい。しかしながら、図示された実施形態は注入器20の前部から自由に延びるシリンジ28を描いている。本発明の注入器20と関連して使用されるシリンジ28はシリンジ係合部64を含み、該シリンジ係合部64は半径方向外方に延びるフランジの形態であってもよい。このシリンジ係合部64は、シリンジ28の対称軸66に垂直な面に配置され、シリンジ28の本体54の円筒胴の後端67と一体である。このフランジは環状である。シリンジ係合部64は、シリンジ28が注入器20と関連して配置されたときに、注入器ハウジング47の前端56に位置するシリンジマウント26の協働部材の基端側に一致するように配置されている。このように、シリンジ係合部64とシリンジマウント26は、以下に詳細に説明するように、シリンジ28の注入器20への接続を促進する。
【0036】
シリンジ28の排出チップ62は一般に、ネック60内に形成された内部シリンジ空間70と連通する遠隔端に形成されたオリフィス68、円錐前端58、シリンジ28の本体54を収容する。空間70の後端は、シリンジプランジャ74の前向面72によって形成されていてもよい。ある特定の実施形態では、表面72は円錐である。円錐面72は円錐前壁58の内部の傾斜と同じである傾斜を有する。シリンジプランジャー74は、シリンジ28の本体54内で円滑にスライド可能であってもよく、これにより空間70は可変容量を有する。
【0037】
いま図2−4を参照すると、シリンジプランジャー74は、シリンジ28の本体54の円筒胴内にさらに明瞭に見ることができる。シリンジプランジャー74は、シリンジ28が注入器20に取り付けられると、注入器20のプランジャー駆動ラム46の基端側に配置され、該プランジャー駆動ラム46とほぼ一致する。プランジャー駆動ラム46はモータにより駆動され、長手対称軸76に沿って前後運動で移動し、プランジャー駆動ラム46を配備する。これにより、シリンジプランジャー74はシリンジ28の対称軸66に沿って前後運動で移動し、流体を人体又は動物の対象に注入し、又はシリンジ28に流体を充填する。例えば、人は既充填シリンジを本発明の注入器20に装填し、そしてプランジャー74を前進方向に配備することで、シリンジ28からの流体を放出する。そのようにすることで、流体を人体又は動物の対象に注入することができる。代案として、空のシリンジ28を注入器20に装填し、シリンジプランジャー74をその最前進位置に配備する。その後、シリンジ28を流体源に機能的に接続し、シリンジプランジャー74を後部方向に後退させて流体をシリンジ28に引き込むことで、流体をシリンジ28に装填する。
【0038】
一般に、本発明の注入器システムでは、注入器20は人間の診断画像を向上するような目的のためにX線造影剤、洗浄溶液、その他の媒体のような液体を供給する単相注入を含む。注入器20は単相注入のためにプログラムすることができるプロトコルを含めてもよい。本発明の注入器20は20分の最大時間動作する手動X線走査遅延タイマを含めてもよい。シリンジ駆動システム24は電気機械的であってもよく、注入器20は既充填シリンジとともに使用されてもよいし、空シリンジとともに使用してその後に充填されてもよい。一つの実施形態では、本発明の注入器20を用いて未充填シリンジを充填する場合、シリンジ充填速度は一般に約1ml/秒から約8ml/秒の範囲である。注入中の流量は一般に約0.1ml/秒から約6ml/秒である。同じ流量を洗浄流体に使用してもよい。本発明の一つの実施形態における注入器20の最大圧力限界は約250psiである。本発明の注入器20は、約15℃から約45℃の大気温度範囲で動作するように設計されてもよい。さらに、注入器20は、約−20℃から約60℃の大気貯蔵温度範囲に耐えるように設計されてもよい。注入器20は、貯蔵温度にさらされた後、大気動作温度で約1時間以内に適切に動作するように設計さえてもよい。さらに、注入器20は約90%の相対湿度までで動作するように設計されてもよい。本発明の注入器20は、LED表示器34上の注入後読み出しと、注入パラメータが注入プロトコルの仕様外であるときに電気的停止する安全停止機構とを含めてもよい。
【0039】
本発明の注入器20のユーザ−注入器インターフェース30は、シリンジ28の流体の充填と排出を制御するために、パージ/後退トリガー36を含み、遠隔コンソール44を含めてもよい。プログラム注入は、コンソール44上のボタンのようなコントロール90及び/又は注入器20のパワーヘッド22により制御してもよい。パワーヘッド22上の表示スクリーン34は、一つの実施形態では、シリンジ28に残留する流体の容積に関する情報を提供してもよい。表示スクリーン34は注入が行われる流量に関する情報を提供してもよい。ユーザ−注入器インターフェース30はプラスチック及び/又は金属、プラスチックと金属の組合せの形態で設けてもよい。
【0040】
本発明の1つの実施形態では、プランジャー駆動ラム46は、シリンジプランジャー74に配置された第2接続要素82に係合するために、第1接続要素80を含めてもよい。これによりシリンジプランジャー74を駆動ラム46に接続することができる。これにより、一旦シリンジプランジャー74が配備されると、プランジャー駆動ラム46は、シリンジ28の円筒形本体54内でシリンジプランジャー74を後退させると同時に、後退させてもよい。一つの実施形態では、図2−4を参照すると、駆動ラム46とシリンジプランジャー74の間の接続は受動的である。図示された実施形態では、駆動ラム46の第1接続要素80は、注入器のハウジング47の前端56に最も近い駆動ラム46の端部にスロット84を含む。このスロット84は、第2接合要素82と合致し受け入れる大きさと形状にされ、シリンジプランジャー74に配置された後方に面する延長部88の形態であってもよい。図示された実施形態のスロット84と延長部88はきのこ形であるが、接合を促進する如何なる形状も使用できることは当業者に明らかである。さらに、図示された実施形態は受動的接続に帰する第1及び第2接合要素80,82を説明したが、当業者は能動接続(ある程度の受動的把持を含む)に帰する第1及び痔亜2接合要素を使用してもよいことを理解できるであろう。
【0041】
前述したように、本発明の注入器20は既充填シリンジを受け入れてもよい。代案として、本発明の注入器20は、空のシリンジを受け入れてもよいが、該シリンジは流体を人間又は他の動物の対象に注入する前に注入されなければならない。一つの実施形態では、本発明の注入器20は、ミズーリ州セントルイスのマリンクロット社から商業的に入手可能なウルトラジェクトシリンジのような125mlの既充填シリンジを受入れるように適合されている。このようなシリンジは患者に造影剤を注入するのに使用される。この125mlシリンジは例えば50ml、75ml、100ml、又は125mlのように容量を変化させて予め充填してもよい。しかしながら、代案として、注入器20は、冠状動脈血管造影のような表示のために、空の125/130mlシリンジを受け入れてもよい。他の実施形態では、本発明の注入器20はリーベル−フラーシャイムLiebel Flarsheim(部品番号600172)から入手可能な130mlシリンジを受け入れるように適合される。さらに他の実施形態では、本発明の注入器20は50ml、75ml、又は100mlシリンジを受け入れてもよい。さらに他の実施形態では、本発明の注入器20は他のサイズのシリンジを受け入れるように適合されてもよい。
【0042】
図1−4を参照すると、本発明の注入器20はパワーヘッド22を含み、該パワーヘッド22は電源40を含むパワーパック38に機能的に接続されている。代案の実施形態では、注入器システムは少なくとも一つの遠隔コンソール44を含むように拡張することができ、該遠隔コンソール44は注入器20へのコンソールインターフェース89を有し、注入器の遠隔制御を許容する。これは以下に詳細に論ずる。
【0043】
いま図1を参照すると、図示された実施形態の注入器20は複数のコントロール90を有するユーザ−注入器インターフェース30を含み、該コントロール90は注入器パワーヘッド22の動作を制御するのに使用される。これらは、「スタート」、「ストップ」、「停止」、「流量増加」、「流量減少」、「容量増加」及び「容量減少」を含むが、これらに限定されない。注入器20のパワーヘッド22はまた、注入手順についての情報をオペレータに中継する表示スクリーン34を含めてもよい。この情報は、注入が可能なとき、及び注入が進行中のときに、オペレータに指示する。一つの実施形態では、表示器34は2つの数値表示器を含めてもよく、1つは容量情報を表示し、他の1つは流量情報を表示する。この実施形態では、容量表示器は、注入器20がプログラミングムモードであるときにプログラムされた容量を表示し、注入モードであるときに注入を表示する。同様に、この実施形態では、流量表示器は、注入器20がプログラミングムモードであるときにプログラムされた流量を表示し、注入モードであるときに注入流量を表示する。本発明の注入器20はまた視覚表示器91を含めてもよく、該視覚表示器91は、(1)注入器20が使用可能となり注入の準備ができているとき、(2)注入が進行中のとき、(3)注入が完了したときを表示する。さらに、流量が注入中に減少すると、視覚表示器91はこれを送信してもよい。さらに、注入器20が注入器20の故障状態を検出すると、視覚表示器91はこの情報を送信してもよい。この視覚表示器91はユーザインターフェース30の表示スクリーン34に現れてもよいし、表示スクリーン34から分離されてもよい。図示された実施形態では、視覚表示器91はLED表示器を含めてもよい。
【0044】
いま図2−6を参照すると、シリンジマウント26により本発明の注入器20に機能的に接続されるシリンジ28の組合せがさらに明確に示されている。図示された配置により、シリンジ28は注入器28に挿入され、これにより、シリンジ係合システム64は、シリンジ28の円筒胴の先端の回りに周フランジの形態であってもよく、注入器パワーヘッドハウジング47の前端56に配置された係合スロット84と係合する。シリンジ28がスロット84の近傍に配置され、注入器20のベースに向かって下方に移動し、スロット84に挿入されると、該シリンジ28は第1部材92と第2部材94に係合する。第1部材92と第2部材94は、把持部材であり、回動中心点96の回りに移動可能で、プランジャー駆動ラム46の長手対称軸76に向かって付勢されている。図示された実施形態では、把持部材の第1及び第2部材92,94はさらに、該第1及び第2部材92,94に配置された内部溝98を含めてもよい。この溝98はスロット84と係合し、これによりシリンジ28の注入器20への接続を助ける後退領域を形成する。シリンジ28がスロット84及び溝98とともに移動し挿入されると、シリンジ28がシリンジマウント26の第1及び第2把持部材92,94と係合することにより、第1及び第2把持部材92,94は、シリンジ28が把持部材92,94を過ぎてスライドするにつれ、シリンジ28の本体54によって外側に拡張する。シリンジ28がスライドし続けて注入器20と係合する際に、把持部材92,94の付勢された性質により、把持部材92,94はプランジャー駆動ラム46の長手軸76に向かって後退する。さらに、把持部材92,94のベースに対してシリンジ28の本体54の円筒胴54によって与えられる力は、第1及び第2把持部材92,94のプランジャー駆動ラム46の長手軸76に向かう移動を促進する。このように、第1及び第2把持部材92,94は、シリンジ28の本体54の回りの周方向の把持関係に移動し、これによりシリンジ28はプランジャー駆動ラム46の近傍で該プランジャー駆動ラム46と軸方向に一致して、注入器20に接合する。この配置は、その後の駆動ラム46の前方への平行移動を許容し、シリンジ28の円筒本体54からの造影剤又は他の流体を、シリンジ28の排出チップ62を通って、人間のような動物の対象に送出する。シリンジプランジャー74は、前述したように、第1及び第2接続要素80,82によりプランジャー駆動ラム46の接続されている。
【0045】
本発明の図示された実施形態では、第1及び第2把持部材92,94は、プランジャー駆動ラム46の対称軸の回りに径方向に互いに対向し、これにより第1及び第2把持部材92,94は対向面100,102に周方向部を有し、該周方向部はシリンジ28の円筒胴の外側で径方向に互いに対向している。シリンジ28を注入器20の前端56に取り付けると、注入器20の第1及び第2付勢可動把持部材92,94は、前述したように、シリンジ28の外部円筒形本体54の側面と係合し、本発明の注入器20の駆動ラム46に対して適所に一致するようにシリンジ28を保持する。
【0046】
前に簡単に説明したように、本発明の注入器20のシリンジマウント26は、対向面100,102を有する第1及び第2把持部材92,94を含み、それらは好ましくは湾曲した形状である。一つの実施形態では、湾曲した対向面100,102はさらに、シリンジの本体に「噛み」ついてシリンジの把持を向上するために、金属隆起(不図示)を含めてもよい。代案として、さらに他の実施形態では、第1及び第2把持部材の各湾曲面は複数の隆起歯(不図示)を有していてもよい。このような隆起歯は第1及び第2部材に合ってもよいし、任意の金属隆起に含めてもよい。第1及び第2把持部材の回動運動は、それらがお互いに向かって及びお互いから離れるように回動する際に、それらの湾曲面間の距離を変更する。図示された実施形態では、これらの第1及び第2把持部材はそれぞれ移動可能である。しかし、代案の実施形態(不図示)では、単一の可動部材を使用することができ、該可動部材は固定湾曲ストッパ又は当接部に対して離れた関係で配置されて付勢されている。
【0047】
第1及び第2可動把持部材92,94は、それぞれ軸又は回動ピン104の回りに回動可能に装着されてもよく、当該軸又は回動ピン104は、ある実施形態では、第1及び第2把持部材92,94の各々と関係する付勢ばね106を含めてもよい。そのような実施形態では、各付勢ばね106の一端はそれぞれに関連する把持部材と接触し、各付勢ばね106の他端は注入器20のハウジング47の一部に着座し又は支持している。付勢ばね106は、第1及び第2把持部材92,94の回動軸を形成するピン104の回りにジャーナル支持されている。
【0048】
前述した第1及び第2把持部材92,94は、付勢ばね106によってプランジャー駆動ラム46の対称軸76に向かって付勢されている。これと異なり、付勢ばね106は、対向面100,102が互いに付勢されるように、第1及び第2把持部材92,94を付勢している。ある実施形態では、シリンジ28の円筒形本体54がシリンジマウント26に挿入されると、シリンジ28をシリンジマウント26から離して持ち上げることでは、引き抜くことはできない。実際には、本発明のそのような実施形態においてシリンジ28をシリンジマウント26から離して移動すると、その結果第1及び第2把持部材92,94によってシリンジ28の円筒形本体54の把持が強められる。しかしながら、第1及び第2部材92,94の把持強度をどのように移動しても把持が強められるようにする必要がないことは、当業者に認められる。さらに、注入器20にシリンジ28を接合するのに付勢バネ106は必要がないことは、当業者に明らかである。むしろ、ある実施形態では、第1及び第2把持部材92,94に対するシリンジ胴の正の力は、把持部材92,94内にシリンジ28を保持する。そのような実施形態では、シリンジ28は、注入手順中にシリンジ28を保持するのに十分な力を供給する摩擦嵌合により、注入器20に接続されるが、シリンジ28が注入器20から離れて正方向に移動すると、シリンジ28を解放する。
【0049】
本発明の代案の実施形態では、第1及び第2把持部材92,94は把持機能を必要としないことは当業者に認められるであろう。そのような第案の実施形態では、シリンジを把持するのに単一の把持部材を使用してもよく、これによりシリンジを注入器に機能的に接続することができる。この代案の実施形態では、シリンジを注入器に保持するために、把持部材は湾曲面を有し、円筒胴と接触したときにシリンジの周囲を十分に覆わなければならない。このような実施形態では、把持部材の中心から延びるアームはある程度の弾性を有し、これによりアームは外方及び内方に拡大し、シリンジの挿入及び/又は除去を許容する。
【0050】
このように、本発明の注入器20のシリンジマウント26の種々の実施形態は、1つの把持部材を使用するもの、1以上の把持部材を使用するものを含み、以下のものを含むが、これらに限定されない。(1)シリンジの周囲210°でシリンジ28の円筒胴を保持するシリンジマウント26、(2)シリンジ28の円筒胴の周囲と230°の領域で接触することができ、シリンジ28に噛み込む鋭い縁を提供する金属ばねクリップ、(3)対向面100,102を有し、シリンジ28の円筒胴の周囲45°で合計90°の接触領域で接触する第1及び第2把持部材92,94、(4)湾曲面100,102がシリンジ28の円筒形本体54と周囲80°の領域で接触し、合計160°でシリンジ本体54と接触する第1及び第2把持部材92,94、(5)湾曲面が150°の領域でシリンジ28の円筒胴と接触し、合計300°でシリンジ本体54と接触する第1及び第2把持部材92,94。2つの第1及び第2把持部材92を示す図示された実施形態では、シリンジ28の円筒胴54に噛み込むように、把持部材92,94はステンレス鋼のような金属を含み、又は当該金属で作られてもよい。
【0051】
シリンジ28がシリンジマウント26により注入器20に機能的に接続され、シリンジ28の対称軸66,76とプランジャー駆動ラム46がほぼ同軸になった後、注入器20のモータを使用してプランジャー駆動ラム46をシリンジ空間70に配備し、シリンジ28から流体を排出する。駆動ラム46の移動によりシリンジプランジャー74をシリンジ本体54の内部空間70を通って移動させた後、駆動ラム46はシリンジ28の先端から後退させてもよい。プランジャー駆動ラム46が完全に後退すると、注入器20の一つの実施形態では解放止め金(図示された実施形態では不図示)を使用して、シリンジ28はシリンジマウント26から取り外してもよい。解放止め金は、第1及び第2付勢可動把持手段92,94を移動し、シリンジ28の外部円筒胴54から離して係合を外す。代案として、当初空のシリンジを注入器20のシリンジマウント26に装着すると、プランジャー駆動ラム46はまずシリンジ空間70に伸長してもよい。次にシリンジ28に流体を引き込むために後退させてもよい。そして、この流体は、再びプランジャー駆動ラム46を前方に平行移動させて、対象に注入してもよい。続いてプランジャー駆動ラム46を後退させた後、シリンジ28は解放止め金を操作して解放してもよい。代案の実施形態では、シリンジマウント26は解放止め金を含まなくてもよいが、むしろシリンジ28を注入器20に摩擦係合で接続してもよい。摩擦係合は、注入手順中にシリンジ28を保持するのに十分な力を提供するが、注入器20から離れてシリンジ28を正方向に移動すると、シリンジ28を解放する。
【0052】
いま図2−4を参照すると、本発明の注入器20はまた、注入器20のオペレータ制御を向上する多手動パージ/後退トリガー36を特徴としている。トリガー36はユーザがシリンジ28から空気をパージ(掃出)し、注入後に駆動ラム46を後退させるのを許容する。さらに、トリガー36はユーザが注入中又は後退中に流量を動的に変化させるのを許容する。本発明のこの局面は、ホーム位置、前方位置及び逆位置の間で移動可能なトリガー36を含む。前方位置へのトリガー36の移動により、注入器20はプランジャー駆動ラム46を前方に移動させシリンジ28から流体を排出し、逆位置へのトリガー36の移動により、注入器20は駆動ラム46を逆方向に移動させシリンジ28に流体を引き込み、又シリンジ28を注入器20から取り外す前に駆動ラム46をシリンジ28から後退させる。直感的なトリガー36は、可変注入速度を許容するように設計され、また手を使わない注入を許容するロックモードを含む。
【0053】
さらに詳しくは、本発明の注入器20の1つの実施形態では、トリガー36は回動軸110で取り付けられ、トリガー36の両側に配置された少なくとも第1及び第2ばね112,114によって、ホーム位置に付勢されている。ホーム位置から離れるようにトリガー36を回動すると、ばね112,114が累進的に圧縮し、その程度が増加し、レバーの回動角度が増加する。ハウジング47の内部に位置しトリガー36と関連するセンサ116は、トリガー36の角度を検出し、これによりこの角度はプランジャー駆動ラム46の運動の速度を制御するのに使用することができる。この構造と制御を使用して、トリガー36の相対位置は、注入器20に取り付けられたシリンジ28の内又は外への流体の流量に比例させることができ、これにより注入器20の直感的フィードバックをオペレータに提供する。
【0054】
トリガー36は回転軸118上で回転可能である。手動トリガー36がそのホーム位置に残っているとき、駆動ラム46の運動はパワーヘッド22によって生じない。しかしながら、手動トリガー36がシリンジ28に向かって(すなわち前位置に)回動すると、駆動ラム46の前進運動がパワーヘッドにより生じ、これによりシリンジ28から流体又は空気が排出される。代わりに、トリガー36がシリンジ28から離れて(すなわち逆位置に)回動すると、駆動ラムの逆運動がパワーヘッド22により生じ、これによりシリンジ28が流体又は空気で満たされる。
【0055】
さらに図2−4を参照すると、直感的トリガー36の使用により注入手順の非接触制御を許容する注入器20の構造がさらに明確に示されている。本発明の注入器20は、一般に、コンパクトなモジュール設計を含み、一つの実施形態における携帯用注入器20のように、製造を容易にしている。特に、本発明の注入器20の制御回路は、印刷回路板120に組み込んでもよい。本発明の注入器20の一つの特徴は、磁性導体122を使用し、直感的トリガー36に配置された磁石124からの磁界エネルギーを注入器ハウジング47を通って、回路基板120に機能的に接続された磁気センサ116の近傍に導いていることである。一つの実施形態では、磁性導体122を使用して磁界を注入器ハウジング47を通して伝えることにより、回路基板を装着可能な磁気センサ116を使用することができ、これにより注入器ハウジングに装着する個々のパッケージセンサに比べて、全体コストが低減する。このような非接触制御を使用することにより、ハウジング47を通して配線をする必要性が排除され、シールの完全性が向上する。
【0056】
トリガー36の回動の方向及び度合いを決定するために、複数の磁石124をトリガー36の上又は中に配置してもよく、これによりトリガー36の回動が、トリガー36のコントロール上及び注入器ハウジング47内の磁石124の間の距離を増加または減少し、変動磁界が生じ、該変動磁界はパワーヘッド22の制御回路と関連する磁気センサ116によって検出することができる。特に、本発明の注入器20は一つの実施形態ではホールセンサを使用してもよい。ホールセンサの機能はホール効果の原理、すなわち、磁界が電気導体に垂直に付与されると該電気導体に電流方向と直角に電圧が発生するという原理に基づいている。本発明のある実施形態では、ホール効果は半導体で最も明白になるので、適切なホール要素は半導体材料で作られた小板である。電流端子とホール電圧用タップを備えたホール板がセンサの表面に配置されてもよい。このセンサ要素はチップの表面に垂直な磁束の成分を検出し、比例電気信号を出力し、該信号は回路基板120に統合された評価回路で処理される。本発明の特定の実施形態では、注入器20はアナログ又はリニアセンサを含む。リニアホールセンサは、ホール板を垂直に通る磁束に比例するアナログ出力電圧を生成する。このように、本発明の注入器20の回路基板120に機能的に接続されたセンサは磁束から、トリガー36がホーム位置から離れて回動した度合いを決定し、電気出力とプランジャー駆動ラム46の速度を調整することができる。
【0057】
トリガー36が前方に回動すると、制御回路と関連するセンサ116は、磁界により生じる信号からこの回動を検出し、プランジャー駆動ラム46を前方すなわちパワーヘッドハウジング47から外方に、ホーム位置から離れたトリガー36の偏差の角度に比例した速度で移動させる。代案として、トリガー36が逆方向に回動すると、制御回路は磁界によって生じる信号からこの回転を検出し、プランジャー駆動ラム46を後方すなわちパワーヘッドハウジング47に向かって、ホーム位置から離れたトリガー36の偏差の角度に比例した速度で移動させる。
【0058】
前述したように、電動注入器はまた、制御トリガー36と関連した第1及び第2ばね112,114を含めてもよく、該第1及び第2ばね112,114は注入器20のハウジング47と係合し、軸をホーム位置に戻そうとするトルクを発生する。トリガー36がそのホーム位置にあるとき、ばね112,114は、トリガー36をホーム位置に保持しようとする反対トルクをトリガー36に付与する。この位置で、センサはトリガー36がホーム位置にあることを示す信号を生成する。この位置で、パワーヘッド22の制御回路は、駆動ラム46の運動がトリガー36の手動による移動制御によって要求されないことを決定することができる。
【0059】
トリガー36がホーム位置から離れて回動すると、センサ116はトリガー36がホーム位置から離れたことを示す信号を生成するが、その信号はアナログ信号であってもよい。これが生じると、制御回路は磁石124により生じる信号を読み取り、トリガー36の位置を決定し、プランジャー駆動ラム46の適切な運動を生じる。
【0060】
前述したように、プランジャー駆動ラム46の運動の速度は、ホーム位置から離れたトリガー36の移動又は回動の程度に比例する。これが生じると、第1及び第2ばね112,114の機械的構造は、トリガー36がホーム位置から離れて角度が増加するように回動するにつれて復帰トルクがトリガー36に付与されることを保証する。ばね112,114の剛性及びトリガー36の運動の範囲に依存して、この復帰トルクは全ての偏差角度でほぼ等しくてもよいし、また増加又は減少する偏差角度を越えて増加または減少してもよい。偏差角度に比較して増加する復帰トルクは、オペレータに、駆動ラム46の速度に関する追加のフィードバックを与えてもよい。さらに、前述したように、第1及び第2ばね112,114は、トリガー36をホーム位置に付勢する引張りの度合いを示す。これは、注入器20がテーブルに置かれたときのように他の物体と偶然に接したときに、トリガー36のホーム位置から離れた不測の偏差を防止することを補助する。
【0061】
さらに、注入器20は、トリガー36がホーム位置から偶発的に変位しないことを保証する他の機構を含めてもよい。ある実施形態では、トリガー36は、ユーザがトリガー機構に注入器20を操作するのを意識的に可能にしなければならないように設計してもよい。
【0062】
前述したように、シリンジ29を充填し又はシリンジ28の内容物を排出するとき、流体がシリンジ28に引き込まれ、シリンジ28から排出する安全を考えた理想の最大速度があってもよい。さらに、そのような最適の注入流量は特定の手順及び/又は注入される流体に依存してもよい。シリンジの充填及びシリンジからの排出を制御し、また注入手順に含まれるこれらの動作の安全性を維持するために、オペレータは理想速度に達したときについてフィードバックすべきであり、これによりシリンジは最適速度で充填又は排出することができる。さらに、注入器20はある速度以上で流体の排出を防止する機構を含めてもよい。前述した第1及び第2ばね112,114の一つの目的は、オペレータに理想の充填速度にほぼ相当するトリガー36の偏差の角度の機械的フィードバックを与えることである。さらに詳しくは、パワーヘッド22の制御回路は、トリガー36がある位置に回動したときプランジャー駆動ラム46が理想速度近傍で移動することを確立する。したがって、理想速度でシリンジ28を充填することを望むオペレータは、トルクが増加するまでトリガーレバーを回動し、その位置でトリガーレバーを保持し、シリンジ28を充填することができる。
【0063】
さらに、本発明の注入器20は注入器20のトリガー36と関連する速度ロックを含めてもよい。この速度ロックによりオペレータはプログラムし、特定の流速で駆動ラム46を注入又は後退させることができる。この注入は、トリガー36自身の押し下げの程度に拘わらず、特定の流量で生じてもよく、またその代わりプログラムがトリガー36の偏差の変化により無効にされない限り、特定の流量で注入するようにプログラムされてもよい。一つの実施形態では、トリガー速度ロックは注入器20の制御パネルに配置してもよい。それは速度ロックが作動したときに後退又は注入している駆動ラム46の現在速度でロックするように動作する。本発明の注入器20の一つの実施形態では、プランジャー駆動ラム46の移動は、コントロール90又はトリガー36自身が押し下げられたときに停止する一方、ロックが作動してもよい。図示された実施形態では、トリガー速度ロック用のコントロールが注入器パワーヘッド22に配置されていることに注意すべきであり、速度ロックコントロールが遠隔コンソール又はその他の注入器システムの部品に配置されてもよいことは当業者に認められる。
【0064】
ある実施形態では、本発明の注入器20は、注入器20と関連するシリンジ28からの造影剤又はその他の流体を排出している間に、速度ロックの特徴が起動するのを可能にしてもよい。注入器20が特定の流量で速度ロックされ、パワーヘッド22のいずれかのスイッチが作動し、又はパージ/後退トリガー36が再起動すると、注入器20は流量をアンロックし、パージ/後退トリガー36によって決定される流量で走るように設計されてもよい。さらに、後退時には、注入器20は、パージ/後退トリガー36が後退方向に最小時間例えば2秒間係合すると、流量速度ロックの特徴を作動してもよい。後退時に流量速度ロックが作動したとき、注入器20は、パージ/後退トリガー36が再起動し、又は注入器ラムがそのホーム位置に達すると、非作動にしてもよい。
【0065】
図2−6を参照すると、本発明の注入器20はまた駆動ラム46の回転を防止する構造を含む。これは駆動ラム46が注入手順中にその対称軸76の回りに回転するのを防止する。駆動ラム46の回転防止は駆動ラム46自身の形状によって達成される。図示された実施形態では、駆動ラム46の対称軸76に垂直な断面は背中合わせの「D」の形状であり、ラムの上部を横切る第1平坦面126、ラムの底部を横切る第2平坦面、ラム46の各側にある2つの湾曲面130,132を有する。この駆動ラム46は、本発明の注入器20のハウジング47の前端56でシリンジ28の近傍に配置された板136にある類似の形状のオリフィス134を通して挿入する。駆動ラム46の前方又は逆方への移動中、駆動ラム46は、常に、板136の類似の形状のオリフィス134を通って配置されたままである。板136のオリフィス134は、駆動ラム46がオリフィス134内で自由に移動できるように大きさが決められるが、駆動ラム46が長手軸76の回りに回転しはじめると、駆動ラム46はオリフィス134の縁に接する。図示された実施形態では、駆動ラム46の上部及び底部の平坦面126,128により、ラム46は前方に移動する際に回転することができない。これは、駆動ラム46の前端56に配置された第1接合要素80が例えば上方に向かう方向に適切に一致させておき、シリンジ28が注入器20から取り出され取り替えられるようにするうえで重要である。図示された実施形態は背中合わせの「D」形状を示すが、当業者は他の形状も使用できることを認めるであろう。
【0066】
本発明の注入器20はまたラムホーム検出器50を含み、該ラムホーム検出器50は駆動ラム46の端部が注入器ハウジング47の前端56に近接しているか否かを決定するように動作する。この位置は駆動ラム46の「ホーム」位置である。ラムホーム検出器50は、駆動ラム46がホーム位置からある距離にあるとき(例えば1/2インチ)、及び駆動ラム46がホーム位置にあるときの両方を正確に検出する。この検出は磁石138の使用により達成される。これは、ポテンショメータのような第2のアナログ位置決め装置を排除できる。例えば、磁石138が駆動ラム46の表面に配置されてもよいし、磁気センサ140がハウジング47に配置されてもよい。磁気センサ140は磁石138によって生じる磁界を検出できる。この磁界は駆動ラム46の磁石138がセンサ140に近づくにつれて強度が増加する。磁界の強度は較正されて、駆動ラム46がそのホーム位置にあるときを決定する。
【0067】
発明の背景で説明したように、現在の多くの注入器は、該注入器の駆動ラムの位置を追跡する余分なシステムとして、モータにポテンショメータ及び/又はエンコーダを使用している。本発明の注入器20はそのようなシステムを含まない。むしろ本発明の注入器20は、ラムに配置された磁石138を含み、該磁石138は注入器20の内部に沿ったセンサ140と相互作用し,ラム46の位置を検出する。ラム46をそのホーム位置に逆動すると、例えば、これはラム46がそのホーム位置からある距離になるまで逆モードで迅速に作動することを許容する。その動作中、本発明の注入器20は、ラム46がそのホーム位置で注入器20の前端56の外縁と面一であるとき、ラム46に割り当てられた値を較正する。このようにして、ラム46は常に同じホーム位置に静止するように作動し、逆動することができる。これは、正しい位置にあるときに、駆動ラムの内外で、種々のシリンジを取り外し取り替えることができることにおいて、必要である。このように、逆モードにあるとき、注入器20は、ホーム位置の近傍であると認められるまで、駆動ラム46を比較的迅速な速度で逆動してもよい。次に、ラム46の逆動の速度は、注入器20が較正前のホーム位置に達したと認めるまで減速される。そして、ラム46の移動が停止され、シリンジ28が注入器20から取り外され及び/又は注入器20に挿入される。
【0068】
図7,7A,8及び8Aを参照すると、本発明の注入器20は加温クレードル48を含めてもよい。図示された実施形態では、この加温クレードル48は環状プラスチック部142と成形プラスチックベース144を含む。一つの実施形態(図1A)では、この加温クレードル48は、注入器20のハウジング47の前端56から伸長することにより、注入器20と一体であってもよい。代案の実施形態では、加温クレードル48は、注入器20及びシリンジ28が注入手順を開始する前に機能的に接続されるハンガー146の一部であってもよい。プラスチック部142は、シリンジ28と注入器パワーヘッド22がハンガー146と加温クレードル48に機能的に接続されているときに、シリンジ28と隣接し且つシリンジ28と対向する関係にで配置されるように、ハンガー146から延びていてもよい。加温クレードル48のプラスチック部142は、フィラメント線148を含み、該フィラメント線148は適切な電源から電流が印加されると熱を発生する。フィラメント148は、シリンジ28及び/又は圧力ジャケットと接触し又は対向する関係にあるプラスチック部142の環状部の領域を通って延び、パワーヘッド22の制御回路に機能的に接続することができる絶縁ケーブル(不図示)に包囲された電気リード線(不図示)のいずれかの端部で終了していてもよい。このような接続は、パワーヘッド22のハウジング47の開口を介して行なってもよいし、又はパワーヘッドハウジング47の外部に配置され、クレードル48又はハンガー146の外部に配置された電気接点と接触する電気接点を介して行なってもよい。パワーヘッド22から電流がケーブルのリード線及びフィラメント148を介して印加されると、フィラメント148は熱を発生し、該熱はシリンジ28の内側の流体を暖め、又は予め加温されたシリンジ28内の流体の温度を維持する。当業者は加温クレードル48内で熱を発生する任意の他の方法を使用してもよいことを認めるであろう。
【0069】
前述したように、図9を参照すると、本発明は、注入器20により供給される圧力を制限することができる。低流量には低圧が必要であるので、本発明の注入器20は流量に基づいて圧力限度を自動的に割り当てる。圧力限度値は、通常状態でプログラムされた流量を達成するのに十分高いが、シリンジ28又はチューブ又はアクセスポート内で予期しない制限や閉塞があった場合に高圧を生じることはない。流量に基づいて圧力限度を自動的に割り当てることにより、オペレータは注入器20が使用される毎に圧力限度を変更するのを思い出す必要がない。こえにより注入器20は、所望の流量で媒体を供給することができるが、閉塞が生じた場合に圧力を過剰に貯留させない。これは、従来の注入器を越えて、本発明の注入器20の安全性を増加する。
【0070】
使用時、ユーザは注入器20への流量をプログラムしてもよい。しかしながら、流量が注入器20の圧力限度を越えると、安全のため、流量が減少し、及び/又は注入が停止する。このように、本発明の注入器20はさらに、流体注入圧力が所定の限度を越えると注入を停止する停止回路を含む。代案として、停止回路は、流体注入圧力が所定字間所定の限度を越えると、注入を停止してもよい。
【0071】
本発明の一つの特定の実施形態では、所定の圧力限度は250psiである。注入器20は、ユーザが圧力制限機能を調整することができないように設計されてもよい。圧力制限機能は注入前に内部でプログラムし設定してもよい。一つの実施形態では、圧力限度は流量に基づいて、次式で規定されるようにユーザにより選択されてもよい。
【数1】


選択された流量が2.5ml/sを越える場合、圧力限度は最大250psiに固定してもよい。注入圧力が圧力限度に近づくと、注入器20は、注入圧力が圧力限度を越えるのを維持するのに必要な流量を減少してもよい。
【0072】
前述したように図1に示す一つの実施形態では、本発明の注入器20は、遠隔制御で注入手順を行なうために、オプションの遠隔コンソール44を含めてもよい。遠隔コンソール44はパワーパック38に接続するアクセサリであり、制御室のような遠隔地から注入を監視し制御する。ユーザは、遠隔コンソールから、注入をプログラムし、始動し、再開するとともに、注入が進行している間に流量を動的に調整することができる。遠隔コンソール44はまた、ユーザ−コンソールインターフェース45に、注入開始からラムが後退するまでの経過時間を表示するためにタイマーを含めることができる。タイマーは、最適な画像コントラストを達成するために注入後にX線走査を開始するときを決定するのに、ユーザを助けるために存在する。本発明の注入器20のための機能的遠隔コンソール44は、一般に充電可能なコンソールであってもよく、(1)注入を開始し、(2)注入を停止し又は中止し、(3)注入パラメータを設定し変更し、及び/又は(4)注入の開始時にスタートし注入を計時することができるタイマーを提供することを含むがこれに限定されない特徴と能力を有する。一つの実施形態では、このタイマーは20分の最小持続時間を有する。しかしながら、当業者はいかなる最小継続時間も使用してもよいことを認めるであろう。
【0073】
代案の実施形態では、図1Aに示すように、第2注入器20´はオプションのインターフェースケーブルを介して注入器システムに付加することができる。第1及び第2注入器20,20´は、塩水押込み(saline push)を提供し、又は最大容量の注入能力を提供するために、お互いに連通するように形成することができる。この実施形態では、第1及び第2注入器20,20´は、塩水押込み(salinepush)を提供し、又は大容量の注入能力を提供するために、連通するように形成することができる。これは、注入手順は単一のシリンジ28に含まれるよりも大きな流量の注入流体を必要とするかあらである。さらに、ある注入手順中に、注入の後に塩水押込みを続けることが望ましく、塩水押込みは注入物全体が対象に受け入れられるのを保証するために使用してもよい。両ユニットが注入の用意ができているとき、第2注入器2´は、第1注入器20の注入が完了したときに注入するようにプログラムしもよい。この実施形態では、第2パワーパック38´に接続する第2遠隔コンソール44´は、第2注入器20´の遠隔制御を促進するために付加してもよい。第2電動注入器インターフェース42´と第2コンソール−パワーインターフェース89´は、これらのデバイスを接続するのに使用してもよい。
【0074】
パワー−注入器インターフェース42を介して注入器20に電源40を接続してもよく、パワー−注入器インターフェース42は予め作られたコネクタを介して接続された延長ケーブルを含めてもよい。代わりに、そのような注入器延長ケーブルを特定の位置へ容易に設置できるように短縮する一方、安全傷害物(safety hazard)を形成する過剰な配線又はケーブルを回避するように、接続してもよい。一つの実施形態では、両端にコネクタを有する10´のコイルケーブルは、パワーヘッド22を不図示のウォールプレート(wallplate)に接続してもよい。75´の延長ケーブルはウォールプレートとパワーパック38の間に接続してもよい。この延長ケーブルは、一つの実施形態では、プレナム(plenum)形ケーブルであってもよい。75´の延長ケーブルに対するパワーパック38での接続は、延長ケーブルを短縮しこぎれいな設置を容易にすることができる接続機構を含めてもよい。電源40は、任意の遠隔コンソール44と通信するために、コンソール−パワーインターフェース89を含む。本発明の特定の実施形態では、電源40は、パワーアップ相中に線間電圧(linevoltage)を検出し、約60HZから約60HZプラスマイナス約3HZで約100VACから約240VACプラスマイナス約10%の範囲の電圧を自動的に形成する。RJ−11タイプのコネクタを有する10´のイーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))形ケーブルを使用し、パワーパック38を遠隔コンソール44に接続してもよい。
【0075】
本発明はまた、注入器パワーヘッド22及び/又は遠隔コンソール44へのDC電力を制御する方法を含んでもよい。本発明のこの実施形態では、スタート注入ワイヤを使用して電力を遮断してもよい。
【0076】
発明の背景で説明したように、一般に電源40、パワーヘッド22及び遠隔コンソール44を含む従来の注入器では、遠隔コントロール44は一般に低圧オン/オフスイッチを含む。このスイッチは、一般にパワーパック38に接続されたワイヤを含み、コンソール44及びパワーヘッド22へのDC電力(一般に24ボルト)を制御する。パワーパック38のDC電圧は、主電源スイッチがオンである限り常に存在してもよい。本発明の背景で説明した大きな注入器のコンソール44のコネクタサイズは、一般に最小15ピンであり、これによりこれらのコネクタはパワーオン/オフ機能のための専用ワイヤを用意する。しかしながら、本発明の注入器20の実施形態用のコンソール44は物理的に小さなサイズであるため、コネクタは一般に8ピンのみを含んでもよい。この8ピン形態は、コンソール44に別個のパワーオン/オフ機能のために余分の専用ワイヤを用意しなくてよい。
【0077】
上記に照らし、いま図10−12を参照すると、別個の「ソフト」パワーオン/オフスイッチを以下のように遠隔コンソール44に設けてもよい。前述したように、注入器20の基本要素はパワーヘッド22、パワーパック38及び遠隔コンソール44である。パワーヘッド22は主要なデバイスであり、スタンドアローン注入器として機能するには一般に約24ボルトを必要とする。前述した遠隔コンソール44は、パワーヘッド22と同じコントロールと表示器を含むが、さらに注入タイマー152(CTスキャナーを手動で始動するのに使用されるようなもの)とオン/オフスイッチを含む。パワーパック38は、注入器−注入器インターフェース及びパワーオン/オフコントロールだけでなく、24ボルトの電源40を含む。本発明の特定の実施形態では、注入器−注入器インターフェース及びオン/オフ回路は、遠隔コンソール44がシステムに取り付けられ、ICシリアルインターフェースを使用してコレラの特徴を制御するときにのみ機能する。パワーヘッド22及びコンソール44は、ここでコントローラエリアネットワーク(CAN)と言及するシリアル通信により通信してもよい。このCAN通信はパワーヘッド22とコンソール44の間のリアルタイム制御に使用される。注入を実行する余分のシステムとして、相互接続ケーブルは、始動指令がコンソール44から発動されることを全てのデバイスに認識させるワイヤを含む。そのような形態では、この注入信号はCANインターフェースにより支持されなければならない。支持されなければ、無視されるか、注入装置の残りの部品にエラーとして報告され、注入は行なわれない。
【0078】
使用時には、図10−12を参照すると、通信は次のように動作してもよい。以下の説明のため、パワーパック38の主電源スイッチが「オン」、24ボルトパワーパック38に存在していると仮定する。遠隔オン/オフスイッチの起動は「スタートアウト」信号をグランドに接続する。このワイヤは、グランドに切り換えられたときに、システムパワー要に24ボルトをオンする。これを実行するのに使用される回路はフリップフロップU4:B、トランジスタQ4及びリレーK4である。コンソール44の遠隔オン/オフスイッチは、システムパワーがオフしたときに、このラインを起動することができる唯一の部品である。システムがオンすると、コンソール44のスタートスイッチ及び遠隔オン/オフスイッチは、このラインを起動し、既にオンしているシステムパワーをオンすることを試みる。これが起こると、変化が生じない。
【0079】
システムパワーがオンされ、遠隔オン/オフスイッチが起動されると、遠隔スイッチはパワーをオンしようとするが、同時にパワーヘッド22への始動信号(無視される)とコンソールマイクロプロセッサへの信号を送る。プロセッサのソフトウェアはスイッチの押し下げが終るまで待機し、適切な時間(一般に1秒より短い)遅延する。遅延後、プロセッサはパワーオフシリアル指令をICパラレルI/Oチップに送信し、フリップフロップU4:Bを切り換え(toggle)、続いてK4を通してシステムパワーをオフする。パワーヘッド22又は第2のコンソールはパワーをオフするために使用される場合、そのような指令はCANインターフェースを介して第1コンソール44に要求されるべきである。
【0080】
注入器20上の表示スクリーン34は、注入手順に関する全ての情報をオペレータに中継する。これらのパラメータは、プログラム流量、注入が行なわれている間のリアルタイム注入流量、プログラム容量、注入が行なわれている間の残りの利用可能な容量、注入の開始からカウントアップし19分59秒まで表示するタイマーを含む。このタイマーは、駆動ラム46が引き戻されたとき、又は20分後にリセットする。
【0081】
本発明の注入器20のパワーヘッド22は、ある実施形態では、(1)マニュアルモード、(2)自動注入モード、(3)シリンジサイズ選択モード、及び(4)製造モードの4つの動作モードを含むソフトウェアを含む。パワーヘッド22はまた、適切な注入動作と、注入器が重大な不調の場合にパワーヘッド22が入る安全状態とをチェックするパワーオンセルフテスト(POST)を含む。パワーが印加されると、本発明の注入器20のパワーヘッド22は、マイクロコントローラとシステム資源の初期化を実行する。この初期化後、パワーヘッドソフトウェアは自動的にPOSTを実行させる。パワーヘッド22が全てのPOSTを通過すると、ソフトウェアは製造モードに対してチェックしてもよい。パワーヘッドソフトウェアは、ユーザが容量増加と容量減少を同時に起動すると製造モードに入り、ソフトウェアのバージョン番号が表示される。パワーヘッドソフトウェアがソフトウェアバージョン番号を表示している間に、ユーザがパージ/後退トリガー36を交互に起動すると、ソフトウェアは自動的にマニュアルモードに進む。
【0082】
パワーヘッドソフトウェアは、マイクロコントローラCPUのPOSTを実行するために備えられている。第1自己テストの後、POSTは、プログラムフラッシュプログラム読取り専用メモリ(PROM)の循環冗長性テスト(CRC)、データフラッシュPROMのCRCテスト、全てのデータ及びプログラムRAMのメモリテストを実行してもよい。これらのテストの後、POSTは、本発明の注入器20の動作中に使用されるマイクロコントローラ内にある全ての周辺装置のテストを実行してもよい。次にPOSTは、最小3秒間LED表示器にある全ての桁(digits)とセグメント(segment)を含む全ての視覚的指示器を照明してもよい。さらに、POSTは、+24+/−4ボルト及び+5+/−0.5ボルトの電源の電源電圧をチェックしてもよい。POSTはまた、適切なモータカットアウトリレーの動作をチェックしてもよいし、全てのパージ/後退トリガーセンサ116の較正電圧が+/−0.2ボルト内であるかをチェックしてもよい。POSTはまた外部始動信号がアクティブであるか否かを検出する。POSTが外部始動信号がアクティブであると検出すると、ソフトウェアは、アクティブ外部始動信号を示すコードを表示し、外部始動信号がノンアクティブになるまでPOSTモード内に留まる。
【0083】
POSTが完了すると、本発明の注入器20のパワーヘッド22は遠隔コンソール44にセルフテスト状態を送る。POSTが首尾よく完了すると、パワーヘッドソフトウェアは最小3秒間表示器34に現在のソフトウェアバージョンを表示する。パワーヘッドソフトウェアバージョン番号を表示した後、パワーヘッドソフトウェアはラムホーム検出器50のセンサ140をチェックし、ラム46が完全に後退したことを証明する。センサ140がラム46がホーム位置にないことを表示すると、パワーヘッドソフトウェアはラム46を後退方向にのみ移動させ、同時に7セグメントLED表示器の全ての桁に交互ダッシュ(alternating dashes)を表示する。これらの交互ダッシュはラム46がホーム位置に移動するまで表示し続ける。いずれかのセルフテストが失敗すると、パワーヘッドソフトウェアは安全状態に移行する。
【0084】
簡単に前述したように、パワーヘッドソフトウェアはマニュアルモードを含む。このマニュアルモードでは、ソフトウェアはユーザに注入の容量と流量をプログラムさせる。マニュアルモードに入ると、パワーヘッドソフトウェアは以前にプログラムされた流量と容量を呼び出して表示する。
【0085】
パワーヘッド22のユーザインターフェース30はコントロールパネルキーパッド32を含み、該コントロールパネルキーパッド32は注入容量をプログラムするための容量増加ブッシュボタンと容量減少プッシュボタンを含めてもよい。一つの実施形態では、ユーザが容量増加ボタンを起動し解放すると、パワーヘッドソフトウェアは容量を1ml増加する。ユーザが容量増加ボタンを起動し保持すると、パワーヘッドソフトウェアは0.5秒+/−0.1秒当たり1mlの割合で容量を1ml増加する。ユーザが容量増加ボタンを3秒以上保持すると、パワーヘッドソフトウェアは加速して容量を1ml増加する。ユーザが容量増加ボタンを保持し最大容量に達すると、パワーヘッド22はプログラム容量を最大値に保持し、可聴音を与える。ユーザが容量減少ボタンを保持し最小容量に達すると、パワーヘッド22はプログラム容量を最小値に保持し、可聴音を与える。容量減少ボタンは、プログラム容量を減少する以外は、容量増加ボタンと同様に動作する。125mlのシリンジサイズが選択されると、プログラム容量は125mlから1mlまで変動する。100mlのシリンジサイズが選択されると、プログラム容量は100mlから1mlまで変動する。このプログラム容量はパワーヘッド22用に選択されたシリンジサイズに依存して変更してもよい。パワーヘッドソフトウェアは最大プログラム可能な容量より大きな容量をユーザにプログラムさせない。最大プログラム可能な容量はシリンジサイズ容量又は残容量のいずれか少ない方に決定される。ユーザが最大プログラム可能容量より大きな容量をプログラムしようとすると、パワーヘッドソフトウェアは表示容量を最大プログラム可能値に保持し、可聴音を与える。
【0086】
パワーヘッド22のコントロールパネルキーパッド32は、注入流量をプログラムするために、流量増加プッシュボタンと流量減少プッシュボタンを含めてもよい。一つの実施形態では、ユーザが流量増加ボタンを起動し解放すると、パワーヘッドソフトウェアは流量を0.1ml/s増加する。ユーザが流量増加ボタンを起動し保持すると、パワーヘッドソフトウェアは最初に流量を0.1ml/s増加し、1秒間保持する。ユーザが流量増加ボタンを保持し続けると、パワーヘッドソフトウェアは0.5秒の割合で流量を0.1ml/s増加する。ユーザが流量増加ボタンを4秒以上保持すると、パワーヘッドソフトウェアは加速して流量を1ml増加する。流量減少ボタンは、プログラム流量を減少する以外は、流量増加ボタンと同様に動作する。パワーヘッド22はプログラム流量を6.0ml/sから0.1mlまで変動させる。ユーザが流量増加ボタンを保持し最大流量に達すると、パワーヘッド22はプログラム流量を最大値に保持し、可聴音を与える。ユーザが流量減少ボタンを保持し最小流量に達すると、パワーヘッド22はプログラム流量を最小値に保持し、可聴音を与える。
【0087】
パワーヘッドソフトウェアは、注入器20がマニュアルモードにあり、表示された容量が最大プログアム容量であるときにユーザが容量増加ボタンを起動し3秒以上保持すると、既充填シリンジ選択モードに入る。既充填シリンジ選択モードに入ると、パワーヘッドソフトウェアは、「PF」のような指示信号を低速で流量表示器に継続的に点滅し、また既充填シリンジサイズを容量表示器に点滅することなく表示してもよい。「PF」又は他の指示信号は、注入器20が既充填シリンジ選択モードにあることをユーザに知らせるものである。速い点滅速度は、一つの実施形態では、750msオン、250msオフである。既充填シリンジ選択モードに入ると、パワーヘッドソフトウェアは以前に選択されたシリンジサイズを容量表示器に表示してもよい。パワーヘッドソフトウェアは、ユーザに、容量増加ボタンを起動することにより次のより大きなシリンジサイズに増加させてもよい。シリンジサイズは容量増加ボタンを起動する毎に次のより大きなシリンジサイズに増加してもよい。選択可能なシリンジサイズは50ml、75ml、100ml、125ml及び130mlであってもよい。パワーヘッドソフトウェアはさらに、最大シリンジサイズが表示されたときに、シリンジサイズ増加を無視してもよい。ユーザが容量減少ボタンを起動すれば、パワーヘッドソフトウェアはシリンジサイズを次のより小さなサイズに減少してもよい。シリンジサイズは容量減少ボタンを起動する毎に次のより小さなシリンジサイズに減少してもよい。パワーヘッドソフトウェアは、最小シリンジサイズが表示されたときに、さらなるシリンジサイズに減少を無視してもよい。パワーヘッドソフトウェアは、表示されたシリンジサイズを選択し、シリンジサイズ選択モードから退出し、ユーザが(1)流量増加又は減少プッシュボタンを起動し、(2)スタートプッシュボタンを起動し、(3)パージ/後退トリガー36を起動し、(4)シリンジマウント26を開閉したときに、マニュアルモードに移行してもよい。パワーヘッドソフトウェアはシリンジサイズ選択モードのタイムアウトの特徴を有していてもよく、この特徴では、10秒の非動作の後、ソフトウェアは表示されたシリンジサイズを選択し、マニュアルモードに退出する。シリンジサイズ選択モードから退出すると、ソフトウェアは選択されたシリンジサイズを非揮発性メモリに記憶してもよい。
【0088】
前述したように、パワーヘッド22は、シリンジ28から空気を取り除き、又は注入後にラム46を後退させるときに、ユーザに流量を変更させるパージ/後退トリガー36を含む。パワーヘッドソフトウェアは、パージ/後退トリガー36が排出方向に動作されると、注入器モータを「排出」方向に動作させてもよい。パージ/後退トリガー36が「排出」方向に動作されると、パワーヘッドソフトウェアは流体が1ml排出される毎に容量表示を1ml減少してもよい。パワーヘッドソフトウェアは、パージ/後退トリガー36が後退方向に動作されると、注入器モータを「後退」方向に動作させてもよい。パージ/後退トリガー36が「後退」方向に動作されると、パワーヘッドソフトウェアはラム46が1ml後退する毎に容量表示を1ml増加してもよい。パワーヘッドソフトウェアは、ユーザがトリガー36をそのホーム位置から変位させる距離に比例して、流量を制御してもよい。パワーヘッドソフトウェアは、パージ/後退トリガー36がホーム位置にあるとき、注入器ラム46を移動しないようにしてもよい。
【0089】
パワーヘッドソフトウェは、達成可能な最大流量が、ユーザにプログラムされた流量、又は圧力が限定されているときに許容された流量に限定されるように、パージ/後退トリガー36の範囲を調整してもよい。例えば、ユーザが2.0ml/sの流量をプログラムしていれば、注入器20は、トリガー36が前進方向に完全に係合しているときに2.0ml/sの流量が達成されるように、パージ/後退トリガー36の範囲を調整する。ユーザが3.5ml/sの流量をプログラムしていれば、注入器20は、トリガー36が前進方向に完全に係合しているときに3.5ml/sの流量が達成されるように、パージ/後退トリガー36の範囲を調整する。パージ/後退トリガー36が前進方向に完全に係合しているとき、ソフトウェアは達成可能な最大流量を提供するように注入器モータを制御してもよい。パワーヘッドソフトウェアは表1に示すように流量をパージ/後退トリガー36の位置に関係させてもよい。位置公差は完全係合(fully Engaged)の+/−2%であってもよい。
【0090】
【表1】

【0091】
パワーヘッドソフトウェアは、後退中にパージ/後退トリガー36の範囲を調整してもよい。無負荷後退速度は最小6.0ml/sであってもよい。注入器20がこの最小6.0ml/sで動作されていれば、注入器20は、トリガー36が完全に逆方向に係合しているときに6.0ml/sの流速が達成されるように、パージ/後退トリガー36の範囲を調整する。したがって、トリガー36が完全に逆方向に係合しているとき、ソフトウェアはこの最小流量を提供するように注入器モータを制御してもよい。パージ/後退トリガー36に対する流量の相関は表2に示すようなものでもよい。無負荷後退速度は最小6.0ml/sであってもよい。位置公差は完全係合(fully Engaged)の+/−2%であってもよい。
【0092】
【表2】

【0093】
パワーヘッドソフトウェアは、ラム46がホーム位置に向かって移動する際にカウントアップすることにより容量位置を表示してもよい。パワーヘッドソフトウェアは、以前の0.5秒にわたって平均流量を計算することで、流量を付加的に表示してもよい。ユーザがパージ/後退トリガー36を解放すると、流量表示器はプログラム流量に戻し、容量表示器は最大プログラム可能容量を表示してもよい。パワーヘッドソフトウェアは、逆運動を最初の1mlに対して最大流量1ml/sに制限してもよい。ラム46が20ml以上伸長され、オペレータがパージ/後退トリガー36を逆方向に90%から100%に係合すると、パワーヘッドソフトウェアは後退機能をロックイン(lock in)し、注入器20が後退し続ける間に、オペレータが流量トリガースイッチを解放することができるようにしてもよい。ラム46が20ml以上伸長されない場合、パワーヘッドソフトウェアは後退方向に流量をロックインしなくてもよい。ラム46を後退させるとき、流量がロックインされ、ユーザがパージ/後退トリガー36を起動すると、パワーヘッドソフトウェアはロックインの特徴を外し、パージ/後退トリガー36へモータを制御してもよい。
【0094】
マリンクロッドから商業的に入手可能な既充填シリンジは、ラベル表示のシリンジサイズを越えて3ml余分の造影剤を収容し、ユーザにシリンジ及び配管から空気を排出(purge)させても、注入に有用なラベル表示の完全なシリンジ容量を有するようにしてもよい。例えば、125mlのシリンジは、128mlの造影剤を収容してもよい。ユーザが新しいシリンジ28を注入器20に挿入すると、パワーヘッド22は選択されたラベル表示のシリンジサイズを表示し、容量表示器が減少する前にユーザに3mlまで排出させてもよい。ユーザが3ml以上排出すると、パワーヘッド22は造影剤が1ml排出される毎に容量表示を1ml減少してもよい。
【0095】
パワーヘッドソフトウェアは、次のシーケンスが生じたときに、使用可能状態に入ってもよい。(1)ラム46がホーム位置にあってユーザがシリンジマウント26を開閉し、(2)パワーヘッドソフトウェアが全ての注入開始信号が非アクティブで、パワーヘッド22のスタートスイッチと外部スタート信号を含み、(3)パージ/後退トリガー36で最小1mlをパージ(すなわち排出)し、パージ/後退トリガー36を解放する。使用可能状態に入ると、パワーヘッドソフトウェアは、視覚指示器91を緑のような第1色で照明してもよい。注入器20は、ユーザが注入パラメータを変更すれば使用可能状態のままにしてもよい。注入器20は、ユーザがラム46を5ml以下に後退させると、使用可能状態のままにしてもよい。注入器20が使用可能で、ユーザがラムを5ml以上後退させると、パワーヘッドソフトウェアは注入を不可能にしてもよい。
【0096】
一つの実施形態では、注入が可能で、ユーザがパワーヘッド制御パネルキーパッド32上の始動ボタンを起動したとき、又は注入器20が使用可能で、開始指令を遠隔コンソールから受け取ると、パワーヘッド22はプログラム注入を開始し実行してもよい。注入中、パワーヘッドソフトウェアは、実際の流量が流量性能公差以内であれば、プログラム流量を表示してもよい。注入中、パワーヘッドソフトウェアは、実際の流量が流量性能公差以内でなければ、平均流量を表示してもよい。注入中、パワーヘッドソフトウェアは、プログラム注入の残りの容量を表示してもよい。注入中、パワーヘッドソフトウェアは、3色スペクトルを介して色視覚表示器91を一掃(sweep)し、注入器20ga動作中であることを表示してもよい。
【0097】
注入器20が注入を実行している間に、ユーザがパワーヘッドコントロールパネル又は遠隔コンソール44上の流量、容量及びスタートボタンを起動すると、パワーヘッドソフトウェアは注入を休止してもよい。注入が休止すると、パワーヘッド22はプログラム流量と残りのプログラム流量を表示器上に高速で点滅して可聴音を起動し、また黄色のような第2色で三色LEDのような視覚表示器91を点滅してもよい。例えば、125mlのシリンジの100mlがプログラムされ、75mlが注入された後に注入器20が停止すると、注入器20は残りの容量75mlを表示する。注入器が休止し、ユーザがパージ/起動トリガー36を「後退」方向に起動すると、パワーヘッド22は自動注入モードを無効にし、マニュアルモードに移行してもよい。注入が休止され、ユーザがパージ/後退トリガー36を「排出」方向に起動すると、パワーヘッド22は実際の流量と残りのシリンジ容量を点滅無しで表示し、ラム46が前方に移動している間、色スペクトルを介して視覚表示器91の三色LEDを一掃してもよい。ユーザがパージ/後退トリガー36を解放し、パワーヘッドソフトウェアはプログラム流量と最大プログラム流量を表示し、視覚表示器91の三色LEDを黄色で点滅してもよい。注入が休止し、ユーザが流量又は容量ボタンを起動すると、パワーヘッド22は自動注入モードを無効にし、マニュアルモードに移行してもよい。注入が停止し、ユーザが他の任意のコントロール90又はパージ/後退トリガー36を起動する前にパワーヘッド22又は遠隔コンソール44上の注入開始ボタンを起動すると、パワーヘッドソフトウェアは中止したところから注入を再開してもよい。ユーザが自動注入モードにある間にパージ/後退トリガー36を起動すると、パワーヘッドソフトウェアは注入を中止してもよい。
【0098】
注入が完了すると、パワーヘッドソフトウェアは平均達成流量及び達成容量値をパワーヘッド表示器上で低速で点滅してもよい。低速の点滅の周期は、1.5秒「オン」、0.5秒「オフ」であってもよい。注入が完了すると、パワーヘッドソフトウェアは注入器20を無効にし、視覚表示器の三色LEDをオフしてもよい。
【0099】
注入が完了し、(1)ユーザがパワーヘッド制御パネルキーパッド32又は遠隔コンソール44上の流量増加、流量減少、容量増加、容量減少、スタートコントロール90を起動し、(2)シリンジ28に1ml以上残っている容量があり、(3)ユーザがラム46を後退させなかった後、パワーヘッドソフトウェアは、(1)プログラム流量及び最大プログラム容量を表示し、(2)注入を再び可能にし、(3)視覚表示器91の三色LEDを緑のような第1色に起動する。ユーザがパージ/後退トリガー36を「排出」方向に起動すると、パワーヘッド22は、実際の流量と残りのシリンジ容量を点滅することなく表示し、ラム46が前方に移動している間に、色スペクトルを通して視表示器91の三色LEDを一掃してもよい。
【0100】
ユーザがパージ/後退トリガー36を解放すると、パワーヘッドソフトウェはプログラム流量と最大プログラム可能容量を表示し、視覚表示機の三色LEDを第1色に起動してもよい。注入が完了し、シリンジ28に1ml以下の容量が残った後、パワーヘッドソフトウェアは注入を無効にしてもよい。
【0101】
遠隔コンソール44からパワーヘッドへの外部開始信号は、パワーヘッド22と遠隔コンソール44の間のコンソールインターフェース89の一部である。外部開始信号は、遠隔コンソール44からの注入を開始するために、遠隔コンソール44からの注入開始メッセージと関連して使用される。パワーヘッドソフトウェアは、(1)注入が可能であり、(2)外部開始信号が起動し、(3)遠隔コンソール44からのメッセージが、外部開始信号の起動の500ミリ秒以内にパワーヘッドソフトウェアにより受け入れられた、の条件に合致したとき、外部開始信号からのプログラム注入を開始してもよい。パワーヘッドソフトウェアが外部開始信号起動を検出し、注入器20が使用可能でないなら、パワーヘッドソフトウェアは外部開始信号を無視し、可聴音を起動し、可能にされていない注入用のユーザエラーコードを表示してもよい。パワーヘッドソフトウェアが外部開始信号を検出し、開始メッセージを受け入れない場合、パワーヘッドソフトウェアは自動注入モードを無効にし、注入開始用の注入器20の故障コードを表示してもよい。
【0102】
パワーヘッド22はさらにユーザがシリンジマウント26を開閉したときを検出するセンサを含む。
【0103】
ユーザがシリンジマウント26を開き、パージ/後退トリガー36を排出方向に起動すると、パワーヘッドソフトウェアは、(1)ラム46を排出方向に移動させない、(2)シリンジクランプ開用のユーザエラーコードを表示し、(3)ユーザがパージ/後退トリガー36を解放し又はシリンジマウント26を閉じたときに元の表示を復帰してもよい。
【0104】
パワーヘッドソフトウェアは、注入中に開くシリンジマウント26を検出すると、ソフトウェアは注入を停止し、パワーヘッド表示器34上のシリンジマウント開の注入器故障コードを点滅し、自動注入モードを無効にしてもよい。ユーザがシリンジマウント26を閉じると、パワーヘッドソフトウェアはマニュアルモードに移行し、プログラム流量と最大プログラム可能容量を表示してもよい。
【0105】
パワーヘッドソフトウェアは、注入器モータ電流をシリンジ圧力に相関させてもよい。一つの実施形態では、パワーヘッドソフトウェは、ラム46が前方に移動しているとき、シリンジ圧力が250psiを越えるのを許容する。シリンジ圧力が圧力限度に近づくと、パワーヘッドソフトウェアは注入器の流量を減少し、圧力限度を越えるのを控えてもよい。流量が圧力限度により減少されると、パワーヘッドソフトウェアは、可聴報知器から連続音を与え、注入中に表示器34に高速で流量を点滅してもよい。圧力制限注入が完了すると、パワーヘッドソフトウェアは可聴報知器が鳴るのを停止し、容量を流量を低速で点滅してもよい。ラム46を後退させるとき、パワーヘッドソフトウェアは圧力を制限してもよい。一つの実施形態では、ラム46の後退中の圧力は最大100psiに限定してもよい。
【0106】
遠隔コンソール44は注入開始から注入器ラムが後退するときまでの経過時間を計時するタイマーを含めてもよい。タイマーの目的は、造影剤を注入した後いつ撮像走査を開始するかを決定することにおいてユーザを補助する。パワーヘッド22は、遠隔コンソール44が注入タイマーに表示する注入経過時間情報を含むメッセージを遠隔コンソール44に送信してもよい。パワーヘッド22は、注入器20が最初に可能とされていない限り、タイマーを始動させなくてもよい。
【0107】
ユーザは典型的には注入を動作させる自動注入の特徴を使用することが期待されている。このシナリオでは、ユーザはまず注入器20をパージし、停止する。注入器20はこの時点で可能にされる。次にユーザはパワーヘッド22又は遠隔コントロール44の始動ボタンを使用して注入を開始する。タイマーは始動ボタンが押されたときに計時を開始する。パワーヘッド22は自動注入が開始したときタイマーをリセットしスタートする。注入中、パワーヘッド22は注入経過時間情報とともにメッセージを遠隔コンソール44に送信し、タイマーに表示してもよい。
【0108】
他のシナリオでは、注入器20をパージし使用可能にした後、ユーザは自動注入特徴を使用する代わりにパージ/後退トリガー36を使用することにより注入を「自動的」に実行することができる。このシナリオでは、タイマーは、ラム46が使用可能にされた後、前方に移動するやいなや、計時を開始する。しかしながら、タイマーは最小10mlが停止することなく注入されるまで時間を表示すべきでない。ユーザが10ml以前に注入を停止すると、タイマーはゼロにリセットする。ユーザがパージ/後退トリガー36を用いて注入ラム46を前方に移動させると、パワーヘッド22はタイマーをスタートするが、最小10mlが停止することなく排出されるまで、ダッシュ(dash)を表示するメッセージを遠隔コンソール44に送信する。ユーザがラム46を停止することなく前方に10ml以上移動させると、パワーヘッド22は遠隔コンソール44の経過時間を送信しタイマーに表示する。10mlの造影剤又は他の流体が排出される前にユーザが排出を停止すると、パワーヘッド22はタイマーを停止し、遠隔コンソール44にメッセージを送信し、時間に対するダッシュを表示し続けてもよい。
【0109】
他のシナリオでは、ユーザは自動注入を開始する前に「スカウト(scout)」注入を実行してもよい。このシナリオでは、ユーザはまずパージして注入器20を使用可能にし、そして適切な針設置を立証するために、少量の造影剤又は他の媒体を手動で注入する。適切な針設置が立証される前に、いくらかのスカウト注入を行なってもよい。適切な針設置が立証されると、ユーザはパワーヘッド22又は遠隔コンソール44上のスタートボタンを使用して注入を開始する。このシナリオは、自動又は手動注入に対する上記要求に含まれる。ユーザが10ml以下のスカウト注入を実行すると、タイマー表示器はスタートボタンが押されるまでダッシュを表示したままである。ユーザが10ml以上注入すると、垰マーはスタートし時間を表示するが、ユーザがスタートボタンで注入を開始するとゼロにリセットする。
【0110】
注入が休止されると、パワーヘッド22はタイマーに、動作を継続して遠隔コンソール44に注入経過時間とともにメッセージを送ることを許可してもよい。パワーヘッド22はタイマーを停止し、遠隔コンソール44に、ラム46が5ml以上後退したときにダッシュを表示するようメッセージを送信してもよい。
【0111】
遠隔コンソール44は、ユーザが起動して、遠隔コンソール44及びパワーヘッド22への24ボルト電力を「オン」又は「オフ」する瞬間接触スイッチを含めてもよい。遠隔コンソール44がこの「ソフト」電力スイッチ52の起動を検出すると、パワーヘッド22に24ボルト電力がオフされたというメッセージを送信する。パワーヘッド22が遠隔コンソール44から電力低下メッセージを受信すると、パワーヘッド22は安全状態に移行してもよい。
【0112】
パワーヘッドソフトウェアは、安全状態を含み、注入器故障が検出されるとソフトウェアは安全状態に移行する。安全状態にある間、注入器20は不安全な方法で機能することが禁止される。可能ならば、ラム46がホーム位置に後退し、そしてシリンジ28を注入器20から取り外すことができることが意図されている。安全状態にあるとき、パワーヘッドソフトウェアは注入器ラム46が前方に移動することを許可してもよい。パワーヘッドソフトウェアはユーザがラム46をホーム位置に1ml/sの最大速度で後退させることを許可してもよい。安全状態にある間、パワーヘッドソフトウェアは1秒オン、2秒オフの速度で周期的可聴音を起動してもよい。安全状態にある間、パワーヘッドソフトウェアは検出された注入器故障の故障コードを表示してもよい。1以上の故障が生じると、パワーヘッドソフトウェアはサイクルを繰り返し、各故障コードを少なくとも2秒間表示してもよい。パワーヘッドソフトウェアが安全状態に入ると、電力が回帰(サイクル)するまで安全状態に留まる。パワーオンで実行される自己テストから離れて、パワーヘッドソフトウェアは、ハードウェア部品について実行時間チェックを実行し、安全動作を確認する。
【0113】
ソフトウェアがオン/オフを切り替えるマイクロコントローラI/OラインにLEDを接続してもよく、これにより製造技術者はマイクロコントローラが実行していることを示す視覚的表示器を有する。パワーヘッドソフトウェアは「生きた(alive)]LEDをオンに切り替えてからオフに切り替えてもよく、これにより製造技術者はマイクロコントローラが実行していることを示す視覚的表示器を有する。マイクロコントローラがリセットされると、パワーヘッドソフトウェアはマイクロコントローラ故障コードを表示して、安全状態に移行してもよい。
【0114】
パワーヘッドソフトウェアは、注入を開始した後500ミリ秒内に、+24ボルト電源が+20ボルトと+28ボルトの間であることを証明してもよい。+24ボルト電源が公差範囲外であれば、パワーヘッドソフトウェアはモータを停止して、安全状態に移行してもよい。パワーヘッドソフトウェアは、最小30秒毎に、+5ボルト電源が+4.5ボルトと+5.5ボルトの間であることを証明してもよい。+5ボルト電源が公差範囲外であれば、パワーヘッドソフトウェアは安全状態に移行してもよい。
【0115】
パワーヘッドソフトウェアは、該ソフトウェアがモータを駆動しているときはいつでも、マイクロコントローラがモータエンコーダパルスを受信していることを立証してもよい。パワーヘッドソフトウェアがモータを駆動している100ミリ秒の間にモータエンコーダパルスを検出しなければ、パワーヘッドソフトウェアは安全状態に移行してもよい。
【0116】
パワーヘッド制御パネルキーパッド32は、注入を開始するために1つのプッシュボタンとしてユーザによって起動される2つの注入開始スイッチを含めてもよい。2つのスイッチは、冗長な安全特徴として使用され、悪いスイッチからの間違った開始信号が注入を開始させることを回避する。両開始スイッチがスタートボタンの起動を示し、注入器20が使用可能になると、パワーヘッドソフトウェアは注入器モータを正方向にプログラム値で起動してもよい。注入が完了して1つの開始スイッチが起動すると、パワーヘッドソフトウェアは、両開始スイッチが無効になるまで、(1)注入完了状態のままとし、(2)開始スイッチ故障コードを表示し、(3)ユーザがパージ/後退トリガー36を用いてラム46を後退するのを許可し、(4)ユーザがラム46を前方に移動させるのを許可しない。
【0117】
パワーヘッドモータアセンブリは、パワーヘッドマイクロコントローラに位置情報を与えるエンコーダを含めてもよい。しかしながら、このエンコーダは絶対位置情報を与えない。このため、電力がオフされバックオンすると、エンコーダからの位置情報は失われる。したがって、パワーヘッド22は、ラム46が完全後退位置すなわちホーム位置にあるときを表示するラムホーム検出器50を含む。ラム46が後退され、パワーヘッドソフトウェアがホーム位置に達したことをエンコーダカウントから決定し、ホーム位置検出器46のセンサ140がホーム位置を+/−2ml以内で示さなかったとき、パワーヘッドソフトウェアはモータを停止して安全状態に移行してもよい。ラム46が後退され、ホーム位置検出器50のセンサ140がホーム位置を示したことをパワーヘッドソフトウェアが決定する一方、エンコーダカウントがホーム位置を+/−2ml以内で示さないとき、パワーヘッドソフトウェアはモータを停止して安全状態に移行してもよい。
【0118】
パージ/後退トリガー36は、ユーザがトリガー36をいくら移動したかを検出するセンサ116を含み。センサのゼロ点が公差外に移動すると、ソフトウェアはその移動をパージ/後退トリガー36の起動と判断することができる。パワーヘッドソフトウェアが前方向へのパージ/後退トリガー36の起動を検出すると、ソフトウェアは全てのトリガーセンサ116がトリガー36の前方向への起動を示していることをチェックしてもよい。パワーヘッドソフトウェアが逆方向へのパージ/後退トリガー36の起動を検出すると、ソフトウェアは全てのトリガーセンサ116がトリガー36の逆方向への起動を示していることをチェックしてもよい。パージ/後退トリガーセンサが公差外であれば、パワーヘッドソフトウェアは安全状態に移行してもよい。
【0119】
注入が完了し,非圧力限定注入に対して達成平均流量が公差内にないとき、パワーヘッドソフトウェアは、ユーザがパージ/後退トリガー36又はパワーヘッドコントロール90のいずれかを起動するまで、達成流量と公差故障コード以外の流量の表示を交互にしてもよい。
【0120】
達成容量が所定公差内にない場合、パワーヘッドソフトウェアは、ユーザがパージ/後退トリガー36又はパワーヘッドコントロール90のいずれかを起動するまで、達成容量と公差故障コード以外の容量の表示を交互にしてもよい。
【0121】
一つの実施形態では、パワーヘッドソフトウェアが注入器故障を検出すると、ソフトウェアは「F」のような指示コードを流量表示器に表示し、故障タイプに相当する番号を容量表示器に表示してもよい。特定の実施形態では、故障コードは次のように生成され解釈されてもよい。100桁で故障が生じたサブシステムを表す。100桁中の番号「0」はパワーヘッド22、「1」は遠隔コンソール44(接続されていれば)、「3」はパワーパック38を表す。例えば、故障コード「F004」はパワーヘッドRAMメモリに対するものであり、故障コード「F104」は遠隔コンソール1RAMメモリ故障に対するものである。この特定の実施形態のソフトウェアの故障コードは次の通りである。
FX01 マイクロコントローラCPU故障
FX02 プログラムフラッシュメモリCRC故障
FX03 データフラッシュメモリCRC故障
FX04 RAMメモリ故障
FX05 クワッドタイマー故障
FX06 AIDコンバータ故障
FX07 PWM故障
FX08 割込みコントローラ故障
FX09 クロックPLL故障
FX10 マイクロコントローラウォッチドッグリセット
FX20 +24V電源故障(+24V電源公差外)
FX21 +5V電源故障(+5V電源公差外)
F030 エンコーダ故障(モータが起動したときエンコーダカウントなし)
F031 エンコーダ故障(モータが使用可能でないときにエンコーダカウント検出)
F032 モーターリレー故障(カットアウトリレー故障、リレースタック開又は閉)
F033 モータ故障(モータカバー電流検出)
F034 モータ故障(モータが使用可能でないときに電流検出)
FX40 スタートスイッチ故障(1つ又は両スタートスイッチが動作)
F050 ホームセンサ故障(注入器ラムがホーム位置にあることを動作エンコードが示しているときにホーム位置信号検出なし)
F051 パージ/後退トリガー故障(公差外のゼロ位置)
F060 達成流量公差外
F061 達成容量公差外
F070 パワーヘッド−遠隔コンソール通信故障
F075 遠隔コンソール−パワーパック通信故障
F370 二重指示器インターフェース故障
【0122】
ユーザが危険な方法で注入器20を操作しようとすると、パワーヘッドソフトウェアは「ER」のような指示信号を流量表示器に表示し、エラータイプに相当する番号を容量表示器に表示してもよい。注入器20の一つの実施形態では、これらのコードは次の通りである。
・ER001 注入器が使用不可能であるときにユーザがパワーヘッドから注入を開始しようとした。
・ER002 注入器が使用不可能であるときにユーザが遠隔コンソールから注入を開始しようとした。
・ER003 ユーザがシリンジクランプを解放してラムを移動しようとした。
【0123】
製造モードは、人が診断テストを行い、センサを較正し、バーンインサイクルを実行することを許可してもよい。パワーヘッドソフトウェアは、製造者が診断テストを実行することを許可してもよい。診断テストは、最小限、パワーオン自己テスト中に実行される全てのテストを実行してもよい。パワーヘッド製造モードは次のセンサの較正を許可してもよい。
・パージ/後退トリガーセンサ
・圧力限度
・ラムホーム位置センサ
・シリンジクランプセンサ
パワーヘッドソフトウェアは較正値がインターフェース42,89を介して送出されるのを許可してもよい。
【0124】
製造モードは、パワーヘッドソフトウェアが所定の注入パラメータで連続的に注入を実行している場合、製造者が「バーンインサイクル」サブモードを選択するのを許可してもよい。
【0125】
注入器パワーヘッド22は、ネットワークを介して遠隔コンソール44にインターフェースで接続し、次の情報とともに遠隔コンソール44にメッセージを送信してもよい。
・容量表示器
・流量表示器
・タイマー表示器
・可聴音周波数
・可聴音量
・三色LED赤デューティサイクル
・三色LED青デューティサイクル
・三色LED緑デューティサイクル
【0126】
パワーヘッド22は、事象が生じたとき、又は1秒に最小1回、遠隔コンソール44にメッセージを送信してもよい。パワーヘッド22は次の情報とともに、遠隔コンソール44からメッセージを受信してもよい。
・容量増加/減少ボタン起動状態及び起動期間
・流量増加/減少ボタン起動状態及び起動期間
・注入開始ボタン駆動
・ソフトパワーオフボタン起動
注入器パワーヘッド22は、遠隔コンソール44が接続されたとき、第2システムにインターフェースで接続してもよい。
【0127】
前述したように、本発明の注入器20は遠隔コンソールを含めてもよい。遠隔コンソール44の目的は、撮像制御室のような遠隔地から、パワーヘッド22の状態を制御し表示する方法をユーザに与えることである。遠隔コンソール44は、ユーザがプログラムパラメータをプログラムし又は変更することを許可する。パワーヘッド22は注入に使用可能であるとき、ユーザは遠隔コンソール44から注入器20をスタートし、又は進行中の注入を停止することができる。
【0128】
遠隔コンソール44は「マスタ/スレーブ」アーキテクチュラルデザインに基づいており、該遠隔コンソール44は、パワーヘッド22が手動注入、自動注入、シリンジサイズ選択モードにあるとき、パワーヘッド22に対して「スレーブ」として機能するようになっている。すなわち、遠隔コンソール44は、パワーヘッド22の流量と容量を表示するが、ユーザが当該遠隔コンソール44で入力したものは表示しない。ユーザが遠隔コンソール44から注入パラメータを変更すると、遠隔コンソール44はその変更を反映するメッセージをパワーヘッド22に送信する。パワーヘッド22は変更を実行し、新しい情報とともにメッセージを遠隔コンソール44に返信する。このデザインは、パワーヘッド22が実際に行っているもの以外の何かを、遠隔コンソール44が表示する可能性を減少する。
【0129】
遠隔コンソール44はパワーヘッド22に対して「スレーブ」として機能するソフトウェアを含む。遠隔コンソール44がパワーヘッド接続なしにパワーオンすると、遠隔コンソール44はパワーヘッド−遠隔コンソール通信故障コードを表示する。遠隔コンソール44は、適切な遠隔コンソール動作と重大な注入器異常に対する安全状態のためのチェックを行うパワーオン自己テスト(POST)を有する。電力が印加されると、遠隔コンソール44は、マイクロコントローラとシステム資源の初期化を実行する。初期化後、遠隔コンソールソフトウェアはPOSTを走らせる。
【0130】
次に、POSTはプログラムフラッシュメモリとデータフラッシュメモリのCRCテストを実行する。そしてPOSTは全てのデータとプログラムRAMのメモリテストを実行する。次にPOSTは、遠隔コンソール44の動作中に使用されるマイクロコントローラの内部に全てのマイクロコントローラ周辺装置のチェックを実行する。遠隔コンソール44POSTは、遠隔コンソールパワーパックインターフェースを越える状態情報を送るために二重注入器インターフェースにメッセージを送信することにより、二重注入器インターフェース通信動作をチェックする。遠隔コンソール44が二重注入器インターフェースから応答を受信しない場合、通信テストを落とす。POSTは、+24電源40に+24VDC+/−4ボルトの適切な供給電圧があるか、また+5電源40に+5VDC+/−0.5ボルトの適切な供給電圧があるかをチェックする。POSTは最小3秒間、7セグメントLED表示器にある全ての桁及びセグメントを含む視覚表示器を照明する。POSTは最小500ミリ秒間、可聴報知器を起動してもよい。
【0131】
POSTの首尾よく完了すると、遠隔コンソールソフトウェアは、最小3秒間、現在のソフトウェアバージョンをLED表示器に表示してもよい。自己テストを通過すると、遠隔コンソール44は製造モードに対するチェックを行ってもよい。遠隔コンソール44は、POST完了後3秒以内にユーザが容量増加及び容量減少を同時に起動した場合にのみ、製造モードに入る。遠隔コンソールソフトウェアが製造モードをチェックしている間にユーザが他のボタンを起動すれば、ソフトウェアは製造モードチェックをスキップし、動作モードを進行する。いずれかの自己テストに落ちると、遠隔コンソール44は安全状態に移行する。
【0132】
遠隔コンソール44はパワーヘッド22から流量情報とともにメッセージを受信し、該流量情報を遠隔コンソール流量表示器に表示してもよい。遠隔コンソール44はパワーヘッド22から容量情報とともにメッセージを受信し、該容量情報を遠隔コンソール容量表示器に表示してもよい。パワーヘッド22が遠隔コンソールソフトウェアにメッセージを送信して注入LEDを表示すると、遠隔コンソール44は遠隔コンソール44上の注入LEDを照明する。パワーヘッド22が能動エラーコードをとともにメッセージを送信すると、遠隔コンソール44は、500ミリ秒オン、200ミリ秒オフで、エラーコードを点滅してもよい。パワーヘッド22が能動エラーコードとともにメッセージを送信すると、遠隔コンソール44は、1秒オン、1秒オフで、3回、可聴音を起動してもよい。遠隔コンソールソフトウェアは、任意の遠隔コンソールコントロールボタン起動をパワーヘッドに送信してもよい。コントロール90は、流量増加、流量減少、容量増加、容量減少、注入開始ボタンを含めてもよいが、これらに限られない。
【0133】
遠隔コンソール44は、有効な注入を開始するための1つの注入開始プッシュボタンとしてユーザによって起動される少なくとも2つの注入スイッチ含めてもよい。2つのスイッチは、悪いスイッチからの誤ったスタート信号で注入が開始されるのを回避する冗長な安全特徴として使用される。ユーザが注入開始ボタンを起動したとき、遠隔コンソール44は注入開始メッセージをパワーヘッド22に送信する。ユーザが注入開始ボタンを起動すると、遠隔コンソールソフトウェアは、(1)両注入スイッチが起動され、(2)両注入スイッチが最後の起動以来、非能動状態に移行していたこをと確認する。確認の後、遠隔コンソールソフトウェアは注入開始メッセージをパワーヘッド22に送信する。
【0134】
ユーザが容量増加ボタンを起動すると、遠隔コンソールソフトウェアはパワーヘッド22に容量増加ボタン起動を示すメッセージを送信してもよい。ユーザが容量増加ボタンを解放すると、遠隔コンソールソフトウェアは容量増加ボタンが解除されたことを示すメッセージをパワーヘッド22に送信してもよい。容量減少ボタンは、容量減少ボタンが起動又は解除されたときに遠隔コンソール44がパワーヘッドにメッセージを送信することを除いて、容量増加ボタンと同様に動作してもよい。
【0135】
ユーザが流量増加ボタンを起動すると、遠隔コンソールソフトウェアはパワーヘッド22に流量増加ボタン起動を示すメッセージを送信してもよい。ユーザが流量増加ボタンを解放すると、遠隔コンソールソフトウェアは流量増加ボタンが解除されたことを示すメッセージをパワーヘッド22に送信してもよい。流量減少ボタンは、流量減少ボタンが起動又は解除されたときに遠隔コンソール44がパワーヘッドにメッセージを送信することを除いて、流量増加ボタンと同様に動作してもよい。
【0136】
遠隔コンソールソフトウェアは、パワーヘッド22が「PF」を表示するメッセージを送信すると流量表示器に「PF」のような指示器を表示し点滅させてもよい。「PF」指示器は、注入器20が既充填シリンジ選択モードにあることをユーザに伝える。遠隔コンソール44はパワーヘッド22から送信された割合で「PF」を点滅させてもよい。
【0137】
ソフトウェアがオン/オフを切り替えるようにマイクロコントローラI/OラインにLED視覚表示器を接続してもよく、これにより製造技術者はマイクロコンピュータが実行していることを示す視覚表示器を有する。遠隔コンソールソフトウェアは「生きた(alive)]LEDをオンに切り替えてからオフに切り替えてもよく、これにより製造技術者はマイクロコントローラが実行していることを示す視覚的表示器を有する。
【0138】
遠隔コンソールソフトウェアは、パワーヘッド22から受信したメッセージにより、三色LED視覚表示器の状態を制御してもよい。三色LED視覚表示器の状態は、緑、黄、赤、青、白、色一掃、ブランク(照明なし)であってもよい。
【0139】
いくつかの撮像プロトコルは、撮像走査を開始する前に、秒の遅延を必要とし、他のプロトコルは、分の遅延を必要としてもよい。遠隔コンソール44はタイマーを含み、造影剤を注入する前に撮像走査を開始するときを決定することにおいてユーザを支援するタイマーを含む。遠隔コンソール44は、注入の開始から注入器ラムが後退するときまでの経過時間を計時するタイマーを含めてもよい。遠隔コンソール44がオンでタイマーが計時していないとき、タイマーは、分、10秒、秒で、7セグメントLED表示器にダッシュを表示する(例えば、「-:--」)。遠隔コンソール44は経過時間を分と秒の間にコロンマークを有する分と秒のフォーマットで表示してもよい。遠隔コンソールタイマーは、0分0秒(0:00)から19分59秒(19;59)まで変化させてもよい。タイマーが10秒以下であれば、遠隔コンソール44は、10分の桁をブランクにしてもよい(例えば、9:59)。タイマーが1秒以下であれば、遠隔コンソール44は分の桁をゼロで表示してもよい(例えば、0:09)。
【0140】
遠隔コンソール44がパワーヘッド22からタイマーをスタートするメッセージを受信すると、遠隔コンソール44は時間をゼロにリセットし、計時をスタートしてもよい。遠隔コンソール44は、パワーヘッド22が時間を表示するメッセージを遠隔コンソール44に送信するまで、ダッシュを表示し続けてもよい。
【0141】
遠隔コンソール44がパワーヘッド22からタイマーを停止するメッセージを受信すると、遠隔コンソール44はタイマーを停止して、ダッシュを表示してもよい。タイマーが19分59秒(19:59)に達すると、タイマーは19分59秒にタイマーを保持し、時間表示を高速で点滅してもよい。
【0142】
遠隔コンソール4はさらに、ユーザが遠隔コンソール44とパワーヘッド22への24ボルト電源をオン又はオフするよう起動することができる瞬間接触スイッチを含む。ソフトパワースイッチ52は電源に接続されていないが、遠隔コンソール44内のマイクロプロセッサI/Oラインに接続されている。遠隔コンソール44がパワーアップされると、マイクロプロセッサはユーザがソフトパワースイッチ52を切り替えてパワーオフしたことを検出することができる。次に、遠隔コンソール44は、遠隔コンソール−パワーパックインターフェースを越えて、24ボルト電源をオフするメッセージを送る。遠隔コンソール44がパワーオフされると、マイクロコンプレッサはユーザスイッチ起動を検出することができない。しかし、パワーパック38内のハードウェア回路は、遠隔コンソール44とパワーパック38の間のハードウェア信号を介してスイッチ起動を検出することができる。この手順の間、電源はパワーパック38内でオンに維持する。検出回路は、遠隔コンソール44及びパワーヘッド22への24ボルト電源をオンに切り替える。
【0143】
遠隔コンソール44がパワーオンされ、ユーザがソフトパワーオン/オフスイッチ24を起動すると、遠隔コンソール44は遠隔コンソール−パワーパックインターフェースを越えて、パワーヘッド22及び遠隔コンソール44への24ボルト電源を遮断するメッセージを送信してもよい。遠隔コンソール44は、ユーザがソフトパワースイッチ52を解放したときからパワーオフメッセージがコンソール−パワーパックインターフェースを越えて送信されるまで、最小20ミリ秒遅延させてもよい。遠隔コンソール44がパワーオンされ、ユーザがソフトパワーオン/オフスイッチ52を起動したとき、遠隔コンソール44はパワーヘッド−遠隔コンソールインターフェースを越えて、24ボルト電源が遮断されたというメッセージをパワーヘッド22に送信してもよい。ソフトパワーオン/オフ特徴は、遠隔コンソールPOSTが完了する前は動作していなくてよい。ソフトパワーオン/オフ特徴は、注入器20が同じモードである間、機能していてもよい。これは、ソフトパワーオン/オフに対する関連ハードウェアが機能していないことを仮定している。
【0144】
遠隔コンソール44はパワーヘッド22との通信故障を検出すると、遠隔コンソール44はパワーヘッド22と通信するように繰り返し試みてもよい。5秒後、繰り返しの試みが失敗すると、遠隔コンソール44は通信故障を表示し、安全状態に移行してもよい。
【0145】
遠隔コンソール44はパワーヘッド22から送信される注入器20の故障を表示してもよい。さらに、遠隔コンソール44は、パワーヘッド22から送信される注入器20のユーザエラーコードを表示してもよい。
【0146】
遠隔コンソールソフトウェアは、遠隔コンソール故障が検出されるとソフトウェアが移行する安全状態を含めてもよい。この安全状態にある間、遠隔コンソール44は、危険な方法で機能するのが禁止される。この安全状態になると、ソフトウェアは、電源が遠隔コンソール44に印加されている限り、安全状態から出なくてよい。安全状態にある間、ソフトウェアはパワーヘッド22と通信しなくてよい。安全状態にある間、遠隔コンソールソフトウェアは、全ての二重注入器20リレー出力を無効にするメッセージをパワーパック38に送信してもよい。安全状態にある間、遠隔コンソールソフトウェアは検出された遠隔コンソール故障の故障コードを表示してもよい。
【0147】
本発明の注入器20は、二重注入器インターフェースを介して第2注入器20’を互いに接続する能力を有していてもよい。第2注入器20’は、携帯してもよいし、壁、床、天井に取り付けてもよい。インターフェース42は、2つの注入器がタンデムに作動し、背中合わせの注入を提供することを許可してもよい。2つの注入器の典型的な使用は、第1注入器20が塩水を供給した後、第2注入器20’が造影剤を供給する「塩水押込み」を含む。
【0148】
二重注入器インターフェースはパワーパック38内に配置されている。パワーパック38をパワーヘッド22に接続するケーブルが二重注入器インターフェースと直接通信する如何なるスペア信号も含まないので、遠隔コンソール44は二重注入器インターフェースとパワーヘッド22との間のリンクとして機能する。したがって、遠隔コンソール44は遠隔コンソール−パワーパックインターフェースを含む。遠隔コンソール44は、遠隔コンソール−パワーパックインターフェースを介して二重注入器インターフェースの状態をポール(poll)する。
【0149】
遠隔コンソール44がパワーヘッド22から二重注入器形態のチェックを行うためのメッセージを受信すると、遠隔コンソール44は、遠隔コンソール−パワーパックを介して二重注入器インターフェースに問い合わせしてもよい。他の注入器が二重注入器インターフェースに接続され、他の注入器が使用不可能であれば、遠隔コンソール44は、該遠隔コンソール44に接続されたパワーヘッド22に情報を送信してもよい。
【0150】
遠隔コンソール44は内部に非揮発性メモリを有するマイクロプロセッサを含み、ソフトウェアプログラムやデータコンテンツを記憶している。製造業者は非揮発性プログラムやデータメモリのコンテンツを更新し又は変更する必要がある。製造モードソフトウェアは、製造技術者がマイクロプロセッサ内の非揮発性プログラムやデータメモリのコンテンツを再プログラムすることを許可する。
【0151】
さらなる利点及び修正は当業者に明らかである。したがって本発明は特定の細部、代表的な装置及び方法、図示された実施例に限定されない。したがって、出願人の一般的発明概念の範囲又は精神から逸脱することなく、そのような細部から離脱してもよい。
【符号の説明】
【0152】
20 注入器
26 シリンジマウント
28 シリンジ
36 パージ/後退トリガー
46 駆動ラム
48 シリンジクレードル
90 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される注入器。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−373(P2010−373A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190544(P2009−190544)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【分割の表示】特願2004−526133(P2004−526133)の分割
【原出願日】平成15年7月21日(2003.7.21)
【出願人】(591178621)リーベル−フラーシャイム カンパニー (16)
【Fターム(参考)】