注射器用キャップ付きの放射性医薬容器
本発明は、注射針とこれを保護するシリンジキャップを有する放射線医薬注射器を保持する放射線遮蔽容器を少なくとも態様の一つとする。前記放射線遮蔽容器は、シリンジキャップを選択的に保持するキャップ保持部を有することを特徴とする。シリンジキャップは、キャップ保持部に保持され、前記シリンジキャップに前記注射針を挿入できる位置に前記シリンジキャップの開口端部を配置する。放射性医薬注射器は、患者に放射性医薬が投与されることで、使用済み放射性注射器となる。使用済み放射性医薬注射器の皮下注射針は、シリンジキャップを放射性医薬注射器に固定するために、キャップ保持部に保持された状態のシリンジキャップに挿入される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針刺し損傷の可能性の低減、特に、放射性医薬注射器の注射針の再キャップ時に医療従事者が引き起こす針刺し損傷の危険性を低減する構成及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
針刺し防止法及び労働安全衛生局(OSHA)の規定では、不注意による針刺し損傷の危険性を低減する対策を講じる組織の設置が求められている。針付きの注射器には、通常、針カバー及び針刺し損傷防止用のプラスチック製キャップが設けられている。注射器を使用する場合には、キャップを取り外して鋭利な注射針を露出させることになる。注射器使用後の注射針については、注射針による突き刺しで病原菌の血液感染を招くことがないように処理されなければならない。前記の血液感染を防止する手段の一つは、使用済みの注射針に再キャップをすることである。一方の手でキャップを把持しながら他方の手で注射針をキャップの内部に案内することは、キャップを把持した手が針刺し損傷の危険に偶発的にさらされることになる。このため、上記のような方法で注射針に再キャップをすることは、一般的にも好ましい方法とは言えない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
安全注射器及び使い捨て容器には、針刺し損傷の危険性を低減する構成が設けられていることが多い。使い捨て式の構成の一つとして、穿刺抵抗材製の単一容器で使用済みの注射器を複数保持するものがある。このような構成には、以下の問題点がある。使用するものが放射性医薬品である場合に、容器自体が放射線を遮蔽するものでなければ、放射性医薬品の放射能が残留した使用済み注射器を保持することができない。複数の使い捨て注射器の収納が可能な容器では、使い捨て注射器がすでに複数収納された状態で注射器を処分する場合には、突き刺しのおそれがないようにきめ細かな設計が必要とされる。穿刺抵抗の注射器容器には、前記構成と異なる構成のものがある。前記構成では、注射器ごとに部材(すなわち、容器)が増えて行き、注射器の使用後に医療従事者によって処理されることになる。容器が放射性医薬に使用される場合、容器は放射線遮蔽具の内側に設けられなければならない。放射線遮蔽具は、容器と注射器を収納する程度の大きさで構成される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様の一つは、放射性医薬注射器の再キャップ時の安全性を向上させるように構成された放射性医薬容器に関する。前記放射性医薬容器は、注射針とこれを保護するシリンジキャップを有する放射性医薬注射器を収納するように構成される。前記放射性医薬容器は、放射性医薬注射器の放射性医薬より生じる放射線を遮蔽するように構成される。前記放射性医薬容器の第1収納部は、第2収納部と着脱可能に連結され、注射器を内部に封入する。例えば、第1収納部をベース部とし、第2収納部を前記ベース部に着脱可能に連結(例えば、螺合、摩擦固定又はその他の手段で固定)される蓋部としてもよい。放射性医薬は、注射針の使用後にキャップの開口端部を放射性医薬注射針が挿入できる位置にシリンジキャップを選択的に保持(例えば、一時的に保持)するキャップ保持部を有する。例えば、シリンジキャップとキャップ保持部を、バイオネット嵌合と螺合の両方又はいずれか一方の手段で連結されるように構成し、キャップ保持部によるシリンジキャップの選択的な保持を容易にしてもよい。あるいは、シリンジキャップとキャップ保持部を、スナップ式で連結するように構成し、キャップ保持部によるシリンジキャップの選択的な保持を容易にしてもよい。これにより、シリンジキャップに注射針を挿入する際にシリンジキャップを把持しなくても、放射性医薬注射器の注射針を再キャップすることができる。
【0005】
本発明の別の態様は、放射性医薬注射器容器の少なくとも一部を使用して、皮下注射針を有する放射性医薬注射器をキャップする方法に関する。前記放射性医薬容器の第1収納部は、第2収納部と着脱可能に連結され、前記第1収納部と第2収納部とで注射器を収納する空間を密閉する。シリンジキャップは、放射性医薬容器の一部に設けられたキャップ保持部と嵌合して、キャップ保持部に保持される。放射性医薬注射器は、患者に放射性医薬を投与するのに使用されることで、放射性医薬注射器を使用済み状態とする。放射性医薬注射器の皮下注射針は、シリンジキャップを放射性医薬注射器に固定するために、キャップ保持部に保持された状態のシリンジキャップに挿入される。本発明の態様の範囲にある工程に従えば、放射性医薬容器又はシリンジキャップのいずれかを把持しなくても、使用済み放射性医薬注射器の注射針をシリンジキャップに挿入することができる。これにより、針刺し損傷の危険性を低減することが可能である。
【0006】
本発明の態様に関連させて上述した多くの特徴に対し、様々な修正が存在する。これらの特徴も、本発明の上記態様に含まれる。これらの修正および追加の特徴は、独立し、またはいずれかとの組み合わせにおいて存在する。例えば、1または2以上の図示した実施形態と関連して以下に説明する様々な特徴は、単独で、あるいはいずれかとの組み合わせにおいて、本発明の態様に組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図面の中で同一である部分については、同一の参照符号を付している。
【0008】
参照図面のうち、図1〜図3の放射性医薬容器は、参照符号101で示されている。この種の放射性医薬容器は、遮蔽具としては公知のものである。下記の記述の他に、放射性医薬容器101は、放射線遮蔽構造を有する。放射性医薬容器101は、上方収納部(第1収納部)103と下方収納部(第2収納部)105とを備える。上方収納部103と下方収納部105は、相互に離脱可能に連結されることで、中空部109内に放射性医薬注射器107を封入する(図2)。放射性医薬容器101については、本発明の範囲内であれば、部品点数と部品の配置の両方又はいずれか一方を変更してもよい。各図に示すように、上方収納部103は、略管状に構成され、上方閉塞端部113と下方開口端部115とを有する。下方収納部105は、略管状に構成され、下方閉塞端部117と上方開口端部119とを有する。上方収納部103と下方収納部105とが相互に連結されると、上方収納部103の下方開口端部115が、下方収納部105の上方開口端部119と同一直線上に位置し、上方収納部103と下方収納部105とが一体となって、放射性医薬注射器107を封入するための中空部109を規定する。図示の放射性医薬注射器107には、1回分の放射性医薬液が充填されている。放射性医薬容器101は、一般的に、(例えば、放射性医薬品の搬送時における)放射線を遮蔽して周囲の環境を保護するのに使用される。放射性医薬容器101の上方収納部103と下方収納部105は、一つ以上の遮蔽物質(例えば、鉛、タングステン、劣化ウラン、タングステン含有プラスチック等)を含有し、注射器107を封入すると、放射性医薬品から放出される放射線を遮蔽して周囲の環境を実質的に保護することができるものである。例えば、上方収納部103は、ポリマー被覆材103bで覆われた遮蔽部材103aを備えていてもよい。同様に、下方収納部105は、ポリマー被覆材105bで覆われた遮蔽部材105aを備えていてもよい。ポリマー被覆材103b,105bで覆われた遮蔽部材103a,105aは、共有の米国特許出願10/527,301号(米国特許公開番号:20050224730)に詳述された通りのものであり、その内容は前記米国特許出願10/527,301号を参照することで本明細書に組み入れられる。一方、他の構成の放射性医薬容器101としては、固体状の遮蔽材からなるもの、シェル状部材(例えば、ポリマーシェル)に遮蔽材を含有させたもの、遮蔽材の内側をライナー(例えば、プラスチックライナー)で裏打ちしたもの、遮蔽材を本体全体にほぼ均一に分散させたもの等が挙げられるが、これらも本発明の範囲内に含まれるものである。
【0009】
図2の放射性医薬注射器107には、皮下注射針125が取り付けられている。図2に示す皮下注射針125は、シリンジキャップ127(例えば、少なくとも皮下注射針125の先端を覆うように構成された保護用被覆材)内に収納されている。シリンジキャップ127は、放射性医薬注射器107の注射器本体129に螺合されている。図示のシリンジキャップ127は透明なキャップとして構成されているが、本発明の範囲を逸脱するものでない限り、半透明なキャップ、不透明なキャップ、又は透明、半透明及び不透明が組み合わされたキャップとして構成されていてもよい。図1〜図3のシリンジキャップ127は、公知の構成のシリンジキャップである。放射性医薬容器101は、キャップ保持部131を備える。キャップ保持部131は、シリンジキャップ127の少なくとも一部を収納し、皮下注射針125の開口端部133への再挿入が可能な位置にシリンジキャップ127を全体的に少なくとも保持する。これにより、キャップ保持部131を後述の方法で使用することで、(例えば、皮下注射針125の使用後に)シリンジキャップ127による皮下注射針125の再キャップが容易となり、皮下注射針125のキャップの際にシリンジキャップ127を把持する必要がない。キャップ保持部131は、放射性医薬容器101の上方収納部103の外面部137の内部に規定された空洞部135として表されている。キャップ保持部131の大きさと形状は、例えば図3に示すように、シリンジキャップ127の閉塞端部139を収納するように構成される。シリンジキャップ127の閉塞端部139が空洞部135内に収納されると、キャップ保持部131がシリンジキャップ127を全体的に最低限保持し、シリンジキャップ127が放射性医薬容器101の上方閉塞端部から外方に突出して、放射性医薬注射器107の皮下注射針125を収納できるようにシリンジキャップ127の開口端部133を露出させる。図示の実施形態では、キャップ保持部131は、放射性医薬容器101の上方収納部103の上端113中央に形成されているが、本発明の範囲を逸脱するものでなければ、他の位置に形成されていてもよい。例えば、キャップ保持部131は放射性医薬容器101に一体的に形成される必要はなく、放射性医薬容器101に固定する着脱式の部材であってもよい。図示の空洞部135は円錐状に構成されているが、一端又は両端が開口した円筒状の空洞又は溝状の空洞(断面形状がC字状の溝)等のように、異なる形状に構成してもよい。
【0010】
キャップ保持部131を、放射性医薬容器101の自立構造部(放射性医薬容器101の一部を支持面の固定位置に起立した状態に維持できるように構成したもの)で支持し、キャップ保持部131が、前記自立構造部によってシリンジキャップ127を収納する位置に配置されるようにしてもよい。前記構成は、再キャップ時において放射性医薬容器101を把持する必要のない好ましい手段となる。キャップ保持部131は、例えば図3に示すように、放射性医薬容器101の上方収納部103に支持されてもよい。放射性医薬容器101の上方収納部103は、テーブル等に設置した際にキャップ保持部131の開口端部を使用者が容易に利用できる位置(例えば、開口端部が上向きとなる位置)にキャップ保持部131を配置するように構成される。キャップ保持部131を支持する放射性医薬容器101の自立構造部は、放射性医薬容器101を把持しなくても皮下注射針125を容易に再キャップできるように構成される。図示の実施形態では、例えば、放射性医薬容器101の上方収納部103は、放射性医薬注射器107にシリンジキャップ127を取り付けるのに必要な力を上回る重さである。同様に、放射性医薬容器101の上方収納部103の全質量と(図3に図式的に示した)重心130を、放射性医薬容器101の傾ける力がシリンジキャップ127を放射性医薬注射器107に取り付ける力よりも大きくなるように構成する。さらに、放射性医薬容器101の上方収納部103は、取り付けに必要な力が支持面に対して垂直に加わるように、キャップ保持部131を特定の位置(傾斜した位置又は図3に示す垂直な位置)に配置する。例えば図2に示すように、放射性医薬容器101の自立構造部(例えば、上方収納部103)は、縦軸A1を備えるとともに、キャップ保持部131は、放射性医薬品容器101の縦軸と略平行な(例えば、前記軸と一致した)縦軸A2を備える。上記のような特徴により、上方収納部103は傾き難く、再キャップの際に力が加わっても支持面に沿って移動する。このため、上方収納部103を把持しなくても、再キャップすることが容易となる。図示の実施形態では、キャップ保持部131は放射性医薬品容器101の上方収納部103に設けられているけれども、本発明の範囲を逸脱するものでなければ、キャップ保持部131は他の自立構造式の容器部に設けられていてもよい。他の実施形態として、支持面(例えば、テーブル)に適合するように構成された放射性医薬容器101の上方収納部103は、再キャップ時の移動を防止するグリップ機能又は滑り止め機能を備える。例えば、上方収納部103の接触面に、凹凸を形成したり、グリップ材又は滑り止め材を用いたりする(例えば、グリップ材又は滑り止め材で被覆する)。
【0011】
一回分の放射性医薬が充填された放射性医薬注射器107を収納するために、放射性医薬容器101を使用する。皮下注射針125の先端は、少なくともシリンジキャップ127に封入されている。一回分の放射性医薬が充填された放射性医薬注射器107は、公知のバイオネット係合を用いて上方収納部103と下方収納部105とを相互に固定することで、放射性医薬容器101の中空部109に収納される。放射性医薬容器101とこの内部に収納された医薬充填済みの放射性医薬注射器107は、医療施設に搬送される。放射性医薬容器101は、放射性医薬から放出される放射線が(例えば、輸送時に)外部に漏れるのを禁止する。
【0012】
医療施設において、放射性医薬容器101を開封し、放射性医薬注射器107を前記容器から取り出す。下方開口端部115を下方に向けた状態にして放射性医薬容器101の上方収納部103を平坦面141(例えば、テーブルの上面)に置く。シリンジキャップ127を放射性医薬注射器107から取り外し、シリンジキャップ127の閉塞端部139を、放射性医薬容器101の上方収納部103の上方閉塞端部113に設けられたキャップ保持部131に嵌合させる(例えば、空洞部135に挿入する)。シリンジキャップ127が放射性医薬注射器107に取り付けられた状態で、シリンジキャップ127の閉塞端部139は、キャップ保持部131の空洞部135に挿入される。このため、キャップ保持部131は、シリンジキャップ127の離脱作業を補助するものとして使用される。このキャップ保持部131は、開口端部133を露出させる位置にシリンジキャップ127を保持し、シリンジキャップ127に皮下注射針125を収納できる状態にする。
【0013】
放射性医薬注射器107は、放射性医薬を患者に投与するのに用いられるものであり、通常、皮下注射を行うと、いわゆる「使用済み」の状態となる。その結果、皮下注射針125は、血液感染性の病原菌に潜在的に汚染されることになり、関連法令及び産業上の安全基準に基づいて処理される必要がある。前記法令及び安全基準では、シリンジキャップ127を把持して皮下注射針125に再キャップをすることが禁止されている。その理由は、再キャップの作業中に針刺し事故を引き起こす危険性があるからである。しかしながら、本発明の実施形態においては、シリンジキャップ127を保持するのは、キャップ保持部131であり、人間の手ではない。このため、医療従事者は、シリンジキャップ127を一方の手で把持しながら他方の手ではシリンジキャップ127を把持せずに、使用済み放射性医薬注射器107の皮下注射針125の先端をシリンジキャップ127に挿入して、シリンジキャップ127を放射性医薬注射器107に取り付けることができる。皮下注射針125はシリンジキャップ127に向かって移動するだけであるので、他方の手が皮下注射針125の先端の軌道に位置することがない。さらに、再キャップの作業をする場合には、キャップ保持部131は、把持する必要のない放射性医薬容器101の自立構造部(例えば、自立する上方収納部103)に支持されるのが好ましい。これにより、一方の手のみを使って再キャップをすることが可能となる。
【0014】
次に、再キャップされた使用済み放射性医薬注射器107は、放射性医薬容器101の中空部109に再封入され、(例えば、放射性医薬注射器107に残った放射性医薬品による)放射性廃棄物と(例えば、使用済み放射性医薬注射器107の皮下注射針125に残った血液による)生物学的な汚染のある廃棄物の両方を処理できるごみ処理施設に輸送される。放射性医薬容器101を使わずに皮下注射針125のキャップを取り外し、再キャップ時には放射性医薬容器101のキャップ保持部131を利用する。
【0015】
参照符号201で示す放射性医薬容器の別の実施形態は、図4〜図6に表されている。放射性医薬容器201は、上方収納部203と下方収納部205とを備える。上方収納部203と下方収納部205は、相互に離脱可能に連結され、図1〜図3に示す放射性医薬容器101と同様の方法で一回分の放射性医薬が充填された放射性医薬注射器107を封入する。上方収納部203と下方収納部205は、前記放射性医薬容器101と同様に、遮蔽物質を含有する。例えば、図6の上方収納部203は、シェル材203bに覆われた遮蔽材203aを備える。上方収納部203は、略管状に構成され、上方閉塞端部213と下方開口端部215とを備え、かかる点について言えば、図1〜図3に示す上方収納部103と多少類似するものである。上方収納部203は、断面形状が円形に構成された内側壁211を備える。しかしながら、103の上方収納部とは異なり、上方収納部203の外側壁212は、略三角柱状に構成されている。放射性医薬容器201の上方収納部203は、頂角部221が、これらの間に位置する中点部222よりも厚く構成されている。
【0016】
放射性医薬容器201は、複数(少なくとも2つ)のキャップ保持部231を備える。キャップ保持部231は、形成位置を除けば、図1〜図3に示すキャップ保持部131と同様の構成である。例えば、図示の放射性医薬容器201は、上方収納部203の下方開口端部215の周りに放射状に配置された3つのキャップ保持部231を備える(図5)。図6に示すように、各キャップ保持部231は、上方収納部203に規定された空洞部235を備える。空洞部235を、上方収納部203の厚みを大きくした柱状の外側壁212の各頂角部221に設けることにより、放射線の遮蔽機能の低下に関する問題を緩和する。
【0017】
空洞部235の大きさと形状は、シリンジキャップ127の閉塞端部139を収納するように構成される。図6には、空洞部235の開口端部245の一つが表されている。空洞部235の開口端部245は、上方収納部203が放射性医薬容器201の下方収納部205に取り付けられると、下方収納部205と対向する。さらに、本実施形態に係る図
の放射性医薬容器201の上方収納部203と下方収納部205が相互に連結されると、空洞部235の開口端部245が放射性医薬容器201内に封入される。別の態様として、空洞部235(例えば、円錐状と溝状の両方又はいずれか一方に構成された空洞部)は、柱状の外壁部212の1つ以上の頂角部221に設け、上方収納部203と下方収納部205が相互に連結された状態でも放射性医薬容器201の外部から該空洞部235の開口端部を利用できるように構成する。
【0018】
放射性医薬容器201の上方収納部203は、自立可能な構造で構成される。上方収納部203は、101の前記放射性医薬容器の上方収納部103と実質的に同様の方法でキャップ保持部231を支持する(例えば、空洞部235の開口端部245を上向きにした状態にする)ように構成される。
【0019】
放射性医薬容器201は、下記の点を除き、101の放射性医薬容器と同様の方法で使用される。放射性医薬容器201を開封すると、閉塞端部213を下方に向けて上方収納部203を平坦面141に置く。これにより、キャップ保持部231の空洞部235の開口端部245は上方に向き、キャップ保持部の開口端部を利用するのが容易となる。さらに、平坦面141と接触する上方収納部203の閉塞端部の外表面は、対向する開口端部215よりも小さい寸法で構成されたものとして表されている。しかしながら、平坦面141と接触する上方収納部203の閉塞端部の外表面は、対向する開口端部215よりも大きい又は実質的に同一の寸法で構成されてもよい。101の前記放射性医薬容器のキャップ保持部131と実質的に同様の方法でキャップ保持部231の一つを用い、使用済み放射性医薬注射器107の皮下注射針125をキャップする。仮に放射性物質又は生物学的な汚染物質がキャップの装着中又は離脱中に放射性医薬注射器107から漏れたとしても、前記物質は放射性医薬容器201の上方収納部203に流れ落ち、ごみ処理施設への輸送の際に上方収納部203と下方収納部205が連結されると、前記物質は放射性医薬容器201内に封入される。前記のような事態が生じても、前記物質を安全に収納した状態でごみ処理施設に輸送することができる。
【0020】
キャップ作業とは別に、複数のキャップ保持部231は、放射性医薬注射器107の皮下注射針125を取り替えるのに使用される。例えば、患者への放射性医薬の注射に適した大きさよりも大きい皮下注射針125を、放射性医薬注射器107に取り付けていることがよくある。標準規格よりも大きな注射針の多くは、放射性医薬が充填された放射性医薬注射器への取付が容易となる内径を有するが、患者の中には、標準規格よりも小さい注射針で注射するのが好ましい人もいる。このため、注射針125は、取替可能なように構成される(例えば、標準規格よりも大きな注射針)。シリンジキャップ127は、放射性医薬容器201による封入前(例えば、医療施設への輸送のため)に、標準規格よりも大きい皮下注射針125を覆う。
【0021】
放射性医薬容器201を、(例えば、医療施設において)開封し、放射性医薬注射器107を取り出す。図5aを参照すると、皮下注射針125を封入するシリンジキャップ127を、キャップ保持部231に嵌合させる。次に、シリンジキャップ127とこのキャップに封入された皮下注射針125を、放射性医薬注射器107から取り外す。例えば、シリンジキャップ127と皮下注射針125を放射性医薬注射器107に対してねじると、(例えば、後述のグリップ機能が用いられることにより)シリンジキャップ127が放射性医薬注射器107から離間し、皮下注射針125とシリンジキャップ127を放射性医薬注射器107から取り外すことができる。放射性医薬容器201のキャップ保持部231は、皮下注射針125(その他の注射針)の取り外しを容易にし、かつ、シリンジキャップ127と連結するように構成される。例えば、(皮下注射針125が内部に収納された)シリンジキャップ127は、放射性医薬容器201のキャップ保持部231と嵌合する。放射性医薬注射器107をねじるか、あるいは、(シリンジキャップ127とキャップ保持部231の間、シリンジキャップ127と皮下注射針125の間、及び皮下注射針125と放射性医薬注射器107の間の嵌合方法に応じた)離脱動作を放射性医薬注射器107に加えることで、シリンジキャップ127と皮下注射針125を放射性医薬注射器107から取り外す。
【0022】
放射性医薬注射器107には、標準規格より小さい皮下注射針225が、取り付けられてもよい。図5に示すように、例えば、注射針225を封入する第2シリンジキャップ227は、別のキャップ保持部231と嵌合する。前記キャップ保持部231は、注射針225と第2シリンジキャップ227のいずれか一方又は両方が放射性医薬注射器107に固定されている間、前記注射針225と前記シリンジキャップ227を保持する。注射針225は、本発明を逸脱しない範囲で、第2シリンジキャップ227と一体的に又は別個独立して放射性医薬注射器に取り付けられる。注射針225は、患者に放射性医薬を注入するのに使用され、これにより放射性医薬注射器107は使用済みとなる。シリンジキャップ227は、キャップ保持部231と嵌合する(例えば、キャップ保持部に差し込まれる)。これにより、シリンジキャップ227を把持しなくても、使用済み放射性医薬注射器107の注射針225をシリンジキャップ227に挿入してキャップすることができる。さらに、各キャップ保持部231は、注射針225のキャップの際に放射性医薬容器201を把持しなくても、放射性医薬容器201の自立構造部(すなわち、自立可能な上方収納部203)によって支持される。放射性医薬注射器107から離脱した皮下注射針125とシリンジキャップ127は、キャップ保持部231から取り外され、放射物廃棄容器に収納される。当業者であれば、同一構成の放射性医薬容器に複数のキャップ保持部を設け、装着針とそのシリンジキャップをキャップ保持部の一つで保持するとともに、別のキャップ保持部を注入針用のシリンジキャップの連結に用いる点において有効であることを理解することができる。さらに、キャップ保持部の1つが損傷しても(例えば、キャップ保持部に設けられた後述のグリップ構造が損傷した場合)、他のキャップ保持部を使用すればよく、放射性医薬容器について交換又は修繕の必要がない。
【0023】
本発明の放射性医薬容器の中には、キャップ保持部が、シリンジキャップを自ら締め付けないものがある。シリンジキャップは、使用済み注射器の注射針のキャップの際に、受動的な受け入れ口(例えば、シリンジキャップと軽く又は少なくともきつくない程度に接触する受け入れ口)であるキャップ保持部内に重力によって保持される。しかしながら、場合によっては、キャップ保持部はシリンジキャップを自ら締め付けるのが望ましいこともある。当業者であれば、シリンジキャップを自ら締め付けるようにキャップ保持部の構成に複数の変更及び追加を加えることを利化するすることができる。これらの構成について説明する。
【0024】
キャップ保持部は、所望の深さで構成される。例えば、キャップ保持部231の少なくとも一部は、内部に保持するシリンジキャップの個数(例えば、127,227)に関係なく、(例えば、注射器を収納するために)放射性収納容器の上方収納部203と下方収納部205とを相互に連結することができるような深さで構成されなければならない。キャップ保持部231の一部は、シリンジキャップ127のほぼ全体を収納するように構成される。すなわち、シリンジキャップ127は、ほぼ全体がキャップ保持部231の内部に固定される。前記以外のキャップ保持部は、放射性医薬容器201の上方収納部203と下方収納部205とが相互に連結されて封入状態となっている間、シリンジキャップ127の一部のみを封入する。
【0025】
キャップ保持部でシリンジキャップを締め付けるための手段の一つとして、以下のようなものがある。シリンジキャップの閉塞端部がキャップ保持部と嵌合すると摩擦固定するように、空洞部に一つ以上の弾性突起(例えば、指状部とフィンの両方又はいずれか一方)を設ける。図7a及び図7bを参照すると、例えば、放射性医薬容器の上方収納部303は、3つの弾性フィン349を有するキャップ保持部331を備える。3つの弾性フィン349は、空洞部335の内周に放射状に配置される。図示のフィン349は、上方収納部303と一体的に形成される。また、フィン349は、放射性医薬容器から着脱可能に形成された挿入部材の一部を構成し、キャップ保持部の空洞部に挿入されてもよい。前記挿入部材は、適切に選択した固定手段(例えば、接着又は締結と、空洞部の側壁に対する挿入部材の圧入のいずれか一つ又は両方)を用いて空洞部に取り付けられる。シリンジキャップ127の閉塞端部139(図7a及び図7bにおいて不図示)は、キャップ保持部331に嵌合すると、弾性フィン349が弾性変形してシリンジキャップのキャップ保持部331への通過を許容する。前記フィン349は弾性材である。シリンジキャップ127は開口端部から幅が広がるテーパー状に構成される。これにより、フィン349はシリンジキャップ127を押圧するともに、空洞部335内に挿通されるほど、シリンジキャップ127とキャップ保持部331との間の摩擦抵抗が増大する。
【0026】
放射性医薬容器301には、図7a及び図7bに示すキャップ保持部331がもう一つ設けられてもよい。放射性医薬注射器107の使用前に、シリンジキャップ127をキャップ保持部331と嵌合させ、キャップ保持部331はシリンジキャップ127を締め付ける。次に、使用者が未使用の注射針125に放射性医薬注射器107のシリンジキャップ127をしていない間、キャップ保持部331がシリンジキャップ127を締め付ける。放射性医薬の注射が完了すると、使用済み放射性医薬容器107の注射針125は、キャップ保持部331に保持された状態のシリンジキャップ127の開口端部に挿入されることで再キャップされる。放射性医薬注射器107がいったん再キャップされると、シリンジキャップ127をキャップ保持部331から離脱させる。例えば、シリンジキャップ127を把持してキャップ保持部331から引き抜けばよい。あるいは、シリンジキャップ127を放射性医薬注射器107に取り付ける場合には、放射性医薬注射器107を引っ張ってシリンジキャップ127をキャップ保持部331から引き抜けばよい。
【0027】
図8a〜図8cには、キャップ保持部431の有する放射性医薬容器の上方収納部403が示されている。キャップ保持部431は、テーパー状に構成され、摩擦固定によってシリンジキャップ127を締め付ける。キャップ保持部431の直径は、開口端部133より閉塞端部139が小さくなるテーパー状に構成される。図8a〜図8cに示す空洞部435の側壁451は、シリンジキャップ127のようにテーパー状に構成されていない。限定された範囲でしかシリンジキャップ127を空洞部435に挿入することができず、前記の範囲を超えて挿入しようとすると、テーパー状のシリンジキャップ127と放射性医薬容器の空洞部435の開口端部453とが接触することによって挿入が禁止される。シリンジキャップ127は、注射針キャップに適した材料(例えば、プラスチックのような弾性材)で製造される。シリンジキャップが空洞部に押圧されると、空洞部の側壁とシリンジキャップの側壁とが接触することで、シリンジキャップがキャップ保持部に摩擦固定される。
【0028】
図8a〜図8cのキャップ保持部431は、図7a〜図7bのキャップ保持部431と実質的に同一の方法で使用される。ただし、使用者がシリンジキャップ127の閉塞端部139を空洞部435に十分に挿入することで、放射性医薬容器とシリンジキャップ127とが相互作用して摩擦固定する点については異なる。
【0029】
キャップ保持部にばね付勢による選択自在な離間構造を設けてもよい。例えば、図9は、ばね付勢の離間構造部561を設けたキャップ保持部531を有する放射性医薬用容器の上方収納部503の一部を表したものである。離間構造部561は公知のボールペンの作動構造部と類似している。
【0030】
ばね563は、空洞部535に配置され、前記空洞部535に挿入されたシリンジキャップ527によって押圧される。ばね563は、空洞部535の外方へシリンジキャップ527を付勢するように機能する。肩部565は、複数の鋸歯状突起567を有し、空洞部535の内壁551に設けられ、円周方向に延在する。鋸歯状突起567は、垂直面571と傾斜面573とを有する。空洞部535の内壁551から内方に向かって複数の係合タブ575が突出する。係合タブ575は、肩部565から上方に一定の間隔をあけて形成される。係合タブ575は、相互に円周方向に一定の間隔をあけて形成され、複数の溝577を規定する。係合タブ575は、水平上方部579と、平行な垂直側壁部581と、2つの下方傾斜面582とを有するのが好ましい。下方傾斜面582は、2つの下方角部585の間に延在してV字状切込部583を規定する。
【0031】
キャップ保持部531は、図9のシリンジキャップ527と協働して機能するように構成される。前記シリンジキャップ527は、シリンジキャップの側壁部から外方に突出する突起部589を有する点を除き、前記シリンジキャップ127と実質的に同一に構成するのが好ましく、また、キャップ保持部531には、突起部589が少なくとも一つ必要とされるが、複数の突起部589を設けるのが好ましい。図9に示すように、例えば、突起部589を4つ設け(視認可能なものは3つである)、これらの突起部589を、キャップ保持部531の溝577と対応する角度(又は2倍の角度)で円周方向に配置する。突起部589は、相互に平行な長辺状垂直側壁部591及び短辺状垂直側壁部591と、上方傾斜面593と、下方傾斜面595とを有するのが好ましい。突起部589の上方傾斜面593は、下方傾斜面595の傾斜と反対方向に傾斜している。例えば、図9の突起部589では、左から右へ上向きに傾斜した上方傾斜面593、左から右へ下向きに傾斜した下方傾斜面595が設けられている。
【0032】
図10aを参照すると、使用者がキャップ保持部にシリンジキャップ527を挿入すると、突起部589が係合タブ575の間の溝577を通過する。シリンジキャップ527を空洞部535に挿入することで、ばね563が押圧され、シリンジキャップを空洞部の外側に押し出そうとする。使用者が、シリンジキャップ527を空洞部535の奥側に挿入すると、突起部589が、溝577と同一直線上にある鋸歯状突起部567の傾斜面573と嵌合する。シリンジキャップ527を押し込むと、鋸歯状突起567が、突起部589が垂直面571に当接するまで回転するようにシリンジキャップ527に回転力を与える。図10aには、挿入時におけるシリンジキャップ527の軌道が示されている。肩部565は、空洞部535へのシリンジキャップ527の過挿入を禁止する。
【0033】
使用者がシリンジキャップ527から手を離すと(図10b)、ばね563によって、シリンジキャップ527が逆方向である空洞部535の外側方向に軸移動し、溝部577と同一直線上に位置しなくなった突起部589が、係合タブ575の下方傾斜面582に係合する。下方傾斜面582は、突起部589がV字状切込部583に差し込まれるまで、シリンジキャップ527に回転を加える。シリンジキャップ527を離した後の軌道が図10bの矢印で示されている。シリンジキャップ527の移動によって、下方傾斜面595は移動前に係合した肩部565の傾斜面573からずれ、(図示のように)その隣の傾斜面がある右側方向に移動する。係合タブ575は、キャップ保持部531内でシリンジキャップ527を保持する。これにより、使用者は、シリンジキャップに対する係合タブ575の保持力を利用して、放射性医薬注射器107と注射器125をシリンジキャップ527から離脱させることができる。
【0034】
使用者が、(例えば、患者に放射性医薬を注射するのに注射針125を使用した後に)注射針125を再キャップしようとする場合、キャップ保持部に保持された状態のシリンジキャップ527に注射針125を挿入し直す(図10c)。シリンジキャップ527に挿入した状態で放射性医薬注射器107を押し込むと、ばね563の付勢に抗してシリンジキャップ527が空洞部535内に差し込み直され、突起部589が、係合タブ575のV字状切込部とほぼ同一直線上に位置する鋸歯状突起部567の傾斜面に係合する。鋸歯状突起部567の傾斜面573は、シリンジキャップ527に回転力を加え、突起部589が鋸歯状突起部567の垂直面と当接する。肩部565は、空洞部内におけるシリンジキャップの不必要な移動を制限し、使用者が十分な押圧を加えて放射性医薬注射器にシリンジキャップを装着することを許容する。放射性医薬注射器を再挿入したシリンジキャップ527の軌道は、図10cの矢印で示されている。
【0035】
使用者が放射性医薬注射器107から手を離すと、ばね563によって、シリンジキャップ527が逆方向である空洞部535の外側方向に軸移動する。突起部589の上方傾斜面593は、係合タブ575の突起部583と同一直線上ではない位置に回転し、係合タブの下方角部585に当接する。係合タブ575の下方角部585は、突起部589が溝部577と同一直線上に位置するまでシリンジキャップ527に回転を加える。突起部589が溝577内に一度位置すると、ばね563が空洞部535の外側に向かってシリンジキャップ527を押し出し、シリンジキャップ527がキャップ保持部より離脱する。
【0036】
本発明の範囲を逸脱するものでなければ、上述した実施形態に変更を加えてもよいことを当業者は理解できる。キャップ保持部は、放射性医薬容器の上方収納部と下方収納部のいずれに設けられてもよい。放射性医薬容器の形状と大きさについては、実質的に限定されることはない。本発明の放射性医薬容器は、シリンジキャップを収納するように、必要に応じて変更が加えられてもよい。シリンジキャップは、医療施設に放射性医薬容器が到達した時に未使用の放射性医薬注射器に取り付けられていてもよいし、医療施設で使用が完了した放射性医薬注射器に取り付けるために提供されてもよい。さらに、上述した実施形態の特徴を様々に組み合わせて、好ましい構成に変更してもよい、
【0037】
本発明の部材又は好ましい実施形態を紹介する場合、本明細書の内容を英語で記載した原文で示されている「a」、「an」、「the」及び「said」という単語は、一つ以上の部材を意味する。また、前記原文で示されている「comrising」、「includin」及び「having」という単語は、含めるということを意図しており、記載された部材の他に別の部材を追加してもよいという意味である。さらに、前記原文で示されている「top」及び「bottom」及びこれらと類似の単語は、説明をする上で便宜的に定義されたものであり、部材について特定の位置関係を定義するものではない。
【0038】
本発明の範囲を逸脱するものでなければ上記製品及び方法について種々の変更を加えることができるので、上記の記載事項及び添付の図面に表された事項は、例示されたものと解釈すべきであり、限定的な意味として解釈すべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の放射性医薬容器の斜視図である。
【図2】図1の放射性医薬容器の断面図である。
【図3】図1の放射性医薬注射器の斜視図であり、使用済み放射性医薬注射器の注射針にキャップをするのに使用されている状態を示している。
【図4】本発明の別の構成を示す放射性医薬容器の斜視図である。
【図5】キャップ保持部を有する図4の放射性医薬容器の上方収納部の斜視図である。
【図5a】上方収納部の平面図である。
【図6】図5aに示した上方収納部の6−6線断面図である。
【図7a】シリンジキャップを少なくとも一時的に締め付けるキャップ保持部を有する放射性医薬容器の概略図である。
【図7b】図7aに示した7b−7b線部分断面図である。
【図8a】シリンジキャップを少なくとも一時的に締め付けるキャップ保持部を有する別の構成の放射性医薬容器の概略図である。
【図8b】図8aに示した8b−8b線断面図である。
【図8c】図8bの一部拡大図である。
【図9】シリンジキャップを少なくとも一時的に締め付けるキャップ保持部を有する別の構成の放射性医薬容器の一部断面図である。
【図10a】図9のキャップ保持部の作動状態を示す図である。
【図10b】図9のキャップ保持部の作動状態を示す図である。
【図10c】図9のキャップ保持部の作動状態を示す図である。
【図10d】図9のキャップ保持部の作動状態を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、針刺し損傷の可能性の低減、特に、放射性医薬注射器の注射針の再キャップ時に医療従事者が引き起こす針刺し損傷の危険性を低減する構成及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
針刺し防止法及び労働安全衛生局(OSHA)の規定では、不注意による針刺し損傷の危険性を低減する対策を講じる組織の設置が求められている。針付きの注射器には、通常、針カバー及び針刺し損傷防止用のプラスチック製キャップが設けられている。注射器を使用する場合には、キャップを取り外して鋭利な注射針を露出させることになる。注射器使用後の注射針については、注射針による突き刺しで病原菌の血液感染を招くことがないように処理されなければならない。前記の血液感染を防止する手段の一つは、使用済みの注射針に再キャップをすることである。一方の手でキャップを把持しながら他方の手で注射針をキャップの内部に案内することは、キャップを把持した手が針刺し損傷の危険に偶発的にさらされることになる。このため、上記のような方法で注射針に再キャップをすることは、一般的にも好ましい方法とは言えない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
安全注射器及び使い捨て容器には、針刺し損傷の危険性を低減する構成が設けられていることが多い。使い捨て式の構成の一つとして、穿刺抵抗材製の単一容器で使用済みの注射器を複数保持するものがある。このような構成には、以下の問題点がある。使用するものが放射性医薬品である場合に、容器自体が放射線を遮蔽するものでなければ、放射性医薬品の放射能が残留した使用済み注射器を保持することができない。複数の使い捨て注射器の収納が可能な容器では、使い捨て注射器がすでに複数収納された状態で注射器を処分する場合には、突き刺しのおそれがないようにきめ細かな設計が必要とされる。穿刺抵抗の注射器容器には、前記構成と異なる構成のものがある。前記構成では、注射器ごとに部材(すなわち、容器)が増えて行き、注射器の使用後に医療従事者によって処理されることになる。容器が放射性医薬に使用される場合、容器は放射線遮蔽具の内側に設けられなければならない。放射線遮蔽具は、容器と注射器を収納する程度の大きさで構成される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様の一つは、放射性医薬注射器の再キャップ時の安全性を向上させるように構成された放射性医薬容器に関する。前記放射性医薬容器は、注射針とこれを保護するシリンジキャップを有する放射性医薬注射器を収納するように構成される。前記放射性医薬容器は、放射性医薬注射器の放射性医薬より生じる放射線を遮蔽するように構成される。前記放射性医薬容器の第1収納部は、第2収納部と着脱可能に連結され、注射器を内部に封入する。例えば、第1収納部をベース部とし、第2収納部を前記ベース部に着脱可能に連結(例えば、螺合、摩擦固定又はその他の手段で固定)される蓋部としてもよい。放射性医薬は、注射針の使用後にキャップの開口端部を放射性医薬注射針が挿入できる位置にシリンジキャップを選択的に保持(例えば、一時的に保持)するキャップ保持部を有する。例えば、シリンジキャップとキャップ保持部を、バイオネット嵌合と螺合の両方又はいずれか一方の手段で連結されるように構成し、キャップ保持部によるシリンジキャップの選択的な保持を容易にしてもよい。あるいは、シリンジキャップとキャップ保持部を、スナップ式で連結するように構成し、キャップ保持部によるシリンジキャップの選択的な保持を容易にしてもよい。これにより、シリンジキャップに注射針を挿入する際にシリンジキャップを把持しなくても、放射性医薬注射器の注射針を再キャップすることができる。
【0005】
本発明の別の態様は、放射性医薬注射器容器の少なくとも一部を使用して、皮下注射針を有する放射性医薬注射器をキャップする方法に関する。前記放射性医薬容器の第1収納部は、第2収納部と着脱可能に連結され、前記第1収納部と第2収納部とで注射器を収納する空間を密閉する。シリンジキャップは、放射性医薬容器の一部に設けられたキャップ保持部と嵌合して、キャップ保持部に保持される。放射性医薬注射器は、患者に放射性医薬を投与するのに使用されることで、放射性医薬注射器を使用済み状態とする。放射性医薬注射器の皮下注射針は、シリンジキャップを放射性医薬注射器に固定するために、キャップ保持部に保持された状態のシリンジキャップに挿入される。本発明の態様の範囲にある工程に従えば、放射性医薬容器又はシリンジキャップのいずれかを把持しなくても、使用済み放射性医薬注射器の注射針をシリンジキャップに挿入することができる。これにより、針刺し損傷の危険性を低減することが可能である。
【0006】
本発明の態様に関連させて上述した多くの特徴に対し、様々な修正が存在する。これらの特徴も、本発明の上記態様に含まれる。これらの修正および追加の特徴は、独立し、またはいずれかとの組み合わせにおいて存在する。例えば、1または2以上の図示した実施形態と関連して以下に説明する様々な特徴は、単独で、あるいはいずれかとの組み合わせにおいて、本発明の態様に組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図面の中で同一である部分については、同一の参照符号を付している。
【0008】
参照図面のうち、図1〜図3の放射性医薬容器は、参照符号101で示されている。この種の放射性医薬容器は、遮蔽具としては公知のものである。下記の記述の他に、放射性医薬容器101は、放射線遮蔽構造を有する。放射性医薬容器101は、上方収納部(第1収納部)103と下方収納部(第2収納部)105とを備える。上方収納部103と下方収納部105は、相互に離脱可能に連結されることで、中空部109内に放射性医薬注射器107を封入する(図2)。放射性医薬容器101については、本発明の範囲内であれば、部品点数と部品の配置の両方又はいずれか一方を変更してもよい。各図に示すように、上方収納部103は、略管状に構成され、上方閉塞端部113と下方開口端部115とを有する。下方収納部105は、略管状に構成され、下方閉塞端部117と上方開口端部119とを有する。上方収納部103と下方収納部105とが相互に連結されると、上方収納部103の下方開口端部115が、下方収納部105の上方開口端部119と同一直線上に位置し、上方収納部103と下方収納部105とが一体となって、放射性医薬注射器107を封入するための中空部109を規定する。図示の放射性医薬注射器107には、1回分の放射性医薬液が充填されている。放射性医薬容器101は、一般的に、(例えば、放射性医薬品の搬送時における)放射線を遮蔽して周囲の環境を保護するのに使用される。放射性医薬容器101の上方収納部103と下方収納部105は、一つ以上の遮蔽物質(例えば、鉛、タングステン、劣化ウラン、タングステン含有プラスチック等)を含有し、注射器107を封入すると、放射性医薬品から放出される放射線を遮蔽して周囲の環境を実質的に保護することができるものである。例えば、上方収納部103は、ポリマー被覆材103bで覆われた遮蔽部材103aを備えていてもよい。同様に、下方収納部105は、ポリマー被覆材105bで覆われた遮蔽部材105aを備えていてもよい。ポリマー被覆材103b,105bで覆われた遮蔽部材103a,105aは、共有の米国特許出願10/527,301号(米国特許公開番号:20050224730)に詳述された通りのものであり、その内容は前記米国特許出願10/527,301号を参照することで本明細書に組み入れられる。一方、他の構成の放射性医薬容器101としては、固体状の遮蔽材からなるもの、シェル状部材(例えば、ポリマーシェル)に遮蔽材を含有させたもの、遮蔽材の内側をライナー(例えば、プラスチックライナー)で裏打ちしたもの、遮蔽材を本体全体にほぼ均一に分散させたもの等が挙げられるが、これらも本発明の範囲内に含まれるものである。
【0009】
図2の放射性医薬注射器107には、皮下注射針125が取り付けられている。図2に示す皮下注射針125は、シリンジキャップ127(例えば、少なくとも皮下注射針125の先端を覆うように構成された保護用被覆材)内に収納されている。シリンジキャップ127は、放射性医薬注射器107の注射器本体129に螺合されている。図示のシリンジキャップ127は透明なキャップとして構成されているが、本発明の範囲を逸脱するものでない限り、半透明なキャップ、不透明なキャップ、又は透明、半透明及び不透明が組み合わされたキャップとして構成されていてもよい。図1〜図3のシリンジキャップ127は、公知の構成のシリンジキャップである。放射性医薬容器101は、キャップ保持部131を備える。キャップ保持部131は、シリンジキャップ127の少なくとも一部を収納し、皮下注射針125の開口端部133への再挿入が可能な位置にシリンジキャップ127を全体的に少なくとも保持する。これにより、キャップ保持部131を後述の方法で使用することで、(例えば、皮下注射針125の使用後に)シリンジキャップ127による皮下注射針125の再キャップが容易となり、皮下注射針125のキャップの際にシリンジキャップ127を把持する必要がない。キャップ保持部131は、放射性医薬容器101の上方収納部103の外面部137の内部に規定された空洞部135として表されている。キャップ保持部131の大きさと形状は、例えば図3に示すように、シリンジキャップ127の閉塞端部139を収納するように構成される。シリンジキャップ127の閉塞端部139が空洞部135内に収納されると、キャップ保持部131がシリンジキャップ127を全体的に最低限保持し、シリンジキャップ127が放射性医薬容器101の上方閉塞端部から外方に突出して、放射性医薬注射器107の皮下注射針125を収納できるようにシリンジキャップ127の開口端部133を露出させる。図示の実施形態では、キャップ保持部131は、放射性医薬容器101の上方収納部103の上端113中央に形成されているが、本発明の範囲を逸脱するものでなければ、他の位置に形成されていてもよい。例えば、キャップ保持部131は放射性医薬容器101に一体的に形成される必要はなく、放射性医薬容器101に固定する着脱式の部材であってもよい。図示の空洞部135は円錐状に構成されているが、一端又は両端が開口した円筒状の空洞又は溝状の空洞(断面形状がC字状の溝)等のように、異なる形状に構成してもよい。
【0010】
キャップ保持部131を、放射性医薬容器101の自立構造部(放射性医薬容器101の一部を支持面の固定位置に起立した状態に維持できるように構成したもの)で支持し、キャップ保持部131が、前記自立構造部によってシリンジキャップ127を収納する位置に配置されるようにしてもよい。前記構成は、再キャップ時において放射性医薬容器101を把持する必要のない好ましい手段となる。キャップ保持部131は、例えば図3に示すように、放射性医薬容器101の上方収納部103に支持されてもよい。放射性医薬容器101の上方収納部103は、テーブル等に設置した際にキャップ保持部131の開口端部を使用者が容易に利用できる位置(例えば、開口端部が上向きとなる位置)にキャップ保持部131を配置するように構成される。キャップ保持部131を支持する放射性医薬容器101の自立構造部は、放射性医薬容器101を把持しなくても皮下注射針125を容易に再キャップできるように構成される。図示の実施形態では、例えば、放射性医薬容器101の上方収納部103は、放射性医薬注射器107にシリンジキャップ127を取り付けるのに必要な力を上回る重さである。同様に、放射性医薬容器101の上方収納部103の全質量と(図3に図式的に示した)重心130を、放射性医薬容器101の傾ける力がシリンジキャップ127を放射性医薬注射器107に取り付ける力よりも大きくなるように構成する。さらに、放射性医薬容器101の上方収納部103は、取り付けに必要な力が支持面に対して垂直に加わるように、キャップ保持部131を特定の位置(傾斜した位置又は図3に示す垂直な位置)に配置する。例えば図2に示すように、放射性医薬容器101の自立構造部(例えば、上方収納部103)は、縦軸A1を備えるとともに、キャップ保持部131は、放射性医薬品容器101の縦軸と略平行な(例えば、前記軸と一致した)縦軸A2を備える。上記のような特徴により、上方収納部103は傾き難く、再キャップの際に力が加わっても支持面に沿って移動する。このため、上方収納部103を把持しなくても、再キャップすることが容易となる。図示の実施形態では、キャップ保持部131は放射性医薬品容器101の上方収納部103に設けられているけれども、本発明の範囲を逸脱するものでなければ、キャップ保持部131は他の自立構造式の容器部に設けられていてもよい。他の実施形態として、支持面(例えば、テーブル)に適合するように構成された放射性医薬容器101の上方収納部103は、再キャップ時の移動を防止するグリップ機能又は滑り止め機能を備える。例えば、上方収納部103の接触面に、凹凸を形成したり、グリップ材又は滑り止め材を用いたりする(例えば、グリップ材又は滑り止め材で被覆する)。
【0011】
一回分の放射性医薬が充填された放射性医薬注射器107を収納するために、放射性医薬容器101を使用する。皮下注射針125の先端は、少なくともシリンジキャップ127に封入されている。一回分の放射性医薬が充填された放射性医薬注射器107は、公知のバイオネット係合を用いて上方収納部103と下方収納部105とを相互に固定することで、放射性医薬容器101の中空部109に収納される。放射性医薬容器101とこの内部に収納された医薬充填済みの放射性医薬注射器107は、医療施設に搬送される。放射性医薬容器101は、放射性医薬から放出される放射線が(例えば、輸送時に)外部に漏れるのを禁止する。
【0012】
医療施設において、放射性医薬容器101を開封し、放射性医薬注射器107を前記容器から取り出す。下方開口端部115を下方に向けた状態にして放射性医薬容器101の上方収納部103を平坦面141(例えば、テーブルの上面)に置く。シリンジキャップ127を放射性医薬注射器107から取り外し、シリンジキャップ127の閉塞端部139を、放射性医薬容器101の上方収納部103の上方閉塞端部113に設けられたキャップ保持部131に嵌合させる(例えば、空洞部135に挿入する)。シリンジキャップ127が放射性医薬注射器107に取り付けられた状態で、シリンジキャップ127の閉塞端部139は、キャップ保持部131の空洞部135に挿入される。このため、キャップ保持部131は、シリンジキャップ127の離脱作業を補助するものとして使用される。このキャップ保持部131は、開口端部133を露出させる位置にシリンジキャップ127を保持し、シリンジキャップ127に皮下注射針125を収納できる状態にする。
【0013】
放射性医薬注射器107は、放射性医薬を患者に投与するのに用いられるものであり、通常、皮下注射を行うと、いわゆる「使用済み」の状態となる。その結果、皮下注射針125は、血液感染性の病原菌に潜在的に汚染されることになり、関連法令及び産業上の安全基準に基づいて処理される必要がある。前記法令及び安全基準では、シリンジキャップ127を把持して皮下注射針125に再キャップをすることが禁止されている。その理由は、再キャップの作業中に針刺し事故を引き起こす危険性があるからである。しかしながら、本発明の実施形態においては、シリンジキャップ127を保持するのは、キャップ保持部131であり、人間の手ではない。このため、医療従事者は、シリンジキャップ127を一方の手で把持しながら他方の手ではシリンジキャップ127を把持せずに、使用済み放射性医薬注射器107の皮下注射針125の先端をシリンジキャップ127に挿入して、シリンジキャップ127を放射性医薬注射器107に取り付けることができる。皮下注射針125はシリンジキャップ127に向かって移動するだけであるので、他方の手が皮下注射針125の先端の軌道に位置することがない。さらに、再キャップの作業をする場合には、キャップ保持部131は、把持する必要のない放射性医薬容器101の自立構造部(例えば、自立する上方収納部103)に支持されるのが好ましい。これにより、一方の手のみを使って再キャップをすることが可能となる。
【0014】
次に、再キャップされた使用済み放射性医薬注射器107は、放射性医薬容器101の中空部109に再封入され、(例えば、放射性医薬注射器107に残った放射性医薬品による)放射性廃棄物と(例えば、使用済み放射性医薬注射器107の皮下注射針125に残った血液による)生物学的な汚染のある廃棄物の両方を処理できるごみ処理施設に輸送される。放射性医薬容器101を使わずに皮下注射針125のキャップを取り外し、再キャップ時には放射性医薬容器101のキャップ保持部131を利用する。
【0015】
参照符号201で示す放射性医薬容器の別の実施形態は、図4〜図6に表されている。放射性医薬容器201は、上方収納部203と下方収納部205とを備える。上方収納部203と下方収納部205は、相互に離脱可能に連結され、図1〜図3に示す放射性医薬容器101と同様の方法で一回分の放射性医薬が充填された放射性医薬注射器107を封入する。上方収納部203と下方収納部205は、前記放射性医薬容器101と同様に、遮蔽物質を含有する。例えば、図6の上方収納部203は、シェル材203bに覆われた遮蔽材203aを備える。上方収納部203は、略管状に構成され、上方閉塞端部213と下方開口端部215とを備え、かかる点について言えば、図1〜図3に示す上方収納部103と多少類似するものである。上方収納部203は、断面形状が円形に構成された内側壁211を備える。しかしながら、103の上方収納部とは異なり、上方収納部203の外側壁212は、略三角柱状に構成されている。放射性医薬容器201の上方収納部203は、頂角部221が、これらの間に位置する中点部222よりも厚く構成されている。
【0016】
放射性医薬容器201は、複数(少なくとも2つ)のキャップ保持部231を備える。キャップ保持部231は、形成位置を除けば、図1〜図3に示すキャップ保持部131と同様の構成である。例えば、図示の放射性医薬容器201は、上方収納部203の下方開口端部215の周りに放射状に配置された3つのキャップ保持部231を備える(図5)。図6に示すように、各キャップ保持部231は、上方収納部203に規定された空洞部235を備える。空洞部235を、上方収納部203の厚みを大きくした柱状の外側壁212の各頂角部221に設けることにより、放射線の遮蔽機能の低下に関する問題を緩和する。
【0017】
空洞部235の大きさと形状は、シリンジキャップ127の閉塞端部139を収納するように構成される。図6には、空洞部235の開口端部245の一つが表されている。空洞部235の開口端部245は、上方収納部203が放射性医薬容器201の下方収納部205に取り付けられると、下方収納部205と対向する。さらに、本実施形態に係る図
の放射性医薬容器201の上方収納部203と下方収納部205が相互に連結されると、空洞部235の開口端部245が放射性医薬容器201内に封入される。別の態様として、空洞部235(例えば、円錐状と溝状の両方又はいずれか一方に構成された空洞部)は、柱状の外壁部212の1つ以上の頂角部221に設け、上方収納部203と下方収納部205が相互に連結された状態でも放射性医薬容器201の外部から該空洞部235の開口端部を利用できるように構成する。
【0018】
放射性医薬容器201の上方収納部203は、自立可能な構造で構成される。上方収納部203は、101の前記放射性医薬容器の上方収納部103と実質的に同様の方法でキャップ保持部231を支持する(例えば、空洞部235の開口端部245を上向きにした状態にする)ように構成される。
【0019】
放射性医薬容器201は、下記の点を除き、101の放射性医薬容器と同様の方法で使用される。放射性医薬容器201を開封すると、閉塞端部213を下方に向けて上方収納部203を平坦面141に置く。これにより、キャップ保持部231の空洞部235の開口端部245は上方に向き、キャップ保持部の開口端部を利用するのが容易となる。さらに、平坦面141と接触する上方収納部203の閉塞端部の外表面は、対向する開口端部215よりも小さい寸法で構成されたものとして表されている。しかしながら、平坦面141と接触する上方収納部203の閉塞端部の外表面は、対向する開口端部215よりも大きい又は実質的に同一の寸法で構成されてもよい。101の前記放射性医薬容器のキャップ保持部131と実質的に同様の方法でキャップ保持部231の一つを用い、使用済み放射性医薬注射器107の皮下注射針125をキャップする。仮に放射性物質又は生物学的な汚染物質がキャップの装着中又は離脱中に放射性医薬注射器107から漏れたとしても、前記物質は放射性医薬容器201の上方収納部203に流れ落ち、ごみ処理施設への輸送の際に上方収納部203と下方収納部205が連結されると、前記物質は放射性医薬容器201内に封入される。前記のような事態が生じても、前記物質を安全に収納した状態でごみ処理施設に輸送することができる。
【0020】
キャップ作業とは別に、複数のキャップ保持部231は、放射性医薬注射器107の皮下注射針125を取り替えるのに使用される。例えば、患者への放射性医薬の注射に適した大きさよりも大きい皮下注射針125を、放射性医薬注射器107に取り付けていることがよくある。標準規格よりも大きな注射針の多くは、放射性医薬が充填された放射性医薬注射器への取付が容易となる内径を有するが、患者の中には、標準規格よりも小さい注射針で注射するのが好ましい人もいる。このため、注射針125は、取替可能なように構成される(例えば、標準規格よりも大きな注射針)。シリンジキャップ127は、放射性医薬容器201による封入前(例えば、医療施設への輸送のため)に、標準規格よりも大きい皮下注射針125を覆う。
【0021】
放射性医薬容器201を、(例えば、医療施設において)開封し、放射性医薬注射器107を取り出す。図5aを参照すると、皮下注射針125を封入するシリンジキャップ127を、キャップ保持部231に嵌合させる。次に、シリンジキャップ127とこのキャップに封入された皮下注射針125を、放射性医薬注射器107から取り外す。例えば、シリンジキャップ127と皮下注射針125を放射性医薬注射器107に対してねじると、(例えば、後述のグリップ機能が用いられることにより)シリンジキャップ127が放射性医薬注射器107から離間し、皮下注射針125とシリンジキャップ127を放射性医薬注射器107から取り外すことができる。放射性医薬容器201のキャップ保持部231は、皮下注射針125(その他の注射針)の取り外しを容易にし、かつ、シリンジキャップ127と連結するように構成される。例えば、(皮下注射針125が内部に収納された)シリンジキャップ127は、放射性医薬容器201のキャップ保持部231と嵌合する。放射性医薬注射器107をねじるか、あるいは、(シリンジキャップ127とキャップ保持部231の間、シリンジキャップ127と皮下注射針125の間、及び皮下注射針125と放射性医薬注射器107の間の嵌合方法に応じた)離脱動作を放射性医薬注射器107に加えることで、シリンジキャップ127と皮下注射針125を放射性医薬注射器107から取り外す。
【0022】
放射性医薬注射器107には、標準規格より小さい皮下注射針225が、取り付けられてもよい。図5に示すように、例えば、注射針225を封入する第2シリンジキャップ227は、別のキャップ保持部231と嵌合する。前記キャップ保持部231は、注射針225と第2シリンジキャップ227のいずれか一方又は両方が放射性医薬注射器107に固定されている間、前記注射針225と前記シリンジキャップ227を保持する。注射針225は、本発明を逸脱しない範囲で、第2シリンジキャップ227と一体的に又は別個独立して放射性医薬注射器に取り付けられる。注射針225は、患者に放射性医薬を注入するのに使用され、これにより放射性医薬注射器107は使用済みとなる。シリンジキャップ227は、キャップ保持部231と嵌合する(例えば、キャップ保持部に差し込まれる)。これにより、シリンジキャップ227を把持しなくても、使用済み放射性医薬注射器107の注射針225をシリンジキャップ227に挿入してキャップすることができる。さらに、各キャップ保持部231は、注射針225のキャップの際に放射性医薬容器201を把持しなくても、放射性医薬容器201の自立構造部(すなわち、自立可能な上方収納部203)によって支持される。放射性医薬注射器107から離脱した皮下注射針125とシリンジキャップ127は、キャップ保持部231から取り外され、放射物廃棄容器に収納される。当業者であれば、同一構成の放射性医薬容器に複数のキャップ保持部を設け、装着針とそのシリンジキャップをキャップ保持部の一つで保持するとともに、別のキャップ保持部を注入針用のシリンジキャップの連結に用いる点において有効であることを理解することができる。さらに、キャップ保持部の1つが損傷しても(例えば、キャップ保持部に設けられた後述のグリップ構造が損傷した場合)、他のキャップ保持部を使用すればよく、放射性医薬容器について交換又は修繕の必要がない。
【0023】
本発明の放射性医薬容器の中には、キャップ保持部が、シリンジキャップを自ら締め付けないものがある。シリンジキャップは、使用済み注射器の注射針のキャップの際に、受動的な受け入れ口(例えば、シリンジキャップと軽く又は少なくともきつくない程度に接触する受け入れ口)であるキャップ保持部内に重力によって保持される。しかしながら、場合によっては、キャップ保持部はシリンジキャップを自ら締め付けるのが望ましいこともある。当業者であれば、シリンジキャップを自ら締め付けるようにキャップ保持部の構成に複数の変更及び追加を加えることを利化するすることができる。これらの構成について説明する。
【0024】
キャップ保持部は、所望の深さで構成される。例えば、キャップ保持部231の少なくとも一部は、内部に保持するシリンジキャップの個数(例えば、127,227)に関係なく、(例えば、注射器を収納するために)放射性収納容器の上方収納部203と下方収納部205とを相互に連結することができるような深さで構成されなければならない。キャップ保持部231の一部は、シリンジキャップ127のほぼ全体を収納するように構成される。すなわち、シリンジキャップ127は、ほぼ全体がキャップ保持部231の内部に固定される。前記以外のキャップ保持部は、放射性医薬容器201の上方収納部203と下方収納部205とが相互に連結されて封入状態となっている間、シリンジキャップ127の一部のみを封入する。
【0025】
キャップ保持部でシリンジキャップを締め付けるための手段の一つとして、以下のようなものがある。シリンジキャップの閉塞端部がキャップ保持部と嵌合すると摩擦固定するように、空洞部に一つ以上の弾性突起(例えば、指状部とフィンの両方又はいずれか一方)を設ける。図7a及び図7bを参照すると、例えば、放射性医薬容器の上方収納部303は、3つの弾性フィン349を有するキャップ保持部331を備える。3つの弾性フィン349は、空洞部335の内周に放射状に配置される。図示のフィン349は、上方収納部303と一体的に形成される。また、フィン349は、放射性医薬容器から着脱可能に形成された挿入部材の一部を構成し、キャップ保持部の空洞部に挿入されてもよい。前記挿入部材は、適切に選択した固定手段(例えば、接着又は締結と、空洞部の側壁に対する挿入部材の圧入のいずれか一つ又は両方)を用いて空洞部に取り付けられる。シリンジキャップ127の閉塞端部139(図7a及び図7bにおいて不図示)は、キャップ保持部331に嵌合すると、弾性フィン349が弾性変形してシリンジキャップのキャップ保持部331への通過を許容する。前記フィン349は弾性材である。シリンジキャップ127は開口端部から幅が広がるテーパー状に構成される。これにより、フィン349はシリンジキャップ127を押圧するともに、空洞部335内に挿通されるほど、シリンジキャップ127とキャップ保持部331との間の摩擦抵抗が増大する。
【0026】
放射性医薬容器301には、図7a及び図7bに示すキャップ保持部331がもう一つ設けられてもよい。放射性医薬注射器107の使用前に、シリンジキャップ127をキャップ保持部331と嵌合させ、キャップ保持部331はシリンジキャップ127を締め付ける。次に、使用者が未使用の注射針125に放射性医薬注射器107のシリンジキャップ127をしていない間、キャップ保持部331がシリンジキャップ127を締め付ける。放射性医薬の注射が完了すると、使用済み放射性医薬容器107の注射針125は、キャップ保持部331に保持された状態のシリンジキャップ127の開口端部に挿入されることで再キャップされる。放射性医薬注射器107がいったん再キャップされると、シリンジキャップ127をキャップ保持部331から離脱させる。例えば、シリンジキャップ127を把持してキャップ保持部331から引き抜けばよい。あるいは、シリンジキャップ127を放射性医薬注射器107に取り付ける場合には、放射性医薬注射器107を引っ張ってシリンジキャップ127をキャップ保持部331から引き抜けばよい。
【0027】
図8a〜図8cには、キャップ保持部431の有する放射性医薬容器の上方収納部403が示されている。キャップ保持部431は、テーパー状に構成され、摩擦固定によってシリンジキャップ127を締め付ける。キャップ保持部431の直径は、開口端部133より閉塞端部139が小さくなるテーパー状に構成される。図8a〜図8cに示す空洞部435の側壁451は、シリンジキャップ127のようにテーパー状に構成されていない。限定された範囲でしかシリンジキャップ127を空洞部435に挿入することができず、前記の範囲を超えて挿入しようとすると、テーパー状のシリンジキャップ127と放射性医薬容器の空洞部435の開口端部453とが接触することによって挿入が禁止される。シリンジキャップ127は、注射針キャップに適した材料(例えば、プラスチックのような弾性材)で製造される。シリンジキャップが空洞部に押圧されると、空洞部の側壁とシリンジキャップの側壁とが接触することで、シリンジキャップがキャップ保持部に摩擦固定される。
【0028】
図8a〜図8cのキャップ保持部431は、図7a〜図7bのキャップ保持部431と実質的に同一の方法で使用される。ただし、使用者がシリンジキャップ127の閉塞端部139を空洞部435に十分に挿入することで、放射性医薬容器とシリンジキャップ127とが相互作用して摩擦固定する点については異なる。
【0029】
キャップ保持部にばね付勢による選択自在な離間構造を設けてもよい。例えば、図9は、ばね付勢の離間構造部561を設けたキャップ保持部531を有する放射性医薬用容器の上方収納部503の一部を表したものである。離間構造部561は公知のボールペンの作動構造部と類似している。
【0030】
ばね563は、空洞部535に配置され、前記空洞部535に挿入されたシリンジキャップ527によって押圧される。ばね563は、空洞部535の外方へシリンジキャップ527を付勢するように機能する。肩部565は、複数の鋸歯状突起567を有し、空洞部535の内壁551に設けられ、円周方向に延在する。鋸歯状突起567は、垂直面571と傾斜面573とを有する。空洞部535の内壁551から内方に向かって複数の係合タブ575が突出する。係合タブ575は、肩部565から上方に一定の間隔をあけて形成される。係合タブ575は、相互に円周方向に一定の間隔をあけて形成され、複数の溝577を規定する。係合タブ575は、水平上方部579と、平行な垂直側壁部581と、2つの下方傾斜面582とを有するのが好ましい。下方傾斜面582は、2つの下方角部585の間に延在してV字状切込部583を規定する。
【0031】
キャップ保持部531は、図9のシリンジキャップ527と協働して機能するように構成される。前記シリンジキャップ527は、シリンジキャップの側壁部から外方に突出する突起部589を有する点を除き、前記シリンジキャップ127と実質的に同一に構成するのが好ましく、また、キャップ保持部531には、突起部589が少なくとも一つ必要とされるが、複数の突起部589を設けるのが好ましい。図9に示すように、例えば、突起部589を4つ設け(視認可能なものは3つである)、これらの突起部589を、キャップ保持部531の溝577と対応する角度(又は2倍の角度)で円周方向に配置する。突起部589は、相互に平行な長辺状垂直側壁部591及び短辺状垂直側壁部591と、上方傾斜面593と、下方傾斜面595とを有するのが好ましい。突起部589の上方傾斜面593は、下方傾斜面595の傾斜と反対方向に傾斜している。例えば、図9の突起部589では、左から右へ上向きに傾斜した上方傾斜面593、左から右へ下向きに傾斜した下方傾斜面595が設けられている。
【0032】
図10aを参照すると、使用者がキャップ保持部にシリンジキャップ527を挿入すると、突起部589が係合タブ575の間の溝577を通過する。シリンジキャップ527を空洞部535に挿入することで、ばね563が押圧され、シリンジキャップを空洞部の外側に押し出そうとする。使用者が、シリンジキャップ527を空洞部535の奥側に挿入すると、突起部589が、溝577と同一直線上にある鋸歯状突起部567の傾斜面573と嵌合する。シリンジキャップ527を押し込むと、鋸歯状突起567が、突起部589が垂直面571に当接するまで回転するようにシリンジキャップ527に回転力を与える。図10aには、挿入時におけるシリンジキャップ527の軌道が示されている。肩部565は、空洞部535へのシリンジキャップ527の過挿入を禁止する。
【0033】
使用者がシリンジキャップ527から手を離すと(図10b)、ばね563によって、シリンジキャップ527が逆方向である空洞部535の外側方向に軸移動し、溝部577と同一直線上に位置しなくなった突起部589が、係合タブ575の下方傾斜面582に係合する。下方傾斜面582は、突起部589がV字状切込部583に差し込まれるまで、シリンジキャップ527に回転を加える。シリンジキャップ527を離した後の軌道が図10bの矢印で示されている。シリンジキャップ527の移動によって、下方傾斜面595は移動前に係合した肩部565の傾斜面573からずれ、(図示のように)その隣の傾斜面がある右側方向に移動する。係合タブ575は、キャップ保持部531内でシリンジキャップ527を保持する。これにより、使用者は、シリンジキャップに対する係合タブ575の保持力を利用して、放射性医薬注射器107と注射器125をシリンジキャップ527から離脱させることができる。
【0034】
使用者が、(例えば、患者に放射性医薬を注射するのに注射針125を使用した後に)注射針125を再キャップしようとする場合、キャップ保持部に保持された状態のシリンジキャップ527に注射針125を挿入し直す(図10c)。シリンジキャップ527に挿入した状態で放射性医薬注射器107を押し込むと、ばね563の付勢に抗してシリンジキャップ527が空洞部535内に差し込み直され、突起部589が、係合タブ575のV字状切込部とほぼ同一直線上に位置する鋸歯状突起部567の傾斜面に係合する。鋸歯状突起部567の傾斜面573は、シリンジキャップ527に回転力を加え、突起部589が鋸歯状突起部567の垂直面と当接する。肩部565は、空洞部内におけるシリンジキャップの不必要な移動を制限し、使用者が十分な押圧を加えて放射性医薬注射器にシリンジキャップを装着することを許容する。放射性医薬注射器を再挿入したシリンジキャップ527の軌道は、図10cの矢印で示されている。
【0035】
使用者が放射性医薬注射器107から手を離すと、ばね563によって、シリンジキャップ527が逆方向である空洞部535の外側方向に軸移動する。突起部589の上方傾斜面593は、係合タブ575の突起部583と同一直線上ではない位置に回転し、係合タブの下方角部585に当接する。係合タブ575の下方角部585は、突起部589が溝部577と同一直線上に位置するまでシリンジキャップ527に回転を加える。突起部589が溝577内に一度位置すると、ばね563が空洞部535の外側に向かってシリンジキャップ527を押し出し、シリンジキャップ527がキャップ保持部より離脱する。
【0036】
本発明の範囲を逸脱するものでなければ、上述した実施形態に変更を加えてもよいことを当業者は理解できる。キャップ保持部は、放射性医薬容器の上方収納部と下方収納部のいずれに設けられてもよい。放射性医薬容器の形状と大きさについては、実質的に限定されることはない。本発明の放射性医薬容器は、シリンジキャップを収納するように、必要に応じて変更が加えられてもよい。シリンジキャップは、医療施設に放射性医薬容器が到達した時に未使用の放射性医薬注射器に取り付けられていてもよいし、医療施設で使用が完了した放射性医薬注射器に取り付けるために提供されてもよい。さらに、上述した実施形態の特徴を様々に組み合わせて、好ましい構成に変更してもよい、
【0037】
本発明の部材又は好ましい実施形態を紹介する場合、本明細書の内容を英語で記載した原文で示されている「a」、「an」、「the」及び「said」という単語は、一つ以上の部材を意味する。また、前記原文で示されている「comrising」、「includin」及び「having」という単語は、含めるということを意図しており、記載された部材の他に別の部材を追加してもよいという意味である。さらに、前記原文で示されている「top」及び「bottom」及びこれらと類似の単語は、説明をする上で便宜的に定義されたものであり、部材について特定の位置関係を定義するものではない。
【0038】
本発明の範囲を逸脱するものでなければ上記製品及び方法について種々の変更を加えることができるので、上記の記載事項及び添付の図面に表された事項は、例示されたものと解釈すべきであり、限定的な意味として解釈すべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の放射性医薬容器の斜視図である。
【図2】図1の放射性医薬容器の断面図である。
【図3】図1の放射性医薬注射器の斜視図であり、使用済み放射性医薬注射器の注射針にキャップをするのに使用されている状態を示している。
【図4】本発明の別の構成を示す放射性医薬容器の斜視図である。
【図5】キャップ保持部を有する図4の放射性医薬容器の上方収納部の斜視図である。
【図5a】上方収納部の平面図である。
【図6】図5aに示した上方収納部の6−6線断面図である。
【図7a】シリンジキャップを少なくとも一時的に締め付けるキャップ保持部を有する放射性医薬容器の概略図である。
【図7b】図7aに示した7b−7b線部分断面図である。
【図8a】シリンジキャップを少なくとも一時的に締め付けるキャップ保持部を有する別の構成の放射性医薬容器の概略図である。
【図8b】図8aに示した8b−8b線断面図である。
【図8c】図8bの一部拡大図である。
【図9】シリンジキャップを少なくとも一時的に締め付けるキャップ保持部を有する別の構成の放射性医薬容器の一部断面図である。
【図10a】図9のキャップ保持部の作動状態を示す図である。
【図10b】図9のキャップ保持部の作動状態を示す図である。
【図10c】図9のキャップ保持部の作動状態を示す図である。
【図10d】図9のキャップ保持部の作動状態を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射針と、該注射針を保護するシリンジキャップとを有する放射性医薬注射器収納用の放射線遮蔽容器において、
放射線遮蔽材からなる第1収納部と、
注射器を内部に封入するために該第1収納部を着脱可能に固定し、放射線遮蔽材からなる第2収納部と、
注射針の使用後に該注射針をシリンジキャップの開口端部に挿入できる位置に開口端部を配置するシリンジキャップを保持するキャップ保持部と
を備える放射線遮蔽容器。
【請求項2】
前記キャップ保持部は、容器の外表面に配置される、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項3】
前記第1収納部は、容器の上方部を規定するとともに、前記第2収納部は、容器の下方部を規定し、キャップ保持部を前記上方部に配置する、請求項2に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項4】
前記上方部に上端部を設け、キャップ保持部を該上端部に配置する、請求項3に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項5】
前記キャップ保持部は、空洞部を備え、
前記空洞部は、前記シリンジキャップの閉塞端部を収納して前記シリンジキャップを保持し、前記シリンジキャップを容器の上端から外方に突出させ、前記注射針を挿入するために前記シリンジキャップの開口端部を露出させる、請求項4に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項6】
前記キャップ保持部は、挿入部材でシリンジキャップを締め付けるように構成し、前記シリンジキャップを把持しなくても前記注射針から離脱するのを許容する、請求項5に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項7】
前記キャップ保持部は、前記シリンジキャップを選択的に離脱するように構成し、キャップ付き注射器を内部に収納することを許容する、請求項6に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項8】
前記キャップ保持部は、前記第1収納部と前記第2収納部のいずれかによって規定される空洞部を備え、
該空洞部は、前記シリンジキャップの閉塞端部を収納するとともに、前記注射針を挿入するために前記シリンジキャップの開口端部を露出させる、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項9】
前記キャップ保持部は、前記第1収納部と前記第2収納部のいずれかの内側に設けた開口端部を備え、前記第1収納部と前記第2収納部とが相互に連結されると、前記空洞部が封入される、請求項8に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項10】
前記放射線遮蔽材は、鉛、タングステン、劣化ウラン、タングステン含有プラスチックの少なくとも一つからなる、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項11】
前記キャップ保持部が配置される上端部を有する、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項12】
前記キャップ保持部は、前記シリンジキャップを締め付けるように構成し、前記シリンジキャップが前記注射針から離脱するのを許容する、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項13】
前記キャップ保持部は、前記シリンジキャップを選択的に離脱するように構成し、キャップ付き注射器を内部に収納することを許容する、請求項12に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項14】
前記キャップ保持部は、空洞部を備え、
該空洞部は、前記シリンジキャップの閉塞端部を収納するとともに、前記シリンジキャップを締め付けるように構成し、前記シリンジキャップを内部に押し込んで締付及び保持し、前記シリンジキャップを締付構造で離脱する、請求項13に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項15】
放射性医薬注射器を内部に収納する、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項16】
一回分の放射性医薬を充填して前記放射性医薬注射器を内部に収納した、請求項15に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項17】
前記キャップ保持部は、第1キャップ保持部の他、第2キャップ保持部をさらに備え、
該第2キャップ保持部は、前記第1キャップ保持部で保持したものと異なるシリンジキャップを前記注射針に挿入するために前記シリンジキャップの開口端部を露出させる位置に保持する、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項18】
前記キャップ保持部は、使用者による注射針のキャップが可能な位置に自立するように構成された自立構造部を備える前記第1収納部と前記第2収納部の少なくとも一つに支持される、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項19】
使用者による注射針のキャップが可能な位置に前記自立構造部によって支持される前記第1収納部と前記第2収納部の少なくとも一つを傾けるのに必要な力は、前記シリンジキャップを前記放射性医薬注射器に固定するのに必要な力よりも大きい、請求項18に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項20】
前記自立構造部によって支持される前記第1収納部と前記第2収納部の少なくとも一つの重量は、前記注射針の前記シリンジキャップを前記放射性医薬注射器に固定するのに必要な力よりも大きい、請求項18に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項21】
前記キャップ保持部の縦軸が、容器の縦軸と略平行である、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項22】
第1収納部と第2収納部とを備え、該第1収納部を該第2収納部に着脱可能に固定して前記第1収納部を前記第2収納部とで内部空間を封入する放射線遮蔽容器を用いて放射性医薬注射器の注射針をキャップする方法において、
キャップ保持部がシリンジキャップを保持するように、前記放射線遮蔽容器に設けたキャップ保持部にシリンジキャップを差し込む工程と、
放射性医薬注射器で放射性医薬を患者に投与して、放射性医薬注射器を使用済み状態にする工程と、
該使用済み放射性医薬注射器にシリンジキャップを取り付けるためにキャップ保持部でシリンジキャップを保持した状態で、皮下注射針をシリンジキャップに挿入する工程と
を含むキャップ方法
【請求項23】
前記差し込み工程には、シリンジキャップの少なくとも一部をキャップ保持部の空洞部に挿入して、シリンジキャップを空洞部内で締め付ける工程が含まれる、請求項22に記載のキャップ方法。
【請求項24】
キャップした放射性医薬注射器を前記内部空間に収納する工程と、前記第1収納部と前記第2収納部に固定して前記内部空間に前記放射性医薬注射器を封入する工程とがさらに含まれる、請求項22に記載のキャップ方法。
【請求項25】
前記内部空間に前記放射性医薬注射器を封入する工程には、患者に放射性医薬を投与する前に放射性医薬を充填した放射性医薬注射器を収納する工程が含まれる、請求項24に記載のキャップ方法。
【請求項26】
前記使用済み放射性医薬注射器を前記シリンジキャップに挿入する工程には、キャップ保持部に保持された前記シリンジキャップに挿入する工程が含まれる、請求項22に記載のキャップ方法。
【請求項27】
放射性医薬注射器からシリンジキャップが取り外されている間、キャップ保持部で前記シリンジキャップを締め付ける工程がさらに含まれる、請求項22に記載のキャップ方法。
【請求項28】
使用前に、シリンジキャップと装着済みの注射針をキャップ保持部に挿入して保持させることで、装着済みの注射針を前記放射性医薬注射器から取り外す工程がさらに含まれる、請求項22に記載のキャップ方法。
【請求項29】
前記皮下注射針を挿入する工程には、放射線遮蔽容器を把持せずに使用済み放射性医薬注射器の皮下注射針を前記シリンジキャップに挿入する工程が含まれる、請求項22に記載のキャップ方法。
【請求項30】
放射線遮蔽容器の使用方法において、
該放射線遮蔽容器の外側に連結された差し込み部にシリンジキャップを挿入する工程と、
前記差し込み部にシリンジキャップが挿入されている状態で、注射針を前記シリンジキャップに挿入する工程と
を含む、放射線遮蔽容器の使用方法。
【請求項31】
前記シリンジキャップに前記注射針を挿入するまでに、前記注射針が生物学的に汚染される工程をさらに含む、請求項30に記載の放射線遮蔽容器の使用方法。
【請求項32】
前記シリンジキャップに前記注射針を挿入するまでに、前記注射針を介して放射性医薬が排出されるとともに、前記注射針に前記放射性医薬が残存する工程を含む、請求項30に記載の放射線遮蔽容器の使用方法。
【請求項33】
前記放射線遮蔽容器を把持しなくても、前記注射針を挿入することができる工程を含む、請求項30に記載の放射線遮蔽容器の使用方法。
【請求項1】
注射針と、該注射針を保護するシリンジキャップとを有する放射性医薬注射器収納用の放射線遮蔽容器において、
放射線遮蔽材からなる第1収納部と、
注射器を内部に封入するために該第1収納部を着脱可能に固定し、放射線遮蔽材からなる第2収納部と、
注射針の使用後に該注射針をシリンジキャップの開口端部に挿入できる位置に開口端部を配置するシリンジキャップを保持するキャップ保持部と
を備える放射線遮蔽容器。
【請求項2】
前記キャップ保持部は、容器の外表面に配置される、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項3】
前記第1収納部は、容器の上方部を規定するとともに、前記第2収納部は、容器の下方部を規定し、キャップ保持部を前記上方部に配置する、請求項2に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項4】
前記上方部に上端部を設け、キャップ保持部を該上端部に配置する、請求項3に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項5】
前記キャップ保持部は、空洞部を備え、
前記空洞部は、前記シリンジキャップの閉塞端部を収納して前記シリンジキャップを保持し、前記シリンジキャップを容器の上端から外方に突出させ、前記注射針を挿入するために前記シリンジキャップの開口端部を露出させる、請求項4に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項6】
前記キャップ保持部は、挿入部材でシリンジキャップを締め付けるように構成し、前記シリンジキャップを把持しなくても前記注射針から離脱するのを許容する、請求項5に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項7】
前記キャップ保持部は、前記シリンジキャップを選択的に離脱するように構成し、キャップ付き注射器を内部に収納することを許容する、請求項6に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項8】
前記キャップ保持部は、前記第1収納部と前記第2収納部のいずれかによって規定される空洞部を備え、
該空洞部は、前記シリンジキャップの閉塞端部を収納するとともに、前記注射針を挿入するために前記シリンジキャップの開口端部を露出させる、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項9】
前記キャップ保持部は、前記第1収納部と前記第2収納部のいずれかの内側に設けた開口端部を備え、前記第1収納部と前記第2収納部とが相互に連結されると、前記空洞部が封入される、請求項8に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項10】
前記放射線遮蔽材は、鉛、タングステン、劣化ウラン、タングステン含有プラスチックの少なくとも一つからなる、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項11】
前記キャップ保持部が配置される上端部を有する、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項12】
前記キャップ保持部は、前記シリンジキャップを締め付けるように構成し、前記シリンジキャップが前記注射針から離脱するのを許容する、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項13】
前記キャップ保持部は、前記シリンジキャップを選択的に離脱するように構成し、キャップ付き注射器を内部に収納することを許容する、請求項12に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項14】
前記キャップ保持部は、空洞部を備え、
該空洞部は、前記シリンジキャップの閉塞端部を収納するとともに、前記シリンジキャップを締め付けるように構成し、前記シリンジキャップを内部に押し込んで締付及び保持し、前記シリンジキャップを締付構造で離脱する、請求項13に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項15】
放射性医薬注射器を内部に収納する、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項16】
一回分の放射性医薬を充填して前記放射性医薬注射器を内部に収納した、請求項15に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項17】
前記キャップ保持部は、第1キャップ保持部の他、第2キャップ保持部をさらに備え、
該第2キャップ保持部は、前記第1キャップ保持部で保持したものと異なるシリンジキャップを前記注射針に挿入するために前記シリンジキャップの開口端部を露出させる位置に保持する、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項18】
前記キャップ保持部は、使用者による注射針のキャップが可能な位置に自立するように構成された自立構造部を備える前記第1収納部と前記第2収納部の少なくとも一つに支持される、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項19】
使用者による注射針のキャップが可能な位置に前記自立構造部によって支持される前記第1収納部と前記第2収納部の少なくとも一つを傾けるのに必要な力は、前記シリンジキャップを前記放射性医薬注射器に固定するのに必要な力よりも大きい、請求項18に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項20】
前記自立構造部によって支持される前記第1収納部と前記第2収納部の少なくとも一つの重量は、前記注射針の前記シリンジキャップを前記放射性医薬注射器に固定するのに必要な力よりも大きい、請求項18に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項21】
前記キャップ保持部の縦軸が、容器の縦軸と略平行である、請求項1に記載の放射線遮蔽容器。
【請求項22】
第1収納部と第2収納部とを備え、該第1収納部を該第2収納部に着脱可能に固定して前記第1収納部を前記第2収納部とで内部空間を封入する放射線遮蔽容器を用いて放射性医薬注射器の注射針をキャップする方法において、
キャップ保持部がシリンジキャップを保持するように、前記放射線遮蔽容器に設けたキャップ保持部にシリンジキャップを差し込む工程と、
放射性医薬注射器で放射性医薬を患者に投与して、放射性医薬注射器を使用済み状態にする工程と、
該使用済み放射性医薬注射器にシリンジキャップを取り付けるためにキャップ保持部でシリンジキャップを保持した状態で、皮下注射針をシリンジキャップに挿入する工程と
を含むキャップ方法
【請求項23】
前記差し込み工程には、シリンジキャップの少なくとも一部をキャップ保持部の空洞部に挿入して、シリンジキャップを空洞部内で締め付ける工程が含まれる、請求項22に記載のキャップ方法。
【請求項24】
キャップした放射性医薬注射器を前記内部空間に収納する工程と、前記第1収納部と前記第2収納部に固定して前記内部空間に前記放射性医薬注射器を封入する工程とがさらに含まれる、請求項22に記載のキャップ方法。
【請求項25】
前記内部空間に前記放射性医薬注射器を封入する工程には、患者に放射性医薬を投与する前に放射性医薬を充填した放射性医薬注射器を収納する工程が含まれる、請求項24に記載のキャップ方法。
【請求項26】
前記使用済み放射性医薬注射器を前記シリンジキャップに挿入する工程には、キャップ保持部に保持された前記シリンジキャップに挿入する工程が含まれる、請求項22に記載のキャップ方法。
【請求項27】
放射性医薬注射器からシリンジキャップが取り外されている間、キャップ保持部で前記シリンジキャップを締め付ける工程がさらに含まれる、請求項22に記載のキャップ方法。
【請求項28】
使用前に、シリンジキャップと装着済みの注射針をキャップ保持部に挿入して保持させることで、装着済みの注射針を前記放射性医薬注射器から取り外す工程がさらに含まれる、請求項22に記載のキャップ方法。
【請求項29】
前記皮下注射針を挿入する工程には、放射線遮蔽容器を把持せずに使用済み放射性医薬注射器の皮下注射針を前記シリンジキャップに挿入する工程が含まれる、請求項22に記載のキャップ方法。
【請求項30】
放射線遮蔽容器の使用方法において、
該放射線遮蔽容器の外側に連結された差し込み部にシリンジキャップを挿入する工程と、
前記差し込み部にシリンジキャップが挿入されている状態で、注射針を前記シリンジキャップに挿入する工程と
を含む、放射線遮蔽容器の使用方法。
【請求項31】
前記シリンジキャップに前記注射針を挿入するまでに、前記注射針が生物学的に汚染される工程をさらに含む、請求項30に記載の放射線遮蔽容器の使用方法。
【請求項32】
前記シリンジキャップに前記注射針を挿入するまでに、前記注射針を介して放射性医薬が排出されるとともに、前記注射針に前記放射性医薬が残存する工程を含む、請求項30に記載の放射線遮蔽容器の使用方法。
【請求項33】
前記放射線遮蔽容器を把持しなくても、前記注射針を挿入することができる工程を含む、請求項30に記載の放射線遮蔽容器の使用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5a】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5a】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【公表番号】特表2008−540042(P2008−540042A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512440(P2008−512440)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/018905
【国際公開番号】WO2006/124891
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(595181003)マリンクロッド・インコーポレイテッド (203)
【氏名又は名称原語表記】Mallinckrodt INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/018905
【国際公開番号】WO2006/124891
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(595181003)マリンクロッド・インコーポレイテッド (203)
【氏名又は名称原語表記】Mallinckrodt INC.
【Fターム(参考)】
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