説明

注射器製品ならびに関連する方法および使用

流体収容壁(48)を有する注射器バレル(42)を備える注射器製品(40)であって、流体収容壁(48)は、メタロセンポリプロピレンポリマーおよび有機リン酸塩清澄剤を含むポリマー組成物を使用して作製される、注射器製品。注射器製品は、使用に先立って、注入可能医療製剤(62)によって事前充填されてもよい。注射器製品は、注入可能医療製剤を患者に投与するために使用されてもよい。ポリマー組成物は、高圧と低圧の用途との両方において使用するために好適な透明度、機械的特性、および低い抽出率の組み合わせを有し、環状オレフィンコポリマーを大幅に下回るコストを伴って注射器バレルに作製され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第61/304,537号(名称「SYRINGE PRODUCTS AND RELATED METHODS AND USES」、2010年2月15日出願)の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、注射器の分野に関し、より具体的には、ポリマー組成物によって作製される注射器バレル壁を有する注射器の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の医療手技は、1つ以上の医療流体が患者に注入されることを要求する。例えば、医療撮像手技はしばしば、おそらく生理食塩水および/または他の流体とともに患者への造影剤の注入を含む。他の医療手技は、治療または待機療法の目的のために患者に1つ以上の流体を注入することを含む。自動注入器は、特に、高い注入速度または非常に制御された速度における注入を含む多くの用途に対して使用されてもよい。いずれの場合でも、注入されるべき流体は、注入に先立って注射器内に収容され、より具体的には、注射器の注射器バレル内に収容される。注入動作の間、流体は、一般的には注射器プランジャ、すなわち、前進する注射器プランジャの反対側に位置する出口ポートから外に流体を流動させる、注射器バレル内のピストンの前進によってもたらされる流体圧力によって注射器から排出される。手持式注射器に関しては、注射器プランジャは、注射器プランジャを注射器バレル内で前進させる力を印加するプッシュロッドを手で押すことによって前進させられる。
【0004】
自動注入器は、概して、一般的にパワーヘッドと呼ばれるものを含む。1つ以上の注射器が、種々の方式で(例えば、着脱式、後方装填式、前方装填式、側面装填式)パワーヘッドに搭載されてもよい。注射器プランジャは、注射器プランジャドライバの動作が、注射器のバレルの内側で、かつそれに対して(すなわち、注射器の出口ポートに向かって、またはそこから離れるように)、関連付けられた注射器プランジャを軸方向に前進させるように、パワーヘッドに組み込まれる適切な注射器ドライバと界面接触する(例えば、接触および/または一時的に相互接続する)ように設計される。1つの一般的な注射器プランジャドライバは、ネジ山付き主ネジまたは駆動ネジに搭載されるラムの形態である。1つの回転方向への駆動ネジの回転が、1つの軸方向に関連ラムを前進させる一方で、反対の回転方向への駆動ネジの回転は、反対の軸方向に関連ラムを前進させる。
【0005】
注射器バレル内に流体を収容し、その流体が保管および使用中に接触する注射器バレルの壁は、特定の用途の必要性と一致するある特性を有するべきである。注射器バレル壁は、注入動作の間、注射器バレル内に予測される圧力に対して、適度な圧力定格を有するべきである。壁は、使用に先立って、注射器バレル内の収容物の視覚検査を可能にし、何らかの異常を識別するために十分に透明であるべきである。壁は、保管、輸送、取扱い、または使用の間に、構造上、損傷を受ける可能性がないように十分に靭性であるべきである。壁は、壁が接触している注射器の収容物に対して十分に不活性であるべきである。例えば、壁は、注射器の収容物の汚染または化学的変質さえもたらし得る、注射器の流体収容物の中への抽出を被りやすい有意量の成分を含有すべきではない。注射器内に収容される流体中に抽出され得る壁材料の成分の傾向特性は、多くの場合、「抽出率」と称される。低い抽出率が概して望ましい。
【0006】
操作効率および品質管理の観点から、種々の異なる用途および種々の異なる管轄における使用に対して設計される注射器の加工のために使用され得る単一材料の構成を有することが有益であろう。しかしながら、理解されるように、異なる注射器用途は、特に、低圧用途と比較して、高圧用途の圧力定格に関して異なる要件を有するであろう。例えば、いくつかの自動注入用途は、超高圧定格を有する注射器バレルを要求し得る一方、多くの手動注射器用途は、そのような高圧定格を要求しない。また、異なる管轄は、同一種類の注射器用途に関連してさえも異なる規制要件を課す。
【0007】
ガラス組成物は、長い間、注射器バレルのための構成材料として使用されており、比較的に高い機械的特性、高い透明度、および低い抽出率によって、多くの異なる用途に対して適切である特性を有する。しかしながら、ガラスは、非常に高価である。
【0008】
ポリマー系組成物もまた、注射器バレルのための構成材料として使用されている。しかしながら、高圧定格、透明度、靭性、および低い抽出率の組み合わせを提供することは、概して、低圧用途のために必要とされ得るものよりも、高圧用途に対応するためにより高価な構成材料の設計および使用につながる。高圧と低圧用途との間の機械的要件の相違は、異なる管轄における規制要件における相違とともに、概して、異なる用途および異なる管轄に対して異なる構成材料を使用することによるか、または異なる用途と管轄との全体にわたって一様な構成材料を使用することによるのいずれかで対応されているが、一様材料は、用途のうちのいくつかまたは管轄のうちのいくつかに対する要件に対して必要以上に有意に高いコストがかかる。
【0009】
例えば、ポリオレフィンポリマー、特に、ポリプロピレンポリマーに基づく組成物は、注射器バレルを射出成形によって作製するために使用されている。使用されているポリプロピレンポリマーは、プロピレン反復単位のみを含有するホモポリマーと、プロピレン反復単位が主であるが、また、小割合の別の反復単位、多くの場合、エチレン反復単位も存在するコポリマーとを含む。そのような組成物において良好な透明度を得るために、多くの場合、清澄剤を組成物に添加する必要がある。しかしながら、清澄剤の添加は、組成物の1つ以上の機械的特性および抽出率を損ない得る。注射器本体のためのポリプロピレン組成物の使用において、大きな成功を収めているが、透明度、機械的特性、および抽出率間に良好な均衡を達成することは、特異な、異なる用途および管轄の全体にわたる使用に対して好適な経済的組成物に関して困難である。
【0010】
近年、射出成形によって注射器バレルを作製するために、環状オレフィンコポリマー(COC)が使用されている。COCは、環状オレフィンと直鎖オレフィンとの間のコポリマーである。COCは、Topas Advanced Polymers,Inc.(米国)およびTopas Advanced Polymers GmbH(独国)の商標名Topas(登録商標)として市販されている。COCは、良好な透明度、良好な機械的特性、および低い抽出率の組み合わせを呈し、いくつかの異なる注射器用途および異なる管轄全体にわたる広範囲の用途を構成材料にもたらすが、しかしながら、COCは、非常に高価である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の側面は、流体収容壁と、少なくとも部分的に流体収容壁によって画定される内部体積とを備える注射器製品によって提供される。注射器プランジャは、内部体積の中に移動可能に配置され、内部体積の中において移動可能であって、内部体積の少なくとも一部の中に、流体吸引または流体圧力のうちの少なくとも1つをもたらすことを達成する。流体収容壁は、メタロセンポリプロピレンポリマーと有機リン酸塩清澄剤とを含むポリマー組成物から作製される(例えば、本質的にそれらから構成される)。ポリマー組成物は、高圧と低圧の用途との両方において使用するために好適な透明度、機械的特性、および低い抽出率の組み合わせを有し、環状オレフィンコポリマーを大幅に下回るコストを伴って注射器バレルに作製され得る。
【0012】
本明細書で使用されるように、「メタロセンポリプロピレンポリマー」は、プロピレン反復単位が主であって(少なくともプロピレン反復単位が重量の大部分)、メタロセン触媒とともに、随意に、1つ以上の他の触媒を使用して作製されるポリマーである。メタロセン触媒は、メタロセン化合物に基づく。メタロセンポリプロピレンは、時として、mPPと略記されるが、メタロセン触媒の不在下において、Ziegler−Natta触媒を使用して作製されるいくつかの従来のポリプロピレン等、メタロセン触媒を使用せずに作製されるポリプロピレンポリマーとは区別される。メタロセン触媒およびメタロセンポリプロピレンポリマーは、ポリオレフィンポリマー製造の分野において周知である。例えば、いくつかのメタロセンポリプロピレンおよびメタロセン触媒に関する米国特許第6,376,407号および第6,518,377号(その内容は、参照することによって本明細書に援用される)を参照されたい。いくつかの市販のメタロセンポリプロピレンポリマーの実施例として、ExxonMobil ChemicalのAchieveTM1605およびAchieveTM3854、Lyondeil BasellのMetocene HM560R、ならびにTotal PetrochemicalsのM3766が挙げられる。
【0013】
メタロセンポリプロピレンは、射出成形に対して好適な特性を有し得る。一つの好ましい実装において、メタロセンポリプロピレンは、射出成形に対して好適な範囲内のメルトフローレートを有し得る。メルトフローレートは、例えば、ASTM D 1238またはISO 1133に従って決定されてもよい。
【0014】
メタロセンポリプロピレンポリマーは、単一のメタロセンポリプロピレン生成物から構成されてもよく、あるいはポリマー組成物の作製に先立って事前に混成され得るか、または最初にポリマー組成物の製造の間に、一緒に混合され得る2つ以上の異なるメタロセンポリプロピレン生成物から構成されてもよい。例えば、複数のメタロセンポリプロピレン生成物は、以下の差異のうちの1つ以上を含んでもよい:異なる分子量、ホモポリマー対コポリマー、異なるコポリマー、異なる微量成分群、および異なる添加剤(例えば、処理のため)。
【0015】
本明細書で使用されるように、「コポリマー」とは、2つ以上の異なる種類の反復単位を含有するポリマーを意味する。メタロセンポリプロピレンポリマーが、コポリマーであるか、またはそれを含有するとき、コポリマーは、好ましくは、少なくとも95重量%、より好ましくは、少なくとも97重量%、さらにより好ましくは、少なくとも98重量%のプロピレン反復単位から構成される。コポリマーは、好ましくは、エチレン反復単位を含み、エチレン反復単位は、コポリマーに対してある重量割合で存在し、好ましくは、5重量%未満、より好ましくは、3重量%未満、さらにより好ましくは、2重量%未満、なおより好ましくは、1.5重量%未満である。存在するとき、エチレン反復単位は、多くの場合、少なくとも0.25重量%の重量割合において、コポリマー内に存在するであろう。
【0016】
清澄剤は、任意の有機リン酸塩清澄剤であってもよい。有機リン酸塩は、有機リン酸エステルまたはその金属塩であってもよい。例えば、有機リン酸塩は、環状有機リン酸エステルの塩基性多価金属塩であってもよい。有機リン酸塩清澄剤のいくつかの非限定的実施例は、米国特許第4,463,113号および第5,342,868号に提供され、参照することによって本明細書に援用される。好ましい有機リン酸塩清澄剤は、Amfine Chemical Corporation製NA−11およびNA−21であって、NA−21がより好ましい。
【0017】
メタロセンポリプロピレンポリマーは、ポリマー組成物の重量の大部分を構成してもよく、好ましくは、ポリマー組成物は、少なくとも97重量%、より好ましくは、少なくとも98重量%、さらにより好ましくは、少なくとも99重量%のメタロセンポリプロピレンポリマーから構成される。ポリマー組成物は、任意の好適な濃度において、有機リン酸塩清澄剤を含んでもよい。有機リン酸塩清澄剤の濃度は、所望のレベルの清澄のポリマー組成物を提供するために十分に高くあるべきである。有機リン酸塩清澄剤の濃度はまた、望ましくないレベルの抽出性をポリマー組成物中に導入しないように十分に低くあるべきである。好ましくは、ポリマー組成物は、少なくとも0.03重量%、より好ましくは、少なくとも0.05重量%、さらにより好ましくは、少なくとも0.1重量%、なおより好ましくは、少なくとも0.15重量%の有機リン酸塩清澄剤から構成される。ポリマー組成物は、好ましくは、0.4重量%以下、より好ましくは、0.3重量%以下、さらにより好ましくは、0.25重量%以下、なおより好ましくは、0.20重量%以下の有機リン酸塩清澄剤から構成される。一つの好ましい実装は、少なくとも99重量%のメタロセンポリプロピレンポリマーと、0.1重量%から0.25重量%までの有機リン酸塩清澄剤とを備えるポリマー組成物である。ポリマー組成物は、加工助剤等の微量の他の添加剤を備えてもよい。
【0018】
いくつかの特徴の改良および追加特徴が、本発明の第1の側面に適用可能である。これらの特徴の改良および追加特徴は、個別に、または任意の組み合わせで使用されてもよい。そのようなものとして、論議される以下の特徴のそれぞれは、任意の他の特徴または第1の側面の特徴の組み合わせとともに使用されてもよいが、そのように要求はされない。以下の論議は、本発明の第2の側面の論議の開始まで、第1の側面に適用可能である。
【0019】
注射器バレルの流体収容壁は、全体的または部分的にポリマー組成物から作製されてもよい。一つの好ましい実装では、それを通してプランジャが移動可能である注射器バレルの部品の実質的にすべてが、ポリマー組成物から作製されてもよい。別の好ましい実装では、注射器バレルは、例えば、一体型部品として注射器バレルの射出成形製造等によって実質的に全体がポリマー組成物から作製されてもよい。
【0020】
注射器は、内部体積の中においてプランジャの移動を生じさせるように、手動操作可能または機械操作可能である作動機構を有してもよい。一実装では、注射器製品は、手持式注射器の形式であってもよい。別の実装では、注射器製品は、自動注入器と併用するための自動注入注射器の形式であってもよい(例えば、CovidienのOptiVantageTM DH注入システム、MedradのStelient CT注入システム、NematoのDual Shot Alpha注入システム)。
【0021】
流体収容壁は、少なくとも45%、好ましくは、少なくとも48%、より好ましくは、少なくとも49%の透明度を有してもよい。一つの好ましい実装では、流体収容壁は、少なくとも50%の透明度を有してもよい。例えば、透明度は、日本薬局方に規定されるように決定されてもよい。
【0022】
流体収容壁は、少なくとも01フィート重量ポンド(0.0138重量キログラムメートル)、好ましくは、少なくとも0.2フィート重量ポンド(0.0277重量キログラムメートル)の衝撃耐性を有してもよい。
【0023】
注射器バレルは、少なくとも200psi(1.38MPa)、または少なくとも250psi(1.72MPa)、または少なくとも300psi(2.07MPa)、またはさらに少なくとも350psi(2.41MPa)の内部圧力から生じる破裂による破損に対する耐性を有してもよい。一つの好ましい実施形態では、注射器バレルは、少なくとも370psiの内部圧力から生じる破裂による破損に対する耐性を有してもよい。別様に示されない限り、圧力は、ゲージ圧であって、絶対圧力ではない。
【0024】
注射器バレルは、220〜240ナノメートルの紫外線波長スペクトルに対する抽出試験吸光度で0.08未満、および241〜350ナノメートルの紫外線波長スペクトルに対する吸光度で0.05未満によって示される低い抽出率を有してもよい。例えば、抽出率は、日本薬局方に規定されるように決定されてもよい。
【0025】
注射器バレルの流体収容壁は、プランジャが移動可能に配置される円筒形の内部体積を有する管状区画を有してもよい。
【0026】
注射器製品は、患者への注入可能医療製剤の投与等のために、内部体積の中に配置される注入可能医療製剤を備えてもよい。注入可能医療製剤は、任意の組成物から構成され、治療、待機療法、診断、薬物送達、または処置の目的を含む、任意の医療関連使用のためのものであってもよい。「注入可能」とは、製剤が、注射器バレルの中におけるプランジャの前進によって、注射器から排出されるように十分に流動性であることを意味する。注入可能医療製剤は、多くの場合、液体の形態、または流動性を付与するための十分な液体を有する分散体の形態であろう。注入可能医療製剤の液体成分は、多くの場合、水性液体であってもよい。内部体積の中に配置され得るいくつかの注入可能医療製剤の実施例として、X線造影剤、磁気共鳴造影剤、超音波造影剤、生理食塩水、ヘパリン、および鎮痛薬が挙げられる。注射器は、内部体積の中に密封されたある体積の注入可能医療製剤を備える事前充填された注射器であってもよい。使用に先立って、密封が破壊されることにより、注入可能医療製剤を患者に投与するための使用の間、注入可能医療製剤が注射器バレルから排出可能にされるようにしてもよい。この意味で、密封は、注射器製品の使用が可能となるように破壊されるまでだけ継続するように設計される一時的な密封と見なされてもよい。
【0027】
注射器バレルは、プランジャの反対側の流体出口ポートとともに、随意に、プランジャと流体出口ポートとの間に配置される注入可能医療製剤を備えてもよい。流体出口ポートは、プランジャの前進の方向に対向する注射器バレルの遠位端に位置する首部分を通る狭窄した直径の孔によって提供されてもよく、それを通して、流体が、注入送達のために注射器バレルから流出する。流体出口ポートは、使用に先立って、輸送、保管、および取扱いの間、注入可能医療製剤が、注射器バレルから偶発的に流出することを阻止するように密封されてもよい。注射器の使用に先立って、密封が破壊されることにより、患者への注入可能医療製剤の投与のための注射器製品の使用を可能にしてもよい。再び、この意味で、密封は、注射器製品の使用を可能にするために破壊されるまでだけ継続するように設計される一時的密封として見なされてもよい。
【0028】
注射器製品は、注射器バレルの内部体積と流体的に連絡している皮下注射針を含んでもよい。代替として、注射器製品は、皮下注射針が存在しなくてもよく、その場合、注射器製品は、使用に先立って、皮下注射針と係合されるように適応されてもよく、または皮下注射針を伴わずに使用するように適応されてもよい。
【0029】
本発明の第2の側面は、本発明の第1の側面の注射器製品等の注射器製品の内部体積の中に、ある体積の注入可能医療製剤を導入するステップを含む、充填された注射器を調製するための方法によって提供される。
【0030】
いくつかの特徴の改良および追加特徴が、本発明の第2の側面に適用可能である。これらの特徴の改良および追加特徴は、個別に、または任意の組み合わせで使用されてもよい。そのようなものとして、論議される以下の特徴のそれぞれは、任意の他の特徴または第2の側面の特徴の組み合わせとともに使用されてもよいが、そのように要求はされない。以下の論議は、本発明の第3の側面の論議の開始まで、第2の側面に適用可能である。
【0031】
方法は、注射器製品が、事前充填された注射器製品である場合、使用に先立って充填された状態で輸送および/または保管され得る場合等、注射器製品の内部体積の中にある体積の注入可能医療製剤を導入後、内部体積の中に注入可能医療製剤の体積を密封するステップを備えてもよい。
【0032】
本発明の第1の側面に関連して前述の特徴改良および追加特徴のいずれも、本発明の第2の側面の注射器製品に適用可能な改良および追加特徴に等しく適用される。
【0033】
本発明の第3の側面は、本発明の第1の側面の注射器製品であり得る注射器製品から、ある体積の注入可能医療製剤を患者に注入するステップを備える注入可能医療製剤を患者に投与するための方法によって提供される。
【0034】
いくつかの特徴の改良および追加特徴が、本発明の第3の側面に適用可能である。これらの特徴の改良および追加特徴は、個別に、または任意の組み合わせで使用されてもよい。そのようなものとして、論議される以下の特徴のそれぞれは、任意の他の特徴または第3の側面の特徴の組み合わせとともに使用されてもよいが、そのように要求はされない。以下の論議は、本発明の第4の側面の論議の開始まで、第3の側面に適用可能である。
【0035】
注入は、注射器製品から患者に直接であってもよい(例えば、注射器製品が、皮下注射注射器であるとき)。代替として、注入は、注射器製品から中間装置を通して患者内まで行われてもよい(例えば、注射器製品が、自動注入注射器であるとき)。例えば、使用中、注射器製品は、患者から離れて位置してもよく、注入は、注射器バレルの出口から患者あるいは患者内またはそれに近接する注入装置に流体的な連絡を提供する中間注入管類を介してもよい。注入に先立って、注入可能医療製剤は、事前充填された注射器製品の場合のように、注射器製品の内部体積の中に密封されてもよい。注入は、注入可能医療製剤の体積を開封(密封を破壊)した後に行われてもよい。
【0036】
本発明の第1の側面に適用される特徴の改良および追加特徴は、本発明の第3の側面の注射器製品の特徴の改良および追加特徴と等しく適用可能である。
【0037】
本発明の第4の側面は、メタロセンポリプロピレンポリマーと、有機リン酸塩清澄剤とを備えるポリマー組成物の使用によって提供され、その使用は、注射器バレルの流体収容壁、あるいはそのような流体収容壁を含む注射器バレル、またはそのような注射器バレルを含む、注射器製品のためであってもよい。
【0038】
いくつかの特徴の改良および追加特徴が、本発明の第4の側面に適用可能である。これらの特徴の改良および追加特徴は、個別に、または任意の組み合わせで使用されてもよい。そのようなものとして、論議される以下の特徴のそれぞれは、任意の他の特徴または第4の側面の特徴の組み合わせとともに使用されてもよいが、そのように要求はされない。
【0039】
流体収容壁は、本発明の第1の側面に関連して説明されるような注射器バレル内、または本発明の第1の側面の注射器製品内にあってもよい。本発明の第1の側面の注射器バレル、流体収容壁、またはポリマー組成物のいずれかに関する本発明の第1の側面の特徴および改良は、本発明の第4の側面に等しく適用される。注射器バレルは、本発明の第1の側面の注射器製品の一部であってもよく、第1の側面の注射器製品の特徴の改良および追加特徴は、本発明の第4の側面に関連するそのような注射器製品に等しく適用される。
【0040】
いくつかの特徴の改良および追加特徴が、本発明の上記の第1、第2、第3および第4の側面のそれぞれに別々に適用可能である。これらの特徴の改良および追加特徴は、上記の第1、第2、第3および第4の側面のそれぞれに関して、個別に、または任意の組み合わせで使用されてもよい。「単数形」文脈または同等物に限定されることを意図する、本発明の任意の他の種々の側面の任意の特徴は、「唯一」、「単一」、「限定される」、または同等物等の用語によって、本明細書で明確に説明される。単に、一般的に許容されている先行詞の実践に従って、特徴を導入することによって、対応する特徴を単数形に限定するものではない(例えば、主題が、ある特徴を含むことを示すが、それだけで、主題が、特徴の単一発生のみを含むことを意味するものではない)。さらに、「少なくとも1つ」等の語句の任意の不使用もまた、対応する特徴を単数形に限定するものではない(例えば、主題が、ある特徴を含むことを示すが、主題が、そのような特徴の単一発生のみを含むことを意味するものではない)。特定の特徴に関連した語句「少なくとも概して」または同等物の使用は、対応する特色およびそのごくわずかな変形例を包含する(例えば、注射器バレルが、少なくとも概して円筒形であると示すことは、注射器バレルが円筒形であることを包含する)。最後に、語句「一実施形態では」、「一構成では」、「一変形例では」、または同等物と併せた特徴の参照は、単一の実施形態、構成、変形例等に、特徴の使用を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、注射器製品の一実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、注射器製品の別の実施形態の斜視図である。
【図3】図3は、注射器製品の別の実施形態の斜視図である。
【図4】図4は、注射器製品の別の実施形態の斜視図である。
【図5】図5は、注射器製品の別の実施形態の斜視図である。
【図6】図6は、自動注入器の一実施形態の概略図である。
【図7A】図7Aは、移動式スタンド搭載式の二重ヘッド自動注入器の一実施形態の斜視図である。
【図7B】図7Bは、図7Aの自動注入器によって使用されるパワーヘッドの拡大部分分解斜視図である。
【図7C】図7Cは、図7Aの自動注入器によって使用される注射器プランジャ駆動アセンブリの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
有機リン酸塩清澄剤によって清澄されるメタロセンポリプロピレンポリマーを備えるポリマー組成物は、任意の設計の注射器バレルに使用されてもよく、任意のそのような注射器バレルは、任意の注射器製品に含まれ得る。
【0043】
注射器製品のための一構成が、図1に例示される。図1に示されるように、注射器製品10は、注射器バレル12と、注射器バレル12の円筒形状の内部体積16内に移動可能に配置される注射器プランジャ14とを含む。注射器バレル12は、内部体積16の周りの流体収容壁18を含む。注射器バレル12の前面壁部分19は、使用中、プランジャの前進に対する停止部として作用する。前面壁部分は、例えば、平坦表面であってもよく、またはプランジャ14の前進表面と適合するようにテーパ状であってもよい。前面壁部分19に隣接する注射器バレル18の遠位端には、それを通る孔24を有する首部22がある。注射器プランジャ14は、内部体積内16を移動可能であって、長手軸20に沿って首部22に向かって前進するか、またはそこから離れるように後退する。注射器作動部材28は、プランジャ14およびハンドル30と接続される。フランジ32は、注射器バレル12の近位端に位置し、バレルの取扱いを容易にする。ハンドル30の操作を介して、注射器作動部材28は、内部体積16内に押し込まれるか、またはそこから引き抜かれ、内部体積16内のプランジャ14を首部22に向かって、またはそこから離れるように移動させ、それぞれ、内部体積16内に流体圧力または流体吸引をもたらし得る。注射器製品10は、フランジ32に隣接するバレルを把持し、ハンドル30を押すかまたは引いて、内部体積16内を注射器バレル12に対してプランジャ14を移動させることを介する手動操作に対して適応される。
【0044】
図2は、事前充填された注射器の形式の注射器製品の別の構成を例示する。構成は、図1の構成に類似するが、注入可能医療製剤によって事前に充填され、出口に蓋がかぶされている。図2に示されるように、注射器製品40は、遠位端における首部44と、近位端におけるフランジ46と、流体収容壁48と、内部体積52とを有する注射器バレル42を含む。注射器プランジャ50は、注射器バレル42の内部体積52内に移動可能に配置され、注射器プランジャ50は、ハンドル54の操作を介して、プランジャ作動部材56を内部体積52内に押し込むか、またはそこから引き抜くように移動可能である。首部44は、それを通る孔を有し、孔は首部44の遠位端部分を覆うキャップ60によって、遠位端において閉鎖される。図2に示される構成においては、プランジャ50と首部44との間に位置する内部体積52の一部の中に配置されるのは、キャップ60とプランジャ50との間の内部体積内に密封された注入可能医療製剤62である。注射器製品40を使用して注入可能医療製剤62を患者に注入するために、キャップ60は除去されてもよく、首部44を通る孔は、注入可能医療製剤62の少なくとも一部を患者に送達するために、皮下注射針または注入管類と流動的に接続されてもよい。
【0045】
図3は、皮下注射注射器の形式の注射器製品の別の構成を示す。図3の構成は、図1の構成に類似するが、皮下注射針を有する。図3に示されるように、注射器製品70は、遠位端における首部74と、近位端におけるフランジ76と、流体収容壁78と、内部体積80とを有する注射器バレル72を含む。内部体積78内に移動可能に配置されるのは、注射器プランジャ82であって、注射器プランジャ82は、ハンドル86の操作を介して、プランジャ作動部材84を内部体積80内に押し込むか、またはそこから引き抜くように移動可能である。バレル72の遠位端には、内部体積80と流体的に連絡している内部通路を含有する皮下注射針88があり、それを通して注入可能医療製剤が内部体積78から患者内に注入され得、それは、ハンドル84に圧力を印加してプランジャ80を首部74に向かって移動させ、首部74を通る孔および針88を通る内部通路を通して注入可能医療製剤を押し込むとによる。
【0046】
図4は、事前充填された皮下注射注射器の形式の注射器製品のための1つの特定の構成を例示する。図4の構成は、図3のものに類似するが、注入可能医療製剤によって事前に充填され、皮下注射針を覆って保護するように蓋がかぶされている。図4に示されるように、注射器製品100は、遠位端における首部104と、近位端におけるフランジ106と、流体収容壁108と、内部体積110とを有する注射器バレル102を含む。プランジャ112が、内部体積110内に移動可能に配置され、プランジャ112は、ハンドル116の操作を介して、プランジャ作動部材114を内部体積110内に押し込むかまたはそこから引き抜くことによって、内部体積110内を移動させられ得る。注射器製品100は、内部体積110と流体的に連絡している内部通路を有する皮下注射針118を含む。図4に示される構成において、注入可能医療製剤122は、内部体積110の一部の中に配置され、皮下注射針118および首部104は、保護キャップ120によって覆われる。注射器製品100を使用して注入可能医療製剤122を患者に注入するために、保護キャップ120が除去され、首部104を通る孔が、皮下注射針118を通して注入可能医療製剤122の少なくとも一部を患者に送達するために、皮下注射針118へのアクセスを可能してもよい。
【0047】
図5は、事前充填された自動注入注射器の形式の注射器製品の一構成を示す。図5に示されるように、注射器製品130は、遠位端に位置する首部134と、近位端に位置するフランジ136と、流体収容壁138と、内部体積140とを有する注射器バレル132を有する。内部体積140内に配置されるのは、プランジャ142であって、そこにシャフト144およびヘッド146を含むプランジャ連結器が接続され、自動注入注射器プランジャドライバと界面接触(例えば、係合)するように適応される。首部134を通る孔148は、使用中、注射器製品130から送達されるべき注入可能医療製剤150のための流体出口ポートを提供する。孔148は、首部134の遠位端を覆うキャップ152によって、遠位端において閉鎖される。内部体積140の一部の中に配置されるのは、キャップ152とプランジャ142との間の注射器バレル内に密封される注入可能医療製剤150である。注射器製品130を使用して、注入可能医療製剤150を患者に注入するために、キャップ152が除去され得、プランジャ連結器は、自動注入器の注射器プランジャドライバと係合されて、注射器プランジャ142を内部体積へと前進させ、孔148と流動的に相互接続され得る注入管類等を介する等して、注入可能医療製剤150の少なくとも一部を孔148を通しておよび注射器バレル132から外に押し進めることにより、注入可能医療製剤150を患者まで送達する。
【0048】
事前充填された注射器(例えば、図2の注射器製品40、図4の注射器製品100、図5の注射器製品130)は、別個に、またはセットとしてパッケージ化された複数の事前充填された注射器の集合としてパッケージ化(例えば、ボックス、プラスチック容器、または他のパッケージング構造内に封入)されてもよい。そのようなパッケージ化された事前充填された注射器は、製造業者および/または中間販売業者によって顧客に流通され、必要に応じて顧客によって直ぐに使用できる状態で一時的に保管されてもよい。使用に先立って、顧客は、事前充填された注射器をパッケージングから取り外し、使用のために注射器を調製してもよい(例えば、図2の注射器製品40からキャップ60を取り外すか、図4の注射器製品100から保護キャップ120を取り外すか、図5の注射器製品130からキャップ152を除去することによって)。
【0049】
充填された注射器を調製するための方法は、ある体積の注入可能医療製剤を、注射器製品、例えば、図1−5のいずれかに示されるような注射器製品のための構成のいずれかの内部体積の中に導入するステップを備える。方法の一変形例において、ある体積の注入可能医療製剤を注射器製品の内部体積の中に導入後、方法は、注入可能医療製剤の体積を内部体積の中に密封するステップを備えてもよい。そのような変形例は、例えば、事前充填された注射器の調製において使用されてもよい。
【0050】
例えば、注射器製品構成は、図1に示されるように、注射器プランジャの後退によって流体吸引をもたらし、首部内の孔を通して注射器バレルの内部体積内に注入可能医療製剤を引き込むことによって注射器バレルの内部体積内を医療注入製剤によって充填され得、その後、首部を通る孔は、キャップされ、その結果、図2に例示されるもの等の事前充填された注射器製品を調製し得る。内部体積を充填する代替方法は、プランジャを内部体積内に挿入することに先立って、注射器バレルの開放近位端を通して注入可能医療製剤を内部体積内に導入するステップ、または内部体積内に挿入されるプランジャによって、注射器バレルの首部を通る孔を通して注入可能医療製剤を内部体積内に導入するステップを伴い得る。内部体積を充填した後において、方法の一変形例は、注射器バレルを皮下注射針と嵌合するステップを備えてもよく、さらに、保護キャップ等によって皮下注射針を覆い、その結果、図4に例示されるもの等の事前充填された注射器製品を生成するステップを備えてもよい。類似手順が、図5に示されるような事前充填された自動注入注射器製品を調製するための方法において続いてもよい。
【0051】
注入可能医療製剤を患者に投与するための方法は、ある体積の注入可能医療製剤の少なくとも一部を注射器製品の内部体積から患者内に注入するステップを備える。注射器製品は、例えば、図1−5のいずれかに示される構成であってもよい。方法の一変形例では、注射器製品は、最初、内部体積内に密封された注入可能医療製剤を収容してもよく、方法は、注入に先立って、注射器製品の内部体積内の注入可能医療製剤の体積を開封するステップを備えてもよい。
【0052】
注入可能医療製剤を患者に投与するための方法の一変形例では、注入は、自動注入器を介してであってもよい。図6−7Cを参照して自動注入器のための一構成が説明される。
【0053】
図6は、パワーヘッド212を有する自動注入器210の一実施形態の概略図を提示する。1つ以上のグラフィカルユーザインターフェースまたはGUI211が、パワーヘッド212と関連付けられてもよい。各GUI211は、1)任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類であってもよい、2)任意の適切な方式でパワーヘッド212と動作可能に相互接続されてもよい、3)任意の適切な場所に配置されてもよい、4)自動注入器210の動作の1つ以上の側面を制御する、自動注入器210の動作と関連する1つ以上のパラメータを入力/編集するか、および(例えば、自動注入器210の動作と関連する)適切な情報を表示するといった、機能のうちのいずれかを提供するように構成されてもよい、または5)先述の内容の任意の組み合わせである。任意の適切な数のGUI211が利用されてもよい。一実施形態では、自動注入器210は、パワーヘッド212から独立しているが、それと連絡するコンソールによって組み込まれるGUI211を含む。別の実施形態では、自動注入器210は、パワーヘッド212の一部であるGUI211を含む。さらに他の実施形態では、自動注入器210は、パワーヘッド212と連絡する別個のコンソール上で1つのGUI211を利用し、また、パワーヘッド212上にある別のGUI211も利用する。各GUI211は、同じ機能性または一式の機能性を提供することができ、または、GUI211は、それぞれの機能性に関して少なくとも一部の側面において異なっていてもよい。
【0054】
注射器228は、このパワーヘッド212に設置されてもよく、設置されると、自動注入器210の一部と見なされてもよい。いくつかの注入手順は、注射器228内に発生させられる比較的高い圧力をもたらしてもよい。これに関して、圧力ジャケット226内に注射器228を配置することが望ましくあり得る。圧力ジャケット226は、一般的に、注射器228をパワーヘッド212上に設置するステップの一部として、またはそのステップの後に、注射器228がその中に配置されることを可能にする態様で、パワーヘッド212と関連付けられる。同一の圧力ジャケット226が、一般的に、種々の注射器228が複数の注入手順のために圧力ジャケット226内に定置され、そこから除去されるので、パワーヘッド212と関連付けられた状態のままとなる。自動注入器210が低圧注入のために構成/利用される場合、および/または自動注入器210によって利用される注射器228が圧力ジャケット226によって提供される追加の支持がなくとも、高圧注入に耐えるのに十分な耐久性がある場合に、自動注入器210は、圧力ジャケット226を排除してもよい。いずれの場合でも、注射器228から放出される流体は、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類の導管238の中へ方向付けられてもよく、任意の適切な方式で注射器228と流体的に相互接続されてもよく、流体を任意の適切な場所に(例えば、患者に)方向付けられてもよい。
【0055】
パワーヘッド212は、注射器228から流体を放出するために、注射器228(例えば、そのプランジャ232)と相互作用する(例えば、界面接触する)注射器プランジャ駆動アセンブリまたは注射器プランジャドライバ214を含む。この注射器プランジャ駆動アセンブリ214は、駆動出力218(例えば、回転可能な駆動ネジ)に電力供給する駆動源216(例えば、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類のモータ、オプションの歯車装置、および同等物)を含む。ラム220は、駆動出力218によって、適切な経路(例えば軸方向)に沿って前進させられてもよい。ラム220は、以下で論議される方式で、注射器228の対応する部分と相互作用または界面接触するための連結器222を含んでもよい。
【0056】
注射器228は、(例えば、双頭矢印Bと一致する軸に沿った軸方向の往復運動のために)注射器バレル230内に移動可能に配置されるプランジャまたはピストン232を含む。プランジャ232は、連結器234を含んでもよい。この注射器プランジャ連結器234は、注射器プランジャ駆動アセンブリ214が注射器バレル230内で注射器プランジャ232を後退させることを可能にするように、ラム連結器222と相互作用または界面接触してもよい。注射器プランジャ連結器234は、ヘッドまたはボタン236bとともに注射器プランジャ232の本体から延在する軸236aの形態であってもよい。しかしながら、注射器プランジャ連結器234は、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類であってもよい。
【0057】
概して、自動注入器210の注射器プランジャ駆動アセンブリ214は、(例えば、対応する注射器228から流体を放出するように)少なくとも1つの方向に(注射器バレル230に対して)注射器プランジャ232を移動または前進させることできるよう、任意の適切な方式で(例えば、機械的接触によって、(機械的または別様の)適切な連結によって)注射器228の注射器プランジャ232と相互作用してもよい。つまり、注射器プランジャ駆動アセンブリ214は、(例えば、同一の駆動源216の動作を介して)双方向運動が可能であってもよいが、自動注入器210は、注射器プランジャ駆動アセンブリ214の動作が、実際には、自動注入器210によって使用されている各注射器プランジャ232を1つの方向にしか移動させないように構成されてもよい。しかしながら、注射器プランジャ駆動アセンブリ214は、2つの異なる方向のそれぞれに(例えば、共通の軸方向経路に沿った異なる方向に)、それぞれのそのような注射器プランジャ232を移動させることができるよう、自動注入器210によって使用されている各注射器プランジャ232と相互作用するように構成されてもよい。
【0058】
注射器プランジャ232の後退は、後続の注入または放出のために、注射器バレル230の中への流体の装填に適応するために利用され得、後続の注入または放出のために、または任意の他の適切な目的で、注射器バレル230の中へ流体を実際に引き込むために利用され得る。ある構成は、注射器プランジャ駆動アセンブリ214が注射器プランジャ232を後退させることができることを要求しなくてもよく、その場合、ラム連結器222および注射器プランジャ連結器234が所望されなくてもよい。この場合、注射器プランジャ駆動アセンブリ214は、(例えば、別の事前充填された注射器228が設置された後に)別の流体送達動作を実行する目的で後退させられてもよい。ラム連結器222および注射器プランジャ連結器234が利用されるときでさえも、ラム220が注射器プランジャ232を前進させて、注射器228から流体を放出する(例えば、ラム220が、単純に注射器プランジャ連結器234、または注射器プランジャ232の近位端を直接「押し進め」てもよい)ときに、これらの構成要素は連結されてもされなくてもよい。ラム連結器222および注射器プランジャ連結器234を連結の状態または条件で配置するため、ラム連結器222および注射器プランジャ連結器234を非連結の状態または条件で配置するため、または両方のために、任意の適切な寸法または寸法の組み合わせで、任意の単一の運動または運動の組み合わせが利用されてもよい。
【0059】
注射器228は、任意の適切な方式でパワーヘッド212上に設置されてもよい。例えば、注射器228は、パワーヘッド212上に直接設置されるように構成することができる。例示された実施形態において、筐体224がパワーヘッド212上に適切に搭載されることにより、注射器228とパワーヘッド212との間に界面を提供する。この筐体224は、注射器228の1つ以上の構成が設置されてもよいアダプタの形式であってもよく、その場合、注射器228の少なくとも1つの構成は、任意のそのようなアダプタを使用することなく、パワーヘッド212上に直接設置することができる。筐体224は、注射器228の1つ以上の構成が設置されてもよいフェースプレートの形式であってもよい。この場合、フェースプレートは、パワーヘッド212上に注射器228を設置するために要求されるようなものであってもよく、フェースプレートなしで注射器228をパワーヘッド212上に直接設置することはできない。圧力ジャケット226が使用されているときは、注射器228に関して本明細書で論議される種々の方式で、それがパワーヘッド212上に設置されてもよく、次いで、注射器228は、その後、圧力ジャケット226の中に設置される。
【0060】
筐体224は、注射器228を設置するときに、パワーヘッド212上に搭載され、パワーヘッド212に対して固定位置に留まってもよい。別の選択肢は、注射器228の設置に適応するように、筐体224およびパワーヘッド212を移動可能に相互接続することである。例えば、筐体224は、双頭矢印Aを含有する平面内で移動して、ラム連結器222と注射器プランジャ連結器234との間で、連結の状態または条件および非連結の状態または条件のうちの1つ以上を提供してもよい。
【0061】
1つの特定の自動注入器構成が、図7Aに例示され、参照数字240によって識別され、少なくとも概して図1の自動注入器210に従う。自動注入器240は、移動式スタンド248上に搭載されるパワーヘッド250を含む。自動注入器240用の2つの注射器286a、286bが、パワーヘッド250上に搭載される。流体が、自動注入器240の動作中に注射器286a、286bから放出されてもよい。
【0062】
移動式スタンド248は、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類であってもよい。スタンド248を移動式にするために、車輪、ローラ、キャスタ、または同等物が利用されてもよい。パワーヘッド250は、移動式スタンド248に対して固定位置で維持することができる。しかしながら、少なくとも何らかの方式で、パワーヘッド250の位置が移動式スタンド248に対して調整可能となることを可能にすることが望ましくてもよい。例えば、注射器286a、286bのうちの1つ以上の中へ流体を装填するときに、移動式スタンド248に対して1つの位置にパワーヘッド250を有すること、および注入手順の実施のために移動式スタンド248に対して異なる位置にパワーヘッド250を有することが望ましくてもよい。これに関して、パワーヘッド250は、任意の適切な方式で(例えば、パワーヘッド250が少なくともある可動域を通して旋回させられ、その後、所望の位置に維持されてもよいように)移動式スタンド248と移動可能に相互接続されてもよい。
【0063】
パワーヘッド250は、流体を提供するために任意の適切な方式で支持することができると理解されたい。例えば、移動式構造上に搭載される代わりに、パワーヘッド250は、支持アセンブリと相互接続することができ、支持アセンブリは、次に、適切な構造(例えば、天井、壁、床)上に搭載される。パワーヘッド250用の任意の支持アセンブリが、(例えば、1つ以上の他の支持区画に対して再定置されてもよい1つ以上の支持区画を有することによって)少なくとも何らかの点で位置調整可能であってもよく、または、固定位置で維持されてもよい。さらに、パワーヘッド250は、固定位置に維持されるよう、または支持アセンブリに対して調整可能となるよう、任意のそのような支持アセンブリと一体化してもよい。
【0064】
パワーヘッド250は、グラフィカルユーザインターフェースまたはGUI252を含む。このGUI252は、以下の機能:自動注入器240の動作の1つ以上の側面の制御、自動注入器240の動作と関連付けられた1つ以上のパラメータの入力/編集、および(例えば、自動注入器240の動作と関連付けられた)適切な情報の表示のうちの1つまたはそれらの組み合わせを提供するように構成されてもよい。自動注入器240はまた、それぞれ任意の適切な方式で(例えば、1つ以上のケーブルを介して)パワーヘッド250と通信してもよい検査室の中または任意の他の適切な場所のテーブル上に配置されるか、または電子機器ラック上に搭載されてもよいか、または両方であってもよいコンソール242および電力パック246を含んでもよい。電力パック246は、注入器240用の電力供給部、コンソール242とパワーヘッド250との間の通信を提供するためのインターフェース回路、遠隔コンソール、遠隔手動または足踏み制御スイッチ、または他の相手先ブランド製造業者(OEM)の遠隔制御接続(例えば、自動注入器240の動作が撮像システムのX線被曝と同期化されることを可能にする)等の遠隔ユニットへの自動注入器240の接続を可能にするための回路、および任意の他の適切な構成要素のうちの1つ以上を任意の適切な組み合わせにおいて含んでもよい。コンソール242は、タッチスクリーンディスプレイ244を含んでもよく、それは次に、操作者が自動注入器240の動作の1つ以上の側面を遠隔制御することを可能にするか、操作者が自動注入器240の動作と関連する1つ以上のパラメータを入力/編集することを可能にするか、操作者が自動注入器240の自動化動作のためのプログラムを特定し、記憶することを可能にする(後に、操作者による開始時に自動注入器240によって自動的に実行することができる)か、および自動注入器240の動作と関連し、その動作の任意の側面を含む任意の適切な情報を表示する機能のうちの1つ以上を任意の適切な組み合わせで提供してもよい。
【0065】
パワーヘッド250との注射器286a、286bの統合に関する種々の詳細を図7Bに提示する。注射器286a、286bの各々は、同一の一般的構成を含む。注射器286aは、注射器バレル288a内に移動可能に配置されるプランジャまたはピストン290aを含む。パワーヘッド250の動作を介した軸300a(図7A)に沿ったプランジャ290aの運動は、注射器286aのノズル289aを通して注射器バレル288a内から流体を放出するであろう。適切な導管(図示せず)が、一般的には、流体を所望の場所(例えば、患者)に配向するように、任意の適切な方式でノズル289aと流体的に相互接続されるであろう。同様に、注射器286bは、注射器バレル288b内に移動可能に配置されるプランジャまたはピストン290bを含む。パワーヘッド250の動作を介した、軸300b(図7A)に沿ったプランジャ290bの運動は、注射器286bのノズル289bを通して注射器バレル288b内から流体を放出するであろう。適切な導管(図示せず)が、一般的には、流体を所望の場所(例えば、患者)に配向されるように、任意の適切な方式でノズル289bと流体的に相互接続されるであろう。
【0066】
注射器286aは、中間フェースプレート302aを介してパワーヘッド250と相互接続される。このフェースプレート302aは、注射器バレル288aの少なくとも一部を支持し、任意の追加の機能性または機能性の組み合わせを提供/適応してもよいクレードル304を含む。搭載部282aが、フェースプレート302aと界面接触するためにパワーヘッド250上に配置され、パワーヘッド250に対して固定される。注射器286aに対する注射器プランジャドライバアセンブリまたは注射器プランジャドライバ256(図7C)の各部分である、ラム274(図7C)のラム連結器276は、パワーヘッド250上に搭載されると、フェースプレート302aに近接して定置される。注射器プランジャ駆動アセンブリ256に関する詳細を、図7Cに関して以下でより詳細に論議する。概して、ラム連結器276は、注射器286aの注射器プランジャ290aと連結されてもよく、次いで、ラム連結器276およびラム274(図7C)は、軸300a(図7A)に沿って注射器プランジャ290aを移動させるように、パワーヘッド250に対して移動させられてもよい。それは、注射器プランジャ290aを移動させ、注射器286aのノズル289aを通して流体を放出するときに、ラム連結器276が注射器プランジャ290aと係合されるが、実際には連結されないようなものであってもよい。
【0067】
フェースプレート302aは、パワーヘッド250上にフェースプレート302aを搭載するとともに、パワーヘッド250上のその搭載部282aからフェースプレート302aを除去するために、(それぞれ、注射器プランジャ290a、290bの運動と関連し、図7Aに例示される)軸300a、300bに対して直角である平面内において少なくとも概して移動させられてもよい。フェースプレート302aは、注射器プランジャ290aを、パワーヘッド250上の対応するラム連結器276と連結するために使用されてもよい。これに関して、フェースプレート302aは、一対のハンドル306aを含む。概して、注射器286aが最初にフェースプレート302a内に定置されると、ハンドル306aは次に、(それぞれ、注射器プランジャ290a、290bの運動と関連し、図7Aに例示される)軸300a、300bに対して直角である平面内において少なくとも概して注射器286aを移動/並進させるように移動させられてもよい。ハンドル306aを1つの位置に移動させることにより、少なくとも概して下向きの方向に(フェースプレート302aに対して)注射器286aを移動/並進させて、注射器プランジャ290aを、その対応するラム連結器276と連結する。ハンドル306aを別の位置に移動させることにより、少なくとも概して上向きの方向に(フェースプレート302aに対して)注射器286aを移動/並進させて、注射器プランジャ290aをその対応するラム連結器276から外す。
【0068】
注射器286bは、中間フェースプレート302bを介してパワーヘッド250と相互接続される。搭載部282bが、フェースプレート302bと界面接触するようにパワーヘッド250上に配置され、パワーヘッド250に対して固定される。注射器286bに対する注射器プランジャ駆動アセンブリ256の部分であるラム274(図7C)のラム連結器276は、パワーヘッド250に搭載されると、フェースプレート302bに近接して定置される。注射器プランジャ駆動アセンブリ256に関する詳細を、図7Cに関して以下でより詳細に論議する。概して、ラム連結器276は、注射器286bの注射器プランジャ290bと連結されてもよく、次いで、ラム連結器276およびラム274(図7C)は、軸300b(図7A)に沿って注射器プランジャ290bを移動させるように、パワーヘッド250に対して移動させられてもよい。それは、注射器プランジャ290bを移動させ、注射器286bのノズル289bを通して流体を放出するときに、ラム連結器276が注射器プランジャ290bと係合されるが、実際に連結されないようなものであってもよい。
【0069】
フェースプレート302bは、パワーヘッド250上にフェースプレート302bを搭載するとともに、パワーヘッド250上のその搭載部282bからフェースプレート302bを除去するために、(それぞれ、注射器プランジャ290a、290bの運動と関連し、図7Aに例示される)軸300a、300bに対して直角である平面内において少なくとも概して移動させられてもよい。フェースプレート302bはまた、注射器プランジャ290bを、パワーヘッド250上の対応するラム連結器276と連結するために使用されてもよい。これに関して、フェースプレート302bは、ハンドル306bを含んでもよい。概して、注射器286bが最初にフェースプレート302b内に定置されると、注射器286bは、その長手軸300b(図7A)に沿って、およびフェースプレート302bに対して回転させられてもよい。この回転は、ハンドル306bを動かすことによるか、注射器286bを把持して旋回させることによるか、または両方によって実現されてもよい。いずれの場合でも、この回転は、(それぞれ、注射器プランジャ290a、290bの運動と関連し、図7Aに例示される)軸300a、300bに対して直角である平面内において少なくとも概して注射器286bおよびフェースプレート302bの両方を移動/並進させる。注射器286bを1つの方向に回転させることにより、少なくとも概して下向きの方向に注射器286bおよびフェースプレート302bを移動/並進させて、注射器プランジャ290bを、その対応するラム連結器276と連結する。注射器286bを反対方向に回転させることにより、少なくとも概して上向きの方向に注射器286bおよびフェースプレート302bを移動/並進させて、注射器プランジャ290bをその対応するラム連結器276から外す。
【0070】
図7Bに例示されるように、注射器プランジャ290bは、プランジャ本体292と、注射器プランジャ連結器294とを含む。この注射器プランジャ連結器294は、プランジャ本体292から離間したヘッド296とともに、プランジャ本体292から延在するシャフト298を含む。ラム連結器276のそれぞれは、ラム連結器276の面の上のより小型のスロットの後に定置されるより大型のスロットを含む。注射器プランジャ連結器294のヘッド296は、ラム連結器276のより大型のスロットの中に定置されてもよく、注射器プランジャ連結器294のシャフト298は、注射器プランジャ290bおよびその対応するラム連結器276が連結の状態または条件であるときに、ラム連結器276の面の上のより小型のスロットを通って延在してもよい。注射器プランジャ290aは、その対応するラム連結器276と界面接触するために、同様の注射器プランジャ連結器294を含んでもよい。
【0071】
パワーヘッド250は、自動注入器240の場合、注射器286a、286bから流体を放出するために利用される。つまり、パワーヘッド250は、注射器286a、286bのそれぞれから流体を放出する原動力を提供する。注射器プランジャ駆動アセンブリまたは注射器プランジャドライバとして特徴付けられてもよいものの一実施形態が、図7Cに例示され、参照数字256によって識別され、注射器286a、286bのそれぞれから流体を放出するために、パワーヘッド250によって利用されてもよい。別個の注射器プランジャ駆動アセンブリ256が、注射器286a、286bのそれぞれに対するパワーヘッド250に組み込まれてもよい。これに関して、図7A−Bを再度参照すると、パワーヘッド250は、注射器プランジャ駆動アセンブリ256のそれぞれを別々に制御する際に使用するための手動ノブ280aおよび280bを含んでもよい。
【0072】
最初に、図7Cの注射器プランジャ駆動アセンブリ256に関して、その個々の構成要素のそれぞれは、任意の適切なサイズ、形状、構成、および/または種類であってもよい。注射器プランジャ駆動アセンブリ256は、出力シャフト260を有するモータ258を含む。駆動歯車262が、モータ258の出力シャフト260上に搭載され、それとともに回転する。駆動歯車262は、被駆動歯車264と係合されるか、または少なくとも係合可能である。この被駆動歯車264は、駆動ネジまたはシャフト266上に搭載され、それとともに回転する。周りを駆動ネジ266が回転する軸は、参照数字268によって識別される。1つ以上の軸受272が、駆動ネジ266を適切に支持する。
【0073】
台車またはラム274が、駆動ネジ266上に移動可能に搭載される。概して、1つの方向への駆動ネジ266の回転が、対応する注射器286a、bの方向へ駆動ネジ266に沿って(それにより、軸268に沿って)ラム274を軸方向に前進させる一方で、反対方向への駆動ネジ266の回転は、対応する注射器286a/bから離れるように駆動ネジ266に沿って(それにより、軸268に沿って)ラム274を軸方向に前進させる。これに関して、駆動ネジ266の少なくとも一部の周囲は、ラム274の少なくとも一部と界面接触するらせんネジ山270を含む。ラム274はまた、駆動ネジ266の回転中にラム274が回転することを可能にしない適切なブッシング278内に移動可能に搭載される。したがって、駆動ネジ266の回転は、駆動ネジ266の回転方向によって決定される方向で、ラム274の軸方向移動を提供する。
【0074】
ラム274は、対応する注射器286a/bの注射器プランジャ290a/bの注射器プランジャ連結器294と着脱可能に連結されてもよい、連結器276を含む。ラム連結器276と注射器プランジャ連結器294とが適切に連結されると、注射器プランジャ290a/bは、ラム274とともに移動する。図7Cは、注射器286a/bが、ラム274に連結されることなく、その対応する軸300a/bに沿って移動させられてもよい構成を図示する。その注射器プランジャ290a/bのヘッド296がラム連結器276と整列させられるが、軸268が依然として図7Cのオフセット構成にあるように、注射器286a/bが、その対応する軸300a/bに沿って移動させられるとき、ラム274がそれに沿って移動する軸268に対して直角である平面内において注射器286a/bが並進させられて得る。このことは、上記の方式でラム連結器276と注射器プランジャ連結器296との間に連結係合を確立する。
【0075】
図6および7A−Cの自動注入器210、240はそれぞれ、流体が対象(例えば、患者)に注入される医療画像用途、ならびに/あるいは任意の適切な医療診断、および/または治療用途(例えば、化学療法剤の注入、疼痛管理等)を無制限に含む任意の適切な用途に使用されてもよい。自動注入器210、240の代表的な医療画像用途は、コンピュータ断層撮影法またはCT撮像、磁気共鳴映像法またはMRI、単光子放射型コンピュータ断層撮影法またはSPECT撮像、陽電子放射型コンピュータ断層撮影法PET撮像、X線撮像、血管造影法、光学撮像、超音波撮像を無制限に含む。自動注入器210、240はそれぞれ、単独で、または1つ以上の他の構成要素と組み合わせて使用することができる。自動注入器210、240はそれぞれ、例えば、情報が自動注入器210、240と1つ以上の他の構成要素との間で伝えられてもよいように、1つ以上の構成要素と動作可能に相互接続されてもよい(例えば、スキャン遅延情報、注入開始信号、注入速度)。
【0076】
単一ヘッド構成(単一の注射器用)および二重ヘッド構成(2つの注射器用)を無制限に含む任意の数の注射器が、自動注入器210、240のそれぞれによって利用されてもよい。多重注射器構成の場合は、各自動注入器210、240は、任意の好適な方式で、任意のタイミングシーケンスに従って、種々の注射器から流体を放出してもよい(例えば、2つ以上の注射器からの連続放出、2つ以上の注射器からの同時放出、またはそれらの任意の組み合わせ)。複数の注射器が、(例えば、単一の注入部位に提供するために)共通導管の中へ放出してもよく、または1つの注射器が、(例えば、1つの注入部位に提供するために)1つの導管の中へ放出してもよい一方で、別の注射器は、(例えば、異なる注入部位に提供するために)異なる導管の中へ放出してもよい。自動注入器210、240の各々によって利用される各そのような注射器は、任意の適切な流体(例えば、医療流体)、例えば、造影剤、治療用流体、放射性医薬品、生理食塩水、および任意のそれらの組み合わせを含んでもよい。自動注入器210、240の各々によって利用される各々のそのような注射器は、任意の適切な方式で設置されてもよい(例えば、後方装填構成が利用されてもよいか、前方装填構成が利用されてもよいか、側面装填構成が利用されてもよい)。
【0077】
(実施例)
種々のポリプロピレンポリマー生成物および清澄剤を使用して、注射器バレルとして試験するためのポリマー試験組成物を作製した。清澄剤は、ポリマー生成物のうちのいくつかに添加された。ポリマー生成物のうちのいくつかは、製造業者によって既に添加されたいくつかの清澄剤を含み得る、製造業者によって中に入れられた微量の添加剤を含有し得る。試験されたいくつかの代表的ポリプロピレン生成物は、表1に識別される。表2は、種々のポリプロピレン生成物の添加によって試験された代表的清澄剤を要約する。
【0078】
【表1−1】

【0079】
【表1−2】

【0080】
【表2】

試験注射器は、種々の試験ポリマー組成物から作製された注射器バレルを試用して作製した。表3は、いくつかの試験ポリマー組成物と、清澄剤が添加される、それらの組成物のためのポリマー生成物の重量に対して添加された清澄剤の量とを示す。開始ポリマー生成物および添加された清澄剤は、製造業者および生成物名によって識別される。ポリマー生成物のうちのいくつかの内のポリプロピレンポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーである一方、他のポリマー生成物内のポリプロピレンポリマーは、少量のエチレン反復単位を含有するポリプロピレンコポリマーであった。
【0081】
試験注射器のための注射器バレルは、射出成形によって試験ポリマー組成物から作製した。注射器バレルは、幾分異なるが、概して、長さ約20cm×直径4cm、内部体積約125mLであって、注射器バレルは、評価のために種々の試験が行われた。すべての試験ポリマー組成物またはすべての試験注射器バレルに対して、すべての試験が行われたわけではない。
【0082】
破裂試験:試験注射器バレルを含み、ピストン(プランジャ)およびピストン受け板を備えた注射器アセンブリを油圧で過度に加圧して、注射器バレル内の内部圧力による流体収容壁の破裂による破損までの破壊破裂試験を行った。注射器アセンブリ出口は、小さい孔針によって制限され、ピストン受け板は、適切な歪みゲージ計器を具備した線形アクチュエータに取着した。線形アクチュエータは、注射器バレル内の壊滅的破損が生じるまで、所定の速度で前進させられる。次いで、注射器アセンブリによって達成された最大圧力を計算し、記録した。
【0083】
衝撃試験:注射器アセンブリが、TUP衝撃が生じる中央バレルを有するクレードル内に拘束される破壊衝撃試験を行った。計器は、信号を処理し、熟練操作者が、その結果を解釈した。次いで、最大吸収エネルギーを記録した。試験注射器バレルのうちのいくつかは、損傷を伴うことなく衝撃侵襲に耐えた。
【0084】
抽出率試験:注射器アセンブリを注射器バレルの流体収容壁からの成分の抽出率に対して試験した。試験手順は、日本薬局方に規定されている通りとした。UV吸光度は、220から240ナノメートルまでの第1の範囲のUV波長および241−350ナノメートルの第2の範囲のUV波長において検出された。より高い吸光度は、注射器バレルの壁からの成分のより高いレベルの抽出率を示す。いくつかの注射器の場合、特定の試験ポリマー組成物に関する有意な抽出率問題を識別するためには、目視観察で十分であった。表4に示されるように、いくつかの試験の場合、情報は、単一波長においてのみ取得されたが、いくつかの他の試験の場合、複数の測定が行われた。
【0085】
透明度試験:注射器バレルの流体収容壁の透明度を日本薬局方に提供される手順に従って測定した。
【0086】
表3に示される試験組成物に対する代表的な結果が表4に要約される。メタロセンポリプロピレンと有機リン酸塩清澄剤(試験番号3、5、13、および30)との組み合わせを使用した試験は、概して、50%に近いか、またはそれを上回る透明度、0.08以下の223−240nmにおけるUV吸光度および0.05以下の241−350nmにおけるUV吸光度によって示されるような低い抽出率、少なくとも370psi(2.55MPa)の破裂圧力、および少なくとも0.2フィート重量ポンド(0.0277重量キログラムメートル)の衝撃耐性の組み合わせを提供した。メタロセンポリプロピレンと非有機リン酸塩清澄剤(試験番号4および14)とを有する試験組成物は、有意により高いレベルの抽出性を呈した。メタロセンポリプロピレンを含有しない試験組成物のうち、2つの試験組成物(試験番号8および10)のみが合理的な結果を示したが、メタロセンポリプロピレンおよび有機リン酸塩清澄剤による着目試験よりも顕著により高いレベルの抽出性であった。
【0087】
【表3−1】

【0088】
【表3−2】

【0089】
【表4−1】

【0090】
【表4−2】

本発明の上述の説明は、例示および説明のために提示されている。さらに、この説明は、本発明を本明細書において開示される形態に限定することを目的としない。その結果として、変化例および修正は上記の教示と同様であり、関連技術の技能および知識は本発明の範囲内である。上記で説明される実施形態はさらに、本発明を実践する公知の最良のモードを説明すること、および、そのような実施形態または他の実施形態で、かつ本発明の特定の用途または使用法によって必要とされる種々の修正とともに、当業者が本発明を利用できるようにすることを意図する。添付の請求項は、従来技術によって可能となる程度で、代替的実施形態を含むと解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体収容壁、および少なくとも部分的に該壁によって画定される内部体積を含む注射器バレルと、
該内部体積の中に移動可能に配置される注射器プランジャであって、該注射器プランジャは、該内部体積の少なくとも一部の中に流体吸引を生成すること、および該内部体積の少なくとも一部の中に流体圧力を生成することのうちの少なくとも1つを達成するように、該内部体積の中において移動可能である、注射器プランジャと
を含み、該注射器バレルの該壁は、メタロセンポリプロピレンポリマーおよび有機リン酸塩清澄剤を含むポリマー組成物から本質的に構成される、注射器製品。
【請求項2】
前記ポリプロピレンポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーである、請求項1に記載の注射器製品。
【請求項3】
前記ポリプロピレンポリマーは、少なくとも97重量%のプロピレン反復単位、および最大3重量%のエチレン反復単位を含むコポリマーである、請求項1に記載の注射器製品。
【請求項4】
前記ポリマー組成物は、少なくとも99重量%の前記メタロセンポリプロピレンポリマー、および0.1重量%から0.25重量%までの前記有機リン酸塩清澄剤を含む、請求項1−3のいずれか一項に記載の注射器製品。
【請求項5】
前記壁は、少なくとも48%の透明度を有する、請求項1−4のいずれか一項に記載の注射器製品。
【請求項6】
前記注射器バレルは、200psi(1.38MPa)を上回る内部圧力から生じる破裂による破損に対する耐性を有する、請求項1−5のいずれか一項に記載の注射器製品。
【請求項7】
前記壁は、少なくとも0.1フィート重量ポンド(0.0138重量キログラムメートル)の衝撃耐性を有する、請求項1−6のいずれか一項に記載の注射器製品。
【請求項8】
前記注射器バレルは、220〜240ナノメートルの紫外線波長スペクトルに対する抽出試験吸光度で0.08未満、および241〜350ナノメートルの紫外線波長スペクトルに対する吸光度で0.05未満によって示される低い抽出率を有する、請求項1−7のいずれか一項に記載の注射器製品。
【請求項9】
前記注射器バレルは、実質的に全体が前記ポリマー組成物から作製される、請求項1−8のいずれか一項に記載の注射器製品。
【請求項10】
前記壁は管状であり、前記内部体積は円筒形である、請求項1−9のいずれか一項に記載の注射器製品。
【請求項11】
前記注射器製品は、事前充填された注射器であり、該注射器は、前記内部体積の中に密封されたある体積の注入可能医療製剤を含む、請求項1−10のいずれか一項に記載の注射器製品。
【請求項12】
前記注射器バレルは、前記プランジャの反対側に流体出口ポートを含み、前記注入可能医療製剤が、該プランジャと該流体出口ポートとの間に配置されており、該流体出口ポートが密封されることにより、該注入可能医療製剤が該流体出口ポートを通って流出することを防止する、請求項11に記載の注射器製品。
【請求項13】
前記流体出口ポートは、皮下注射針と流体的に連絡していない、請求項11に記載の注射器製品。
【請求項14】
前記注入可能医療製剤は、X線造影剤、磁気共鳴造影剤、超音波造影剤、光造影剤、生理食塩水、ヘパリン、および鎮痛薬から成る群から選択される部分を含む、請求項11−14のいずれか一項に記載の注射器製品。
【請求項15】
充填された注射器を調製するための方法であって、請求項1−10のいずれか一項に記載の注射器製品の前記内部体積の中に、ある体積の注入可能医療製剤を導入することを含む、方法。
【請求項16】
前記導入することの後に、前記内部体積の中に前記体積の注入可能医療製剤を密封することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
注入可能医療製剤を患者に投与するための方法であって、前記ある体積の注入可能医療製剤を請求項1−10のいずれか一項に記載の注射器製品から前記患者に注入することを備える、方法。
【請求項18】
注入可能医療製剤を患者に投与するための方法であって、
請求項11−14のいずれか一項に記載の注射器製品の前記内部体積の中において前記注入可能医療製剤の体積を開封することと、
該注入可能医療製剤の体積の少なくとも一部を前記患者の中に注入することと
を含む、方法。
【請求項19】
注射器バレルの流体収容壁のための、メタロセンポリプロピレンポリマーおよび有機リン酸塩清澄剤を含むポリマー組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2013−519453(P2013−519453A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553066(P2012−553066)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/024678
【国際公開番号】WO2011/100648
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(511215045)マリンクロッド エルエルシー (12)
【Fターム(参考)】