説明

注文端末

【課題】 客層や時間毎に最適なメニューを提案することができる等の客や時間に応じた販促効果を期待することができるとともに、メニュー品目の切り替えに係る店員の作業効率を飛躍的に向上させることができる注文端末を提供する。
【解決手段】 メニュー表保持部Sに対して装着されたメニュー表Mに応じてプリセットキー11gに対応付けられるメニュー品目に係る情報を変更する。これにより、メニュー表Mを差し替えるだけでダイレクトキー11gに対応付けられるメニュー品目を変更することができるので、端末や時間に応じたメニュー品目の切り替えが容易になり、客層や時間毎に最適なメニューを提案することができる等の客や時間に応じた販促効果を期待することができるとともに、メニュー品目の切り替えに係る店員の作業効率を飛躍的に向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注文端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レストラン等の飲食店で客の注文を正確かつ迅速に調理人に伝達するために利用されている注文会計システムであるオーダーシステムは、客係の店員が個々に携帯する多数のハンディターミナルと、キッチンに設置した所定数のキッチンプリンタと、チェックアウトカウンタに設置される会計装置であるPOS(Point of Sales:販売時点管理)端末と、システム全体を制御する注文管理制御装置であるコントロールステーションとを通信自在に設けたものである。より詳細には、ハンディターミナルは、少なくとも顧客情報や注文情報等の各種情報をキーボードを用いて操作入力するようになっており、キッチンプリンタは、各種情報に従って生成された注文データを所定のフォーマットで連続紙に印字するようになっている。
【0003】
このようなオーダーシステムでは、客が要望した注文の注文情報やコメント等を店員がハンディターミナルのキーボードを用いて入力操作すると、ハンディターミナルから入力された各種情報に従って生成された注文データがコントロールステーションへと無線送信される。また、注文データは、キッチンプリンタにも送信される。キッチンプリンタでは送信された注文データに従い調理指示伝票が発行されるので、調理人は、この調理指示伝票の印字内容に従うことにより、注文された料理を迅速かつ確実に調理することができる。
【0004】
ところで、今日のようなデフレ時代下においては、飲食店はますますオペレーションの効率化を迫られており、人件費等の削減が緊急課題となっている。
【0005】
そこで、近年においては、店員の負担を低減させるべく、各テーブルにそれぞれ備えられて、客が自らオーダーを行うことができる注文端末であるセルフオーダー端末が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に開示されているようなセルフオーダー端末によれば、セルフオーダー端末から入力された各種情報に従って生成された注文データがコントロールステーションへと無線送信される。そして、注文データを受信したコントロールステーションは、注文データをキッチンプリンタ及びPOS端末に有線送信する。キッチンプリンタでは送信された注文データに従い調理指示伝票が発行されるので、調理人は、この調理指示伝票の印字内容に従うことにより、注文された料理を迅速かつ確実に調理することができる。このようなセルフオーダー端末によれば、オーダーは客が自ら行うことにより、店員が客のところに注文を聞きに行く必要がないので、店員の作業効率を向上させることが可能になっている。
【0007】
【特許文献1】特開平9−288772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、レストラン等の飲食店においては、メニューの内容を時間毎に替えた時間限定メニュー等を設けたりする店も多い。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されているようなセルフオーダー端末においては、時間限定メニューの内容を切り替える場合には、セルフオーダー端末等を操作してメニュー設定等を切り替えなければならず、運用が面倒なものになっている。
【0010】
本発明は、客層や時間毎に最適なメニューを提案することができる等の客や時間に応じた販促効果を期待することができるとともに、メニュー品目の切り替えに係る店員の作業効率を飛躍的に向上させることができる注文端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、メニュー品目の注文に係る注文情報の入力を許容する注文端末において、メニュー品目を表示したメニュー表を着脱自在に保持するメニュー表保持部と、前記メニュー表に表示されるメニュー品目に係る情報が対応付けられるプリセットキーと、前記メニュー表の識別番号と前記プリセットキーに対応付けられるメニュー品目に係る情報とを予め対応付けたテーブルを探索し、入力された前記識別番号に応じて探索されたメニュー品目に係る情報を前記プリセットキーに設定する手段と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、端末や時間に応じたメニュー品目の切り替えが容易になり、客層や時間毎に最適なメニューを提案することができる等の客や時間に応じた販促効果を期待することができるとともに、メニュー品目の切り替えに係る店員の作業効率を飛躍的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の一形態を図1ないし図19に基づいて説明する。
【0014】
本実施の形態は、例えば、レストラン等の飲食店において使用される注文会計システムであるオーダーシステムであって、システム全体は図1に示すように構成されている。このオーダーシステム1は、店員が個々に携帯する複数のハンディターミナル3と、天井などに設置されてハンディターミナル3との無線通信を可能とする無線通信ユニット4と、注文メニュー品目をキッチンの調理人に指示するための調理指示伝票(図示せず)を印字発行するキッチンプリンタ5と、チェックアウトカウンタに設置される会計装置であるPOS(Point of Sales:販売時点管理)端末6と、システム全体を制御する注文管理制御装置であるコントロールステーション7とを備えており、無線通信ユニット4とキッチンプリンタ5とPOS端末6とを通信回線8によってコントロールステーション7に接続することにより構成されている。なお、無線通信ユニット4とキッチンプリンタ5との台数はいずれも任意である。
【0015】
加えて、オーダーシステム1には、卓上注文端末2が備えられている。詳細については後述するが、この卓上注文端末2は、各テーブルにそれぞれ備えられ、客が自らオーダーを行うことができる注文端末であるセルフオーダー端末である。この卓上注文端末2は、ハンディターミナル3と同様に、無線通信ユニット4との無線通信が可能になっている。
【0016】
次に、卓上注文端末2について詳細に説明する。ここで、図2は卓上注文端末2を概略的に示す斜視図、図3はその側面図である。卓上注文端末2の筐体10は曲面形状の前面10cを有しており、この前面10cには、各種操作キー11と、注文内容や金額を表示するためのLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)12が配設されている。また、卓上注文端末2の筐体10においては、テーブル上に載置される底面10aと背面10bとが略直角を成している。さらに、筐体10の上部には、メニュー品目を視覚的に識別可能な形態で一覧表示した印刷物であって、紙やプラスチックでシート状に形成されたメニュー表Mを挿し込んで着脱自在に保持するためのメニュー表保持部である溝形状のスリットSが形成されている。
【0017】
ここで、卓上注文端末2の筐体10の前面10cに配設される各種操作キー11について図4を参照しつつ説明する。操作キー11としては、「0」から「9」まで数字を入力するためのテンキー11aと、テンキー11aにより入力した数字をクリアするためのクリアキー11bと、テンキー11aからの数字入力での品番登録による注文を宣言する「番号注文」キー11cと、店員を呼び出すための「係員呼出」キー11dと、現時点における料金を確認するための「料金確認」キー11eと、現時点における注文したメニュー品目を確認するための「注文確認」キー11fと、よく出るメニュー品目やお勧めメニュー品目の注文に係る情報を予めプリセットしたプリセットキーである5種類のダイレクトキー11gと、が設けられている。
【0018】
なお、本実施の形態の卓上注文端末2のダイレクトキー11gは5個設けられており、スリットSに挿し込んで装着されるメニュー表Mに印刷されている5種類のメニュー品目に対応付けられている。なお、ダイレクトキー11gの数は、これに限るものではない。そして、ダイレクトキー11gは、メニュー表Mが挿し込まれるスリットSの近傍に配設されている。より詳細には、スリットSにメニュー表Mが保持された状態では、ダイレクトキー11gは、当該メニュー表Mに表示されているメニュー品目に近接して位置している。これは、スリットSに挿し込まれるメニュー表Mに印刷されている5種類の各メニュー品目と、5個のダイレクトキー11gとの対応付けを明確化するためである。このようにスリットSに挿し込まれるメニュー表Mに印刷されている5種類の各メニュー品目と、5個のダイレクトキー11gとの対応付けを明確化することにより、お勧めメニュー品目をメニュー表Mに印刷した場合には、大きな販促効果を期待することができる。また、よく出るメニュー品目をメニュー表Mに印刷した場合には、注文ミスの発生を確実に防止することができ、店員の作業効率を飛躍的に向上させることができる。
【0019】
ここで、卓上注文端末2に保持されるメニュー表Mについて図5を参照しつつ説明する。メニュー表Mは、紙やプラスチックでシート状に形成された印刷物を主体に構成されている。また、このメニュー表Mの下部には、データキャリアの一種である無線タグ30が備えられている。無線タグ30は、コイルアンテナ31と各種データを記憶する記憶部として機能するICチップ32とを備えており、このコイルアンテナ31に誘導起電力を発生させることによりICチップ32に対するデータの送受信が可能な構成になっている。このようなICチップ32には、メニュー表Mに印刷されている5種類の各メニュー品目を識別するための識別番号が記憶されている。なお、図5においては説明のためにコイルアンテナ31とICチップ32とを図示しているが、実際には外部からは見えない構造になっている。
【0020】
そして、卓上注文端末2のスリットSの内部であって、メニュー表MがスリットSへと正しく挿し込まれた場合(装着された場合)にメニュー表Mの無線タグ30に対向する位置には、無線タグ30のICチップ32に記録されているデータの書込及び読取を電磁誘導により行う無線タグリーダライタ35(図3参照)が配設されている。
【0021】
このような卓上注文端末2に内蔵される各部の電気的接続について図6を参照しつつ説明する。図6に示すように、卓上注文端末2にはMicrocomputer(以下、マイコンという)15が備えられており、このマイコン15が各部を駆動制御する。マイコン15は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)16にバスライン17を介して、マイコン15を動作させる制御プログラム等の固定的データを予め格納するROM(Read Only Memory)18と各種データを書き換え自在に格納するワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)19とが接続されて構成されている。ROM18には、各種メニュー品目のメニュー品目名及び当該メニュー品目の価格をメニュー品目コード毎に記憶保持する商品マスタファイル(図示せず)や、メニュープリセットテーブルPTも格納されている。
【0022】
ここで、図7はメニュープリセットテーブルPTのデータ構成を示す説明図である。図7に示すように、このメニュープリセットテーブルPTは、識別番号qに基づいて、メニュー表Mに印刷されている5種類の各メニュー品目rをダイレクトキー11gに対応付けるものである。なお、メニュープリセットテーブルPT中、各メニュー品目rに付されたA〜Eは、ダイレクトキー11gのA〜Eを示している。なお、図7では説明のためにメニュー品目rをメニュー品目名で記載したが、実際にはメニュー品目コードが記憶されている。したがって、詳細は後述するが、スリットSに挿し込まれたメニュー表Mの無線タグ30に記憶されている識別番号qを取得することで、識別番号qに応じたメニュー品目(メニュー品目コード)rをダイレクトキー11gのA〜Eにそれぞれ対応付けることにより、ダイレクトキー11gにメニュー品目に係る情報をそれぞれプリセットすることが可能になっている。
【0023】
このようなマイコン15には、キー入力回路20を介して各種キー11が接続され、表示制御部21を介してLCD12が接続されており、マイコン15によって駆動制御される。また、卓上注文端末2には、無線通信ユニット4との間で無線通信するための無線通信装置22が備えられており、バスライン17を介してマイコン15に接続されている。これにより、卓上注文端末2は、コントロールステーション7との間でのデータの送受信を可能にしている。
【0024】
さらに、前述した無線タグリーダライタ35も、入出力制御部36を介してマイコン15に接続されており、マイコン15により駆動制御される。この無線タグリーダライタ35は、コイル状の無線タグ用リーダライタアンテナ(図示せず)を備えており、通電により磁界を発生させる構成とされている。そして、この無線タグ用リーダライタアンテナが発生する磁界にメニュー表Mの無線タグ30が接近した場合には、無線タグ30のコイルアンテナ31に誘導起電力が発生して無線タグ30のICチップ32に記憶されたデータが無線タグ用リーダアンテナに対して送信されて読み取られ、または、無線タグ用リーダライタアンテナから無線タグ30のICチップ32に対してデータが送信されて書き込まれることになる。
【0025】
次に、卓上注文端末2に内蔵されたROM18に格納された制御プログラムがマイコン15に実行させる機能について説明する。ここで、図8はプリセット処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図8に示すように、卓上注文端末2のスリットSに挿し込まれたメニュー表Mの無線タグ30に記憶されている識別番号oが無線タグリーダライタ35によって読み取って取得すると(ステップS31のY)、取得された識別番号qに基づいてメニュープリセットテーブルPTを探索して識別番号qに対応付けられた5種類の各メニュー品目に係る情報であるメニュー品目コードrを取得し(ステップS32)、取得したメニュー品目コードrをダイレクトキー11gのA〜Eにそれぞれ対応付けることにより、ダイレクトキー11gにメニュー品目に係る情報であるメニュー品目コードrをそれぞれプリセットする(ステップS33)。これにより、ダイレクトキー11gが、スリットSに挿し込まれているメニュー表Mに印刷されている5種類のメニュー品目に対応付けられることになる。
【0026】
次に、上述したようにダイレクトキー11gに対してスリットSに挿し込まれているメニュー表Mに印刷されている5種類のメニュー品目が対応付けられた状態での卓上注文端末2における各種キー入力があった場合の処理について説明する。ここで、図9はキー入力処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図9に示すように、卓上注文端末2の操作キー11のいずれかが操作されてキー入力があった場合には(ステップS1のY)、ステップS2〜S7において、テンキー11a,クリアキー11b,「番号注文」キー11c,「係員呼出」キー11d,「料金確認」キー11e,「注文確認」キー11f,ダイレクトキー11gのどれが操作されたかが判断される。
【0027】
テンキー11aからのキー入力があった場合には(ステップS2のY)、テンキー入力処理を実行する(ステップS8)。テンキー入力処理は、操作されたキーに応じた「0」から「9」までのいずれかの数字をRAM19に記憶するとともに、図10に示すようにLCD12の所定位置に入力された数字aを表示する。
【0028】
「番号注文」キー11cからのキー入力があった場合には(ステップS3のY)、後述する注文確認画面が既にLCD12に表示されているか否かを判断する(ステップS9)。注文確認画面がまだLCD12に表示されていない場合には(ステップS9のN)、注文確認画面をLCD12に表示する(ステップS10)。ここで、図11はLCD12に表示された注文確認画面の一例である。テンキー11aからの品番入力後に「番号注文」キー11cが操作されると、図11に示すように、品番に応じたメニュー品目のメニュー品目名b及び当該メニュー品目の価格cが商品マスタファイルから抽出されて所定位置に表示される。また、注文確認画面には、図11に示すように、数量入力のためのガイダンスG(例えば、「数量+[番号注文]ボタンを押して下さい」)も所定位置に表示される。
【0029】
一方、注文確認画面が既にLCD12に表示されている場合には(ステップS9のY)、ガイダンスGに従ってテンキー11aからの数量入力後に「番号注文」キー11cが操作されたものであるので、品番及び数量に基づいて注文データを生成してコントロールステーション7へと送信するオーダー送信処理を実行した後(ステップS11)、LCD12に表示されている注文確認画面をクリアする(ステップS12)。
【0030】
「係員呼出」キー11dからのキー入力があった場合には(ステップS4のY)、係員呼出処理を実行する(ステップS13)。係員呼出処理は、例えば所定の信号をコントロールステーション7に対して送信し、コントロールステーション7に接続された表示器(図示せず)に当該卓上注文端末2が備えられるテーブル番号を表示したり、コントロールステーション7に接続されたブザー(図示せず)を鳴らす等により、店員に対して客に呼び出されている旨を報知する処理である。
【0031】
「料金確認」キー11eからのキー入力があった場合には(ステップS5のY)、コントロールステーション7より現時点における料金データ(請求額及び一人あたりの金額)を取得し、図12に示すようにLCD12の所定位置に料金データ(請求額及び一人あたりの金額)dを表示する(ステップS14)。なお、現時点における料金データ(請求額及び一人あたりの金額)は、後述するコントロールステーション7の顧客注文情報ファイルF(図16参照)に記憶されている各種データに基づいてコントロールステーション7において生成される。この料金データ(請求額及び一人あたりの金額)dは、約10秒間表示された後、クリアされる(ステップS15)。
【0032】
「注文確認」キー11fからのキー入力があった場合には(ステップS6のY)、コントロールステーション7より現時点における注文したメニュー品目である注文メニューデータを取得し、図13に示すようにLCD12の所定位置に注文メニューデータ(メニュー品目名及び数量)eを表示する(ステップS16)。なお、現時点における注文したメニュー品目である注文メニューデータは、後述するコントロールステーション7の顧客注文情報ファイルF(図16参照)に記憶されている各種データに基づいてコントロールステーション7において生成される。この注文メニューデータ(メニュー品目名及び数量)eは、約10秒間表示された後、クリアされる(ステップS17)。なお、本実施の形態においては、注文メニュー品目が4種類以上の場合には、「注文確認」キー11fの連続操作により、注文メニューデータ(メニュー品目名及び数量)eをスクロール表示することができる。
【0033】
ダイレクトキー11gからのキー入力があった場合には(ステップS7のY)、オーダー送信処理を実行する(ステップS18)。オーダー送信処理は、操作されたダイレクトキー11gの所定のキーに予めプリセットされているメニュー品目コードに基づいて注文に係る情報であるメニュー品目名f及び当該メニュー品目の価格gを商品マスタファイルから抽出して所定位置に表示するとともに(図14参照)、操作されたダイレクトキー11gの所定のキーに予めプリセットされているメニュー品目コード及び数量(ダイレクトキー11gによる注文の場合には、数量は“1”に指定されている。)に基づいて注文データを生成してコントロールステーション7へと送信する。また、この場合、図14に示すように、注文を受けたことを示すコメントC(例えば、「注文を承りました。ありがとうございました。」)も所定位置に表示される。そして、メニュー品目名f、価格g、コメントCは、約10秒間表示された後、クリアされる(ステップS19)。
【0034】
ダイレクトキー11gからのキー入力でない場合には(ステップS7のN)、クリアキー11bからのキー入力であることから、RAM19に記憶されている数字をクリアするとともに、図10に示すようにLCD12の所定位置に表示された数字aをクリアするクリア処理を実行する(ステップS20)。
【0035】
続いて、オーダーシステム1を構成するハンディターミナル3と、コントロールステーション7とについて、その構造を簡単に説明する。なお、オーダーシステム1を構成する無線通信ユニット4と、キッチンプリンタ5と、POS端末6とについては、その構造及び機能は従来のものと何ら変わるものではないためその説明は省略する。
【0036】
まず、ハンディターミナル3について説明する。ここで、図15はハンディターミナル3に内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。図1及び図15に示すように、ハンディターミナル3には、各種操作キーを配設したキーボード51と、注文内容や金額を表示するためのLCDである表示部50とが設けられている。特に図示しないが、キーボード51に配設された操作キーとしては、「0」から「9」まで数字を入力するためのテンキー、所望のメニュー品目を指定するために予めメニュー品目がプリセットされたメニューキー等が含まれている。
【0037】
そして、図15に示すように、このハンディターミナル3には、Microcomputer(以下、マイコンという)52が備えられており、このマイコン52が各部を駆動制御する。マイコン52は、各部を集中的に制御するCPU53にバスライン54を介して、CPU53を動作させる制御プログラム等の固定的データを予め格納するROM55と各種データを書き換え自在に格納するワークエリアとして機能するRAM56とが接続されて構成されている。このようなマイコン52には、キーボード入力回路57を介してキーボード51が接続され、表示制御部58を介して表示部50が接続されている。また、ハンディターミナル3には、無線通信ユニット4との間で無線通信するための無線通信装置59が備えられており、バスライン54を介してマイコン52に接続されている。
【0038】
次に、コントロールステーション7について説明する。ここで、図16はコントロールステーション7に内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。図1及び図16に示すように、コントロールステーション7には、各種操作キーを配設したキーボード40と、LCDである表示部41とが設けられている。特に図示しないが、キーボード40に配設された操作キーとしては、「0」から「9」まで数字を入力するためのテンキーが含まれている。
【0039】
そして、図16に示すように、このコントロールステーション7には、Microcomputer(以下、マイコンという)42が備えられており、このマイコン42が各部を駆動制御する。マイコン42は、各部を集中的に制御するCPU43にバスライン44を介して、CPU43を動作させる制御プログラム等の固定的データを予め格納するROM45と各種データを書き換え自在に格納するワークエリアとして機能するRAM46とが接続されて構成されている。このようなマイコン42には、キーボード入力回路47を介してキーボード40が接続され、表示制御部48を介して表示部41が接続されている。また、コントロールステーション7には、通信回線8を介して各装置と通信するためのライン通信装置49が備えられており、バスライン44を介してマイコン42に接続されている。
【0040】
また、コントロールステーション7のRAM46内には、オーダーデータ(注文情報)を記憶するための顧客注文情報ファイルFが設けられている。図17に示すように、この顧客注文情報ファイルFには、伝票番号h毎に、人数i、端末番号j、注文メニュー品目k、注文数量l、注文時刻m、担当者n等が記憶される。この顧客注文情報ファイルFに記憶された内容は、該当する伝票番号についての会計処理がPOS端末6で終了するまで保持される。
【0041】
加えて、コントロールステーション7のRAM46内には、端末指定テーブルTが設けられている。図18に示すように、この端末指定テーブルTは、各卓上注文端末2に付与される端末番号oに対して、卓上注文端末2が備えられる各テーブルに予め付与されるテーブル番号pを対応付けるものである。
【0042】
次に、このようなオーダーシステム1の運用について図19を参照して説明する。
【0043】
このようなオーダーシステム1を使用する飲食店では、客が入店すると、客係の店員は、ハンディターミナル3のキーボード51のキー操作により入店処理を行う。入店処理としては、まず、客係の店員によるハンディターミナル3のキーボード51のテンキーのキー操作により、客を案内したテーブルに予め付与されているテーブル番号と、当該テーブルに備えられている卓上注文端末2(客が大人数のために複数のテーブルを用いる場合には、所定の卓上注文端末2)に予め付与されている端末番号とが、端末指定情報として端末指定テーブルTにおいて対応付けをするために入力される。前述したように、端末指定テーブルTにおいてテーブル番号が対応付けられている端末番号の卓上注文端末2のみが利用可能になる。
【0044】
加えて、入店処理として、客係の店員によるハンディターミナル3のキーボード51のテンキーのキー操作により、客の人数やテーブル番号等の顧客情報や担当者の情報が入力される。
【0045】
入店処理として入力された客の入店に係る各種情報である顧客情報及び端末指定情報(テーブル番号、端末番号)は、無線通信ユニット4を介して、コントロールステーション7へと送信される。そして、コントロールステーション7においては、端末指定情報(テーブル番号、端末番号)を端末指定テーブルTに記憶し、顧客情報を顧客注文情報ファイルFにオーダーデータ(注文情報)の一部として記憶する。
【0046】
なお、入店処理は、ハンディターミナル3からの入力に限るものではなく、キッチンプリンタ5、POS端末6、コントロールステーション7等からの入力により行うようにしても良い。
【0047】
客係の店員による入店処理が終了すると、客係の店員により所定のテーブルに案内された客は、テーブル上に備えられていて利用可能となった卓上注文端末2を用い、前述したような卓上注文端末2の操作キー11のキー操作により自らオーダーを行う。ここで、卓上注文端末2の操作キー11のキー操作により入力されたメニュー品目に係る情報(メニュー品目名、当該メニュー品目の価格及び数量)は、当該卓上注文端末2の端末番号に対応付けられてオーダーデータ(注文情報)となる。
【0048】
一方、このような卓上注文端末2の操作に不慣れな客のオーダーについては、従来通り、客係の店員が、手渡されたメニュー表を見ながら客が口頭で告げたオーダーをハンディターミナル3のキーボード51のメニューキーやテンキーをキー操作することにより入力することになる。
【0049】
なお、卓上注文端末2を用いて客自らがしたオーダーを取り消したい場合には、従来通り、客係の店員が、ハンディターミナル3のキーボード51のキー操作によりオーダーを取り消すことになる。
【0050】
すなわち、客用注文端末である卓上注文端末2は、客の入店に係る各種情報の入力を許容する入店処理の終了後、コントロールステーション7に対するオーダーデータ(注文情報)の送信を許可される。これにより、入店処理は店員がハンディターミナル3等を用いて行うことから、客は入店処理を行うことなく卓上注文端末2を利用することができ、また、卓上注文端末2とハンディターミナル3とを使い分けることが可能になり、卓上注文端末2とハンディターミナル3とを共存させることができるので、客が自らオーダーを行うセルフオーダーにおけるサービスの質を向上させることができる。
【0051】
このようにして入力されたオーダー内容は、無線通信ユニット4を介して、コントロールステーション7へと送信される。そして、コントロールステーション7においては、オーダー内容を顧客注文情報ファイルFにオーダーデータ(注文情報)の一部として顧客情報に対応付けて記憶する。また、顧客情報及びオーダー内容は、キッチンプリンタ5へ送信される。キッチンプリンタ5では、送信されたオーダー内容に従い調理指示伝票が発行される。このようなキッチンプリンタ5で発行された調理指示伝票により、注文された料理がキッチンの調理人に通知される。
【0052】
ところで、コントロールステーション7は、卓上注文端末2からのオーダーがあった場合には、オーダーデータ(注文情報)に含まれる当該卓上注文端末2の端末番号に応じて端末指定テーブルTを検索し、当該端末番号にテーブル番号が対応付けられている場合にのみ、当該卓上注文端末2からのオーダーを受け付けるものとする。すなわち、例えば各テーブルに一台ずつ卓上注文端末2が備えられている場合に、3つのテーブルに一組の客を案内した時には、二台の卓上注文端末2を無効とし、一台の卓上注文端末2のみを有効にすることが可能になっている。
【0053】
全てのオーダーについての調理が終了して食事が終了すると、客は、POS端末6で会計処理を受ける。この場合、客はテーブル番号等が付された会計札をチェックアウトカウンタに持っていくことになる。チェックアウトカウンタのキャッシャは、会計札を提示されると、POS端末6を操作して、コントロールステーション7に対して問合せをして会計データを取得する。そして、チェックアウトカウンタのキャッシャは、この取得した会計データに従ってPOS端末6を操作して、会計処理を実行する。会計処理が終了すると、コントロールステーション7の顧客注文情報ファイルFに記憶されているオーダーデータ(注文情報)及び端末指定テーブルTの内容はクリアされる。
【0054】
本実施の形態のオーダーシステム1においては、会計処理用の伝票は発行せず、テーブル番号等が付された会計札をチェックアウトカウンタのキャッシャに対して提示するようにしている。これは、前述したように、卓上注文端末2の「料金確認」キー11eを操作すれば現時点における料金データ(請求額及び一人あたりの金額)を見ることができ、卓上注文端末2の「注文確認」キー11fを操作すれば現時点における注文したメニュー品目を見ることができるからである。
【0055】
このように本実施の形態においては、メニュー表保持部であるスリットSに対して装着されたメニュー表Mに応じてプリセットキーであるダイレクトキー11gに対応付けられるメニュー品目に係る情報が変更される。これにより、メニュー表Mを差し替えるだけでダイレクトキー11gに対応付けられるメニュー品目を変更することが可能になるので、端末や時間に応じたメニュー品目の切り替えが容易になり、客層や時間毎に最適なメニューを提案することができる等の客や時間に応じた販促効果を期待することができるとともに、メニュー品目の切り替えに係る店員の作業効率を飛躍的に向上させることができる。
【0056】
なお、本実施の形態においては、メニュー表Mに表示されたメニュー品目を特定する識別番号を記憶する記憶部としてデータキャリアの一種である無線タグ30のICチップ32を用い、電磁誘導によってデータの書込及び読取を行う電磁誘導方式を採用したが、これに限るものではなく、電磁結合方式、マイクロ波方式、静電結合方式、光伝送方式等でその他のデータキャリアに対するデータの書込及び読取を行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の一形態のオーダーシステムのシステム全体を示すシステム構成図である。
【図2】卓上注文端末を概略的に示す斜視図である。
【図3】その側面図である。
【図4】各種操作キーを示す正面図である。
【図5】メニュー表を概略的に示す斜視図である。
【図6】卓上注文端末に内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図7】メニュープリセットテーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図8】プリセット処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図9】キー入力処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図10】テンキーからのキー入力があった場合の画面の一例を示す説明図である。
【図11】「番号注文」キーからのキー入力があった場合の画面の一例を示す説明図である。
【図12】「料金確認」キーからのキー入力があった場合の画面の一例を示す説明図である。
【図13】「注文確認」キーからのキー入力があった場合の画面の一例を示す説明図である。
【図14】ダイレクトキーからのキー入力があった場合の画面の一例を示す説明図である。
【図15】ハンディターミナルに内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図16】コントロールステーションに内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図17】顧客注文情報ファイルのデータ構成を示す説明図である。
【図18】端末指定テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図19】オーダーシステムの運用の流れを示す説明図である。
【符号の説明】
【0058】
2…注文端末、11g…プリセットキー、32…メニュー表の記憶部、M…メニュー表、PT…テーブル、S…メニュー表保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メニュー品目の注文に係る注文情報の入力を許容する注文端末において、
メニュー品目を表示したメニュー表を着脱自在に保持するメニュー表保持部と、
前記メニュー表に表示されるメニュー品目に係る情報が対応付けられるプリセットキーと、
前記メニュー表の識別番号と前記プリセットキーに対応付けられるメニュー品目に係る情報とを予め対応付けたテーブルを探索し、入力された前記識別番号に応じて探索されたメニュー品目に係る情報を前記プリセットキーに設定する手段と、
を備えることを特徴とする注文端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−31734(P2006−31734A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247344(P2005−247344)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【分割の表示】特願2002−322199(P2002−322199)の分割
【原出願日】平成14年11月6日(2002.11.6)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】