説明

注文飲食物搬送装置

【課題】搬送路から飲食物等を食事台に移動させる配膳用移動機構を搬送路の幅方向に張り出させることなく配置でき、かつ搬送路から飲食物等を確実に客席側に移送できるようにした注文飲食物搬送装置を提供する。
【解決手段】発注された飲食物7を容器11に載置し、搬送路18によって注文客の食事席近傍まで搬送し、配膳用移動機構によって食事台側へ配膳できるようにした注文飲食物搬送装置であり、発注した注文客の食事席近傍位置において、一時的に低速もしくは静止するように制御手段で制御されてなり、少なくとも容器載置体3の低速もしくは静止のタイミングにおいて、配膳用移動機構が容器載置体3からその上方に位置する容器11に当接した状態から、容器11を搬送路18を横切る方向に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物を調理するための厨房等と客席とを連絡するように設けられた搬送路を利用して、飲食物等を客席側に移送できるようにした注文飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、客席に対応して飲食物取出部が設けられた飲食物搬送用の搬送コンベヤの一部周囲に食事台を備え、この飲食物取出部に隣接する飲食物搬送用の搬送コンベヤ路に飲食物を載置した容器を飲食物取出部から客席側に押し出す往復動装置(配膳用移動機構)が設けられ、この往復動装置の作動によって搬送コンベヤにより搬送された飲食物などを自動的に食事台側へ配膳することのできる注文飲食物搬送装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−245033号公報(第2頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の注文飲食物搬送装置にあっては、飲食物を食事台へ取り出す際に、飲食物を載置した容器を搬送コンベヤから往復動装置により食事台方向へと押し出す態様であるため、往復動装置を配置する空間を食事台の反対側に確保する必要がある。そのため、往復動装置(配膳用移動機構)が搬送コンベヤの幅内に収まらず、往復動装置(配膳用移動機構)自体の配置空間に制限が生じ、搬送コンベヤに対して所望する食事台の配置ができないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、搬送路から飲食物等を食事台に移動させる配膳用移動機構を搬送路の幅方向に張り出させることなく配置でき、かつ搬送路から飲食物等を確実に客席側に移送できるようにした注文飲食物搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の注文飲食物搬送装置は、
所定の飲食物注文手段で発注された飲食物を所定深さの容器に載置し、厨房等と客席とを連絡するように設けられた搬送路によって前記容器を注文客の食事席近傍まで搬送し、配膳用移動機構によって食事台側へ配膳できるようにした注文飲食物搬送装置であり、
前記容器は前記搬送路上を移動する容器載置体の上面に載置されて搬送可能となっており、該容器載置体は飲食物注文手段で発注した注文客の食事席近傍位置において、一時的に低速もしくは静止するように制御手段で制御されてなり、少なくとも前記容器載置体の前記低速もしくは静止のタイミングにおいて、配膳用移動機構が前記容器載置体からその上方に位置する前記容器に当接した状態から、前記容器を前記搬送路を横切る方向に移動させるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、配膳用移動機構が前記容器載置体からその上方に位置する前記容器に当接した状態、すなわち配膳用移動機構は容器載置体の上方部のスペースを使って前記容器を前記搬送路を横切る方向に移動させるようになっているため、配置搬送路から飲食物等を客席側に移送する配膳用移動機構の配置空間が制限されることなく、かつ一時的に低速もしくは静止した後に配膳用移動機構が作動するため、搬送路から飲食物等を確実に客席側に移送できることになる。
【0007】
本発明の注文飲食物搬送装置は、
前記容器載置体が前記配膳用移動機構を一体に備えており、前記容器載置体、前記配膳用移動機構、そして容器が共に搬送路上を移動するようになっており、前記搬送路における食事席近傍位置で前記容器載置体が低速もしくは静止する所定のタイミングにおいて、前記配膳用移動機構の駆動力によって容器を前記搬送路を横切る方向に移動させるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、一の容器に対して一の配膳用移動機構を用意すればよく、配膳用移動機構を多数設ける必要がなく、且つ制御ステップも簡潔される。
【0008】
本発明の注文飲食物搬送装置は、
前記容器載置体に設けられた配膳用移動機構の駆動電源としての受電部が、前記搬送路の所定の食事席近傍位置にはそれぞれに給電部が設けられ、前記搬送路における食事席近傍位置で前記容器載置体が低速もしくは静止する所定のタイミングにおいて、前記搬送路の給電部と配膳用移動機構の受電部とが近接もしくは当接され、前記給電部より電力を受けた前記配膳用移動機構の駆動力によって容器を前記搬送路を横切る方向に移動させるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、前記搬送路における食事席近傍位置での前記容器載置体の低速もしくは静止の制御を行うのみで、前記配膳用移動機構の駆動力を前記搬送路の給電部から得て、容器を前記搬送路を横切る方向に移動できることになり、注文飲食物搬送装置の機構はもちろん、注文飲食物搬送装置の制御も格段に簡素化されることになる。
【0009】
本発明の注文飲食物搬送装置は、
前記搬送路の走行制御を実行する制御手段は、注文のあった食事席近傍位置で前記容器載置体を停止もしくは減速させるために前記搬送路の停止もしくは減速を実施する速度制御手段と、該速度制御手段の実施により停止もしくは減速したタイミングにより前記給電部より電力を受けた前記配膳用移動機構の駆動の完了を前記容器の移動に基づき判断する検出手段と、前記検出手段により配膳用移動機構の駆動の完了が検出された場合、前記容器載置体を前記厨房側に戻すように前記搬送路を移動させる復帰手段と、を有することを特徴としている。
この特徴によれば、前記搬送路の走行制御を実行する制御手段において、検出手段によって配膳用移動機構の駆動の完了を前記容器の移動に基づき判断し、復帰手段によって容器載置体を前記厨房側に戻すように前記搬送路を移動させるようにしているため、配膳用移動機構自体の駆動を監視する必要がなく、注文飲食物搬送装置の機構はもちろん、注文飲食物搬送装置の制御も格段に簡素化されることになる。
【0010】
本発明の注文飲食物搬送装置は、
各注文客の食事席近傍に位置する前記搬送路の下方には、前記配膳用移動機構がそれぞれ設置されており、前記搬送路における食事席近傍位置で前記容器載置体が低速もしくは静止する所定のタイミングにおいて、前記配膳用移動機構が前記容器載置体の上方まで上昇して前記容器に当接させ、前記配膳用移動機構の駆動力によって容器を前記搬送路を横切る方向に移動させるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、容器載置体自体に移動機構を積載しないため、容器載置が軽量化され、搬送路における搬送効率が向上する。また高速搬送に適している。
【0011】
本発明の注文飲食物搬送装置は、
前記搬送路の走行制御を実行する制御手段は、注文のあった食事席近傍位置で前記容器載置体を停止もしくは減速させるために前記搬送路の停止もしくは減速を実施する速度制御手段と、該速度制御手段の実施により停止もしくは減速したタイミングにより配膳用移動機構を前記容器載置体の上方まで上昇させて前記容器下面に当接させる上昇手段と、前記配膳用移動機構の駆動の完了を前記容器の移動に基づき判断する検出手段と、前記検出手段により配膳用移動機構の駆動の完了が検出された場合に配膳用移動機構を前記容器載置体の下方まで下降させる下降手段と、前記下降手段における下降後に容器載置体を前記厨房側に戻すように前記搬送路を移動させる復帰手段と、を有することを特徴としている。
この特徴によれば、前記搬送路の走行制御を実行する制御手段において、検出手段によって配膳用移動機構の駆動の完了を前記容器の移動に基づき判断し、配膳用移動機構の下降後、復帰手段によって容器載置体を前記厨房側に戻すように前記搬送路を移動させるようにしているため、配膳用移動機構自体の駆動を監視する必要がなく、注文飲食物搬送装置の機構はもちろん、注文飲食物搬送装置の制御も格段に簡素化されることになる。
【0012】
本発明の注文飲食物搬送装置は、
前記検出手段は、前記容器載置体と客席のテーブルとの間に設けられた光センサであることを特徴としている。
この特徴によれば、光センサによって容器の移動を容易に検出できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における注文飲食物搬送装置を示す平面図である。
【図2】実施例1における容器載置体と注文搬送路の横断断面図である。
【図3】実施例1における容器載置体の構造を示す分解斜視図である。
【図4】実施例1における注文飲食物搬送装置を示す拡大平面図である。
【図5】実施例1における配膳用移動機構の動作を示す図である。
【図6】実施例1における配膳用移動機構の動作を示す図である。
【図7】実施例1における配膳用移動機構の動作を示す図である。
【図8】実施例2における容器載置体と注文搬送路の横断断面図である。
【図9】実施例2における注文飲食物搬送装置を示す拡大平面図である。
【図10】実施例2における配膳用移動機構の動作を示す図である。
【図11】実施例2における配膳用移動機構の動作を示す図である。
【図12】実施例2における配膳用移動機構の動作を示す図である。
【図13】実施例2における配膳用移動機構の動作を示す図である。
【図14】実施例2における配膳用移動機構の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る注文飲食物搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
実施例に係る飲食物搬送装置につき、図1から図7を参照して説明する。図1に示すように注文飲食物搬送装置1は、例えば回転寿司の店等の飲食店において、厨房店員Sが調理を行う厨房Cと飲食客が飲食を行う店内Kとを連絡するように設けられた注文搬送路18と、これら注文搬送路18上を厨房C側の指示により走行する容器載置体3を備えている。本実施例においては、注文搬送路18が厨房Cから店内Kにかけて延びており、これら注文搬送路18の店内K側には、注文搬送路18挟んで左右に囲むように飲食テーブル4が配備され客席が構成されている。なお、厨房Cと店内Kは種々の配置が存在しこの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例では、注文搬送路18上を走行する容器載置体3は、厨房C側から店内K側に向けて注文搬送路18上を走行することで、容器載置体3の走行方向から見て左右の飲食テーブル4に飲食物7を搬送することができるようになっている。
【0016】
注文搬送路18の厨房C側には、注文搬送路18の厨房C側の端部側に厨房店員Sが飲食物7を載置するための載置台20が並設され、これら載置台20には、各飲食テーブル4から受注した飲食物7を確認する確認手段と、飲食物7を飲食テーブル4に搬送する際に、注文飲食物搬送装置1の動作を制御する制御手段を有する制御装置9が載置されている。
【0017】
次に、注文搬送路18及び容器載置体3について詳述すると、図1に示すように注文搬送路18の搬送面18a下における厨房C側の端部には、ここでは図示しないモータによって水平方向に回動する駆動部スプロケット14aが設けられているとともに、店内K側の端部には、テンション部スプロケット14bが設けられている。また、モータには、モータの回転数を計測するためのロータリーエンコーダ(図示せず)が取り付けられている。さらに両端部に配設される駆動部スプロケット14a及びテンション部スプロケット14bに、搬送駆動体としての環状に形成された駆動ベルト16が掛け渡されている。
【0018】
この駆動ベルト16の内周面には、図2に示されるように駆動ベルト16の右側面の全長に渡っているため、図4に示されるところの駆動部スプロケット14aの回動により駆動ベルト16が駆動するようになっている。さらに注文搬送路18の下部にはベルトガイド17が設けられ、上方に開口して前後方向を向くガイド溝17aを左右幅方向に2条有している。これらガイド溝17a内には、往路側の駆動ベルト16と復路側の駆動ベルト16とがそれぞれ配置されている。
【0019】
さらに駆動ベルト16には、断面視で略L字状に形成されたベルトブラケット22が取り付けられている。このベルトブラケット22の上端部には、強磁性を有する金属や永久磁石等で構成された第2磁性体41と、水平方向に回動するセンターローラ24、24が枢支されている。
【0020】
第2磁性体41は、駆動ベルト16が駆動することにより、注文搬送路18の略全長に亘って移動するようになっている。このように、注文搬送路18と容器載置体3とを構成することによって、駆動ベルト16を駆動させると、磁力によって第2磁性体41に駆動連結された第1磁性体40が取り付けられている容器載置体3が注文搬送路18に沿って搬送面18a上を走行することができるようになっている。
【0021】
図2に示すように、注文搬送路18の搬送面18aは、アルミやステンレス等の金属材の板材によって構成されている。そして搬送路18の各飲食テーブル4近傍位置には、後述する配膳用移動機構である駆動ローラ30a,30bに対し給電を行う給電部51が搬送面18aの裏側にそれぞれ設けられており、容器載置体3には配膳用移動機構の駆動電源としての受電部50が設けられている。
【0022】
この給電部51および受電部50は、それぞれの内部に内蔵された非接触電力伝送装置によって通電するようになっており、給電部51と受電部50が所定距離以上近接した場合に給電が開始され、給電部51より駆動ローラ30a,30bに給電されるようになっている。すなわち注文搬送路18における食事席近傍位置で前記容器載置体3が低速もしくは静止する所定のタイミングにおいて、注文搬送路18の給電部51と受電部50とが近接もしくは当接され、前記給電部50より電力を受けた配膳用移動機構の駆動力として駆動ローラ30a,30bが駆動するようになっている。なお、本発明において給電部51と受電部50はそれぞれに内蔵された非接触電力伝送装置により通電される態様になっているが、通電における態様はこの限りではなく、例えば給電部51と受電部50の表面よりそれぞれ突出された端子同士が当接することで通電するようにしてもよい。
【0023】
また容器載置体3と飲食テーブル4との間には検出手段である発光部60と受光部61からなる光センサが設けられており、後述する容器11の移動を検知できるようになっている。さらに飲食テーブル4上にはコンベア37が設けられており、容器11が注文搬送路18を横切る方向に移動される際に、後述する駆動ローラ30a,30bに従動して容器11の移動を補助するようになっている。
【0024】
また、図3には容器11を搭載して運ぶ容器載置体3が示され、容器載置体3にはそれぞれ内部に駆動モータ301a、301bを有する駆動ローラ30a,30bが設けられており、駆動ローラ30a,30bは、長手方向左右にそれぞれ設けられた長孔34,34を通して上方に向け設置されており、駆動ローラ30a,30bは少なくともトレー部3b上に配置される容器11の容器底面111に当接するようにトレー部3b表面より突出するように設置されている。また、トレー部3bには駆動ローラ30a,30bの間に等間隔でフリーローラ32、32が回動可能に取り付けられている。
【0025】
次に、図4に示す厨房Cに設けられた制御装置9について説明する。この制御装置9は、ここでは図示しない注文装置およびロータリーエンコーダと接続されており、全ての飲食テーブル4から受注した飲食物7の注文が各飲食テーブル4にそれぞれ設定された客席IDと関連付けられて記憶され、さらに注文搬送路18における載置領域20から各飲食テーブル4までの距離が記憶されている。
【0026】
制御装置9は、注文搬送路18上を走行する容器載置体3を検知することで、図示しないモータの回転数をロータリーエンコーダによって測定可能となっており、このロータリーエンコーダで測定したモータの回転数から3の走行距離を算出するようになっている。そのため、飲食物7を載置した容器11を載置した容器載置体3は、正確に飲食物7を注文した各飲食テーブル4まで走行可能となっており、さらに制御装置9の有する速度制御手段により注文のあった各飲食テーブル4で容器載置体3を停止させることができる。なお、このとき制御装置9は注文のあった各飲食テーブル4に容器載置体3を必ずしも停止させずとも、駆動ローラ30a,30bが機能可能なだけ搬送速度を減速するようにしてもよい。また、制御装置9は注文のあった飲食テーブルの客席IDに関連付けられた各給電部51の給電開始および停止をそれぞれ制御することができる。
【0027】
次に図2に示された制御装置9、注文装置、電源回路、及び信号線を参照して搬送時の手順を、図4から図7を用いて詳しく説明する。図4に示されるように、例えば注文装置により注文のあった飲食テーブル4cに飲食物7を届ける際、制御装置9は注文のあった飲食テーブル4cの客席IDに関連付けられた給電部51cに対してのみ給電を開始するとともに、注文のあった飲食テーブル4cの客席IDに関連付けられた、載置領域20から各飲食テーブル4cまでの距離に基づき、飲食物7を載置した容器11を載置した容器載置体3を搬送させる。そして速度制御手段の実施により容器載置体3が停止したタイミングで、前述した制御装置9にて給電を開始された給電部51cと駆動ローラ30aの受電部50aとが近接されることで通電する。これにより注文のあった飲食テーブル4cの客席IDに関連付けられた給電部51c以外では駆動ローラ30aは駆動しないようになっている。
【0028】
図5に示されるように、注文搬送路18における飲食テーブル4c位置で前記容器載置体3が低速もしくは静止する所定のタイミングにおいて、注文搬送路18の給電部51cと受電部50aとが近接もしくは当接され、前記給電部51cより電力を受けた配膳用移動機構の駆動力として駆動ローラ30aが駆動を開始する。そして図6に示されるように、駆動ローラ30aが、容器底面111に当接した状態で矢印方向へ回転駆動し、容器11を搬送路18を横切るように注文のあった飲食テーブル4c方向へ移動させ、図7に示されるように、飲食テーブル4cに設けられたコンベア37上に完全に移載されることになる。
【0029】
容器11の移動に関しては、前述した容器載置体3と飲食テーブル4cとの間に設けられた光センサの発光部60上方を容器11が通過して移動されるため、発光部60より照射された光が容器底面111で反射され、光が受光部61で受光される間(図6)は、制御装置9は容器11が容器載置体3より移動中であること検知する。そして発光部60より照射される光が容器底面111で反射されず受光部61での受光がなくなった時点(図7)で、制御装置9は容器11の容器載置体3から飲食テーブル4cへの移動が完了したことを検知する。この容器11の飲食テーブル4cへの移動完了を受け、制御装置9は駆動ローラ30aの駆動の完了を判断するようになっている。
【0030】
光センサによる検出手段により駆動ローラ30aの駆動の完了が検出された場合、制御装置9は容器載置体3を厨房C側に戻すように搬送路18を移動させる。このとき、容器載置体3が厨房C方向に移動することで、前記給電部51と受電部50とが離間するため受電部50への給電が断絶され、駆動ローラ30aの駆動は自動的に停止する。これによれば、制御装置9は駆動ローラ30a停止を別途指示せずに駆動ローラ30aの駆動停止を行うことができるため、制御構成は簡潔になる。
【0031】
なお、本実施例においては駆動ローラ30a,30bに給電を行う際に搬送路18および容器載置体3に設けられた給電部51と受電部50により行われる態様になっているが、例えば容器載置体3内にバッテリーを内蔵して、駆動ローラ30a,30bに対し給電を行うようにしてもよい。
【実施例2】
【0032】
実施例に係る注文飲食物搬送装置につき、図8から図14を参照して説明する。尚、前記実施例1に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付し、重複する構成については説明を省略する。
【0033】
図8に示すように、各飲食テーブル7の真横に位置する搬送路18の下方には、それぞれ配膳用移動機構が上下に昇降可能に収容されている。配膳用移動機構は、搬送路18に平行に設けられる2本の駆動ローラ130a,130bと、これらの駆動ローラ130a,130bを回動支持する支持板62と、支持板62を昇降させる伸縮部材63により構成されている。
【0034】
この駆動ローラ130a,130bはそれぞれ内部にモータを有しており、それぞれが別方向にのみ回転駆動するようになっている。尚、それぞれの駆動ローラ130a,130bは駆動時に一方向にのみ回転駆動する構造になっているが、給電状態でない場合はこの限りではなく、反対方向へ従動し回動可能になっている。
【0035】
図8に示すように、搬送面18aの長手方向左右にはそれぞれ、駆動ローラ130a,130bが挿通可能な長孔35が設けられており、ローラブラケット3eおよびトレー部3bには搬送面18aに設けられた長孔35、35と略同形状の長孔33、33および、長孔33、33と略同形状もしくは左右方向に幅の狭い小さい長孔34,34が長孔35、35と上面視略同位置に設けられており、駆動ローラ130a,130bがこれら長孔33、33、長孔4,34および長孔35、35をそれぞれ挿通可能となっている。そして、駆動ローラ130a,130bは少なくともトレー部3b上に配置される容器底面に当接するだけ、トレー部3b表面より突出するように引き上げ可能になっている。
【0036】
続いて搬送時の手順を図9から図13を用いて詳しく説明する。図9に示すように、注文のあった飲食テーブル4に飲食物7を届ける際、制御装置9は注文のあった飲食テーブル4の客席IDに関連付けられた載置領域20から各飲食テーブル4までの距離に基づき、飲食物7を載置した容器11を載置した容器載置体53を搬送させる。
【0037】
そして図10に示すように、速度制御手段の実施により容器載置体53が停止したタイミングで、支持板62が伸縮部材63により容器載置体53の上方まで上昇して駆動ローラ130a,130bが容器底面111に当接した状態で駆動ローラ130aが矢印方向へ回転駆動するため、容器11が搬送路を横切るように注文のあった飲食テーブル4c方向へ移動される(図11)。このとき駆動ローラ130bは駆動せず、容器底面111を伝って駆動ローラ130aの動きに従動する。
【0038】
容器11が搬送路を横切るように注文のあった飲食テーブルc4方向へ移動される間、容器が前述した容器載置体53と飲食テーブル4cとの間に設けられた光センサの発光部60上方を通過して移動されるため、発光部60より照射された光が容器底面111で反射され、光が受光部61で受光される間(図12)は、制御装置9は容器11が容器載置体53より移動中であること検知する。そして発光部60より照射される光が容器底面111で反射せず、受光部61での受光がなくなった時点(図13)で、制御装置9は容器11が容器載置体53から飲食テーブル4cへ移動が完了したことを検知する。この容器11の飲食テーブル4cへの移動完了を受け、制御装置9は駆動ローラ130aの駆動の完了を判断するようになっている。
【0039】
光センサによる検出手段により駆動ローラ130aの駆動の完了が検出された場合、制御装置9により駆動ローラ130a,130bおよび支持板62が伸縮部材63によって容器載置体53の下方まで下降される(図14)。駆動ローラ130a,130bおよび支持板6が容器載置体の下方まで下降されると、次に制御装置9は容器載置体53を厨房C側に戻すように搬送路18を移動させる。
【0040】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 注文飲食物搬送装置
3,53 容器載置体
3a 台車部
3b トレー部
3d 基台部
3e ローラブラケット
4 飲食テーブル(客席)
7 飲食物
9 制御装置
11 容器
14a 駆動部スプロケット
14b テンション部スプロケット
16 駆動ベルト
17 ベルトガイド
17a ガイド溝
18 注文搬送路(搬送路)
18a 搬送面
18b レール部
18c 搬送溝
20 載置台
22 ベルトブラケット
24 センターローラ
30a,30b 駆動ローラ
32 フリーローラ
33,34,35 長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の飲食物注文手段で発注された飲食物を所定深さの容器に載置し、厨房等と客席とを連絡するように設けられた搬送路によって前記容器を注文客の食事席近傍まで搬送し、配膳用移動機構によって食事台側へ配膳できるようにした注文飲食物搬送装置であり、
前記容器は前記搬送路上を移動する容器載置体の上面に載置されて搬送可能となっており、該容器載置体は飲食物注文手段で発注した注文客の食事席近傍位置において、一時的に低速もしくは静止するように制御手段で制御されてなり、少なくとも前記容器載置体の前記低速もしくは静止のタイミングにおいて、配膳用移動機構が前記容器載置体からその上方に位置する前記容器に当接した状態から、前記容器を前記搬送路を横切る方向に移動させるようになっていることを特徴とする注文飲食物搬送装置。
【請求項2】
前記容器載置体が前記配膳用移動機構を一体に備えており、前記容器載置体、前記配膳用移動機構、そして容器が共に搬送路上を移動するようになっており、前記搬送路における食事席近傍位置で前記容器載置体が低速もしくは静止する所定のタイミングにおいて、前記配膳用移動機構の駆動力によって容器を前記搬送路を横切る方向に移動させるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項3】
前記容器載置体に設けられた配膳用移動機構の駆動電源としての受電部が、前記搬送路の所定の食事席近傍位置にはそれぞれに給電部が設けられ、前記搬送路における食事席近傍位置で前記容器載置体が低速もしくは静止する所定のタイミングにおいて、前記搬送路の給電部と配膳用移動機構の受電部とが近接もしくは当接され、前記給電部より電力を受けた前記配膳用移動機構の駆動力によって容器を前記搬送路を横切る方向に移動させるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項4】
前記搬送路の走行制御を実行する制御手段は、注文のあった食事席近傍位置で前記容器載置体を停止もしくは減速させるために前記搬送路の停止もしくは減速を実施する速度制御手段と、該速度制御手段の実施により停止もしくは減速したタイミングにより前記給電部より電力を受けた前記配膳用移動機構の駆動の完了を前記容器の移動に基づき判断する検出手段と、前記検出手段により配膳用移動機構の駆動の完了が検出された場合、前記容器載置体を前記厨房側に戻すように前記搬送路を移動させる復帰手段と、を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項5】
各注文客の食事席近傍に位置する前記搬送路の下方には、前記配膳用移動機構がそれぞれ設置されており、前記搬送路における食事席近傍位置で前記容器載置体が低速もしくは静止する所定のタイミングにおいて、前記配膳用移動機構が前記容器載置体の上方まで上昇して前記容器に当接させ、前記配膳用移動機構の駆動力によって容器を前記搬送路を横切る方向に移動させるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項6】
前記搬送路の走行制御を実行する制御手段は、注文のあった食事席近傍位置で前記容器載置体を停止もしくは減速させるために前記搬送路の停止もしくは減速を実施する速度制御手段と、該速度制御手段の実施により停止もしくは減速したタイミングにより配膳用移動機構を前記容器載置体の上方まで上昇させて前記容器下面に当接させる上昇手段と、前記配膳用移動機構の駆動の完了を前記容器の移動に基づき判断する検出手段と、前記検出手段により配膳用移動機構の駆動の完了が検出された場合に配膳用移動機構を前記容器載置体の下方まで下降させる下降手段と、前記下降手段における下降後に容器載置体を前記厨房側に戻すように前記搬送路を移動させる復帰手段と、を有することを特徴とする請求項1または5に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記容器載置体と客席のテーブルとの間に設けられた光センサであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の注文飲食物搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−42994(P2013−42994A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183530(P2011−183530)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(390010319)株式会社石野製作所 (85)
【Fターム(参考)】