説明

洋式便器

【課題】製造が簡略化されて使い勝手も良好で衛生的な洋式便器を提供する。
【解決手段】便器本体1の開口上縁部分をその上面2aが曲面状に隆起して巾広となった便座部2として一体に形成し、この便座部2と共に同便器本体1の開口部1aを覆う開閉自在な便蓋3を備えてなる。この場合、便器本体1と便座部2とを合成樹脂にて一体に形成しており、また、便器本体1の開口上縁部分の内周面1bに便座部2を突出させて形成し、便蓋3の外周縁に垂設される周壁片部3aの内周に同便器本体1の開口上縁部分の外周面1cに密接する弾性パッキン4を設けてもいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、便座及びこの便座と共に便器本体の開口部を覆う開閉自在な便蓋を備えてなる洋式便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、便座及びこの便座と共に便器本体の開口部を覆う開閉自在な便蓋を備えてなる洋式便器は一般に知られている(例えば、特開2004−160152号公報参照)。このような従来一般の洋式便器にあっては、便座が便器本体と別体に形成されており、便蓋と同様に便器本体に対し回動自在に取り付けられている。そして、男性が小便をする際には、便蓋と共に便座を回動操作して起立させている。
【特許文献1】特開2004−160152号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例である一般の洋式便器においては、便座が便器本体とは別体に形成されていて、その成形や組立が複雑化している。また、男性が小便をする際に、便蓋と共に便座を回動操作して起立させており、この操作に手間を要している。更に、便器本体の開口上縁部と便座との隙間にゴミや汚れが溜まって付着し易く、その清掃にも難を感じて衛生的に保持し難いものである。
【0004】
本願発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、製造が簡略化されて使い勝手も良好で衛生的な洋式便器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願発明の洋式便器は、便器本体の開口上縁部分をその上面が曲面状に隆起して巾広となった便座部として一体に形成し、この便座部と共に同便器本体の開口部を覆う開閉自在な便蓋を備えてなる。
【発明の効果】
【0006】
本願発明の洋式便器においては、便器本体の開口上縁部分に便座部が一体に形成されているため、部材削減されて成形や組立は簡略化される。しかも、この場合、従来のように便器本体の開口上縁部と便座との隙間にゴミや汚れが溜まって付着することはなく、清掃も簡単に行えるようになる。更には、便座部と共に便器本体の開口部を覆う開閉自在な便蓋を備えているため、この便蓋で同便座部は覆われて汚れ難く、長期にわたり衛生的に保持することが容易となる。また、便座部はその上面が曲面状に隆起して巾広となっているため、座り心地が良くて着座状態は安定したものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1、2は、本願の請求項1〜3に対応した第一の実施形態である洋式便器を示している。この実施形態の洋式便器は、便器本体1の開口上縁部分をその上面2aが曲面状に隆起して巾広となった便座部2として一体に形成し、この便座部2と共に同便器本体1の開口部1aを覆う開閉自在な便蓋3を備えてなる。この場合、便器本体1と便座部2とを合成樹脂にて一体に形成しており、また、便器本体1の開口上縁部分の内周面1bに便座部2を突出させて形成し、便蓋3の外周縁に垂設される周壁片部3aの内周に同便器本体1の開口上縁部分の外周面1cに密接する弾性パッキン4を設けてもいる。
【0008】
以下、この実施形態の洋式便器をより具体的詳細に説明する。この実施形態の洋式便器では、便器本体1がアクリル、PC、ABS、PVC、PP等の合成樹脂で形成され、その開口部1aは平面視略楕円形状であり、この開口部1aの上縁部分の内周面1bに便座部2が全周にわたって一体に突出形成されている。また、便器本体1の底部分には排出口5が開口形成されており、排便使用後に洗浄水で洗い流される汚物は同排出口5から下水道へと排出除去される。そして、便器本体1の後端部上には軸部6を介して便蓋3が回動自在に取り付けられており、この便蓋3によって便座部2と共に同便器本体1の開口部1aは開閉自在にカバーされる。
【0009】
便座部2は50〜100mmの巾寸法を有するように便器本体1の開口上縁部分から内側に突設されており、その上面2aの略中央部位が両側縁部位に比して5〜10mm程度高くなるよう曲面状に隆起している。そして、便座部2の上面2aの外周縁部分には略水平な平段部2bが形成されており、この平段部2b上には後記のように便蓋3が着脱自在に当接支持される。便蓋3は合成樹脂にて一体に形成され、便器本体1の便座部2の外周形状に対応する大きさ形状の板状体で、その外周縁全周に周壁片部3aが一体に垂設されている。
【0010】
便蓋3により便器本体1の開口部1aが閉塞された状態で、同便蓋3の周壁片部3aは便座部2の外側に嵌合される。その際、周壁片部3aの内周に突設された凸起段部3bが前記便座部2の平段部2b上に当止されることで、便蓋3はその閉塞状態にあって便器本体1上で確実に支持される。また、周壁片部3aの内周で凸起段部3bの下方には、軟質合成樹脂、ゴム等でなる弾性パッキン4が全周にわたって付設されており、この弾性パッキン4は便蓋3の閉塞状態において、便器本体1の開口上縁部分の外周面1cに密接される。この状態では、便器本体1の開口部1a内が便蓋3によって密閉されている。
【0011】
したがって、この実施形態の洋式便器においては、便器本体1の開口上縁部分に便座部2が一体に形成されているため、部材削減されて成形や組立は簡略化され、製造が容易なものとなる。しかも、この場合には、従来のように便器本体1の開口上縁部と便座との隙間にゴミや汚れが溜まって付着することはなく、水洗いや拭き掃除等による清掃も簡単に行えるようになる。更には、便座部2と共に便器本体1の開口部1aを覆う開閉自在な便蓋3を備えているため、この便蓋3で同便座部2は覆われて汚れ難く、長期にわたり衛生的に保持することが容易となる。また、便座部2はその上面2aが曲面状に隆起して巾広となっているため、座り心地が良くて着座状態は安定したものとなる。
【0012】
また、この実施形態の洋式便器においては、便器本体1と便座部2とを合成樹脂にて一体に形成しているため、両者は射出成形、注型成形等で寸法精度良く簡単に製造され、便蓋3が閉塞された状態での嵌合状態も良好なものとなる。そして、便器本体1の開口上縁部分の内周面1bに便座部2を突出させて形成しているため、洗浄水や尿等の汚水は同便座部2で跳ね返されて便器本体1の開口部1aから外側へ飛散し難くなり、従来のように便器本体1の開口上縁部と便座との隙間から汚水が流出することもなく、トイレ床面における雑菌の繁殖や悪臭の発生等の問題は解消され、トイレ内が衛生的に保持される。
【0013】
また、この場合、便蓋3の外周縁に垂設される周壁片部3aの内周に便器本体1の開口上縁部分の外周面1cに密接する弾性パッキン4が設けられているため、便蓋3により便器本体1の開口部1aは密閉され、汚水や臭気の漏出が確実に防止される。そして、例えば、ミスト発生装置が付設されて便器本体1の開口部1aの内部がミスト洗浄されるような場合には、弾性パッキン4の封止によりミストの漏出が確実に防止されて洗浄効率も向上される。また、この場合、便座部2の上面2aと便蓋3の裏面との間に間隔をあけることで、同便座部2の上面2aがミスト洗浄されたりその後に温風乾燥されたりするようになしてもよい。
【0014】
図3は、本願の請求項1〜3に対応した第二の実施形態である洋式便器を示している。この実施形態の洋式便器では、便器本体1の開口上縁部分の前側において、便座部2が一部欠如された凹段部7を設けている。この場合、着座に支障はなく、男性が立って手前側から小便をした際等に、尿が便座部2に降りかからないようにすることができ、同便座部2の衛生を確保することができる。なお、それ以外は、上記第一の実施形態と同様に構成されており、上記第一の実施形態におけると同様の作用効果が奏される。
【0015】
図4は、本願の請求項1〜4全てに対応した第三の実施形態である洋式便器を示している。この実施形態の洋式便器では、便蓋3の裏面に便器本体1の開口部1aに密接嵌合される凸状段部3cを設けている。この場合、合成樹脂でなる便蓋3の裏面中程に、便器本体1の開口部1aに対応する大きさ形状の凸状段部3cが一体に突出形成されており、その突出高さ寸法は周壁片部3aの垂下寸法と略等しく設定されている。また、便座部2の上面2a部分が合成樹脂発泡体8で形成されており、この合成樹脂発泡体8は硬質であっても軟質であっても、便器本体1の便座部2に一体成形されても貼着一体化されてもよいものである。
【0016】
したがって、この実施形態の洋式便器においては、便蓋3の閉塞状態で便器本体1の開口部1aに凸状段部3cが密接嵌合されて、便座部2の上面2aに汚水やミスト等による悪影響は及ばず、特に、周壁片部3aと凸状段部3cとで両側が密閉される空間内に同便座部2の上面2aを形成する合成樹脂発泡体8は収容保護され、その汚れや破損が確実に防止される。なお、それ以外は、上記第一の実施形態と同様に構成されており、上記第一の実施形態におけると同様の作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明の第一の実施形態である洋式便器を示す縦断面図。
【図2】同洋式便器の全体外観を示す斜視図。
【図3】本願発明の第二の実施形態である洋式便器の全体外観を示す斜視図。
【図4】本願発明の第三の実施形態である洋式便器を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0018】
1 便器本体
1a 開口部
1b 内周面
1c 外周面
2 便座部
2a 上面
3 便蓋
3a 周壁片部
3c 凸状段部
4 弾性パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の開口上縁部分をその上面が曲面状に隆起して巾広となった便座部として一体に形成し、この便座部と共に同便器本体の開口部を覆う開閉自在な便蓋を備えてなる洋式便器。
【請求項2】
便器本体と便座部とを合成樹脂にて一体に形成したことを特徴とする請求項1記載の洋式便器。
【請求項3】
便器本体の開口上縁部分の内周面に便座部を突出させて形成し、便蓋の外周縁に垂設される周壁片部の内周に同便器本体の開口上縁部分の外周面に密接する弾性パッキンを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の洋式便器。
【請求項4】
便蓋の裏面に便器本体の開口部に密接嵌合される凸状段部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の洋式便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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