説明

洗浄ノズルおよびそれを備えた衛生洗浄装置

【課題】強くてかつ洗浄面の広い洗浄水噴流により、ボリューム感のある洗浄感と、高い洗浄性能とを有する洗浄ノズルおよび、それを備えた衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】直噴流8を形成する直噴流流出路9と、旋回噴流11を形成する旋回流形成室12と、直噴流流出路9に洗浄水を導入する直噴流流入路10と、旋回流形成室に洗浄水を導入する旋回流流入路13と、直噴流に空気を混入する空気混入手段14と、直噴流流出路を経た洗浄水と旋回流形成室を経た洗浄水とが吐出される吐水口15とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体などを洗浄する洗浄ノズルおよび、その洗浄ノズルを備えた衛生洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の装置では、洗浄水に空気を混入して旋回吐水するものがあった。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は特許文献1に記載された従来の吐水装置を示すものである。図8に示すように、ノズルヘッド1は、外気巻き込み室2と、ヘッド流路3と、オリフィス4と、吐水孔5と、外気導入路6から構成されている。ここで、ヘッド流路3におけるオリフィス4と吐水孔5は対向して配置し、外気巻き込み室2には外気導入路6を備えている。このように構成することで、オリフィス4から吐水される洗浄水を駆動流体として外気導入路6から吸入される空気を被駆動流体とすると共に、吐水孔5をスロートとするいわゆるジェットポンプが構成され、そのジェットポンプの作用によって、空気の巻き込み量を増大させることができ、空気量増大分だけ洗浄水流量が低減できて節水化の実効性を高めることができたり、やわらかな感じの洗浄感をもたらすことが出来たりする効果がある。
【特許文献1】特開2001−90148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記従来の構成では、旋回噴流によって洗浄面積の広い噴流は実現できるものの、洗浄面積が広いために、単位面積あたりの洗浄荷重が大きい洗浄圧力の高い噴流を形成するのは難しく、洗浄感並びに洗浄力のある強い噴流を低流量で実現するのは困難であった。
【0005】
前記従来の課題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、強い洗浄感と面積の広い洗浄とが得られ、高い洗浄性能を有する洗浄ノズルおよび、それを備えた衛生洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄ノズルは、直噴流を形成する直噴流流出路と、旋回噴流を形成する旋回流形成室と、前記直噴流流出路に洗浄水を導入する直噴流流入路と、前記旋回流形成室に洗浄水を導入する旋回流流入路と、前記直噴流に空気を混入する空気混入手段と、前記直噴流流出路を経た洗浄水と前記旋回流形成室を経た洗浄水とが吐出される吐水口とを備えたものである。
【0007】
これにより、吐出圧の強い直噴流と洗浄面積の広い旋回噴流が同じ吐水口から吐水され、強くてかつ洗浄面の広い洗浄噴流となりボリューム感のある洗浄感と高い洗浄性能とを得ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄ノズルは、吐出圧の強い直噴流と洗浄面積の広い旋回噴流を、同じ吐水口から吐水することができるので、強くてかつ洗浄面積の広い洗浄水噴流となり、ボリューム感のある洗浄感と高い洗浄性能とを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、直噴流を形成する直噴流流出路と、旋回噴流を形成する旋回流形成室と、前記直噴流流出路に洗浄水を導入する直噴流流入路と、前記旋回流形成室に洗浄水を導入する旋回流流入路と、前記直噴流に空気を混入する空気混入手段と、前記直噴流流出路を経た洗浄水と前記旋回流形成室を経た洗浄水とが吐出される吐水口とを備えたもので、吐出圧の強い直噴流と洗浄面積の広い旋回噴流を、同じ吐水口から同時に吐水することができるので、洗浄圧が強くてかつ洗浄面の広い洗浄水噴流となり、ボリューム感のある洗浄感と高い洗浄性能とを得ることができる。
【0010】
この直噴流には空気が混入されるので、使用者は強すぎて痛いということのない噴流、すなわち強いもののマイルドな噴流が得られる。一方、旋回噴流には空気を混入しないので、例えば空気混入によってその混入された空気が旋回噴流の流路圧損となって旋回を生じる際の妨げとなることもなく、旋回噴流による洗浄面積の広い噴流が確実に得られる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明の空気混入手段を、直噴流流出路に空気を混入する構成にしたので、直噴流が流出される直前に空気が混入されることになり、上流で予め空気を洗浄水に混入する場合に比べて混入された空気同士が結合するなどして空気の塊となることなく、空気が細粒のまま洗浄水と一緒に吐水できるため、噴流中の洗浄水に空気をまんべんなく散在させることができて、使用者はよりマイルドでかつ十分な洗浄感と高い洗浄性能を得ることができる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1の発明の空気混入手段を、エジェクタ効果により外部より直噴流流出路に空気を自然吸気する空気流路を備えた構成にしたもので、空気ポンプなどの空気を混入させるための特別な装置を用意することなく自然の吸気を利用するので、構成が容易で高い耐久信頼性が得られる上、ランニングコストもかからないので大変有用である。
【0013】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明の直噴流流入路と旋回流流入路を、ともに開口面積が固定とするもので、互いの開口面積が変化しないので、洗浄ノズルに流す流量を変化させても、常に適度な強さと洗浄面積のバランスを持つ噴流が吐水でき、噴流が強すぎたり広すぎたりして不快な噴流とならない。
【0014】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明の直噴流流出路の少なくとも一部を、前記直噴流流出路の中心軸に対し一定の角度をなすと共にその中心軸を対象に対をなす斜面を有する構成にしたもので、空気混入された直噴流が、混入された空気の影響を受け左右の斜面に沿って、交互に揺動しながら吐水されるので、直噴流がよりボリューム感のある噴流となって、洗浄感、洗浄力が増す。
【0015】
第6の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明の直噴流流出路の少なくとも一部を、円錐形状の斜面を有する構成にしたもので、空気が混入された直噴流が、混入された空気の影響を受け円錐形状の斜面に沿って、適度に揺動しながら吐水されるので、直噴流がよりボリューム感のある噴流となって、洗浄感、洗浄力が増す。
【0016】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明の旋回噴流を、旋回流流入路が旋回流形成室の中心に対して偏心して流入することで発生される構成にしたので、旋回噴流を発生させるための特別な機構部品などはなく、旋回流流入路が旋回流形成室の中心に対して偏心して流入することで発生する構成の簡単な構成で旋回噴流が実現でき、高い耐久信頼性が得られる。
【0017】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明の直噴流流入路の断面積を、旋回流流入路の断面積よりも大きく設定したもので、直噴流の流量が比較的に確保できる。
すなわち、強い直噴流を実現するために通常、直噴流流出路の流路断面積を、旋回流形成室を含む旋回噴流が流れる流路の断面積に比べて小さくして直噴流の流速を速めるが、そのために直噴流流出路の流路圧損は大きくなり直噴流の流量が確保しにくくなるという課題が生じるが、本実施の形態では直噴流流入路の断面積を旋回流流入路の断面積よりも大きくすることで、直噴流の流量が比較的に容易に確保できる。
【0018】
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明の洗浄ノズルを備えた衛生洗浄装置で、洗浄圧が強くて洗浄面の広い洗浄噴流が吐水可能なノズルを、局部洗浄装置など人体を洗浄する装置に搭載することで、人体の肌などを直接洗浄するにあたり、強いもののマイルドで痛くなく、そして洗浄面の広い洗浄水噴流によりボリューム感のある良好な洗浄感と高い洗浄力とが実現できる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各実施の形態の説明において、同一構成で、同じ作用効果を奏する部分については重複した説明を行わないものとする。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における人体洗浄手段としての人体を洗浄するのに用いる洗浄ノズルの外観斜視図を示すものである。また図2(a)はその洗浄ノズルの平面図で、図2(b)は正面断面図で、図2(c)は側面断面図を示す。図3は、本実施の形態の洗浄ノズルを備えた衛生洗浄装置を便座に取り付けた状態を示すと共に、これを操作するためのリモコンをトイレ室内に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0021】
図1において、洗浄ノズル7は、直噴流8を形成するための直噴流流出路9と、この直噴流流出路9へ洗浄水を導入するための直噴流流入路10とを備え、また、旋回噴流11を形成するため、直噴流流入路10の周りに形成した旋回流形成室12と、この旋回流形成室12へ洗浄水を導入するための旋回流流入路13とを備え、さらに、直噴流8に空気を混入するための空気混入手段14と、直噴流8と旋回噴流11を同時に吐水する吐水口15と、洗浄水を上流より導入するための洗浄水流入路16とを備えている。
【0022】
また図2(b)において、空気混入手段14は、空気流路17を備えており、図2(c)において、直噴流流入路10と旋回流流入路13のそれぞれの直噴流流入口10a、旋回流流入口13aを示す。
【0023】
また図3において衛生洗浄装置18は、便器19の上に設置され、伸縮自在の洗浄ノズル7と、回動自在の便座20および便蓋21と、電源22より電力の供給を得るための電源コード23を備えており、またトイレ室には、衛生洗浄装置を操作するためのリモコン24が備えられている。
【0024】
以上のように構成された洗浄ノズル7および衛生洗浄装置18について、以下その動作、作用を説明する。
【0025】
図1の金属または合成樹脂で形成した洗浄ノズル7において、洗浄水は、上流側から洗浄水流入路16を通って流れてきた後、直噴流流入路10と旋回流流入路13に分岐される。直噴流流入路10に分岐された洗浄水は吐水口15に向け流れ方向が変化され、直噴流流出路9へ至った後、空気混入手段14によって空気が混入されて吐水口15へと流れる。一方、旋回流流入路13へ分岐された洗浄水は旋回流形成室12に至って旋回力を得た後、吐水口15へ至る。直噴流流入路10と旋回流流入路13に分岐された洗浄水は、ともに吐水口15に至り、吐水口15の中心部分から直噴流8と、吐水口15の内周縁部分から旋回噴流11がそれぞれの流れを保ちつつ、同時に吐水される。このとき、直噴流
8と旋回噴流11はそれぞれ、吐水口15の中心部分、吐水口15の内周縁部分に概ね沿った流れの方向性を持っているので、お互いに混ざり合うことなくそれぞれの流れる方向を維持したまま吐水できる。
【0026】
そして、直噴流8は洗浄圧が高く、つまり比較的狭い範囲に強い力で衝突する噴流で、特に、洗浄力を引き出すものである。一方の旋回噴流11は、洗浄圧は低いものの洗浄面積が広く、特に、ボリューム感を引き出すものである。
【0027】
このように本実施の形態では、洗浄面積の比較的狭いものの強い直噴流8と、洗浄圧力の小さいものの洗浄面積の広い旋回噴流11が同時に吐水されるので、洗浄圧が強くて洗浄面が広い、ボリューム感のある洗浄水の噴流となり、洗浄感と高い洗浄性能を有する洗浄力とが実現できる。
【0028】
また、本実施の形態では、図2(a)に示すように、洗浄水が洗浄水流入路16から旋回流流入路13に分岐流入する際の旋回流流入路13の旋回流流入口13aの開口位置を、旋回流形成室12の中心位置に対して偏心する位置に備えており(図2(c)参照)、これによって旋回流形成室12で旋回噴流11が形成される。このとき洗浄水の旋回運動は、日本を始めとする北半球においては時計回り(右回り)で旋回させればコリオリ力の影響を受けずに旋回噴流が形成できるので、図2(c)のように、旋回流流入路13を流入口側から見て中心より左側に偏心させれば時計回り(左回り)の旋回が実現でき、同じ流量でより広い洗浄面積が得られる。なお、南半球で利用する場合は、その逆の構成とすれば同様の効果が得られる。
【0029】
また、本実施の形態では、直噴流流入口10aの開口面積を旋回流流入口13aの開口面積よりも大きく設定している。これは強い直噴流を実現するため、通常、直噴流流出路9の流路断面積を、旋回流形成室12を含む旋回噴流が流れる流路の断面積に比べて小さくして直噴流の流速を速めるために、直噴流流出路9の流路圧損は大きくなり直噴流の流量が確保しにくくなるという課題が生じる。
【0030】
然るに本実施の形態では、直噴流流入路10の断面積を旋回流流入路13の断面積よりも大きくすることで、直噴流の流量が比較的確保しやすくなるものである。そして、直噴流流出路9の流路断面積を決定するのに直噴流側の流路圧損と洗浄強さとのバランスを考慮に入れた設計を行えば最適な噴流が実現できる。具体的には、流路圧損をできるだけ小さく抑えつつ、洗浄強さを最適な強さにできるように流路断面積を構成することにある。さらに、本実施の形態では、直噴流流入口10aと旋回流流入口13aのそれぞれの開口面積の大きさは固定にしてあり、一度その開口面積比を決定すれば洗浄ノズル7に流入する流量が変化しても、直噴流8と旋回噴流11の流量の比は互いにその変化する流量ごとに、流路圧損によって決定される最適な流量比となり、洗浄噴流が強すぎたり洗浄面が広すぎたりということをなくすことができる。
【0031】
そして、洗浄ノズル7は、洗浄水が流れる流路の形状や構成を工夫することのみで良好な噴流を形成しており、特別に駆動部品を有することもなく、また洗浄水が流れたり流れなかったりすることで形状が変化するようなゴム部品に代表される部品等も使用していないので、耐久信頼性に優れており、同時に安価である。
【0032】
図3において、洗浄ノズルが衛生洗浄装置に備えられた場合について説明する。使用者がトイレ室に入室すると、人体検知センサがこれを検知し、予め便蓋21が閉まっている場合には、これを自動で回動起立させ開ける。そして、使用者が例えば大便をするために便座20に着座すると、着座検知センサがこれを検知して脱臭装置を稼動させる。便座20には便座20を暖める暖房機能が備えられ、必要に応じて暖房を実施する。
【0033】
そして、使用者が用を足した後、リモコン24のお尻洗浄用のボタンを操作すると、衛生洗浄装置18に格納された洗浄ノズル7が伸び出し、衛生洗浄装置18に接続された水道水の流入を制御する開閉弁が開いて水道水が洗浄水として衛生洗浄装置18に流入して洗浄ノズル7の洗浄水流入路16まで至り、上記のような過程を経て洗浄水が洗浄ノズル7の吐水口15より吐水され人体局部を洗浄する。
【0034】
使用者が十分に局部を洗浄できたと認識するのに伴って、リモコン24の洗浄停止用のボタンを押すと、開閉弁が閉じられ洗浄水の供給が停止し、洗浄ノズル7が再び衛生洗浄装置18内に格納され、と同時に乾燥装置が働いて洗浄によって濡れた局部を乾かし、使用者は一連のお尻洗浄動作を終了する。
【0035】
このように、本発明の洗浄ノズル7は、お尻などの人体局部を洗浄するのに用いることができ、人体の局部や肌を直接洗浄するにあたり、洗浄圧は強いもののマイルドで痛くなく、そして洗浄面の広い洗浄水噴流となり、ボリューム感のある良好な洗浄感と高い洗浄力を発揮する洗浄噴流を得ることができる。
【0036】
また、本実施の形態で図4に示すように、直噴流流出路9に空気を混入する空気混入手段14の構成としては、空気ポンプなどのポンプ25を利用して外部より直噴流流出路9に強制的に空気を導入する構成がある。この場合、所定量の空気を確実に洗浄水に混入させることができる。
【0037】
一方で、図2に示すように、直噴流流出路9の流路内を流路出口部分の圧力の状態を考慮に入れ、直噴流8の通過で流路内部が負圧となり、外部より直噴流流出路9まで適当な形状と断面積とを有する空気流路17を構成すれば、エジェクタ効果により外部より直噴流流出路9まで空気が自然吸気される。これによって直噴流流出路9を流れる直噴流18に空気を混入するという構成もある。この構成によると、構成が容易で高い耐久信頼性が得られる上、ランニングコストもかからないので大変有用である。
【0038】
具体的には、直噴流流出路9に空気流路17が交わる箇所のすぐ上流部において直噴流流出路9の流路断面積を小さくすることで、先の直噴流流出路9と空気流路17が交わる部分において負圧が生じ、ここで空気流路17の流路長さや、断面積それに形状を最適なものとすると、負圧部に空気が自然吸気され洗浄水に空気が混入できる。
【0039】
一般的に洗浄水に空気を混入させる場合、旋回噴流11に空気を混入させると空気混入によってその混入された空気が旋回噴流11の圧損となって旋回を形成することの妨げとなることがあり、旋回噴流11による洗浄面積の広い噴流が得られないということが生じる。特にエジェクタ効果によって旋回噴流に空気を混入させようとすると、空気を自然に吸気できなかったり、できても旋回噴流の流路圧損が大きすぎるために旋回噴流がきれいに形成できないことがある。
【0040】
然るに本実施の形態では、直噴流8にのみ空気を混入させるので、旋回噴流11の形成を妨げることなく、洗浄範囲の広い洗浄噴流が得られるだけでなく、強い直噴流8に空気が混入されて洗浄圧が強いながらもマイルドな噴流を実現できる。
【0041】
なお、直噴流8に空気を混入させるには、直噴流流出路9に空気混入手段14を設け、ここで、混入させる構成の他に、直噴流流入路10に空気混入手段14を設けて空気を混入させる構成であってもよい。ここで、洗浄水に空気を混入させる場合、上流で予め空気を洗浄水に混入すると混入された空気同士が結合するなどして空気の塊となって、マイルドな洗浄感が得にくくなる。
【0042】
然るに本実施の形態では、直噴流8が流出される直前の直噴流流出路9で空気が混入されると、混入された空気同士が結合するなどして空気の塊となることなく、噴流中の洗浄水に空気をまんべんなく散在させることができて、使用者はよりマイルドでかつ十分な洗浄感と高い洗浄性能を得ることができる。よって、直噴流流入路10に空気混入手段14を設けるなどして直噴流流入路10で空気を混入させるより、直噴流流出路9で空気を混入させる方が比較的良い。
【0043】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態における洗浄ノズルについて、図5(a)、(b)と図6(a)〜(c)並びに図7(a)、(b)を用いて説明する。なお、本実施の形態において、実施の形態1で述べた内容と同一部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0044】
図5(b)は、直噴流流出路9の少なくとも一部は、その直噴流流出路9の中心軸に対し一定の角度をなすと共にその中心軸を対象に対をなす斜面26を示す洗浄ノズル7の正面断面図で、図5(a)はその平面図である。図6(a)〜(c)は、直噴流8が混入された空気27の影響を受けて、変化しながら吐水される様子を示す洗浄ノズル7の断面平面図である。また、図7(b)において、直噴流流出路9の少なくとも一部は円錐形状の斜面28を示す洗浄ノズル7の正面断面図で、図7(a)はその平面図である。
【0045】
以上のように構成された洗浄ノズル7について、以下その動作、作用を説明する。なお、洗浄水の吐水の様子を示す説明において、旋回噴流11については省略し、直噴流8についてのみ説明する。図5(b)において、洗浄水は直噴流流入路10を経た後、直噴流流出路9を経て吐水口15から吐水される。
【0046】
このとき洗浄水は空気混入手段14によって混入される空気の影響を受けながら、左右対になった二つの斜面26のそれぞれに交互に沿って吐水される。その詳細を図6(a)〜(c)を用いて説明する。図6(a)はある瞬間の洗浄水が吐水される様子を示しており、直噴流8は図の左側の斜面26に沿って左方向に吐水されている。一方、空気混入手段14の空気流路17からは、絶え間なく空気27が洗浄水に混入されており、その空気27は流路内の任意の位置をランダムに通る。やがて、図6(a)の状態から図6(b)のように空気が左斜面側に流れるようになると、現在左側の斜面26に沿って吐水されていた洗浄水に対して、空気27が洗浄水を左側の斜面から引き剥がす役割をして、洗浄水は図6(c)のように右側の斜面に付着して流れるようになる。以上のサイクルを極めて短い周期で繰り返すことで、直噴流8も広い面積に吐水されることとなる。
このように、強い噴流で広い面積を高い周波数で変化しながら洗浄できるので、きわめて良好な洗浄が実現できる。
【0047】
一方、図7(a)、(b)の例では、斜面28が円錐形状をしているので、上記の図5(a)、(b)、図6(a)〜(c)の例のように、2方向に切り替えられる実施の形態とは異なり、さまざまな方向にランダムに変化することとなる。これによって使用者は、より周期の短い変化でさまざまな方向に吐水する直噴流8を体感することができて、さらにボリューム感が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかる洗浄ノズルおよびそれを備えた衛生洗浄装置は、吐出圧の強い直噴流と洗浄面積の広い旋回噴流を、同じ吐水口から同時に吐水することができるので、強くてかつ洗浄面の広い洗浄水噴流が得られ、ボリューム感のある洗浄感と高い洗浄性能とを得ることができ、また、直噴流には空気が混入されるので、使用者は強すぎて
痛いということのない噴流、すなわち強いもののマイルドな噴流が得られるので、お尻などの人体局部や肌などを直接洗浄するのに適しているほか、野菜などの食物や装飾品など繊細でかつ一定の広い範囲を洗浄する場合に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態1における洗浄ノズルの外観斜視図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における洗浄ノズルの平面図(b)同、正面断面図(c)同、側面断面図
【図3】本発明の実施の形態1における洗浄ノズルを衛生洗浄装置に取り付けた状態を示す外観斜視図
【図4】本発明の実施の形態1における洗浄ノズルの空気混入手段としてポンプを取り付けた状態を示す正面断面図
【図5】(a)本発明の実施の形態2における洗浄ノズルの平面図(b)同、正面断面図
【図6】(a)〜(c)本発明の実施の形態2における洗浄ノズルの洗浄水が変化しながら吐水される様子を示す図
【図7】(a)本発明の実施の形態2における洗浄ノズルの他の例の平面図(b)同、正面断面図
【図8】従来の人体洗浄手段の概略を示す断面図
【符号の説明】
【0050】
7 洗浄ノズル
8 直噴流
9 直噴流流出路
10 直噴流流入路
11 旋回噴流
12 旋回流形成室 13 旋回流流入路
14 空気混入手段
15 吐水口
17 空気流路
18 衛生洗浄装置
26、28 斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直噴流を形成する直噴流流出路と、旋回噴流を形成する旋回流形成室と、前記直噴流流出路に洗浄水を導入する直噴流流入路と、前記旋回流形成室に洗浄水を導入する旋回流流入路と、前記直噴流に空気を混入する空気混入手段と、前記直噴流流出路を経た洗浄水と前記旋回流形成室を経た洗浄水とが吐出される吐水口とを備えた洗浄ノズル。
【請求項2】
空気混入手段は、直噴流流出路に空気を混入する請求項1に記載の洗浄ノズル。
【請求項3】
空気混入手段は、エジェクタ効果により外部より直噴流流出路に空気を自然吸気する空気流路を備えた請求項1に記載の洗浄ノズル。
【請求項4】
直噴流流入路と旋回流流入路は、ともに開口面積を固定した構成とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄ノズル。
【請求項5】
直噴流流出路の少なくとも一部は、前記直噴流流出路の中心軸に対し一定の角度をなすと共にその中心軸を対象に対をなす斜面を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄ノズル。
【請求項6】
直噴流流出路の少なくとも一部は、円錐状の斜面を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄ノズル。
【請求項7】
旋回噴流は、旋回流流入路が旋回流形成室の中心に対して偏心して流入することで発生される構成の請求項1〜6のいずれか1項に記載の洗浄ノズル。
【請求項8】
直噴流流入路の断面積は、旋回流流入路の断面積よりも大きく設定した請求項1〜7のいずれか1項に記載の洗浄ノズル。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗浄ノズルを備えた衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−100370(P2007−100370A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290930(P2005−290930)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】