説明

洗浄ブラシ及び乳頭洗浄装置

【課題】 洗浄ブラシに対してゴミや細菌を溜まりにくくして清潔な洗浄ブラシを維持するとともに、使用による清浄能力の低下を回避して耐久性を向上させる。また、製造の容易化及びコスト削減を図る。
【解決手段】 回転部4により回転(旋回を含む)することにより被洗浄物Mxを洗浄する洗浄ブラシであって、弾性素材Rを用いたシート材Sの前端辺Sfから複数の切込部2s…を設けることにより複数のブラシ片2p…を形成した複数のブラシシート部2…及び各ブラシシート部2…の後端Srを支持するブラシ基部3を有するとともに、各ブラシシート部2…の面2f…を回転部4の回転方向Frに対して平行に配し、かつ各ブラシシート部2…を回転部4の軸方向Fsに所定間隔おきに配列させて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転(旋回)することにより被洗浄物を洗浄する洗浄ブラシ及びこの洗浄ブラシを利用した乳頭洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、搾乳を行う乳牛の乳頭には、汚れや雑菌が付着しているため、牛乳の衛生的生産や乳質低下防止の観点或いは牛体の乳房炎等を防止する観点から、搾乳前に、乳頭に対する所定の清拭作業(洗浄作業)を行っている。しかし、このような清拭作業は、通常、大掛かりな洗浄装置を必要とするため、既に本出願人らは、可搬式に構成することにより小型コンパクト化及び使い勝手を高めた洗浄装置を提案した(特許文献1参照)。
【0003】
この洗浄装置は、突起状の被洗浄物を挿入口から内部に挿入可能なハウジング部,このハウジング部に挿入した被洗浄物を洗浄するブラシ機構部,このブラシ機構部を回転させる回転駆動部及びハウジング部の内部に洗浄液を噴射する噴射部を備える洗浄ユニットと、少なくとも、洗浄ユニットに対して洗浄液を供給する洗浄液供給手段及び電力を供給する電力供給手段を備える本体ユニットからなり、特に、ブラシ機構部は、ハウジング部に挿入した乳頭の周面部を洗浄する第一洗浄ブラシ部と乳頭の先端部を洗浄する第二洗浄ブラシ部を備えるとともに、第一洗浄ブラシ部は、刷毛状をなす三つの洗浄ブラシを備え、各洗浄ブラシは回転方向に沿って120゜間隔で配される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−206407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の洗浄装置(乳頭洗浄装置)は、次のような解決すべき課題が存在した。
【0006】
第一に、乳頭の周面部を洗浄する第一洗浄ブラシ部に用いる洗浄ブラシは、刷毛状の洗浄ブラシを用いるとともに、ブラシ材質は、乳頭を傷付けることのない軟質の合成樹脂素材を利用し、また、各洗浄ブラシのブラシ密度は、ゴミが付着(残存)しにくい密度を選定するようにしているが、一定の洗浄(清拭)効果を得るには、ある程度のブラシ密度を確保する必要があり、洗浄ブラシにゴミや細菌が溜まりやすい点、洗浄ブラシに付着したゴミ等の頻繁な除去作業を強いられる点、においては更なる改善の余地があった。
【0007】
第二に、刷毛状をなす洗浄ブラシを比較的高速で回転させて使用するため、洗浄ブラシの刷毛部分に曲がりや変形が生じやすい。したがって、使用により清浄能力の低下や更なるゴミの残存を来たしやすいなど、耐久性の面でも改善の余地があった。
【0008】
第三に、乳頭を傷付けることのない軟質の合成樹脂素材を利用した刷毛状をなす洗浄ブラシは製造を容易に行うことができない。また、三つの洗浄ブラシを使用するとともに、耐久性に難があることに基づく比較的短期間での新品交換に伴うコストの増加要因も無視できない。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した洗浄ブラシ及び乳頭洗浄装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る洗浄ブラシBは、上述した課題を解決するため、回転部4により回転(旋回を含む)することにより被洗浄物Mxを洗浄する洗浄ブラシであって、弾性素材Rを用いたシート材Sの前端辺Sfから複数の切込部2s…を設けることにより複数のブラシ片2p…を形成した複数のブラシシート部2…及び各ブラシシート部2…の後端Srを支持するブラシ基部3を有するとともに、各ブラシシート部2…の面2f…を回転部4の回転方向Frに対して平行に配し、かつ各ブラシシート部2…を回転部4の軸方向Fsに所定間隔おきに配列させてなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る乳頭洗浄装置1は、上述した課題を解決するため、乳頭Mを挿入口5iから内部に挿入可能なブラシカップ部5,このブラシカップ部5に挿入した乳頭Mを洗浄するブラシ機構部6,このブラシ機構部6を回転させる回転駆動部4m及びブラシカップ部5の内部に洗浄液Lを噴射する噴射部7を備える洗浄ユニットU1と、少なくとも、洗浄ユニットU1に対して洗浄液Lを供給する洗浄液供給手段8及び電力を供給する電力供給手段9を備える本体部U2からなる乳頭洗浄装置であって、弾性素材Rを用いたシート材Sの前端辺Sfから複数の切込部2s…を設けることにより複数のブラシ片2p…を形成した複数のブラシシート部2…及び各ブラシシート部2…の後端Srを支持するブラシ基部3を有するとともに、各ブラシシート部2…の面2f…を回転駆動部4mにより回転する回転部4の回転方向Frに対して平行に配し、かつ各ブラシシート部2…を回転部4の軸方向Fsに所定間隔おきに配列させた一又は二以上の洗浄ブラシB…を有するブラシ機構部6を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このような構成を有する本発明に係る洗浄ブラシB及び乳頭洗浄装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) 複数のブラシ片2p…を形成した複数のブラシシート部2…の面2f…を回転部4の回転方向Frに対して平行に配し、かつ各ブラシシート部2…を回転部4の軸方向Fsに所定間隔おきに配列させてなるため、ゴミや細菌が溜まりにくい洗浄ブラシBを得ることができる。これにより、洗浄ブラシBに付着したゴミ等の除去作業を大幅に軽減できるとともに、常に清潔な洗浄ブラシBを維持できる。
【0014】
(2) 弾性素材Rを用いたシート材Sの前端辺Sfから複数の切込部2s…を設けることにより複数のブラシ片2p…を形成した複数のブラシシート部2…を有するため、洗浄ブラシBにおける複数のブラシ片2p…には曲がりや変形が生じにくい。したがって、使用による清浄能力の低下を回避できるなど、耐久性を向上させることができるとともに、ゴミの残存防止を図ることができる。
【0015】
(3) 主要部はシート材Sの前端辺Sfから複数の切込部2s…を設けることにより複数のブラシ片2p…を形成した複数のブラシシート部2…により構成できるため、洗浄ブラシBは容易に製造できる。しかも、耐久性向上による新品交換の回数も大幅に低減できるため、イニシャルコスト及びランニングコストの双方におけるコスト削減に寄与できる。
【0016】
(4) 発明の好適な態様により、ブラシシート部2…に形成する各ブラシ片2p…の長さLp…を異ならせることにより当該ブラシシート部2…における前端辺Sfの全体形状を山形に形成すれば、ブラシ能力(清浄能力)をより高めることができる。
【0017】
(5) 発明の好適な態様により、ブラシシート部2…に形成する各ブラシ片2p…を、先端から根元にかけて漸次厚く形成すれば、いわゆるコシのあるブラシ片を得ることができる。これにより、回転中であっても被洗浄物Mxに対する当接力を維持することができるなど、洗浄能力をより高めることができる。
【0018】
(6) 発明の好適な態様により、ブラシシート部2…に形成する各ブラシ片2p…の厚さDp…を、内側に位置するブラシ片2p…ほど薄く形成すれば、乳頭M等の被洗浄物Mxに当接した際のブラシシート部2における前端辺Sfの位置による当接力(当接感触)を平均化できるため、乳頭M等の被洗浄物Mxに対する感触性を高めることができる。
【0019】
(7) 発明の好適な態様により、ブラシ基部3に、回転部4への取付部3cと、この取付部3cの長手方向に所定間隔おきに形成した複数のシート基部3m…とを設け、各シート基部3m…により相隣る一対のブラシシート部2,2…を離間して支持するようにすれば、各ブラシシート部2…を支持する際の安定性及び強度を高めることができる。
【0020】
(8) 発明の好適な態様により、ブラシシート部2…とブラシ基部3を一体形成すれば、洗浄ブラシBを製造する際の更なる容易化及びコスト削減に寄与できる。
【0021】
(9) 発明の好適な態様により、弾性素材Rに、硬度を選定したシリコンゴムを用いれば、ゴミや細菌が溜まりにくく、ブラシ片2p…に曲がりや変形が生じにくいなどの効果を得る観点から最も望ましい洗浄ブラシBを得ることができる。
【0022】
(10) 発明の好適な態様により、ブラシ機構部6に、洗浄ブラシB…を有することにより乳頭Mの周面部Mfを洗浄する周面部洗浄ブラシ部11を設ければ、乳頭Mの周面部Mfを洗浄する際に用いて最適な洗浄ブラシB…を得ることができる。
【0023】
(11) 発明の好適な態様により、洗浄ブラシB…を、周面部洗浄ブラシ部11に対して着脱可能に構成すれば、洗浄ブラシB…を交換する際には、交換が必要な洗浄ブラシB…のみを交換できるため、更なるランニングコストの削減に寄与できる。
【0024】
(12) 発明の好適な態様により、周面部洗浄ブラシ部11を、回転駆動部4m側に対して軸方向Fsに着脱可能に構成すれば、周面部洗浄ブラシ部11をブラシカップ部5の外部に取出すことにより、洗浄ブラシBに付着したゴミ等の除去作業を容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の好適実施形態に係る洗浄ブラシの一部を抽出した拡大斜視図を含む側面図、
【図2】同洗浄ブラシを備える本発明の好適実施形態に係る乳頭洗浄装置における洗浄ユニットの断面側面図、
【図3】同洗浄ユニットの一部断面平面図、
【図4】同洗浄ユニットにおけるブラシ機構部の斜視図、
【図5】同洗浄ブラシを回転部に取付けた状態を示す一部破断平面図、
【図6】同洗浄ブラシの一部を示す正面図、
【図7】同乳頭洗浄装置のブロック系統図、
【図8】同乳頭洗浄装置における洗浄ユニットの使用説明図、
【図9】同乳頭洗浄装置の全体を含む使用説明図、
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0027】
まず、本実施形態に係る洗浄ブラシBを含む乳頭洗浄装置1の構成について、図1〜図8を参照して具体的に説明する。
【0028】
乳頭洗浄装置1は、基本的な構成として、接続ラインUsにより接続した洗浄ユニットU1と本体部U2を備え、具体的な形態の一例を図8に示す。図8に示す乳頭洗浄装置1は、洗浄ユニットU1と本体部U2を台車部81に搭載したものであり、自由に移動させることができる。この場合、本体部U2は、洗浄液貯留部Ut,本体ユニットUm及び制御ユニットUcを備え、この本体部U2は、洗浄ユニットU1に対して洗浄液Lを供給する洗浄液供給手段6及び電力を供給する電力供給手段7を構成する。なお、台車部81において、82…は複数の車輪部、83はハンドル部、84は本体ユニットUmを載置する回動可能な支持板、85は洗浄ユニットU1を載置する洗浄ユニットホルダをそれぞれ示す。
【0029】
図2及び図3は、洗浄ユニットU1の構成を具体的に示す。洗浄ユニットU1は、基本的な構成として、乳牛C(図8)における被洗浄物Mxとなる乳頭Mを挿入口5iから内部に挿入可能なブラシカップ部5,このブラシカップ部5に挿入した乳頭Mを洗浄するブラシ機構部6,このブラシ機構部6を回転させる回転駆動部4m及びブラシカップ部5の内部に洗浄液Lを噴射する上噴射部7a及び下噴射部7bからなる噴射部7を備える。ブラシカップ部5は、全体を円筒形に形成し、上端開口が挿入口5iとなる。ブラシカップ部5は、図2に示すように、内周面の上部に嵌め入れたリング形の噴射部形成部材31を有し、この噴射部形成部材31は、その外周面に、周方向に沿ったリング状の凹溝による上下一対の液通路32a,32bを有するとともに、各液通路32a,32bと内周面間に形成した複数の上噴射孔33a…及び複数の下噴射孔33b…を有する。この場合、各上噴射孔33a…及び下噴射孔33b…は、それぞれ周方向に沿って一定間隔おきに配する。これにより、ブラシカップ部5の上部には、上噴射部7aと下噴射部7bがそれぞれ上下に離間して設けられ、上噴射部7a(上噴射孔33a…)は、後述する洗浄部材35の上方に配されるとともに、下噴射部7b(下噴射孔33b…)は、洗浄部材35の下方に配される。
【0030】
ブラシ機構部6は、回転駆動部4mにより回転するブラシホルダ部21と、このブラシホルダ部21により軸方向Fsの所定範囲にわたって変位自在に支持されるとともに、三つのスプリング22…により挿入口5i側に付勢されるブラシ受部23と、このブラシ受部23に対して軸方向Fsに着脱し、かつブラシ受部23に装着した際に乳頭Mにおける少なくとも先端部Msの洗浄(清拭)を行う先端部洗浄ブラシ部24と、ブラシカップ部5に挿入した乳頭Mの周面部Mfを洗浄(清拭)する周面部洗浄ブラシ部11と、先端部洗浄ブラシ部24をブラシ受部23に装着した際に当該先端部洗浄ブラシ部24と当該ブラシ受部23の相対位置を規制する相対位置規制部25とを備える。
【0031】
この場合、周面部洗浄ブラシ部11は、図1〜図6に示すように、円筒状に形成したブラシホルダ部21の上端から切込状に形成した三つの取付スリット21s…に係合(嵌合)して当該ブラシホルダ部21と一体に回転する回転部4及びこの回転部4に着脱可能に取付ける本実施形態に係る三つの洗浄ブラシB…を備える。回転部4は、上端に位置する連結リング部34r(図2)及びこの連結リング部34rの下面から下方に延設した三つのブラシ支持部34p…を備え、各ブラシ支持部34p…は連結リング部34rの周方向に沿って120〔゜〕間隔で配される。一つのブラシ支持部34p(他のブラシ支持部34p…も同じ)は、図5に示すように、内側面に断面C形の支持スリット12を有するとともに、周方向における両端面には係合凹部13s,13sを有する。これにより、各係合凹部13s,13sは、ブラシホルダ部21に設けた取付スリット21s…の両側縁に係合するとともに、支持スリット12に洗浄ブラシBが着脱し、さらに、回転部4はブラシホルダ部21に対して着脱可能になるとともに、各洗浄ブラシB…は回転部4の回転中心に対して旋回する。
【0032】
一つの洗浄ブラシB(他の洗浄ブラシB…も同じ)は、図1及び図5に示すように、弾性素材Rを用いたシート材Sの前端辺Sfから複数の切込部2s…を設けることにより複数(例示は八つ)のブラシ片2p…を形成した複数のブラシシート部2…及び各ブラシシート部2…の後端Srを支持するブラシ基部3を有する。弾性素材Rとしては、硬度を選択したシリコンゴム、望ましくは、硬度を、乳頭Mを傷付けることがなく、かつ所望の洗浄能力を得ることができる60〜70〔度〕(ショアA)から選択したシリコンゴムが望ましい。このようなシリコンゴムを用いれば、ゴミや細菌が溜まりにくく、ブラシ片2p…に曲がりや変形が生じにくいなどの効果を得る観点から最も望ましい洗浄ブラシBを得ることができる。
【0033】
また、図5に示すように、ブラシシート部2…に設ける各ブラシ片2p…の長さ(突出長)Lp…を異ならせることにより当該ブラシシート部2…における前端辺Sfの全体形状を山形に形成する。これにより、ブラシ能力(清浄能力)を高めることができる。さらに、ブラシシート部2…に形成する各ブラシ片2p…は、図1に示すように、先端から根元にかけて漸次厚く形成する。これにより、いわゆるコシのあるブラシ片を得ることができる。したがって、回転中であっても被洗浄物Mxに対する当接力を維持することができるため、前端辺Sfの全体形状を山形に形成することと併せ、清浄能力をより高めることができる。加えて、各ブラシシート部2…に形成する各ブラシ片2p…の厚さDp…は、図6に示すように、内側に位置するブラシ片2p…ほど薄く形成する。これにより、乳頭Mに当接した際のブラシシート部2における前端辺Sfの位置による当接力(当接感触)を平均化できるため、乳頭M等の被洗浄物Mxに対する感触性を高めることができる。そして、各ブラシシート部2…は、図6に示すように、当該ブラシシート部2…の面2f…を回転部4の回転方向Frに対して略平行に配するとともに、各ブラシシート部2…を回転部4の軸方向Fsに所定間隔おきに配列させる。
【0034】
ブラシ基部3は、図5及び図6に示すように、回転部4への取付部3cと、この取付部3cの長手方向に所定間隔おきに形成した複数のシート基部3m…を備え、各シート基部3m…により相隣る一対のブラシシート部2,2…を離間して支持する。これにより、各ブラシシート部2…を支持する際の安定性及び強度を高めることができる。この場合、取付部3c及びシート基部3m…により構成するブラシ基部3と各ブラシシート部2,2は、ブラシシート部2…の形成素材であるシリコンゴムにより一体成形する。これにより、洗浄ブラシBを製造する際の容易化及びコスト削減に寄与できる。また、取付部3cは、図5に示すように、断面形状が支持スリット12とほぼ同じ形状に形成する。支持スリット12に対してはブラシ基部3を嵌合可能に形成し、嵌合させた際には容易に離脱しないように断面形状を選定する。この際、支持スリット12の一端からブラシ基部3を差込み可能に構成する。これにより、各洗浄ブラシB…を各ブラシ支持部34p…に装着した際は、各ブラシシート部2…の前端辺Sfは回転部4の回転中心に向けて配される。このように、洗浄ブラシB…は、周面部洗浄ブラシ部11(ブラシ支持部34p)に対して着脱可能となるため、洗浄ブラシB…が痛む等により新しい洗浄ブラシB…と交換する際は、交換の必要な洗浄ブラシB…のみの交換が可能となり、ランニングコストの削減に寄与できる。特に、ブラシ機構部6に、このような洗浄ブラシB…を有する周面部洗浄ブラシ部11を設ければ、乳頭Mの周面部Mfを洗浄する際に用いて最適な洗浄ブラシB…を得ることができる。
【0035】
よって、このような洗浄ブラシBは、複数のブラシ片2p…を形成した複数のブラシシート部2…の面2f…を回転部4の回転方向Frに対して略平行に配し、かつ各ブラシシート部2…を回転部4の軸方向Fsに所定間隔おきに配列させてなるため、ゴミや細菌が溜まりにくい洗浄ブラシBを得ることができる。これにより、洗浄ブラシBに付着したゴミ等の除去作業を大幅に軽減できるとともに、常に清潔な洗浄ブラシBを維持できる。また、弾性素材R(シリコンゴム)を用いたシート材Sの前端辺Sfから複数の切込部2s…を設けることにより複数のブラシ片2p…を形成した複数のブラシシート部2…を有するため、洗浄ブラシBにおける複数のブラシ片2p…には曲がりや変形が生じにくい。したがって、使用による清浄能力の低下を回避できるなど、耐久性を向上させることができるとともに、ゴミの残存防止を図ることができる。さらに、主要部はシート材Sの前端辺Sfから複数の切込部2s…を設けることにより複数のブラシ片2p…を形成した複数のブラシシート部2…により構成できるため、洗浄ブラシBは容易に製造できる。しかも、耐久性向上による新品交換の回数も大幅に低減できるため、イニシャルコスト及びランニングコストの双方におけるコスト削減に寄与できる。
【0036】
一方、連結リング部34rの上面には洗浄部材35を取付ける。洗浄部材35は、図4に示すように、円盤リング状に形成し、中央に乳頭Mが挿通する挿通孔35iを有する。この際、挿通孔35iは、乳頭Mを挿入した際に、乳頭M間に無用な隙間が生じないようにその内径を選定する。洗浄部材35の上面には、上方に突出する複数のフィン状部35f…を設ける。この場合、各フィン状部35f…は放射方向に形成するとともに、周方向に沿って一定間隔おきに配する。洗浄部材35はシリコンゴム、望ましくは、硬度を55〜65〔度〕(ショアA)から選択したシリコンゴムにより一体成形する。これにより、洗浄部材35は、ブラシカップ部5の挿入口5iに配され、ブラシ機構部6と一体に回転することにより乳頭Mにおける根元部位Mbを洗浄する。このように、洗浄部材35をシリコンゴムにより一体成形すれば、単一部品により容易かつ低コストに実施できるとともに、乳頭Mに対する保護を図りつつ、根元部位Mbに対する十分な洗浄を行うことができる。
【0037】
他方、先端部洗浄ブラシ部24は、先端面ブラシ24sと三つの境曲面ブラシ24r…を備えるとともに、各ブラシ24sと24r…を着脱可能に取付けるブラシ取付部24cを備える。先端面ブラシ24sは、乳頭Mの先端部Msにおける先端面Mssに当接して当該先端面Mssの洗浄を行うものであり、硬度の低いシリコンゴム、望ましくは、硬度を5〜15〔度〕(ショアA)から選択したシリコンゴムを用いることにより、全体を図3に示すように、中心から120〔゜〕間隔で放射三方向に延出した形状に形成し、上面には多数の円柱突起部26…を設ける。円柱突起部26…は、上端にエッジ部が形成され、乳頭M上の汚れを掻き取ることができる。これにより、突起状の乳頭Mにおける起伏のある先端部Msであっても有効かつ十分な洗浄を行うことができ、特に、牛乳の衛生的生産の確保及び乳質低下防止や乳房炎等の防止に貢献できるとともに、乳頭Mにおける汚れの残存を解消できるため、洗浄後の確認作業や手作業による追加洗浄などが不要或いは軽減され、作業性の向上及び作業能率の向上を図ることができる。境曲面ブラシ24r…は、先端面Mssから周面Mfに至る境曲面Msrに当接して当該境曲面Msrの洗浄を行うものであり、シリコンゴム、望ましくは、硬度を55〜65〔度〕(ショアA)から選択したシリコンゴムにより形成し、図2及び図3に示すように、複数の切り溝を入れた二枚のシートを組み合わせた形態に形成する。これにより、乳頭Mにおける先端部Msに対する洗浄性能をより高めることができ、効率的で良好な洗浄を行うことができる。このようなブラシ機構部6の構成により、各洗浄ブラシB…と各境曲面ブラシ24r…は、図3に示すように、周方向に沿って60〔゜〕間隔で交互に配され、異なる長さの乳頭Mに対しても先端部Msの洗浄を常にムラ無く良好に行うことができる。
【0038】
また、回転駆動部4mは、ケーシング41にブラシモータ42を内蔵して構成し、ケーシング41の上端面からブラシモータ42の回転シャフトが上方に突出する。そして、ケーシング41の上端はブラシカップ部5の下端開口に取付けるとともに、ケーシング41の下面にはコネクタ43を取付ける。また、ケーシング41には、ブラシカップ部5の内部に連通する排液口部44を一体に形成する。なお、ブラシカップ部5の外周面には手で持った状態で操作できる運転スイッチ45(図7)を付設する。
【0039】
このような洗浄ユニットU1の構成により、乳頭Mにゴミ(稲藁,おがこ,籾殻,糞等)が付着している場合であっても、ゴミはブラシ機構部6のブラシで掻き取られる前に、洗浄部材35により除去されるとともに、洗浄液Lにより速やかに流されるため、ブラシ機構部6におけるブラシへのゴミの付着を低減できる。これにより、洗浄能力の低下やブラシに付着したゴミの頻繁な除去作業を排除し又は軽減することができるとともに、より少ない量の洗浄液Lにより効率良く清拭できる。また、専用の洗浄部材35により乳頭Mにおける根元部位Mbの洗浄が可能なため、根元部位Mbに対して洗浄ユニットU1を必要以上の力で押付ける必要が無く、根元部位Mb側に対して不必要な負担をかけてしまう弊害を回避できるとともに、洗浄時間も不必要に長くなる弊害を回避できる。しかも、洗浄部材35の上方に配した上噴射部7a及び洗浄部材35の下方に配した下噴射部7bを備えるため、少ない洗浄液Lにより乳頭Mにおける先端部Msから根元部位Mbまで効率良く洗浄できる利点がある。
【0040】
次に、各部の接続系統の概要について、図7を参照して説明する。まず、洗浄ユニットU1に備えるコネクタ43の内側接続端子には、ブラシモータ42と運転スイッチ45を接続する。そして、コネクタ43は、接続ケーブル51を介して本体ユニットUmのコネクタ61fに接続するとともに、コネクタ61fの内側接続端子は、本体ユニットUmの他方の位置に配したコネクタ61sに中継線を介してそのまま接続する。また、洗浄ユニットU1におけるケーシング41に設けた排液口部44は、廃液チューブ52を介して本体ユニットUmの廃液チューブ接続口62iに接続する。本体ユニットUmは廃液回収タンク62を備え、廃液チューブ接続口62iはこの廃液回収タンク62に連通する。さらに、洗浄液チューブ53a,53bは、廃液チューブ52の内部に挿通させ、一端となる流出端を洗浄ユニットU1におけるブラシカップ部5の内部に設けた接続口部54a,54bにそれぞれ接続する。各接続口部54a,54bはブラシカップ部5の内部流路を介して、上噴射部7a,下噴射部7bにそれぞれ接続する。他方、各洗浄液チューブ53a,53bの他端となる流入端は、廃液チューブ接続口62iを通して、廃液回収タンク62に付設した継手管63a,63bの下端口にそれぞれ接続する。これにより、本体ユニットUmと洗浄ユニットU1は、洗浄液チューブ53a,53bを含む廃液チューブ52と接続ケーブル51を有する接続ラインUsにより接続される。
【0041】
一方、本体ユニットUmの廃液回収タンク62には吸気ファン64を臨ませる。また、一方の継手管63aの上端口は電磁バルブ65を介して三方継手66の第一分岐端に接続するとともに、他方の継手管63bの上端口は三方継手66の第二分岐端に直接接続する。そして、三方継手66の入力端は制御ユニットUcに配設した送液ポンプ67の吐出口に接続するとともに、送液ポンプ67の吸入口は洗浄液貯留部Utに接続する。吸気ファン64及び電磁バルブ65はコネクタ61sの内側接続端子に接続する。なお、廃液回収タンク62において、62eは自動排出を行うオートドレインであり、回収された使用済の洗浄液(廃液)Lrはオートドレイン62eを通して外部に排出される。68は制御ユニットUcに備える制御部(コントローラ)であり、この制御部68は制御ユニットUcに配設したコネクタ70及び接続ケーブル71を介して本体ユニットUmに配設したコネクタ61sに接続する。69はバッテリを示す。
【0042】
次に、本実施形態に係る洗浄ブラシB…を備える乳頭洗浄装置1の使用方法及び動作(機能)について、図1〜図9を参照して説明する。
【0043】
乳頭洗浄装置1を使用する際には、作業者は洗浄ユニットU1を手で持ち、図8に示すように、ブラシカップ部5の挿入口5iに乳牛Cの乳頭Mを挿入させる。なお、洗浄ユニットU1における先端部洗浄ブラシ部24は、スプリング22…により上方に付勢されるため、乳頭Mが未挿入のときは、図2に示す最上昇位置にあるが、乳頭Mが挿入されれば、図9(a)に示すように、下降変位する。
【0044】
一方、洗浄は、予備洗浄と主洗浄からなり、最初に予備洗浄を行う。予備洗浄は、主洗浄を行う前に各乳頭M…を洗浄液Lで濡らすことにより主洗浄において汚れをより落とし易くする目的で行う。この際、作業者は、洗浄ユニットU1を手で持った状態で運転スイッチ45を押してONにする。これにより、送液ポンプ67,電磁バルブ65,ブラシモータ42及び吸気ファン64がONになり、洗浄液貯留部Ut内の洗浄液Lは、洗浄液チューブ53a及び53bを介して上噴射部7a及び下噴射部7bにそれぞれ供給される。そして、図9(a)に示すように、洗浄液Lは、上噴射部7a(上噴射孔33a…)から洗浄部材35の上方に噴射されるとともに、下噴射部7b(下噴射孔33b…)から洗浄部材35の下方に噴射される。また、ブラシモータ42が正転と逆転を交互に繰り返す。ブラシモータ42の回転により、先端面ブラシ24s,三つの境曲面ブラシ24r…,洗浄ブラシB…及び洗浄部材35が一体に回転し、乳頭Mに対する予備洗浄が行われる。さらに、吸気ファン64のONにより、廃液チューブ52内が吸気されるため、ブラシカップ部5の内部における使用済の洗浄液(廃液)Lrは、廃液チューブ52を介して廃液回収タンク62に回収され、オートドレイン62eを介して外部に排出される。予備洗浄の時間Taとしては、数〔秒〕程度の僅かな時間で足りる。
【0045】
予備洗浄が終了したなら、主洗浄を行う。主洗浄でも基本的な操作は予備洗浄と同じであるが、作業者は、乳頭Mの汚れ度合等を考慮して、運転スイッチ45を押す時間(ON時間)を任意に変えることができる。まず、洗浄ユニットU1に乳頭Mを挿入する。そして、運転スイッチ45を押してONにする。運転スイッチ45のONにより、予備洗浄の場合と同様、図9(a)に示すように、洗浄液Lは、上噴射部7aから洗浄部材35の上方に噴射されるとともに、下噴射部7bから洗浄部材35の下方に噴射される。また、ブラシモータ42は、正転と逆転を交互に繰り返し、乳頭Mに対する主洗浄が行われる。この場合、洗浄ブラシB…は、乳頭Mの周面部Mfに対する洗浄を行う。さらに、境曲面ブラシ24r…は、乳頭Mの先端部Msにおける境曲面部位の洗浄を行うとともに、先端面ブラシ24sは、乳頭Mの先端部Msにおける先端面部位の洗浄を行う。
【0046】
この場合、洗浄ブラシB…は、複数のブラシ片2p…を形成した複数のブラシシート部2…の面2f…を回転部4の回転方向Frに対して略平行に配し、かつ各ブラシシート部2…を回転部4の軸方向Fsに所定間隔おきに配列させてなるため、ゴミや細菌が溜まりにくく、洗浄ブラシBに付着したゴミ等の除去作業も大幅に軽減されるとともに、常に清潔な洗浄ブラシBが維持される。また、洗浄ブラシB…は、シリコンゴムを用いたシート材Sの前端辺Sfから複数の切込部2s…を設けることにより複数のブラシ片2p…を形成した複数のブラシシート部2…を有するため、洗浄ブラシBにおける複数のブラシ片2p…には曲がりや変形が生じにくく、使用による清浄能力の低下が回避される。同様に、境曲面ブラシ24r…も、シート状のため、ゴミが付着しにくい利点があるとともに、先端面ブラシ24sは、円柱突起部26…を用いるため、上端のエッジ部により乳頭M上の汚れを掻き取ることができ、突起状の乳頭Mにおける起伏のある先端部Msであっても有効かつ十分な洗浄を行うことができる。したがって、牛乳の衛生的生産の確保及び乳質低下防止や乳房炎等の防止に貢献できるとともに、乳頭Mmにおける汚れの残存を解消できるため、洗浄後の確認作業や手作業による追加洗浄などが不要或いは軽減され、作業性の向上及び作業能率の向上を図ることができる。
【0047】
さらに、洗浄部材35の回転によりフィン状部35f…による乳頭Mにおける根元部位Mbの洗浄が行われ、この洗浄には洗浄部材35の上方に配した上噴射部7aから噴射される洗浄液Lが用いられる。一方、吸気ファン64により、廃液チューブ52内が吸引されるため、ブラシカップ部5の内部における廃液Lrは、廃液チューブ52を介して本体ユニットUm側に回収廃棄される。主洗浄は正規の洗浄を行うため、時間Tdは、予備洗浄時の時間Taよりも例えば2倍程度長くする。そして、設定した最大時間Tamが経過した以降は、乳頭Mの根元部位Mbに対する実質的な洗浄が終了し、洗浄部材35は回転するフィン状部35f…により液切り及び乾燥を開始する。運転スイッチ50がOFFになることにより、ブラシモータ42の回転は、正転方向にのみ回転する。また、送液ポンプ67はそのままONを継続し、予め設定したTe時間経過後に、送液ポンプ67及びブラシモータ42がOFFになる。したがって、運転スイッチ45をOFFにした後、このTe時間内に、洗浄ユニットU1を乳頭Mから離脱する。図9(b)が離脱時の状態を示している。
【0048】
ところで、このような洗浄ユニットU1を使用した場合、ブラシ機構部6は乳頭Mからの汚れが付着するため、ブラシ機構部6におけるブラシ自身も定期的に洗浄する必要がある。この場合、まず、周面部洗浄ブラシ部11は、挿入口5i側に引張ることにより、ブラシホルダ部21から容易に離脱させることができる。この状態を図4に示す。この後、別途の取外用治具を使用し、この取外用治具の係止爪部をブラシ取付部24cに係止させ、挿入口5i側に引張れば、先端部洗浄ブラシ部24をブラシ受部23から容易に取り外すことができる。この状態を図9(c)に示す。このように、周面部洗浄ブラシ部11は、回転駆動部4m側に対して軸方向Fsに着脱可能となるため、周面部洗浄ブラシ部11(洗浄ブラシB…)をブラシカップ部5の外部に取出すことにより、ブラシ用具で磨いたり、洗浄液等に浸けるなどにより十分な洗浄(汚れ落とし)を行うことができるなど、洗浄ブラシB…に付着したゴミ等の除去作業を容易かつ確実に行うことができる。また、先端部洗浄ブラシ部24(先端面ブラシ24s及び各境曲面ブラシ24r…)も同様に洗浄(汚れ落とし)を行うことができる。そして、洗浄が終了したなら、逆の手順により装着すればよい。
【0049】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、弾性素材Rに、硬度を選定したシリコンゴムを用いたが、他のゴム(合成ゴム,天然ゴム)や合成樹脂等の各種弾性素材Rにより実施可能である。また、ブラシシート部2…における前端辺Sfの全体形状やブラシシート部2…に形成する各ブラシ片2p…の厚さDp…は、例示に限定されるものではなく各種態様により実施可能である。さらに、ブラシシート部2…とブラシ基部3を一体形成する場合を例示したが、別部材の組付体であってもよい。他方、先端部洗浄ブラシ部24の構成として、先端面ブラシ24sと境曲面ブラシ24r…を用いた場合を示したが、先端面ブラシ24sと境曲面ブラシ24r…が一体となった構成や先端面ブラシ24sのみの場合など、他の構成であってもよい。また、洗浄ユニットU1と本体部U2を台車部81に搭載した例を挙げたが、洗浄ユニットU1以外の構成は任意であり、例えば、台車部81を使用することなく、本体部U2を固定設置場所に固定されていてもよいなど、各種形態により実施できる。一方、回転部4により洗浄ブラシB…を旋回させることにより被洗浄物Mxの外周面を洗浄する場合はもちろんのこと、洗浄ブラシB…を中心で回転させることにより筒状の被洗浄物Mxにおける内周面を洗浄する場合にも同様に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る洗浄ブラシB…は、乳頭洗浄装置1をはじめ各種洗浄装置、即ち、回転部4により回転することにより被洗浄物Mxを洗浄する各種洗浄装置に利用でき、この被洗浄物Mxには、乳頭Mのみならず各種被洗浄物Mxを適用できる。なお、乳頭洗浄装置1は少なくとも乳頭清拭装置を含む概念である。
【符号の説明】
【0051】
1:乳頭洗浄装置,2…:ブラシシート部,2s…:切込部,2p…:ブラシ片,2f:ブラシシート部の面,3:ブラシ基部,3c:取付部,3m…:シート基部,4:回転部,4m:回転駆動部,5:ブラシカップ部,5i:挿入口,6:ブラシ機構部,7:噴射部,8:洗浄液供給手段,9:電力供給手段,11:周面部洗浄ブラシ部,R:弾性素材,S:シート材,Sr:ブラシシート部の後端,Sf:シート材の前端辺,B:洗浄ブラシ,Mx:被洗浄物,M:乳頭,Mf:乳頭の周面部,Fr:回転方向,Fs:軸方向,L:洗浄液,U1:洗浄ユニット,U2:本体部,Lp…:ブラシ片の長さ,Dp…:ブラシ片の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部により回転(旋回を含む)することにより被洗浄物を洗浄する洗浄ブラシにおいて、弾性素材を用いたシート材の前端辺から複数の切込部を設けることにより複数のブラシ片を形成した複数のブラシシート部及び各ブラシシート部の後端を支持するブラシ基部を有するとともに、各ブラシシート部の面を前記回転部の回転方向に対して平行に配し、かつ各ブラシシート部を前記回転部の軸方向に所定間隔おきに配列させてなることを特徴とする洗浄ブラシ。
【請求項2】
前記ブラシシート部に形成する各ブラシ片の長さを異ならせることにより当該ブラシシート部における前端辺の全体形状を山形に形成することを特徴とする請求項1記載の洗浄ブラシ。
【請求項3】
前記ブラシシート部に形成する各ブラシ片は、先端部から根元部にかけて漸次厚く形成することを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄ブラシ。
【請求項4】
前記ブラシシート部に形成する各ブラシ片の厚さを、内側に位置するブラシ片ほど薄く形成することを特徴とする請求項1,2又は3記載の洗浄ブラシ。
【請求項5】
前記ブラシ基部は、前記回転部への取付部と、この取付部の長手方向に所定間隔おきに形成した複数のシート基部とを有し、各シート基部により相隣る一対の前記ブラシシート部を離間して支持することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄ブラシ。
【請求項6】
前記ブラシシート部と前記ブラシ基部は一体成形することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄ブラシ。
【請求項7】
前記弾性素材は、硬度を選定したシリコンゴムを用いることを特徴とする請求項1記載の洗浄ブラシ。
【請求項8】
乳頭を挿入口から内部に挿入可能なブラシカップ部,このブラシカップ部に挿入した乳頭を洗浄するブラシ機構部,このブラシ機構部を回転させる回転駆動部及び前記ブラシカップ部の内部に洗浄液を噴射する噴射部を備える洗浄ユニットと、少なくとも、前記洗浄ユニットに対して洗浄液を供給する洗浄液供給手段及び電力を供給する電力供給手段を備える本体部からなる乳頭洗浄装置において、弾性素材を用いたシート材の前端辺から複数の切込部を設けることにより複数のブラシ片を形成した複数のブラシシート部及び各ブラシシート部の後端を支持するブラシ基部を有するとともに、各ブラシシート部の面を前記回転駆動部により回転する回転部に対して平行に配し、かつ各ブラシシート部を前記回転部の軸方向に所定間隔おきに配列させた一又は二以上の洗浄ブラシを有するブラシ機構部を備えることを特徴とする乳頭洗浄装置。
【請求項9】
前記ブラシ機構部は、前記洗浄ブラシを有することにより乳頭の周面部を洗浄する周面部洗浄ブラシ部を備えることを特徴とする請求項8記載の乳頭洗浄装置。
【請求項10】
前記洗浄ブラシは前記周面部洗浄ブラシ部に対して着脱可能に構成することを特徴とする請求項9記載の乳頭洗浄装置。
【請求項11】
前記周面部洗浄ブラシ部は、前記回転駆動部側に対して軸方向に着脱可能に構成することを特徴とする請求項9又は10記載の乳頭洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−207142(P2010−207142A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56574(P2009−56574)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】