説明

洗浄剤組成物

【課題】 洗浄効果が高く、かつ被洗浄物に損傷を与えることなく、しかも皮膚刺激性が少ない洗浄用組成物を提供する。
【解決手段】 テルペン系炭化水素、天然油とpH11以上の強アルカリ電解水を含む

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関し、更に詳しくは家庭内のキッチン、ダイニング、トイレ、バスルーム等やオフィスにおいて清掃を行なうのに適した洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭及びオフィス内は様々な汚れによって汚染されるが、一般に汚染物の付着から洗浄までの時間が長いと洗浄が困難となる。
特に酸化した油汚れ等は洗浄が困難で、界面活性剤を主成分とする中性洗剤だけではこれら汚れを完全除去することはできない。
この様な洗浄困難な汚れに対しては、研磨剤を含む洗浄剤や金属たわし等を用いた物理的作用による剥離、界面活性剤を含む強アルカリ性洗浄剤や有機溶剤を用いた洗浄方法が一般である。
しかし研磨剤を含む洗浄剤や金属たわしを用いた物理的作用による剥離は被洗浄物表面を削る作用があるため、被洗浄物に対するダメージが強い。
界面活性剤を含む強アルカリ性洗浄剤は皮膚刺激が強く、特に素手で扱うと手荒れの原因となる。
また、有機溶剤のうちテルペン系炭化水素は油汚れに対して優れた洗浄力が有ることが知られているがABS樹脂などスチレン系樹脂を溶解するという問題がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は前記問題点を解消するためになされたもので、その主たる目的は、スチレン系樹脂をはじめとする被洗浄物にダメージを与えること無く洗浄力に優れ、しかも皮膚刺激性が少ない洗浄用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため本発明の洗浄剤組成物は、テルペン系炭化水素と天然油及びpH11以上の強アルカリ電解水とを有することを特徴としている。
すなわち、テルペン系炭化水素は単独で油汚れに対して優れた洗浄力を有するが、スチレン系樹脂を溶解して被洗浄物にダメージを与えるため、試みに天然油を配合してみた。
天然油を配合したところ、テルペン系炭化水素のスチレン系樹脂に対する溶解性が抑制され、被洗浄物にダメージを与えなくなることを知見した。
また天然油は、それ自身、洗浄剤成分としての洗浄力はないがマッサージオイルのベースオイル等にも用いられ皮膚を保護する効果がある。
そこで本発明は、pH11以上の強アルカリ電解水を主成分とし、これにテルペン系炭化水素と天然油を配合することにより、強アルカリ電解水単独より洗浄力に優れ、被洗浄物にダメージを与えず、かつ皮膚刺激性の少ない洗浄剤組成物が得られることを見出して本発明を完成するに至ったものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は水溶性の汚れに効果的なpH11以上の強アルカリ電解水と、油汚れに効果的なテルペン系炭化水素を含むため、広範囲の汚れに対する洗浄力に優れる。しかも配合する天然油は皮膚の保護効果を有するため手肌にも影響が少ない。
また、本発明で配合するpH11以上の強アルカリ電解水は水の電気分解により生成される安全な洗浄剤である。
テルペン系炭化水素のリモネン、ピネン、シメン、テルピネンはシトラスオイル、オレンジオイル、レモンオイル等の天然抽出物に含まれる成分で人体に無害であり、天然油も前述の通りマッサージオイルのベースオイル等にも用いられるため人体に対して無害であり安全性が高い。
したがって、上記洗浄剤組成物は、使用場所を選ばずトイレまわりなどの各種用具などに対して使用できることはもちろんのこと、テーブル、キッチン周り等においても使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この発明に係る洗浄剤組成物は、テルペン系炭化水素、天然油とpH11以上の強アルカリ電解水とからなっている。
本発明は前記テルペン系炭化水素としてリモネン、ピネン、シメン、テルピネンを使用するが、さらにリモネンを主成分とする天然抽出物のシトラスオイル、オレンジオイルならびにレモンオイルの使用が特に好ましく、これらは単独でも併用しても良い。
前記天然油としてはスクワランオイル、ホホバオイル、スイートアーモンドオイル、マカデミアナッツオイル、オリーブオイル、グレープシードオイル、アプリコットカーネルオイル、ココナッツオイル、ローズヒップオイル、イブニングプリムローズオイル、小麦胚芽油、アボガドオイル、セントジョンズワートオイル、カレンデュラオイル、ピーチカーネルオイル、ヘーゼルナッツオイル、椿オイル等を使用する。
これらは単独でも2種以上を併用しても良い。
またこの発明に使用することができるpH11以上の強アルカリ電解水は、食塩、炭酸カリウム等の電解質を添加した水の電気分解によって生成した陰極水で、電解槽は2槽式を用いてもさらに3槽以上の多層式を用いても良い。
さらに本発明洗浄剤組成物はpH11以上の強アルカリ電解水と非水溶性溶剤であるテルペン系炭化水素及び天然油を安定な乳化状態とするために界面活性剤及び増粘剤を配合することができる。
界面活性剤及び増粘剤は安全性の面から天然由来、或いは毒性の極めて弱いものから適宜選択して利用可能である。
とくにスメクタイト系の増粘剤を利用すると界面活性剤を含まない乳化液を作ることが可能となる。
また、さらに洗浄力を向上させる場合には、適宜洗浄力の強い界面活性剤を添加することができる。
【実施例】
【0007】
実施例として表1に示す成分割合いで各種洗浄剤組成物を調整し、これらについて以下の試験を行った。
【0008】
1.洗浄試験
人工汚垢を用いた洗浄力試験を行った。
人工汚垢は牛脂と大豆油を体積比1:1で混合した油脂20g、モノオレイン0.25g及びオイルレッド0.1gを同時にクロロホルム60ccに溶解し、その後加熱酸化させたものを使用した。
人工汚垢をスライドガラスに塗布し、80℃で約30分乾燥させて試験板とした。
上記洗浄ならびに除菌用組成物をビーカーに入れ、試験板を浸漬し、超音波洗浄器を用いて30秒洗浄した。
洗浄前後の試験板の人工汚垢重量を測定し、pH12.5の強アルカリ電解水の洗浄力を1として相対評価により各種洗浄剤の洗浄力を求めた。
その結果を表1に示す。
【0009】
【表1】

【0010】
2.溶解性試験
ABS樹脂を用いて溶解性試験を行った。
ABS樹脂を50mm角に切断し、表1に示す各種洗浄剤中に1週間浸漬し、浸漬前後の重量変化及び目視による外観変化を観察した。
その結果を表1に示す。
※評価基準
○:外観異常なし。重量変化なし
×:外観異常、重量変化有り
【0011】
3.皮膚刺激性試験
表1に示す各種洗浄剤を用いて素手で実際に清掃を行い、手荒れの状態を比較観察した。
その結果を表1に示す。
※評価基準
◎:清掃後手のかさつきを感じない
○:清掃後手のかさつきを少し感じたが日常生活範囲内
×:清掃後手のかさつきを感じ、クリームを塗らないと治らない。
【比較例】
【0012】
比較例として表1に示す成分割合いで各種洗浄剤組成物を調整し、これらについて実施例と同様の試験を行った結果を表1に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テルペン系炭化水素、天然油及びpH11以上の強アルカリ電解水を含むことを特長とする洗浄剤組成物
【請求項2】
請求項1に記載する洗浄剤組成物において、天然油はスクワランオイル、ホホバオイル、スイートアーモンドオイル、マカデミアナッツオイル、オリーブオイル、グレープシードオイル、アプリコットカーネルオイル、ココナッツオイル、ローズヒップオイル、イブニングプリムローズオイル、小麦胚芽油、アボガドオイル、セントジョンズワートオイル、カレンデュラオイル、ピーチカーネルオイル、ヘーゼルナッツオイル、椿オイルよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする洗浄剤組成物
【請求項3】
請求項1ないし2に記載した洗浄剤組成物において、前記テルペン系炭化水素はリモネン、ピネン、シメン、テルピネンよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする洗浄剤組成物
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の洗浄剤組成物において、テルペン系炭化水素と天然油の比率が1:0.1〜1:2であることを特徴とする洗浄剤組成物

【公開番号】特開2007−161977(P2007−161977A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−381075(P2005−381075)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(591069891)株式会社ケミコート (11)
【Fターム(参考)】