説明

洗浄用液再生装置

【課題】維持管理のために多大な費用と労力を必要とし、設置場所のためにある程度のスペースを確保しなければならないペーパーフィルターなどを使用せず、しかも、洗浄用液の再生効率と液質を可及的に増大良化させることができる、洗浄装置などにおける洗浄用液再生装置を提供する。
【解決手段】洗浄用液再生装置であって、濾過装置20は、多孔板により固体成分と液体成分とに分離する濾過手段を備え、洗浄液貯留タンク12から供給された洗浄液を濾過手段により固体成分と液体成分とに分離し、濾過手段により分離された液体成分は、すすぎ液貯留タンク14に戻され、かつ濾過手段により分離された固体成分は、廃液タンク30に貯留され、廃液タンク30に貯留された固体成分は遠心分離機40に供給され、遠心分離機40では、固体成分からさらに液体成分が分離され、その分離された液体成分が洗浄液貯留タンク12に戻されるようにしたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機などで使用した洗浄用液を再使用するのに好適な洗浄用液再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プラスチック製の運搬用容器(以下、コンテナともいう)を用いて電子部品や食品などを運搬する場合は、付着した塵埃、油脂、汚れなどを取り除く目的で洗浄してから使用されている。また、近年では、スーパーなどで使用されているプラスチック製の買い物用カゴおよび荷役用パレットさえも美観、衛生上の観点から洗浄される環境にある。
【0003】
このように運搬用のコンテナあるいは買い物用カゴ又はパレットなどの物品を洗浄するための洗浄装置では、おおむね洗剤を含んだ洗浄液による洗浄を実施した後に、水道水などの清澄なすすぎ液によってすすぎが行なわれている。この場合、洗浄液、すすぎ液共に適度に加温されることが多い。
【0004】
一方、洗剤を含んだ洗浄液は高価であるとともに、化学物質排出環境の観点からも配慮を必要とする。処理される物品の量によっては、洗浄液あるいはすすぎ液の使用量もそれに応じて多くなる。したがって、洗浄に用いられた洗浄用液は一旦回収してから再使用が可能であることが望ましい。ここで、洗浄用液とは、概して洗剤を水で薄めた「洗浄液」と、すすぎに用いる「すすぎ水」の両方を含むものとする。
【0005】
ところで、コンテナなどの洗浄を工業的に行う場合は、塵埃などの固形物除去のために、これまでロール状のペーパーフィルターやカートリッジタイプフィルターなどにより除去するのが簡易的、一般的であった。
【0006】
しかしながら、このペーパーフィルター等で固形物を除去する場合は、ペーパーフィルターなどが消耗品であることから、新たなペーパーフィルターを常時補充する必要があり、すなわち、ペーパーフィルターが目詰まりなどを起す前に新たなペーパーフィルターに置き換えなければならない。また、含水率の高いスラッジの後処理等、維持管理のために多大な費用と労力を要するという問題があった。
【0007】
また、ペーパーフィルター等の濾過装置は、装置使用に際し、設置のためある程度のスペースを確保しなければならないという問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような実情に鑑み、維持管理のために多大な後処理費用と労力を必要とし、設置場所のためにある程度のスペースを確保しなければならないペーパーフィルターなどを使用せず、しかも、洗浄用液の再生効率と液質を可及的に増大良化させることができる、洗浄装置などにおける洗浄用液再生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る洗浄用液再生装置の一例として、
洗浄部とすすぎ部とを備えた洗浄機と、前記洗浄機の前記洗浄部に洗浄液を供給する洗浄液貯留タンクと、前記洗浄機の前記すすぎ部にすすぎ液を供給するすすぎ液貯留タンクとを備えた洗浄装置の、前記洗浄部で使用された洗浄液と前記すすぎ部で使用されたすすぎ液とを前記洗浄液貯留タンク内に回収するとともに、前記洗浄液貯留タンク内に貯留された洗浄液を濾過装置に取り出して、この濾過装置により固体成分と液体成分とに分離し、分離された液体成分を前記洗浄装置の前記すすぎ液貯留タンクまたは前記洗浄液貯留タンクに戻して再使用するための洗浄用液再生装置であって、
前記濾過装置は、周面に多数の孔が形成された多孔板により固体成分と液体成分とに分離する濾過手段を備え、前記洗浄液貯留タンクから供給された洗浄液を前記濾過手段により固体成分と液体成分とに分離し、
前記濾過手段により分離された液体成分は、前記すすぎ液貯留タンクに戻され、かつ前記濾過手段により分離された固体成分は、廃液タンクに貯留され、
前記廃液タンクに貯留された固体成分は遠心分離機に供給され、
この遠心分離機では、前記固体成分からさらに液体成分が分離され、その分離された液体成分が前記洗浄液貯留タンクに戻されるようにしたことを特徴としている。
【0010】
このような構成の本願発明によれば、ペーパーフィルター等を使用しないので、ペーパーフィルター等を使用するための設置スペースが減少される。また、定期的に補充する消耗品なども必要としない。
【0011】
また、濾過装置で液体成分から分離された固体成分は、遠心分離機で分離することにより液体成分がさらに分離されるので、洗浄用液の再生量を増大させることができ、またスラッジ等の廃棄物の量を大幅に減量できる。
【0012】
ここで、本願発明では、前記濾過装置は、
内部に限定された空間を有する第1円筒体と、
この第1円筒体の内部空間に配置され、多孔板で形成された第2円筒体と、
前記第1円筒体の内周面と前記第2円筒体の外周面との間に、前記第2円筒体の外周面に固設した状態で設置された環状の隔壁体と、
前記第2円筒体の内部に設置された回転軸と、
前記回転軸に一体的に設置され、この回転軸の回転に伴って前記第2円筒体の内壁面を掻きとるスピードコントロール板と、
前記第2円筒体の内部に一端開口が配置され、他端開口が第2円筒体の外方に配置された吸引手段とを備えていることが好ましい。
【0013】
このような本願発明によれば、洗浄液貯留タンクに貯留された洗浄液を、液体成分と固体成分とに分離するにあたり、ペーパーフィルター等を用いることなく容易に分離することができる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明によれば、ペーパーフィルターのような消耗品を使用しないので、維持管理のためのコストが安価である。また、大きな設置場所が不要であり、構造がコンパクトである。
【0015】
さらに、一旦使用した洗浄用液を濾過装置で固液を分離した後、遠心分離機で固形成分を濾過してそこから洗浄用液を取り出すので、洗浄用液の再生効率を飛躍的に増大させることができ、またスラッジ等の廃棄物の量を大幅に減量できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本願発明の一実施例に係る洗浄用液再生装置の概略図である。
【図2】図2は図1に示した洗浄用液再生装置に採用された濾過装置の破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施例に係る洗浄用液再生装置を示したものである。
【0019】
本実施例の洗浄用液再生装置の一例では、洗浄用液を回収し再使用するためにコンテナなどを洗浄する洗浄装置10に、濾過装置20と、廃液タンク30と、遠心分離機40とが接続されている。
【0020】
洗浄装置10は、工場などに設置される一般的なもので、例えば、アングル材などで組まれた架台上に、水平方向に長い横置型の洗浄機2が搭載されることにより構成されている。この洗浄装置10では、上流側には洗浄部4が、下流側にはすすぎ部5が設置されている。また、洗浄機2内にはチェーンコンベアなどの搬送手段6が設置され、外部から搬送されてきたコンテナ8などの被洗浄物は、この搬送手段6に受け渡されて矢印A方向に連続的に搬送される。
【0021】
洗浄機2の底面2aは上流側が低くされ、これにより洗浄機2のすすぎ部5側からも液体の一部が上流の洗浄部4側に導かれるようになっていることが多い。
【0022】
一方、洗浄部4の下方には、洗浄液貯留タンク12が設置され、この洗浄液貯留タンク12内に、洗浄部4で使用された洗浄液と、すすぎ部5で使用されたすすぎ液の一部が回収されるようになっている。なお、すすぎ部5で使用されるすすぎ液は、すすぎ液貯留タンク14から連続的に供給されている。
【0023】
上記洗浄液貯留タンク12内にはフロート16が設置され、このフロート16の高さにより洗浄液の液量が所定量以下になったことが検知された場合に、給水管18から洗浄液貯留タンク12内への給水が行われる。
【0024】
洗浄液貯留タンク12内に貯留された洗浄液は、フィルター22、ポンプ24を介して洗浄機2内の洗浄部4に供給され、洗浄部4に設置された噴出ノズル26により、コンテナ8に噴出される。
【0025】
一方、すすぎ液貯留タンク14内にもフロート16が設置され、このフロート16の高さによりすすぎ液の液量が所定量以下になったことが検知された場合に、給水管28からすすぎ液貯留タンク14内への給水が可能にされている。
【0026】
すすぎ液貯留タンク14内に貯留されたすすぎ液は、フィルター3、ポンプ7を介して上方のすすぎ部5に供給され、このすすぎ部5に設置された噴出ノズル29から飛散されてコンテナ8の表面がすすがれる。
【0027】
上記洗浄液貯留タンク12内およびすすぎ液貯留タンク14内には、それぞれオーバーフロー32が具備され、これらのオーバーフロー32により、各タンク12,14内の貯水量が所定量を超えた場合に、その超過分が自動的に外部に排水されるように構成されている。
【0028】
以下に、本実施例で採用された濾過装置20の概略について図2を参照しながら説明する。
【0029】
この濾過装置20は、洗浄装置10で一度使用された洗浄用液を繰り返して再使用するために使用される。この濾過装置20では、ペーパーフィルター等が使用されていない。また、設置場所に応じて横置きあるいは縦置きのいずれかを選択することができる。本実施例では、横置き型が採用されている。
【0030】
なお、以下の説明では、このように横置き型の濾過装置20において、原水取り入れ口11が形成された図の右側を入口側、濾過液取り出し口13が形成された図の左側を出口側として機器本体を説明する。
【0031】
図2に示したように、濾過装置20では、装置本体の外殻を構成する第1円筒体34の内部に、多孔板からなる第2円筒体36を同心状に備えており、この第2円筒体36は、入口側の筒体36aおよび出口側の筒体36bにより構成されている。なお、これらの筒体36a、36bは、固液を分離するフィルターとしての機能を有している。そして、これら2つの筒体36a、36bからなる第2円筒体36の内部に、回転軸38が軸方向に設置されている。
【0032】
外殻としての第1円筒体34の内周面と、フィルターとしての第2円筒体36の外周面との間には、環状の隔壁体42がこの空間を仕切るように固定的に設置されている。また、隔壁体42には放射状の骨材42aが具備されている。
【0033】
出口側の筒体36bと入口側の筒体36aの各外側の端部には、それぞれ円板状の隔壁体44、45が設置され、これら隔壁体44、45は、第2円筒体36および回転軸38に固定されている。
【0034】
なお、第2円筒体36を構成する筒体36a、36bと、略中央部の隔壁体42と、両端部の隔壁体44,45は、第1円筒体34と一体であり、それぞれ回転することはない。
【0035】
第1円筒体34内は、円板状の隔壁体44を境に、図の右方に第1室46が、図の左方に第2室48が画成されている。そして、第1室46内には、複数枚(実施例では4枚)のスピードコントロール板52が回転軸38に放射状に設置されている。そして、回転軸38が濾過装置内で回転することにより、4枚のスピードコントロール板52がともに回転し、これにより、回転軸38の回転速度を概ね一定に保つ。
【0036】
一方、第1円筒体34の第1室46内では、回転軸38の周面にバキュームロータ54が所定間隔置きに設置されている。このバキュームロータ54は図示しない減圧手段に接続されたもので、減圧手段の駆動により先端部に吸引作用を有している。このバキュームロータ54も上記スピードコントロール板52と同様に回転軸38の回転により回転する。したがって、回転軸38が回転するとバキュームロータ54に接続された減圧手段の作用により、バキュームロータ54の先端開口54aから、筒体36bの内面に付着した固形物が吸引され、その吸引された固形物は、回転軸38の内部を通って第2室48側に送出され、第2室48内のハイドロモータ56の先端開口56aから第2室48内に排出される。第2室48内に排出された固形物は、第1円筒体34に接続された固形物排出管58を介して濾過装置20の外方に排出される。
【0037】
なお、この濾過装置20では、原水取り入れ口11と濾過液取り出し口13の差圧が図示しない圧力計で検知されており、この圧力計で検知された差圧が所定値を超えた場合に、固形物排出管58が自動的に開となるように設定されている。
【0038】
したがって、原水取り入れ口11と濾過液取り出し口13との差圧が所定値より大きくなった場合に、回転軸38が回転することにより、バキュームロータ54による吸引が行われるとともに、固形物排出管58から固形物が自動的に外部に排出されるように構成されている。
【0039】
なお、上記濾過装置20は広く市販されている公知のもので、詳細な説明は省略するが、上記の構造に加えて、スピードコントロール板52とバキュームロータ54とは、回転軸38の回転に伴って軸方向に往復移動可能にされている。したがって、スピードコントロール板52とバキュームロータ54とは、第2円筒体36の一方の端部から他方の端部に向かって繰り返し往復移動するので、第2円筒体36の内周面に付着している固形物はバキュームロータ54で万遍なく吸引され、外部に排出することが可能にされている。
【0040】
したがって、第2円筒体36の内周面に固形物の取り残しが生じてしまうことも、付着した固形物がそのまま固形化してしまうことも無い。また、本実施例の濾過装置20では、ペーパーフィルターのような消耗品を必要としないので、運転コストが安価であるとともに、煩雑な保守、点検が不要である。さらに、差圧により吸引が自動的に行われるので、人為的な作業が不要となり、作業者の不注意による目詰まりが生じることもない。すなわち、スピードコントロール板52およびバキュームロータ54の駆動は自動的に行われるので、固形物が第2円筒体36の孔を塞いでしまうこともない。これにより、濾過装置20では、長期間の継続的使用を略メンテナンスフリーで行うことができる。
【0041】
上記のように形成された濾過装置20は、図1に示したように、洗浄液貯留タンク12に配管62で接続され、さらに配管64ですすぎ液貯留タンク14、また状況によりすすぎ配管に直接接続される。この場合すすぎ液貯留タンク14は不用となり、コストダウンとなる。
【0042】
濾過装置20における第2の室48に接続された固形物排出管58は、配管66を介して廃液タンク30に接続されている。また、廃液タンク30の下流には、遠心分離機40が設置され、廃液タンク30と遠心分離機40との間は配管68を介して接続されている。さらに、この遠心分離機40は、配管72を介して洗浄液貯留タンク12に接続されている。
【0043】
遠心分離機40は、遠心力を利用して固体成分と液体とに分離する一般的なものである。そして、この遠心分離機40では、上方の汚水入口から取り入れられてきた固形物を多く含む廃液が、内方のラバーバケット内に取り入れられる。ラバーバケットが回転すると、微細な固形物はラバーバケット内に張り付くことにより、固体成分が分離される。このようにラバーバケットを介して遠心濾過された液体成分は、ノズルを経由してバケットから抜けていき、配管72に排出される。そして、本実施例では、配管72を介して洗浄装置10の洗浄液貯留タンク12に戻される。
【0044】
本実施例による洗浄用液再生装置は上記のように構成されているが、以下に作用について説明する。
【0045】
今、電子部品あるいは食品などの運搬に使用される多数のコンテナ8および荷役用パレットが、図示しない搬送手段により洗浄装置10の手前側に搬送され、そのコンテナ8は洗浄装置10内の搬送手段6に受け渡されて洗浄機2内に所定間隔置きに搬送される。洗浄装置10の搬送手段6により洗浄機2内に所定間隔置きに搬送されてきたコンテナ8は、先ず上流側の洗浄部4に到達する。一方、洗浄装置10内では、洗浄部4において洗浄液が、すすぎ部5においてすすぎ液が、常時噴出されている。
【0046】
この状態でコンテナ8が洗浄部4に到達すると、洗浄部4の噴出ノズル26から噴出されている洗浄液により、コンテナ8の内外面がくまなく洗浄される。これにより、コンテナ8の表面に付着していた塵埃、固形物などが落とされる。一方、洗浄に使用された洗浄液は、下方の洗浄液貯留タンク12内に、落下した塵埃などとともに収容される。
【0047】
さらに、洗浄装置10の搬送手段6による搬送が進んで、コンテナ8が洗浄部下流のすすぎ部5に到達すると、そのコンテナ8は、噴出ノズル29からのすすぎ液により表面がすすがれる。なお、すすぎに使用されるすすぎ液は、上述の濾過装置20で一旦濾過が行われれば、その濾過によって大部分をまかなうことができる。しかしながら、すすぎ液貯留タンク14内の貯留量が不足したことがフロート16による検出に基いて確認された場合は、給水管28から補給される。
【0048】
なお、すすぎ液貯留タンク14内のすすぎ液は、洗浄液貯留タンク12の洗浄液に比べて洗剤濃度が希薄になっているため、すすぎ液として問題になることはない。すすぎ部5で使用されたすすぎ液の一部は、洗浄機2の傾斜して形成された底面2aを介して上流側の洗浄液貯留タンク12内に戻される。
【0049】
以下に、洗浄装置10で使用された洗浄液の濾過について説明する。
【0050】
洗浄液貯留タンク12内では、下層ほど塵埃などの固形物が多く介在されているため、多量の固形物を含んだ原水が、濾過装置20に供給されてくる。
【0051】
原水取り入れ口11から濾過装置20内に取り入れられた原水は、第1円筒体34の内方に勢い良く供給され、その原水は、さらに第2円筒体36の孔を介して回転軸38に向かって取り入れられる。このとき、原水内の大きな固形物は筒体36aの孔を通過することができないため、筒体36aの外周側に留まり、これにより固液分離が行われる。
【0052】
さらに、筒体36aの内方に進むことのできた原水は、骨材42aの間を通って図左方の第1室46に侵入する。さらに、第1室46内に侵入してきた原水は、ここから筒体36bの外方に広がろうとする。このとき、原水は筒体36の表面に形成された多数の孔を通過することになるので、再び筒体36bで濾過され、外方に進むことができなかった固形物は筒体36bの内周側に留まる。これにより、二度目の固液分離が行われる。
【0053】
一方、時間の経過とともに原水取り入れ口11と、濾過液取り出し口13との差圧が所定値以上に大きくなると、その差圧を検出したセンサからの信号に基いて回転軸38が回転を始める。また、固形物排出管58が開となる。
【0054】
回転軸38が回転し、固形物排出管58が開となり、スピードコントロール板52およびバキュームロータ54がともに回転すると、先ずスピードコントロール板52により第2円筒体36aの内周面に貯まった固形物が順次掻き取られる。掻き取られた固形物は、バキュームロータ54の開口54aから吸引され、回転軸38の内部を通ってハイドロモータ56側に送られ、ハイドロモータ56の開口56aから第2室48内に排出される。そして、ハイドロモータ56の開口56aから第2室48内に排出された固形物を多く含む廃液は、固形物排出管58から配管66を通り廃液タンク30に送られる。
【0055】
さらに、廃液タンク30に送られた固形物を多く含む廃液は、これまで廃棄される場合が多かったが、本実施例では、廃棄されず、この廃液タンク30から配管68を通って遠心分離機40に送出される。そして、この遠心分離機40でさらに固体(スラッジ)の処理が行われる。
【0056】
遠心分離機40で3回目の固液分離が行われた液体成分は、濾過液排出口37から配管72を通って、元の洗浄装置10の洗浄液貯留タンク12内に戻される。そして、この洗浄液貯留タンク12内に戻された液体成分は、その後、再び、洗浄装置10の洗浄部4に供給され、洗浄液として再利用される。
【0057】
このように、本実施例によれば、原水取り入れ口11から濾過装置20に取り入れられた原水は、次第に固体成分を少なくして最終的には、廃液タンク30から遠心分離機40に供給されて、ここで最後の固液分離が行われ、洗浄液供給タンク12に戻される。
【0058】
一方、最初に原水取り入れ口11から取り入れられた原水のうち、第1円筒体36で濾過された液体成分は、第1円筒体34の出口側に形成された濾過液取り出し口13を介して外方に排出され、さらに配管64を介してすすぎ液貯留タンク14内に戻される。そして、すすぎ液として再利用される。また、状況によりすすぎ配管に直接接続されることがある。
【0059】
本実施例による再生装置は、上述したように一度洗浄に使用された原水が次第に濾過されて、多くの洗浄液が再利用されることになる。
【0060】
特に、本発明では、濾過装置20で分離された固体成分がさらに遠心分離機40で分離されるので、洗浄液の再生効率を極めて高くすることが可能になり、実験によれば、80%以上の洗浄用液を再生使用することが可能になった。
【0061】
また、本発明の洗浄用液再生装置では、ペーパーフィルターのような消耗品が不要であるので、運転コストが安価である。また、運転稼動中に、濾過装置の濾過面の清掃が行われるので目詰まりが生じにくい。したがって、運転コストも安価である。さらに、構造がコンパクトで設置場所も小さくて良い。
【0062】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されない。
【0063】
例えば、上記実施例では、濾過装置20の濾過液取り出し口13から排出される液体成分は洗浄装置10のすすぎ液貯留タンク14内に戻されているが、前述の如くすすぎ配管に直接接続することもでき、これに代え、洗浄液貯留タンク12に戻すように構成しても良い。
【0064】
また、上記実施例における再生装置は、コンテナ8を洗浄する洗浄装置に適用して説明したが、買い物用カゴおよび物流用パレットなどを洗浄する洗浄装置に適用することも有効である。
【0065】
さらに、洗浄を完了したコンテナなどを自動的に乾燥できるように、洗浄装置10の下流に乾燥装置を設けることもできる。
【0066】
また、濾過装置20は上記実施例に何ら限定されない。
【符号の説明】
【0067】
2 洗浄機
2a 底面
4 洗浄部
6 すすぎ部
8 コンテナ
10 洗浄装置
11 原水取り入れ口
12 洗浄液貯留タンク
13 濾過液取り出し口
14 すすぎ液貯留タンク
16 フロート
18 給水管
20 濾過装置
22 フィルター
24 ポンプ
26 ノズル
28 給水管
29 ノズル
30 廃液タンク
34 第1円筒体
36 第2円筒体
38 回転軸
40 遠心分離機
42、44,45 隔壁体
46 第1室
48 第2室
52 スピードコントロール板
54 バキュームロータ
56 ハイドロモータ
58 排出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄部とすすぎ部とを備えた洗浄機と、前記洗浄機の前記洗浄部に洗浄液を供給する洗浄液貯留タンクと、前記洗浄機の前記すすぎ部にすすぎ液を供給するすすぎ液貯留タンクとを備えた洗浄装置の、前記洗浄部で使用された洗浄液と前記すすぎ部で使用されたすすぎ液とを前記洗浄液貯留タンク内に回収するとともに、前記洗浄液貯留タンク内に貯留された洗浄液を濾過装置に取り出して、この濾過装置により固体成分と液体成分とに分離し、分離された液体成分を前記洗浄装置の前記すすぎ液貯留タンクまたは前記洗浄液貯留タンクに戻して再使用するための洗浄用液再生装置であって、
前記濾過装置は、周面に多数の孔が形成された多孔板により固体成分と液体成分とに分離する濾過手段を備え、前記洗浄液貯留タンクから供給された洗浄液を前記濾過手段により固体成分と液体成分とに分離し、
前記濾過手段により分離された液体成分は、前記すすぎ液貯留タンクに戻され、かつ前記濾過手段により分離された固体成分は、廃液タンクに貯留され、
前記廃液タンクに貯留された固体成分は遠心分離機に供給され、
この遠心分離機では、前記固体成分からさらに液体成分が分離され、その分離された液体成分が前記洗浄液貯留タンクに戻されるようにしたことを特徴とする洗浄用液再生装置。
【請求項2】
前記濾過装置は、
内部に限定された空間を有する第1円筒体と、
この第1円筒体の内部空間に配置され、多孔板で形成された第2円筒体と、
前記第1円筒体の内周面と前記第2円筒体の外周面との間に、前記第2円筒体の外周面に固設した状態で設置された環状の隔壁体と、
前記第2円筒体の内部に設置された回転軸と、
前記回転軸に一体的に設置され、この回転軸の回転に伴って前記第2円筒体の内壁面を掻きとるスピードコントロール板と、
前記第2円筒体の内部に一端開口が配置され、他端開口が第2円筒体の外方に配置された吸引手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄用液再生再生装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−5995(P2012−5995A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146341(P2010−146341)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(305034889)株式会社キサミツ技研 (5)
【Fターム(参考)】