説明

洗濯乾燥機およびパルセータ

【課題】「布絡み」を抑えて良好な洗浄性能を保証すると共に、短時間で「しわ付き」の少ない乾燥を実現することができるパルセータおよび洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】パルセータ10は上面に斜面が形成された円板であって、平面視において中心軸Oから外周に至る円弧状に形成された点対称で、一定の高さの稜線2a、2bと、その間で中心軸Oから外周に向かって除々に低くなる遷移線1a、1bとを有し、遷移線1a、1bと稜線2a、2bとをそれぞれ結ぶ急斜面12a、12bと、稜線2a、2bと遷移線1b、1aとをそれぞれ結ぶ、急斜面12a、12bよりも傾斜角度が緩やかな緩斜面21a、21bと、が形成されている。洗濯時、衣類は急斜面12a、12bによって中心軸O周りに撹拌され、乾燥時、衣類は緩斜面21a、21bを滑らかに登った後、急斜面12a、12bに急激に滑り落ちる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機およびパルセータ、特に、パルセータ方式の洗濯乾燥機、および該洗濯乾燥機に設置されるパルセータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に洗濯乾燥機は、パルセータ方式とドラム式とに大別される。パルセータ方式は、洗濯槽に配置されたパルセータを回転して、その回転によって「回流する水流」を発生させ、摩擦または振動などの機械的作用と洗剤による化学作用とによって汚れを除去するものである。洗濯された衣類の脱水は、洗濯槽(パルセータが配置されている)を回転し、遠心力によって水分を飛ばしている。さらに、脱水後の衣類の乾燥は、洗濯槽内に温風を吹きこみながらパルセータを回転している。
そして、洗濯乾燥機において、洗浄効率を高めるために「布絡み」を少なくし、かつ、「しわ付き」が少ない仕上がりを実現するための回転体(パルセータに同じ)が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−81102号公報(第6−7頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたパルセータは、外周に向かって高くなる斜面が形成された円板であって、該斜面が、正面図(12時−6時方向)においてV字状で、側面図(3時−9時方向)において直線状または逆V字状(山状)を呈している。したがって、かかるパルセータの回転によって、水または衣類は、所定の傾斜角度の斜面によって持ち上げられて、かつ、これと同じ傾斜角度の斜面(線対称の斜面)によって引き下げられることになる。
また、回転方向を交互に変更する場合、一方向に回転する場合と、これと反対の方向に回転する場合の様子とで、水または衣類に作用する上方向の力は原則同一になる。
そのため、かかるパルセータは、洗濯中には、水を適度に撹拌して衣類の「布絡み」を抑えるものの、水のない乾燥中には、衣類は動き難く乾燥効率が低下したり、かえって衣類の「しわ付き」を招来したりするという問題があった。
【0005】
本発明は上記の問題を解決するものであって、「布絡み」を抑えて良好な洗浄性能を保証すると共に、短時間で「しわ付き」の少ない乾燥を実現することができるパルセータ、および該パルセータが設置された洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るパルセータは、洗濯乾燥機の洗濯槽の底部に設置される上面に複数の傾斜面が形成された円板からなるパルセータであって、
側面視において、前記円板の中心軸において底面から第1の高さ(H1)で、前記円板の外周において底面から第2の高さ(H2)になるように外周に向かって除々に低くなり、平面視において、前記中心軸から前記外周に至る円弧状または渦巻き状に形成された複数の遷移線(1a、1b)と、
側面視において、前記中心軸から前記外周に渡って第1の高さ(H1)を維持し、平面視において、前記遷移線(1a、1b)と同一方向に張り出し、前記中心軸から前記外周に至る円弧状または渦巻き状に形成された複数の稜線(2a、2b)と、
中心軸から所定の距離にある円周に沿って、前記一方の遷移線(1a)の張り出し方向から前記一方の稜線(2a)の張り出し方向に向かって除々に高くなる第1の傾斜面(12a)と、
前記一方の稜線(2a)の張り出し方向から前記他方の遷移線(1b)の張り出し方向に向かって除々に低くなる第2の傾斜面(21a)と、を有し、
前記第1の傾斜面(12a)の傾斜が前記第2の傾斜面(21a)の傾斜より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
したがって、本発明に係るパルセータ、円弧状の稜線に向かって形成された第1の傾斜面(以下「急斜面」と称する場合がある)と第2の傾斜面(以下「緩斜面」と称する場合がある)とを具備するから、以下の効果を奏する。
(i)洗濯中、急斜面に向かって回転すると、衣類は急斜面によって周方向かつ斜め上方向の力を受けるから、中心軸周りに撹拌される。よって、洗濯性能が向上する。
(ii)乾燥中、緩斜面に向かって回転すると、衣類は緩斜面を滑らかに登り、稜線に到達した後は、急斜面を急速に滑り落ちる。したがって、かかる上下運動によって衣類はほぐされ、乾燥が促進されると共に、「しわ付き」が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[実施の形態1]
(パルセータ−半円式)
図1〜図5は本発明の実施の形態1に係るパルセータを説明する、図1は平面図、図2は斜視図、図3は稜線および遷移線に沿った展開図、図4はフィレットのない場合の円周に沿った展開図、図5はフィレットのある場合の円周に沿った展開図である。なお、以下の図において、同じ部分にまたは相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、同じ形態については、添え字「第1、第2」や「a、b]の記載を省略して説明する。
【0009】
(稜線)
図1および図2において、パルセータ10は上面に滑らかな斜面が形成された円板であって、平面図(図2)において、中心軸Oから外周に至る円弧状に形成され、中心軸に対して点対称の第1稜線2aと第2稜線2bが形成されている。このとき、第1稜線2aは上に凸で、第2稜線2bは下に凸になっているから、第1稜線2aおよび第2稜線2bの張り出し方向は、いずれも反時計周りの方向である。
図3の(a)および(b)において、第1稜線2aと第2稜線2bとは、中心軸Oから外周に渡って(図中、外周位置Rb3〜中心軸O〜外周位置Ra3)第1高さH1を維持している。なお、実際の形状は、第1稜線2aと第2稜線2bにフィレット(先端R)が形成されているから、外周位置Rb3と外周位置Ra3とにおいて、高さが僅かに低くなっている。
【0010】
(遷移線)
図1および図2において、第1稜線2aと第2稜線2bとの間に、中心軸Oから外周に至る円弧状に形成され、中心軸に対して点対称の第1遷移線1aと第2遷移線1bが形成されている。このとき、第1遷移線1aは上に凸で、第2遷移線1bは下に凸になっているから、第1遷移線1aおよび第2遷移線1bの張り出し方向は、いずれも、第1稜線2aおよび第2稜線2bの張り出し方向に同じ、反時計周りの方向である。
図3の(c)および(d)において、第1遷移線1aと第2遷移線1bとは、中心軸Oにおいて底面から第1高さH1で、円板の外周位置Ta3、Tb3において底面から第2高さH2になるように外周に向かって除々に低くなっている。なお、実際の形状は、第1遷移線1aと第2遷移線1bにフィレット(先端R)が形成されているから、外周位置Rb3と外周位置Ra3とにおいて、高さが僅かに低くなると共に、中心軸Oにおいて、第1稜線2aと第2稜線2bと滑らかに繋がり、上に凸の略円弧状を呈している。
【0011】
(傾斜面)
図1および図2において、第1遷移線1aの張り出し方向から第1稜線2aの張り出し方向に向かって(反時計方向に同じ)、序々に高くなる第1の1傾斜面(以下「第1急斜面」と称す)12aと、
第1稜線2aの張り出し方向から第2遷移線1bの張り出し方向に向かって(反時計方向に同じ)、序々に低くなる第1の2傾斜面(以下「第1緩斜面」と称す)21aと、
第2遷移線1bの張り出し方向から第2稜線2bの張り出し方向に向かって(反時計方向に同じ)、序々に高くなる第2の1傾斜面(以下「第2急斜面」と称す)12bと、
第2稜線2bの張り出し方向から第1遷移線1aの張り出し方向に向かって(反時計方向に同じ)、序々に低くなる第2の2傾斜面(以下「第2緩斜面」と称す)21bと、
がそれぞれ形成されている。
【0012】
図4および図5は、円周に沿った展開図であって、(a)は位置Ra0、Rb0を通る円(中心軸Oに最も近い)、(b)は位置Ra1、Ta1、Rb1、Tb1を通る円(中心軸Oから少し離れている)、(c)はRa2、Ta2、Rb2、Tb2を通る円(中心軸Oから略1/2半径離れている)、(d)はRa3、Ta3、Rb3、Tb3を通る円(外周位置)におけるものである。なお、実際はフィレットが形成されているから、稜線は上に凸に形成されている。また、以下、急斜面12と緩斜面21とをまとめて「緩急斜面」と称する場合がある。
【0013】
(緩急斜面の作用効果)
図6および図7は本発明の実施の形態1に係るパルセータの作用効果を説明するものであって、図6は緩急斜面を示す模式図、図7は緩急斜面の作用効果を示す模式図である。
図6において、急斜面12a(急斜面12bも同様)は傾斜角度θ1で近似され、と緩斜面21a(緩斜面21b同様)は傾斜角度θ2で近似されている。そして、傾斜角度θ1、2θの間に、以下の関係があるとき、下記作用効果を奏するものである。
θ1=30°〜60° ・・・・・式1
θ1=(1.5〜3.)×θ2 ・・・・・式2
【0014】
図6の(a)において、洗濯は主に、急斜面12が回転方向になるようにパルセータ10を回転して実行する(図1において時計回りに同じ)。このとき、急斜面12により水および衣類は、周方向で斜め上方の力を受けることにより、中心軸O周りに撹拌されるから、洗濯性能が向上する。
また、パルセータ10を逆転するとき(図1において反時計回りに回転するに同じ)、水および衣類は緩斜面21を滑らかに登るから、時計方向の回転によって慣性が付与されている衣類が、急激に反時計周りに撹拌されることがない。このため、「衣絡み」が防止される。
【0015】
図6の(b)において、乾燥は主に、緩斜面21が回転方向になるようにパルセータ10を回転して実行する(図1において反時計回りに同じ)。このとき、衣類は緩斜面21を滑らかに登り、稜線2(パルセータ10の頂点に相当する)まで持ち上げられる。そして、その後、急斜面12を急激に滑り落ちる。したがって、かかる上下運動を繰り返すことによって、衣類はほぐされ、温風が行き渡る。このとき、衣類には斜め上方向の力が作用しないから、布絡みが生じることがなく、前記滑り落ちと吹きつけられる温風の作用により、「しわ付き」が防止される。
【0016】
なお、これに引き続き、パルセータ10を逆転すると(図1において時計回りに回転するに同じ)、衣類は急斜面12を登ることになるものの、該逆転の際の回転速度や回転角速度を小さくしておけば、「しわ付き」の発生を防止することができる。
そして、かかる「しわ付き」防止効果は、衣類が緩斜面21を滑るように登る程大きくなるから、緩斜面21を平滑に仕上げたり、摩擦係数を小さくする表面処理を施したりすることは有効である。
【0017】
以上は、緩急斜面が円周方向に2条形成されたものを例示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、3条以上であってもよい。なお、1条では、洗濯において水および衣類に作用する面、および乾燥において衣類に作用する面が少ないため,効果的な洗浄性能や乾燥能力が得られない。一方、多き過ぎる場合には,緩斜面の面積が狭くなったり緩斜面の傾斜角度が大きくなったりして、前記作用効果が小さくなる。
また,乾燥時にパルセータの回転速度を一定とすると,上下に揺動される頻度が多くなり過ぎ,効果的に衣類が動かない。さらに、回転速度を下げた場合,遷移線1と稜線2との高低差で決まる揺動の力が弱くなり,効果的に衣類が動かなくなることになる。
【0018】
また、以上は、遷移線1および稜線2の平面図における形状を、パルセータ10の半径に同じ直径を具備する半円にしているが、本発明はこれに限定するものではなく、均一な曲率半径の円弧や曲率半径が変動する渦巻き状(実施の形態2参照)であってもよい。
なお、パルセータ10の半径に同じ直径を具備する半円にした場合には、乾燥工程において,パルセータの半径の1/2の位置から外側(半円である遷移線1および稜線2の中心から外周側に同じ)では,衣類を外側に押し出すような力を作用させ,内側では押し出す力を弱めることにより,衣類の内外で空間を生じさせることができ,温風を効果的に当てることができるものである。また、パルセータ10の半径の1/2より大きな曲率半径を具備する円弧の場合、外側に押し出す力が弱くなり、前記効果的が弱められる。
【0019】
[実施の形態2]
(パルセータ−渦巻き式)
図8〜図12は本発明の実施の形態2に係るパルセータを説明する、図8は平面図、図9は斜視図、図10は稜線および遷移線に沿った展開図、図11はフィレットのない場合の円周に沿った展開図、図12はフィレットのある場合の円周に沿った展開図である。
図8〜図12に示すパルセータ20は、平面図(図8)において、遷移線3a、3bおよび稜線4a、4bが、それぞれ中心軸Oから遠ざかるに従って連続的に曲率半径が大きくなる曲線(渦巻き状に同じ)を呈するものである。
このため、図8において、稜線4a、4bが反時計方向に湾曲して侵入しているから、特に、乾燥工程において、中心軸に近い範囲で、衣類を内側では押し出す力が弱まることになる。よって、衣類の内外で空間を生じさせることができ、温風をより効果的に当てることができるものである。
なお、パルセータ20は、実施の形態1におけるパルセータ10の遷移線1を遷移線3に、稜線2を稜線4に、急斜面12を急斜面34に、緩斜面21を緩斜面43に、それぞえ読み替えたものであるから、説明を省略する。また、前記曲線の曲率変形は、中心軸Oから所定の範囲毎に設定され、段階的(不連続的)に変動するものであっても、あるいは、サイクロロイド曲線やインボリュート曲線等であってもよい。
【0020】
[実施の形態3]
(洗濯乾燥機)
図13は本発明の実施の形態3に係る洗濯乾燥機を示す側面視の断面図である。
図13に示す洗濯乾燥機100は、洗濯機筐体101の内部に収納された洗濯液を貯水する受水槽102と、受水槽102の内部に回転自在に軸支された洗濯兼脱水槽103と、洗濯兼脱水槽103の底部内側に設置されたパルセータ10(実施の形態1参照)とを有している。
このとき、受水槽102の中心軸と洗濯兼脱水槽103の中心軸が一致している。洗濯兼脱水槽103の周壁面には、水と空気を通過させるための小穴が多数設けられ、上部には流体バランサ151が設けられ、底部内側には衣類を撹拌するためのパルセータ10が回転自在に軸支されている。そして、受水槽102の底部外側にはパルセータ10や洗濯兼脱水槽103を回転駆動する駆動手段105が設置されている。
【0021】
また、洗濯機筐体101の上部に、送風手段108、その直後に加熱手段109及び温風吐出口110が設けられ、受水槽102の底部と送風手段108とが、風路接続部111を介して風路107によって連結されている。そして、風路107の内部には除湿手段152が設置され、風路接続部111は可撓性を有する材料で構成されている。
さらに、受水槽102の上部と洗濯機筐体101の上部との隙間には、該隙間から温風が外部に漏れるのを防止する温風遮蔽手段112が設置され、洗濯機筐体101の上部にフタ113が開閉自在に設置され、フタ113を閉じることによって、受水槽102の上部は覆われることになる。
【0022】
したがって、乾燥工程において、洗濯兼脱水槽103に温風を供給すると、衣類に付着していた水分は蒸発して、温風に取り込まれ、さらに、温風に取り込まれた水分は除湿手段115によって回収され図示しない排水径路を経由して、洗濯機筐体101外に排出される。このとき、洗濯兼脱水槽103は温風遮蔽手段112やフタ113によって密閉されているから、蒸気等が周囲に漏れ出すことがない。
【0023】
なお、制御手段106は、洗濯工程ではパルセータ10を時計方向および反時計方向に交互に回転させて衣類を攪拌し、脱水工程では洗濯兼脱水槽103を一方向に高速で回転させて遠心力によって衣類から洗濯液を取り去るよう、駆動手段105を制御するものである。また、乾燥工程においても、パルセータ10は回転されるものである(これについては別途説明する)。
【0024】
(運転シーケンス)
図14および図15は、本発明の実施の形態3に係る洗濯乾燥機に設置されたパルセータの運転シーケンスを説明するタイムチャートであって、それぞれ(a)は洗濯工程、(b)は乾燥工程である。
図14の(a)において、洗濯工程では衣類に周方向で斜め上方の動きを大きく与え、機械力を高めるために、急斜面12に向かう回転(図1において時計方向回転に同じ)を緩斜面21に向かう回転(図1において反時計方向回転に同じ)より、回転角度を大きく、同時に、回転角速度を大きくしている。すなわち、緩斜面21に向かう回転(図1において反時計方向回転に同じ)を小さく、かつ、低速にしている。
したがって、実施の形態1(図7参照)において説明したパルセータ10の「衣絡み」防止効果が奏される。
【0025】
図14の(b)において、乾燥工程では衣類に上下方向の動きを大きく与え、布絡みを防止して「しわ付き」のない仕上がりを得るために、洗濯工程とは反対に、緩斜面21に向かう回転(図1において反時計方向回転に同じ)を急斜面12に向かう回転(図1において時計方向回転に同じ)より、回転角度を大きく、同時に、回転角速度を大きくしている。すなわち、急斜面12に向かう回転(図1において時計方向回転に同じ)を小さく、かつ、低速にしている。
したがって、実施の形態1(図7参照)において説明したパルセータ10の「しわ付き」防止効果が奏される。
【0026】
図15の(a)において、洗濯工程では衣類に周方向で斜め上方の動きを大きく与え、機械力を高めるために、急斜面12に向かう回転(図1において時計方向回転に同じ)を緩斜面21に向かう回転(図1において反時計方向回転に同じ)より、回転角度を大きくし、このとき、回転角速度を等しくしている。すなわち、緩斜面21に向かう回転(図1において時計方向回転に同じ)を同じ速度で、小さくしている。
したがって、実施の形態1(図7参照)において説明したパルセータ10の「衣絡み」防止効果が奏されると共に、回転角速度を等しくしている分、反時計方向回転の時間や停止時間が短縮され、図14の(a)に示す運転シーケンスより洗濯工程が短時間になっている。
【0027】
図15の(b)において、乾燥工程では衣類に上下方向の動きを大きく与え、布絡みを防止して「しわ付き」のない仕上がりを得るために、洗濯工程とは反対に、緩斜面21に向かう回転(図1において反時計方向回転に同じ)を急斜面12に向かう回転(図1において時計方向回転に同じ)より、回転角度を大きく、このとき、回転角速度を等しくしている。すなわち、急斜面12に向かう回転(図1において時計方向回転に同じ)を同じ速度で、小さくしている。
したがって、実施の形態1(図7参照)において説明したパルセータ10の「しわ付き」防止効果が奏されると共に、回転角速度を等しくしている分、時計方向回転の時間や停止時間が短縮され、図14の(b)に示す運転シーケンスより乾燥工程が短時間になっている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は以上の構成であるから、布絡みやしわ付きが小さくなるから、各種家庭および業務用の洗濯乾燥機用のパルセータとして、また、各種家庭および業務用の洗濯乾燥機として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1に係るパルセータを説明平面図。
【図2】本発明の実施の形態1に係るパルセータを説明する斜視図。
【図3】図1に示すパルセータを説明する稜線および遷移線に沿った展開図。
【図4】図1に示すパルセータを説明する円周に沿った展開図(フィレットなし)。
【図5】図1に示すパルセータを説明する円周に沿った展開図(フィレットあり)。
【図6】図1に示すパルセータの緩急斜面を示す模式図。
【図7】図1に示すパルセータの緩急斜面の作用効果を示す模式図。
【図8】本発明の実施の形態2に係るパルセータを説明平面図。
【図9】本発明の実施の形態2に係るパルセータを説明する斜視図。
【図10】図8に示すパルセータを説明する稜線および遷移線に沿った展開図。
【図11】図8に示すパルセータを説明する円周に沿う展開図(フィレットなし)。
【図12】図8に示すパルセータを説明する円周に沿う展開図(フィレットあり)。
【図13】本発明の実施の形態3に係る洗濯乾燥機を示す側面視の断面図。
【図14】図13に示す洗濯乾燥機の運転シーケンスを説明するタイムチャート。
【図15】図13に示す洗濯乾燥機の運転シーケンスを説明するタイムチャート。
【符号の説明】
【0030】
1:遷移線(実施の形態1)、2:稜線(実施の形態1)、3:遷移線(実施の形態2)、4:稜線(実施の形態2)、10:パルセータ(実施の形態1)、12:急斜面、20:パルセータ(実施の形態2)、21:緩斜面、34:急斜面、43:緩斜面、θ1:傾斜角度、θ2:傾斜角度、100:洗濯乾燥機、101:洗濯機筐体、102:受水槽、103:洗濯兼脱水槽、105:駆動手段、106:制御手段、107:風路、108:送風手段、109:加熱手段、110:温風吐出口、111:風路接続部、112:温風遮蔽手段、113:フタ、115:除湿手段、151:流体バランサ、152:除湿手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯乾燥機の洗濯槽の底部に設置される上面に複数の傾斜面が形成された円板からなるパルセータであって、
側面視において、前記円板の中心軸において底面から第1の高さ(H1)で、前記円板の外周において底面から第2の高さ(H2)になるように外周に向かって除々に低くなり、平面視において、前記中心軸から前記外周に至る円弧状または渦巻き状に形成された複数の遷移線(1a、1b)と、
側面視において、前記中心軸から前記外周に渡って第1の高さ(H1)を維持し、平面視において、前記遷移線(1a、1b)と同一方向に張り出し、前記中心軸から前記外周に至る円弧状または渦巻き状に形成された複数の稜線(2a、2b)と、
中心軸から所定の距離にある円周に沿って、前記一方の遷移線(1a)の張り出し方向から前記一方の稜線(2a)の張り出し方向に向かって除々に高くなる第1の傾斜面(12a)と、
前記一方の稜線(2a)の張り出し方向から前記他方の遷移線(1b)の張り出し方向に向かって除々に低くなる第2の傾斜面(21a)と、を有し、
前記第1の傾斜面(12a)の傾斜が前記第2の傾斜面(21a)の傾斜より大きいことを特徴とするパルセータ。
【請求項2】
前記平面視において前記中心軸から前記外周に至る円弧状が、前記円板の半径の1/2の曲率半径である半円であることを特徴とする請求項1記載のパルセータ。
【請求項3】
前記平面視において前記中心軸から前記外周に至る渦巻き状が、前記中心軸から遠ざかるに従って連続的にまたは段階的に曲率半径が大きくなる曲線であることを特徴とする請求項1記載のパルセータ。
【請求項4】
前記第1の傾斜面の摩擦係数が前記第2の傾斜面の摩擦係数より大きいことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のパルセータ。
【請求項5】
筐体と、
該筐体内に収納され、投入された衣類を洗濯および乾燥するための洗濯槽と、
該洗濯槽の底部に回転自在に設置された請求項1乃至4の何れかに記載のパルセータと、該パルセータを回転駆動するモータと、
該モータの回転を制御する制御手段と、を有する洗濯乾燥機。
【請求項6】
前記制御手段が、洗濯工程において前記パルセータを交互にそれぞれ異なる方向に回転する際、前記第1の傾斜面の方向に向けて回転する回転角が、前記第2の傾斜面の方向に向けて回転する回転角より大きいことを特徴とする請求項5記載の洗濯乾燥機。
【請求項7】
前記制御手段が、乾燥工程において前記パルセータを交互にそれぞれ異なる方向に回転する際、前記第2の傾斜面の方向に向けて回転する回転角が、前記第1の傾斜面の方向に向けて回転する回転角より大きいことを特徴とする請求項5または6記載の洗濯乾燥機。
【請求項8】
前記制御手段が、洗濯工程において前記パルセータを交互にそれぞれ異なる方向に回転する際、前記第1の傾斜面の方向に向けて回転する回転角速度が、前記第2の傾斜面の方向に向けて回転する回転角速度より大きいことを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の洗濯乾燥機。
【請求項9】
前記制御手段が、乾燥工程において前記パルセータを交互にそれぞれ異なる方向に回転する際、前記第2の傾斜面の方向に向けて回転する回転角速度が、前記第1の傾斜面の方向に向けて回転する回転角速度より大きいことを特徴とする請求項5乃至8の何れかに記載の洗濯乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−43394(P2008−43394A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219376(P2006−219376)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】