説明

洗濯機

【課題】 操作部に対する操作パターンに応じて処理を制御することにより,少ない操作部でより多種の処理の切り替えを可能とするとともに,操作に対する反応を状態に応じて極力早く示すことができること。
【解決手段】 各操作キーについて,ON操作,ON→OFF操作,特殊操作(長押し操作や同時押し操作等)の各種操作パターンに応じて処理を制御する(S5,S15,S17)。ここで,特殊操作を受け付けない状態(S3のN側)においては,ON操作の検知に応じて(ON→OFF変化を待たずに)対応する処理を実行する(S4)。特殊操作を受け付ける状態(S3のY側)においては,特殊操作(長押し操作)の検知と,特殊操作が検知される前のON→OFF操作の検知との各々に応じて,各操作検知に対応する処理を実行する(S14,S16)。さらに,特殊操作と通常操作(ON操作,ON→OFF操作)とで,操作検知時の報知音を変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,操作部に対する操作パターンに応じて実行する処理を制御する洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆる全自動洗濯機は,洗濯処理の手順(洗濯コース)の設定操作や,その洗濯コースの実行を開始させる開始操作,設定された洗濯コースを自動的に実行する際の予約時刻の設定操作,或いはその予約時刻を管理するために設けられた現在時刻の計時手段に対する時刻設定(調節)操作等,各種操作を受け付ける操作部(操作キーやタッパネル等)を備え,その操作内容に応じて当該洗濯機が備える各機器の動作(処理)が制御される。
ここで,多機能化された洗濯機においては,限られた数の操作部についてその操作パターンを検知し,同じ操作部が操作された場合であってもその操作パターンが通常の操作パターンであるか特殊な操作パターンであるかに応じて異なる処理を実行する(処理を切り替える)ものが多い。
例えば,特許文献1〜3等には,所定の操作部について所定時間以上継続操作されるいわゆる長押し操作(特殊な操作パターンの一例)がなされたか,それより短い時間の通常操作がなされたかによって異なる処理を行わせる洗濯機について示されている。
これらの洗濯機では,操作部(操作キー)ごとに,その操作パターンと操作パターンごとの処理とが予め対応付けられている。
【特許文献1】特開2004−275282号公報
【特許文献2】特開2002−136789号公報
【特許文献3】特開2001−276487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,各操作部について,長押し操作等の特殊操作と通常操作とのいずれであるかその操作パターンを区別して検知する場合,必然的に,操作部が操作ON状態から操作OFF状態に変化した際にこれを通常操作として検知することになるため,利用者による操作部の操作方法によっては通常操作の検知タイミングが遅くなるという問題点があった。
特に,ある操作部について,長押し操作がなされてもそれに対応付けられた処理が存在しない状況下で,利用者がそれを知らずに長押し操作を行った場合,長押し状態でいつまでたっても反応がなく利用者に不審を抱かせるという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,操作部に対する操作パターンに応じて処理を制御することにより,少ない操作部でより多種の処理の切り替えを可能とするとともに,操作に対する反応を状態に応じて極力早く示すことができる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は,1又は複数の操作部に対する操作に応じて実行する処理を制御する洗濯機に適用されるものであり,以下の処理を実行するものである。
即ち,前記操作部のうち操作がなされた一の対象操作部について,操作中であることを表す操作ON状態となった際に(OFF→ON)これを検知する処理(以下,ON操作検知という)と,その操作ON状態から非操作中であることを表す操作OFF状態へ変化する前に所定の特殊操作がなされた際にこれを検知する処理(以下,特殊操作検知という)と,その特殊操作検知により前記特殊操作が検知されずに前記操作ON状態から前記操作OFF状態へ変化(ON→OFF)した際にこれを検知する処理(ON・OFF操作検知とを行い,さらに,前記一の対象操作部について,前記特殊操作を受け付けない第1の状態であるかそれを受け付ける第2の状態であるかを判別する。
さらに,前記第1の状態であると判別された場合には,前記ON操作検知により操作が検知された際に前記一の対象操作部が前記操作OFF状態へ変化するのを待たずにこれに対応する第1の処理を実行させる。これに対し,前記第2の状態であると判別された場合には,前記ON・OFF操作検知により操作が検知された際にこれに対応する第2の処理を実行させる一方,前記特殊操作検知により操作が検知された際に前記一の対象操作部が操作OFF状態へ変化するのを待たずにこれに対応する第3の処理を実行させる。
ここで,前記特殊操作検知としては,例えば,前記一の対象操作部について操作ON状態のまま所定の設定時間(以下,長操作設定時間という)が経過した際に前記特殊操作がなされたと検知すること(いわゆる長押し操作の検知)や,前記一の対象操作部とこれに対応して予め定められた他の一又は複数の操作部とについて同時に操作ON状態が生じた際に前記特殊操作がなされたと検知すること等が考えられる。
このように,各操作部について,ON操作,ON→OFF操作,特殊操作(長押し操作や同時押し操作等)の各種操作パターンに応じて処理を制御することにより,少ない操作部でより多種の処理の切り替えが可能となる。さらに,特殊操作を受け付けない状態(前記第1の状態)においては,ON操作の検知に応じて(ON→OFF変化を待たずに)対応する処理が実行されるので,操作に対する反応(前記第1の処理)を状態に応じて極力早く示すことができる。
【0005】
また,いわゆる長押し操作検知における前記長操作設定時間を,所定の操作入力に従って設定可能とすれば,利用者の操作感覚の許容範囲内で極力早い反応を示す時間(短い時間)の設定が可能となる。その際,その長操作設定時間を所定の下限時間以上の範囲に制限しつつ設定可能とすればなお好適である。これにより,前記長操作設定時間が,操作部の操作状況の変化を判別可能な最小周期以下に設定されたり,操作部が比較的短い時間(例えば,0.2〜0.5秒程度)継続操作されて初めて前記操作ON状態を検知するような場合に,ON操作と特殊操作との識別が難しくなるほど短い時間に設定されるような不都合を防止できる。
また,前記特殊操作検知により操作が検知された際と,前記ON操作検知及び前記ON・OFF操作検知により操作が検知された際とで,所定の報知音出力手段を通じて異なる報知音を出力させるか,或いはそのいずれか一方が検知された際にのみ前記報知音出力手段を通じて報知音を出力させるよう制御すれば,利用者は特殊操作として検知されたのか通常操作ととして検知されたのかを容易に識別できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば,各操作部について,ON操作,ON→OFF操作,特殊操作(長押し操作や同時押し操作等)の各種操作パターンに応じて処理を制御することにより,通常操作と特殊操作とを区別するだけの場合に比べ,少ない操作部でより多種の処理の切り替えが可能となる。さらに,特殊操作を受け付けない状態(前記第1の状態)においては,ON操作の検知に応じて(ON→OFF変化を待たずに)対応する処理が実行されるので,操作に対する反応(前記第1の処理)を状態に応じて極力早く示すことができる。その結果,特殊操作に対応する処理が存在しない状況下で,利用者がそれを知らずに特殊操作を行った場合でも,いつまでたっても反応がなく利用者に不審を抱かせるという事態を回避できる。
特に,全自動洗濯機においては,ごく限られたスペースに表示部とともに操作部が設けられ,多様な運転コースの選択や設定を可能とする一方,その利用者は複雑な機器の操作に慣れていないことが多いため,本発明の適用が有効である。
さらに,特殊操作と通常操作(ON操作,ON→OFF操作)とで,操作検知時の報知音を変える,或いはそのいずれか一方の検知時にのみ報知音を出力させるよう制御すれば,操作が特殊操作として検知されたのか通常操作として検知されたのかを容易に識別できる。その結果,利用者に安心感,納得感を与えることができ,ユーザフレンドリーな操作環境を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係る洗濯機Xの主要部の概略構成を表すブロック図,図2は洗濯機Xの表示操作部の一例を表す外観図,図3は洗濯機Xにおける表示処理の手順を表すフローチャートである。
【0008】
まず,図1に示すブロック図を用いて,本発明の実施形態に係る洗濯機Xの概略構成について説明する。
洗濯機Xは,操作がなされた一の操作キー(操作部)について,ON操作,ON→OFF操作,特殊操作(長押し操作や同時押し操作等)の各種操作パターンに応じて実行する処理を区別して制御し,さらに,特殊操作を受け付けない状態においては,ON操作の検知に応じて(ON→OFF変化を待たずに)対応する処理を実行することを特徴とするものである。
図1に示すように,洗濯機Xは,モータ等の各種負荷11〜15,当該洗濯機の各種の状態を検知する各種センサ31,当該洗濯機Xの各種運転内容を表示するとともに,利用者からの操作入力を受け付ける表示操作部40,利用者に洗濯や乾燥の運転コースが終了したことや操作入力を受け付けた(検知した)こと,或いは異常が発生したこと等を音響報知するブザー32,及び本洗濯機Xが備える各機器を制御する制御回路60等を具備している。
前記負荷には,洗濯水が貯留される水槽の内部に設けられた回転槽を回転駆動するモータ11,その水槽への給水及びその停止を切り替える給水弁12,その水槽内の洗濯水を装置外部へ排出させる排水ポンプ13,乾燥運転時に前記水槽内の回転槽(この場合は乾燥室として機能)に空気の送風とその空気の加熱とを行う送風機及びヒータ14,前記水槽への被洗濯物の投入口に設けられた開閉扉を閉じた状態でロックする扉ロック機構15等がある。
【0009】
前記制御回路60は,マイクロコンピュータ(以下,マイコン)50及び各種周辺回路61〜68を備え,前記マイコン50は,CPU51,RAM52,ROM53,時計回路54及び複数のI/Oポート55等を備えている。
前記マイコン50は,電源端子Vdd,Vssに電源回路67から定電圧が印加されることにより作動し,RESET端子にリセット回路68からリセット信号が入力されるとリセットされる。
前記時計回路54は,時刻の計時を行い現在の計時時刻を前記CPU51に伝送する(時刻計時手段の一例)。
前記CPU51は,前記ROM53に予め記憶されているプログラムや設定データをバス56を通じて読み出し,それを前記RAM52に展開した上でプログラムを実行することにより各種の演算及び制御を行う。
前記CPU51から出力される各種制御指令は,前記バス56及び前記I/Oポート55を通じて前記周辺回路62,65,66に伝送され,これら周辺回路62,65,66によって制御対象機器に応じた制御信号に変換され,制御対象機器40,32,11〜15各々が制御される。
また,前記表示操作部40からの操作入力や各種センサ31の状態は,各々キー入力回路61や状態検知回路64により検知され,その検知信号が前記I/Oポート55及び前記バス55を通じて前記CPU1に伝送される。
以下,前記CPU51と前記周辺回路61〜66との間の信号伝送について,それが前記バス56及び前記I/Oポート55を通じて行われる旨の記載は省略する。
【0010】
前記表示操作部40は,例えば図2(a)〜(c)に示すような外観を有し,複数の操作キー41(操作部の一例)と数値を表示する7セグメントLED等が配列された表示部42とを備え,それら操作キー41に対する操作入力を受け付けるとともに,現在時刻や選択されたコースの実行状態等を表示部42に表示するものである。
前記操作キー41には,電源の入/切キー41a,運転のスタート・一時停止キー41b,予約キー41e,洗濯に関する動作内容(動作時間や動作回数等)を設定変更する設定変更キー41f,41g,41h,41i,コース選択キー41j,工程選択キー41k等がある。
図2に示す例では,前記設定変更キーとして,洗い工程,すすぎ工程,脱水工程及び乾燥工程各々の実行時間設定用の洗いキー41f,すすぎキー41g,脱水キー41h及び乾燥キー41iが設けられている。
また,前記工程選択キー41kは,実行する工程(洗い工程〜乾燥工程)の組み合わせ(以下,実行工程という)の選択(設定)を行う操作キーであり,前記コース選択キー41jは,前記工程選択キー41kにより選択された実行工程ごとに,各工程の動作時間の組み合わせの選択を行う操作キーである。以下,前記工程選択キー41kと前記コース選択キー41jとにより選択される,前記実行工程と各工程の動作時間との組み合わせを運転コースという。
前記表示部42の7セグメントLEDは,現在時刻や予め設定された実行工程及び運転コース終了の予約時刻の表示や,設定された運転コースを構成する洗濯に関する各工程(洗い工程,すすぎ工程,脱水工程,乾燥工程)の動作時間(分)や動作回数(動作内容)の表示,各種の異常が発生した場合のエラー表示,その他の設定情報の表示等に兼用される。
【0011】
前記表示操作部40に対する操作入力は,前記制御回路60が備えるキー入力回路61により検知され,検知結果である操作入力信号が前記CPU51に伝送される。また,前記CPU51からは,所定の表示指令や各負荷への動作指令が出力され,その表示指令及び動作指令各々は,表示駆動回路62及び負荷駆動回路66に伝送され,表示駆動回路62が前記CPU51からの表示情報に従って前記表示操作部40に表示信号を出力する一方,負荷駆動回路66が各負荷11〜15に制御信号を出力する。
例えば,前記表示操作部40から所定の運転コースを開始させる操作入力がなされた場合,その操作入力が前記キー入力回路61によって検知され,その検知信号が前記CPU51に伝送される。
前記CPU51は,その選択された運転コースに従って,前記モータ11,前記排水ポンプ13,前記送風機やヒータ14の作動/停止,前記給水弁12の開/閉,前記扉ロック機構15のロック/ロック解除に関する制御指令を随時出力し,その制御指令が前記表示駆動回路62及び前記負荷駆動回路66に伝送される。
そして,その制御指令に応じて,前記負荷駆動回路66により各負荷11〜15の動作が制御され,また,その動作状態が表示されるよう前記表示駆動回路62により前記表示操作部40の表示状態が制御される。
その際,前記CPU51は,選択された運転コースに応じた前記モータ11や前記給水弁12等の作動時間を,前記時計回路54の計時結果に基づいて制御する。
また,選択された運転コースに応じた処理が終了すると,前記CPU1から処理終了を表すブザー報知指令が出力され,その指令がブザー駆動回路65に伝送され,そのブザー駆動回路65により所定のブザー駆動信号が前記ブザー32に出力される。これにより,前記ブザー32から,運転コース終了を表す旨の音響報知がなされる。
【0012】
前記扉ロック機構15は,洗濯やすすぎ,或いは乾燥等の運転が開始される前に,被洗濯物投入口の扉が閉じられた状態でソレノイド等の電動アクチュエータによりロックするものである。
また,前記操作表示部40を通じた操作入力により設定された設定情報(洗い時間やすすぎ回数等)は,前記CPU51により,前記バス56及び前記I/Oポート55を通じて不揮発性メモリ63に書き込まれて記憶されるとともに,必要に応じてその逆の伝送経路で前記CPU51により読み出される。
前記各種センサ31としては,例えば,被洗濯物の投入口の扉が閉状態(閉位置)にあるか否かを検知するスイッチ,前記扉ロック機構15がロック状態(ソレノイド等のアクチュエータがロック側の位置に変位している状態)にあるか否かを検知するスイッチ等,各種の状態を検知するセンサである。
【0013】
次に,図3に示すフローチャートを用いて,洗濯機Xにおける操作入力検知処理の手順について説明する。以下,S1,S2,…は,処理手順(ステップ)の識別符号を表し,各処理は,前記マイクロコンピュータ50(以下,マイコン50という)において,前記CPU51が前記ROM53に予め記憶された所定の制御プログラムを実行することにより行われる。また,以下の処理は,前記電源の入/切キー41aに対する入力操作(ON操作)が検知され,当該洗濯機Xが備える前記表示部42や前記負荷駆動回路66等の各機器への通電が行われた時点から開始される。
まず,前記マイコン50により,キー割当情報の初期設定(S1)が行われた後,前記操作キー41のいずれかの操作キーについて,操作ON状態が検知されたか否かが監視される(S2)。
ここで,前記キー割当情報とは,前記操作キー41の各操作キーごとに,ON操作が検知されたときに実行すべき処理,特殊操作が検知されたときに実行すべき処理,及びON→OFF操作が検知されたときに実行すべき処理の各々が対応付けられた情報である。ここで,前記キー割当情報において,検知された操作に対応付けられた処理が存在しなければ,その操作は,その時点の状態(その時点で採用されている前記キー割当情報に対応した状態)においては受け付けられないものであることを表す。このキー割当情報は,予め,前記ROM53等に記憶されたその複数種類の候補の中から,随時(前記操作キー41に対する操作に応じて),そのときの状態に適合したものが前記マイコン50により選択(採用)される。
【0014】
また,前記ON操作とは,前記操作キー41のうち,操作がなされた一の対象キー(対象操作部の一例)について,操作OFF状態(操作がなされていない状態)から操作ON状態(操作中の状態)へ変化させる操作である。ここで,前記操作ON状態は,例えば,非操作状態(OFF状態)から操作状態(ON)状態に変化し,その操作状態(操作中)のままで予め定められた比較的短い設定時間(例えば,0.2秒〜0.5秒程度,以下,短押し設定時間という)が経過したこと等を表す。前記短短押し設定時間の継続をもって前記操作ON状態を検知するのは,いわゆるチャタリング現象によりごく短時間に複数回の連続操作があったと誤検知すること等を防止するためであり,いわゆる長押し操作のように,利用者に一定時間以上の継続操作をさせることを目的とするものではない。
また,前記特殊操作は,前記対象キーについて,前記操作ON状態からそのキーが操作されていない状態である操作OFF状態へ変化する前に検知される所定の特殊な操作である。ここでは,前記対象キーについて,前記操作ON状態のまま,前記短押し設定時間よりも十分に長い所定の設定時間(例えば,1秒から数秒程度,以下,長押し設定時間という(長操作設定時間の一例))が経過したことを表すいわゆる長押し操作であるとする。
また,ON→OFF操作とは,前記対象キーについて,前記特殊操作が検知されずに前記操作ON状態から前記操作OFF状態へ変化したことを表す。
これら,ON操作,特殊操作及びON→OFF操作は,前記キー入力回路61の検知信号に基づいて前記マイコン50により検知される(ON操作検知手段,特殊操作検知手段及びON・OFF操作検知手段の一例)。
【0015】
そして,ステップS2における監視中に,いずれかの操作キーについて前記操作ON状態が検知されると,前記マイコン50により,その操作キー(即ち,前記対象キー(一の対象操作部の一例))について,前記特殊操作を受け付けないものであるか否かが判別される(S3)。即ち,前記キー割当情報に基づいて,前記特殊操作を受け付けない状態(以下,特殊操作非受付状態という(第1の状態の一例))であるか,それを受け付ける状態(以下,特殊操作受付可状態という(第2の状態の一例))であるかが判別される(状態判別手段の一例)。
ステップS3において,前記特殊操作非受付状態であると判別されると,前記マイコン50により,前記対象キーが操作OFF状態へ変化するのを待つことなく,所定のブザー音「ピッ」を前記ブザー32を通じて出力(S4)させた上で,そのまま前記キー割当情報における前記ON操作に対応付けられている処理(ON操作時処理(第1の処理の一例))を実行させるよう各負荷11〜15や前記表示操作部40等が制御される(S5,第1状態処理制御手段の一例)。また,その制御開始時に,必要に応じて,前記キー割当情報が,その処理を実行する状態に対応するものに更新設定される(S5)。前記ON操作時処理の終了後は,処理が前述のステップS2へ戻される。
【0016】
一方,ステップS3において,前記特殊操作受付可状態であると判別されると,前記マイコン50により,前記CPU51が内蔵するタイマーのスタート処理(S11)がなされた後,そのタイマーにより前記長押し設定時間の経過が計時されるまで,前記対象キーについて,前記ON→OFF操作が検知されるか否かが監視される(S12,S13)。
このステップS12,S13において,前記対象キーについて,前記ON→OFF操作が検知される前に,即ち,前記操作ON状態から前記操作OFF状態へ変化する前に,前記タイマーによる前記長押し設定時間が経過すると,前記マイコン50により,それが前記特殊操作(長押し操作)であると検知され(S13のY側,特殊操作検知手段の一例),ステップS4とは異なるブザー音「ピーッ」を前記ブザー32を通じて出力(S14)させた上で,前記キー割当情報における前記特殊操作に対応付けられている処理(特殊操作時処理(第3の処理の一例))を実行させるよう各負荷11〜15や前記表示操作部40等が制御される(S15,第2状態処理制御手段の一例)。また,その制御開始時に,必要に応じて,前記キー割当情報が,その処理を実行する状態に対応するものに更新設定される(S15)。前記特殊操作時処理の終了後は,処理が前述のステップS2へ戻される。
【0017】
一方,ステップS12,13において,前記対象キーについて,前記特殊操作が検知されないまま前記操作ON状態から前記操作OFF状態へ変化したことが検知されると,前記マイコン50により,それが前記ON→OFF操作であると検知され(S12のY側,ON・OFF操作検知手段の一例),所定のブザー音「ピッ」を前記ブザー32を通じて出力(S16)させた上で,前記キー割当情報における前記ON→OFF操作に対応付けられている処理(OFF操作時処理(第2の処理の一例))を実行させるよう各負荷11〜15や前記表示操作部40等が制御される(S17,第2状態処理制御手段の一例)。また,その制御開始時に,必要に応じて,前記キー割当情報が,その処理を実行する状態に対応するものに更新設定される(S17)。前記OFF操作時処理の終了後は,処理が前述のステップS2へ戻される。
【0018】
次に,図3のフローチャートによる処理手順に沿って,各処理内容の具体的な一例について,図3及び図2に示す前記表示操作部40の外観図を用いて説明する。以下,前記工程選択キー41kが前記対象キーである場合の一例について説明する。
例えば,通電直後の前記表示部42の表示状態が,図2(a)に示すように,現在時刻の表示状態(以下,初期表示状態という)であるとする。
この初期表示状態において,ステップS1で設定された前記キー割当情報には,前記工程選択キー41kについて,「ON操作」に対し,予め前記不揮発性メモリ63に記憶された標準運転コースにおける各工程の動作時間を前記表示部42に表示させる処理(以下,標準運転コースの表示処理という)が対応づけられ,「特殊操作」には処理が対応付けられていない前記特殊操作非受付状態であるものとする。
この初期表示状態において,前記工程選択キー41kが操作されると(S2のY側),前記キー割当情報から前記特殊操作非受付状態であると判別されるので(S3のN側),前記操作OFF状態への変化を待たずに,ブザー音「ピッ」が出力され(S4),さらに,前記標準運転コースの表示処理(ON操作時処理)がなされる(S5)。
図2(b)は,前記標準運転コースの表示処理がなされたときの前記表示操作部40の表示状態の一例を表す。前記表示部42に7セグメントLEDにより表示されている数値は,各工程の動作時間(分)を表す。
さらに,前記標準運転コースの表示処理の実行とともに,前記キー割当情報の更新がなされる(S5)。ここでは,前記キー割当情報が,前記工程選択キー41kについて,「ON→OFF操作」に対しては,前記実行工程(運転コース)の順次切り替え処理が,「特殊操作」に対しては,その時点で前記表示部42に表示されている運転コースの内容(工程の組み合わせ及び各工程の動作時間)を前記不揮発性メモリ63に更新記憶させる処理(以下,コース登録処理という)が対応付けられたものに更新される。
【0019】
次に,図2(a)に示す前記標準運転コース等の運転コースの内容表示の状態において,前記工程選択キー41kが操作されると(S2),この状態では,前記キー割当情報から前記前記特殊操作受付可状態であると判別されるので(S3のY側),タイマースタート処理(S11)を経て,前記特殊操作(長押し操作)がなされるか否かの監視が行われる(S12,S13)。
ここで,前記工程選択キー41kについて,その操作が検知され(S2),その操作キー(対象キー)について前記特殊操作(長押し操作)が検知される前に前記ON→OFF操作が検知されると(S12のY側),その検知ごとに,ブザー音「ピッ」が出力され(S16),さらに,前記実行工程の順次切り替え処理(OFF操作時処理)が実行される(S17)。
例えば,前記工程選択キー41kについて前記ON操作が検知されるごとに,「洗濯コース」→「洗濯・乾燥コース」→「乾燥コース」→「洗濯コース」…等の順でコース選択がなされ,選択された実行工程の内容が前記不揮発性メモリ63から取得されてそれが前記表示部42に表示される。なお,この場合は,前記キー割当情報の更新はなされない。
【0020】
また,運転コースの内容の表示状態において,前記設定変更キー41f〜41iについて,その操作が検知され(S2),その操作キー(対象キー)について前記特殊操作(長押し操作)が検知される前に前記ON→OFF操作が検知されると(S12のY側),その検知ごとに,ブザー音「ピッ」が出力され(S16),さらに,その操作キーに対応する工程(洗い工程〜乾燥工程)の動作時間が1分ずつカウントアップ(上限時間の場合は最小時間にリセット)され,カウントアップ後の時間が前記表示部42に表示(更新表示)される(S17)。その動作時間の内容は,前記マイコン50の前記RAM52に一時記憶される。
一方,前記工程選択キー41kについて,前記ON→OFF操作が検知される前に前記特殊操作(長押し操作)が検知されると(S13のY側),ステップS4,S16とは異なるブザー音「ピーッ」が出力され(S14),さらに,前記コース登録処理が実行される(S15)。即ち,その時点で前記表示部42に表示されている運転コースの内容が,前記不揮発性メモリ63に更新記憶される。この場合も,前記キー割当情報の更新はなされない。
なお,以上示した例は,説明の便宜のために設定した一例であって,各操作キーの割当内容や具体的な処理手順等は,これに限るものではない。
【0021】
以上示したように,各操作キー(操作部)について,前記ON操作,前記ON→OFF操作,前記特殊操作の各種操作パターンに応じて処理を制御することにより(S3→S4,S3→…S13→S14,S3→…S12→S16),少ない操作キーでより多種の処理の切り替えが可能となる。
前述の例では,前記工程選択キー41kについては,前記初期表示状態では前記ON操作の検知に反応して,運転コースの内容の表示状態では前記ON→OFF操作若しくは前記特殊操作のいずれかの検知に反応して各操作に応じた処理が実行される。
さらに,前記特殊操作を受け付けない状態(前記特殊操作非受付状態,S3のN側)においては,前記ON操作の検知に応じて(前記ON→OFF変化を待たずに),対応する処理が実行される(S4)ので,操作に対する反応を状態に応じて極力早く示すことができる。
その結果,操作対象となった操作キー(前記対象キー)について,前記特殊操作に対応する処理が存在しない前記初期表示状態において,利用者がそれを知らずに前記工程選択キー41kの長押し操作を行おうとしても,すぐにブザー音の出力(S4)及び表示内容の変更(S5)という反応が示されるので,利用者に思い違いをすぐに気付かせることができ,不審を抱かせるという事態を回避できる。
また,前記特殊操作の検知時(S14)と,通常操作(前記ON操作及び前記ON→OFF操作)の検知時(S4及びS16)とで,操作検知時の報知音を変えるよう前記ブザー32の制御がなされるので,操作が前記特殊操作として検知されたのか通常操作として検知されたのかを容易に識別できる。その結果,利用者に安心感,納得感を与えることができ,ユーザフレンドリーな操作環境を提供できる。
【0022】
ところで,本洗濯機Xは,前記特殊操作(長押し操作)の検知における前記長押し設定時間(長操作設定時間の一例)を,前記操作キー41の操作入力に従って設定可能とする長押し時間設定機能を備えている。以下,その具体例について説明する。
通電中の状態において,前記電源入/切キー41aについて長押し操作が検知されると(S2→S3→…S13→S14),前記マイコン50により,前記不揮発性メモリ63から現状の前記長押し設定時間が取得され,その時間が前記表示部42に表示される。
図2(c)は,前記長押し設定時間(2秒)の表示例「2 SEC」を表す。そして,この表示状態において,前記すすぎキー41gについて前記ON操作が検知されると,その検知ごとに,ブザー音「ピッ」が出力され(S4),さらに前記長押し設定時間が1秒ずつカウントアップ(上限時間(例えば,9秒)の場合は最小時間(例えば1秒)にリセット)され,カウントアップ後の時間が前記表示部42に表示(更新表示)される(S5)。その更新後の長押し設定時間は,前記不揮発性メモリ63に記憶され,以後,前記特殊操作を検知する際には,その更新後の長押し設定時間が用いられる。
これにより,利用者の操作感覚の許容範囲内で極力早い反応を示す前記長押し設定時間(短い時間)の設定が可能となる。
また,前記マイコン50による前記長押し設定時間の設定処理の際,予め定められた下限時間(例えば1秒)以上の範囲に制限しつつ設定可能としているので,前記長押し設定時間が,操作キーの操作状況の変化を判別可能な最小周期以下に設定されたり,前記操作ON状態を検出する時間(例えば,0.2〜0.5秒程度)に近い或いはそれを下回る時間に設定されて,前記ON操作と前記特殊操作との識別が難しくなるといった事態を回避できる。
【0023】
以上示した実施形態では,前記特殊操作の検知処理として,前記対象キーについて,前記操作ON状態のまま前記長押し設定時間が経過した際に前記特殊操作がなされたと検知する例について示したがこれに限るものではない。
例えば,前記マイコン50により,前記対象キー(一の対象操作部)とこれに対応して予め定められた他の一又は複数の操作キー(操作部)とについて,同時に前記操作ON状態が生じた際に前記特殊操作がなされたと検知すること等も考えられる(同時操作検知手段の一例)。
例えば,前述の例において,前記コース登録処理に対応する前記特殊操作として,前記工程選択キー41kが長押し操作されることを検知する代わりに,前記工程選択キー41kと前記予約キー41eとが同時に前記操作ON状態となることをもって前記特殊操作であると検知すること等が考えられる。或いは,長押し操作と同時押し操作との両方を前記特殊操作として検知し,その各検知結果に応じて異なる処理が実行されるよう構成したものも考えられる。
また,前述の実施形態では,前記特殊操作と通常操作(ON操作,ON→OFF操作)とで,操作検知時の報知音を変える例について示したが,その他,いずれか一方の検知時にのみ報知音を出力させるよう制御しても,操作キーの検知状態を容易に識別でき,同様の作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は,洗濯機への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る洗濯機Xの主要部の概略構成を表すブロック図。
【図2】洗濯機Xの表示操作部の一例を表す外観図。
【図3】洗濯機Xにおける表示処理の手順を表すフローチャート。
【符号の説明】
【0026】
X…洗濯機
11〜15…負荷
40…表示操作部
41…操作キー
42…表示部
50…マイクロコンピュータ(マイコン)
60…制御回路
S1,S2,,,…処理手順(ステップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の操作部を備え,該操作部に対する操作に応じて実行する処理を制御する洗濯機であって,
前記操作部のうち操作がなされた一の対象操作部について,操作中であることを表す操作ON状態となった際にこれを検知するON操作検知手段と,
前記一の対象操作部について,前記操作ON状態から非操作中であることを表す操作OFF状態へ変化する前に所定の特殊操作がなされた際にこれを検知する特殊操作検知手段と,
前記一の対象操作部について,前記特殊操作検知手段により前記特殊操作が検知されずに前記操作ON状態から前記操作OFF状態へ変化した際にこれを検知するON・OFF操作検知手段と,
前記一の対象操作部について,前記特殊操作を受け付けない第1の状態であるかそれを受け付ける第2の状態であるかを判別する状態判別手段と,
前記状態判別手段により前記第1の状態であると判別された場合に,前記ON操作検知手段により操作が検知された際に前記一の対象操作部が操作OFF状態へ変化するのを待たずにこれに対応する第1の処理を実行させる第1状態処理制御手段と,
前記状態判別手段により前記第2の状態であると判別された場合に,前記ON・OFF操作検知手段により操作が検知された際にこれに対応する第2の処理を実行させる一方,前記特殊操作検知手段により操作が検知された際に前記一の対象操作部が操作OFF状態へ変化するのを待たずにこれに対応する第3の処理を実行させる第2状態処理制御手段と,
を具備してなることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記特殊操作検知手段が,前記一の対象操作部について操作ON状態のまま所定の長操作設定時間が経過した際に前記特殊操作がなされたと検知する長操作検知手段を具備してなる請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記長操作検知手段における前記長操作設定時間を所定の操作入力に従って設定可能とする長操作時間設定手段を具備してなる請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記長操作時間設定手段が,前記長操作検知手段における前記設定時間を所定の下限時間以上の範囲に制限しつつ設定可能とするものである請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記特殊操作検知手段が,前記一の対象操作部とこれに対応して予め定められた他の一又は複数の操作部とについて同時に操作ON状態が生じた際に前記特殊操作がなされたと検知する同時操作検知手段を具備してなる請求項1〜4のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項6】
前記特殊操作検知手段により操作が検知された際と,前記ON操作検知手段及び前記ON・OFF操作検知手段により操作が検知された際とで,所定の報知音出力手段を通じて異なる報知音を出力させる若しくはそのいずれか一方が検知された際にのみ前記報知音出力手段を通じて報知音を出力させる報知音制御手段を具備してなる請求項1〜5のいずれかに記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−288798(P2006−288798A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114571(P2005−114571)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】