洗濯機
【課題】洗濯/乾燥容量や使用できる水量の減少をできるだけ少なくし、かつパルセータを駆動するモータの負荷の増大もできるだけ低減しつつ、洗濯物の乾燥性能を向上させること。
【解決手段】洗濯槽5の底部に、回転体であるパルセータ4を配した洗濯機であって、パルセータ4は、上面の一端側を低くし、それに対向する該上面の他端側を高くしたことにより表面4Aが傾斜面に形成されたベース部4aと、ベース部4aの傾斜面に立設し、該傾斜面の傾き方向に沿う翼部4bとを有している。
【解決手段】洗濯槽5の底部に、回転体であるパルセータ4を配した洗濯機であって、パルセータ4は、上面の一端側を低くし、それに対向する該上面の他端側を高くしたことにより表面4Aが傾斜面に形成されたベース部4aと、ベース部4aの傾斜面に立設し、該傾斜面の傾き方向に沿う翼部4bとを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機、特に、パルセータ方式の洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に洗濯機は、ドラム式とパルセータ方式とに大別される。ドラム式は、水平方向の回転軸を具備するドラム(洗濯槽に相当する)を回転させ、その回転によってドラム内で洗濯物が落下する際の機械的作用と洗剤による化学作用とを利用するものであり、洗濯された洗濯物の脱水には、ドラムを回転し、遠心力を利用している。さらに、脱水後の洗濯物の乾燥は、ドラム内に温風を吹きこみながらドラムを回転したりしている。
これに対してパルセータ方式は、洗濯槽(又は洗濯兼脱水槽)の底部に配置されたパルセータを回転して、その回転によって「回流する水流」を発生させ、摩擦または振動などの機械的作用と洗剤による化学作用とによって汚れを除去する。また、洗濯された洗濯物の脱水には、洗濯槽を回転し、遠心力を利用している。さらに、脱水後の洗濯物の乾燥は、パルセータを回転させて洗濯物を攪拌させながら、洗濯槽内に温風を吹き込むことにより行っている。
【0003】
上記のような作用を果たすパルセータは、その乾燥性能に大きく影響を与える。そのため、従来より、パルセータの上面を斜面に形成して、それにより洗濯物を上下動させて、乾燥性能を向上させることが試みられている(例えば、特許文献1、2)。
【特許文献1】特開2005−81102号公報(第2図、第6図など)
【特許文献2】実開昭56−44676号公報(第2図、第3図など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のパルセータの構造において、洗濯物を上下動させる傾斜面を確保しようとすると、パルセータそのものの体積が大きくなり、洗濯/乾燥容量の減少や、使用できる水量の減少という問題があった。加えて、パルセータを駆動するモータの負荷が大きくなってしまうという問題もあった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、洗濯/乾燥容量や使用できる水量の減少をできるだけ少なくし、かつパルセータを駆動するモータの負荷の増大もできるだけ低減しつつ、洗濯物の乾燥性能を向上させることができるパルセータ方式の洗濯機を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗濯機は、洗濯槽の底部に、回転体であるパルセータを配した洗濯機であって、前記パルセータは、上面の一端側を低くし、それに対向する前記上面の他端側を高くしたことにより表面が傾斜面に形成されたベース部と、前記ベース部の傾斜面に立設し、前記傾斜面の傾き方向に沿う翼部とを有している。
なお、このようなパルセータの形状故に、パルセータ回転時のバランスをとるための処置が施されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗濯機は、傾斜面を有したベース部と、その傾斜面から突出した翼部との2段構成によりパルセータ上面に傾斜を持たせているので、パルセータの体積を小さく保ちつつ、洗濯物を上下動させるのに十分な傾斜面が確保できる。これにより、洗濯/乾燥容量や使用できる水量の減少をできるだけ少なくし、かつパルセータを駆動するモータの負荷の増大もできるだけ低減しつつ、洗濯物の乾燥性能を向上させることができる。
また、パルセータにパルセータ回転時のバランスをとるための処置を施したことで、パルセータの上記形状にかかわらず、その回転がスムーズにおこなわれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、図中、各構成部材を模式的に示しているため、その寸法は正確でない。特に、薄板によって形成されている部材については、明りょうにするため、厚さを誇張して示している。また、各図において同じ部分には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
図1は本発明の実施の形態に係る洗濯機の側断面図である。この洗濯機は、一連の洗い行程と、すすぎ行程と、脱水行程と、乾燥行程とを実行するものである。なお、洗い行程とすすぎ行程とをまとめて「洗濯行程」と称する場合がある。
【0010】
(筐体)
筐体1は断面矩形の筒状(略直方体に同じ)であって、天面にはトップカバー10が設置されている。トップカバー10には前面(図1の左側面)に連なる天面開口部が形成され、前面の天面近くには前面開口部が形成され、天面開口部と前面開口部とを連結した開口部が、洗濯物の出し入れに供する投入口となっている。そして、該投入口には透明な外蓋9が開閉自在に設置されている。また、筐体1及びトップカバー10のそれぞれの面が交差する角部は円弧状に形成されている。
また、筐体1は四隅の上端部近くには吊棒3の上端部が設置され、吊棒3の下端部には水平台19及び傾動台20が設置されている。そして、水平台19はその前面寄りに、傾動台20を回転自在に支持する傾動支点20aが設けられている。なお、洗濯槽5の回転と区別するため便宜上、傾動台20の回転を「傾動」と称呼する。
【0011】
(水槽)
筐体1内には水槽2が収納されている。水槽2は天面が開放され、底面が閉塞された筒状であって、傾動台20に固定されている。水槽2の上端面(天面開口部の周囲に同じ)には内側が開口部とされた水槽カバー7が設置されている。また、水槽カバー7には、水槽カバー7の開口部を閉塞または開放する内蓋8が傾動自在に設置されている。この例では、外蓋9の下方に内蓋8が配置されている。
【0012】
外蓋9の開閉動作は、図示しない連動機構によって内蓋8に伝達され、外蓋9を開くと内蓋8も開き、外蓋9を閉じると内蓋8も閉じる様になっている。
さらに、外蓋9(または内蓋8)を開放不能にロックする蓋ロック機構(図示しない)が設置されている。かかる蓋ロック機構は、進退する電磁ピンなどを用いて機械的に行ってもよいし、外蓋9(または内蓋8)が電動式の蓋開閉駆動機構によって開閉される場合には、該蓋開閉駆動機構が電気的に駆動しないようにしてもよい。
【0013】
(洗濯槽)
洗濯槽5は、投入された洗濯物の洗い、すすぎ、脱水及び乾燥に供するものであるから、洗濯兼脱水槽あるいは洗濯兼脱水兼乾燥槽とも称されるものである。洗濯槽5は水槽2内に回転自在に配置されている。すなわち、水槽2が傾動台20に固定され、傾動台20が傾動するものであるから、洗濯槽5は水槽2と共に傾動するものである。洗濯槽5は、天面が開放され、底面が閉塞された筒状で、側面には脱水のための複数の通水孔が形成されている。
洗濯槽5の天面開口部の周囲にはバランサー6が設置されている。バランサー6の内周で囲まれた範囲が、開口部として洗濯物を投入したり取り出したりするために供される。なお、洗濯槽5を収納する水槽2には水槽カバー7が設置されているため、バランサー6の上端面は水槽カバー7によって覆い隠されている。
【0014】
(パルセータ)
洗濯槽5の底部には、投入された洗濯物及び注水された水(以下「洗濯水」と称す)を攪拌するためのパルセータ4が、回転自在に配置されている。以下、洗濯槽5の回転と区別するため便宜上、パルセータ4の回転を「旋回」と称する。
図2はこの実施の形態で用いるパルセータ4を示す斜視図、図3はパルセータ4を図2の矢印X方向からみた側面図である。このパルセータ4は、その上面の一端側を低くし、それに対向する他端側を高くしたことによる傾斜面が表面(上面)4Aに形成された円盤状のベース部4aと、該ベース部4aの傾斜面から突出してその傾斜面の傾斜方向に沿って延び、ベース部4a中央部を横断する形状の翼部4bとを備え、翼部4bのベース部4a傾斜面からの突出高さを、ベース部4aの高さの低い側から高い側に向かってより高くなるようにしている。なお、図中の符号4Bはパルセータの裏面(底面)を示している。
パルセータ4をこのような構造とすることで、パルセータの体積を小さく保ちつつ、洗濯物を上下動させるのに十分な傾斜面を確保することができる。これにより、洗濯/乾燥容量や使用できる水量の減少をできるだけ少なくし、かつパルセータを駆動するモータの負荷の増大もできるだけ低減しつつ、洗濯物の乾燥性能を向上させることができる。
また、パルセータ4に設ける水抜き穴4cは、ベース部4aの高さが高い側よりも低い側の領域に多く設けている。これにより、水がたまりやすい高さの低い部分からの排水量が増えるため、洗濯槽5からの排水効率が良くなる。
【0015】
図4はパルセータ4の変形例を示したもので、パルセータ4の翼部4bの長手方向に直交するラインにおける断面図である。図4のパルセータ4は、翼部4bで隔てられたベース部4aの両側面も、その縁部から翼部4bの方向に向かって高くなる傾斜面に形成している。これにより、パルセータ4が回転すると、この傾斜面に沿って洗濯物が翼部4bの頂上に向かって跳ね上がり、洗濯物の上下動がより促進されて、洗濯物の乾燥性能がさらに向上する。
【0016】
これまで説明したパルセータ4の翼部4bは、ベース部4aの傾斜面の傾斜方向に沿う翼部4bの長手方向の左右壁面が同じ傾きに形成されていたが(例えば、図4参照)、その左右壁面の傾斜を相違させても良い。その場合、一方の壁面を洗濯物に対して周方向の力を作用させる急斜面に、他方の壁面を洗濯物に対して上下方向の力を作用させる緩斜面に、それぞれ形成するのが好ましい。図5はそのように構成した翼部4bの作用を説明する作用説明図である。パルセータ4の旋回(正転及び反転)時、傾斜が急な壁面4sは洗濯物50を水平方向に押し出す力を与えるように作用し、傾斜が緩い壁面4gは洗濯物50を上下移動させるのに寄与する。従って、傾斜が急な壁面4sは洗い時やすすぎ時に効果を発揮し、傾斜が緩い壁面4gは乾燥時に効果を発揮する。
【0017】
パルセータ4は、ベース部4aと翼部4bとが一体成型された一体成型品であってもよく、また、ベース部4aと翼部4bとを別部材として、それらを結合してなる組立品であってもよい。ベース部4aと翼部4bとを樹脂などにより一体成型すれば、部品点数や組み立て作業性の点からコストの低減が図れる。一方、ベース部4aと翼部4bと別部品とすれば、乾燥性能の観点から熱伝導性のよい金属材料(例えばステンレススチールなど)や、意匠性の観点から適宜に部材を選択できる。
なお、パルセータ4には、翼部4bを1列設けたが、状況に応じて翼部4bを複列としてもよい。
【0018】
また図13に示すように、パルセータ4の裏面(底面)4Bには、水をすくい上げるポンプアップ用羽根4kが放射状に複数設けられている。
なお、パルセータ4の旋回(回転)をスムーズにするため、重心がパルセータ4の回転軸上に位置するようにしておくのが好ましい。そのため、パルセータ4の上記形状に対応させて、ベース部4a及び/または翼部4bにバランス調整のための各種態様を施すのが好ましい。
例えば、パルセータ4の形状に対応させて、ベース部4a及び/または翼部4bの底面側の肉厚を調整して、重心の位置を回転軸上に位置させる。パルセータ4の肉厚調整は、例えばパルセータ4の高さが高い方の底面側(裏面側)に空洞を形成して、その部分の重量を少なくすることで行うことができる。
あるいは、パルセータ4の回転軸中心に対して質量の小さい側のベース部4a及び/または翼部4bの底面側(裏面側)に一つあるいは複数の立体形状の錘部(又は凸部)を付加し、それによりその部分の重量を増やすことでバランス調整を行うことができる。
立体形状の錘部(又は凸部)としては、例えば、ベース部4a及び/または翼部4bの底面側(裏面側)のポンプアップ用羽根4k付近に、少なくとも1以上設けたリブ(又はリブ群)4m,4nなどとすることができる。なお、リブをパルセータ4の回転方向に沿う円弧状のリブとすると、パルセータ4の旋回に伴う水の抵抗を低減できる。
また、パルセータ4は、その旋回(回転)時における重心(ここでは動的重心という)もパルセータ4の回転軸上に位置するようにしておくことが好ましい。そのため、ベース部4aの裏面の隣り合うポンプアップ用羽根4kによって画定される空間の容積が、パルセータ4の回転軸(図13の中央の穴部が相当)を中心に、向かい合う領域同士で略等しくなるように形成するのがよい。そのために、例えば、ベース部4aの裏面側の一部を非浸水性低密度部材で形成する。より具体的には、例えば、パルセータ4の裏面側の隣り合うポンプアップ用羽根4kによって画定される空間の、高さ(深さ)方向における一部または全部に、水が浸入しないように蓋を設けて水密構造を形成し、パルセータ4の裏面側にできる上記空間の容積を、パルセータ4の回転軸を中心にして、向かい合う領域同士で略等しくなるようにするのが好ましい。なお、非浸水性低密度部材としては、独立気泡で構成された発泡樹脂材、例えば発泡ポリスチレンが利用できる。
【0019】
(回転モータ)
水槽2の底面で、傾動台20の下面には、パルセータ4及び洗濯槽5を回転駆動するための共通の回転モータ11が設置されている。加えて、回転モータ11の回転をパルセータ4または洗濯槽5に振り分ける回転分配手段と、該共通の回転分配手段からパルセータ4に回転(旋回)を伝達するパルセータ側回転伝達手段と、該共通の回転分配手段から洗濯槽5に回転を伝達する槽側回転伝達手段とが設置されているが、それらの手段は特に図示しない。回転モータ11及び回転分配手段は、制御手段の指令によって、洗濯行程と脱水行程と乾燥行程において、それぞれ所定の回転/停止及び振り分けをするものである。
【0020】
(給排水機構)
水槽2の天面で、水槽カバー7の下面側には給水機構13が設置されている。給水機構13は、一端が筐体1の外に導出されて外部の水道に接続される給水経路12と、給水経路12の途中に設置されて水の流通を開閉する給水弁14とを有している。
水槽2の底面には排水口(図示しない)が形成され、排水口には排水ホース18が連結されている。なお、排水口または排水ホース18に水の流通を開閉する排水弁(図示せず)が設けられている。したがって、給水弁14及び排水弁を閉じると共に、内蓋8を閉じると、水槽2は密閉状態になる。
【0021】
(乾燥手段)
乾燥手段は、熱風によって洗濯物を乾燥させるものであって、乾燥行程時に洗濯槽5内に温風を供給する乾燥用フアン15と、空気を加熱するヒータ17とを有している。
乾燥用フアン15は水平台19の下面に設置され、乾燥用フアン15のケーシング吐出口にはヒータ17が設置されている。そして、該ケーシング吐出口に連通し、水槽2の外壁に沿って立ち上がって水槽2の上部の開口縁に開口する送風ダクト16が設置されている。また、送風ダクト16はケーシング吐出口との連通部の近くにおいて可撓性を具備しているから、水槽2の傾動に伴って傾動するものである。なお、かかる乾燥手段を傾動台20に設置した場合には、送風ダクト16に可撓性は要求されない。
ヒータ17によって加熱された温風は、洗濯槽5内において洗濯物の乾燥に供した後、排気ダクト(図示せず)に排出される。そして、かかる排出される温風に向けて散水する「水冷除湿」が実行された後、再度、送風ダクト16に送られ循環する。
【0022】
(水槽の傾動動作)
水槽2を図6のように傾斜させる水槽2の傾動動作は各種の方法で行うことができる。例えば、モータ、ピニオン及びラックを利用して、傾動支点20aを中心に傾動台20を回転させて行うことができる。また、水槽2を支えている後ろ側の吊り棒3を上下動させることで、水槽2を傾斜させることもできる。
【0023】
(制御手段)
図7は、図1に示す洗濯機の動作を制御する制御手段の構成を説明するブロック図である。この洗濯機の制御手段110は、CPU130と、入力インターフェイス120と、出力インターフェイス140と、メモリ150と、クロック制御部160(タイマ170に接続されている)とを有している。入力インターフェイス120にはこれを介してCPU130に所定の信号を入力する運転コース設定スイッチ、電源スイッチなどの各種の操作スイッチ(図中、「…・SW]にて示す)や傾斜角度検出器が接続され、出力インターフェイス140には、CPU130からの所定の制御信号が出力される乾燥用フアン15やモータ(洗濯槽5の回転モータ11及び水槽2の傾動モータ等を総称する)等が接続されている。
なお、安全SWとは、たとえば、外蓋9の開閉をロックする蓋ロック機構や、傾動板20の傾動をロックする傾動ロック機構等が作動していることを確認するスイッチ類を示している。
また、メモリ150には、運転コースのそれぞれの行程に対応して制御条件が記憶されている。そして、CPU130は、傾斜角度の決定や、決定した傾斜角度に傾動させる制御指令を、運転コースの各行程に応じて発している。
【0024】
(洗濯機の制御)
図8〜図10は、制御手段110の制御方法の一例を説明するものであって、図8は洗濯機の一連の行程の概略フローチャート、図9及び図10は洗濯機の一連の行程のタイムチャートの一例を、それぞれ示したものである。図9では洗い行程及び乾燥行程で洗濯槽5を傾斜させているのに対して、図10では洗い行程〜乾燥行程の間、洗濯槽5を直立させている。
この洗濯機は、洗濯物の洗い行程と、すすぎ行程と、脱水行程と、乾燥行程とが実行可能なものであって、ユーザが適宜「運転コース」を設定することができるものである。
【0025】
以下、図8に沿って説明する。
(i)初期行程において、電源スイッチが投入(ON)されると、洗濯槽5を傾斜する。
(ii)設定された運転コースに洗い行程が含まれている場合、投入された洗濯物の量が多い場合には、洗濯槽5を直立させた状態で洗う「直立洗い」が実行され、投入された洗濯物の量が少ない場合には、洗濯槽5を傾斜させた状態で洗う「傾斜洗い」が実行される。
(iii)設定された運転コースにすすぎ行程が含まれている場合、投入された洗濯物の量に関係なく、洗濯槽5を直立させた状態で洗う「直立すすぎ」が実行される。
【0026】
(iv)設定された運転コースに脱水行程が含まれている場合、投入された洗濯物の量に関係なく、洗濯槽5を直立させた状態で脱水する「直立脱水」が実行される。
(v)設定された運転コースに乾燥行程が含まれている場合、投入された洗濯物の量が多い場合には、洗濯槽5を直立させた状態で乾燥する「直立乾燥」が実行され、投入された洗濯物の量が少ない場合には、洗濯槽5を傾斜させた状態で乾燥する「傾斜乾燥」が実行される。
(vi)終期行程において、自動的に電源スイッチが切られ(OFF)、洗濯槽5を傾斜する。そして、洗濯物の取り出しが完了して蓋体が閉じられると、洗濯槽5は直立し、一連の行程が終了する。なお、洗濯槽5は傾斜させたままとしておくことも可能である。
【0027】
次に、図9のタイムチャートに基づいて、部分的に図10に言及しながら洗濯制御の流れを説明する。
(Sl−S2:電源のON、洗濯物の投入)
図9において、洗濯機の電源の投入(ON)を待って、洗濯槽5は、たとえば、傾斜角度20度に傾勤し、傾動終了後に、内蓋8及び外蓋9の蓋ロックが開放される。そうすると、内蓋8及び外蓋9は開閉自在であるから、ユーザは適宜、外蓋9を開けて(内蓋8も連動して開く)、洗濯物を洗濯槽5に投入することができる。このとき、洗濯槽5は傾斜しているため、洗濯物の投入が容易になっている。
なお、洗濯槽5が傾斜した状態で電源が切られている(OFF)場合には、この間、洗濯槽5の傾動は機械的にロックされ、内蓋8及び外蓋9は開閉自在であるから、ユーザは適宜、外蓋9を開けて(内蓋8も連動して開く)、洗濯物を洗濯槽5に投入することができる。このとき、洗濯槽5は傾いているから、前記のように、洗濯物の投入が容易になっている。
【0028】
(S3−S4:コースを設定、負荷量検知及び注水量と傾斜角度の決定)
ユーザが運転コースを設定して、操作スイッチを入れる(ON)と、外蓋9(または内蓋8)が閉じられ、外蓋9(または内蓋8)は開放不能にロックされる。
なお、一旦外蓋9(または内蓋8)がロックされた後は、電源スイッチを切る(OFF)か、設定された運転コースの全行程が終了しない限り、該蓋ロックは解除されない。
【0029】
次に、公知の方法により、負荷量(投入されている洗濯物の重量)を検知する。すなわち、回転モータ11を起動してパルセータ4を一定量だけ回転させた後、回転モータ11を停止して、停止した後のパルセータ4の惰性回転量で洗濯物の重量(「負荷量」に換算可能な値)を検知する。
【0030】
そして、前記負荷量の検知結果に基づいて、注水量、及び洗い行程における洗濯槽5の傾斜角度(軸心が鉛直方向となす角度に同じ)を決定する。
例えば、直径が540mm程度、深さ540mm程度の水槽2のとき、検知した洗濯物の重量が約6kg以下であるときは、たとえば、傾斜角度を30度にする。そうすると、後述するように洗濯性能が向上すると共に、洗濯物に浸透する十分な水量を確保することができる。
一方、例えば、検知した洗濯物の重量が約6kg超えるときは、図10のように、傾斜角度を0度、すなわち、洗濯槽5を傾斜しないで直立させ、洗濯物に浸透するのに十分な水量を確保すると共に、洗濯中に洗濯槽5内の水が零れないようにする(以下「直立洗い方法」と称す)。
【0031】
(S5:注水及び傾動)
そして、前記の決定に基づいて、注水及び傾動を実行する。すなわち、水平台19に設置されている傾動モータを駆動し、洗濯槽5が固定されている傾動台20を傾動させる。すなわち、制御手段は傾動モータに対して傾斜傾動指令を出力する。そして、斜角度検出器が、傾斜角度が20度になったことを検知したところ、あるいは傾斜角度20度の位置に設置された傾斜角度検出器(位置センサに相当する)が作動したところで、傾動モータを停止させる。
なお、注水が終了した後(一旦開いた給水弁が閉じた後)に、傾動を開始すると共に、傾動中に洗濯を開始しているが、傾動に並行して注水したり、あるいは傾動終了後に注水を開始してもよい。
特に、図10に示している直立洗い方法の場合には、水が水槽2から漏れないよう、傾動終了後に注水したり、注水量が満杯に近づく前に傾動が終了するようにすることが好ましい。
【0032】
(S6:洗い)
洗いは、洗濯槽5が傾斜角度を20度に傾いた状態で傾動ロック機構が作動し、該ロックされた状態で、パルセータ4が低速回転される。そして、洗い行程の終了が近づいたところで、排水弁を開き、排水しながら回転モータ11を減速停止する。
【0033】
(S7:傾動)
排水が終了したところで傾動ロック機構を開放し、洗濯槽5の傾動を開始して直立させる。すなわち、水平台19に設置されている傾動モータを再度駆動し、洗濯槽5が固定されている傾動台20を傾動させる。
そして、傾斜角度検出器が、傾斜角度が0度になったことを検知したところ、あるいは、傾斜角度0度の位置に設置された傾斜角度検出器が作動したところで、傾動モータを停止し、洗濯槽5を床面に垂直(鉛直に同じ)にする。
なお、排水が終了するよりも前に傾動ロック機構を開放し、洗濯槽5の傾動を開始してもよい。仮に、すすぎ行程を含まない運転コースが設定された場合であっても、洗い行程が終了する前に直立状態の洗濯槽5において所定時間の洗いを実行することにより、洗い行程終了時の洗濯物の偏りを減らすことができるから、その直後の脱水行程における回転のアンバランスを少なくすることができる。
【0034】
(S8:すすぎ)
すすぎは、洗濯槽5が直立した状態で傾動ロック機構を作動(ロックして)実行される。図9において、給水しながら回転モータ11を低速回転し、所定の水量が供給された後は給水を停止するものの回転は継続し、やがて、すすぎ終了の直前に回転モータ11を減速停止すると共に排水弁を開いて排水するようにしている。しかし、本発明はかかる制御に限定するものではない。
たとえば、途中に洗濯槽5を高速回転する脱水行程を挟んで、注水→すすぎ→脱水→注水→すすぎを実行してもよい。このとき、洗濯槽5が直立しているから、洗濯槽5を高速で回転しても振動や騒音の発生は低く抑えられる。
すなわち、洗い行程の終了時において洗濯物が洗濯槽5の一方側に偏っていた場合であっても、洗濯槽5を直立させて実行するすすぎによって、洗濯物の偏りは解消されるから、以降の脱水行程における振動や騒音の低減が図られる。
なお、すすぎ行程のために注水を開始する前において、排水弁を開いた状態で、回転モータ11を回転(たとえば、800rpm前後の回転数で回転する)して「中間脱水(洗濯槽5を回転)」を実施してもよいし、注水とすすぎ(パルセータ4の旋回)と排水を同時に実行してもよい。
【0035】
(S9:脱水)
脱水は、洗濯槽5が直立した状態で、回転モータ11により洗濯槽5を高速回転することによって実行される。このとき、洗濯槽5には重力成分の偏荷重(回転軸に対して斜めに作用する力)が作用しないから、回転は安定する。したがって、仮に、洗濯槽5内の洗濯物が偏っている場合であっても、高速回転時に激しい振動や騒音が発生したり、洗濯槽5及び水槽2が筐体1に衝突したりすることがない。
【0036】
(Sl0:傾動)
脱水が終了したところで傾動ロック機構を開放し、洗濯槽5の傾動を開始して傾斜させる。すなわち、傾動モータを再度駆動し、たとえば、傾斜角度検出器が傾斜角度30度になったことを検知したところで、あるいは、傾斜角度30度の位置に設置された傾斜角度検出器が作動したところで、傾動モータを停止すると共に、傾動ロック機構を作動(ロック)する。
【0037】
(Sll:乾燥)
そして、ヒータ17に通電(ON)すると共に、乾燥用フアン15を起動(ON)して、送風ダクト16を経由して水槽2に温風を供給する。この間、洗濯槽5は傾斜した状態で、パルセータ4の反転による「攪拌回転」が行われ、洗濯物に対して非対称の力が作用し、洗濯槽5が直立状態にあるときよりも洗濯物の攪拌が促進され、効率的に乾燥を行うことができ、また乾燥ムラを少なくすることができる。ただし、投入した洗濯物の量が多い場合には、図10に示すように、洗濯槽5を直立させたまま乾燥してもよい。「攪拌回転」とは、パルセータ4を大きく反転して洗濯物を入れ替える運転を指す。
特に、前述したような特徴的構造を有するパルセータ4の回転により、洗濯物の上下移動が促進されて、乾燥効率が向上する。なお、乾燥行程の場合、パルセータ4の左右方向の回転速度は、乾燥効率を高めるため、洗濯行程の場合より速くしておくのが好ましい。
【0038】
乾燥行程では、傾動動作に並行して回転モータ11と乾燥用フアン15を起動してもよい。さらに、図9、10において、乾燥行程中に、給水弁14を開いているのは洗濯槽5に僅かに給水(洗濯物に直接散水)して静電気を予防したり、図示しない切り替え弁によって給水方向を変更し、洗濯物の乾燥に供した後の温風が、循環するダクト内に戻ってきたときにダクト内の温風に向けて散水するためである。すなわち、洗濯物から蒸発した水分(温風に含まれている)の結露を促進するためのものである。ただし、乾燥行程における該給水を停止してもよい。
【0039】
(S12:傾動)
乾燥行程が終了したところで、傾動ロック機構を開放し、再び洗濯槽5を傾動させて、傾動角度を20度にしている。なお、乾燥行程の終了直前、乾燥に並行して、洗濯槽5の傾動を開始してもよい。
(S13:取り出し)
そして、傾動角度が20度に到達して時点で、傾動ロック機構の作動(ロック)及び回転モータ11の停止を条件に、蓋ロックが解除される。そうすると、ユーザは、外蓋9を開けて(内蓋8も連動して開く)、洗濯物を洗濯槽5から容易に取り出すことができる。このとき、洗濯槽5は傾いているから、洗濯槽5の奥に手が届き易くなると共に、洗濯槽5の上部開口部はユーザの視線方向に向いているため、洗濯槽5の底部まで覗きやすい。 なお、洗濯物の量が多い場合に、ユーザはデフォルト位置を指定可能にして、洗濯物の取り出しに際して、洗濯槽5を直立させてもよい。
【0040】
(S14:傾動)
そして、洗濯物が取り出されて、外蓋9(及び内蓋8)が閉じられると、洗濯槽5は直立し、かかる直立した状態で、蓋ロックは開放(開き自在になる)される。
(S15:終了)
そして、自動的に電源スイッチが切られる(OFF)、一連の行程は全て終了する。
このとき、傾斜台20は水平台19の広い範囲において支持されるから、傾動支点20aに水槽2等の自重が集中して作用することがない。よって、傾動支点20aは、長い時間に渡る負荷から開放され、耐久性が向上する。
なお、ユーザはデフォルト位置を指定可能にして、洗濯槽5を傾斜した状態のままにして終了するようにしてよい。
【0041】
(傾動効果)
直立して洗濯槽5を回転した場合には、水面は回転軸を中心にした回転対称面を形成するのに対し、傾斜して洗濯槽5を回転した場合には、水面は回転軸に対して非対称な面を形成することになるため、洗濯槽5内の洗濯水及び洗濯物に作用する力は回転軸に対して非対称となり、洗濯槽5が直立状態にあるときに比べ、水流及び洗濯物の動きは複雑なものとなり、洗浄力が増加し、洗いムラも少なくなる。
【0042】
(傾斜角度の決定)
以上において、洗濯槽5の洗い行程における傾斜角度を30度、洗濯物の投入時や取り出し時及び乾燥行程における傾斜角度を20度の場合を例に説明しているが、本発明はこれらに限定すものではなく、洗い行程において、10〜45度の範囲内で洗濯物の量(負荷量に相当する)に応じて所定の傾斜角度を決定することができる。また、洗濯物の投入時や取り出し時及び乾燥行程において、0〜30度の範囲内で傾斜角度を選択することができる。すなわち、前述のように、洗浄性能を最大にする傾斜角度は、洗濯槽の形状や大きさ、さらに、投入される洗濯物の量によっても変動するため、かかる変動要因を考慮した傾斜角度(洗い行程)の決定が望ましい。
【0043】
また、洗濯物の投入/取り出し時の傾斜角度は、ユーザの身長や筐体の大きき等を考慮して決定されることが望ましい。さらに、ユーザ各人が、それぞれ使い勝ってのよい傾斜角度を設定するようにしてもよい。このとき、洗濯槽5が直立した状態で、洗濯物を投入または取り出したいとの要請に応えるため、トップカバー10に形成された開口部、すなわち、外蓋9は、洗濯槽5が直立した際に洗濯物の取り出しが可能な大きさにする必要があるから、たとえば、水平面に投影した際、直立したときの洗濯槽5の上部開口部(内蓋8に相当する)が外蓋9に含まれる(覆われる)ようにする。つまり、外蓋9は後面に向かって長いものになる。
【0044】
なお、傾動の前後の傾斜角度を同一にした場合には、たとえば、何れの行程も同一の傾斜角度で実行するようにした場合、たとえば、洗濯物を投入した後洗い行程に移行する際の傾動や、乾燥行程から洗濯物の取り出しに移行する際の傾動は、当然不要となる。すなわち、傾動(傾斜角度の変更)に要する時間が不要になる分、一連の運転コースにかかる時間を短縮することができ、また、傾動機構にかかる負荷を低減することができる。
【0045】
さらに、洗い行程あるいは乾燥行程における傾斜角度は1つに限定するものではなく、10〜45度あるいは0〜30度の範囲内で1つまたは2つ以上の傾斜角度を選択して段階的(ステップ的)に変動してもよいし、該範囲内で傾斜角度を連続的に変動、即ち、最小傾斜角度(直立を含む)〜最大傾斜角度の間を、1回または2回以上往復してもよい。 このとき、洗いにおいては更なる複雑な水流の発生と洗濯物の攪拌がなされ、洗浄性能が向上し、乾燥においては更なる洗濯物の攪拌がなされるので洗濯物のかたまり内部にも温風を含ませることができ、乾燥スピードが向上する。
【0046】
(パルセータの回転制御)
パルセータ4の翼部4bの両側壁面を、図4に示したように、急斜面と緩斜面とから形成している場合には、左右方向(正転方向と反転方向)における回転速度や回転時間を相違させた方がよい。例えば、パルセータ4が翼部4bの緩斜面側方向に回転する時は、洗濯物50を確実に上下移動させることができるように、翼部4bの急斜面側方向に回転する時より速度を速くする。また、洗濯物50を絡まりを防止するため、翼部4bの急斜面側方向に回転する時間は、翼部4bの緩斜面側方向に回転する時間より短くするのが好ましい。
【0047】
さらに、洗濯槽5を傾斜させた状態で、パルセータ4を回転させた行程の終了時(パルセータ4の回転終了時)は、図11に示すように、パルセータ4の高さの低い側を、傾斜している洗濯槽5の上昇側に位置させるようにして、洗濯物50の洗濯槽5内での偏りをなくすとともに、洗濯物50を洗濯槽5から取り出し易くするのが好ましい。なお、排水時には、パルセータ4を図11の位置から半回転させて、図12のような状態にして排水を行うのが好ましい。
【0048】
(上記実施の形態で説明したパルセータの他の洗濯機への適用)
上記実施の形態では、本願に特有のパルセータ4を洗濯槽5を傾斜させた状態で所定の行程を行うタイプの洗濯機に適用した例を示したが、本願のパルセータ4は、パルセータ方式を採用するいずれの洗濯機にも適用できることは言うまでもない。
そして、一端側を低くし、それに対向する他端側を高くしたことによる傾斜面が上面に形成され、洗濯槽は前方向に傾斜可能とし、洗濯槽を傾斜させた状態でパルセータを回転させる行程を備えることで、洗濯槽を傾斜した状態でも乾燥性能の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係る洗濯機の側断面図。
【図2】図1の洗濯機に使用されているパルセータを示す斜視図。
【図3】図2のパルセータの側面図。
【図4】図2のパルセータの変形例を示す翼部に直交するラインにおける断面図。
【図5】パルセータを構成する翼部の作用説明図。
【図6】水槽を傾斜させた状態の本発明の実施の形態に係る洗濯機の側断面図。
【図7】図1に示す洗濯機における制御手段の構成を説明するブロック図。
【図8】図1に示す洗濯機における制御手段の制御方法の概略フローチャート。
【図9】図1に示す洗濯機における制御手段の制御方法を説明するタイムチャートその1。
【図10】図1に示す洗濯機における制御手段の制御方法を説明するタイムチャートその2。
【図11】洗濯槽を傾斜させた状態での行程とパルセータの状態を説明する模式図その1。
【図12】洗濯槽を傾斜させた状態での行程とパルセータの状態を説明する模式図その2。
【図13】図2のパルセータの裏面(底面)側詳細図。
【符号の説明】
【0050】
1:筐体、2:水槽、3:吊棒、4:パルセー夕、4A:パルセータの表面、4B:パルセータの裏面、4a:ベース部、4b:翼部、4c:水抜き穴、4k:ポンプアップ用羽根、4m:リブ、4n:リブ、5:洗濯槽、6:バランサー、7:水槽カバー、8:内蓋、9:外蓋、10:トップカバー、11:回転モータ、12:給水経路、13:給水機構、14:給水弁、15:乾燥用フアン、16:送風ダクト、17:ヒ一夕、18:排水ホース、19:水平板、20:傾動台、50:洗濯物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機、特に、パルセータ方式の洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に洗濯機は、ドラム式とパルセータ方式とに大別される。ドラム式は、水平方向の回転軸を具備するドラム(洗濯槽に相当する)を回転させ、その回転によってドラム内で洗濯物が落下する際の機械的作用と洗剤による化学作用とを利用するものであり、洗濯された洗濯物の脱水には、ドラムを回転し、遠心力を利用している。さらに、脱水後の洗濯物の乾燥は、ドラム内に温風を吹きこみながらドラムを回転したりしている。
これに対してパルセータ方式は、洗濯槽(又は洗濯兼脱水槽)の底部に配置されたパルセータを回転して、その回転によって「回流する水流」を発生させ、摩擦または振動などの機械的作用と洗剤による化学作用とによって汚れを除去する。また、洗濯された洗濯物の脱水には、洗濯槽を回転し、遠心力を利用している。さらに、脱水後の洗濯物の乾燥は、パルセータを回転させて洗濯物を攪拌させながら、洗濯槽内に温風を吹き込むことにより行っている。
【0003】
上記のような作用を果たすパルセータは、その乾燥性能に大きく影響を与える。そのため、従来より、パルセータの上面を斜面に形成して、それにより洗濯物を上下動させて、乾燥性能を向上させることが試みられている(例えば、特許文献1、2)。
【特許文献1】特開2005−81102号公報(第2図、第6図など)
【特許文献2】実開昭56−44676号公報(第2図、第3図など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のパルセータの構造において、洗濯物を上下動させる傾斜面を確保しようとすると、パルセータそのものの体積が大きくなり、洗濯/乾燥容量の減少や、使用できる水量の減少という問題があった。加えて、パルセータを駆動するモータの負荷が大きくなってしまうという問題もあった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、洗濯/乾燥容量や使用できる水量の減少をできるだけ少なくし、かつパルセータを駆動するモータの負荷の増大もできるだけ低減しつつ、洗濯物の乾燥性能を向上させることができるパルセータ方式の洗濯機を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗濯機は、洗濯槽の底部に、回転体であるパルセータを配した洗濯機であって、前記パルセータは、上面の一端側を低くし、それに対向する前記上面の他端側を高くしたことにより表面が傾斜面に形成されたベース部と、前記ベース部の傾斜面に立設し、前記傾斜面の傾き方向に沿う翼部とを有している。
なお、このようなパルセータの形状故に、パルセータ回転時のバランスをとるための処置が施されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗濯機は、傾斜面を有したベース部と、その傾斜面から突出した翼部との2段構成によりパルセータ上面に傾斜を持たせているので、パルセータの体積を小さく保ちつつ、洗濯物を上下動させるのに十分な傾斜面が確保できる。これにより、洗濯/乾燥容量や使用できる水量の減少をできるだけ少なくし、かつパルセータを駆動するモータの負荷の増大もできるだけ低減しつつ、洗濯物の乾燥性能を向上させることができる。
また、パルセータにパルセータ回転時のバランスをとるための処置を施したことで、パルセータの上記形状にかかわらず、その回転がスムーズにおこなわれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、図中、各構成部材を模式的に示しているため、その寸法は正確でない。特に、薄板によって形成されている部材については、明りょうにするため、厚さを誇張して示している。また、各図において同じ部分には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
図1は本発明の実施の形態に係る洗濯機の側断面図である。この洗濯機は、一連の洗い行程と、すすぎ行程と、脱水行程と、乾燥行程とを実行するものである。なお、洗い行程とすすぎ行程とをまとめて「洗濯行程」と称する場合がある。
【0010】
(筐体)
筐体1は断面矩形の筒状(略直方体に同じ)であって、天面にはトップカバー10が設置されている。トップカバー10には前面(図1の左側面)に連なる天面開口部が形成され、前面の天面近くには前面開口部が形成され、天面開口部と前面開口部とを連結した開口部が、洗濯物の出し入れに供する投入口となっている。そして、該投入口には透明な外蓋9が開閉自在に設置されている。また、筐体1及びトップカバー10のそれぞれの面が交差する角部は円弧状に形成されている。
また、筐体1は四隅の上端部近くには吊棒3の上端部が設置され、吊棒3の下端部には水平台19及び傾動台20が設置されている。そして、水平台19はその前面寄りに、傾動台20を回転自在に支持する傾動支点20aが設けられている。なお、洗濯槽5の回転と区別するため便宜上、傾動台20の回転を「傾動」と称呼する。
【0011】
(水槽)
筐体1内には水槽2が収納されている。水槽2は天面が開放され、底面が閉塞された筒状であって、傾動台20に固定されている。水槽2の上端面(天面開口部の周囲に同じ)には内側が開口部とされた水槽カバー7が設置されている。また、水槽カバー7には、水槽カバー7の開口部を閉塞または開放する内蓋8が傾動自在に設置されている。この例では、外蓋9の下方に内蓋8が配置されている。
【0012】
外蓋9の開閉動作は、図示しない連動機構によって内蓋8に伝達され、外蓋9を開くと内蓋8も開き、外蓋9を閉じると内蓋8も閉じる様になっている。
さらに、外蓋9(または内蓋8)を開放不能にロックする蓋ロック機構(図示しない)が設置されている。かかる蓋ロック機構は、進退する電磁ピンなどを用いて機械的に行ってもよいし、外蓋9(または内蓋8)が電動式の蓋開閉駆動機構によって開閉される場合には、該蓋開閉駆動機構が電気的に駆動しないようにしてもよい。
【0013】
(洗濯槽)
洗濯槽5は、投入された洗濯物の洗い、すすぎ、脱水及び乾燥に供するものであるから、洗濯兼脱水槽あるいは洗濯兼脱水兼乾燥槽とも称されるものである。洗濯槽5は水槽2内に回転自在に配置されている。すなわち、水槽2が傾動台20に固定され、傾動台20が傾動するものであるから、洗濯槽5は水槽2と共に傾動するものである。洗濯槽5は、天面が開放され、底面が閉塞された筒状で、側面には脱水のための複数の通水孔が形成されている。
洗濯槽5の天面開口部の周囲にはバランサー6が設置されている。バランサー6の内周で囲まれた範囲が、開口部として洗濯物を投入したり取り出したりするために供される。なお、洗濯槽5を収納する水槽2には水槽カバー7が設置されているため、バランサー6の上端面は水槽カバー7によって覆い隠されている。
【0014】
(パルセータ)
洗濯槽5の底部には、投入された洗濯物及び注水された水(以下「洗濯水」と称す)を攪拌するためのパルセータ4が、回転自在に配置されている。以下、洗濯槽5の回転と区別するため便宜上、パルセータ4の回転を「旋回」と称する。
図2はこの実施の形態で用いるパルセータ4を示す斜視図、図3はパルセータ4を図2の矢印X方向からみた側面図である。このパルセータ4は、その上面の一端側を低くし、それに対向する他端側を高くしたことによる傾斜面が表面(上面)4Aに形成された円盤状のベース部4aと、該ベース部4aの傾斜面から突出してその傾斜面の傾斜方向に沿って延び、ベース部4a中央部を横断する形状の翼部4bとを備え、翼部4bのベース部4a傾斜面からの突出高さを、ベース部4aの高さの低い側から高い側に向かってより高くなるようにしている。なお、図中の符号4Bはパルセータの裏面(底面)を示している。
パルセータ4をこのような構造とすることで、パルセータの体積を小さく保ちつつ、洗濯物を上下動させるのに十分な傾斜面を確保することができる。これにより、洗濯/乾燥容量や使用できる水量の減少をできるだけ少なくし、かつパルセータを駆動するモータの負荷の増大もできるだけ低減しつつ、洗濯物の乾燥性能を向上させることができる。
また、パルセータ4に設ける水抜き穴4cは、ベース部4aの高さが高い側よりも低い側の領域に多く設けている。これにより、水がたまりやすい高さの低い部分からの排水量が増えるため、洗濯槽5からの排水効率が良くなる。
【0015】
図4はパルセータ4の変形例を示したもので、パルセータ4の翼部4bの長手方向に直交するラインにおける断面図である。図4のパルセータ4は、翼部4bで隔てられたベース部4aの両側面も、その縁部から翼部4bの方向に向かって高くなる傾斜面に形成している。これにより、パルセータ4が回転すると、この傾斜面に沿って洗濯物が翼部4bの頂上に向かって跳ね上がり、洗濯物の上下動がより促進されて、洗濯物の乾燥性能がさらに向上する。
【0016】
これまで説明したパルセータ4の翼部4bは、ベース部4aの傾斜面の傾斜方向に沿う翼部4bの長手方向の左右壁面が同じ傾きに形成されていたが(例えば、図4参照)、その左右壁面の傾斜を相違させても良い。その場合、一方の壁面を洗濯物に対して周方向の力を作用させる急斜面に、他方の壁面を洗濯物に対して上下方向の力を作用させる緩斜面に、それぞれ形成するのが好ましい。図5はそのように構成した翼部4bの作用を説明する作用説明図である。パルセータ4の旋回(正転及び反転)時、傾斜が急な壁面4sは洗濯物50を水平方向に押し出す力を与えるように作用し、傾斜が緩い壁面4gは洗濯物50を上下移動させるのに寄与する。従って、傾斜が急な壁面4sは洗い時やすすぎ時に効果を発揮し、傾斜が緩い壁面4gは乾燥時に効果を発揮する。
【0017】
パルセータ4は、ベース部4aと翼部4bとが一体成型された一体成型品であってもよく、また、ベース部4aと翼部4bとを別部材として、それらを結合してなる組立品であってもよい。ベース部4aと翼部4bとを樹脂などにより一体成型すれば、部品点数や組み立て作業性の点からコストの低減が図れる。一方、ベース部4aと翼部4bと別部品とすれば、乾燥性能の観点から熱伝導性のよい金属材料(例えばステンレススチールなど)や、意匠性の観点から適宜に部材を選択できる。
なお、パルセータ4には、翼部4bを1列設けたが、状況に応じて翼部4bを複列としてもよい。
【0018】
また図13に示すように、パルセータ4の裏面(底面)4Bには、水をすくい上げるポンプアップ用羽根4kが放射状に複数設けられている。
なお、パルセータ4の旋回(回転)をスムーズにするため、重心がパルセータ4の回転軸上に位置するようにしておくのが好ましい。そのため、パルセータ4の上記形状に対応させて、ベース部4a及び/または翼部4bにバランス調整のための各種態様を施すのが好ましい。
例えば、パルセータ4の形状に対応させて、ベース部4a及び/または翼部4bの底面側の肉厚を調整して、重心の位置を回転軸上に位置させる。パルセータ4の肉厚調整は、例えばパルセータ4の高さが高い方の底面側(裏面側)に空洞を形成して、その部分の重量を少なくすることで行うことができる。
あるいは、パルセータ4の回転軸中心に対して質量の小さい側のベース部4a及び/または翼部4bの底面側(裏面側)に一つあるいは複数の立体形状の錘部(又は凸部)を付加し、それによりその部分の重量を増やすことでバランス調整を行うことができる。
立体形状の錘部(又は凸部)としては、例えば、ベース部4a及び/または翼部4bの底面側(裏面側)のポンプアップ用羽根4k付近に、少なくとも1以上設けたリブ(又はリブ群)4m,4nなどとすることができる。なお、リブをパルセータ4の回転方向に沿う円弧状のリブとすると、パルセータ4の旋回に伴う水の抵抗を低減できる。
また、パルセータ4は、その旋回(回転)時における重心(ここでは動的重心という)もパルセータ4の回転軸上に位置するようにしておくことが好ましい。そのため、ベース部4aの裏面の隣り合うポンプアップ用羽根4kによって画定される空間の容積が、パルセータ4の回転軸(図13の中央の穴部が相当)を中心に、向かい合う領域同士で略等しくなるように形成するのがよい。そのために、例えば、ベース部4aの裏面側の一部を非浸水性低密度部材で形成する。より具体的には、例えば、パルセータ4の裏面側の隣り合うポンプアップ用羽根4kによって画定される空間の、高さ(深さ)方向における一部または全部に、水が浸入しないように蓋を設けて水密構造を形成し、パルセータ4の裏面側にできる上記空間の容積を、パルセータ4の回転軸を中心にして、向かい合う領域同士で略等しくなるようにするのが好ましい。なお、非浸水性低密度部材としては、独立気泡で構成された発泡樹脂材、例えば発泡ポリスチレンが利用できる。
【0019】
(回転モータ)
水槽2の底面で、傾動台20の下面には、パルセータ4及び洗濯槽5を回転駆動するための共通の回転モータ11が設置されている。加えて、回転モータ11の回転をパルセータ4または洗濯槽5に振り分ける回転分配手段と、該共通の回転分配手段からパルセータ4に回転(旋回)を伝達するパルセータ側回転伝達手段と、該共通の回転分配手段から洗濯槽5に回転を伝達する槽側回転伝達手段とが設置されているが、それらの手段は特に図示しない。回転モータ11及び回転分配手段は、制御手段の指令によって、洗濯行程と脱水行程と乾燥行程において、それぞれ所定の回転/停止及び振り分けをするものである。
【0020】
(給排水機構)
水槽2の天面で、水槽カバー7の下面側には給水機構13が設置されている。給水機構13は、一端が筐体1の外に導出されて外部の水道に接続される給水経路12と、給水経路12の途中に設置されて水の流通を開閉する給水弁14とを有している。
水槽2の底面には排水口(図示しない)が形成され、排水口には排水ホース18が連結されている。なお、排水口または排水ホース18に水の流通を開閉する排水弁(図示せず)が設けられている。したがって、給水弁14及び排水弁を閉じると共に、内蓋8を閉じると、水槽2は密閉状態になる。
【0021】
(乾燥手段)
乾燥手段は、熱風によって洗濯物を乾燥させるものであって、乾燥行程時に洗濯槽5内に温風を供給する乾燥用フアン15と、空気を加熱するヒータ17とを有している。
乾燥用フアン15は水平台19の下面に設置され、乾燥用フアン15のケーシング吐出口にはヒータ17が設置されている。そして、該ケーシング吐出口に連通し、水槽2の外壁に沿って立ち上がって水槽2の上部の開口縁に開口する送風ダクト16が設置されている。また、送風ダクト16はケーシング吐出口との連通部の近くにおいて可撓性を具備しているから、水槽2の傾動に伴って傾動するものである。なお、かかる乾燥手段を傾動台20に設置した場合には、送風ダクト16に可撓性は要求されない。
ヒータ17によって加熱された温風は、洗濯槽5内において洗濯物の乾燥に供した後、排気ダクト(図示せず)に排出される。そして、かかる排出される温風に向けて散水する「水冷除湿」が実行された後、再度、送風ダクト16に送られ循環する。
【0022】
(水槽の傾動動作)
水槽2を図6のように傾斜させる水槽2の傾動動作は各種の方法で行うことができる。例えば、モータ、ピニオン及びラックを利用して、傾動支点20aを中心に傾動台20を回転させて行うことができる。また、水槽2を支えている後ろ側の吊り棒3を上下動させることで、水槽2を傾斜させることもできる。
【0023】
(制御手段)
図7は、図1に示す洗濯機の動作を制御する制御手段の構成を説明するブロック図である。この洗濯機の制御手段110は、CPU130と、入力インターフェイス120と、出力インターフェイス140と、メモリ150と、クロック制御部160(タイマ170に接続されている)とを有している。入力インターフェイス120にはこれを介してCPU130に所定の信号を入力する運転コース設定スイッチ、電源スイッチなどの各種の操作スイッチ(図中、「…・SW]にて示す)や傾斜角度検出器が接続され、出力インターフェイス140には、CPU130からの所定の制御信号が出力される乾燥用フアン15やモータ(洗濯槽5の回転モータ11及び水槽2の傾動モータ等を総称する)等が接続されている。
なお、安全SWとは、たとえば、外蓋9の開閉をロックする蓋ロック機構や、傾動板20の傾動をロックする傾動ロック機構等が作動していることを確認するスイッチ類を示している。
また、メモリ150には、運転コースのそれぞれの行程に対応して制御条件が記憶されている。そして、CPU130は、傾斜角度の決定や、決定した傾斜角度に傾動させる制御指令を、運転コースの各行程に応じて発している。
【0024】
(洗濯機の制御)
図8〜図10は、制御手段110の制御方法の一例を説明するものであって、図8は洗濯機の一連の行程の概略フローチャート、図9及び図10は洗濯機の一連の行程のタイムチャートの一例を、それぞれ示したものである。図9では洗い行程及び乾燥行程で洗濯槽5を傾斜させているのに対して、図10では洗い行程〜乾燥行程の間、洗濯槽5を直立させている。
この洗濯機は、洗濯物の洗い行程と、すすぎ行程と、脱水行程と、乾燥行程とが実行可能なものであって、ユーザが適宜「運転コース」を設定することができるものである。
【0025】
以下、図8に沿って説明する。
(i)初期行程において、電源スイッチが投入(ON)されると、洗濯槽5を傾斜する。
(ii)設定された運転コースに洗い行程が含まれている場合、投入された洗濯物の量が多い場合には、洗濯槽5を直立させた状態で洗う「直立洗い」が実行され、投入された洗濯物の量が少ない場合には、洗濯槽5を傾斜させた状態で洗う「傾斜洗い」が実行される。
(iii)設定された運転コースにすすぎ行程が含まれている場合、投入された洗濯物の量に関係なく、洗濯槽5を直立させた状態で洗う「直立すすぎ」が実行される。
【0026】
(iv)設定された運転コースに脱水行程が含まれている場合、投入された洗濯物の量に関係なく、洗濯槽5を直立させた状態で脱水する「直立脱水」が実行される。
(v)設定された運転コースに乾燥行程が含まれている場合、投入された洗濯物の量が多い場合には、洗濯槽5を直立させた状態で乾燥する「直立乾燥」が実行され、投入された洗濯物の量が少ない場合には、洗濯槽5を傾斜させた状態で乾燥する「傾斜乾燥」が実行される。
(vi)終期行程において、自動的に電源スイッチが切られ(OFF)、洗濯槽5を傾斜する。そして、洗濯物の取り出しが完了して蓋体が閉じられると、洗濯槽5は直立し、一連の行程が終了する。なお、洗濯槽5は傾斜させたままとしておくことも可能である。
【0027】
次に、図9のタイムチャートに基づいて、部分的に図10に言及しながら洗濯制御の流れを説明する。
(Sl−S2:電源のON、洗濯物の投入)
図9において、洗濯機の電源の投入(ON)を待って、洗濯槽5は、たとえば、傾斜角度20度に傾勤し、傾動終了後に、内蓋8及び外蓋9の蓋ロックが開放される。そうすると、内蓋8及び外蓋9は開閉自在であるから、ユーザは適宜、外蓋9を開けて(内蓋8も連動して開く)、洗濯物を洗濯槽5に投入することができる。このとき、洗濯槽5は傾斜しているため、洗濯物の投入が容易になっている。
なお、洗濯槽5が傾斜した状態で電源が切られている(OFF)場合には、この間、洗濯槽5の傾動は機械的にロックされ、内蓋8及び外蓋9は開閉自在であるから、ユーザは適宜、外蓋9を開けて(内蓋8も連動して開く)、洗濯物を洗濯槽5に投入することができる。このとき、洗濯槽5は傾いているから、前記のように、洗濯物の投入が容易になっている。
【0028】
(S3−S4:コースを設定、負荷量検知及び注水量と傾斜角度の決定)
ユーザが運転コースを設定して、操作スイッチを入れる(ON)と、外蓋9(または内蓋8)が閉じられ、外蓋9(または内蓋8)は開放不能にロックされる。
なお、一旦外蓋9(または内蓋8)がロックされた後は、電源スイッチを切る(OFF)か、設定された運転コースの全行程が終了しない限り、該蓋ロックは解除されない。
【0029】
次に、公知の方法により、負荷量(投入されている洗濯物の重量)を検知する。すなわち、回転モータ11を起動してパルセータ4を一定量だけ回転させた後、回転モータ11を停止して、停止した後のパルセータ4の惰性回転量で洗濯物の重量(「負荷量」に換算可能な値)を検知する。
【0030】
そして、前記負荷量の検知結果に基づいて、注水量、及び洗い行程における洗濯槽5の傾斜角度(軸心が鉛直方向となす角度に同じ)を決定する。
例えば、直径が540mm程度、深さ540mm程度の水槽2のとき、検知した洗濯物の重量が約6kg以下であるときは、たとえば、傾斜角度を30度にする。そうすると、後述するように洗濯性能が向上すると共に、洗濯物に浸透する十分な水量を確保することができる。
一方、例えば、検知した洗濯物の重量が約6kg超えるときは、図10のように、傾斜角度を0度、すなわち、洗濯槽5を傾斜しないで直立させ、洗濯物に浸透するのに十分な水量を確保すると共に、洗濯中に洗濯槽5内の水が零れないようにする(以下「直立洗い方法」と称す)。
【0031】
(S5:注水及び傾動)
そして、前記の決定に基づいて、注水及び傾動を実行する。すなわち、水平台19に設置されている傾動モータを駆動し、洗濯槽5が固定されている傾動台20を傾動させる。すなわち、制御手段は傾動モータに対して傾斜傾動指令を出力する。そして、斜角度検出器が、傾斜角度が20度になったことを検知したところ、あるいは傾斜角度20度の位置に設置された傾斜角度検出器(位置センサに相当する)が作動したところで、傾動モータを停止させる。
なお、注水が終了した後(一旦開いた給水弁が閉じた後)に、傾動を開始すると共に、傾動中に洗濯を開始しているが、傾動に並行して注水したり、あるいは傾動終了後に注水を開始してもよい。
特に、図10に示している直立洗い方法の場合には、水が水槽2から漏れないよう、傾動終了後に注水したり、注水量が満杯に近づく前に傾動が終了するようにすることが好ましい。
【0032】
(S6:洗い)
洗いは、洗濯槽5が傾斜角度を20度に傾いた状態で傾動ロック機構が作動し、該ロックされた状態で、パルセータ4が低速回転される。そして、洗い行程の終了が近づいたところで、排水弁を開き、排水しながら回転モータ11を減速停止する。
【0033】
(S7:傾動)
排水が終了したところで傾動ロック機構を開放し、洗濯槽5の傾動を開始して直立させる。すなわち、水平台19に設置されている傾動モータを再度駆動し、洗濯槽5が固定されている傾動台20を傾動させる。
そして、傾斜角度検出器が、傾斜角度が0度になったことを検知したところ、あるいは、傾斜角度0度の位置に設置された傾斜角度検出器が作動したところで、傾動モータを停止し、洗濯槽5を床面に垂直(鉛直に同じ)にする。
なお、排水が終了するよりも前に傾動ロック機構を開放し、洗濯槽5の傾動を開始してもよい。仮に、すすぎ行程を含まない運転コースが設定された場合であっても、洗い行程が終了する前に直立状態の洗濯槽5において所定時間の洗いを実行することにより、洗い行程終了時の洗濯物の偏りを減らすことができるから、その直後の脱水行程における回転のアンバランスを少なくすることができる。
【0034】
(S8:すすぎ)
すすぎは、洗濯槽5が直立した状態で傾動ロック機構を作動(ロックして)実行される。図9において、給水しながら回転モータ11を低速回転し、所定の水量が供給された後は給水を停止するものの回転は継続し、やがて、すすぎ終了の直前に回転モータ11を減速停止すると共に排水弁を開いて排水するようにしている。しかし、本発明はかかる制御に限定するものではない。
たとえば、途中に洗濯槽5を高速回転する脱水行程を挟んで、注水→すすぎ→脱水→注水→すすぎを実行してもよい。このとき、洗濯槽5が直立しているから、洗濯槽5を高速で回転しても振動や騒音の発生は低く抑えられる。
すなわち、洗い行程の終了時において洗濯物が洗濯槽5の一方側に偏っていた場合であっても、洗濯槽5を直立させて実行するすすぎによって、洗濯物の偏りは解消されるから、以降の脱水行程における振動や騒音の低減が図られる。
なお、すすぎ行程のために注水を開始する前において、排水弁を開いた状態で、回転モータ11を回転(たとえば、800rpm前後の回転数で回転する)して「中間脱水(洗濯槽5を回転)」を実施してもよいし、注水とすすぎ(パルセータ4の旋回)と排水を同時に実行してもよい。
【0035】
(S9:脱水)
脱水は、洗濯槽5が直立した状態で、回転モータ11により洗濯槽5を高速回転することによって実行される。このとき、洗濯槽5には重力成分の偏荷重(回転軸に対して斜めに作用する力)が作用しないから、回転は安定する。したがって、仮に、洗濯槽5内の洗濯物が偏っている場合であっても、高速回転時に激しい振動や騒音が発生したり、洗濯槽5及び水槽2が筐体1に衝突したりすることがない。
【0036】
(Sl0:傾動)
脱水が終了したところで傾動ロック機構を開放し、洗濯槽5の傾動を開始して傾斜させる。すなわち、傾動モータを再度駆動し、たとえば、傾斜角度検出器が傾斜角度30度になったことを検知したところで、あるいは、傾斜角度30度の位置に設置された傾斜角度検出器が作動したところで、傾動モータを停止すると共に、傾動ロック機構を作動(ロック)する。
【0037】
(Sll:乾燥)
そして、ヒータ17に通電(ON)すると共に、乾燥用フアン15を起動(ON)して、送風ダクト16を経由して水槽2に温風を供給する。この間、洗濯槽5は傾斜した状態で、パルセータ4の反転による「攪拌回転」が行われ、洗濯物に対して非対称の力が作用し、洗濯槽5が直立状態にあるときよりも洗濯物の攪拌が促進され、効率的に乾燥を行うことができ、また乾燥ムラを少なくすることができる。ただし、投入した洗濯物の量が多い場合には、図10に示すように、洗濯槽5を直立させたまま乾燥してもよい。「攪拌回転」とは、パルセータ4を大きく反転して洗濯物を入れ替える運転を指す。
特に、前述したような特徴的構造を有するパルセータ4の回転により、洗濯物の上下移動が促進されて、乾燥効率が向上する。なお、乾燥行程の場合、パルセータ4の左右方向の回転速度は、乾燥効率を高めるため、洗濯行程の場合より速くしておくのが好ましい。
【0038】
乾燥行程では、傾動動作に並行して回転モータ11と乾燥用フアン15を起動してもよい。さらに、図9、10において、乾燥行程中に、給水弁14を開いているのは洗濯槽5に僅かに給水(洗濯物に直接散水)して静電気を予防したり、図示しない切り替え弁によって給水方向を変更し、洗濯物の乾燥に供した後の温風が、循環するダクト内に戻ってきたときにダクト内の温風に向けて散水するためである。すなわち、洗濯物から蒸発した水分(温風に含まれている)の結露を促進するためのものである。ただし、乾燥行程における該給水を停止してもよい。
【0039】
(S12:傾動)
乾燥行程が終了したところで、傾動ロック機構を開放し、再び洗濯槽5を傾動させて、傾動角度を20度にしている。なお、乾燥行程の終了直前、乾燥に並行して、洗濯槽5の傾動を開始してもよい。
(S13:取り出し)
そして、傾動角度が20度に到達して時点で、傾動ロック機構の作動(ロック)及び回転モータ11の停止を条件に、蓋ロックが解除される。そうすると、ユーザは、外蓋9を開けて(内蓋8も連動して開く)、洗濯物を洗濯槽5から容易に取り出すことができる。このとき、洗濯槽5は傾いているから、洗濯槽5の奥に手が届き易くなると共に、洗濯槽5の上部開口部はユーザの視線方向に向いているため、洗濯槽5の底部まで覗きやすい。 なお、洗濯物の量が多い場合に、ユーザはデフォルト位置を指定可能にして、洗濯物の取り出しに際して、洗濯槽5を直立させてもよい。
【0040】
(S14:傾動)
そして、洗濯物が取り出されて、外蓋9(及び内蓋8)が閉じられると、洗濯槽5は直立し、かかる直立した状態で、蓋ロックは開放(開き自在になる)される。
(S15:終了)
そして、自動的に電源スイッチが切られる(OFF)、一連の行程は全て終了する。
このとき、傾斜台20は水平台19の広い範囲において支持されるから、傾動支点20aに水槽2等の自重が集中して作用することがない。よって、傾動支点20aは、長い時間に渡る負荷から開放され、耐久性が向上する。
なお、ユーザはデフォルト位置を指定可能にして、洗濯槽5を傾斜した状態のままにして終了するようにしてよい。
【0041】
(傾動効果)
直立して洗濯槽5を回転した場合には、水面は回転軸を中心にした回転対称面を形成するのに対し、傾斜して洗濯槽5を回転した場合には、水面は回転軸に対して非対称な面を形成することになるため、洗濯槽5内の洗濯水及び洗濯物に作用する力は回転軸に対して非対称となり、洗濯槽5が直立状態にあるときに比べ、水流及び洗濯物の動きは複雑なものとなり、洗浄力が増加し、洗いムラも少なくなる。
【0042】
(傾斜角度の決定)
以上において、洗濯槽5の洗い行程における傾斜角度を30度、洗濯物の投入時や取り出し時及び乾燥行程における傾斜角度を20度の場合を例に説明しているが、本発明はこれらに限定すものではなく、洗い行程において、10〜45度の範囲内で洗濯物の量(負荷量に相当する)に応じて所定の傾斜角度を決定することができる。また、洗濯物の投入時や取り出し時及び乾燥行程において、0〜30度の範囲内で傾斜角度を選択することができる。すなわち、前述のように、洗浄性能を最大にする傾斜角度は、洗濯槽の形状や大きさ、さらに、投入される洗濯物の量によっても変動するため、かかる変動要因を考慮した傾斜角度(洗い行程)の決定が望ましい。
【0043】
また、洗濯物の投入/取り出し時の傾斜角度は、ユーザの身長や筐体の大きき等を考慮して決定されることが望ましい。さらに、ユーザ各人が、それぞれ使い勝ってのよい傾斜角度を設定するようにしてもよい。このとき、洗濯槽5が直立した状態で、洗濯物を投入または取り出したいとの要請に応えるため、トップカバー10に形成された開口部、すなわち、外蓋9は、洗濯槽5が直立した際に洗濯物の取り出しが可能な大きさにする必要があるから、たとえば、水平面に投影した際、直立したときの洗濯槽5の上部開口部(内蓋8に相当する)が外蓋9に含まれる(覆われる)ようにする。つまり、外蓋9は後面に向かって長いものになる。
【0044】
なお、傾動の前後の傾斜角度を同一にした場合には、たとえば、何れの行程も同一の傾斜角度で実行するようにした場合、たとえば、洗濯物を投入した後洗い行程に移行する際の傾動や、乾燥行程から洗濯物の取り出しに移行する際の傾動は、当然不要となる。すなわち、傾動(傾斜角度の変更)に要する時間が不要になる分、一連の運転コースにかかる時間を短縮することができ、また、傾動機構にかかる負荷を低減することができる。
【0045】
さらに、洗い行程あるいは乾燥行程における傾斜角度は1つに限定するものではなく、10〜45度あるいは0〜30度の範囲内で1つまたは2つ以上の傾斜角度を選択して段階的(ステップ的)に変動してもよいし、該範囲内で傾斜角度を連続的に変動、即ち、最小傾斜角度(直立を含む)〜最大傾斜角度の間を、1回または2回以上往復してもよい。 このとき、洗いにおいては更なる複雑な水流の発生と洗濯物の攪拌がなされ、洗浄性能が向上し、乾燥においては更なる洗濯物の攪拌がなされるので洗濯物のかたまり内部にも温風を含ませることができ、乾燥スピードが向上する。
【0046】
(パルセータの回転制御)
パルセータ4の翼部4bの両側壁面を、図4に示したように、急斜面と緩斜面とから形成している場合には、左右方向(正転方向と反転方向)における回転速度や回転時間を相違させた方がよい。例えば、パルセータ4が翼部4bの緩斜面側方向に回転する時は、洗濯物50を確実に上下移動させることができるように、翼部4bの急斜面側方向に回転する時より速度を速くする。また、洗濯物50を絡まりを防止するため、翼部4bの急斜面側方向に回転する時間は、翼部4bの緩斜面側方向に回転する時間より短くするのが好ましい。
【0047】
さらに、洗濯槽5を傾斜させた状態で、パルセータ4を回転させた行程の終了時(パルセータ4の回転終了時)は、図11に示すように、パルセータ4の高さの低い側を、傾斜している洗濯槽5の上昇側に位置させるようにして、洗濯物50の洗濯槽5内での偏りをなくすとともに、洗濯物50を洗濯槽5から取り出し易くするのが好ましい。なお、排水時には、パルセータ4を図11の位置から半回転させて、図12のような状態にして排水を行うのが好ましい。
【0048】
(上記実施の形態で説明したパルセータの他の洗濯機への適用)
上記実施の形態では、本願に特有のパルセータ4を洗濯槽5を傾斜させた状態で所定の行程を行うタイプの洗濯機に適用した例を示したが、本願のパルセータ4は、パルセータ方式を採用するいずれの洗濯機にも適用できることは言うまでもない。
そして、一端側を低くし、それに対向する他端側を高くしたことによる傾斜面が上面に形成され、洗濯槽は前方向に傾斜可能とし、洗濯槽を傾斜させた状態でパルセータを回転させる行程を備えることで、洗濯槽を傾斜した状態でも乾燥性能の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係る洗濯機の側断面図。
【図2】図1の洗濯機に使用されているパルセータを示す斜視図。
【図3】図2のパルセータの側面図。
【図4】図2のパルセータの変形例を示す翼部に直交するラインにおける断面図。
【図5】パルセータを構成する翼部の作用説明図。
【図6】水槽を傾斜させた状態の本発明の実施の形態に係る洗濯機の側断面図。
【図7】図1に示す洗濯機における制御手段の構成を説明するブロック図。
【図8】図1に示す洗濯機における制御手段の制御方法の概略フローチャート。
【図9】図1に示す洗濯機における制御手段の制御方法を説明するタイムチャートその1。
【図10】図1に示す洗濯機における制御手段の制御方法を説明するタイムチャートその2。
【図11】洗濯槽を傾斜させた状態での行程とパルセータの状態を説明する模式図その1。
【図12】洗濯槽を傾斜させた状態での行程とパルセータの状態を説明する模式図その2。
【図13】図2のパルセータの裏面(底面)側詳細図。
【符号の説明】
【0050】
1:筐体、2:水槽、3:吊棒、4:パルセー夕、4A:パルセータの表面、4B:パルセータの裏面、4a:ベース部、4b:翼部、4c:水抜き穴、4k:ポンプアップ用羽根、4m:リブ、4n:リブ、5:洗濯槽、6:バランサー、7:水槽カバー、8:内蓋、9:外蓋、10:トップカバー、11:回転モータ、12:給水経路、13:給水機構、14:給水弁、15:乾燥用フアン、16:送風ダクト、17:ヒ一夕、18:排水ホース、19:水平板、20:傾動台、50:洗濯物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯槽の底部に、回転体であるパルセータを配した洗濯機であって、
前記パルセータは、上面の一端側を低くし、それに対向する前記上面の他端側を高くしたことにより表面が傾斜面に形成されたベース部と、前記ベース部の傾斜面に立設し、前記傾斜面の傾き方向に沿う翼部とを有していることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記翼部の前記傾斜面からの突出高さを、前記ベース部の高さの低い側から高い側に向かってより高くなるようにしていることを特徴とする請求1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記翼部の前記ベース部傾斜面の傾斜方向に沿う左右の壁面のうち、一方の壁面を洗濯物に対して周方向の力を作用させる急斜面に、他方の壁面を洗濯物に対して上下方向の力を作用させる緩斜面に形成していることを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。
【請求項4】
正転および反転する前記パルセータが、前記翼部の前記急斜面側方向に回転する時間を、前記翼の前記緩斜面側方向に回転する時間よりも短くしていることを特徴とする請求項3記載の洗濯機。
【請求項5】
正転および反転する前記パルセータの正転速度と反転速度を相違させていることを特徴とする請求項3記載の洗濯機。
【請求項6】
前記翼部と前記ベース部とが一体成型品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項7】
前記翼部と前記ベース部とが別部材を結合してなる組立品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項8】
前記パルセータの裏面に複数のポンプアップ用羽根が放射状に立設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項9】
前記パルセータの重心が前記パルセータの回転軸上に位置するように、前記パルセータがバランス調整されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項10】
前記ベース部及び/または前記翼部の肉厚を部分的に相違させていることを特徴とする請求項9に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記ベース部及び/または前記翼部の裏面側にバランサとして作用する錘部が形成されていることを特徴とする請求項9または10記載の洗濯機。
【請求項12】
前記錘部は前記ベース部及び/または前記翼部の裏面側に前記パルセータの回転方向に沿って少なくとも1以上設けられたリブからなることを特徴とする請求項11に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記ベースの裏面の隣り合うポンプアップ用羽根によって画定される空間の容積が、前記パルセータの回転軸を中心にして向かい合う領域同士で略等しくなるように形成されていることを特徴とする請求項9記載の洗濯機。
【請求項14】
前記ベースの裏面のポンプアップ用羽根によって画定される空間の高さ方向の一部又は全部が蓋で囲まれて水密構造とされていることを特徴とする請求項13に記載の洗濯機。
【請求項15】
前記水密構造は発泡樹脂で形成されていることを特徴とする請求項14記載の洗濯機。
【請求項16】
前記パルセータは、その高さが高い側よりも低い側に水抜き穴が多く配置されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項17】
前記洗濯槽が傾斜可能とされており、前記洗濯槽を傾斜させた状態で前記パルセータを回転させる行程を備えたことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項18】
前記パルセータの回転終了時、前記パルセータの高さの低い側を、傾斜して片側が上昇した前記洗濯槽の該上昇側に位置させるようにしていることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項1】
洗濯槽の底部に、回転体であるパルセータを配した洗濯機であって、
前記パルセータは、上面の一端側を低くし、それに対向する前記上面の他端側を高くしたことにより表面が傾斜面に形成されたベース部と、前記ベース部の傾斜面に立設し、前記傾斜面の傾き方向に沿う翼部とを有していることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記翼部の前記傾斜面からの突出高さを、前記ベース部の高さの低い側から高い側に向かってより高くなるようにしていることを特徴とする請求1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記翼部の前記ベース部傾斜面の傾斜方向に沿う左右の壁面のうち、一方の壁面を洗濯物に対して周方向の力を作用させる急斜面に、他方の壁面を洗濯物に対して上下方向の力を作用させる緩斜面に形成していることを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。
【請求項4】
正転および反転する前記パルセータが、前記翼部の前記急斜面側方向に回転する時間を、前記翼の前記緩斜面側方向に回転する時間よりも短くしていることを特徴とする請求項3記載の洗濯機。
【請求項5】
正転および反転する前記パルセータの正転速度と反転速度を相違させていることを特徴とする請求項3記載の洗濯機。
【請求項6】
前記翼部と前記ベース部とが一体成型品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項7】
前記翼部と前記ベース部とが別部材を結合してなる組立品であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項8】
前記パルセータの裏面に複数のポンプアップ用羽根が放射状に立設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項9】
前記パルセータの重心が前記パルセータの回転軸上に位置するように、前記パルセータがバランス調整されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項10】
前記ベース部及び/または前記翼部の肉厚を部分的に相違させていることを特徴とする請求項9に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記ベース部及び/または前記翼部の裏面側にバランサとして作用する錘部が形成されていることを特徴とする請求項9または10記載の洗濯機。
【請求項12】
前記錘部は前記ベース部及び/または前記翼部の裏面側に前記パルセータの回転方向に沿って少なくとも1以上設けられたリブからなることを特徴とする請求項11に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記ベースの裏面の隣り合うポンプアップ用羽根によって画定される空間の容積が、前記パルセータの回転軸を中心にして向かい合う領域同士で略等しくなるように形成されていることを特徴とする請求項9記載の洗濯機。
【請求項14】
前記ベースの裏面のポンプアップ用羽根によって画定される空間の高さ方向の一部又は全部が蓋で囲まれて水密構造とされていることを特徴とする請求項13に記載の洗濯機。
【請求項15】
前記水密構造は発泡樹脂で形成されていることを特徴とする請求項14記載の洗濯機。
【請求項16】
前記パルセータは、その高さが高い側よりも低い側に水抜き穴が多く配置されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項17】
前記洗濯槽が傾斜可能とされており、前記洗濯槽を傾斜させた状態で前記パルセータを回転させる行程を備えたことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項18】
前記パルセータの回転終了時、前記パルセータの高さの低い側を、傾斜して片側が上昇した前記洗濯槽の該上昇側に位置させるようにしていることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の洗濯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−55135(P2008−55135A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66454(P2007−66454)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】
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