説明

洗濯機

【課題】使用者の習慣化した洗濯動作を記憶し、その習慣に応じた洗濯コースが実現できる操作性のよい洗濯機を提供する。
【解決手段】複数の洗濯コースの中から1つを選択し、選択した洗濯コースを運転させる選択手段と、現在時刻を計時する時計手段と、前記選択手段により選択した選択コースの選択回数を、選択された所定の時間帯毎に累計して記憶する記憶手段と、電源を入れた時間と、前記記憶手段により記憶された所定の時間帯毎の選択回数とに基づいて、最適な洗濯コースを判断するコース判断手段とを備え、電源を入れたときには、前記コース判断手段が判断した洗濯コースが初期状態で選択されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶された情報を元に最適な洗濯コースを判断する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機には、衣類の質や汚れ具合など様々な状況に対応すべく複数の洗濯コースが設けられており、使用者はそれら所定の洗濯コースの一つを選択し、運転するようにしている。
また、使用者の所望により、洗濯コースの内容、例えば洗い行程における洗い時間、すすぎ行程におけるすすぎ回数、脱水行程における脱水時間などを変更して運転するようにもなっている。そして、使用者が変更した洗濯行程の内容をメモリに記憶する機能を有する場合、その方法としてメモリスイッチの操作により前記行程内容をメモリに記憶し、以後はメモリスイッチの操作により行程内容を呼び出して運転するという構成の洗濯機が提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また他の洗濯機では、予め所定の時間帯に適した洗濯コースが記憶されており、その時間帯に電源がオンされたときは、その時間帯の洗濯コースが洗濯される構成のものが提供されている(特許文献2参照)。
その他、洗濯コースごとの運転回数を記憶しておき、最も使用されたコースを次回に洗濯機の電源をオンした時に設定コースとする構成の洗濯機が提供されている(例えば特許文献3参照)。
【特許文献1】特開昭63−92384号公報
【特許文献2】特開平10−33879号公報
【特許文献3】特開平5−15687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の洗濯機にあっては、使用者は必ずしも毎回同じ洗濯コース、同じ行程設定で運転させることはないわけであるから、上記のように洗濯コースおよびその行程内容が設定されたとしても、使用者が別の洗濯コースに設定しなおさなければならないことが多く、記憶機能の効果が十分得られないという難点があった。
また特許文献2記載の洗濯機にあっては、予め所定の時間帯に適した洗濯コースが選択される構成であるが、必ずしも、その洗濯コースが使用者の所望するコース内容であるとは限らず使用者にとって最適な内容を提供できるものではないという問題があった。
また特許文献3記載の洗濯機にあっては、単に選択した洗濯コースの回数を累計して、その中で合計が大きい洗濯コースを初期設定されているだけであり、使用者にとっては、その初期設定された洗濯コースが必ずしも所望の洗濯コースであるとは言えないという問題があった。
特に使用者は、生活の中において自分の選択する機会、時間帯というのは習慣化されていることが多く、例えば、休日の朝に毛布を洗うなど習慣化した洗濯をその時間帯に初期設定として実現するような洗濯機は提供されていなかった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは使用者の習慣化した洗濯動作を記憶し、その習慣に応じた洗濯コースが実現できる操作性のよい洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係わる洗濯機は、複数の洗濯コースの中から1つを選択し、選択した洗濯コースを運転させる選択手段と、現在時刻を計時する時計手段と、前記選択手段により選択した選択コースの選択回数を、選択された所定の時間帯毎に累計して記憶する記憶手段と、電源を入れた時間と、前記記憶手段により記憶された所定の時間帯毎の選択回数とに基づいて、最適な洗濯コースを判断するコース判断手段とを備え、電源を入れたときには、前記コース判断手段が判断した洗濯コースが初期状態で選択されていることを主たる特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、使用者の習慣化した洗濯動作を記憶し、その習慣に応じた洗濯コースが実現できるため、使用者にとって操作性のよい洗濯機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図6を参照して説明する。
図1は、洗濯コースを選択するフローチャートである。図2は、洗濯機の全体の概略構成を示す部分縦断面図である。図3は、操作パネルの拡大図である。また、図4は、電気的構成図。図5は、記憶手段の洗濯コース選択回数の概念図である。
この洗濯機51は、図2に示すように外箱52の内部に、水槽53が防振状態に懸垂して支持されていて、この水槽53内には、更に洗濯物を収納する洗濯槽54が回転可能に支持されており、また、洗濯槽54の底部には洗濯水および洗濯物を攪拌するパルセータ55が回転可能に支持されている。そして洗濯槽54の側壁には、遠心脱水用の多数の小孔56が設けられている。
【0008】
水槽53の外底面には、回転力を洗い軸57及び脱水軸58を介してパルセータ55及び洗濯槽54に伝達するモータ59や、この洗い軸57と脱水軸58を切り替えるクラッチ機構(図示せず)を備えた機構部60が配設されている。機構部60のクラッチ機構は、モータ59の回転力の伝達を切り替えて、洗い軸57または脱水軸58に伝える機能を有するものである。そしてモータ59は、洗い軸57、脱水軸58を介して、パルセータ55または洗濯槽54を正逆回転、あるいは間欠回転させ洗濯槽54内に洗濯水の流れを生起することで、洗濯物の洗い等を行うようにしている。
さらに、水槽53の外底面には水槽53内の洗濯水を排水する排水弁61及び排水ホース62等が配設されている。
【0009】
一方、この洗濯機51の上部には、トップカバー70が設けられており、このトップカバー70は、前部および後部に、それぞれ操作パネル71およびバックカバー72が設けられている。操作パネル71とバックカバー72との間は、凹状の載置部73が形成されており、その載置部73の中央部に、洗濯物を出し入れするための洗濯物投入口74が形成されている。そしてこの載置部73には洗濯物投入口74を開閉するための二つ折り形状の洗濯蓋80が回動可能に設けられている。前蓋部81と後蓋部82との連結部分で山形に折り曲げるように操作すれば、図2に一点鎖線で示すように、洗濯蓋80を二つ折りした状態にすることができるようにもなっている。
なお、バックカバー72には洗濯槽54内に水を給水する給水口75が設けられており、この給水口75からは、水槽53の上部に続く給水弁75a、給水ホース(図示せず)が接続されて、水槽53内へ洗濯水を給水できるように構成されている。
【0010】
ここで、前述した操作パネル71について図3を参照して説明する。
操作パネル71には電源入りキー1、電源切りキー2、スタート/一時停止キー3(選択手段)、洗濯コース切り替えキー4(選択手段に相当)(以下コースキーとも称す)、洗い行程設定キー5(以下洗いキーとも称す)、すすぎ行程設定キー6(以下すすぎキーとも称す)、脱水行程設定キー7(以下脱水キーとも称す)、水位設定キー8(以下水位キーとも称す)、ふろ水設定キー9(以下ふろ水キーとも称す)、予約時刻設定キー10が配列されている。
また表示手段として、水槽に貯留する洗濯水の水位を示す水位LED11a〜11d、ふろ水設定LED12、残り時間LED13、予約時刻LED14、現在時刻LED15、洗剤量LED16、おすすめコースLED17(報知手段に相当)、洗濯コースLED18a〜18h(報知手段に相当)、各行程LED19a〜19d、数字LED20が設けられている。
このうち洗い行程設定キー5、すすぎ行程設定キー6、脱水行程設定キー7(コース内容変更手段に相当)は、数回押圧動作をすることにより、それぞれ洗い行程時間、すすぎ回数、脱水行程時間が変更可能に構成されている。
所定の洗濯コースとしては、「標準コース」、「つけおきコース」、「念入りコース」、「スピーディコース」、「毛布コース」、「ドライコース」、「槽洗浄コース」、「槽乾燥コース」の8種類あり、使用者は、コースキー4を操作することで、所望のコースに切り替えることができる。
また、選択中のコースに応じて、それに対応した洗濯コースLED18が点灯するように構成されており、使用者はその点灯を認識しながら、所望のコースを選択できるようになっている。また後述するが、洗いキー5、すすぎキー6、脱水キー7を押圧操作することで、洗い時間、すすぎ回数、脱水時間を設定することもできる。
【0011】
各行程LED19は対応する行程が設定されている場合は点灯し、設定されていない場合は消灯するように構成されている。
なお、ふろ水を使用する場合は、ふろ水キー9を操作することで、洗いと1回目のすすぎにふろ水を使用するように設定することができ、設定に応じてふろ水設定LED12が点灯する。
【0012】
また、通常は重量センシング動作により洗濯の水位が決定されるが、水位キー8を操作することで、洗濯の水位を手動で設定することができる。その場合は設定した水位の水位LEDが点灯する。
また洗濯運転の予約をしたい場合は、予約キー10を操作することで、運転終了するまでの時間を設定することができ、それに応じて数字LED20に運転終了時までの時間を時間単位で表示し、予約設定中であることを表すため予約LED14が点灯する構成としている。
通常のコース運転では、洗い、すすぎ、脱水の順に動作を行い、各行程LED19は現在動作中の行程に対応したLEDが点滅し、残りの行程に対応したLEDは点灯する。すでに動作を終えた行程に対応したLEDは消灯する。例えば洗い中は洗い行程LED19aが点滅し、すすぎ行程LED19bおよび脱水行程LED19cが点灯している。洗い行程が終了すると、洗い行程LED19aが消灯し、洗濯動作がすすぎ行程に移るので、すすぎ行程LED19bが点滅する。各行程LED19は使用者が行程を設定した場合でも、その設定に応じて点灯・消灯する。またコース運転中は、運転の残り時間を数字LED20に表示し、現在表示中の数字が残り時間であることを表すために、残り時間LED13を表示する。また、洗い行程中に洗濯蓋を開けた場合は、開いている間中は数字LEDに洗剤量の表示をし、現在表示中の数字が洗剤量であることを表すために、洗剤量LED16が点灯するように構成されている。
【0013】
次に、洗濯機51の電気的構成につき図4を参照して述べる。
図4は洗濯機の電気的構成のブロック図である。マイクロコンピュータ21a(時計手段、コース判断手段、コース内容判別手段故障判断手段に相当)を主体とする制御回路21により各部の制御を行っている。
制御回路21には、操作パネル71、水位センサ30等からの各種の信号が入力され、各種入力信号、およびメモリに予め記憶されているプログラムに従って排水弁61、給水弁75aを制御すると共に、駆動回路を介してオンオフ制御し、機構部60の駆動をし、モータ59が駆動する構成となっている。
また操作パネル71で設定したコース運転を行った場合、後述するがコースごとの運転回数を不揮発性メモリ24(記憶手段に相当)に記憶するようになっている。
【0014】
次に、上記構成の洗濯機の作用について一例を述べる。
まず、使用者は、載置部73の内側に嵌まりこんだ洗濯蓋80を、上方に回動させて開くことにより、洗濯物投入口74が開放される。
次に、洗濯物を洗濯槽54に投入したら、洗濯蓋80を載置部73に載置して、洗濯物投入口74を閉塞する。
そして操作パネル71の電源入りキー1を押して、洗濯機51を起動する。続いて、使用者は洗濯コースLED18aが点灯していることで「標準コース」が初期設定されていることを確認し、スタート/一時停止キー3を押す。すると予め記憶されたプログラム基づき、洗濯動作が始まり、「洗い行程」「すすぎ行程」「脱水行程」を順次進む。
【0015】
まず「洗い行程」では、排水弁61を閉じた状態で給水口75から給水して水槽53に洗濯水を溜める。そしてモータ59によりパルセータ55を正逆方向に交互に回転させて洗濯物を洗濯する。
次いで、「すすぎ行程」では、排水弁61を開放し、洗濯水を排水ホース62から外部に排水する。そして再び水槽53に洗濯水を給水して、モータ59によりパルセータ55を正逆方向に交互に回転させて洗濯物をすすぐ。さらにそのすすいだ洗濯水を排水ホース62から外部に排水する。
つづいて、「脱水行程」に入ると、モータ59で脱水軸58を介して洗濯槽54を一方向に高速回転させることにより、洗濯物に含まれている水分を洗濯槽54の側壁の小孔56から遠心脱水し、水槽53内に放出し排水ホース62から排出させる。
このような行程を経て、洗濯動作が完了する。
【0016】
ここで前述したように操作パネル71の操作方法について、図1を参照して説明する。
【0017】
使用者は、電源をオンした後に、まず洗濯コースを選択して洗濯動作を開始させるが、この洗濯コースを選択して、該洗濯コースを行った時には、その選択コースを1回終了したという情報が不揮発性メモリ24に記憶される。
このように各洗濯コースが動作したことにより、各洗濯コースの動作回数が累計して、順次不揮発性メモリ24に記憶されようになる。
そしてこの不揮発性メモリ24には、曜日別、一日の時間帯別に洗濯コースの回数が格納記憶されるように構成されており、この曜日及び時間帯は制御回路に内蔵される時計機能21b(時計手段に相当)によってカウントされて判断されている。
【0018】
なお、一日の時間帯については次のように区画している。
1朝:7:00〜12:00、2昼:12:00〜17:00、3夜:17:00〜22:00、4深夜:22:00〜 7:00
従って、不揮発性メモリ24は洗濯コースの1コースにつき、7(曜日)×4(時間帯)=28のコース運転回数記憶枠を持っていることになる(詳細は図5を参照)。
このような運転回数記憶枠を有する不揮発性メモリ24には、前述した洗濯コースの回数が次のように記憶される。
洗濯コース切り替えキー4aを押して、所望の洗濯コースを選択設定し、スタート/一時停止キー3を操作して洗濯運転をスタートすると、前記マイクロコンピュータ21aは運転スタート時の曜日及び時刻から割り出した時間帯をマイクロコンピュータ21aのRAMに一時記憶する。洗濯運転が行われ運転が終了すると、不揮発性メモリ24に記憶されている運転回数の記憶のうち、今回運転した洗濯コースの、かつ曜日及び時間帯にあたる記憶部分を不揮発性メモリ24から読み込む。
その後読み込んだ数値に今回選択した洗濯コースの回数を足して、その数値を再び不揮発性メモリ24に記憶する。コース運転を繰り返すと、その分不揮発性メモリに記憶されているコース運転回数が蓄積されていくような構成をしている。
そしてこの蓄積された各洗濯コースの情報を基に、電源をオンしたときの初期設定の洗濯コースを決定する。
【0019】
その決定の方法を以下述べる。
洗濯機51の電源を入れると、マイクロコンピュータ21aはまず不揮発性メモリ24に記憶された回数が0回かどうか確認する(ステップS1)。すなわち回数が0回であれば、使用者がこの洗濯機51を始めて使用すると判断する。
回数が0回でないことを判断したら、マイクロコンピュータ21aは、使用者が電源入りをした曜日と時間帯を判断する。この情報と、不揮発性メモリ24に記憶されている運転回数の情報から、最適運転コース判断機能(コース判断手段に相当)により下記の条件にあてはまる最適コースを判断する。
・条件A:電源入り時の曜日と時間帯において、最も運転回数の多いコース(ステップS5)
・条件B:Aの条件のコースが複数ある場合は、電源入り時の曜日において全時間帯の運転回数の和が多いコース(ステップS6)。
・条件C:Bの条件のコースが複数ある場合は、電源入り時の時間帯において全曜日の運転回数の和が多いコース(ステップS7)。
・条件D:Cのコースが複数ある場合は、全曜日、全時間帯の運転回数の和が多いコース(ステップS8)。
・条件E:Dのコースが複数ある場合は、次の優先順位で決まるコース(ステップS8)。
標準>スピーディ>念入り>つけおき>毛布>ドライ>槽洗浄>槽乾燥
これらの条件AからEに該当する洗濯コースを電源入り時の初期設定洗濯コースとし、表示もその洗濯コースに対応したコースLEDが点灯し、使用者に報知する(ステップS11)。また、この時コースLEDの他に、最適運転コースが選択されていることを使用者に報知するためにおすすめコースLED17も同時に点灯する(ステップS12)。
【0020】
例えば、初期設定洗濯コースが、「毛布コース」と判断された場合は、電源オン時に、洗濯コースLED18eが点灯すると共におすすめコースLED17が点灯する。
なお、電源入り後の状態からコースキー4aを操作すると、選択している洗濯コースが標準コースに切り替わり、表示も標準のコースLEDが点灯し、おすすめコースLED17が消灯する。以後コースキー4aを操作することで、選択されているコースが切り替わっていくが、コース選択が一巡すると、再び電源入り後に選択されている初期設定洗濯コースに戻り、おすすめコースLED17が点灯する(ステップS13)。
また、全コースの運転回数が0回の時(初回電源入り時)は、電源入り時は標準コースが選択され、コースLEDも標準の部分が点灯する(ステップS2、S3)。その時はおすすめコースLED17は点灯しない。
【0021】
続いて、条件Aから条件Eを利用した最適選択コースの判断方法について、例を挙げて説明する。
図5に、洗濯コースの使用回数が既に記憶された状態の不揮発性メモリ24の概念表を示す。洗濯コースの1コース(例えば「槽乾燥」)につき、7(曜日)×4(時間帯)=28のコース運転回数記憶枠を持っていて、日曜日の昼の時間帯に1回「槽乾燥コース」が動作したことを意味する。
この図5を用いて、いくつか例を挙げていく。
まず、月曜日から金曜日の朝の時間帯に電源を入れた場合、念入りコースの回数が6回で一番多い為、前記Aの条件にあてはまる念入りコースが選択される。
また朝以外の別の時間帯に電源を入れた場合、どの洗濯コースも0回であるため、条件Aに当てはまるコースが複数になるため、Bの条件により該当するコースを判断する。 その結果、全時間帯の回数の和が多い「念入りコース」が選択されることになる。
また土曜日の昼に電源を入れた場合は、Aの条件にあてはまるのが、槽洗浄コースであるため、初期設定選択コースには槽洗浄が選択される。
また日曜日の場合、朝に電源を入れた場合は前記Aの条件にあてはまるコースは6回の毛布コースになり、昼に電源を入れた場合は前記Aの条件にあてはまるコースは3回の念入りコースになる。
日曜日の夜と深夜の時間帯に電源を入れた場合は前記Aの条件にあてはまる洗濯コースは全て0回で複数になるため、前記Bの条件にあてはまるコースを判断する。すると日曜日の全時間帯を合計した回数が多いコースが、「念入り」と「毛布」が6回で同数となり、次の条件Cにあてはまるコースを判断する。
この場合、時間帯が夜の場合だと条件Cにより夜の時間帯における全曜日の回数の合計が最大の2回である「念入り」が選択される。
また時間帯が深夜の場合は、前記Cの条件にあてはまるコースは、念入りと毛布の2コースとも0回で同数である為、次にDの条件にあてはまるコースを判断する。
その結果、Dの条件である全曜日、全時間帯の総運転回数が42回(念入り)>6回(毛布)であるため、念入りコースが選択される。
【0022】
このように、マイクロコンピュータ21aの条件A〜Eの最適運転コース判断機能により、毎日は運転しないが特定の曜日、特定の時間帯などに運転するコースでも、その特定の曜日・時間帯に合わせて電源入り時の初期設定洗濯コースが選択されるようになるため、電源入り後に使用者は、洗濯コース設定の手間を低減することができる。
なお、この最適運転コース判断機能によって判断されるコースは1つのみではなく、複数にすることも可能である。
前述した実施例では条件A〜Eの条件に当てはまるコースのうち最適なものを電源入り時の初期設定洗濯コースとしていたが、この条件に当てはまるコースを最適なものから順にいくつか優先順位を判別し、その洗濯コースを順番に選べるようにしてもよい(図6参照)。
【0023】
電源入り時の初期設定選択コースは前記コースのうちの最適なものであり、その時点でおすすめコースキー4bを操作すると、次に適する洗濯コースが選択され表示もそのコースに対応したLEDが点灯する。
以後おすすめコースキー4bを操作し続けることで、順にコースが選択され一定の回数切り替えると、最初の洗濯コース(優先順位が一番で電源入り時に選択されているコース)に切り替わる。
このとき、通常のコースキー4aを操作すると、まず標準コースが選択され、以後順に切り替わっていく。
図5のコース運転回数を用いて説明すると、日曜日の時に電源を入れると時間帯によって念入りコースか毛布コースに優先順位がつくようになっており、どちらかが初期選択コースとなっている。
朝の時間帯であれば、優先順位が、毛布、念入りとなっているが、電源オン時に、おすすめコースキー4bを操作することで、毛布から念入りを選択することにより優先順位の第2番目の洗濯コースを選択することができる。
【0024】
また昼の時間帯ならば、優先順位が念入り、毛布となっているところ、洗濯コースを切り替えて、第2番目の洗濯コースである毛布コースを選択することが可能である。
このように、電源入り時に選択されているコースが所望するコースと異なる場合がでてきたとしても、最適運転コース判断機能によって判断されるコースを優先順位をつけた複数のコースにして、それを選択できるようにすることにより、使用者が、洗濯する行為を決まった日時にするように習慣化されていないときでも、すぐに所望するコースに切り替えることができる。
また、不揮発性メモリ24は洗濯コースごとの前回運転時の洗い時間、すすぎ回数、脱水時間などの設定内容を記憶するようにも構成している。
例えば「標準コース」を洗い10分、すすぎ3回、脱水9分で行程内容を変更する場合には、操作方法として標準コースLED18aが点灯しているときに、洗い行程設定キーを複数回押しことにより、洗い行程の時間を変更することができ、同様に、脱水行程も、脱水行程設定キーを複数回押すことにより時間を変更することができる。またすすぎ回数の変更は、すすぎ行程設定キーを複数回押すことにより変更することができる。
そしてこのように変更した内容で「標準コース」を動作させたとすると、運転終了時に前記設定内容が不揮発性メモリ24に記憶される。
そして次回の電源入り後には、「標準コース」を選択した場合、マイクロコンピュータ21aは、その行程設定内容が前回運転時の設定である洗い10分、すすぎ3回、脱水9分になるように設定する。
この時、内容が変更されたことをマイクロコンピュータ21a(コース内容判別手段に相当)が判別し、変更された洗濯コースLEDを点滅させるようにして、使用者に内容が変更されていることを報知している。
これにより、使用者は、変更した前の通常の行程内容に戻したい時は、操作パネル71で設定しなおすこともできる。
なお初回運転時は設定内容の記憶はないため、コースを選択した時の行程内容は自動(コース及び水位によって動作する時間・回数が変わる)になっている。
このように、マイクロコンピュータ21aは、前述した最適運転コース判断機能と合わせて、電源入り後の洗濯コースの行程内容の変更設定の手間を低減することができる。
【0025】
なお、最適運転コース判断機能は不揮発性メモリ24に記憶されているコース別運転回数の情報をもとにしているが、使用者が特定のキー操作をすることでこのコース別運転回数の情報をクリアして初期状態に戻すことができる。同時に前述したコース別設定内容の記憶もクリアして初期状態に戻すこともできる。
例えば、複数のキーを同時に押す(記憶初期化手段に相当)ことで不揮発性メモリ24の情報を初期状態に戻すことができる。
これにより、例えば使用者が引越しなどをして、習慣化されていた洗濯する日時が変わってしまったときは、不揮発性メモリ24を初期状態にして、初めから新しい情報を記憶させていくことができる。
【0026】
また故障などにより、前記不揮発性メモリ24との通信が行えず、コース別運転回数の情報やコース別設定内容の記憶を読み込むことができない場合には、不揮発性メモリが故障していることを使用者にしらせるため、おすすめコースLED17を点滅表示させることも可能である。
【0027】
以上説明したように、本実施形態によれば次の効果を有する。
コース別運転回数の情報から電源入り時の曜日、時間帯に最も適した洗濯コースを電源入り時の初期設定洗濯コースとなるようにしたので、使用者が習慣化した洗濯行為を行っている時は、同じ曜日、時間帯に洗濯機51をオンしたときに、その曜日、時間帯に多く設定する洗濯コースが初期設定洗濯コースに設定されているため、使用者は、スタートキーを押すだけで、所望の洗濯コースを動作することができるので、使用者にとって操作性が向上する。
【0028】
また電源入り時の曜日、時間帯に最も適した洗濯コースが初期設定洗濯コースに設定されていることを使用者に報知するようにしたので、使用者は何が初期設定されているか容易に認識できる。
またその洗濯コースの行程内容を、前回同コース運転時にコース内容を変更した時と同じ内容にするようにしたので、使用者が所望する行程内容も改めて設定しなおす必要がなく、操作性が向上する。
【0029】
また使用者が選択している洗濯コースの内容が、変更された状態であるか判別するようにマイクロコンピュータ21aは動作して、選択されている設定コースが点滅するように報知したため、使用者は選択する洗濯コースが変更された内容であるのか認識することができ、元の通常の行程に戻したい時は、戻すことが可能となる。
【0030】
なお、本実施例では、Aの条件が複数の場合は、Bの条件で、曜日での運転回数が多いのがどれなのかを判断しており、電源入り時の曜日の方を優先度を高くしているが、逆に条件Cの時間帯の方の優先度を高くしてもよい。
【0031】
また本実施例では、洗濯コース切り替えキー4aを押して、所望の洗濯コースを選択設定し、スタート/一時停止キー3を操作して洗濯運転がスタートする時のその時間帯にマイクロコンピュータ21aにその洗濯コースが1回選択されたことを記憶するようにしているが、例えば洗濯コースを決定するようなキーを有しているような構成であれば、その決定キーが押された時間帯にマイクロコンピュータ21aに記憶させるようにしても良い。
【0032】
また所望の洗濯コースの洗濯運転が行われ運転が終了したときに不揮発性メモリ24に合計回数を記憶するようにしたが、洗濯運転が行われ運転が終了しないで途中で運転を停止したときでも、不揮発性メモリ24に記憶しても良い。
その他、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、実施に際して本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】洗濯コースを選択するフローチャート
【図2】洗濯機の全体の概略構成を示す部分縦断面図
【図3】操作パネルの拡大図
【図4】電気的構成図
【図5】記憶手段の洗濯コース選択回数の概念図
【図6】別の操作パネルの拡大図
【符号の説明】
【0034】
図中、1は電源入りキー、2は電源切りキー、3はスタート/一時停止キー、4は洗濯コース切り替えキー5は洗い行程設定キー、6はすすぎ行程設定キー、7は脱水行程設定キー、8は水位設定キー、9はふろ水設定キー、10は予約時刻設定キー、11a〜11dは水位LED、12はふろ水設定LED、13は残り時間キー、13は残り時間LED、14は現在時刻キー、14は予約時刻LED、15は現在時刻LED、16は洗剤量LED、17はおすすめコースLED、18a〜18hは洗濯コースLED、19a〜19dは各行程LED、20は数字LED、21は制御回路、21aはマイクロコンピュータ、21bは時計機能、24は不揮発性メモリ、30は水位センサ、51は洗濯機、52は外箱、53は水槽、54は洗濯槽、55はパルセータ、56は小孔、57は洗い軸、58は脱水軸、59はモータ、60は機構部、61は排水弁、62は排水ホース、70はトップカバー、71は操作パネル、72はバックカバー、73は載置部、74は洗濯物投入口、75は給水口、75aは給水弁、80は洗濯蓋、81は前蓋部、82は後蓋部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の洗濯コースの中から1つを選択し、選択した洗濯コースを運転させる選択手段と、
現在時刻を計時する時計手段と、
前記選択手段により選択した選択コースの選択回数を、選択された所定の時間帯毎に累計して記憶する記憶手段と、
電源を入れた時間と、前記記憶手段により記憶された所定の時間帯毎の選択回数とに基づいて、最適な洗濯コースを判断するコース判断手段とを備え、
電源を入れたときには、前記コース判断手段が判断した洗濯コースが初期状態で選択されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
電源を入れたときに、コース判断手段が判断した最適な洗濯コースが初期状態で選択されていることを報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
所定の時間帯は、曜日もしくは数時間であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の洗濯機。
【請求項4】
選択手段で選択する洗濯コースの内容を変更するコース内容変更手段を有し、
このコース内容変更手段でコース内容が変更された状態の洗濯コースを運転し、
次に電源を入れたときにコース判断手段に基づき、前回選択した洗濯コースが初期状態となっている場合には、その洗濯コースは、前回前記コース内容変更手段でコース内容が変更された状態であることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の洗濯機。
【請求項5】
選択した洗濯コースが、コース内容変更手段でコース内容が変更された状態であるか判別するコース内容判別手段を有することを特徴とする請求項4記載の洗濯機。
【請求項6】
コース内容変更手段でコース内容が変更された洗濯コースを初期化する内容初期化手段を有する請求項4または請求項5記載の洗濯機。
【請求項7】
記憶手段を初期化する記憶初期化手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−73425(P2008−73425A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258757(P2006−258757)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】